説明

車両用空気調和装置

【課題】スペース占有を最小限に抑え、簡単な構造により低コスト化を達成しながら、空調作動時に送風抵抗を与えることなく、熱交換器へ熱交換媒体の供給が停止された後、潜熱を有効に利用して所定時間だけ車室内の暖房や冷房の補完を行うことができる車両用空気調和装置を提供すること。
【解決手段】空調ケース2内の上流の送風機3側と下流の吹き出し口14,15,16,17側との間に、エバポレータ5、エアミックスドア6、ヒータコア7、を配置し、温風通路8と冷風バイパス通路9とエアミックスチャンバー10が形成された空調ユニット1Aにおいて、空調ケース2のフット吹き出し口16と車室内に開口された車室内のフット吹き出し口19を連通接続するフットダクト18の内壁面に、風の流れに沿った配置により温熱用蓄熱シート20を設定し、温熱用蓄熱シート20は、固相・液相の相変化を伴って放出あるいは吸収される潜熱により蓄熱を行う潜熱蓄熱材を含有する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調ケース内の上流の送風機側と下流の吹き出し口側との間に、冷房用熱交換器、エアミックスドア、暖房用熱交換器、を配置した車両用空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調ケース内に上流の送風機側から下流の吹き出し口側に向かって順に、エバポレータ(冷房用熱交換器)、エアミックスドア、ヒータコア(暖房用熱交換器)、を配置し、前記エバポレータと前記ヒータコアを通過する温風通路と、前記エバポレータを通過し前記ヒータコアをバイパスする冷風バイパス通路と、温風と冷風とが合流するエアミックスチャンバーと、が形成された車両用空気調和装置が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
従来、エンジン冷却水が暖房及び蓄熱をするのに十分な熱量を持ってから蓄熱することを目的とし、空調ケースの内部に配置されるヒータコアと水冷エンジンの冷却水路を結ぶエンジン冷却水回路の途中位置に蓄熱材を設定した蓄熱装置を設け、かつ、蓄熱装置をバイパスするバイパス冷却水路を設けた車両用空気調和装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2003−237344号公報
【特許文献2】特開2000−108636号公報
【特許文献3】特開平10−86645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1,2に記載されている従来の車両用空気調和装置にあっては、エバポレータを経過した冷風をヒータコアで暖めて温風とし、温風通路を経過して吹き出し口から吹き出す構成であるため、例えば、フルホット時、アイドルストップ等でエンジンが停止することによりヒータコアへのエンジン冷却水の供給が止まると、エバポレータを経過した冷風によりヒータコアが冷やされ、短時間にて吹き出し温度が低下してしまうという、という問題があった。
【0005】
また、上記特許文献3に記載されている従来の車両用空気調和装置にあっては、エンジン冷却水回路(温水回路)とは別に、蓄熱回路と蓄熱装置を設け、エンジン停止時にポンプ及び電磁弁を使って蓄熱装置の温水をヒータコアに送り放熱させるものであるため、構造が複雑で、占有スペースも大きく必要であり、コスト高になると共に、配管経路により蓄えた潜熱の一部を損失してしまう、という問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、スペース占有を最小限に抑え、簡単な構造により低コスト化を達成しながら、空調作動時に送風抵抗を与えることなく、熱交換器へ熱交換媒体の供給が停止された後、潜熱を有効に利用して所定時間だけ車室内の暖房や冷房の補完を行うことができる車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明では、空調ケース内の上流の送風機側と下流の吹き出し口側との間に、冷房用熱交換器、エアミックスドア、暖房用熱交換器、を配置し、前記冷房用熱交換器と前記暖房用熱交換器を通過する温風通路と、前記冷房用熱交換器を通過し前記暖房用熱交換器をバイパスする冷風バイパス通路と、温風と冷風とが合流するエアミックスチャンバーと、が形成された車両用空気調和装置において、
前記空調ケースのケース吹き出し口と車室内に開口された車室内吹き出し口を連通接続する吹き出し通路の壁面に、風の流れに沿った配置により蓄熱シートを設定し、
前記蓄熱シートは、固相・液相の相変化を伴って放出あるいは吸収される潜熱により蓄熱を行う潜熱蓄熱材を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
