説明

車両用空調装置

【課題】 操作に対応する表示の視認性を向上できる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】 空調装置は、車両に搭載された空調装置を操作するための操作部と、空調装置に関する情報を表示する表示部12と、操作部の操作に応じて表示部の表示を制御する制御部とを備える。制御部は、操作部が操作されてから所定の時間が経過するまで、操作に対応する情報を表示し、操作に対応しない情報の表示を消す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載された複数の車載機器に関する操作及び情報表示を統合して行なう車両用情報表示装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
この車両用情報表示装置では、車載機器に関する複数の情報が表示されているディスプレイ上に、操作の対象を選択するためのカーソルを表示する。そして、車両の乗員等の操作者が操作部を操作することで、このカーソルを動かして、各車載機器のいずれの機能を操作の対象とするかを切り替えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−196793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の情報表示装置では、操作対象を識別するための表示は、該当する表示の下部に表示されるカーソルだけであり、操作対象ではない機能に関する情報も表示されている。このため、操作に対応した表示を識別することに難がある。
【0006】
特に車両においては、運転中に車載機器を操作する場合には、運転者が運転に集中できるように、操作に関係する情報表示の視認性を高くして確認する時間を短くすることが好ましい。また、運転者にとっては、車室内の気温が適切かどうか等の空調の状況を確認したいことがある。このため、空調装置の情報表示に関して、適切な操作と確認のために視認性を高くすることが望まれている。
【0007】
本発明は、上記に鑑み、操作に対応する表示の視認性を向上できる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両用空調装置は、車両に搭載された空調装置を操作するための操作部と、当該空調装置に関する情報を表示する表示部と、前記操作部の操作に応じて前記表示部の表示を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記操作部が操作されてから所定の時間が経過するまで、前記操作に対応する情報を表示し、前記操作に対応しない情報の表示を消すことを特徴とする(第1発明)。
【0009】
本発明によれば、制御部は、操作部が操作されてから所定の時間(例えば、操作に対応する情報の表示を確認できるために充分な時間)が経過するまで、操作に対応する情報を表示し、操作に対応しない情報の表示を消す。これにより、表示部には、操作に対応する情報のみが表示されるため、操作に対応する情報の表示の視認性を向上できる。
【0010】
上記第1発明において、前記制御部は、前記操作に対応する情報を拡大表示することが好ましい(第2発明)。これによれば、表示部には、操作に対応する情報が拡大されて表示されるため、当該情報の表示の視認性を更に向上できる。
【0011】
上記第1発明又は第2発明において、当該車両には、当該車両の室内の温度を検出する車内温度検出部と、当該空調装置から送風される空気の温度を検出する送風温度検出部とが設けられ、前記制御部は、前記車内温度検出部によって検出される温度が当該空調装置の設定温度になるように制御するために、前記車内温度検出部によって検出された温度及び前記設定温度に基づいて当該空調装置から送風される空気の温度を算出する送風温度算出部とを備え、当該空調装置の設定温度と、前記送風温度検出部によって検出された温度、前記送風温度算出部によって算出された温度、又は前記車内温度検出部によって検出された温度との差に応じた色で、前記操作に対応する情報を表示することが好ましい(第3発明)。
【0012】
これによれば、制御部は、車内温度検出部によって検出される温度が空調装置の設定温度になるように制御する。この制御をするために、空調装置の設定温度と、送風温度算出部によって算出された温度、送風温度検出部によって検出された温度、又は車内温度検出部によって検出された温度の3つの温度のいずれか1つの温度との差を算出する。
【0013】
