説明

車両用空調装置の操作装置

【課題】空調装置を機械的に切換操作する複数のダイヤルを省スペースに配置して空調装置の機械的な操作性を損なうことなく全体をコンパクトに構成可能な車両用空調装置の操作装置を提供する。
【解決手段】第1の操作ダイヤル(20)の接合された第1の軸部材と同軸に第2の操作ダイヤル(22)の接続された第2の軸部材を設け、第1の軸部材の他端に第1及び第2の軸部材とは異なる軸周りで回転可能に第1の作動部材を機械的に連結する扁平状の第1の回転部材(36)を連結するとともに第2の軸部材の他端に第1及び第2の軸部材とは異なる軸周りで回転可能に第2の作動部材を機械的に連結する扁平状の第2の回転部材(40)を連結した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置の操作装置に係り、詳しくはダイヤルを回動操作することにより車両用空調装置を機械的に操作可能な操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された車両用空調装置では、例えば車室内のダッシュボードに位置して空調装置の種々の切り換え操作を行う操作装置が設けられており、これにより空調温度、送風量、送風場所等の種々の切換及び調節操作が可能である。
操作装置としては、押圧操作する釦スイッチ、回動操作するダイヤル及び揺動操作するレバーが一般的であり、例えば空調装置のオンオフ等には釦スイッチが採用され、上記空調温度、送風量、送風位置の切換及び調節操作には主としてダイヤルまたはレバーが採用されている。
【0003】
ところで、ダッシュボードには空調装置の操作装置以外にも種々の操作部材が配設されており、空調装置の釦スイッチやダイヤルやレバーがそれぞれダッシュボードに複数並べて配設されていると、これら釦スイッチやダイヤルやレバーの占める範囲が広くなり、ダッシュボード上の限られたスペースにおいて他の操作部材の配設に制約を与えるという問題がある。
【0004】
このようなことから、例えばダイヤルに釦スイッチを組み込むようにして省スペース化を図った構成の操作装置が開発されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−96581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に開示された操作装置では、釦スイッチについては省スペース化が図られているものの、ダイヤルについては各機能毎に独立であり、十分に省スペース化が図られているとは言い難い。
そこで、ダイヤルの共用化等により省スペース化を図ることが考えられるが、上記特許文献1に開示された操作装置のように、ダイヤルの回動操作によりケーブルを介して空調装置を機械的に切換操作するようなものの場合、空調装置の機械的な操作性を損なうことなくダイヤルを如何に省スペースに配置して操作装置のコンパクト化を実現するかが課題となる。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、空調装置を機械的に切換操作する複数のダイヤルを省スペースに配置して空調装置の機械的な操作性を損なうことなく全体をコンパクトに構成可能な車両用空調装置の操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するべく、請求項1の車両用空調装置の操作装置は、支持部材に軸回転可能に支持された第1の軸部材と、該第1の軸部材の一端に接合された第1の操作ダイヤルと、前記支持部材に前記第1の軸部材周りで該第1の軸部材と同軸に軸回転可能に支持された第2の軸部材と、該第2の軸部材の一端に接合され、前記第1の操作ダイヤルと軸方向で重合する環状の第2の操作ダイヤルと、前記第1の軸部材の他端に前記第1及び前記第2の軸部材とは異なる軸周りで回転可能に連結され、外周部が第1の作動部材に機械的に連結された扁平状の第1の回転部材と、前記第2の軸部材の他端に前記第1及び前記第2の軸部材とは異なる軸周りで回転可能に連結され、外周部が第2の作動部材に機械的に連結された扁平状の第2の回転部材とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の車両用空調装置の操作装置では、請求項1において、前記第1及び前記第2の軸部材の軸と前記第1の回転部材の軸とが平行である一方、前記第1及び前記第2の軸部材の軸と前記第2の回転部材の軸とが直交していることを特徴とする。
