説明

車両用空気調和装置及びその運転切替方法

【課題】蒸気圧縮式冷凍サイクルの複雑化、高コスト化を招来することなく、暖房用冷媒循環経路の冷媒量を適正化できる車両用空気調和装置を提供する。
【解決手段】圧縮機3と室外コンデンサ4と室内コンデンサ6及びエバポレータ8と温度式膨張弁7と室外コンデンサ4をバイパスするバイパス路11と、冷媒を室外コンデンサ4を通して循環させる冷房用循環経路と冷媒をバイパス路11を介して循環させる暖房用循環経路とに流路切替えできる流路切替弁12とを備えた蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aと、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aの高圧側圧力を検出する高圧圧力検出手段30と、冷房運転中に暖房運転への切替指令があると、高圧圧力検出手段30により検出される高圧側圧力が目標圧力以下になった後に冷房用循環経路から暖房用循環経路に流路を切り替える制御部20とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房運転では冷媒を室外熱交換器をバイパスさせて循環させる車両用空気調和装置及びその運転切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の車両用空気調和装置としては、特許文献1に開示されたものが提案されている。この車両用空気調和装置100は、図10に示すように、蒸気圧縮式冷凍サイクル101を備えている。蒸気圧縮式冷凍サイクル101は、冷媒を圧縮する圧縮機102と、冷媒と車室外の空気との間で熱交換する室外コンデンサ103と、冷媒と車室内に供給される空気との間で熱交換する室内コンデンサ104と、冷媒を減圧する絞り手段105と、冷媒と車室内に供給される空気との間で熱交換するエバポレータ106とを備え、これらが冷媒配管119によって接続されている。
【0003】
エバポレータ106と室内コンデンサ104は、送風機130と共に空調ケース131内に収容されている。送風機130の送風力によって空調ケース131に吸引された空気は、エバポレータ106で冷却され、その後、エアミックスドア132の配風で必要に応じて室内コンデンサ104で加熱され、所望温度の空調風とされて車室内に供給される。
【0004】
また、蒸気圧縮式冷凍サイクル101は、圧縮機102からの冷媒を室外コンデンサ103に通さずにバイパスさせるバイパス路110と、圧縮機102からの冷媒を室外コンデンサ103に通すかバイパス路110に通すかを切り替える流路切替手段111と、流路切替手段111を介して室外コンデンサ103の入口側配管と圧縮機102の低圧側配管の間を接続する冷媒回収路120とを備えている。流路切替手段111は、バイパス路110側を選択した時には、室外コンデンサ103の入り口側と冷媒回収路120とを連通させる弁機能を備えている。
【0005】
上記構成において、冷房運転が選択されると、流路切替手段111が室外コンデンサ103側に切り替えられる。これにより、圧縮機102で圧縮された冷媒は、室外コンデンサ103、室内コンデンサ104、絞り手段105及びエバポレータ106を通る冷房用冷媒循環経路を循環する。圧縮機102で圧縮された高温高圧の冷媒は、室外コンデンサ103と室内コンデンサ104で空気に放熱し、エバポレータ106で空気より吸熱する。従って、空調ケース131内を通る送風は、エバポレータ106で冷却されると共にその一部若しくは全部が室内コンデンサ104で再加熱されることによって所望温度の冷風とされる。
【0006】
暖房運転が選択されると、流路切替手段111がバイパス路110側に切り替えられる。これにより、圧縮機102で圧縮された冷媒は、バイパス路110、室内コンデンサ104、絞り手段105及びエバポレータ106を通る暖房用循環経路を循環する。圧縮機102で圧縮された高温高圧の冷媒は、室内コンデンサ104でのみ空気に放熱し、エバポレータ106で空気より吸熱する。室内コンデンサ104でのみ放熱するため、冷房用循環経路の場合に比べて大きな加熱エネルギーを放出する。従って、空調ケース131内を通る送風は、エバポレータ106で一旦冷却された後に室内コンデンサ104で加熱されることによって所望温度の温風とされる。
【0007】
このように上記従来例の車両用空気調和装置100は、車室内の冷房時には蒸気圧縮式冷凍サイクル101より得られる冷熱エネルギーで車室内に供給される空気を冷却し、車室内の暖房時には蒸気圧縮式冷凍サイクル101より得られる加熱エネルギーで車室内に供給される空気を加熱する。
【0008】
また、冷房運転から暖房運転に切り替わる場合には、室外コンデンサ103が冷媒の循環経路より外れるため、室外コンデンサ103内の冷媒がそこに残留する。しかし、この残留(寝込み)冷媒は冷媒回収路120を介して暖房用冷媒循環経路に戻るため、暖房用冷媒循環経路内の冷媒量が不足するという事態を防止できる。
【0009】
つまり、室外熱交換器である室外コンデンサ103は、高温状態でも十分な放熱能力(ひいては冷房能力)を得るために室内熱交換器であるエバポレータ106や室内コンデンサ104に比べて容積が非常に大きく設定され、室外コンデンサ103には非常に多量の冷媒が寝込む可能性が高い。そのため、暖房用冷媒循環経路内の冷媒量不足を引き起こす傾向が高く、上記従来例では冷媒回収路120を設けて暖房用冷媒循環経路内の冷媒量の適正化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−109669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記従来例の車両用空気調和装置100では、蒸気圧縮式冷凍サイクル101に冷媒回収路120を設ける必要があるため、蒸気圧縮式冷凍サイクル101の構成が複雑化し、高コスト化するという問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、蒸気圧縮式冷凍サイクルの複雑化、高コスト化を招来することなく、暖房用冷媒循環経路の冷媒量を適正化できる車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒と車室外の空気との間で熱交換する室外熱交換器と、冷媒と車室内に供給される空気との間で熱交換する室内熱交換器と、前記圧縮機で圧縮された冷媒を減圧する絞り手段と、前記室外熱交換器をバイパスするバイパス路と、前記圧縮機で圧縮された冷媒を前記室外熱交換器を通して循環させる冷房用循環経路と前記圧縮機で圧縮された冷媒を前記室外熱交換器を通さずに前記バイパス路を介して循環させる暖房用循環経路とに流路切替えできる流路切替手段とを備え、冷房運転時には冷房用循環経路によって作動し、暖房運転時には暖房用循環経路によって作動する蒸気圧縮式冷凍サイクルと、前記蒸気圧縮式冷凍サイクルの高圧側圧力を検出する高圧圧力検出手段と、冷房運転中に暖房運転への切替指令があると、前記高圧圧力検出手段により検出される高圧側圧力が目標圧力以下になった後に冷房用循環経路から暖房用循環経路に流路を切り替える制御部とを備えたことを特徴とする車両用空気調和装置である。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1記載の車両用空気調和装置であって、前記制御部は、冷房運転中に暖房運転への切替指令があると、前記高圧圧力検出手段により検出される高圧側圧力と目標圧力を比較し、検出された高圧側圧力が目標圧力を超える圧力であると、前記蒸気圧縮式冷凍サイクルの高圧側圧力を低下させる圧力低減制御を行うことを特徴とする車両用空気調和装置である。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2記載の車両用空気調和装置であって、前記制御部の圧力低減制御は、前記室外熱交換器への送風量を増加させる制御であることを特徴とする車両用空気調和装置である。
