説明

車両用空調装置

【課題】車室内温度を適正に調整するとともに、窓ガラスの防曇性を良好に確保することができる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】車両用空調装置15は、エアコンユニット16で空調した空気をデフロスト吹出ダクト30から車室11内に吹き出して窓ガラス36に曇りが発生することを抑える機能を備えている。この車両用空調装置は、デフロスト吹出ダクトから吹き出される空気の吐気温TDEFを検知するデフロスト吐気温センサ17と、デフロスト吐気温センサで検知した検知情報に基づいてデフロスト吹出ダクトから吹き出される空気の吐気温TDEFを制御する制御部18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコンディショナユニットで空調した空気をデフロスト吹出ダクトから車室内に吹き出して窓ガラスに曇りが発生することを抑える車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用空調装置は、外気温が低温な冬季において車室内を暖房するために、通常、ヒートモードに設定される頻度が高い。
ヒートモードに設定することで、車室のフロアに向けて(すなわち、乗員の足元に向けて)ヒート吹出ダクトから空気(空調風)を吹き出すとともに、窓ガラスの防曇性を確保するためにデフロスト吹出ダクトから窓ガラスに空気(空調風)を吹き出すことができる。
【0003】
ここで、車両用空調装置をヒートモードで使用している際に、車室内の日射量が増加して車室内温度のうち天井側(ルーフ側)の温度が上昇することが考えられる。
この場合、ルーフ側の温度を適正に下げるためにヒートモードを、例えばバイレベルモード(ベント吹出ダクトおよびヒート吹出ダクトの両方のダクトから空調風を吹き出すモード)に切り替える。
しかし、バイレベルモードに切り替えると、窓ガラスに空調風を吹き出すことができないため窓ガラスに曇りが生じる虞がある。
【0004】
この不具合を解消するために、車両用空調装置で空調された冷風(外気)をデフロスト吹出ダクトに導くバイパス通路を備え、このバイパス通路を開閉可能なバイパス切替ダンパを備え、このバイパス切替ダンパの開閉を日射量に基づいて制御する制御部を備え、この制御部に日射量の情報を伝える日射センサを備えた車両用空調装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この車両用空調装置によれば、日射センサで検知した日射量がしきい値(上限値)を超えると、制御部から出力された開閉信号でバイパス通路を開き、開いたバイパス通路からデフロスト吹出ダクトに冷風を導くことができる。
よって、デフロスト吹出ダクトから窓ガラスに吹き付ける空調風の温度を下げることができる。
これにより、日射による車室内の熱負荷増加分を打ち消して車室内温度を適正に下げる(調整する)とともに、窓ガラスに曇りが生じることを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3721665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の車両用空調装置は、車室内の日射量を日射センサで検知し、日射センサの検知情報に基づいてデフロスト吹出ダクトから窓ガラスに向けて吹き出す空調風の温度を下げるようにしている。
この車両用空調装置によれば、例えば、デフロスト吹出ダクトから吹き出す空調風で窓ガラスの防曇性を確保することが難しい状態でも、日射量が多いために空調風の温度を下げるように制御することが考えられる。
このため、窓ガラスの防曇性を良好に調整することが難しく、この観点から改良の余地が残されていた。
【0008】
本発明は、車室内温度を適正に調整するとともに、窓ガラスの防曇性を良好に確保することができる車両用空調装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、エアコンディショナユニットで空調した空気をデフロスト吹出ダクトから車室内に吹き出して窓ガラスに曇りが発生することを抑える車両用空調装置において、前記デフロスト吹出ダクトから吹き出される空気の温度を検知するデフロスト吐気温検知手段と、前記デフロスト吐気温検知手段で検知した検知情報に基づいて前記デフロスト吹出ダクトから吹き出される空気の温度を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
ここで、例えば、外気温が低温な冬季においてヒートモードに設定した場合、暖かい空気が車室内のルーフ近傍(すなわち、乗員頭部近傍)に集まりやすい。
このため、ルーフ近傍の温度が車室内のその他の温度に比べて必要以上に上昇することが考えられる。
【0011】
そこで、請求項1において、デフロスト吐気温検知手段で検知した検知情報(検知信号)に基づいて制御部から制御信号を出力し、出力した制御信号でデフロスト吹出ダクトから吹き出される(噴出される)空気(空調風)の温度を調整するようにした。
よって、ルーフ近傍の温度が必要以上に上昇した場合に、ヒート吹出ダクトから乗員の足元に吹き出す空気(空調風)を所望温度に保ちながら、デフロスト吹出ダクトから吹き出す空調風の温度のみを下げることができる。
【0012】
請求項2は、エアコンディショナユニット内の空気を冷却するエバポレータと、前記エバポレータおよび前記デフロスト吹出ダクトを連通するデフロスト連通路と、前記デフロスト連通路を開閉可能なバイパス切替ダンパと、を備え、前記制御部は、前記デフロスト吐気温検知手段から伝えられた検知情報が、予め設定されたデフロスト吐気温の上限値を超えた場合、前記デフロスト連通路を開くように前記バイパス切替ダンパを制御し、前記デフロスト吐気温検知手段から伝えられた検知情報が、予め設定されたデフロスト吐気温の下限値より小さい場合、前記デフロスト連通路を閉じるように前記バイパス切替ダンパを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、デフロスト吐気温検知手段で検知した検知情報に基づいて制御部から制御信号を出力し、出力した制御信号でデフロスト吹出ダクトから吹き出される空調風の温度を調整するようにした。