請求項3の車両用空調装置の操作装置では、請求項1において、前記第1及び前記第2の軸部材の軸と前記第1及び前記第2の回転部材の軸とが平行であることを特徴とする。
【0009】
請求項4の車両用空調装置の操作装置では、請求項1において、前記第1及び前記第2の軸部材の軸と前記第1及び前記第2の回転部材の軸とが直交していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の車両用空調装置の操作装置によれば、支持部材に第1の軸部材と第2の軸部材とが同軸で軸回転可能に配設され、第1の軸部材の一端に第1の操作ダイヤルが、第2の軸部材の一端に第1の操作ダイヤルと重合するように第2の操作ダイヤルが接合されており、第1及び第2の軸部材の他端には第1及び第2の軸部材とは異なる軸周りで回転可能にして各々第1及び第2の作動部材に機械的に連結された扁平状の第1及び第2の回転部材がそれぞれ連結されているので、第1及び第2の軸部材ひいては第1及び第2の操作ダイヤルを共に同軸周りで回転可能にして入力系を一軸化する一方、第1及び第2の作動部材を第1及び第2の軸部材とは異なる軸周りで回転可能にして出力系を二軸化して第1及び第2の作動部材を機械的に作動させるようにでき、入力系である二つの第1及び第2の操作ダイヤルを一つの操作ダイヤルのスペースで配設できるとともに、出力系である扁平状の第1及び第2の回転部材を伝達部材(ギヤ機構)等の組合せにより自由な姿勢で配設できる。
【0011】
これにより、例えば車両のダッシュボードに複数の操作ダイヤルを省スペースに配設して空調装置の機械的な操作性を損なわないようにしつつ操作装置全体をコンパクトに構成することができる。
請求項2の車両用空調装置の操作装置によれば、出力系である扁平状の第1及び第2の回転部材を伝達部材(ギヤ機構)等の組合せにより第1の回転部材の軸については第1及び第2の軸部材の軸と平行に、第2の回転部材の軸については第1及び第2の軸部材の軸と直交するようにして自由な姿勢で配設でき、これにより例えば第1の回転部材の後側及び第2の回転部材の上側に空間を形成でき、当該空間を有効に利用することが可能である。
【0012】
請求項3の車両用空調装置の操作装置によれば、出力系である扁平状の第1及び第2の回転部材を伝達部材(ギヤ機構)等の組合せにより第1及び第2の回転部材の軸について共に第1及び第2の軸部材の軸と平行にして自由な姿勢で配設でき、これにより例えば第1及び第2の回転部材の後側に空間を形成でき、当該空間を有効に利用することが可能である。
【0013】
請求項4の車両用空調装置の操作装置によれば、出力系である扁平状の第1及び第2の回転部材を伝達部材(ギヤ機構)等の組合せにより第1及び第2の回転部材の軸について共に第1及び第2の軸部材の軸と直交するようにして自由な姿勢で配設でき、これにより例えば第1及び第2の回転部材の上側または下側に空間を形成でき、当該空間を有効に利用することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
先ず、第1実施例について説明する。
図1には本発明の第1実施例に係る車両用空調装置の操作装置の平面図が、図2には正面図が、図3には背面図が、図4には側面図が示されており、以下これら図1〜図4に基づき本発明の第1実施例に係る車両用空調装置の操作装置について説明する。
【0015】
車両用空調装置の操作装置は、例えば車室内のダッシュパネルに設けられており、これら図1〜図4に示すように、第1実施例に係る車両用空調装置の操作装置は、パネル部材1にダイヤルユニット2、レバーユニット4及び表示ユニット6が配設されて構成されている。
レバーユニット4及び表示ユニット6については公知のものが採用されており、これらについてはここでは説明を省略し、以下、本発明に係るダイヤルユニット2について詳細に説明する。
【0016】
ダイヤルユニット2は、大きくは入力ユニット(入力系)10と出力ユニット(出力系)30とから構成されている。なお、図中の符号8は出力ユニット30を覆い保護するカバーである。
図5には、図4のA−A線に沿う入力ユニット10の断面図が示されており、図6〜図12には入力ユニット10の各構成部品がそれぞれ示されており、以下これら図5〜図12に基づき入力ユニット10の構成について説明する。