よって、本発明の車両用空気調和装置にあっては、空調ケースのケース吹き出し口と車室内に開口された車室内吹き出し口を連通接続する吹き出し通路の壁面に、風の流れに沿った配置により潜熱蓄熱材を含有する蓄熱シートが設定され、固相・液相の相変化を伴って放出あるいは吸収される潜熱により蓄熱(「温熱の蓄熱」と「冷熱の蓄熱」)を行う。
すなわち、蓄熱シートは、従来技術のように、蓄熱回路と蓄熱装置を設けるものではないため、例えば、既存の空調ケース内はそのままで、吹き出し通路が内部に形成されるダクト類に蓄熱シートを設定できるというように、スペース占有が最小限に抑えられるし、簡単な構造により低コスト化も達成される。
また、蓄熱シートは、ケース壁面に風の流れに沿った配置により設定されることで、ダクト等に蓄熱シートを追加設定しても、空調作動時における送風抵抗の増大が低く抑えられる。
そして、例えば、暖房用熱交換器へ熱交換媒体が供給されているとき、蓄熱シートに含有する潜熱蓄熱材が、固相から液相への相変化を伴って吸収した熱エネルギー(潜熱)を、暖房用熱交換器へ熱交換媒体の供給が停止された後、液相から固相への相変化を伴って放出することで蓄熱シートの表面を通過する風に熱を与え、熱交換媒体の供給停止後、所定時間だけ車室内の暖房を補完する。
また、例えば、冷房用熱交換器へ熱交換媒体が供給されているとき、蓄熱シートに含有する潜熱蓄熱材が、液相から固相への相変化を伴って放出した熱エネルギー(潜熱)を、冷房用熱交換器へ熱交換媒体の供給が停止された後、固相から液相への相変化を伴って吸収することで蓄熱シートの表面を通過する風から熱を奪い、熱交換媒体の供給停止後、所定時間だけ車室内の冷房を補完する。
この結果、スペース占有を最小限に抑え、簡単な構造により低コスト化を達成しながら、空調作動時に送風抵抗を与えることなく、熱交換器へ熱交換媒体の供給が停止された後、潜熱を有効に利用して所定時間だけ車室内の暖房や冷房の補完を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の車両用空気調和装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1〜実施例3に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の前後席の温度調整を行う空調ユニット1A(車両用空気調和装置の一例)を示す縦断面図である。図2は実施例1の空調ユニット1Aに設定された温熱用蓄熱シート20を示す断面図である。図3は実施例1の空調ユニット1Aから左右両側に延ばして設定されたフットダクトを示す正面図である。
【0011】
実施例1における空調ユニット1Aは、図1に示すように、空調ケース2と、送風機3と、クリーンフィルター4と、エバポレータ5(冷却用熱交換器)と、エアミックスドア6と、ヒータコア7(暖房用熱交換器)と、温風通路8と、冷風バイパス通路9と、エアミックスチャンバー10と、ベントドア11と、デフドア12と、フットドア13と、ベント吹き出し口14と、デフ吹き出し口15と、フット吹き出し口16と、リアフット吹き出し口17と、を備えている。
【0012】
実施例1における空調ユニット1Aは、空調ケース2内に上流の送風機3側から下流の吹き出し口14,15,16,17側に向かって順に、エバポレータ5、エアミックスドア6、ヒータコア7を配置している。
【0013】
前記エバポレータ5は、送風機3及びクリーンフィルター4を介して通過する内気または外気を冷却する熱交換器であり、冷媒入口と冷媒出口を有する。
【0014】
前記エアミックスドア6は、前記エバポレータ5の後流位置に配置され、エバポレータ5を経過した冷風と、ヒータコア7を経過した温風と、の混合割合をドア開度により制御する。このエアミックスドア6としては、冷風バイパス通路9を閉止するフルホット位置(図1の実線に示す位置)からヒータコア7の上流側を閉止する位置(図1の仮想線に示すフルクール位置)までのストローク域でスライド移動可能なスライド式ドアを採用している。
【0015】
前記ヒータコア7は、前記エバポレータ5及び前記エアミックスドア6の下流位置に配置され、通過する風を暖める熱交換器であり、エンジン冷却水入口7aとエンジン冷却水出口7bを有する。
【0016】
前記空調ケース2内には、図1に示すように、エバポレータ5とヒータコア7を通過する温風通路8と、エバポレータ5を通過しヒータコア7をバイパスする冷風バイパス通路9と、温風通路8からの温風と冷風バイパス通路9からの冷風が合流するエアミックスチャンバー10と、が形成される。
【0017】