よって、ルーフ近傍の温度が必要以上に上昇した場合に、ヒート吹出ダクトから乗員の足元に吹き出す空調風を所望温度に保ちながら、デフロスト吹出ダクトから吹き出す空調風の温度のみを下げることができる。
これにより、ルーフ近傍の温度が必要以上に上昇することを抑え、車室内温度を適正に調整することができる。
【0014】
さらに、請求項1において、デフロスト吹出ダクトから吹き出される空調風の温度をデフロスト吐気温検知手段で検知するようにした。よって、デフロスト吹出ダクトから吹き出される空調風の温度を直接検知することができる。
これにより、デフロスト吹出ダクトから吹き出す空調風の温度を直接制御して窓ガラスの防曇性を良好に確保することができる。
【0015】
請求項2に係る発明では、制御部に伝えられた検知情報が、デフロスト吐気温の上限値を超えた場合にデフロスト連通路をバイパス切替ダンパで開くようにした。
よって、エバポレータで冷却した空調風を、デフロスト連通路を経てデフロスト吹出ダクトに導くことができる。
これにより、デフロスト吹出ダクトから吹き出される空調風の温度を上限値の範囲内に収めることができる。
【0016】
一方、制御部に伝えられた検知情報が、デフロスト吐気温の下限値より小さい場合にデフロスト連通路をバイパス切替ダンパで閉じるようにした。
よって、エバポレータで冷却した空調風を、デフロスト連通路を経てデフロスト吹出ダクトに導かないようできる。
これにより、デフロスト吹出ダクトから吹き出される空調風の温度を下限値の範囲内に収めることができる。
【0017】
このように、デフロスト連通路をバイパス切替ダンパで開閉するだけの簡単な制御で、デフロスト吹出ダクトから吹き出す空調風の温度を制御(調整)することができる。
これにより、デフロスト吹出ダクトから吹き出す空調風の温度を、上・下限値間に好適に、かつ確実に制御して窓ガラスの防曇性を高めとともに、乗員の快適性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る車両用空調装置を示すブロックである。
【図2】図1の車両用空調装置のダンパ手段示す断面図である。
【図3】本発明に係るバイパス切替ダンパを閉じた状態の空調風流れを説明する図である。
【図4】デフロスト空調風の吐気温を規制するデフロスト吐気温の上・下限値を示すグラフである。
【図5】ヒート空調風の吐気温およびデフロスト吐気温の関係を示すグラフである。
【図6】本発明に係る制御部でデフロスト吐気温を制御する例を説明するフローチャートである。
【図7】本発明に係るバイパス切替ダンパを開いた状態の空調風流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0020】
実施例に係る車両用空調装置15について説明する。
図1に示すように、車両10は、車室11の前部がインストルメントパネル13で仕切られ、インストルメントパネル13の車体前方に車両用空調装置15を備えている。
車両用空調装置15は、車両10に設けられて車室11内の空調を制御するエアコンユニット(エアコンディショナユニット)16と、エアコンユニット16を制御する情報を検知するデフロスト吐気温センサ(デフロスト吐気温検知手段)17と、デフロスト吐気温センサ17で検知した情報に基づいてエアコンユニット16を制御する制御部18と、エアコンユニット16に設けられたダクトユニット19とを備えている。
【0021】
エアコンユニット16は、車室11の前方に設けられたハウジング21と、ハウジング21内に設けられて空気の流れを規制するダンパ手段22と、ハウジング21内に設けられたファン23と、ファン23の下流側に設けられたエバポレータ24およびヒータ25と、エバポレータ24に冷媒を供給するコンプレッサ26とを備えている。
【0022】
ハウジング21は、外気を導入する外気導入口31と、内気を導入する内気導入口32と、車室11内のフロア33に向けて(すなわち、乗員の足元に向けて)空調風を導くヒート吹出ダクト34と、ダクトユニット19のベント(換気)吹出ダクト29に連通するベント供給口35と、ダクトユニット19のデフロスト吹出ダクト30に連通するデフロスト供給口37と、デフロスト供給口37およびエバポレータ24間を連通するデフロスト連通路38とを備えている。
【0023】
ダクトユニット19は、車室11内の乗員の胸元に空調風を導くベント吹出ダクト29と、車室11の窓ガラス36に空調風を導くデフロスト吹出ダクト30とを備えている。
【0024】
ダンパ手段22は、外気導入口31および内気導入口32の開閉を切り替える内外気切替ダンパ44と、エバポレータ24の下流側に設けられた冷暖房切替(エアミックス)ダンパ47と、ヒータ25の下流側に設けられたデフロスト切替ダンパ51と、デフロスト切替ダンパ51の下流側に設けられたヒート切替ダンパ54と、エバポレータ24の下流側に設けられてデフロスト連通路38を開閉可能なバイパス切替ダンパ(バイパスドア)57とを備えている。
【0025】
内外気切替ダンパ44は、第1ダンパ部45を第1モータ46で矢印Aの如く揺動することで、第1ダンパ部45を外気導入口31および内気導入口32間に配置可能に構成されている。
第1モータ46を制御部18で制御することにより第1ダンパ部45を所望位置に配置することができる。
【0026】
第1ダンパ部45を想像線で示すように外気導入口31に配置することで、車室11内の内気をハウジング21内に導入する内気モードに切り替えることができる。
一方、第1ダンパ部45を実線で示すように内気導入口32に配置することで、外気をハウジング21内に導入する外気モードに切り替えることができる。