【0016】
請求項4の発明は、請求項2記載の車両用空気調和装置であって、前記制御部の圧力低減制御は、前記圧縮機の冷媒吐出量を減少させる制御であることを特徴とする車両用空気調和装置である。
【0017】
請求項5の発明は、請求項2記載の車両用空気調和装置であって、前記制御部の圧力低減制御は、前記絞り手段の絞り度合いを軽減させる制御であることを特徴とする車両用空気調和装置である。
【0018】
請求項6の発明は、請求項2記載の車両用空気調和装置であって、前記制御部の圧力低減制御は、エアミックスドアがフルクール位置にある場合には前記室外熱交換器への送風量を増加させる制御であり、前記エアミックスドアがフルクール位置以外の位置にある場合には前記圧縮機の冷媒吐出量を減少させる制御であることを特徴とする車両用空気調和装置である。
【0019】
請求項7の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の車両用空気調和装置であって、前記蒸気圧縮式冷凍サイクルは、前記室外熱交換器である室外コンデンサと、前記室内熱交換器である室内コンデンサ及びエバポレータを有し、前記流路切替手段の切り替えによって、前記圧縮機からの冷媒が室外コンデンサ、室内コンデンサ、絞り手段及びエバポレータを循環する冷房用循環経路と、前記圧縮機からの冷媒が室内コンデンサ、絞り手段及びエバポレータを循環する暖房用循環経路とに切り替えられることを特徴とする車両用空気調和装置である。
【0020】
請求項8の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の車両用空気調和装置であって、前記蒸気圧縮式冷凍サイクルは、前記室外熱交換器である室外コンデンサと、エバポレータ又は室内コンデンサとして機能する前記室内熱交換器とを有し、前記流路切替手段の切り替えによって、前記圧縮機からの冷媒が室外コンデンサ、絞り手段及びエバポレータとしての前記室内熱交換器を循環する冷房用循環経路と、前記圧縮機からの冷媒が絞り手段及び室内コンデンサとしての前記室内熱交換器を循環する暖房用循環経路とに切り替えられることを特徴とする車両用空気調和装置である。
【0021】
請求項9の発明は、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の車両用空気調和装置であって、前記制御部は、起動時に暖房運転が選択されている場合には、冷房用循環経路による冷房運転で所定時間運転し、その後に暖房用循環経路による暖房運転に切り替えることを特徴とする車両用空気調和装置である。
【0022】
請求項10の発明は、冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒と車室外の空気との間で熱交換する室外熱交換器と、冷媒と車室内に供給される空気との間で熱交換する室内熱交換器と、前記圧縮機で圧縮された冷媒を減圧する絞り手段と、前記室外熱交換器をバイパスするバイパス路と、前記圧縮機で圧縮された冷媒を前記室外熱交換器を通して循環させる冷房用循環経路と前記圧縮機で圧縮された冷媒を前記室外熱交換器を通さずに前記バイパス路を介して循環させる暖房用循環経路とに流路切替えできる流路切替手段とを備え、冷房運転時には冷房用循環経路によって作動し、暖房運転時には暖房用循環経路によって作動する蒸気圧縮式冷凍サイクルと、前記蒸気圧縮式冷凍サイクルの高圧側圧力を検出する高圧圧力検出手段とを備えており、冷房運転中に暖房運転への切替指令があると、前記高圧圧力検出手段により検出される高圧側圧力が目標圧力以下になった後に冷房用循環経路から暖房用循環経路への流路切替えを行うことを特徴とする車両用空気調和装置の運転切替方法である。
【0023】
請求項11の発明は、請求項10記載の車両用空気調和装置の運転切替方法であって、冷房運転中に暖房運転への切替指令があると、前記高圧圧力検出手段により検出される高圧側圧力と目標圧力を比較し、検出された高圧側圧力が目標圧力を超える圧力であると、前記蒸気圧縮式冷凍サイクルの高圧側圧力を低下させる圧力低減制御を行い、高圧側圧力が目標圧力以下に下がった後に暖房用循環経路に流路切替えを行うことを特徴とする車両用空気調和装置の運転切替方法である。
【0024】
請求項12の発明は、請求項11記載の車両用空気調和装置の運転切替方法であって、圧力低減制御は、前記室外熱交換器への送風量を増加させる制御であることを特徴とする車両用空気調和装置の運転切替方法である。
【0025】
請求項13の発明は、請求項11記載の車両用空気調和装置の運転切替方法であって、圧力低減制御は、前記圧縮機の冷媒吐出量を減少させる制御であることを特徴とする車両用空気調和装置の運転切替方法である。
【0026】
請求項14の発明は、請求項11記載の車両用空気調和装置の運転切替方法であって、圧力低減制御は、前記絞り手段の絞り度合いを軽減させる制御であることを特徴とする車両用空気調和装置の運転切替方法である。
【0027】
請求項15の発明は、請求項11記載の車両用空気調和装置の運転切替方法であって、圧力低減制御は、エアミックスドアがフルクール位置にある場合には前記室外熱交換器への送風量を増加させる制御であり、前記エアミックスドアがフルクール位置以外の位置にある場合には前記圧縮機の冷媒吐出量を減少させる制御であることを特徴とする車両用空気調和装置の運転切替方法である。
【0028】
請求項16の発明は、請求項10〜請求項15のいずれかに記載の車両用空気調和装置の運転切替方法であって、前記蒸気圧縮式冷凍サイクルは、前記室外熱交換器である室外コンデンサと、前記室内熱交換器である室内コンデンサ及びエバポレータを有し、前記流路切替手段の切り替えによって、前記圧縮機からの冷媒が室外コンデンサ、室内コンデンサ、絞り手段及びエバポレータを循環する冷房用循環経路と、前記圧縮機からの冷媒が室内コンデンサ、絞り手段及びエバポレータを循環する暖房用循環経路とに切り替えられることを特徴とする車両用空気調和装置の運転切替方法である。
【0029】