【0017】
入力ユニット10は、パネル部材1の背面に前側支持部材12が結合され、パネル部材1の開口孔1aを貫通して当該前側支持部材12のボス部13に円筒状の軸受部材14が爪部14aを介して結合され、当該軸受部材14に軸回転可能に内軸(第1の軸部材)16が内嵌されるとともに外軸(第2の軸部材)18が外嵌され、内軸16の先端(一端)に接合突起20a内に嵌合して内ダイヤル(第1の操作ダイヤル)20が接合されるとともに外軸18の先端(一端)に内ダイヤル20と重合するようにして環状の外ダイヤル(第2の操作ダイヤル)22が接合され、さらに内軸16の後端(他端)に内側ギヤ部材24が接合されて構成されている。即ち、入力ユニット10では、内軸16と外軸18とが、前側支持部材12ひいてはパネル部材1と一体をなす円筒状の軸受部材(支持部材)14に互いに同軸にして軸回転可能に支持されている。
【0018】
詳しくは、内側ギヤ部材24は、一方の面の外周部分に平ギヤが刻設され、当該一方の面と反対の面が前側支持部材12のボス部13の肩部13aに摺接しており、一方、内ダイヤル20は、接合突起20aの先端が軸受部材14の肩部14bに摺接しており、これにより内ダイヤル20ひいては内軸16の軸方向での移動が規制されて、内軸16が軸受部材14内で良好に軸回転自在である。
【0019】
また、外軸18は、外側に突出したフランジ18aがパネル部材1の周縁と摺接しており、一方、外軸18の後端がボス部13の肩部13aの上記内側ギヤ部材24の摺接面とは反対側の面と摺接しており、これにより外ダイヤル22ひいては外軸18の軸方向での移動が規制されて、外軸18がボス部13及び軸受部材14周りで良好に軸回転自在である。
【0020】
ところで、内軸16は後端が開口して中空円筒で構成されるとともに内側ギヤ部材24の中央部には開口部24aが穿設されており、内軸16の軸線上には開口部24a近傍に位置してランプ50が設けられている。
また、軸受部材14には、内ダイヤル20と外ダイヤル22との間に位置して径方向にフランジ14cが延びており、当該フランジ14cの表面には内ダイヤル20の操作位置を知らせるための操作位置表示がなされている。
【0021】
また、ダイヤルユニット2の各構成部品は樹脂部材で構成されており、軸受部材14、内軸16、外軸18、外ダイヤル22については光透過性(透明または半透明)の樹脂部材で構成されており、内ダイヤル20については少なくとも上記操作位置表示を視認可能な範囲が透明の樹脂部材で構成されている。
このように、内軸16が中空円筒であり且つ軸受部材14、内軸16、外軸18、外ダイヤル22が光透過性の材質であり、フランジ14cの表面に操作位置表示がなされ且つ内ダイヤル20が操作位置表示を視認可能に透明であると、内ダイヤル20を透過して操作位置表示を確実に視認することが可能であるとともに、ランプ50を点灯したとき、内軸16の中空部分を通ったランプ50の光を軸受部材14、内軸16、外軸18、外ダイヤル22を透過させ或いは当該光で発光させることができ、操作位置表示を明るく照らし出すことが可能である。実際には、フランジ14cには個々の操作位置表示に対応して光採り用孔14eが穿設されており、光採り用孔14eを通る光で操作位置表示をより明るく表示可能である。これにより、車室内が暗い場合であっても、内ダイヤル20及び外ダイヤル22の操作が容易であるとともに、内ダイヤル20を透過させて操作位置表示をより一層確実に視認することが可能である。
【0022】
なお、外ダイヤル22の操作位置については、例えばパネル部材1の外ダイヤル22の外周に沿う部分に操作位置表示を行うことで対応可能である。
また、軸受部材14にはストッパ14dが、内ダイヤル20にはストッパ20bが設けられており、これらストッパ14dとストッパ20bとにより内ダイヤル20の回転が所定範囲に規制され、内ダイヤル20の過度の回転が防止されている。同様に、前側支持部材12にはストッパ12aが、外軸18にはストッパ18bが設けられており、これらストッパ12aとストッパ18bとにより外ダイヤル22の回転が所定範囲に規制され、外ダイヤル22の過度の回転が防止されている。
【0023】