【0027】
図2に示すように、冷暖房切替ダンパ47は、第2ダンパ部48を第2モータ49(図1参照)で矢印Bの如く揺動することで、第2ダンパ部48をヒート連通口41およびクール連通口42間に配置可能に構成されたエアミックスダンパである。
第2モータ49を制御部18(図1参照)で制御することにより第2ダンパ部48を所望位置に配置することができる。
【0028】
第2ダンパ部48を実線で示すようにクール連通口42に配置することで、エバポレータ24で冷却された空気(空調風)をヒータ25に向けて導くことができる。
一方、第2ダンパ部48を想像線で示すようにヒート連通口41に配置することで、エバポレータ24で冷却された空調風をヒート吹出ダクト34、ベント吹出ダクト29やデフロスト吹出ダクト30に向けて導くことができる。
【0029】
デフロスト切替ダンパ51は、第3ダンパ部52を第3モータ53(図1参照)で矢印Cの如く揺動することで、第3ダンパ部52をデフロスト供給口37およびベント/ヒート連通口43間に配置可能に構成されている。
第3モータ53を制御部18(図1参照)で制御することにより第3ダンパ部52を所望位置に配置することができる。
【0030】
第3ダンパ部52を実線で示すようにベント/ヒート連通口43に配置することにより、エアコンユニット16で空調された空調風の吹出モードを「デフロストモード」に切り替えることができる。
「デフロストモード」に切り替えることで、エアコンユニット16で空調された空調風をデフロスト吹出ダクト30(吹出口30a)から窓ガラス36に向けて吹き出す(噴出する)ことができる。
以下、デフロスト吹出ダクト30から吹き出される空気(空調風)を、以下、「デフロスト空調風」という。
【0031】
ヒート切替ダンパ54は、第4ダンパ部55を第4モータ56(図1参照)で矢印Dの如く揺動することで、第4ダンパ部55をヒート吹出ダクト34およびベント供給口35間に配置可能に構成されている。
第4モータ56を制御部18(図1参照)で制御することにより第4ダンパ部55を所望位置に配置することができる。
【0032】
第4ダンパ部55を想像線で示すようにヒート吹出ダクト34に配置することにより「ベントモード」に切り替えることができる。
「ベントモード」に切り替えることで、エアコンユニット16で空調された空調風をベント吹出ダクト29から車室11内の乗員の胸元に向けて吹き出すことができる。
【0033】
一方、第4ダンパ部55を実線で示すようにベント供給口35に配置することにより「ヒートモード」に切り替えることができる。
「ヒートモード」において、第3ダンパ部52を破線で示すようにデフロスト供給口37およびベント/ヒート連通口43間の中間に配置する。
これにより、エアコンユニット16で空調された空調風をヒート吹出ダクト34から車室11内のフロア33に向けて(すなわち、乗員の足元に向けて)吹き出すとともに、空調風をデフロスト吹出ダクト30から窓ガラス36に向けて吹き出すことができる。
以下、ヒート吹出ダクト34から車室11内のフロア33に向けて吹き出される空調風を、以下、「ヒート空調風」という。
【0034】
ここで、デフロスト切替ダンパ51の第3ダンパ部52をデフロスト供給口37およびベント/ヒート連通口43間に配置し、かつ、ヒート切替ダンパ54の第4ダンパ部55をヒート吹出ダクト34に配置することで「バイレベルモード」に切り替えることができる。
「バイレベルモード」に切り替えることで、エアコンユニット16で空調された空調風をベント吹出ダクト29から車室11内の乗員の胸元に向けて吹き出すとともに、空調風をヒート吹出ダクト34からフロア33に向けて吹き出すことができる。
【0035】
また、デフロスト切替ダンパ51の第3ダンパ部52をデフロスト供給口37およびベント/ヒート連通口43間に配置し、かつ、ヒート切替ダンパ54の第4ダンパ部55をベント供給口35に配置することで「ヒート/デフロストモード」(以下、「ヒート/デフモード」という)に切り替えることができる。
【0036】
「ヒート/デフモード」に切り替えることで、エアコンユニット16で空調された空調風をヒート吹出ダクト34からフロア33に向けて吹き出すとともに、空調風をデフロスト吹出ダクト30から窓ガラス36に向けて吹き出すことができる。
ここで、「ヒート/デフモード」においては、「ヒートモード」と比べてデフロスト吹出ダクト30から窓ガラス36に向けて吹き出す空調風の吹出量が多くなるように調整される。
【0037】
バイパス切替ダンパ57は、第5ダンパ部58を第5モータ59(図1参照)で矢印Eの如く揺動することで、第5ダンパ部58をデフロスト連通路38を開く開位置P1およびデフロスト連通路38を閉じる閉位置P2間に配置可能に構成されている。
第5モータ59を制御部18(図1参照)で制御することにより第5ダンパ部58を所望位置に配置することができる。
【0038】
第5ダンパ部58を想像線で示すように開位置P1に配置することにより、エバポレータ24で冷却された空調風をデフロスト連通路38およびデフロスト供給口37を経てデフロスト吹出ダクト30に導くことができる。
一方、第5ダンパ部58を実線で示すように閉位置P2に配置することにより、エバポレータ24で冷却された空気(空調風)をデフロスト吹出ダクト30に導かないようにできる。
【0039】
図1に示すように、ファン23は、内外気切替ダンパ44の下流側に設けられ、ファン部61をファンモータ62で回転可能に構成されている。
ファンモータ62を制御部18で制御することによりファン部61を回転・停止状態に切り換えることができる。
ファン部61を回転することで、外気導入口31から外気を導入したり、内気導入口32から内気を導入することができる。そして、導入した外気(空気)や内気(空気)を下流側のエバポレータ24に向けて案内することができる。
【0040】
