説明

車両用空調装置

【課題】複数のエアミックスダンパを独立して駆動する二重軸構造の駆動軸の軸中心ずれを防止し、それに伴う温調性能の低下や駆動トルクの増大等を抑制できる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【解決手段】互いに独立して駆動される複数のエアミックスダンパが一方のダンパの中空駆動軸31C,31D内に他方のダンパの中実駆動軸31A,31Bが貫通されている二重軸構造の駆動軸を有する車両用空調装置であって、その二重軸構造の駆動軸が回転自在に支持されているユニットケース3の側面と中空駆動軸31C,31Dの軸端に設けられている歯車32C,32Dとの間に、中空駆動軸31C,31Dの軸中心を固定する第1の軸中心固定機構38が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前席側の運転席および助手席、ならびに後席側の右席および左席等を独立して空調することができるマルチゾーンタイプの車両用空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前席側の運転席および助手席、後席側の右席および左席等を各々独立して温調可能としたマルチゾーンタイプの車両用空調装置(HVAC;Heating Ventilation and Air Conditioning Unit)の1つとして、HVAC内のエバポレータ下流側の空気流路を仕切板によって4つの流路に仕切り、各々の流路に独立して駆動されるエアミックスダンパを設け、個別に温調された空調風を前席側のフェイス吹出し流路およびフット吹出し流路と後席側のフェイス吹出し流路およびフット吹出し流路とに各々ダクトを介して導くようにしたものが、例えば特許文献1,2に示されている。
【0003】
また、空気流路を複数の流路に仕切る仕切板を介して各々左右一対のエアミックスダンパを回動自在に取付け、この各一対のエアミックスダンパを同一軸線上において、一側から二重軸構造の駆動軸を介して2つの電動アクチュエータにより個別に駆動可能としている車両用空調装置のダンパ駆動構造が、例えば特許文献3に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−211228号公報
【特許文献2】特開2008−100630号公報
【特許文献3】実開平6−48366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マルチゾーンタイプの車両用空調装置では、複数のエアミックスダンパを独立して駆動するため、特許文献3に示されるように、一方のダンパの中空駆動軸内に他方のダンパの中実駆動軸を貫通させた二重軸構造の駆動軸が用いられているが、中空駆動軸および中実駆動軸の軸中心が必ずしも固定支持されておらず、一方の駆動軸が他方の駆動軸の軸受となっている。このため、軸間や軸受部のクリアランスによって軸中心にずれが生じ、そのガタによる回転誤差や駆動軸同士の干渉、それに伴う駆動トルクの増大、温調性能の低下等の問題があり、エアミックスダンパの制御性悪化やダンパ駆動用アクチュエータの大型化等の要因となっていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、複数のエアミックスダンパを独立して駆動する二重軸構造の駆動軸の軸中心ずれを防止し、それに伴う温調性能の低下や駆動トルクの増大等を抑制できる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明の車両用空調装置は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる車両用空調装置は、エバポレータの下流側の仕切板により仕切られた複数の空気流路中に、ヒータをバイパスする流路と該ヒータを経る加熱流路とに流通される空気流量の割合を調整する互いに独立して駆動される複数のエアミックスダンパが設けられ、該エアミックスダンパが一方のダンパの中空駆動軸内に他方のダンパの中実駆動軸が貫通されている二重軸構造の駆動軸を有し、各駆動軸の軸端に設けられている歯車を介して各々駆動可能とされている車両用空調装置であって、前記二重軸構造の駆動軸が回転自在に支持されているユニットケースの側面と前記中空駆動軸の軸端に設けられている歯車との間に、前記中空駆動軸の軸中心を固定する第1の軸中心固定機構が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、互いに独立して駆動される複数のエアミックスダンパが一方のダンパの中空駆動軸内に他方のダンパの中実駆動軸が貫通されている二重軸構造の駆動軸を有する車両用空調装置であって、その二重軸構造の駆動軸が回転自在に支持されているユニットケースの側面と中空駆動軸の軸端に設けられている歯車との間に、中空駆動軸の軸中心を固定する第1の軸中心固定機構が設けられているため、中空駆動軸の軸中心を第1の軸中心固定機構を介してユニットケースに固定し支持することにより、中空駆動軸の軸中心ずれを防止することができる。従って、ガタによる回転誤差や駆動軸同士の干渉、それに伴う温調性能の低下や駆動トルクの増大等を抑制し、ダンパ駆動用アクチュエータの小型化および低コスト化を図ることができるとともに、エアミックスダンパの制御性を向上することができる。なお、本発明において、中実駆動軸とは、二重軸における中心側の軸を意味し、軸自体が中実か否かを意味するものではない。
【0009】