請求項17の発明は、請求項10〜請求項15のいずれかに記載の車両用空気調和装置の運転切替方法であって、前記蒸気圧縮式冷凍サイクルは、前記室外熱交換器である室外コンデンサと、エバポレータ又は室内コンデンサとして機能する前記室内熱交換器とを有し、前記流路切替手段の切り替えによって、前記圧縮機からの冷媒が室外コンデンサ、絞り手段及びエバポレータとしての前記室内熱交換器を循環する冷房用循環経路と、前記圧縮機からの冷媒が絞り手段及び室内コンデンサとしての前記室内熱交換器を循環する暖房用循環経路とに切り替えられることを特徴とする車両用空気調和装置の運転切替方法である。
【0030】
請求項18の発明は、請求項10〜請求項17のいずれかに記載の車両用空気調和装置の運転切替方法であって、前記制御部は、起動時に暖房運転が選択されている場合には、冷房用循環経路による冷房運転で所定時間運転し、その後に暖房用循環経路による暖房運転に切り替えることを特徴とする車両用空気調和装置の運転切替方法である。
【発明の効果】
【0031】
請求項1及び請求項10の発明によれば、冷房運転から暖房運転への運転切替指令があると、蒸気圧縮式冷凍サイクルの高圧側圧力が目標圧力以下となって初めて暖房用冷媒循環経路への切替えが行われる。ここで、冷房運転にあって蒸気圧縮式冷凍サイクルの高圧側圧力と室外熱交換器等に保持される冷媒量との間には相関関係があり、室外熱交換器等に保持される冷媒量(寝込み冷媒量)を差し引いても暖房用冷媒循環経路の冷媒量を適正量確保できると推定される目標圧力以下になって初めて暖房用冷媒循環経路に切り替えが行われる。そして、従来例のような冷媒回収路を蒸気圧縮式冷凍サイクルに付設する必要がない。以上より、蒸気圧縮式冷凍サイクルの複雑化、高コスト化を招来することなく、暖房用冷媒循環経路の冷媒量を適正化できる。
【0032】
請求項2及び請求項11の発明によれば、高圧側圧力が目標圧力を超える圧力である場合に、高圧側圧力を迅速に目標圧力以下に下げることができるため、暖房用冷媒循環経路の冷媒量が適正な暖房運転に迅速に切り替えできる。
【0033】
請求項3及び請求項12の発明によれば、高圧側圧力の圧力低減を室外熱交換器に送風する送風機の制御で対応できる。
【0034】
請求項4及び請求項13の発明によれば、高圧側圧力の圧力低減を圧縮機の制御で対応できる。
【0035】
請求項5及び請求項14の発明によれば、高圧側圧力の圧力低減を絞り手段の制御で対応できる。
【0036】
請求項6及び請求項15の発明によれば、エアミックスドアがフルクール位置にある場合には、乗員は圧縮機の駆動変化を感知し易く、反面、エアミックスドアがフルクール位置以外の位置にある場合には、乗員は圧縮機の駆動変化を感知し難いため、乗員に違和感なく高圧側圧力の低減動作を行うことができる。
【0037】
請求項7及び請求項16の発明によれば、冷房運転時及び暖房運転時共にエバポレータによる空気の冷却と室内コンデンサによる空気の加熱を利用して所望温度の空調風を作製できる。
【0038】
請求項8及び請求項17の発明によれば、冷房運転時にはエバポレータとしての室内熱交換器による空気の冷却を利用し、暖房運転時には室内コンデンサとしての室内熱交換機による空気の加熱を利用して所望温度の空調風を作製できる。
【0039】
請求項9及び請求項18の発明によれば、暖房運転での起動を指令された場合には、所定時間だけ冷房運転で起動することによって室外熱交換器等に保持される冷媒量(寝込み冷媒量)が所定量、つまり、室外熱交換器等の寝込み冷媒量を差し引いても暖房用冷媒循環経路の冷媒量を適正量確保できると推定される量に変移させてから暖房運転に切り替えられる。従って、暖房運転での起動を指令された場合にも、暖房用冷媒循環経路の冷媒量を確実に適正化できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態を示し、車両用空気調和装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示し、冷房運転中に暖房運転に移行する際の制御フローチャートである。
【図3】本発明の第1実施形態を示し、暖房運転による起動時の制御フローチャートである。
【図4】本発明の第1実施形態を示し、冷房運転と暖房運転における各適正冷媒量の範囲を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態を示し、高圧側圧力と室外コンデンサ内に保持される冷媒量(寝込み冷媒量)との相関関係を示す特性線図である。
【図6】本発明の第1実施形態を示し、冷房運転による起動時間と室外コンデンサ内の寝込み冷媒量の推移を示す特性線図である。
【図7】(a)は冷房運転時の適正な冷媒量を算出する方法を説明する図、(b)は暖房運転時の適正な冷媒量を算出する方法を説明する図である。
【図8】(a)は冷房運転時の適正な冷媒量範囲(安定幅)と暖房運転時の適正な冷媒量範囲(安定幅)が相違することを示す図、(b)は冷房運転時における室外コンデンサ内の残留冷媒量を調整(把握)すれば暖房運転時の循環冷媒量を適正な量にできることを示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態を示し、車両用空気調和装置の概略構成図である。
【図10】従来例の車両用空気調和装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0042】
(第1実施形態)
図1〜図6は本発明の第1実施形態を示し、図1は車両用空気調和装置1Aの概略構成図、図2は冷房運転中に暖房運転に移行する際の制御フローチャート、図3は暖房運転による起動時の制御フローチャート、図4は冷房運転と暖房運転における各適正冷媒量の範囲を示す図、図5は高圧側圧力と室外コンデンサ4内に保持される冷媒量(寝込み冷媒量)との相関関係を示す特性線図、図6は冷房運転による起動時間と室外コンデンサ4内の寝込み冷媒量の推移を示す特性線図、である。
【0043】
図1に示すように、車両用空気調和装置1Aは、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aを備えている。蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aは、冷媒を圧縮する圧縮機3と、冷媒と車室外の空気との間で熱交換する室外熱交換器である室外コンデンサ4と、室外コンデンサ4の下流に配置されたレシーバタンク5と、冷媒と車室内に供給される空気との間で熱交換する室内熱交換器である室内コンデンサ6及びエバポレータ8と、エバポレータ8の上流に配置され、冷媒を減圧する絞り手段である温度式膨張弁7と、エバポレータ8の下流に配置されたアキュムレータ9とを備え、これらが冷媒配管10によって接続されている。
【0044】
圧縮機3は、例えばベーン型であり、制御部20からの指令によってオン・オフや回転数が制御される。圧縮機3は、回転数に応じて冷媒吐出量が調整される。
【0045】