送風温度算出部は、車内温度検出部によって検出された温度及び設定温度に基づいて空調装置から送風される空気の温度を算出する。送風温度算出部で算出された温度は、空調装置が冷房及び暖房のいずれの動作でもないときに送風される空気の温度、すなわち、制御部の制御によって空調が安定して動作しているとき(以下、「安定動作中」という)に送風される空気の温度となる。また、送風温度検出部によって検出された温度は、空調装置から実際に送風している空気の温度であり、車内温度検出部によって検出された温度は、車両の室内の温度である。
【0014】
空調装置の設定温度とこれらの3つのいずれか1つの温度との差に応じた色で、操作に対応する情報を表示する。これによって、現在の空調装置の設定温度に対して、空調装置から送風される空気の温度、又は車内温度が低い(冷房中)か高い(暖房中)かを色によって把握可能となり、表示部の視認性を向上できる。
【0015】
上記第1発明又は第2発明において、前記制御部は、当該空調装置の設定温度に応じた色で、前記操作に対応する情報を表示することが好ましい(第4発明)。これによれば、空調装置の設定温度を色によって把握可能となり、表示部の視認性を向上できる。
【0016】
上記第1発明又は第2発明において、当該車両には、当該車両の室内の温度を検出する車内温度検出部が設けられ、前記制御部は、前記車内温度検出部が検出した温度に応じた色で、前記操作に対応する情報を表示することが好ましい(第5発明)。これによれば、車両の室内の温度を色によって把握可能となり、表示部の視認性を向上できる。
【0017】
上記第1発明〜第5発明のいずれかにおいて、前記制御部は、当該空調装置が除湿を行なっている場合には、除湿を行なっていない場合と異なる色で、前記操作に対応する情報を表示することが好ましい(第6発明)。これによれば、空調装置が除湿を行なっているか否かを色によって把握可能となり、除湿を行なっているか否かに関して、表示部の視認性を向上できる。
【0018】
上記第1発明〜第6発明のいずれかにおいて、当該車両には、外気温を検出する外気温検出部が設けられ、前記制御部は、前記表示部に前記外気温を表示するときには、前記外気温検出部が検出した温度に応じた色で、前記操作に対応する情報を表示することが好ましい(第7発明)。これによれば、外気温を表示するときには、外気温を色によって把握可能となり、外気温の表示に関して、表示部の視認性を向上できる。
【0019】
上記第1発明〜第7発明のいずれかにおいて、当該車両には、当該車両の室内の湿度を検出する車内湿度検出部が設けられ、前記制御部は、前記表示部に前記湿度を表示するときには、前記車内湿度検出部が検出した湿度に応じた色で、前記操作に対応する情報を表示することが好ましい(第8発明)。これによれば、湿度を表示するときには、湿度を色によって把握可能となり、湿度の表示に関して、表示部の視認性を向上できる。
【0020】
上記第1発明〜第8発明のいずれかにおいて、前記所定の時間は、当該車両の走行速度の増加に応じて増加することが好ましい(第9発明)。これによれば、車両の走行速度の増加に応じて、所定の時間を増加させるため、特に高速走行時には、運転に支障を与えないようなタイミングで表示部を確認しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態のシステム構成の概略図。
【図2】図1のスイッチ操作部11の詳細を示す図。
【図3】第1実施形態において、MODEスイッチ106が、(a)操作される前、(b)操作された直後、(c)操作されてから所定時間経過した後の図1の表示部12の詳細を示す図。
【図4】第1実施形態の表示処理を示すフローチャート。
【図5】車速Vと表示時間との関係を示す図。
【図6】図4のステップST5の詳細な処理を示すフローチャート。
【図7】図6のステップST101の詳細な処理を示すフローチャート。
【図8】図6のステップST103の詳細な処理を示すフローチャート。
【図9】第2実施形態において、MODEスイッチ106が、(a)操作される前、(b)操作された直後、(c)操作されてから所定時間経過した後の表示部12の詳細を示す図。
【図10】第3実施形態において、ステップST101の詳細な処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の空調装置のシステム構成の概略を示す図である。図外の車両に搭載された空調装置10は、空調装置10を操作するためのスイッチ操作部11と、空調装置10に関する情報を表示する表示部12とを備える。更に、空調装置10は、スイッチ操作部11の操作に応じて、空調装置10の作動や表示部12の表示を制御するCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)13を備える。