さらに、本発明の車両用空調装置は、上記の車両用空調装置において、前記第1の軸中心固定機構は、前記ユニットケースの側面または前記歯車の側面のいずれか一方に設けられたガイド部材と、前記他方に設けられ、前記ガイド部材が摺動自在に嵌合されるリング溝とから構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、第1の軸中心固定機構が、ユニットケースの側面または歯車の側面のいずれか一方に設けられたガイド部材と、他方に設けられ、ガイド部材が摺動自在に嵌合されるリング溝とから構成されているため、ユニットケースの側面または歯車の側面の一方に設けられているガイド部材を他方に設けられているリング溝に嵌合し、歯車の位置を拘束することにより、該歯車が設けられている中空駆動軸の軸中心ずれを防止することができる。従って、ガイド部材およびリング溝を設けるだけで、簡単かつ確実にガタによる回転誤差や駆動軸同士の干渉、それに伴う温調性能の低下、駆動トルクの増大等を抑制することができる。
【0011】
さらに、本発明の車両用空調装置は、上記の車両用空調装置において、前記ガイド部材および/または前記リング溝は、前記ユニットケースの側面および/または前記歯車の側面に一体成形されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、ガイド部材および/またはリング溝が、ユニットケースの側面および/または歯車の側面に一体成形されているため、中空駆動軸の軸中心を固定する第1の軸中心固定機構を、新たな部品を追加することなく既存部品の改良によって簡単に構成することができる。従って、軸中心固定機構を設けることによるコスト上昇を抑制することができる。
【0013】
さらに、本発明にかかる車両用空調装置は、エバポレータの下流側の仕切板により仕切られた複数の空気流路中に、ヒータをバイパスする流路と該ヒータを経る加熱流路とに流通される空気流量の割合を調整する互いに独立して駆動される複数のエアミックスダンパが設けられ、該エアミックスダンパが一方のダンパの中空駆動軸内に他方のダンパの中実駆動軸が貫通されている二重軸構造の駆動軸を有し、各駆動軸の軸端に設けられている歯車を介して各々駆動可能とされている車両用空調装置であって、前記二重軸構造の駆動軸である前記中実駆動軸の軸端に、前記中実駆動軸の軸中心を固定する第2の軸中心固定機構が設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、互いに独立して駆動される複数のエアミックスダンパが一方のダンパの中空駆動軸内に他方のダンパの中実駆動軸が貫通されている二重軸構造の駆動軸を有する車両用空調装置であって、その二重軸構造の駆動軸である中実駆動軸の軸端に、中実駆動軸の軸中心を固定する第2の軸中心固定機構が設けられているため、中実駆動軸の軸中心を第2の軸中心固定機構を介して固定し支持することにより、中実駆動軸の軸中心ずれを抑制することができる。従って、ガタによる回転誤差や駆動軸同士の干渉、それに伴う温調性能の低下や駆動トルクの増大等を抑制し、ダンパ駆動用アクチュエータの小型化および低コスト化を図ることができるとともに、エアミックスダンパの制御性を向上することができる。
【0015】
さらに、本発明の車両用空調装置は、上記の車両用空調装置において、前記第2の軸中心固定機構は、前記ユニットケースの側面に固定された支持部材と、該支持部材に設けられ、前記中実駆動軸の軸中心を支持、拘束する固定ガイドとから構成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、第2の軸中心固定機構が、ユニットケースの側面に固定された支持部材と、該支持部材に設けられ、中実駆動軸の軸中心を支持、拘束する固定ガイドとから構成されているため、ユニットケース側に固定されている支持部材に設けられた固定ガイドを介して中実駆動軸の軸中心を支持、拘束することにより、中実駆動軸の軸中心ずれを防止することができる。従って、支持部材および固定ガイドを設けるだけの簡素でかつ安価な構成により、確実にエアミックスダンパのガタによる回転誤差や駆動軸同士の干渉、それに伴う温調性能の低下、駆動トルクの増大等を抑制することができる。
【0017】
さらに、本発明の車両用空調装置は、上述のいずれかの車両用空調装置において、前記二重軸構造の駆動軸を回転自在に支持する前記仕切板の軸受部は、前記中空駆動軸の軸端を支持する構成とされていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、二重軸構造の駆動軸を回転自在に支持する仕切板の軸受部が、中空駆動軸の軸端を支持する構成とされているため、中空駆動軸の仕切板側の軸端を仕切板に設けられている軸受部によって支持し、該中空駆動軸を介してその内部側の中実駆動軸を支持することができる。従って、二重軸構造の中空駆動軸および中実駆動軸の仕切板側での軸中心ずれをも防止することができ、二重軸構造の駆動軸の回転誤差や軸同士の干渉、それに伴う駆動トルクの増大等を抑制し、ダンパ駆動用アクチュエータの小型化、低コスト化を図ることができるとともに、エアミックスダンパの制御性を向上することができる。
【0019】