室外コンデンサ4には、室外送風機21によって車室外の空気が送風される。室外送風機21は、制御部20によって回転数が調整される。室外コンデンサ4は、高温状態でも十分な放熱能力(ひいては冷房能力)を得るために室内熱交換器であるエバポレータ8及び室内コンデンサ6に比べて容積が非常に大きく設定されている。
【0046】
レシーバタンク5は、室外コンデンサ4より送られてきた冷媒の内で余剰冷媒を一時的に溜めると共に、液冷媒のみを温度式膨張弁7に送る。レシーバタンク5は、室外コンデンサ4と一体に設けられている。
【0047】
温度式膨張弁7は、エバポレータ8の出口側に取り付けられた感温筒部(図示せず)を有し、エバポレータ8の出口側の冷媒過熱度(スーパーヒート)が所定値に維持されるように弁開度を自動調整する。
【0048】
室内コンデンサ6及びエバポレータ8は、空調用送風機22と共に空調ケース23内に収容されている。空調用送風機22の送風力によって空調ケース23に吸引された空気は、エバポレータ8を通り、その後、エアミックスドア24によって室内コンデンサ6を通るものとバイパスするものに配風され、その後に合流する。合流した空調風は、デフロスタ吹出口、ベント吹出口、フット吹出口より車室内に供給される。エアミックスドア24の位置は、制御部20によって制御される。
【0049】
アキュムレータ9は、エバポレータ8から送られてきた冷媒の内で余剰冷媒を一時的に溜めると共にガス冷媒のみを圧縮機3に送る。
【0050】
また、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aは、圧縮機3からの冷媒を室外コンデンサ4及びレシーバタンク5を通さずにバイパスさせるバイパス路11と、バイパス路11の上流側端と冷媒配管10との接続箇所に設けられ、圧縮機3からの冷媒を室外コンデンサ4に通すかバイパス路11に通すかを切り替える流路切替手段である流路切替弁12と、レシーバタンク5の下流側で、且つ、バイパス路11との合流箇所より上流側に配置された逆止め弁13とを備えている。
【0051】
流路切替弁12は、圧縮機3で圧縮された冷媒を室外コンデンサ4を通して循環させる冷房用循環経路と、圧縮機3で圧縮された冷媒を室外コンデンサ4を通さずにバイパス路11を介して循環させる暖房用循環経路とに流路切替えできる。流路切替弁12は、制御部20によって切り替えられる。
【0052】
逆止め弁13は、冷媒が暖房用循環経路で循環される時に、冷媒が室外コンデンサ4側に逆流するのを防止する。
【0053】
蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aには、高圧圧力検出手段30が付設されている。高圧圧力検出手段30は、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aの高圧側圧力を検出する。検出した高圧側圧力は、制御部20に出力される。
【0054】
制御部20は、高圧圧力検出手段30等からの入力検知データや操作部31からの入力データに基づいて、圧縮機3、室外送風機21、空調用送風機22、流路切替弁12、エアミックスドア24等を制御する。制御部20は、操作部31のエアコンスイッチ(図示せず)がオンされると、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aを冷房運転時には冷房用循環経路によって作動し、暖房運転時には暖房用循環経路によって作動するよう基本的に制御する。しかし、冷房運転中に暖房運転が選択されると、図2に示すフローチャートを実行する。又、暖房運転による起動が指令された時には、図3に示すフローチャートを実行する。これらフローチャートの内容については、下記の動作の箇所で説明する。
【0055】
次に、上記車両用空気調和装置1Aの動作を説明する。冷房運転時には、流路切替弁12が室外コンデンサ4側とされている。圧縮機3で圧縮された冷媒は、室内コンデンサ6、流路切替弁12、室外コンデンサ4、レシーバタンク5、温度式膨張弁7、エバポレータ8、アキュムレータ9を通る冷房用冷媒循環経路を循環する。圧縮機3で圧縮された高温高圧の冷媒は、室外コンデンサ4と室内コンデンサ6で空気に放熱し、エバポレータ8で空気より吸熱する。従って、空調ケース23内を通る送風は、エバポレータ8で冷却されると共にその一部若しくは全部が室内コンデンサ6で再加熱されることによって所望温度の冷風が作製される。
【0056】
暖房運転時には、流路切替弁12がバイパス路11側とされる。圧縮機3で圧縮された冷媒は、室内コンデンサ6、流路切替弁12、バイパス路11,温度式膨張弁7、エバポレータ8、アキュムレータ9を通る暖房用循環経路を循環する。圧縮機3で圧縮された高温高圧の冷媒は、室内コンデンサ6でのみ空気に放熱し、エバポレータ8で空気より吸熱する。室内コンデンサ6でのみ放熱するため、冷房用循環経路の場合に比べて大きな加熱エネルギーを放出する。従って、空調ケース23内を通る送風は、エバポレータ8で一旦冷却された後に室内コンデンサ6で加熱されることによって所望温度の温風が作製される。
【0057】
次に、冷房運転から暖房運転への運転切替動作を説明する。図2に示すように、制御部20は、冷房運転中に暖房運転への切替指令があると(ステップS1)、先ず、高圧圧力検出手段30が検出した高圧側圧力Pdと目標圧力P1を比較する(ステップS2)。
【0058】
ここで、目標圧力P1は、冷房用冷媒循環経路から暖房用冷媒循環経路に切り替えられた場合に、室外コンデンサ4等に保持される冷媒量(寝込み冷媒量)を差し引いても暖房用冷媒循環経路の冷媒量を適正量確保できると推定される圧力である。換言すれば、目標圧力Pdは、室外コンデンサ4等に保持される冷媒量が最大許容寝込み量W2となる圧力である。
【0059】
制御部20は、高圧側圧力Pdが目標圧力P1以下であれば、直ちに流路切替弁12を室外コンデンサ4側からバイパス路11側に切り替える(ステップS3)。これで、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aが暖房用冷媒循環経路に切り替わり、暖房運転に移行する。
【0060】
制御部20は、高圧側圧力Pdが目標圧力P1を超える値である場合には、エアミックスドア24がフルクール位置であるか否かをチェックする(ステップS4)。制御部20は、エアミックスドア24がフルクール位置である場合には、室外送風機21の送風量を増大させる(ステップS5)。すると、室外コンデンサ4での熱交換が促進されるため、高圧側圧力が徐々に低下してくる。そして、制御部20は、高圧側圧力Pdと目標圧力P1の比較をチェックし続け(ステップS2)、高圧側圧力Pdが目標圧力P1以下になった時点で流路切替弁12を室外コンデンサ4側からバイパス路11側に切り替える(ステップS3)。これで、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aが暖房用冷媒循環経路に切り替わり、暖房運転に移行する。
【0061】