【0023】
表示部12は、点灯と消灯とを切り替え可能な小さなドットを並べ、このドットの点灯と消灯とによって文字や絵を表現できるドットマトリクス方式による表示が可能なカラー液晶画面で構成されている。また、表示部12は、赤,緑,青の3つの色の光の透過・非透過を切替自在なカラーフィルタを備えており、様々な色の表示が可能となっている。
【0024】
また、車両には、各センサとして、車両の室内(車内)の湿度Hを検出する湿度センサ14と、車内の気温(内気温)Tiを検出する内気温センサ15と、車外の気温(外気温)Toを検出する外気温センサ16と、車両の走行速度(車速)Vを検出する車速センサ17と、車両の駆動源の冷却水の温度Twを検出する水温センサ18と、車内の送風口から送風される空気の温度(以下、「送風温」という)を検出する送風口温度センサ19と、冷風を送風するために空調装置10内の冷媒を冷却するエバポレータ(図示省略)の温度を検出するエバセンサ20を設けている。
【0025】
また、空調装置10は、空調装置10の作動を切り替えるためのアクチュエータとしての複数のモータ21を備える。この各アクチュエータ・モータ21は、例えば、送風口の切り替えを行なうモータ、冷たい空気及び暖かい空気を扉の開度を調整して混ぜることで送風する空気の温度を調整するエアミックス用のモータ、車内の空気を循環させる「内気循環」と車外の空気を車内に取り込む「外気循環」とを切り替えるモータなどで構成される。これらのモータ21が作動することで空調装置10の作動が切り替えられる。
【0026】
CPU13は、スイッチ操作部11の操作に対応した信号を送信するスイッチ入力部13aと、スイッチ入力部13aから送信された信号に基づいて空調装置10の空調の作動を処理する空調作動処理部13bとを備える。空調作動処理部13bは、表示制御部13cに対して、空調装置10に関する情報を表示部12に表示させるための信号を送信する。また、CPU13は、送風口からの送風温を算出した結果を空調作動処理部13bに信号として送信する送風口温度算出部13dと、各センサ14〜20の検出値を空調作動処理部13bに信号として送信するセンサ検出部13eと、各アクチュエータ・モータ21を作動させる信号を送信する駆動処理部13fとを備える。
【0027】
このように空調作動処理部13bは、スイッチ入力部13a、送風口温度算出部13d及びセンサ検出部13eから送信された信号に基づいて、各アクチュエータ・モータ21を駆動処理部13fによって制御することで空調装置10を作動し、空調装置10に関する情報を表示部12に表示する。また、空調装置10は、CPU13で実行される各種演算プログラム、各種テーブル、演算結果などを記憶するROM及びRAMからなる記憶装置(図示省略)とを備える。
【0028】
送風口温度算出部13dは、空調装置10の設定温度と各センサ14〜20の検出値とに基づいて、内気温センサ15によって検出される内気温が設定温度のときの送風温を算出する。送風口温度算出部13dによって算出される温度は、空調装置10の空調が冷房及び暖房のどちらでもなく安定動作中のときの送風温、換言すれば、設定温度に対して目標とする送風温である。内気温が設定温度のときでも、外気温センサによって検出される外気温が内気温よりも高い場合には、送風温を設定温度よりも多少低くするなどの制御が必要であり、そのときの状況に応じてこの目標とする送風温は変化する。このように、空調装置10からの送風温は、送風口温度算出部13dによって算出される温度になるように空調作動処理部13b及び駆動処理部13fによって制御される。
【0029】
スイッチ操作部11が本発明における操作部に相当し、CPU13が本発明における制御部に相当し、送風口温度算出部13dが本発明における送風温度算出部に相当する。また、湿度センサ14が本発明における車内湿度検出部に相当し、内気温センサ15が本発明における車内温度検出部に相当し、外気温センサ16が本発明における外気温検出部に相当し、送風口温度センサ19が本発明における送風温度検出部に相当する。
【0030】
図2は、スイッチ操作部11の詳細を示す図である。図2に示す各スイッチ101〜116はプッシュ式のスイッチになっており、各スイッチ101〜116が操作されると、すなわち、スイッチが押下されると、この操作に対応した信号がスイッチ入力部13aに送信される。以下、空調作動処理部13bが、この送信された信号に基づいて実行する処理について説明する。