さらに、本発明の車両用空調装置は、上述のいずれかの車両用空調装置において、前記二重軸構造の駆動軸は、前記中空駆動軸の内周または前記中実駆動軸の外周のいずれか一方に設けられている少なくとも3箇所以上のリブを介して互いに摺接支持されていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、二重軸構造の駆動軸が、中空駆動軸の内周または中実駆動軸の外周のいずれか一方に設けられている少なくとも3箇所以上のリブを介して互いに摺接支持されているため、軸相互間のクリアランスをより小さくしてガタを低減することができるとともに、摺接摩擦を低減することができる。従って、エアミックスダンパの制御性をより向上することができるとともに、その駆動トルクを小さくすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の車両用空調装置によると、中空駆動軸の軸中心を第1の軸中心固定機構を介してユニットケースに固定し支持することにより、中空駆動軸の軸中心ずれを防止することができるため、ガタによる回転誤差や駆動軸同士の干渉、それに伴う温調性能の低下や駆動トルクの増大等を抑制し、ダンパ駆動用アクチュエータの小型化および低コスト化を図ることができるとともに、エアミックスダンパの制御性を向上することができる。
【0022】
また、本発明の車両用空調装置によると、中実駆動軸の軸中心を第2の軸中心固定機構を介してユニットケースに固定し支持することにより、中実駆動軸の軸中心ずれを抑制することができるため、ガタによる回転誤差や駆動軸同士の干渉、それに伴う温調性能の低下や駆動トルクの増大等を抑制し、ダンパ駆動用アクチュエータの小型化および低コスト化を図ることができるとともに、エアミックスダンパの制御性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両用空調装置の斜視図である。
【図2】図1に示す車両用空調装置の一部を透視して示す斜視図である。
【図3】図1に示す車両用空調装置のユニット本体の分解斜視図である。
【図4】図1に示す車両用空調装置の空気流方向に沿う内部構造図である。
【図5】図1に示す車両用空調装置の空気流方向と直交する方向のエアミックスダンパ駆動軸位置での縦断面図である。
【図6】図5に示すエアミックスダンパの駆動機構の斜視図(A)ないし(D)である。
【図7】図5に示すエアミックスダンパのみを取り出した正面図である。
【図8】図7に示すエアミックスダンパの左側の一対をなすエアミックスダンパの拡大正面図である。
【図9】図1に示す車両用空調装置のエアミックスダンパ駆動軸の軸端を支持しているケース位置での横断面図である。
【図10】図9に示すエアミックスダンパ駆動軸の軸線位置での縦断面図(A)とその駆動歯車の正面図(B)である。
【図11】図10に示す歯車を拘束するガイド部材の正面図(A),(B),(C)である。
【図12】図8に示すエアミックスダンパの二重軸構造の駆動軸を図8中のA部位置で回転自在に支持する仕切板の軸受部の断面図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る車両用空調装置のエアミックスダンパ駆動軸の軸端位置での縦断面図(A)とその駆動歯車の正面図(B)である。
【図14】本発明の第3実施形態に係る車両用空調装置の図8におけるB部の縦断面相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1ないし図12を用いて説明する。
本実施形態の車両用空調装置(HVAC;Heating Ventilation and Air Conditioning Unit)1は、車室内前方のインストルメントパネル内の略中央部に車両の前後方向に空気流を流通するように配設されている。HVAC1の上流側には、外気または車室内の空気を取り込んでHVAC1に供給するブロアユニット2が接続されている。ブロアユニット2は通常助手席側(右ハンドル車の場合は、HVAC1の左側、左ハンドル車の場合は、HVAC1の右側)に配設され、HVAC1に対して側方から空気を送風している。
【0025】
HVAC1は、複数に分割して成形されたケースを一体に組み付けて構成されるユニットケース3を備えている。図4に示されるように、ユニットケース3の上流部には、ブロアユニット2が接続される開口部4が形成され、その内部には、ユニットケース3の下流部に形成されているデフ吹出し流路6、フェイス吹出し流路7およびフット吹出し流路8に連なる空気流路5が形成されている。空気流路5には、開口部4の直後に図示省略の冷凍サイクルを構成し、冷媒が循環されるエバポレータ9が配設され、ブロアユニット2から送られてくる空気を冷媒との熱交換により冷却できるように構成されている。
【0026】
エバポレータ9の下流側で空気流路5は、エンジン冷却水が循環されるヒータコア10が配設されている加熱流路11と、ヒータコア10をバイパスするバイパス流路12とに分かれており、これらの流路11,12には、分岐部に設けられているエアミックスダンパ13により調整された流量割合の空気流が流通されるように構成されている。加熱流路11とバイパス流路12は、エアミックスダンパ13下流のエアミックス域14で合流された後、エアミックス域14を経てその下流側のデフ吹出し流路6、フェイス吹出し流路7およびフット吹出し流路8に連なっている。
【0027】
デフ吹出し流路6およびフェイス吹出し流路7の間には、デフ吹出し流路6とフェイス吹出し流路7とを開閉するデフ/フェイスダンパ15が回動自在に設けられ、フット吹出し流路8の入り口部には、フット吹出し流路8とデフ吹出し流路6およびフェイス吹出し流路7への流路とを開閉するフットダンパ16が回動自在に設けられている。以上の構成は、前席側(運転席と助手席)を空調する一般的なシングルゾーンタイプのHVACと略同等とされており、特に変わっている点はない。