エバポレータ24は、ファン23の下流側に設けられ、コンプレッサ26から冷媒が供給されるように構成されている。
このコンプレッサ26を制御部18で回転(オン)・停止(オフ)状態に切り換えることができる。
【0041】
コンプレッサ26を制御部18で回転(オン)状態に制御することで冷媒が気体の状態でコンデンサ(図示せず)に送られる。送られた冷媒がコンデンサにおいて冷却され、液体の状態でエキスパンションバルブ(図示せず)へ送られる。このエキスパンションバルブで気化された冷媒がエバポレータ24に送られる。
気化状態の冷媒をエバポレータ24に供給することで、ファン23でハウジング21内に案内された空気(外気や内気)をエバポレータ24で冷却できる。
【0042】
ヒータ25は、冷暖房切替ダンパ47の下流側に設けられ、制御部18でオン・オフ状態に制御可能に構成されている。
ヒータ25をオン状態に制御することで、エバポレータ24で冷却された空気をヒータ25で加熱することができる。
【0043】
この車両用空調装置15によれば、車両10外の外気や車室11内の内気をファン23でエアコンユニット16内に導き、導いた空気をエアコンユニット16で空調することができる。
そして、空調した空気(空調風)を車室11内に吹き出して車室11内の空調制御をおこなうことや、窓ガラスに曇りが発生することを抑えることができる。
【0044】
デフロスト吐気温センサ17は、デフロスト供給口37の出口37a(図2も参照)内に設けられている。
このデフロスト吐気温センサ17は、デフロスト供給口37(デフロスト吹出ダクト30)から吹き出される空気(空調風)の温度TDEFを検知し、検知した検知情報(温度情報、検知信号)を制御部18に伝える検知手段である。
以下、デフロスト吹出ダクト30から吹き出される空調風の温度(吐気温)TDEFを、「デフロスト吐気温」TDEFという。
【0045】
ここで、デフロスト供給口37の出口37aおよびデフロスト吹出ダクト30の吹出口30aは近接しているので、出口37aを通過する空調風の温度は、吹出口30aから吹き出される空調風の温度と略同一である。
よって、デフロスト吐気温センサ17をデフロスト供給口37の出口37a内に設けることで、デフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFを直接検知することができる。
これにより、デフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFを正確に検知することができる。
【0046】
制御部18は、デフロスト吐気温センサ17で検知した検知情報に基づいて、デフロスト吹出ダクト30から吹き出されるデフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFを制御するものである。
ここで、デフロスト吐気温センサ17をデフロスト供給口37の出口37a内に設けて、デフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFを迅速・正確に検知することで、デフロスト吐気温TDEFを制御部18で迅速・細やかに制御(微調整)することができる。
【0047】
すなわち、制御部18は、デフロスト吐気温センサ17から伝えられた検知情報が、予め設定されたデフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFの上限値Tを超えた場合、第5モータ59を駆動してデフロスト連通路38を開くようにバイパス切替ダンパ57を開位置P1(図2参照)に配置(制御)することができる。
よって、エバポレータ24で冷却された空気(空調風)をデフロスト連通路38およびデフロスト供給口37を経てデフロスト吹出ダクト30に導くことができる。
【0048】
さらに、制御部18は、デフロスト吐気温センサ17から伝えられた検知情報が、予め設定されたデフロスト吐気温TDEFの下限値Tより小さい(低い)場合、第5モータ59を駆動してデフロスト連通路38を閉じるようにバイパス切替ダンパ57を閉位置P2(図2参照)に配置(制御)することができる。
よって、エバポレータ24で冷却された空調風をデフロスト連通路38およびデフロスト供給口37を経てデフロスト吹出ダクト30に導くことを阻止できる。
【0049】
つぎに、前述した「ベントモード」、「バイレベルモード」、「ヒートモード」、「ヒート/デフモード」、および「デフロストモード」のうちの、「ヒートモード」を図3に基づいて詳しく説明する。
ここで、「ヒートモード」は外気モード、内気モードの両モードが適用されるが、図3では理解を容易にするために外気モードを例示して説明する。
【0050】
すなわち、図3に示すように、「ヒートモード」は、内外気切替ダンパ44の第1ダンパ部45が内気導入口32に配置することで外気モードに配置され、冷暖房切替ダンパ47の第2ダンパ部48がヒート連通口41およびクール連通口42間に配置される。
なお、図3においては、空調風の流れの理解を容易にするために第2ダンパ部48をクール連通口42に配置した状態を例示する。
さらに、デフロスト切替ダンパ51の第3ダンパ部52がデフロスト供給口37およびベント/ヒート連通口43間の中間に配置される。
加えて、ヒート切替ダンパ54の第4ダンパ部55がベント供給口35に配置される。
【0051】
この状態において、ファンモータ62でファン部61を回転することで、外気が外気導入口31からフィルタ66およびファン部61を経てエバポレータ24に向けて矢印Fの如く導かれる。
エバポレータ24に導かれた外気がエバポレータ24で冷却され、ヒータ25に向けて矢印Gの如く導かれてヒータ25で加熱される。
【0052】
ヒータ25で加熱された外気がデフロスト切替ダンパ51の第3ダンパ部52に向けて矢印Hの如く導かれる。