前記エアミックスチャンバー10の下流側には、ベント吹き出し口14の位置に配置され、ベントモード等で開くベントドア11と、デフ吹き出し口15の位置に配置され、デフモード等で開くデフドア12と、車幅方向に延びるフット吹き出し口16,16の上流位置に配置され、フットモード等で開くフットドア13と、が配置される。
なお、フット吹き出し口16,16は、前席左右の運転者と助手席乗員の足元に向かって一対配置され、該フット吹き出し口16,16と並列中央位置には、後席への図外のリアフットダクトが連結されるリアフット吹き出し口17が配置される。
【0018】
前記フット吹き出し口16,16には、図3に示すように、左右にそれぞれ延びるフットダクト18,18が接続される。なお、図1ではフット吹き出し口16にフットダクト18が接続されていることを説明するため、空調ケース2の正面側に向かってフットダクト18が延びているように記載した。
【0019】
前記フットダクト18,18は、ケース側のフット吹き出し口16,16と車室内側のフット吹き出し口19,19(左右それぞれで3箇所)を連通接続するもので、ダクト内が温風の吹き出し通路となっている。
【0020】
そして、前記フットダクト18,18のダクト内壁面に、図3に示すように、風の流れに沿った配置により温熱用蓄熱シート20(蓄熱シート)を設定している。
【0021】
前記温熱用蓄熱シート20は、固相・液相の相変化を伴って放出あるいは吸収される潜熱により蓄熱を行う潜熱蓄熱材のうち、固相から液相への相変化を伴って吸収した熱エネルギー(潜熱)を、ヒータコア7へエンジン冷却水(熱交換媒体)の供給が停止された後、液相から固相への相変化を伴って放出する「温熱の蓄熱」を行う潜熱蓄熱材を含有させたものである。
【0022】
前記温熱用蓄熱シート20の構成を詳しく述べると、球状皮膜の内部にパラフィン系素材を封入してマイクロカプセル化したパラフィン封入カプセル20aを潜熱蓄熱材とし、図2に示すように、シート基材として不織布20bを用い、該シート基材20bにパラフィン封入カプセル20aを捕捉して構成している。
ここで、潜熱蓄熱材として、パラフィン系素材を用いた理由は、融解点(融解温度)や凝固点(凝固温度)による相変化温度を設定するに際し、炭素鎖数に対応し広範な温度域(−50℃〜80℃)をカバーすることができるし、蓄熱量(溶融潜熱)も130〜250kJ/kg程度であり、他の素材に比べて高いことによる。
【0023】
また、前記パラフィン封入カプセル20aの液相・固相の相変化温度は、50℃〜70℃に設定している。
例えば、実施例1のように、エンジン冷却水をヒータコア7に循環させる空調ユニット1Aの場合には、相変化温度は、50℃〜60℃程度、もしくは、これ以上が好ましい。その理由は、エンジン冷却水温は冬季等では80℃に満たないケースもあり、かつ、暖かいと感じられる吹き出し温度は30℃であるため、吹き出し温度30℃以上を得るのに必要な相変化温度は、上記のように、50℃〜60℃程度、もしくは、これ以上(50℃〜70℃)の温度になることによる。
【0024】
次に、作用を説明する。
実施例1の空調ユニット1Aでは、図1に示すように、フットダクト18,18のダクト内壁位置に、風の流れに沿った配置により固相・液相の相変化を伴って放出あるいは吸収される潜熱により「温熱の蓄熱」を行う潜熱蓄熱材を含有する温熱用蓄熱シート20が設定される。以下、[低コスト化作用]と[車室内暖房の補完作用]について説明する。
【0025】
[低コスト化作用]
例えば、特開平10−86645号公報に記載されている従来の車両用空気調和装置は、ヒータコアに流通させる熱交換媒体を潜熱により加熱させるという点に着目し、エンジン冷却水回路(温水回路)とは別に、蓄熱回路と蓄熱装置を設け、寒冷地での発進時やエンジン停止時、ポンプ及び電磁弁を使って蓄熱装置の温水をヒータコアに送り放熱させるものである。このため、エンジン冷却水回路に蓄熱回路と蓄熱装置を追加設定する必要があり、構造が複雑になると共に、占有スペースも大きく必要であり、コストが高くなる。また、配管経路により蓄熱装置にて蓄えた潜熱の一部を損失してしまう。
【0026】
これに対し、実施例1の空調ユニット1Aでは、空調ケース2から温風を左右前席の足元に導くために設けられたフットダクト18,18内の風を潜熱により加熱させるという点に着目し、フットダクト18,18のダクト内壁位置に、潜熱蓄熱材を含有する温熱用蓄熱シート20を設定する構成を採用した。このように、潜熱による加熱対象を、熱交換媒体ではなく、空調ケース2から車室内に至るダクト内送風そのものとしたため、従来技術のように、蓄熱回路と蓄熱装置を設ける必要がない。
【0027】