【0028】
本実施形態では、空気流路5のエバポレータ9下流側に、空気の流通方向に沿って縦方向に3枚の仕切板17A,17B,17Cが設置され、エバポレータ9下流側の空気流路5が4つの空気流路5A,5B,5C,5Dに仕切られている。これによって、空気流路5のエバポレータ9下流側に形成されている加熱流路11、バイパス流路12、エアミックス域14、フェイス吹出し流路7およびフット吹出し流路8も各々4つの流路、すなわち加熱流路11Aないし11D、バイパス流路12Aないし12D、エアミックス域14Aないし14D、フェイス吹出し流路7Aないし7Dおよびフット吹出し流路8Aないし8Dに仕切られている。なお、デフ流路6は、特に4つの流路に仕切る必要はなく、ここでは左右2つの流路6A,6Bに仕切られている。
【0029】
4つの空気流路5A,5B,5C,5Dに仕切られた空気流路5は、中央部の2つの流路5A,5Bが後席側の右席および左席用の流路とされ、両側部の2つの流路5C,5Dが前席側の運転席および助手席用の流路とされている。空気流路5A,5B,5C,5Dの下流側は、4流路に仕切られてフェイス吹出し流路7Aないし7Dおよびフット吹出し流路8Aないし8Dに連なっている。これら4流路において、運転席および助手席に対応して設けられている吹出し口に連なる空気流路の開口をA、後席側の右席および左席に対応して設けられている吹出し口に連なる空気流路の開口をBとしたとき、その大きさは、A>Bとされている(図3および図5参照)。
【0030】
具体的には、4流路に仕切られているフェイス吹出し流路7Aないし7Dおよびフット吹出し流路8Aないし8Dの流路開口A,Bの大きさを、流路断面積比により比較したとき、その比は概ねA:B=6:4とされている。また、空気流の流量配分比により比較したとき、その比は概ねA:B=7:3とされており、後席の右席および左席に比べ、前席側の運転席および助手席に対してより多くの量の空気流を流すことができるように構成されている。
【0031】
エバポレータ9の下流側で空気流路5が4流路に仕切られることにより、エアミックスダンパ13、デフ/フェイスダンパ15およびフットダンパ16も各流路に対応して各々エアミックスダンパ13Aないし13D、デフ/フェイスダンパ15Aないし15Dおよびフットダンパ16Aないし16Dの4つに分割されて配設されている。デフ/フェイスダンパ15Aないし15Dおよびフットダンパ16Aないし16Dは、公知の如く互いに連動して開閉され、デフモード、フェイスモード、フットモード、バイレベルモードおよびデフ/フットモード等のいずれかの吹出しモードが選択可能とされている。なお、フットダンパ16Aないし16Dについては、4流路について独自にフェイスモード、バイレベルモードおよびフットモードが選択可能とされている。
【0032】
また、4つの空気流路5Aないし5Dに設けられたエアミックスダンパ13は、後述の駆動機構を介して各々が独立して駆動可能とされており、これによって、4つの流路を経て前後左右の4席に対応して設けられている後述のフェイス吹出し口22A,22B,22C,22D,24A,24Bおよびフット吹出し口26A,26B,28A,28Bから車室内へと吹出される空気流の温度が個別に調整できるように構成されている。
【0033】
HVAC1のデフ吹出し流路6A,6B、フェイス吹出し流路7Aないし7Dおよびフット吹出し流路8Aないし8Dには、図1および図2に示されるように、それぞれダクトが接続されており、このダクトを介して以下に説明の如く、車室内に設けられている吹出し口に連通されている。デフ吹出し流路6A,6Bには、デフダクト18A,18Bが接続されており、このデフダクト18A,18Bは、左右2箇所に設けられているフロントガラスに対応した2つの吹出し口19A,19Bと、サイドウインドガラスに対応した2つの吹出し口20A,20Bに連通されている。
【0034】
4つのフェイス吹出し流路7Aないし7Dの中の両側部に配置されている前席側のフェイス吹出し流路7C,7Dには、フロントフェイスダクト21A,21Bが接続され、このフロントフェイスダクト21A,21Bは、運転席用の中央およびサイドフェイス吹出し口22A,22Bと助手席用の中央およびサイドフェイス吹出し口22C,22Dとに連通されている。また、4つのフェイス吹出し流路7Aないし7Dの中の中央部に配置されている後席側のフェイス吹出し流路7A,7Bには、リアフェイスダクト23A,23Bが接続され、このリアフェイスダクト23A,23Bは、後席側の右席および左席用フェイス吹出し口24A,24Bに連通されている。
【0035】
同様に、フット吹出し流路8Aないし8Dの中の両側部に配置されている前席側のフット吹出し流路8C,8Dには、フロントフットダクト25A,25Bが接続され、このフロントフットダクト25A,25Bは、運転席用のフット吹出し口26Aおよび助手席用のフット吹出し口26Bに連通されている。また、フット吹出し流路8Aないし8Dの中の中央部に配置されている後席側のフット吹出し流路8A,8Bには、リアフットダクト27A,27Bが接続され、このリアフットダクト27A,27Bは、後席側の右席および左席用フット吹出し口28A,28Bに連通されている。
【0036】