第3ダンパ部52に向けて導かれた外気の一部が第3ダンパ部52でヒート吹出ダクト34に向けて矢印Iの如く導かれるとともに、残りの外気が第3ダンパ部52でデフロスト供給口37に向けて矢印Jの如く導かれる。
ヒート吹出ダクト34に向けて導かれた空調風がヒート吹出ダクト34を経て車室11内のフロア33に向けて(すなわち、乗員の足元に向けて)ヒート空調風として矢印Kの如く吹き出される。
【0053】
一方、デフロスト供給口37に向けて導かれた空調風がデフロスト吹出ダクト30を経て窓ガラス36に向けてデフロスト空調風として矢印Lの如く吹き出される。
窓ガラス36を経たデフロスト空調風がルーフ64に向けて矢印Mの如く導かれる。
窓ガラス36に向けてデフロスト空調風を吹き出すことで、窓ガラス36に曇りが発生することを抑えて窓ガラス36の防曇性を確保することができる。
【0054】
図4はデフロスト空調風の吐気温を規制するデフロスト吐気温TDEFの上限値Tおよび下限値Tを示すグラフ(マップ)である。
左側の縦軸はデフロスト空調風の吐気温TDEFを示し、右側の縦軸はデフロスト吐気温TDEFの上限値Tおよび下限値Tを示し、横軸は冷暖房切替ダンパ47(図2参照)の開度θを示す。
グラフG1はデフロスト吐気温TDEFの上限値Tを示し、グラフG2はデフロスト吐気温TDEFの下限値Tを示す。
【0055】
デフロスト吐気温TDEFは、デフロスト吐気温センサ17で検知した検知情報に基づいて制御部18(図1参照)で求められる。
同時に、第2モータ49(図1参照)からの位置情報に基づいて制御部18で冷暖房切替ダンパ47の開度θを求める。
【0056】
冷暖房切替ダンパ47の開度θは、図2に示すように、第2ダンパ部48がヒート連通口41(想像線で示す位置)に配置した状態においてθ=0°(すなわち、全閉状態)になる。
また、第2ダンパ部48がクール連通口42(実線で示す位置)に配置した状態においてθ=θ2(すなわち、全開状態)になる。
さらに、第2ダンパ部48がヒート連通口41およびクール連通口42間の中央に配置した状態においてθ=θ1(すなわち、半開状態)になる。
【0057】
デフロスト吐気温TDEFの上限値Tおよび下限値Tは、それぞれの値が予め設定されて制御部18に記憶されている。
上限値Tは、冷暖房切替ダンパ47の開度θが0≦θ≦θ1の範囲において上限値T1に設定されている。
また、上限値Tは、冷暖房切替ダンパ47の開度θがθ1<θ≦θ2の範囲において上限値T1から上限値T2に徐々に上昇するように設定されている。
【0058】
下限値Tは、冷暖房切替ダンパ47の開度θが0≦θ≦θ1の範囲において下限値T1に設定されている。
また、下限値Tは、冷暖房切替ダンパ47の開度θがθ1<θ≦θ2の範囲において下限値T1から下限値T2に徐々に上昇するように設定されている。
【0059】
ここで、図1、図2に示すバイパス切替ダンパ57の開閉を図4のグラフに基づいて制御する例について説明する。
すなわち、デフロスト吐気温センサ17から伝えられた検知情報に基づいて制御部18でデフロスト吐気温TDEFを求めるとともに、第2モータ49(図1参照)からの位置情報に基づいて制御部18で冷暖房切替ダンパ47の開度θを求める。
例えば、求めたデフロスト吐気温TDEFがTDEF1で、求めた冷暖房切替ダンパ47の開度θがθ3の場合、デフロスト吐気温TDEF1が上限値Tを超えている。
【0060】
この場合、第5モータ59を駆動してデフロスト連通路38を開くように制御部18から駆動信号が出力され、バイパス切替ダンパ57を開位置P1に配置(制御)する。
よって、エバポレータ24で冷却された空調風をデフロスト連通路38およびデフロスト供給口37を経てデフロスト吹出ダクト30に好適に導いて、デフロスト吐気温TDEF1を上限値T以下に保つことができる。
【0061】
バイパス切替ダンパ57を開位置P1に配置することで、デフロスト吐気温TDEFが下限値Tより小さく(低く)なることが考えられる。
この場合、第5モータ59を駆動してデフロスト連通路38を閉じるように制御部18から駆動信号が出力され、バイパス切替ダンパ57を閉位置P2に配置(制御)する。
よって、エバポレータ24で冷却された空調風をデフロスト連通路38およびデフロスト供給口37を経てデフロスト吹出ダクト30に導くことを阻止して、デフロスト吐気温TDEFを下限値T以上に保つことができる。
【0062】
このように、デフロスト吐気温TDEFを上限値T以下に保ち、かつ、デフロスト吐気温TDEFを下限値T以上に保つことで、デフロスト吐気温TDEFを上限値T〜下限値T間のエリア内に収めることができる。
【0063】
図5はヒート空調風の吐気温THEATおよびデフロスト吐気温TDEFの関係を示すグラフである。
縦軸はヒート空調風の吐気温THEATおよびデフロスト空調風の吐気温(デフロスト吐気温)TDEFを示し、横軸は冷暖房切替ダンパ47(図2参照)の開度θを示す。
グラフG3はヒート空調風の吐気温THEATを示し、グラフG4はデフロスト吐気温TDEFを示す。
【0064】
冷暖房切替ダンパ47の開度θが0≦θ≦θ2の範囲でバイパス切替ダンパ57の開閉を制御することで、ヒート空調風の吐気温THEATを好適な暖房温度に保ちながら、デフロスト吐気温TDEFを好適に下げることができる。
【0065】
例えば、冷暖房切替ダンパ47(図2参照)の開度θが0≦θ≦θ1の範囲において、図4に示すデフロスト吐気温TDEFを上限値T〜下限値T間に収めるようにバイパス切替ダンパ57の開閉を制御する。
ここで、冷暖房切替ダンパ47の開度θが0≦θ≦θ1の範囲(すなわち、全閉状態〜半開状態)において、デフロスト吐気温TDEFは、上限値Tが一定値T1に設定され、下限値Tが一定値T1に設定されている。
ところで、冷暖房切替ダンパ47の開度θが0≦θ≦θ1の範囲(すなわち、全閉状態〜半開状態)において、ヒート空調風は比較的少なく抑えられる。
【0066】