【0031】
運転席設定温度上昇スイッチ(図2の右端に配置されたTEMP△スイッチ)101が操作されると運転席の設定温度を上昇させ、運転席設定温度下降スイッチ(図2の右端に配置されたTEMP▽スイッチ)102が操作されると運転席の設定温度を下降させる。助手席設定温度上昇スイッチ(図2の左端に配置されたTEMP△スイッチ)103が操作されると助手席の設定温度を上昇させ、助手席設定温度下降スイッチ(図2の左端に配置されたTEMP▽スイッチ)104が操作されると助手席の設定温度を下降させる。
【0032】
A/Cスイッチ105が操作されると、空調装置10内の冷媒を圧縮するコンプレッサ(図示省略)を作動する「A/Cオン状態」にする。A/Cオン状態のときにA/Cスイッチ105が操作されると、コンプレッサの作動を停止する(A/Cオフ状態)。すなわち、A/Cスイッチ105によって、コンプレッサの作動及び非作動を手動(スイッチ操作)で変更できるように構成されている。
【0033】
また、MODEスイッチ106が操作されると、空調装置10の送風口が選択される。送風口は、運転席及び助手席の上半身に向けて送風する「上半身用」と、運転席及び助手席の足元に向けて送風する「足元用」と、上半身用の送風及び足元用の送風を同時に行なう「上半身+足元用」と、フロントガラスに向けて送風する「フロントガラス用」と、足元用及びフロントガラス用の送風を同時に行なう「足元+フロントガラス用」との5種類ある。MODEスイッチ106が操作される度に、「上半身用」→「上半身+足元用」→「足元用」→「足元+フロントガラス用」の順番で切り替える。
【0034】
DEFスイッチ107が操作されると、送風口を「フロントガラス用」にしてフロントガラスの霜取りを行なうフロント霜取りモードにする。フロント霜取りモードのときにDEFスイッチ107が操作されると、このモードを解除して、送風口の選択をフロント霜取りモードにする前の送風口に戻して、フロントガラスの霜取りを中止する。また、DEFスイッチ107には、LEDインジケータ107aが埋め込まれており、フロント霜取りモードのときに点灯し、フロント霜取りモードではないときに消灯する。
【0035】
リアDEFスイッチ108が操作されるとリアガラスの霜取りを行なうリア霜取りモードにする。リア霜取りモードのときにリアDEFスイッチ108が操作されると、このモードを解除して、リアガラスの霜取りを中止する。また、リアDEFスイッチ108には、LEDインジケータ108aが埋め込まれており、リア霜取りモードのときに点灯し、リア霜取りモードではないときに消灯する。
【0036】
FAN△スイッチ109が操作されると送風口から送風される空気の風量を上昇させ、FAN▽スイッチ110が操作されると送風口から送風される空気の風量を下降させる。
【0037】
SYNCスイッチ111が操作されると、助手席の設定温度を運転席の設定温度と同じ温度にする同期モードにする。また、同期モードのときにSYNCスイッチ111が操作されると、助手席の設定温度を同期モードにする前の設定温度に戻す。また、SYNCスイッチ111には、LEDインジケータ111aが埋め込まれており、同期モードのときに点灯し、同期モードではないときに消灯する。内気スイッチ112が操作されると、車内の空気を循環させる「内気循環」と車外の空気を車内に取り込む「外気循環」とを切り替える。また、内気スイッチ112には、LEDインジケータ112aが埋め込まれており、「内気循環」のときに点灯し、「外気循環」のときに消灯する。
【0038】
AUTOスイッチ113が操作されると、風量の設定、送風口の選択、A/Cオン状態又はA/Cオフ状態の選択、内気循環又は外気循環の選択を、各センサの検出値に応じて自動で設定する自動モードにする。OFFスイッチ114が操作されると、送風口から送風される空気の風量を0、すなわち、送風を停止する。
【0039】
湿度スイッチ115が操作されると、湿度センサ14によって検出された湿度Hを所定時間が経過するまで表示部12に表示する湿度表示モードにする。また、湿度表示モードのときに湿度スイッチ115が操作されると、湿度表示モードにする前に表示していた表示に戻す。また、湿度スイッチ115には、LEDインジケータ115aが埋め込まれており、湿度表示モードのときに点灯し、湿度表示モードではないときに消灯する。
【0040】