また、図5には示していないが、図9に示すように、外軸18の外周の下側部分には、所定角度範囲に亘り平ギヤの刻設された外側ギヤ部18cが形成されている。
図13〜図17には出力ユニット30の各構成部品がそれぞれ示されており、以下これら図13〜図17に基づき出力ユニット30の構成について説明する。
出力ユニット30は、前側支持部材12に後側支持部材32が接合され、後側支持部材32の下部には後方に延びて下側支持部材34が接合され、前側支持部材12と後側支持部材32との間に位置して当該後側支持部材32の上部のボス32aに上記内側ギヤ部材24の平ギヤと噛合すべく外周部分に平ギヤが刻設された扁平状の内側従動ギヤ部材(第1の回転部材)36が軸支され、後側支持部材32の下部の貫通孔32bに上記外軸18の外側ギヤ部18cの平ギヤと噛合すべく一端の外周部分に平ギヤが刻設された連結軸38が貫通して軸支され、当該連結軸38の他端に接合された傘ギヤ部材39に下側支持部材34から下方に突出した支持突起34aに軸回転可能に支持されて当該傘ギヤ部材39の傘ギヤと噛合すべく外周の所定範囲に傘ギヤが刻設された扁平状の外側従動ギヤ部材(第2の回転部材)40が連結されて構成されている。
【0024】
詳しくは、内側従動ギヤ部材36には接合突起36a内に嵌合してワイヤレバー37が接合されており、当該ワイヤレバー37の先端には空調装置の例えば通気ダクトダンパ(図示せず:第1の作動部材)の切換作動を行うためのワイヤの取付孔37bが穿設されており、同様に、外側従動ギヤ部材40に一体に設けられたワイヤレバー41の先端には空調装置の例えば送風量調節弁(図示せず:第2の作動部材)の切換作動を行うためのワイヤの取付孔41aが穿設されている。
【0025】
図18を参照すると、上記のように構成された操作装置のうち内軸16を介する内ダイヤル20から内側従動ギヤ部材36までの伝達機構の側面図が模式的に示され、図19を参照すると、図18の矢視B方向から見た斜視図が示されており、これら図18、19には、併せて内軸16の軸線Xと内側従動ギヤ部材36の軸線Y1とが示されている。
これら図18、19に示すように、内軸16の軸線Xと内側従動ギヤ部材36の軸線Y1とはオフセットしているものの互いに平行をなしている。
【0026】
図20を参照すると、上記のように構成された操作装置のうち外軸18を介する外ダイヤル22から外側従動ギヤ部材40までの伝達機構の側面図が模式的に示され、図21を参照すると、図20の矢視C方向から見た斜視図が示されており、これら図20、21には、上記同様、併せて外軸18の軸線Xと外側従動ギヤ部材40の軸線Y2とが示されている。
【0027】
これら図20、21に示すように、外軸18の軸線Xと外側従動ギヤ部材40の軸線Y2とは互いに直交している。
即ち、入力ユニット10については、一軸化して内軸16と外軸18とが同軸X周りに軸回転可能である一方、通気ダクトダンパや送風量調節弁の切換操作を行う出力ユニット30の内側従動ギヤ部材36と外側従動ギヤ部材40については、二軸化して入力ユニット10と異なり互いに直交する軸Y1及びY2周りにそれぞれ軸回転可能に構成されている。
【0028】
これにより、入力ユニット10の二つの内ダイヤル20と外ダイヤル22とを一つのダイヤルのスペースで配設できるとともに、出力ユニット30の扁平状の内側従動ギヤ部材36と外側従動ギヤ部材40とを平ギヤや傘ギヤの組み合わせにより自由な姿勢で配設でき、車両のダッシュボードに複数の操作ダイヤルを省スペースに配設して空調装置の機械的な操作性を損なわないようにしつつ操作装置全体をコンパクトに構成することができる。
【0029】
従って、図22を参照すると、図3の矢視D方向から見た操作装置の斜視図が、図23を参照すると、図3の矢視E方向から見た操作装置の斜視図が、それぞれカバー8及び下側支持部材34を外した状態で示されているが、これら図22、23に示すように、当該第1実施例によれば、操作装置全体をコンパクトに構成して後側支持部材32の後側、即ち内側従動ギヤ部材36の後側及び外側従動ギヤ部材40の上側の空間を有効に利用することが可能である。例えば、図中の符号52はランプ50に給電する雌コネクタであるが、当該雌コネクタ52への雄コネクタの接続が容易である。
【0030】
次に、第2実施例について説明する。