制御部20は、エアミックスドア24がフルクール位置以外の位置である場合には、圧縮機3の回転数を低下させる(ステップS6)。すると、高圧側圧力Pdが徐々に低下してくる。そして、制御部20は、高圧側圧力Pdが目標圧力P1以下になった時点で流路切替弁12を室外コンデンサ4側からバイパス路11側に切り替える(ステップS3)。これで、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aが暖房用冷媒循環経路に切り替わり、暖房運転に移行する。
【0062】
上記動作過程にあって、冷房運転から暖房運転への運転切替指令があると、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aの高圧側圧力Pdが目標圧力P1以下になって初めて暖房用冷媒循環経路に切り替えている。その理由を以下に説明する。
【0063】
従来例でも説明したように、室外コンデンサ4は、高温状態でも十分な放熱能力(ひいては冷房能力)を得るために室内熱交換器であるエバポレータ8や室内コンデンサ6に比べて容積が非常に大きく設定されているため、図4に示すように、冷房用冷媒循環経路と暖房用循環経路では双方の適正な冷媒量範囲が大きく異なるため、室外コンデンサ4等内に保持している冷媒量が多量である状態で冷房運転から暖房運転に切り替えると冷媒量不足を引き起こす可能性がある。一方、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aの高圧側圧力Pdと室外コンデンサ4等に保持している冷媒量(詳細には、暖房用冷媒循環経路で冷媒が非循環とされる配管領域内の冷媒量)に相関関係があり、図5に示すような特性線図が得られた。従って、室外コンデンサ4等に保持される冷媒量(寝込み冷媒量)を差し引いても暖房用冷媒循環経路の冷媒量を適正量確保できると推定される目標圧力P1以下で冷房用循環経路を暖房用冷媒循環経路に切り替えるため、暖房用冷媒循環経路を適正な冷媒量範囲で冷媒が循環することになる。つまり、冷房運転から暖房運転に切り替わる場合に、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aの高圧側圧力を制御することによって暖房用冷媒循環経路の冷媒量を適正化できる。目標圧力P1の具体的な設定の仕方については、下記に詳述する。
【0064】
次に、暖房運転での起動が指令された場合の動作を説明する。図3に示すように、操作部31のエアコンスイッチ(図示せず)がオフ状態からオンされると(ステップS10)、暖房運転が選択されているか否かをチェックする(ステップS11)。暖房運転が選択されていれば、圧縮機3を起動し(ステップS12)、流路切替弁12を室外コンデンサ4側とする(ステップS13)。つまり、先ず、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aは冷房用循環経路で作動される。圧縮機3の起動後30秒経過すると(ステップS14)、流路切替弁12をバイパス路11側に切り替え(ステップS15)、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aを冷房用循環経路から暖房用循環経路に切り替えて暖房運転を開始する。
【0065】
つまり、冷房運転で起動した場合の室外コンデンサ4内の冷媒量を測定した結果、図6に示すような特性が得られた。図6に示すように、室外コンデンサ4等に保持される冷媒量(寝込み冷媒量)は、冷房運転で起動すると、その直後に冷媒量が急激に一旦上昇し、その後に急激に下降して許容最大寝込み量W2以下になる特性を外気温度及び室内温度に係わらず示す。この特性より、冷房運転で起動後、確実に許容最大寝込み量W2以下になる時間を30秒とした。従って、冷房運転で起動して所定時間(例えば30秒)経過すると室外コンデンサ4内の冷媒量が許容最大寝込み量W2より確実に低い値に下がるため、暖房用冷媒循環経路の冷媒量を適正化できる。
【0066】
以上説明したように、冷房運転中に暖房運転への切替指令があると、高圧圧力検出手段30により検出される高圧側圧力Pdが目標圧力P1以下になった後に冷房用循環経路から暖房用循環経路に流路が切り替わる。上記したように、冷房運転にあって蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aの高圧側圧力Pdと室外コンデンサ4等が保持する冷媒量(寝込み冷媒量)との間には相関関係があり、室外コンデンサ4等の寝込み冷媒量を差し引いても暖房用冷媒循環経路の冷媒量を適正量確保できると推定される圧力以下になって初めて暖房用冷媒循環経路に切り替える。そして、従来例のような冷媒回収路等を蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aに付設する必要がない。以上より、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aの複雑化、高コスト化を招来することなく、暖房用冷媒循環経路の冷媒量を適正化できる。
【0067】
冷房運転中に暖房運転への切替指令があると、高圧圧力検出手段30により検出される高圧側圧力Pdと目標圧力P1を比較し、検出された高圧側圧力Pdが目標圧力P1を超える圧力であると、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aの高圧側圧力Pdを低下させる圧力低減制御を行う。従って、高圧側圧力Pdを迅速に目標圧力P1以下に下げることができるため、暖房用冷媒循環経路の冷媒量が適正な暖房運転に迅速に切り替えできる。
【0068】
圧力低減制御は、エアミックスドア24がフルクール位置にある場合には室外コンデンサ4への送風量を増加させる制御であり、エアミックスドア24がフルクール位置以外の位置にある場合には圧縮機3の冷媒吐出量を減少させる制御である。従って、エアミックスドア24がフルクール位置にある場合には、乗員は圧縮機3の駆動変化を感知し易く、反面、エアミックスドア24がフルクール以外の位置にある場合には、乗員は圧縮機3の駆動変化を感知し難いため、乗員に違和感なく高圧側圧力Pdの低減動作を行うことができる。
【0069】
圧力低減制御は、エアミックスドア24の位置に係わらず、室外コンデンサ4への送風量を増加させる制御としても良い。このようにすれば、高圧側圧力Pdの圧力低減を室外送風機21の制御で対応できる。
【0070】
圧力低減制御は、エアミックスドア24の位置に係わらず、圧縮機3の冷媒吐出量を減少させる制御としても良い。このようにすれば、高圧側圧力Pdの圧力低減を圧縮機3の制御で対応できる。尚、この実施形態では、圧縮機3の回転数を制御したが、斜板式圧縮機の場合には斜板の角度を制御して冷媒吐出量を減少しても良い。
【0071】
暖房運転での起動が指令された場合には、所定時間(30秒)だけ冷房運転で起動し、室外コンデンサ4等に保持される冷媒量が所定量、つまり、室外コンデンサ4等の寝込み冷媒量を差し引いても暖房用冷媒循環経路の冷媒量を適正量確保できると推定される量に変移させてから暖房運転に切り替えられる。従って、暖房運転での起動を指令された場合にも、暖房用冷媒循環経路の冷媒量を確実に適正化できる。この実施形態では、所定時間は30秒としたが、所定時間は冷凍サイクルの種類等によって適宜決定される。