したがって、図1に示すように、既存の空調ケース2内に既存のエバポレータ5やヒータコア7を用いた、空調ケース2内の構成はそのままで、空調ケース2に付設されるフットダクト18,18に温熱用蓄熱シート20を設定できるというように、スペース占有が最小限に抑えられるし、簡単な構造により低コスト化も達成される。
【0028】
加えて、温熱用蓄熱シート20は、図1及び図3に示すように、フットダクト18,18の内壁面に風の流れに沿った配置により設定されることで、フットダクト18,18内に温熱用蓄熱シート20を追加設定しても、空調作動時における送風抵抗の増大が低く抑えられる。
【0029】
[車室内暖房の補完作用]
例えば、温熱用蓄熱シート20が設定されていない空調ユニットを想定した場合、エンジンを一時的に停止させるアイドルストップ時、循環ポンプの停止により、エンジン冷却水のヒータコア内流通も停止する。したがって、ヒータコア内のエンジン冷却水に蓄えられているだけの熱エネルギー(顕熱)がエンジン停止時の残留熱エネルギーであるが、エバポレータを経過した冷風によりヒータコアの残留熱が奪われることで、エンジン停止時から短時間のうちに顕熱分の熱エネルギーは消費され、吹き出し温度がエンジン停止直後から急激に低下する。ちなみに、温熱用蓄熱シート無しの場合、図4の点線特性に示すように、エンジン停止直後から吹き出し温度が急激に低下し、約30秒程度で70℃あった吹き出し温度が30℃まで低下してしまう。
【0030】
これに対し、実施例1の空調ユニット1Aの場合、温熱用蓄熱シート20がフットダクト18,18のダクト内壁面の位置に設定されている。このため、エンジンを一時的に停止させるアイドルストップ時、循環ポンプの停止により、ヒータコア7内のエンジン冷却水に蓄えられているだけの熱エネルギー(顕熱)については、エンジン停止直後から短時間にて消費する。しかし、ヒータコア7へエンジン冷却水が供給されているとき、温熱用蓄熱シート20に含有するパラフィン封入カプセル20a内のパラフィンが固相から液相への相変化を伴って熱エネルギー(潜熱)を吸収する。そして、ヒータコア7へエンジン冷却水の供給が停止された後、パラフィン封入カプセル20a内のパラフィンが液相から固相への相変化を伴って潜熱を放出することで、温熱用蓄熱シート20の表面を通過する風に熱を与える。このため、エンジン冷却水の供給停止後、所定時間だけ車室内の暖房を補完することができる。例えば、図1に示すように、フットドア13を開としている場合には、前席左右と後席の乗員の足元位置に温風を送り続けることができることになる。
【0031】
ここで、「顕熱」とは、通常の固体や液体が相変化なしに蓄えた熱エネルギーのことであり、一方、「潜熱」とは、水が氷になるような液体・固体間の相変化に伴い放出あるいは吸収される熱エネルギーのことをいう。そして、一般に、潜熱を用いることで、顕熱の場合よりも桁違いに大きい熱量を蓄えることができる。例えば、水の場合、1℃の変化の顕熱は、4.18J/gであるのに対し、0℃の水が凍って0℃の氷になるときの潜熱は、334J/gに達する。
【0032】
したがって、温熱用蓄熱シート20を設定した実施例1の場合、図4の実線特性に示すように、エンジン停止直後から相変化温度までは吹き出し温度が低下するが、相変化温度(凝固点)に達した後は、パラフィン封入カプセルに蓄えられた潜熱により吹き出し温度の低下が抑えられる。ちなみに、温熱用蓄熱シート20を設定した場合、図4の実線特性と点線特性との間のハッチング領域が潜熱効果をあらわし、エンジン停止時に70℃あった吹き出し温度が30℃まで低下するのに2分程度要することになる。これを言い換えると、エンジン停止後、2分間だけは、車室内暖房の補完を行うことができる。
【0033】
次に、効果を説明する。
実施例1の空調ユニット1Aにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0034】
(1) 空調ケース2内の上流の送風機3側と下流の吹き出し口14,15,16,17側との間に、エバポレータ5、エアミックスドア6、ヒータコア7、を配置し、前記エバポレータ5と前記ヒータコア7を通過する温風通路8と、前記エバポレータ5を通過し前記ヒータコア7をバイパスする冷風バイパス通路9と、温風と冷風とが合流するエアミックスチャンバー10と、が形成された空調ユニット1Aにおいて、前記空調ケース2のケース吹き出し口14,15,16,17と車室内に開口された車室内吹き出し口を連通接続する吹き出し通路の壁面に、風の流れに沿った配置により蓄熱シートを設定し、前記蓄熱シートは、固相・液相の相変化を伴って放出あるいは吸収される潜熱により蓄熱を行う潜熱蓄熱材を含有するため、スペース占有を最小限に抑え、簡単な構造により低コスト化を達成しながら、空調作動時に送風抵抗を与えることなく、熱交換器へ熱交換媒体の供給が停止された後、潜熱を有効に利用して所定時間だけ車室内の暖房や冷房の補完を行うことができる。