上記フロントフェイスダクト21A,21Bおよびフロントフットダクト25A,25Bは、HVAC1の両側部に配置されているフェイス吹出し流路7C,7Dおよびフット吹出し流路8Aないし8Dから、そのまま左右方向および上下方向に延長されるように配設されている。そして、その中間において、中央部に配置されているフェイス吹出し流路7A,7Bおよびフット吹出し流路8A,8Bから、リアフェイスダクト23A,23Bおよびリアフットダクト27A,27Bが前後および上下に積層状態とされて上下方向および前後方向に延長され、後席側の右席および左席へと配設されている。
【0037】
さらに、4つの流路に対応して設けられているエアミックスダンパ13Aないし13Dは、図5に示されるように、同一軸線上で各々独立して駆動可能に設置されている。該エアミックスダンパ13Aないし13Dは、図6に示されるように、4つの流路に仕切られている右側の2つの空気流路5A,5Cに対応して設けられているエアミックスダンパ13A,13Cが、ユニットケース3の右側面に設置されているアクチュエータ(駆動源)30A,30Cにより駆動され、左側の2つの空気流路5B,5Dに対応して設けられているエアミックスダンパ13B,13Dが、ユニットケース3の左側面に設置されているアクチュエータ(駆動源)30B,30Dにより駆動されるように構成されている。
【0038】
これらエアミックスダンパ13A,13Cおよびエアミックスダンパ13B,13Dを駆動する駆動軸は、以下に説明の如く二重軸構造とされている。つまり、エアミックスダンパ13Aないし13Dのうち、外側の2つのエアミックスダンパ13C,13Dの駆動軸は、中空駆動軸31C,31Dとされ、この中空駆動軸31C,31Dの内部に、中央側の2つのエアミックスダンパ13A,13Bの中実駆動軸31A,31Bが貫通された構成とされている。なお、本発明において、中実駆動軸31A,31Bとは、中空駆動軸31C,31Dの中空部に貫通されている軸を意味し、該軸自体は、中実軸であっても中空軸であってもよい。
【0039】
これら中実駆動軸31A,31Bおよび中空駆動軸31C,31Dは、図5に示されるように、ユニットケース3の左右側面と仕切板17A,17B,17Cとにより回転自在に支持されており、各々の外側軸端はユニットケース3の左右側面から外方に突出されている。中実駆動軸31A,31Bおよび中空駆動軸31C,31Dの外側軸端には、各々歯車32A,32B,32C,32Dが設けられており、この歯車32Aないし32Dに対して、ユニットケース3の左右側面に設置されているアクチュエータ30Aないし30Dの出力軸33Aないし33Dに設けられている歯車34Aないし34Dが噛合わされることにより、中実駆動軸31A,31Bおよび中空駆動軸31C,31Dが各々独立して駆動可能とされている。
【0040】
図7には、エアミックスダンパ13A,13B,13C,13Dのみを取り出した状態の正面図が示され、図8には、二重軸構造の駆動軸により駆動される一対のエアミックスダンパ13B,13Dの拡大正面図が示されている。内側に配置されているエアミックスダンパ13B(13A)の駆動軸は、中実駆動軸31B(31A)とされ、この中実駆動軸31B(31A)は、外側に配置されているエアミックスダンパ13D(13C)の中空駆動軸31D(31C)内に貫通されている。この中実駆動軸31B(31A)および中空駆動軸31D(31C)の外側軸端は、ユニットケース3の側面から外方に突出されている。
【0041】
中実駆動軸31B(31A)および中空駆動軸31D(31C)の外端側は、図9,10に示されるように、ユニットケース3の側面に形成されている軸受部35により中空駆動軸31D(31C)の軸端側が回転自在に支持され、該中空駆動軸31D(31C)の内周面により中実駆動軸31B(31A)の外周が回転自在に支持されている。この中実駆動軸31B(31A)および中空駆動軸31D(31C)の外端側には、上記の如く歯車32Aないし32Dが設けられ、該歯車32Aないし32Dに対して、ユニットケース3の側面に固定設置されているアクチュエータ30Aないし30Dの出力軸33Aないし33Dに設けられている歯車34Aおよび34Dが噛合わされている。
【0042】
ここで、アクチュエータ30Aないし30Dでエアミックスダンパ13Aないし13Dを駆動する時、歯車32Aないし32Dと歯車34Aないし34Dとの噛合い部には、接線方向に動力伝達力が負荷される。これによって、中実駆動軸31A,31Bと中空駆動軸31C,31Dとの間にはクリアランスがあり、また、その軸受部には軸受隙間が存在することから、各駆動軸31Aないし31Dの軸中心にずれが生じ、これがエアミックスダンパ13Aないし13Dによる温調性能に対して悪影響を及ぼす。この軸中心のずれを防止するため、図10および図11に示されるように、ユニットケース3の側面に設けられたガイド部材36と、歯車32D(32C)の側面に設けられ、ガイド部材36が摺動自在に嵌合されるリング溝37とにより構成され、中空駆動軸31C,31Dの軸中心を固定する第1の軸中心固定機構38が設けられている。
【0043】
ガイド部材36は、図11に示されるように、リング状のガイド部材36Aにより構成してもよいし、円周上の等分位置に配置された3点ピンからなるガイド部材36Bあるいは2点ピンからなるガイド部材36Cにより構成してもよい。また、このガイド部材36およびリング溝37は、上記とは逆に、ガイド部材36を歯車32D(32C)の側面に設け、リング溝37をユニットケース3の側面に設けた構成としてもよい。更に、ガイド部材36およびリング溝37は、ユニットケース3および/または歯車32D(32C)と一体成形により構成してもよいし、摩擦係数の小さい材料からなる別部品によって構成してもよい。