【0072】
尚、この実施形態では、絞り手段は温度式膨張弁7にて構成したが、絞り手段を制御部20で制御できる構成としても良い。そして、圧力軽減制御は、絞り手段の絞り度合いを軽減させる制御としても良い。このように構成すれば、高圧側圧力Pdの圧力低減を絞り手段の制御で対応できる。
【0073】
制御部20の圧力低減制御として、室外コンデンサ4への送風量を増加させる制御、圧縮機3の冷媒吐出量を減少させる制御、絞り手段の絞り度合いを軽減させる制御を示したが、高圧側圧力Pdを低減できる制御であればこれら以外の制御であっても良いことはもちろんである。又、圧力低減制御は、上記した任意の複数の制御を同時に行う制御であっても良い。
【0074】
(目標圧力P1の具体的な設定の仕方)
先ず、冷房運転と暖房運転での適正冷媒量の求め方を説明する。図7(a)に示すように、冷房運転では冷媒は冷房用冷媒循環経路により循環し、レシーバタンク5に余剰冷媒が溜められる範囲では性能が安定する。従って、冷房運転時における適正な冷媒量は、室外コンデンサ4の出口側の冷却過冷却度(サブクール)が所定値に維持される範囲の中央値である。
【0075】
図7(b)に示すように、暖房運転では冷媒は暖房用冷媒循環経路により循環し、アキュムレータ9に余剰冷媒が溜められる範囲では性能が安定する。従って、暖房運転時における適正な冷媒量は、エバポレータ8の出口側の冷媒過熱度(スーパーヒート)が所定値に維持される範囲と圧縮機3の吐出冷媒温度が所定値に維持される範囲の中央値である。
【0076】
次に、冷凍サイクルの全体冷媒封入量と室外コンデンサ4内の寝込み冷媒量の関係を説明する。上気したように、冷房運転が安定する冷媒量(適正な冷媒量範囲)と暖房運転時が安定する冷媒量(適正な冷媒量範囲)は異なり、図8に示すように、冷房運転が安定する冷媒量の方が多く、暖房運転が安定する冷媒量の方が少ない。従って、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Aの全体封入量W0は、極力少なくしたいので、必要冷媒量が多い冷房運転側の適正量とするのが合理的で好ましい。
【0077】
このようにして冷媒の全体封入量W0を決定すると、冷媒用循環経路から暖房用循環経路に切り替わるときには室外コンデンサ4等に保持される冷媒量が寝込み量となるため、全体封入量W0より寝込み量を引いた冷媒量が暖房用冷媒循環経路の適正な冷媒量範囲になるように室外コンデンサ4内の寝込み量Wを制御すれば良い。具体的には、(W0−W1)≦W≦(W0−W2)となるようにすれば良い(図4参照)。従って、冷房運転から暖房運転に切り替えられる時には、室外コンデンサ4等の寝込み冷媒量が許容最大寝込み量W2となる高圧圧力を目標圧力P1に設定する。
【0078】
(第2実施形態)
図9は本発明の第2実施形態に係る車両用空気調和装置1Bの概略構成図である。
【0079】
図9に示すように、この第2実施形態に係る車両用空気調和装置1Bは、前記第1実施形態とは異なる蒸気圧縮式冷凍サイクル2Bを備えている。この蒸気圧縮式冷凍サイクル2Bは、冷媒を圧縮する圧縮機3と、冷媒と車室外の空気との間で熱交換する室外熱交換器である室外コンデンサ4と、室外コンデンサ4の下流に配置されたレシーバタンク5と、冷媒を減圧する絞り手段である冷房用絞り弁7aと、冷媒と車室内に供給される空気との間で熱交換する室内熱交換器14と、室内熱交換器14の下流に配置されたアキュムレータ9とを備え、これらが冷媒配管10によって接続されている。
【0080】
圧縮機3は、例えばベーン型であり、制御部20からの指令によってオン・オフや回転数が制御される。圧縮機3は、回転数に応じて冷媒吐出量が調整される。
【0081】
室外コンデンサ4には、室外送風機21によって車室外の空気が送風される。室外送風機21は、制御部20によって回転数が調整される。室外コンデンサ4は、高温状態でも十分な放熱能力(ひいては冷房能力)を得るために室内熱交換器14に比べて容積が非常に大きく設定されている。
【0082】
室内熱交換器14は、ヒータコア15と共に空調ケース23内に収容されている。空調ケース23に吸引された空気は、ヒータコア15及び室内熱交換器14を通って所望温度の空調風とされ、車室内に供給される。ヒータコア15は、エンジン16の冷却水(温水)によって空気を加熱する。
【0083】
レシーバタンク5及びアキュムレータ9の構成は、前記第1実施形態のものと同様であるため、説明を省略する。
【0084】
また、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Bは、圧縮機3からの冷媒を室外コンデンサ4及びレシーバタンク5を通さずにバイパスさせるバイパス路11と、バイパス路11に配置された絞り手段である暖房用絞り弁7bと、室外コンデンサ4の上流側の冷媒配管10及びバイパス路11にそれぞれ設けられ、圧縮機3からの冷媒を室外コンデンサ4に通すかバイパス路11に通すかを切り替える流路切替手段である第1開閉弁12a及び第2開閉弁12bと、レシーバタンク5の下流側で、且つ、バイパス路11との合流箇所より上流側に配置された逆止め弁13とを備えている。尚、図9において、18a,18bは、それぞれ冷媒配管10とバイパス路11を接続する配管継手部である。
【0085】
第1開閉弁12a及び第2開閉弁12bは、その一方を開状態とし他方を閉状態とすることにより、閉圧縮機3で圧縮された冷媒を室外コンデンサ4を通して循環させる冷房用循環経路(冷房用冷凍サイクル)と、圧縮機3で圧縮された冷媒を室外コンデンサ4を通さずにバイパス路11を介して循環させる暖房用循環経路(ホットガスヒータサイクル)とに流路切替えできる。第1開閉弁12a及び第2開閉弁12bは、制御部20によって切り替えられる。
【0086】
室内熱交換器14は、冷房運転時には冷媒が冷房用循環経路で循環され、冷温の気液冷媒が空調ケース23を通過する送風より吸熱して送風を冷却するエバポレータとして機能する。又、室内熱交換器14は、暖房運転時には冷媒が暖房用循環経路で循環され、高温のガス冷媒が空調ケース23を通過する送風に放熱して送風を加熱する室内コンデンサとして機能する。
【0087】
蒸気圧縮式冷凍サイクル2Bには、高圧圧力検出手段30が付設されている。高圧圧力検出手段30は、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Bの高圧側圧力を検出する。検出した高圧側圧力は、制御部20に出力される。
【0088】