【0035】
(2) 前記蓄熱シートは、球状皮膜の内部にパラフィン系素材を封入してマイクロカプセル化したパラフィン封入カプセル20aを潜熱蓄熱材としたため、マイクロカプセル化によりパラフィンの持つ揮発性を抑えることができると共に、相変化温度を炭素数に対応する広範な温度域から高い自由度により設定することができる。
【0036】
(3) 前記蓄熱シートは、シート基材として不織布20bを用い、該シート基材にパラフィン封入カプセル20aを捕捉して構成したため、不織布20bを採用したことにより、パラフィン封入カプセル20aの高い捕捉効果と、空調ケース2内から車室内に向かって伝達される騒音や振動を吸収する音振吸収効果を発揮することができる。
【0037】
(4) 前記蓄熱シートは、温熱の蓄熱を行う潜熱蓄熱材を含有させた温熱用蓄熱シート20であり、前記潜熱蓄熱材の液相・固相の相変化温度を、50℃〜70℃に設定したため、乗員が暖かいと感じられる吹き出し温度を確保しつつ、ヒータコア7へエンジン冷却水の供給が停止された後、潜熱を有効に利用して所定時間だけ車室内の暖房補完を行うことができる。
【0038】
(5) 前記吹き出し通路は、ケース側のフット吹き出し口16,16と車室内側のフット吹き出し口19,19を連通接続するフットダクト18,18であり、前記温熱用蓄熱シート20は、前記フットダクト18,18のダクト内壁面に設定したため、フットドア13を開とするフットモード選択時、エンジンを一時的に停止したとしても前席左右と後席の乗員の足元位置に温風を送り続けることができる。
【実施例2】
【0039】
実施例2は、ベントモード選択時に冷風が通過するベントダクトの内壁面に冷熱用蓄熱シートを設定した例である。
【0040】
まず、構成を説明する。
図5は実施例2の前後席の温度調整を行う空調ユニット1B(車両用空気調和装置の一例)を示す縦断面図である。図6は実施例2の空調ユニット1Bから前席の左右位置と中央位置に延ばして設定されたベントダクトを示す正面図である。
【0041】
実施例2の空調ユニット1Bは、図5に示すように、空調ケース2と、送風機3と、クリーンフィルター4と、エバポレータ5と、エアミックスドア6と、ヒータコア7と、温風通路8と、冷風バイパス通路9と、エアミックスチャンバー10と、ベントドア11と、デフドア12と、フットドア13と、ベント吹き出し口14と、デフ吹き出し口15と、フット吹き出し口16と、リアフット吹き出し口17と、を備えている。
【0042】
これらの構成は、実施例1の空調ユニット1Aと同様であり、ベントモード選択時、ベントドア11は開位置とされ、エアミックスドア6は、図5に示すように、冷風バイパス通路9を開放するフルクール位置にある。
【0043】
前記ベント吹き出し口14には、図6に示すように、車幅方向に延びるベントダクト21が接続される。なお、図1ではベント吹き出し口14にベントダクト21が接続されていることを説明するため、空調ケース2の正面側に向かってのみベントダクト21が延びているように記載した。なお、図5において、22はデフ吹き出し口15に接続されたデフノズルである。
【0044】
前記ベントダクト21は、ケース側のベント吹き出し口14と車室内側のベント吹き出し口23(左右それぞれに1箇所と中央に2箇所)を連通接続するもので、ダクト内が冷風の吹き出し通路となっている。なお、ベント吹き出し口23の4箇所の位置には、図5及び図6に示すように、ベント風の車室内への風向を調整するベントグリル24が設定されている。
【0045】
そして、前記ベントダクト21のダクト内壁面に、図5及び図6に示すように、風の流れに沿った配置により冷熱用蓄熱シート25(蓄熱シート)を設定している。
【0046】
前記冷熱用蓄熱シート25は、固相・液相の相変化を伴って放出あるいは吸収される潜熱により蓄熱を行う潜熱蓄熱材のうち、液相から固相への相変化を伴って放出した熱エネルギー(潜熱)を、エンジン停止によりエバポレータ5へ冷媒(熱交換媒体)の供給が停止された後、固相から液相への相変化を伴って吸収する「冷熱の蓄熱」を行う潜熱蓄熱材を含有させたものである。
【0047】
実施例2での冷熱用蓄熱シート25も実施例1と同様に、不織布にパラフィン封入カプセルを捕捉することで構成している。但し、パラフィン封入カプセルの液相・固相の相変化温度は、2℃〜7℃に設定している。