【0044】
一方、中実駆動軸31B(31A)および中空駆動軸31D(31C)の他端側、すなわち内端側は、図5に示されるように、仕切板17Aないし17Cに設けられている軸受部39,40,41によって回転自在に支持されている。つまり、中央部の仕切板17Bには、軸受部39が設けられており、この軸受部39を介して左右一対の中実駆動軸31A,31Bの内端側の軸端が回転自在に支持されている。また、両側の仕切板17A,17Cには、図12に示されるように、軸受部41(40)が設けられており、この軸受部41(40)によって左右一対の中空駆動軸31D(31C)の内端側の軸端外周が各々回転自在に支持されている。そして、中空駆動軸31D(31C)の内端側の内周面によって中実駆動軸31B(31A)の外周が回転自在に支持されている。
【0045】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
ブロアユニット2からHVAC1に送風された空気は、ユニットケース3内の空気流路5を流通される間にエバポレータ9および/またはヒータコア10により冷却および/または加熱され、更にはその割合がエアミックスダンパ13Aないし13Dを介して調整されることにより目標吹出し温度に温調される。
【0046】
この空調風は、吹出しモードに応じて開閉されるデフ/フェイスダンパ15Aないし15Dおよびフットダンパ16Aないし16Dによって、デフ吹出し流路6A,6B、フェイス吹出し流路7Aないし7D、およびフット吹出し流路8Aないし8Dのいずれかに選択的に流通され、各流路に接続されているダクト18A,18B,21A,21B,23A,23B,25A,25B,27A,27Bを介して車室内への吹出し口19A,19B,20A,20B,22A,22B,22C,22D,24A,24B,26A,26B,28A,28Bのいずれかから車室内へと吹出される。
【0047】
すなわち、デフモード時、空調風はダクト18A,18Bを経て吹出し口19A,19B,20A,20Bからフロントガラス、サイドウインドガラスに向けて吹出され、フェイスモード時、空調風はフロントフェイスダクト21A,21Bを介してフェイス吹出し口22A,22B,22C,22Dから運転席および助手席の乗員に向けて吹出されるとともに、リアフェイスダクト23A,23Bを介してフェイス吹出し口24A,24Bから後席側の右席および左席の乗員に向けて吹出される。また、フットモード時、空調風はフロントフットダクト25A,25Bを介してフット吹出し口26A,26Bから運転席および助手席の乗員の足元に向けて吹出されるとともに、リアフットダクト27A,27Bを介してフット吹出し口28A,28Bから後席側の右席および左席の乗員の足元に向けて吹出される。
【0048】
さらに、バイレベルモード時、空調風は各ダクトを介して前席側のフェイス吹出し口22A,22B,22C,22Dおよびフット吹出し口26A,26Bの双方から吹出されるとともに、後席側のフェイス吹出し口24A,24Bおよびフット吹出し口28A,28Bの双方から吹出される。また、デフ/フットモード時、空調風はフロントガラスおよびサイドウインドガラスに向けた吹出し口19A,19B,20A,20Bと、乗員の足元に向けたフット吹出し口26A,26B,28A,28Bとの双方から吹出される。
【0049】
このように、本実施形態によれば、エバポレータ9下流側の空気流路5が3枚の仕切板17A,17B,17Cにより4つの流路5Aないし5Dに仕切られており、これら4流路に配設されているエアミックスダンパ13Aないし13Dを介して好みの温度に調整された空調風を、前席側の運転席および助手席と後席側の右席および左席との4席に対応して設けられているフェイス吹出し口22Aないし22Dおよび24A,24Bとフット吹出し口26A,26Bおよび28A,28Bから車室内へと吹出すことができる。これによって、4席を個別に空調することができるマルチゾーンタイプの車両用空調装置(HVAC)1を得ることができる。
【0050】
また、4つの空気流路5Aないし5Dに独立して駆動可能に設けられているエアミックスダンパ13Aないし13Dを駆動する二重軸構造の駆動軸に対して、これら駆動軸が回転自在に支持されているユニットケース3の側面と中空駆動軸31C,31Dの軸端に設けられている歯車32C,32Dとの間に、中空駆動軸31C,31Dの軸中心を固定する第1の軸中心固定機構38を設け、該第1の軸中心固定機構38を介して中空駆動軸31C,31Dの軸中心をユニットケース3に固定し支持することにより、中空駆動軸31C,31Dの軸中心ずれを防止するようにしている。
【0051】
このため、エアミックスダンパ13Aないし13Dのガタによる回転誤差や駆動軸同士の干渉、それに伴う温調性能の低下や駆動トルクの増大等を抑制し、ダンパ駆動用アクチュエータ30Aないし30Dの小型化および低コスト化を図ることができるとともに、エアミックスダンパ13Aないし13Dの制御性を向上することができる。
【0052】
また、第1の軸中心固定機構38は、ユニットケース3の側面または歯車32C,32Dの側面のいずれか一方に設けられたガイド部材36と、その他方に設けられ、ガイド部材36が摺動自在に嵌合されるリング溝37とから構成され、ユニットケース3の側面または歯車32C,32Dの側面の一方に設けられているガイド部材36を他方に設けられているリング溝37に嵌合し、歯車32C,32Dの位置を拘束することによって、該歯車32C,32Dを介して中空駆動軸31C,31Dの軸中心ずれを防止している。このため、ガイド部材36およびリング溝37を設けるだけで、簡単にかつ確実に上記の如くガタによる回転誤差や駆動軸同士の干渉、それに伴う温調性能の低下、駆動トルクの増大等を抑制することができる。