制御部20は、高圧圧力検出手段30等からの入力検知データや操作部31からの入力データに基づいて、圧縮機3、冷房用絞り弁7a、暖房用思絞り弁7b、室外送風機21、第1開閉弁12a、第2開閉弁12b等を制御する。制御部20は、操作部31のエアコンスイッチ(図示せず)がオンされると、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Bを冷房運転時には冷房用循環経路によって作動し、暖房運転時には暖房用循環経路によって作動するよう基本的に制御する。しかし、冷房運転中に暖房運転が選択されると、前記第1実施形態とほぼ同様な制御を実行する。但し、第2実施形態では、エアミックスドアが設けられていない。そのため、圧力低減制御として、室外コンデンサ4への送風量を増加させる制御、圧縮機3の冷媒吐出量を減少させる制御、冷房用絞り弁7aの絞り度合いを軽減させる制御のいずれか、若しくは、上記した任意の複数の制御を行う。又、暖房運転による起動が指令された場合には、前記第1実施形態と同様な制御を実行する。詳細な制御内容については、重複説明を回避するため省略する。
【0089】
この第2実施形態でも、冷房運転中に暖房運転への切替指令があると、高圧圧力検出手段30により検出される高圧側圧力Pdが目標圧力P1以下になった後に冷房用循環経路から暖房用循環経路に流路が切り替わる。つまり、暖房用冷媒循環経路の冷媒量を適正量確保できると推定される圧力以下になって初めて暖房用冷媒循環経路に切り替わる。そして、従来例のような冷媒回収路等を蒸気圧縮式冷凍サイクル2Bに付設する必要がない。以上より、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Bの複雑化、高コスト化を招来することなく、暖房用冷媒循環経路の冷媒量を適正化できる。
【0090】
冷房運転中に暖房運転への切替指令があると、高圧圧力検出手段30により検出される高圧側圧力Pdと目標圧力P1を比較し、検出された高圧側圧力Pdが目標圧力P1を超える圧力であると、蒸気圧縮式冷凍サイクル2Bの高圧側圧力Pdを低下させる圧力低減制御を行う。従って、高圧側圧力を迅速に目標圧力以下に下げることができるため、暖房用冷媒循環経路の冷媒量が適正な暖房運転に迅速に切り替えできる。
【0091】
暖房運転での起動が指令された場合には、所定時間(30秒)だけ冷房運転で起動し、室外コンデンサ4等に保持される冷媒量が所定量、つまり、室外コンデンサ4等の寝込み冷媒量を差し引いても暖房用冷媒循環経路の冷媒量を適正量確保できると推定される量に変移させてから暖房運転に切り替えられる。従って、暖房運転での起動を指令された場合にも、暖房用冷媒循環経路の冷媒量を確実に適正化できる。
【0092】
(その他)
尚、蒸気圧縮式冷凍サイクルとしては、冷媒と車室外の空気との間で熱交換する室外熱交換器と、冷媒と車室内に供給される空気との間で熱交換する室内熱交換器とを有し、冷房運転時には室外熱交換器を通して冷媒を循環させ、暖房運転時には室外熱交換器をバイパスさせて冷媒を循環させるものであれば、前記第1実施形態及び第2実施形態以外の冷凍サイクルであっても本発明を適用できることはもちろんである。
【0093】
尚、前記第1実施形態では、暖房運転時の加熱手段としては室内コンデンサ6のみであるが、前記第2実施形態のようにヒータコア15を追加設定しても良いことはもちろんである。ヒータコア15は、どのような構成のものであっても良い。
【符号の説明】
【0094】
1A,1B 車両用空気調和装置
2A,2B 蒸気圧縮式冷凍サイクル
3 圧縮機
4 室外コンデンサ(室外熱交換器)
6 室内コンデンサ(室内熱交換器)
7 温度式膨張弁(絞り手段)
7a 冷房用絞り弁(絞り手段)
7b 暖房用絞り弁(絞り手段)
8 エバポレータ(室内熱交換器)
11 バイパス路
12 流路切替弁(流路切替手段)
12a 第1開閉弁
12b 第2開閉弁
14 室内熱交換器
20 制御部
24 エアミックスドア
30 高圧圧力検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機(3)と、冷媒と車室外の空気との間で熱交換する室外熱交換器(4)と、冷媒と車室内に供給される空気との間で熱交換する室内熱交換器(6),(8)と、前記圧縮機(3)で圧縮された冷媒を減圧する絞り手段(7),(7a),(7b)と、前記室外熱交換器(4)をバイパスするバイパス路(11)と、前記圧縮機(3)で圧縮された冷媒を前記室外熱交換器(4)を通して循環させる冷房用循環経路と前記圧縮機(3)で圧縮された冷媒を前記室外熱交換器(4)を通さずに前記バイパス路(11)を介して循環させる暖房用循環経路とに流路切替えできる流路切替手段(12),(12a),(12b)とを備え、冷房運転時には冷房用循環経路によって作動し、暖房運転時には暖房用循環経路によって作動する蒸気圧縮式冷凍サイクル(2A),(2B)と、
前記蒸気圧縮式冷凍サイクル(2A),(2B)の高圧側圧力を検出する高圧圧力検出手段(30)と、
冷房運転中に暖房運転への切替指令があると、前記高圧圧力検出手段(30)により検出される高圧側圧力が目標圧力以下になった後に冷房用循環経路から暖房用循環経路に流路を切り替える制御部(20)とを備えたことを特徴とする車両用空気調和装置(1A),(1B)。
【請求項2】
請求項1記載の車両用空気調和装置(1A),(1B)であって、
前記制御部(20)は、冷房運転中に暖房運転への切替指令があると、前記高圧圧力検出手段(30)により検出される高圧側圧力と目標圧力を比較し、検出された高圧側圧力が目標圧力を超える圧力であると、前記蒸気圧縮式冷凍サイクル(2A),(2B)の高圧側圧力を低下させる圧力低減制御を行うことを特徴とする車両用空気調和装置(1A),(1B)。
【請求項3】
請求項2記載の車両用空気調和装置(1A),(1B)であって、
前記制御部(20)の圧力低減制御は、前記室外熱交換器(4)への送風量を増加させる制御であることを特徴とする車両用空気調和装置(1A),(1B)。
【請求項4】
請求項2記載の車両用空気調和装置(1A),(1B)であって、
前記制御部(20)の圧力低減制御は、前記圧縮機(3)の冷媒吐出量を減少させる制御であることを特徴とする車両用空気調和装置(1A),(1B)。
【請求項5】
請求項2記載の車両用空気調和装置(1A),(1B)であって、
前記制御部(20)の圧力低減制御は、前記絞り手段(7),(7a),(7b)の絞り度合いを軽減させる制御であることを特徴とする車両用空気調和装置(1A),(1B)。
【請求項6】
請求項2記載の車両用空気調和装置(1A),(1B)であって、
前記制御部(20)の圧力低減制御は、エアミックスドア(24)がフルクール位置にある場合には前記室外熱交換器(4)への送風量を増加させる制御であり、前記エアミックスドア(24)がフルクール位置以外の位置にある場合には前記圧縮機(3)の冷媒吐出量を減少させる制御であることを特徴とする車両用空気調和装置(1A),(1B)。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の車両用空気調和装置(1A)であって、
前記蒸気圧縮式冷凍サイクル(2A)は、前記室外熱交換器である室外コンデンサ(4)と、前記室内熱交換器である室内コンデンサ(6)及びエバポレータ(8)を有し、