例えば、実施例2のように、冷媒をエバポレータ5に循環させる空調ユニット1Bの場合には、相変化温度は、4℃〜5℃程度が好ましい。その理由は、夏季等で涼しいと感じられる吹き出し温度は10℃程度であるため、吹き出し温度10℃程度を得るのに必要な相変化温度は、4℃〜5℃に前後温度を含めた2℃〜7℃の温度になることによる。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付し、説明を省略する。
【0048】
次に、車室内冷房の補完作用を説明する。
例えば、冷熱用蓄熱シート25が設定されていない空調ユニットを想定した場合、エンジンを一時的に停止させるアイドルストップ時、コンプレッサの停止により、冷媒のエバポレータ内流通も停止する。したがって、エバポレータ内の冷媒に蓄えられているだけの熱エネルギー(顕熱)がエンジン停止時の残留熱エネルギーであるが、送風機からの風によりエバポレータの残留熱が短時間で奪われることにより、エンジン停止時から短時間のうちに顕熱分の熱エネルギーは消費され、吹き出し温度がエンジン停止直後から急激に上昇する。ちなみに、冷熱用蓄熱シート無しの場合、図7の点線特性に示すように、エンジン停止直後から吹き出し温度が急激に上昇し、約30秒程度で暑いと感じられる吹き出し温度まで上昇してしまう。
【0049】
これに対し、実施例2の空調ユニット1Bの場合、冷熱用蓄熱シート25がベントダクト21のダクト内壁面の位置に設定されている。このため、エンジンを一時的に停止させるアイドルストップ時、コンプレッサの停止により、エバポレータ5内の冷媒に蓄えられているだけの熱エネルギー(顕熱)については、エンジン停止直後から短時間にて消費する。しかし、エバポレータ5へ冷媒が供給されているエンジン作動時、冷熱用蓄熱シート25に含有するパラフィン封入カプセル内のパラフィンが液相から固相への相変化を伴って熱エネルギー(潜熱)を放出する。そして、エバポレータ5へ冷媒の供給が停止された後、パラフィン封入カプセル内のパラフィンが固相から液相への相変化を伴って潜熱を吸収することで、冷熱用蓄熱シート25の表面を通過する風から熱を奪う。このため、冷媒の供給停止後、所定時間だけ車室内の冷房を補完することができる。例えば、図5に示すように、ベントドア11を開としている場合には、前席左右位置と前席中央位置から乗員の上半身位置に冷風を送り続けることができることになる。
【0050】
したがって、冷熱用蓄熱シート25を設定した実施例2の場合、図7の実線特性に示すように、エンジン停止直後から相変化温度までは吹き出し温度が僅かに上昇するが、相変化温度(溶解点)に達した後は、パラフィン封入カプセルに蓄えられた潜熱により吹き出し温度の上昇が抑えられる。ちなみに、冷熱用蓄熱シート25を設定した場合、図7の実線特性と点線特性との間のハッチング領域が潜熱効果をあらわし、エンジン停止から吹き出し温度が暖かいと感じる温度まで上昇するのに1分30秒程度要することになる。これを言い換えると、エンジン停止後、1分30秒の間だけは、車室内冷房の補完を行うことができる。なお、他の作用は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0051】
次に、効果を説明する。
実施例2の空調ユニット1Bにあっては、実施例1の(1)〜(3)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0052】
(6) 前記蓄熱シートは、冷熱の蓄熱を行う潜熱蓄熱材を含有させた冷熱用蓄熱シート25であり、前記潜熱蓄熱材の液相・固相の相変化温度を、2℃〜7℃に設定したため、乗員が涼しいと感じられる吹き出し温度を確保しつつ、エバポレータ5へ冷媒の供給が停止された後、潜熱を有効に利用して所定時間だけ車室内の冷房補完を行うことができる。
【0053】
(7) 前記吹き出し通路は、ケース側のベント吹き出し口14と車室内側のベント吹き出し口23を連通接続するベントダクト21であり、前記冷熱用蓄熱シート25は、前記ベントダクト21のダクト内壁面に設定したため、ベントドア11を開とするベントモード選択時、エンジンを一時的に停止したとしても前席の左右位置と中央位置から前席乗員の上半身位置に向かって冷風を送り続けることができる。
【実施例3】
【0054】
実施例3は、ベントモード選択時に冷風を車室内に吹き出すベントグリルのハウジングの内壁面と縦ルーバの全周に冷熱用蓄熱シートを設定した例である。
【0055】
まず、構成を説明する。
図8は実施例3の空調ユニットに設定されたベントダクトの車室内側の吹き出し口に設けられたベントグリルを示す図で、(a)はベントグリルの縦断側面図を示し、(b)はベントグリルの正面図を示し、(c)は(a)のD−D線による縦ルーバの断面図を示す。
【0056】
実施例3の空調ユニットは、図8(a)に示すように、ベントダクト21と、ベント吹き出し口23と、ベントグリル24と、冷熱用蓄熱シート25と、グリルハウジング26と、縦ルーバ27と、横ルーバ28と、を備えている。