【0053】
また、上記ガイド部材36および/またはリング溝37は、ユニットケース3の側面および/または歯車32C,32Dの側面に、それぞれ一体に成形されているため、中空駆動軸31C,31Dの軸中心を固定する第1の軸中心固定機構38を、新たな部品を追加することなく既存部品の改良によって簡単に構成することができる。従って、第1の軸中心固定機構38を設けることによるコスト上昇を抑制することができる。
【0054】
さらに、本実施形態においては、上記二重軸構造の駆動軸を回転自在に支持する仕切板17A,17C側の軸受部40,41が、中空駆動軸31C,31Dの軸端を支持するように構成されている。このため、中空駆動軸31C,31Dの内端側の軸端を仕切板17A,17Cに設けられている軸受部40,41により支持し、該中空駆動軸31C,31Dを介してその内部の中実駆動軸31A,31Bを支持することができる。従って、二重軸構造の中空駆動軸31C,31Dおよび中実駆動軸31A,31Bの内端側での軸中心ずれをも防止することができ、二重軸構造の駆動軸の回転誤差や軸同士の干渉、それに伴う駆動トルクの増大等を抑制し、ダンパ駆動用アクチュエータ30Aないし30Dの小型化、低コスト化を図ることができるとともに、エアミックスダンパ13Aないし13Dの制御性を向上することができる。
【0055】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図13を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、中実駆動軸31A,31Bの外端側にその軸中心ずれを防止する第2の軸中心固定機構42を設けている点が異なる。その他の点については、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
本実施形態では、図13に示されるように、中実駆動軸31B(31A)の外端側にその軸中心を固定し、該中実駆動軸31B(31A)の軸中心ずれを防止する第2の軸中心固定機構42が設けられた構成とされている。
【0056】
この第2の軸中心固定機構42は、ユニットケース3の側面と中実駆動軸31B(31A)の外端側軸端との間に設けられており、ユニットケース3の側面に固定設置されている支持部材43と、該支持部材43に設けられ、中実駆動軸31B(31A)の軸中心を支持する固定ガイド44とから構成されている。なお、固定ガイド44は、中実駆動軸31B(31A)の軸端中心に設けられている孔を嵌合支持するようにしてもよいし、軸端の外周を支持するようにしてもよい。また、固定ガイド44は、支持部材43に対して一体成形としてもよいし、別体にて設けてもよい。
【0057】
本実施形態によれば、上記のように、エアミックスダンパ13Aないし13Dを駆動する二重軸構造の駆動軸に対して、これら駆動軸が回転自在に支持されているユニットケース3の側面と中実駆動軸31B(31A)の軸端との間に、ユニットケース3の側面に固定設置されている支持部材43と、該支持部材43に設けられ、中実駆動軸31B(31A)の軸中心を支持する固定ガイド44とから構成され、中実駆動軸31B(31A)の軸中心を固定する第2の軸中心固定機構42を設けているため、中実駆動軸31B(31A)の軸中心を第2の軸中心固定機構42を介してユニットケース3に固定し支持することができ、これによって、中実駆動軸31B(31A)の軸中心ずれを抑制することができる。
【0058】
従って、エアミックスダンパ13Aないし13Dのガタによる回転誤差や駆動軸同士の干渉、それに伴う温調性能の低下や駆動トルクの増大等を抑制し、ダンパ駆動用アクチュエータ30Aないし30Dの小型化および低コスト化を図ることができるとともに、エアミックスダンパ13Aないし13Dの制御性を向上することができる。また、中実駆動軸31B(31A)の軸中心を支持、拘束し、その軸中心ずれを防止する第2の軸中心固定機構42を、支持部材43および固定ガイド44のみで簡素にかつ安価に構成することができ、これによって、軸間のクリアランスや軸受隙間に基づくエアミックスダンパ13Aないし13Dのガタによる回転誤差や駆動軸同士の干渉、それに伴う温調性能の低下、駆動トルクの増大等を抑制し、確実に高性能化することができる。
【0059】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、図14を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1および第2実施形態に対して、二重軸構造をなす中実駆動軸31A,31Bおよび中空駆動軸31C,31D間の支持構造が異なっている。その他の点については、第1および第2実施形態と同様であるので説明は省略する。
本実施形態は、二重軸構造の駆動軸を構成している中実駆動軸31A,31Bおよび中空駆動軸31C,31D間において、図14に示されるように、中空駆動軸31C,31Dの内周の複数箇所にリブ45を設け、該リブ45を介して中実駆動軸31A,31Bの外周を摺接支持する構成としている。
【0060】