図24には本発明の第2実施例に係る車両用空調装置の操作装置の平面図が、図25には正面図が、図26には背面図が、図27には側面図が示されており、以下これら図24〜図27に基づき本発明の第2実施例に係る車両用空調装置の操作装置について説明する。具体的には、第2実施例ではダイヤルユニット2’を有している点が上記第1実施例とは異なっており、以下ダイヤルユニット2’について説明する。
【0031】
ダイヤルユニット2’は、大きくは入力ユニット10と出力ユニット30’とから構成されているが、入力ユニット10については上記第1実施例と共通であり、ここでは出力ユニット30’のうち第1実施例と異なる部分を中心に説明する。
出力ユニット30’では、上記第1実施例の後側支持部材32に代えて図28に示すような後側支持部材32’が設けられており、当該出力ユニット30’は、前側支持部材12に当該後側支持部材32’が接合され、前側支持部材12と後側支持部材32’との間に位置して当該後側支持部材32’の上部のボス32aに内側ギヤ部材24の平ギヤと噛合して扁平状の内側従動ギヤ部材(第1の回転部材)36が軸支され、後側支持部材32’の下部の貫通孔32bに連結軸38が貫通して軸支され、当該連結軸38の他端に接合された平ギヤ部材39’に後側支持部材32’の背面から突出した支持突起33に軸回転可能に支持されて当該平ギヤ部材39’の平ギヤと噛合すべく外周の所定範囲に平ギヤが刻設された扁平状の外側従動ギヤ部材(第2の回転部材)40’が連結されて構成されている。
【0032】
即ち、当該第2実施例でも、操作装置のうち内軸16を介する内ダイヤル20から内側従動ギヤ部材36までの伝達機構については上記第1実施例と同一であり、上記図18、19に模式的に示す通りであって、内軸16の軸線Xと内側従動ギヤ部材36の軸線Y1とはオフセットしているものの互いに平行をなしている。
一方、図29を参照すると、上記のように構成された操作装置のうち外軸18を介する外ダイヤル22から外側従動ギヤ部材40’までの伝達機構の側面図が模式的に示され、図30を参照すると、図29の矢視F方向から見た斜視図が示されており、これら図29、30には、併せて外軸18の軸線Xと外側従動ギヤ部材40’の軸線Y’2とが示されている。
【0033】
これら図29、30に示すように、第2実施例では、外軸18の軸線Xと外側従動ギヤ部材40’の軸線Y’2についても内側従動ギヤ部材36の軸線Y1と同様に互いに平行或いは同軸をなしている。
このように、当該第2実施例においても、入力ユニット10については、一軸化して内軸16と外軸18とが同軸X周りに軸回転可能である一方、通気ダクトダンパや送風量調節弁等の切換操作を行う出力ユニット30’の内側従動ギヤ部材36と外側従動ギヤ部材40’については、二軸化して入力ユニット10と異なり軸線Xと平行にして且つ互いに平行をなす軸Y1及びY’2周りにそれぞれ軸回転可能に構成されている。
【0034】
これにより、上記第1実施例と同様、入力ユニット10の二つの内ダイヤル20と外ダイヤル22とを一つのダイヤルのスペースで配設できるとともに、出力ユニット30’の扁平状の内側従動ギヤ部材36と外側従動ギヤ部材40’とを平ギヤの組み合わせにより自由な姿勢で配設でき、やはり車両のダッシュボードに複数の操作ダイヤルを省スペースに配設して空調装置の機械的な操作性を損なわないようにしつつ操作装置全体をコンパクトに構成することができる。
【0035】
従って、図31を参照すると、図24の矢視G方向から見た操作装置の斜視図が、図32を参照すると、図26の矢視H方向から見た操作装置の斜視図が示されているが、これら図31、32に示すように、第2実施例によれば、操作装置全体をコンパクトに構成して後側支持部材32、即ち内側従動ギヤ部材36及び外側従動ギヤ部材40’の後側の空間を有効に利用することが可能である。
【0036】
次に、第3実施例について説明する。
図33には本発明の第3実施例に係る車両用空調装置の操作装置の平面図が、図34には正面図が、図35には背面図が、図36には側面図が示されており、以下これら図33〜図36に基づき本発明の第3実施例に係る車両用空調装置の操作装置について説明する。具体的には、第3実施例ではダイヤルユニット2”を有している点が上記第1実施例とは異なっており、以下ダイヤルユニット2”について説明する。
【0037】