【0057】
この実施例3では、吹き出し通路を、ケース側のベント吹き出し口14に接続されるベントダクト21の車室内側のベント吹き出し口23側に設けられたベントグリル24としている。そして、冷熱用蓄熱シート25を、図8に示すように、ベントグリル24のグリルハウジング26の内壁面(図8(a),(b))と縦ルーバ27の全周(図8(c))に設定している。なお、空調ユニットの全体構成は、実施例2と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0058】
作用についても、実施例2とは、エンジンの一時的な停止時、ベントグリル24を通過する風から熱を奪う点でのみ相違するので、説明を省略する。
【0059】
次に、効果を説明する。
実施例3の空調ユニットにあっては、実施例1の(1)〜(3)の効果、および、実施例2の(6)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0060】
(8) 前記吹き出し通路は、ケース側のベント吹き出し口14に接続されるベントダクト21の車室内側のベント吹き出し口23側に設けられたベントグリル24であり、前記冷熱用蓄熱シート25は、前記ベントグリル24のグリルハウジング26の内壁面と縦ルーバ27の全周に設定したため、ベントグリル24に冷熱用蓄熱シート25を設定するという簡単な構成により、ベントドア11を開とするベントモード選択時、エンジンを一時的に停止したとしても前席の左右位置と中央位置から前席乗員の上半身位置に向かって冷風を送り続けることができる。
【0061】
以上、本発明の車両用空気調和装置を実施例1〜実施例3に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0062】
実施例1ではフットダクトの内壁面に温熱用蓄熱シートを設定する例を示したが、例えば、温熱用蓄熱シートをベントダクトやデフノズルの内壁面に設定しても良い。実施例2,3では、ベントダクトの内壁面とベントグリルの内壁面と縦ルーバの全周に冷熱用蓄熱シートを設定する例を示したが、例えば、ベントダクトとベントグリルの両方に冷熱用蓄熱シートを設定しても良い。さらに、温熱用蓄熱シートと冷熱用蓄熱シートに分けることなく、冷熱の蓄熱を行う潜熱蓄熱材と温熱の蓄熱を行う潜熱蓄熱材を共に含有させた蓄熱シートを車室内に風を送るダクトや吹き出しグリルに設定するようにしても良い。要するに、空調ケースのケース吹き出し口と車室内に開口された車室内吹き出し口を連通接続する吹き出し通路の壁面に、風の流れに沿った配置により蓄熱シートを設定するものであれば本発明に含まれる。
【0063】
実施例1〜3では、固相・液相の相変化を伴って放出あるいは吸収される潜熱により蓄熱を行う潜熱蓄熱材として、球状皮膜の内部にパラフィン系素材を封入してマイクロカプセル化したパラフィン封入カプセルを用いる例を示したが、潜熱蓄熱材としては、パラフィン系素材に限られるものではなく、例えば、ポリエチレングリコール(温熱蓄熱向き)、無機塩・水和物/水溶液(温熱蓄熱、冷熱蓄熱)、水和物スラリー(冷熱蓄熱限定)等をカプセル化やパッケージ化したものであれば使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
実施例1〜3では、前後席の温度調整を行う空調ユニットへの適用例を示したが、前席のみに温度調整を行う空調ユニットや前席側と後席側を独立に温度調整を行う空調ユニットへも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施例1の前後席の温度調整を行う空調ユニット1A(車両用空気調和装置の一例)を示す縦断面図である。
【図2】実施例1の空調ユニット1Aに設定された温熱用蓄熱シート20を示す断面図である。
【図3】実施例1の空調ユニット1Aから左右両側に延ばして設定されたフットダクトを示す正面図である。
【図4】実施例1の空調ユニット1Aにおける温熱用蓄熱シート無しでのエンジン停止後の吹き出し温度特性と温熱用蓄熱シート付きでのエンジン停止後の吹き出し温度特性の比較を示す図である。
【図5】実施例2の前後席に温度調整を行う空調ユニット1B(車両用空気調和装置の一例)を示す縦断面図である。
【図6】実施例2の空調ユニット1Bから前席の左右位置と中央位置に延ばして設定されたベントダクトを示す正面図である。
【図7】実施例2の空調ユニット1Bにおける冷熱用蓄熱シート無しでのエンジン停止後の吹き出し温度特性と冷熱用蓄熱シート付きでのエンジン停止後の吹き出し温度特性の比較を示す図である。