よって、図5に示すように、開度θが0≦θ≦θ1のヒート空調風を比較的少なく抑えた範囲において、開度θが大きくなる(すなわち、ヒート空調風が増す)につれてヒート空調風の吐気温THEATとデフロスト吐気温TDEFとの温度差TDIFF1を徐々に広げることができる。
これにより、ヒート空調風を比較的少なく抑えた範囲において、ヒート空調風の吐気温THEATを好適な暖房温度に保ちながら、デフロスト吐気温TDEFを乗員のフィーリングを良好に維持した状態で好適に下げることができる。
【0067】
同様に、冷暖房切替ダンパ47(図2参照)の開度θがθ1<θ≦θ2の範囲において、図4に示すデフロスト吐気温TDEFを上限値T1〜T2および下限値T1〜T2(図4参照)間に収めるようにバイパス切替ダンパ57の開閉を制御する。
ここで、冷暖房切替ダンパ47の開度θがθ1<θ≦θ2の範囲(すなわち、半開状態〜全開状態)において、デフロスト吐気温TDEFは、上限値TがT1からT2に上昇するように傾斜状に設定され、下限値TがT1からT2に上昇するように傾斜状に設定されている。
【0068】
ところで、冷暖房切替ダンパ47の開度θがθ1<θ≦θ2の範囲(すなわち、半開状態〜全開状態)において、ヒート空調風は比較的多く確保されている。
よって、図5に示すように、開度θがθ1<θ≦θ2のヒート空調風を比較的多く確保した範囲において、開度θが大きくなる(すなわち、ヒート空調風が増す)につれてヒート空調風の吐気温THEATとデフロスト吐気温TDEFとの温度差TDIFF2を一定に確保する(抑える)ことができる。
これにより、ヒート空調風を比較的多く確保した範囲において、ヒート空調風の吐気温THEATを好適な暖房温度に保ちながら、デフロスト吐気温TDEFを乗員のフィーリングを良好に維持した状態で好適に下げることができる。
【0069】
これにより、図1に示すルーフ64近傍の温度が必要以上に上昇した場合に、ヒート吹出ダクトから乗員の足元に吹き出すヒート空調風の吐気温THEATを所望温度に保ちながら、デフロスト吹出ダクト30から吹き出すデフロスト吐気温TDEFのみを好適に下げることができる。
これにより、乗員のフィーリングを良好に維持した状態でルーフ64近傍の温度が必要以上に上昇することを抑え、車室11内温度を適正に調整することができる。
【0070】
特に、ヒート空調風を比較的少なく抑えた範囲において、ヒート空調風が増すにつれてヒート空調風の吐気温THEATとデフロスト吐気温TDEFとの温度差TDIFF1を徐々に広げることができる。
さらに、ヒート空調風を比較的多く確保した範囲において、ヒート空調風の吐気温THEATとデフロスト吐気温TDEFとの温度差TDIFF2を一定に確保する(抑える)ことができる。
これにより、乗員のフィーリングを一層良好に維持した状態でルーフ64近傍の温度が必要以上に上昇することを抑え、車室11内温度を一層適正に調整することができる。
【0071】
ここで、図1に示すように、デフロスト供給口37の出口37aにデフロスト吐気温センサ17を設け、デフロスト吐気温センサ17でデフロスト吐気温TDEFを検知するようにした。よって、デフロスト吐気温TDEFを直接検知することができるので、デフロスト吐気温TDEFを迅速・正確に検知して制御部18で迅速・細やかに制御(微調整)することができる。
これにより、デフロスト吐気温TDEFを直接制御して窓ガラス36の防曇性を良好に確保することができる。
【0072】
つぎに、制御部18でデフロスト吐気温TDEFを制御する例を図1のブロック図、図6のフローチャートに基づいて説明する。
ST10において、エアコンユニット16で空調した空調風の吹出モードを読み込む。
具体的には、「ベントモード」、「バイレベルモード」、「ヒートモード」、「ヒート/デフモード」、および「デフロストモード」のうちから、現状の吹出モードを読み込む。
【0073】
ST11において、読み込んだ現状の吹出モードが「ヒートモード」または「ヒート/デフモード」であるか否かを判断する。
ST11において、現状の吹出モードが「ヒートモード」でないと判断し、かつ「ヒート/デフモード」でないと判断した場合ST12に進む。
ST12において、制御部18による現状の制御を継続する。
【0074】
一方、ST11において、現状の吹出モードが「ヒートモード」、「ヒート/デフモード」のいずれか一方のモードあると判断した場合ST13に進む。
ST13において、デフロスト吐気温TDEFの情報(データ)を読み込む。
具体的には、デフロスト吐気温センサ17で検知し、デフロスト吐気温センサ17から伝えられたデフロスト吐気温TDEFの情報を制御部18で読み込む。
読み込んだデフロスト吐気温TDEFの情報からデフロスト吐気温TDEFを求める。
同時に、第2モータ49からの位置情報を制御部18で読み込む。
読み込んだ第2モータ49からの位置情報に基づいて冷暖房切替ダンパ47の開度θを求める。
【0075】
ST14において、求めたデフロスト吐気温TDEFを上限値Tおよび下限値Tと比較する。
求めたデフロスト吐気温TDEFが上限値Tより大きい場合(すなわち、TDEF>T)ST15に進む。
ST15において、バイパス切替ダンパ57の第5ダンパ部58を開位置P1(図7参照)に配置する。
【0076】
第5ダンパ部58を開位置P1に配置する代表例として、図3に示す「ヒートモード」から第5ダンパ部58を開位置P1に配置する例を図7で詳しく説明する。
図7に示すように、第5ダンパ部58を開位置P1に配置することにより、エバポレータ24で冷却された空調風をデフロスト連通路38を経て矢印Nの如くデフロスト供給口37に導くことができる。
【0077】
デフロスト連通路38から矢印Nの如く導かれた空調風(すなわち、冷却された空調風)で、デフロスト供給口37に向けて矢印Jの如く導かれた空調風(すなわち、ヒータ25で加熱された空調風)を冷却する。
よって、デフロスト供給口37を経てデフロスト吹出ダクト30から窓ガラス36に向けて吹き出されるデフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFを、予め設定された上限値Tを超えないようにできる。