ダイヤルユニット2”は、大きくは入力ユニット10と出力ユニット30”とから構成されているが、上記第2実施例と同様、入力ユニット10については上記第1実施例と共通であり、ここでは出力ユニット30”のうち第1実施例と異なる部分を中心に説明する。
出力ユニット30”では、上記第1実施例の後側支持部材32に代えて後側支持部材32”が設けられており、後側支持部材32”には後方に延びて下側支持部材34とともに上側支持部材35が接合され、内側ギヤ部材24に代えて傘ギヤが刻設された内側ギヤ部材24’が設けられており、当該出力ユニット30”は、当該内側ギヤ部材24’に上側支持部材35から上方に突出した支持突起35aに軸回転可能に支持されて内側ギヤ部材24’の傘ギヤと噛合すべく外周の所定範囲に傘ギヤが刻設された扁平状の内側従動ギヤ部材(第1の回転部材)36’が連結され、連結軸38の他端に接合された傘ギヤ部材39に下側支持部材34から下方に突出した支持突起34aに軸回転可能に支持されて当該傘ギヤ部材39の傘ギヤと噛合すべく外周の所定範囲に傘ギヤが刻設された扁平状の外側従動ギヤ部材(第2の回転部材)40が連結されて構成されている。
【0038】
即ち、当該第3実施例でも、操作装置のうち外軸18を介する外ダイヤル22から外側従動ギヤ部材40までの伝達機構については上記第1実施例と同一であり、上記図20、21に模式的に示す通りであって、外軸18の軸線Xと外側従動ギヤ部材40の軸線Y2とは直交している。
一方、図37を参照すると、上記のように構成された操作装置のうち内軸16を介する内ダイヤル20から内側従動ギヤ部材36’までの伝達機構の側面図が模式的に示されており、当該図37には、併せて内軸16の軸線Xと内側従動ギヤ部材36’の軸線Y’1とが示されている。
【0039】
同図に示すように、内軸16の軸線Xと内側従動ギヤ部材36’の軸線Y’1とは外側従動ギヤ部材40の軸線Y2と同様に直交している。
このように、当該第3実施例においても、入力ユニット10については、一軸化して内軸16と外軸18とが同軸X周りに軸回転可能である一方、通気ダクトダンパや送風量調節弁等の切換操作を行う出力ユニット30”の内側従動ギヤ部材36’と外側従動ギヤ部材40については、二軸化して入力ユニット10と異なり軸線Xと直交し且つ互いに平行をなす軸Y’1及びY2周りにそれぞれ軸回転可能に構成されている。
【0040】
これにより、上記第1及び第2実施例と同様に、入力ユニット10の二つの内ダイヤル20と外ダイヤル22とを一つのダイヤルのスペースで配設できるとともに、出力ユニット30”の扁平状の内側従動ギヤ部材36’と外側従動ギヤ部材40とを傘ギヤの組み合わせにより自由な姿勢で配設でき、やはり車両のダッシュボードに複数の操作ダイヤルを省スペースに配設して空調装置の機械的な操作性を損なわないようにしつつ操作装置全体をコンパクトに構成することができる。
【0041】
従って、図38を参照すると、図33の矢視I方向から見た操作装置の斜視図が、図39を参照すると、図33の矢視J方向から見た操作装置の斜視図が示されているが、これら図38、39に示すように、第3実施例によれば、操作装置全体をコンパクトに構成して内側従動ギヤ部材36’の上側及び外側従動ギヤ部材40の下側の空間を有効に利用することが可能である。
【0042】
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施例に係る車両用空調装置の操作装置の平面図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る車両用空調装置の操作装置の正面図である。
【図3】本発明の第1実施例に係る車両用空調装置の操作装置の背面図である。
【図4】本発明の第1実施例に係る車両用空調装置の操作装置の側面図である。
【図5】図4のA−A線に沿う入力ユニットの断面図である。
【図6】前側支持部材を示す図である。
【図7】軸受部材を示す図である。
【図8】内軸を示す図である。
【図9】外軸を示す図である。
【図10】内ダイヤルを示す図である。
【図11】外ダイヤルを示す図である。
【図12】内側ギヤ部材を示す図である。
【図13】後側支持部材を示す図である。
【図14】下側支持部材を示す図である。
【図15】内側従動ギヤ部材を示す図である。
【図16】連結軸を示す図である。
【図17】外側従動ギヤ部材を示す図である。
【図18】内軸を介する内ダイヤルから内側従動ギヤ部材までの伝達機構を模式的に示す側面図である。