上記リブ45は、中空駆動軸31C,31Dの内周面上に等分割配置で少なくとも3箇所以上に設けられている。なお、このリブ45は、中空駆動軸31C,31D側に一体成形により設けられているが、中実駆動軸31A,31Bの外周面側に一体成形し、中空駆動軸31C,31Dの内周を摺接支持するように構成してもよい。
【0061】
本実施形態によると、上記のように、二重軸構造をなす中実駆動軸31A,31Bと中空駆動軸31C,31Dとが、相互に中空駆動軸31C,31Dの内周または中実駆動軸31A,31Bの外周のいずれか一方に設けられている少なくとも3箇所以上のリブ45を介して摺接支持されているため、軸相互間のクリアランスをより小さくしてガタを低減することができるとともに、摺接摩擦を低減することができる。従って、エアミックスダンパ13Aないし13Dの制御性をより向上することができるとともに、その駆動トルクを小さくすることができる。
【0062】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、エバポレータ下流側の空気流路を4つの流路5Aないし5Dに仕切り、各流路に独立して駆動される4つのエアミックスダンパ13Aないし13Dを設置した例について説明したが、前席側の運転席と助手席の2席をそれぞれ独立して温調するようにしたHVAC、あるいは前席側の2席への空調風と後席側の2席への空調風とを1つのユニット内の別領域で温調するようにしたHVAC等にも同様に適用できることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0063】
1 車両用空調装置(HVAC)
3 ユニットケース
5,5A,5B,5C,5D 空気流路
9 エバポレータ
10 ヒータ
11,11A,11B,11C,11D 加熱流路
12,12A,12B,12C,12D バイパス流路
13,13A,13B,13C,13D エアミックスダンパ
17A,17B,17C 仕切板
31A,31B 中実駆動軸
31C,31D 中空駆動軸
32A,32B,32C,32D 歯車
36,36A,36B,36C ガイド部材
37 リング溝
38 第1の軸中心固定機構
39,40,41 軸受部
42 第2の軸中心固定機構
43 支持部材
44 固定ガイド
45 リブ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エバポレータの下流側の仕切板により仕切られた複数の空気流路中に、ヒータをバイパスする流路と該ヒータを経る加熱流路とに流通される空気流量の割合を調整する互いに独立して駆動される複数のエアミックスダンパが設けられ、該エアミックスダンパが一方のダンパの中空駆動軸内に他方のダンパの中実駆動軸が貫通されている二重軸構造の駆動軸を有し、各駆動軸の軸端に設けられている歯車を介して各々駆動可能とされている車両用空調装置であって、
前記二重軸構造の駆動軸が回転自在に支持されているユニットケースの側面と前記中空駆動軸の軸端に設けられている歯車との間に、前記中空駆動軸の軸中心を固定する第1の軸中心固定機構が設けられていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記第1の軸中心固定機構は、前記ユニットケースの側面または前記歯車の側面のいずれか一方に設けられたガイド部材と、前記他方に設けられ、前記ガイド部材が摺動自在に嵌合されるリング溝とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記ガイド部材および/または前記リング溝は、前記ユニットケースの側面および/または前記歯車の側面に一体成形されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
エバポレータの下流側の仕切板により仕切られた複数の空気流路中に、ヒータをバイパスする流路と該ヒータを経る加熱流路とに流通される空気流量の割合を調整する互いに独立して駆動される複数のエアミックスダンパが設けられ、該エアミックスダンパが一方のダンパの中空駆動軸内に他方のダンパの中実駆動軸が貫通されている二重軸構造の駆動軸を有し、各駆動軸の軸端に設けられている歯車を介して各々駆動可能とされている車両用空調装置であって、
前記二重軸構造の駆動軸である前記中実駆動軸の軸端に、前記中実駆動軸の軸中心を固定する第2の軸中心固定機構が設けられていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項5】
前記第2の軸中心固定機構は、前記ユニットケースの側面に固定された支持部材と、該支持部材に設けられ、前記中実駆動軸の軸中心を支持、拘束する固定ガイドとから構成されていることを特徴とする請求項4に記載の車両用空調装置。
【請求項6】
前記二重軸構造の駆動軸を回転自在に支持する前記仕切板の軸受部は、前記中空駆動軸の軸端を支持する構成とされていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の車両用空調装置。
【請求項7】
前記二重軸構造の駆動軸は、前記中空駆動軸の内周または前記中実駆動軸の外周のいずれか一方に設けられている少なくとも3箇所以上のリブを介して互いに摺接支持されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の車両用空調装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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