【0078】
これにより、ヒート吹出ダクト34からフロア33(乗員の足元)に向けて矢印Kの如く吹き出すヒート空調風を所望温度(上限値Tおよび下限値T間の温度)に保ちながら、デフロスト吹出ダクト30から吹き出すデフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFのみを下げることができる。
したがって、ルーフ64近傍の温度が必要以上に上昇することを抑え、車室11内温度を適正に調整することができる。
【0079】
さらに、デフロスト供給口37の出口37aにデフロスト吐気温センサ17を設け、デフロスト吐気温センサ17でデフロスト吹出ダクト30から矢印Lの如く吹き出されるデフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFを検知するようにした。
よって、デフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFをデフロスト吐気温センサ17で直接検知することができる。
【0080】
これにより、デフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFを直接制御して窓ガラス36の防曇性を良好に確保することができる。
このように、デフロスト吐気温センサ17をデフロスト供給口37の出口37a内に設けて、デフロスト空調風の温度を迅速・正確に検知することで、デフロスト空調風の温度を制御部18で迅速・細やかに制御(微調整)することができる。
【0081】
加えて、制御部18に伝えられた検知情報が、デフロスト吐気温TDEFの上限値Tを超えた場合にデフロスト連通路38をバイパス切替ダンパ57で開くようにした。
よって、エバポレータ24で冷却した空調風を、デフロスト連通路38およびデフロスト供給口37を経てデフロスト吹出ダクト30に導くことができる。
【0082】
これにより、デフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFを上限値Tの範囲内に収めることができる。
このように、デフロスト連通路38をバイパス切替ダンパ57で開放するだけの簡単な制御(構成)で、デフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFを上限値Tの範囲内に好適に、かつ確実に制御(収めて)して窓ガラス36の防曇性を高めるとともに、乗員の快適性を高めることができる。
【0083】
一方、ST14において、デフロスト吐気温TDEFが上限値T以下で、かつ下限値T以上(すなわち、上限値T≧吐気温TDEF≧下限値T)の場合ST16に進む。
ST16において、制御部18による現状の制御を継続する。
【0084】
また、ST14において、デフロスト吐気温TDEFが下限値Tより小さい(すなわち、吐気温TDEF<下限値T)場合ST17に進む。
ST17において、バイパス切替ダンパ57の第5ダンパ部58を閉位置P2(図3参照)に配置する。
【0085】
図3に示すように、第5ダンパ部58を閉位置P2に配置することにより、エバポレータ24で冷却された空調風をデフロスト連通路38およびデフロスト供給口37を経てデフロスト吹出ダクト30に導かないようにすることができる。
エバポレータ24で冷却された空調風をデフロスト吹出ダクト30に導かないようにすることで、デフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFが、予め設定された下限値Tより小さくなることを抑えることができる。
【0086】
この状態で、ヒート吹出ダクト34から乗員の足元に矢印Kの如く吹き出すヒート空調風が所望温度に保たれている。
これにより、ルーフ64近傍の温度が必要以上に下降することを抑え、かつ、車室11内温度を適正に調整することができる。
【0087】
さらに、デフロスト供給口37の出口37aにデフロスト吐気温センサ17を設け、デフロスト吐気温センサ17でデフロスト吹出ダクト30から矢印Lの如く吹き出されるデフロスト空調風の温度を検知するようにした。
よって、デフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFをデフロスト吐気温センサ17で直接検知することができる。
【0088】
これにより、デフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFを直接制御して窓ガラス36の防曇性を良好に確保することができる。
このように、デフロスト吐気温センサ17をデフロスト供給口37の出口37a内に設けて、デフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFを迅速・正確に検知することで、デフロスト吐気温TDEFを制御部18で迅速・細やかに制御(微調整)することができる。
【0089】
加えて、制御部18に伝えられた検知情報が、デフロスト吐気温TDEFの下限値Tより小さい場合にデフロスト連通路38をバイパス切替ダンパ57で閉じるようにした。
よって、エバポレータ24で冷却した空調風を、デフロスト連通路38およびデフロスト供給口37を経てデフロスト吹出ダクト30に導かないようできる。
【0090】
これにより、デフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFを下限値Tの範囲内に収めることができる。
このように、デフロスト連通路38をバイパス切替ダンパ57で閉塞するだけの簡単な制御(構成)で、デフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFを下限値Tの範囲内に好適に、かつ確実に制御(収めて)して窓ガラス36の防曇性を高めるとともに、乗員の快適性を高めることができる。