外気スイッチ116が操作されると、外気温センサ16によって検出された外気温Toを表示部12に表示する外気温表示モードにする。また、外気温表示モードのときに外気スイッチ116が操作されると、外気温表示モードにする前に表示していた表示に戻す。また、外気スイッチ116には、LEDインジケータ116aが埋め込まれており、外気温表示モードのときに点灯し、外気温表示モードではないときに消灯する。
【0041】
図3は、表示部12の詳細を示す図であり、図3(a)は、足元用の送風口が選択されている状態、図3(b)は、(a)の状態でMODEスイッチ106が操作された直後、図3(c)は、MODEスイッチ106が操作されてから所定時間経過した後の表示部12を示している。これらの表示は、空調作動処理部13bが表示制御部13cに信号を送信することで制御される。
【0042】
表示部12は、黒の背景に白で表示している(以下、この色を「通常の色」という)。図3(a)の運転席設定温度表示201は、運転席設定温度の上昇スイッチ101又は下降スイッチ102が操作されることで変化する運転席の設定温度を数字で表示している。助手席設定温度表示202は、助手席設定温度の上昇スイッチ103又は下降スイッチ104が操作されることで変化する助手席の設定温度を数字で表示している。
【0043】
空調作動表示203は、A/Cスイッチ105が操作されることで変更されるコンプレッサの作動状態(「A/Cオン状態」又は「A/Cオフ状態」)を文字列で表示する。図3(a)は「A/Cオン状態」のときであり、「A/C ON」と表示される。「A/Cオフ状態」のときは、図3(a)に示す「A/C ON」という表示に代わり、「A/C OFF」と表示する。また、「A/Cオン状態」のときは、除湿中であるため、「A/C ON」の表示を緑色にし、除湿中であることの視認性を向上している。
【0044】
設定風量表示204は、FAN△スイッチ109又はFAN▽スイッチ110が操作されることで変化する送風口から送風される風量を図で表示している。送風口表示205は、MODEスイッチ106の操作によって選択されている送風口の種類を図で表示する。また、図3(a)には図示されていないが、フロント霜取りモード又はリア霜取りモードになっているときは、「DEF ON」又は「REARDEF ON」と表示し、同期モードになっているときは、「SYNC」と表示し、自動モードになっているときは、「AUTO」と表示してもよい。
【0045】
表示部12が図3(a)のように表示している状態で、MODEスイッチ106が操作されると、送風口を「足元用」から「足元+フロントガラス用」に切り替えるため、空調作動処理部13bは、表示部12の表示を図3(b)の表示に切り替える。すなわち、各表示201〜205を消し、MODEスイッチ106によって選択された送風口の種類に応じた表示を拡大して送風口強調表示205aを行なう。また、このときに、送風口強調表示205aは、他の表示とは異なる色が設定される。色の設定の詳細については、図6のフローチャートの説明で後述する。
【0046】
図3(b)の表示に切り替えてから所定時間が経過すると、空調作動処理部13bは、表示部12の表示を図3(c)の表示に切り替える。MODEスイッチ106の操作によって送風口の種類が変更されているため、図3(a)に示された表示と比べると、送風口表示205が現在の送風口の種類に変化している。
【0047】
図3では、MODEスイッチ106が操作されたときの例を示したが、空調装置10の作動状態と各操作スイッチ101〜116の操作とに応じて拡大される表示は変化する。例えば、図3(a)の状態で、運転席設定温度上昇スイッチ101が操作されると、現在の運転席の設定温度は25度から26度に変更される。このため、各表示201〜205を消し、「26」という数字を強調表示する。その後、所定時間が経過すると、消された各表示201〜205を再度表示する。このとき、設定温度が26度になったため、運転席設定温度表示201が「26」となる。
【0048】
また、湿度スイッチ115又は外気スイッチ116が操作されると、上述したように、湿度H、外気温Toを表示部12に拡大して表示し、所定時間が経過すると、運転席設定温度表示201及び助手席温度表示202の表示部分に湿度H又は外気温Toを表示する。
【0049】
以下、図3(a),(c)に示す表示を通常表示、図3(b)に示す表示を強調表示という。図3(b)に例示するような強調表示が、本発明において、操作に対応する情報を拡大表示することに相当する。
【0050】
次に、本実施形態のCPU13によって実行される制御の処理について説明する。第1実施形態では、CPU13が、本発明における制御部及び送風温度算出部として動作する。