【図19】図18の矢視B方向から見た斜視図である。
【図20】外軸を介する外ダイヤルから外側従動ギヤ部材までの伝達機構を模式的に示す側面図である。
【図21】図20の矢視C方向から見た斜視図である。
【図22】図3の矢視D方向から見た操作装置の斜視図である。
【図23】図3の矢視E方向から見た操作装置の斜視図である。
【図24】本発明の第2実施例に係る車両用空調装置の操作装置の平面図である。
【図25】本発明の第2実施例に係る車両用空調装置の操作装置の正面図である。
【図26】本発明の第2実施例に係る車両用空調装置の操作装置の背面図である。
【図27】本発明の第2実施例に係る車両用空調装置の操作装置の側面図である。
【図28】第2実施例に係る後側支持部材を示す図である。
【図29】第2実施例において外軸を介する外ダイヤルから外側従動ギヤ部材までの伝達機構を模式的に示す側面図である。
【図30】図29の矢視F方向から見た斜視図である。
【図31】図24の矢視G方向から見た操作装置の斜視図である。
【図32】図26の矢視H方向から見た操作装置の斜視図である。
【図33】本発明の第3実施例に係る車両用空調装置の操作装置の平面図である。
【図34】本発明の第3実施例に係る車両用空調装置の操作装置の正面図である。
【図35】本発明の第3実施例に係る車両用空調装置の操作装置の背面図である。
【図36】本発明の第3実施例に係る車両用空調装置の操作装置の側面図である。
【図37】第3実施例において内軸を介する内ダイヤルから内側従動ギヤ部材までの伝達機構を模式的に示す側面図である。
【図38】図33の矢視I方向から見た操作装置の斜視図である。
【図39】図33の矢視J方向から見た操作装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
2、2’、2” ダイヤルユニット
10 入力ユニット
12 前側支持部材
14 軸受部材
16 内軸(第1の軸部材)
18 外軸(第2の軸部材)
20 内ダイヤル(第1の操作ダイヤル)
22 外ダイヤル(第2の操作ダイヤル)
30、30’、30” 出力ユニット
32、32’、32” 後側支持部材
34 下側支持部材
36、36’ 内側従動ギヤ部材(第1の回転部材)
37 ワイヤレバー
38 連結軸
40、40’ 外側従動ギヤ部材(第2の回転部材)
41 ワイヤレバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材に軸回転可能に支持された第1の軸部材と、
該第1の軸部材の一端に接合された第1の操作ダイヤルと、
前記支持部材に前記第1の軸部材周りで該第1の軸部材と同軸に軸回転可能に支持された第2の軸部材と、
該第2の軸部材の一端に接合され、前記第1の操作ダイヤルと軸方向で重合する環状の第2の操作ダイヤルと、
前記第1の軸部材の他端に前記第1及び前記第2の軸部材とは異なる軸周りで回転可能に連結され、外周部が第1の作動部材に機械的に連結された扁平状の第1の回転部材と、
前記第2の軸部材の他端に前記第1及び前記第2の軸部材とは異なる軸周りで回転可能に連結され、外周部が第2の作動部材に機械的に連結された扁平状の第2の回転部材と、
を備えたことを特徴とする車両用空調装置の操作装置。
【請求項2】
前記第1及び前記第2の軸部材の軸と前記第1の回転部材の軸とが平行である一方、前記第1及び前記第2の軸部材の軸と前記第2の回転部材の軸とが直交していることを特徴とする、請求項1記載の車両用空調装置の操作装置。
【請求項3】
前記第1及び前記第2の軸部材の軸と前記第1及び前記第2の回転部材の軸とが平行であることを特徴とする、請求項1記載の車両用空調装置の操作装置。
【請求項4】
前記第1及び前記第2の軸部材の軸と前記第1及び前記第2の回転部材の軸とが直交していることを特徴とする、請求項1記載の車両用空調装置の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2009−190636(P2009−190636A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35036(P2008−35036)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】