【0091】
なお、本発明に係る車両用空調装置15は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例では、エアコンユニット16の自動運転制御を「ヒートモード」に設定した例について説明したが、モードの設定はこれに限定するものではない。
例えば、「ヒート/デフモード」でも実施例の「ヒートモード」と同様の効果を得ることができる。
すなわち、ヒート吹出ダクト34からフロア33(乗員の足元)に向けて吹き出すヒート空調風を所望温度(上限値Tおよび下限値T間の温度)に保ちながら、デフロスト吹出ダクト30から吹き出すデフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFのみを下げることができる。
これにより、ルーフ64近傍の温度が必要以上に上昇することを抑え、車室11内温度を適正に調整することができる。
【0092】
さらに、デフロスト吐気温センサ17をデフロスト供給口37の出口37a内に設けて、デフロスト空調風の温度を迅速・正確に検知することで、デフロスト空調風の温度を制御部18で迅速・細やかに制御(微調整)して窓ガラス36の防曇性を良好に確保することができる。
加えて、デフロスト連通路38をバイパス切替ダンパ57で開閉するだけの簡単な制御(構成)で、デフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFを上限値Tおよび下限値T間に好適に、かつ確実に制御(収めて)して窓ガラス36の防曇性を高めるとともに、乗員の快適性を高めることができる。
【0093】
また、「デフロストモード」でも、実施例の「ヒートモード」と同様の効果を得ることができる。
すなわち、デフロスト吹出ダクト30から吹き出すデフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFを所望温度(上限値Tおよび下限値T間の温度)に保つことができる。
さらに、デフロスト吐気温センサ17をデフロスト供給口37の出口37a内に設けて、デフロスト空調風の温度を迅速・正確に検知することで、デフロスト空調風の温度を制御部18で迅速・細やかに制御(微調整)して窓ガラスの防曇性を良好に確保することができる。
加えて、デフロスト連通路38をバイパス切替ダンパ57で開閉するだけの簡単な制御(構成)で、デフロスト空調風のデフロスト吐気温TDEFを上限値Tおよび下限値T間に好適に、かつ確実に制御(収めて)して窓ガラス36の防曇性を高めるとともに、乗員の快適性を高めることができる。
【0094】
また、前記実施例では、デフロスト吐気温センサ17をデフロスト供給口37の出口37a内に設けてデフロスト空調風の温度を迅速・正確に検知する例について説明したが、これに限らないで、デフロスト吐気温センサ17をデフロスト吹出ダクト30の吹出口30aに設けることも可能である。
このように、デフロスト吐気温センサ17をデフロスト吹出ダクト30の吹出口30aに設けることで、実施例と同様に、デフロスト空調風の温度を迅速・正確に検知することが可能である。
【0095】
さらに、前記実施例で示した車両10、車室11、車両用空調装置15、エアコンユニット16、デフロスト吐気温センサ17、制御部18、エバポレータ24、窓ガラス36、デフロスト吹出ダクト30、デフロスト連通路38およびバイパス切替ダンパ57などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、エアコンユニットで空調した空気をデフロスト吹出ダクトから吹き出して窓ガラスの防曇性を確保する車両用空調装置を備えた自動車への適用に好適である。
【符号の説明】
【0097】
10…車両、11…車室、15…車両用空調装置、16…エアコンユニット(エアコンディショナユニット)、17…デフロスト吐気温センサ(デフロスト吐気温検知手段)、18…制御部、24…エバポレータ、36…窓ガラス、30…デフロスト吹出ダクト、38…デフロスト連通路、57…バイパス切替ダンパ、TDEF…デフロスト吐気温(デフロスト空調風の吐気温)、T…上限値、T…下限値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアコンディショナユニットで空調した空気をデフロスト吹出ダクトから車室内に吹き出して窓ガラスに曇りが発生することを抑える車両用空調装置において、
前記デフロスト吹出ダクトから吹き出される空気の温度を検知するデフロスト吐気温検知手段と、
前記デフロスト吐気温検知手段で検知した検知情報に基づいて前記デフロスト吹出ダクトから吹き出される空気の温度を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
エアコンディショナユニット内の空気を冷却するエバポレータと、
前記エバポレータおよび前記デフロスト吹出ダクトを連通するデフロスト連通路と、
前記デフロスト連通路を開閉可能なバイパス切替ダンパと、を備え、
前記制御部は、
前記デフロスト吐気温検知手段から伝えられた検知情報が、予め設定されたデフロスト吐気温の上限値を超えた場合、前記デフロスト連通路を開くように前記バイパス切替ダンパを制御し、
前記デフロスト吐気温検知手段から伝えられた検知情報が、予め設定されたデフロスト吐気温の下限値より小さい場合、前記デフロスト連通路を閉じるように前記バイパス切替ダンパを制御することを特徴とする請求項1記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−189848(P2011−189848A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58122(P2010−58122)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】