【0051】
図4は、CPU13が実行する本発明の表示処理の手順を示すフローチャートである。本フローチャートで示される制御処理プログラムは、所定時間(例えば、10msec)毎に呼び出されて実行される。
【0052】
最初のステップST1は、表示用バッファのクリアを行なう。ここで、表示用バッファとは、表示部12に表示するための情報を格納する一時的なバッファである。空調作動処理部13bは、表示部12に表示する情報をこの表示用バッファに格納し、表示制御部13cに送信することで表示部12の表示が更新される。従って、ステップST1で表示用バッファをクリアしても表示制御部13cに送信していないため、表示部12の表示は変化しない。次に、ステップST2に進み、カウンタCの値を1増加する。
【0053】
次にステップST3に進み、スイッチ操作部の各スイッチ101〜116のいずれかが操作されたか否かを判定する。判定結果がYESのときは、ステップST4に進み、この操作に対応した表示情報を表示用バッファに設定する。例えば、図3(b)のように、送風口として「足元用」が選択されているときに、MODEスイッチ106が操作されて「足元+フロントガラス用」を選択する場合には、選択されている送風口(送風口強調表示205a)を強調表示するように表示用バッファに設定する。
【0054】
次にステップST5に進み、表示部12に表示するときの色を設定する。この処理の詳細は、図6のフローチャートを用いて後述する。次にステップST6に進み、カウンタCの値を0にする。次にステップST7に進み、ステップST4,ST5で設定された表示用バッファの内容を表示制御部13cに送信し、表示部12の表示を更新する。
【0055】
ステップST3の判定結果がNOのときは、ステップST8に進み、車速センサ17によって検出された車速Vに応じて表示時間閾値用カウンタCvの値を設定する。この設定は、図5に示される車速Vと表示時間との特性のように、車速Vが増加すると表示時間閾値用カウンタCvの値も増加するように設定する。
【0056】
図5は、横軸を車速V、縦軸を表示時間としており、車速Vが速度VLよりも小さいときは表示時間を0、車速Vが速度VL〜VHのときは表示時間をTL〜TH、車速Vが速度VHよりも大きいときは表示時間をTHとしている。速度VLは、表示時間が0、すなわち、図3(b)のような強調表示をしなくても運転に支障のない走行速度に設定される。通常は車速Vが0又は所謂徐行程度の速度に設定すればよい。
【0057】
このように、速度が増加するに従って、表示時間を増加させることで、運転に支障を与えないタイミングで強調表示を確認できる可能性を高めている。速度VHよりも大きいときに表示時間をTHに固定しているのは、通常の表示に戻すまでの最大時間THを規定することで、いつまでも強調表示が続いてしまい、通常表示の情報を確認できなくなる事態を回避するためである。車速Vと表示時間とが図5に示されるような特性になるように、車速Vから表示時間を決定できるテーブルを予め作成しておき、記憶装置に記憶している。空調作動処理部13bは、このテーブルを参照して表示時間閾値用カウンタCvの値を設定する。
【0058】
次にステップST9に進み、カウンタCの値が表示時間閾値用カウンタCvの値より大きいか否かを判定する。判定結果がNOのときは本処理を終了し、判定結果がYESのときはステップST10に進む。
【0059】
ステップST10では、通常表示用の表示部12に表示する情報を表示用バッファに設定する。例えば、図3(a)のように表示する場合には、運転席の設定温度(運転席設定温度表示201)、助手席の設定温度(助手席設定温度表示202)、選択されている空調装置のコンプレッサの作動状態(空調作動表示203)、送風される空気の設定風量(設定風量表示204)、選択されている送風口(送風口表示205)を設定する。また、このときA/Cオン状態(空調作動表示203が「A/C ON」を表示しているとき)であるならば、上述したように除湿中であるため、空調作動表示203の色を緑色に設定する。
【0060】
次にステップST11に進み、ステップST10で設定された表示用バッファの内容を表示制御部13cに送信し、表示部12の表示を更新する。次にステップST12に進み、カウンタCに表示時間閾値用カウンタCvの値を設定する。このステップの処理によって、スイッチ操作部11の各スイッチ101〜116の操作が行なわれずに長い時間経過した場合に、図4の処理が定期的に実行され、ステップST2の処理によってカウンタCが増加し続け、オーバーフローなどによる誤作動が発生することを防止している。