【図8】実施例3の空調ユニットに設定されたベントダクトの車室内側の吹き出し口に設けられたベントグリルを示す図で、(a)はベントグリルの縦断側面図を示し、(b)はベントグリルの正面図を示し、(c)は(a)のD−D線による縦ルーバの断面図を示す。
【符号の説明】
【0066】
1A、1B 空調ユニット
2 空調ケース
3 送風機
4 クリーンフィルター
5 エバポレータ(冷却用熱交換器)
6 エアミックスドア
7 ヒータコア(暖房用熱交換器)
8 温風通路
9 冷風バイパス通路
10 エアミックスチャンバー
11 ベントドア
12 デフドア
13 フットドア
14 ベント吹き出し口(ケース吹き出し口)
15 デフ吹き出し口(ケース吹き出し口)
16 フット吹き出し口(ケース吹き出し口)
17 リアフット吹き出し口(ケース吹き出し口)
18 フットダクト
19 フット吹き出し口(車室内吹き出し口)
20 温熱用蓄熱シート(蓄熱シート)
21 ベントダクト
22 デフノズル
23 ベント吹き出し口
24 ベントグリル
25 冷熱用蓄熱シート(蓄熱シート)
26 グリルハウジング
27 縦ルーバ
28 横ルーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調ケース内の上流の送風機側と下流の吹き出し口側との間に、冷房用熱交換器、エアミックスドア、暖房用熱交換器、を配置し、前記冷房用熱交換器と前記暖房用熱交換器を通過する温風通路と、前記冷房用熱交換器を通過し前記暖房用熱交換器をバイパスする冷風バイパス通路と、温風と冷風とが合流するエアミックスチャンバーと、が形成された車両用空気調和装置において、
前記空調ケースのケース吹き出し口と車室内に開口された車室内吹き出し口を連通接続する吹き出し通路の壁面に、風の流れに沿った配置により蓄熱シートを設定し、
前記蓄熱シートは、固相・液相の相変化を伴って放出あるいは吸収される潜熱により蓄熱を行う潜熱蓄熱材を含有することを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項2】
請求項1に記載された車両用空気調和装置において、
前記蓄熱シートは、球状皮膜の内部にパラフィン系素材を封入してマイクロカプセル化したパラフィン封入カプセルを潜熱蓄熱材としたことを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された車両用空気調和装置において、
前記蓄熱シートは、シート基材として不織布を用い、該シート基材にパラフィン封入カプセルを捕捉して構成したことを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載された車両用空気調和装置において、
前記蓄熱シートは、温熱の蓄熱を行う潜熱蓄熱材を含有させた温熱用蓄熱シートであり、前記潜熱蓄熱材の液相・固相の相変化温度を、50℃〜70℃に設定したことを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項5】
請求項4に記載された車両用空気調和装置において、
前記吹き出し通路は、ケース側フット吹き出し口と車室内側フット吹き出し口を連通接続するフットダクトであり、
前記温熱用蓄熱シートは、前記フットダクトのダクト内壁面に設定したことを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載された車両用空気調和装置において、
前記蓄熱シートは、冷熱の蓄熱を行う潜熱蓄熱材を含有させた冷熱用蓄熱シートであり、前記潜熱蓄熱材の液相・固相の相変化温度を、2℃〜7℃に設定したことを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項7】
請求項6に記載された車両用空気調和装置において、
前記吹き出し通路は、ケース側ベント吹き出し口と車室内側ベント吹き出し口を連通接続するベントダクトであり、
前記冷熱用蓄熱シートは、前記ベントダクトのダクト内壁面に設定したことを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項8】
請求項6に記載された車両用空気調和装置において、
前記吹き出し通路は、ケース側ベント吹き出し口に接続されるベントダクトの車室内側ベント吹き出し口側に設けられたベントグリルであり、
前記冷熱用蓄熱シートは、前記ベントグリルのハウジングの内壁面と縦ルーバの全周に設定したことを特徴とする車両用空気調和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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