前記流路切替手段(12)の切り替えによって、前記圧縮機(3)からの冷媒が室外コンデンサ(4)、室内コンデンサ(6)、絞り手段(7)及びエバポレータ(8)を循環する冷房用循環経路と、前記圧縮機(3)からの冷媒が室内コンデンサ(6)、絞り手段(7)及びエバポレータ(8)を循環する暖房用循環経路とに切り替えられることを特徴とする車両用空気調和装置(1A)。
【請求項8】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の車両用空気調和装置(1B)であって、
前記蒸気圧縮式冷凍サイクル(2B)は、前記室外熱交換器である室外コンデンサ(4)と、エバポレータ又は室内コンデンサとして機能する前記室内熱交換器(14)とを有し、
前記流路切替手段(12a),(12b)の切り替えによって、前記圧縮機(3)からの冷媒が室外コンデンサ(4)、絞り手段(7a)及びエバポレータとしての前記室内熱交換器(14)を循環する冷房用循環経路と、前記圧縮機(3)からの冷媒が絞り手段(7b)及び室内コンデンサとしての前記室内熱交換器(14)を循環する暖房用循環経路とに切り替えられることを特徴とする車両用空気調和装置(1B)。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載の車両用空気調和装置(1A),(1B)であって、
前記制御部(20)は、起動時に暖房運転が選択されている場合には、冷房用循環経路による冷房運転で所定時間運転し、その後に暖房用循環経路による暖房運転に切り替えることを特徴とする車両用空気調和装置(1A),(1B)。
【請求項10】
冷媒を圧縮する圧縮機(3)と、冷媒と車室外の空気との間で熱交換する室外熱交換器(4)と、冷媒と車室内に供給される空気との間で熱交換する室内熱交換器(6),(8)と、前記圧縮機(3)で圧縮された冷媒を減圧する絞り手段(7),(7a),(7b)と、前記室外熱交換器(4)をバイパスするバイパス路(11)と、前記圧縮機(3)で圧縮された冷媒を前記室外熱交換器(4)を通して循環させる冷房用循環経路と前記圧縮機(3)で圧縮された冷媒を前記室外熱交換器(4)を通さずに前記バイパス路(11)を介して循環させる暖房用循環経路とに流路切替えできる流路切替手段(12),(12a),(12b)とを備え、冷房運転時には冷房用循環経路によって作動し、暖房運転時には暖房用循環経路によって作動する蒸気圧縮式冷凍サイクル(2A),(2B)と、
前記蒸気圧縮式冷凍サイクル(2A),(2B)の高圧側圧力を検出する高圧圧力検出手段(30)とを備えており、
冷房運転中に暖房運転への切替指令があると、前記高圧圧力検出手段(30)により検出される高圧側圧力が目標圧力以下になった後に冷房用循環経路から暖房用循環経路への流路切替えを行うことを特徴とする車両用空気調和装置(1A),(1B)の運転切替方法。
【請求項11】
請求項10記載の車両用空気調和装置(1A),(1B)の運転切替方法であって、
冷房運転中に暖房運転への切替指令があると、前記高圧圧力検出手段(30)により検出される高圧側圧力と目標圧力を比較し、検出された高圧側圧力が目標圧力を超える圧力であると、前記蒸気圧縮式冷凍サイクル(2A),(2B)の高圧側圧力を低下させる圧力低減制御を行い、高圧側圧力が目標圧力以下に下がった後に暖房用循環経路に流路切替えを行うことを特徴とする車両用空気調和装置(1A),(1B)の運転切替方法。
【請求項12】
請求項11記載の車両用空気調和装置(1A),(1B)の運転切替方法であって、
圧力低減制御は、前記室外熱交換器(4)への送風量を増加させる制御であることを特徴とする車両用空気調和装置(1A),(1B)の運転切替方法。
【請求項13】
請求項11記載の車両用空気調和装置(1A),(1B)の運転切替方法であって、
圧力低減制御は、前記圧縮機(3)の冷媒吐出量を減少させる制御であることを特徴とする車両用空気調和装置(1A),(1B)の運転切替方法。
【請求項14】
請求項11記載の車両用空気調和装置(1A),(1B)の運転切替方法であって、
圧力低減制御は、前記絞り手段(7),(7a),(7b)の絞り度合いを軽減させる制御であることを特徴とする車両用空気調和装置(1A),(1B)の運転切替方法。
【請求項15】
請求項11記載の車両用空気調和装置(1A),(1B)の運転切替方法であって、
圧力低減制御は、エアミックスドア(24)がフルクール位置にある場合には前記室外熱交換器(4)への送風量を増加させる制御であり、前記エアミックスドア(24)がフルクール位置以外の位置にある場合には前記圧縮機(3)の冷媒吐出量を減少させる制御であることを特徴とする車両用空気調和装置(1A),(1B)の運転切替方法。
【請求項16】
請求項10〜請求項15のいずれかに記載の車両用空気調和装置(1A)の運転切替方法であって、
前記蒸気圧縮式冷凍サイクル(2A)は、前記室外熱交換器である室外コンデンサ(4)と、前記室内熱交換器である室内コンデンサ(6)及びエバポレータ(8)を有し、
前記流路切替手段(12)の切り替えによって、前記圧縮機(3)からの冷媒が室外コンデンサ(4)、室内コンデンサ(6)、絞り手段(7)及びエバポレータ(8)を循環する冷房用循環経路と、前記圧縮機(3)からの冷媒が室内コンデンサ(6)、絞り手段(7)及びエバポレータ(8)を循環する暖房用循環経路とに切り替えられることを特徴とする車両用空気調和装置(1A)の運転切替方法。
【請求項17】
請求項10〜請求項15のいずれかに記載の車両用空気調和装置(1B)の運転切替方法であって、
前記蒸気圧縮式冷凍サイクル(2B)は、前記室外熱交換器である室外コンデンサ(4)と、エバポレータ又は室内コンデンサとして機能する前記室内熱交換器(14)とを有し、
前記流路切替手段(12a),(12b)の切り替えによって、前記圧縮機(3)からの冷媒が室外コンデンサ(4)、絞り手段(7a)及びエバポレータとしての前記室内熱交換器(14)を循環する冷房用循環経路と、前記圧縮機(3)からの冷媒が絞り手段(7b)及び室内コンデンサとしての前記室内熱交換器(14)を循環する暖房用循環経路とに切り替えられることを特徴とする車両用空気調和装置(1B)の運転切替方法。
【請求項18】
請求項10〜請求項17のいずれかに記載の車両用空気調和装置(1A),(1B)の運転切替方法であって、
前記制御部(20)は、起動時に暖房運転が選択されている場合には、冷房用循環経路による冷房運転で所定時間運転し、その後に暖房用循環経路による暖房運転に切り替えることを特徴とする車両用空気調和装置(1A),(1B)の運転切替方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−178372(P2011−178372A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47606(P2010−47606)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】