【0061】
ステップST3の判定結果がYESのときに実行されるステップST4〜ST7の処理が強調表示のための処理となる。また、ステップST3の判定結果がNOのときに実行されるステップST10〜ST12の処理が通常表示のための処理となる。スイッチ操作部11の各スイッチ101〜116が操作されると0に設定されるカウンタCの値が、表示時間閾値用カウンタCvの値を超えたか否かを判定することが、本発明において、操作部が操作されてから所定の時間が経過したか否かを判定することに相当する。
【0062】
続いて、図6のフローチャートを用いてステップST5の色の設定をする処理の詳細について説明する。なお、「色の設定をする」とは、表示部12の表示に色が付くように、表示用バッファに設定することをいう。
【0063】
最初のステップST101は、強調表示のときの色を設定する。この処理の詳細について図7を用いて説明する。図7のフローチャートの最初のステップST201は、送風口温度センサ19によって送風口検出温度Taを検出する。
【0064】
次にステップST202に進み、空調装置の設定温度Tsを取得する。
【0065】
次にステップST203に進み、送風口検出温度Taから設定温度Tsを引いた差分TDを求める。続いて、ステップST204に進み、差分TDが0より大きく、且つ差分TDの絶対値|TD|が所定の値α1より大きいか否かを判定する。差分TDが0より大きい場合は、実際の送風温(送風口検出温度Ta)が設定温度Tsより高い場合であり暖房動作中を示す。α1は0として設定してもよいし、実際の送風温が設定温度よりも高い場合に、暖房動作ではなく通常動作として扱える温度の差を設定してもよい。
【0066】
ステップST204の判定結果がYESのときは、ステップST205に進み、温風を送風するために空気を暖めるためのヒータコアが暖まっていないか否かを判定する。ヒータコアには、車両の駆動源の冷却水が流れている。このため、駆動源の冷却水の温度Twを水温センサ18で検出し、予め定めた所定の温度以上のときにはヒータコアが暖まっていると判定し(ステップST205の判定結果がNO)、駆動源の冷却水の温度Twが、予め定めた所定の温度未満のときにはヒータコアが暖まっていないと判定する(ステップST205の判定結果がYES)。
【0067】
ステップST205の判定結果がYESのときは、ステップST206に進み、通常の色(白)を設定する。ステップST205の判定結果がNOのときは、ステップST207に進み、差分TDの絶対値の大きさに応じて色の濃さを調整し、ステップST208に進み、暖色系の色(例えば、赤)を設定する。例えば、ステップST207,ST208で暖色系として赤を設定するならば、差分TDの絶対値の大きさが大きくなるに従い、濃い赤色になるように設定する。
【0068】
ステップST204の判定結果がNOのときは、ステップST209に進み、差分TDが0より小さく、且つ差分TDの絶対値|TD|が所定の値α2より大きいか否かを判定する。差分TDが0より小さい場合は、実際の送風温(送風口検出温度Ta)が設定温度Tsより低い場合であり冷房動作中を示す。α2は0として設定してもよいし、実際の送風温が設定温度Tsよりも低い場合に、冷房動作ではなく通常動作として扱える温度の差を設定してもよい。
【0069】
ステップST209の判定結果がYESのときは、ステップST210に進み、冷風を送風するために空気を冷やすためのエバポレータが冷えていないか否かを判定する。これは、エバセンサ20が検出したエバポレータの温度が予め定めた所定の温度以下のときにエバポレータが冷えていると判定し(ステップST210の判定結果がNO)、エバセンサ20が検出した温度が予め定めた所定の温度より大きいときにエバポレータが冷えていないと判定する(ステップST210の判定結果がYES)。
【0070】
ステップST210の判定結果がYESのときは、ステップST211に進み、通常の色(白)を設定する。ステップST210の判定結果がNOのときは、ステップST212に進み、差分TDの絶対値の大きさに応じて色の濃さを調整し、ステップST213に進み、寒色系の色(例えば、青)を設定する。例えば、ステップST212,ST213で寒色系として青を設定するならば、差分TDの絶対値の大きさが大きくなるに従い、濃い青色になるように設定する。
【0071】
ステップST209の判定結果がNOのときは、ステップST214に進み、通常の色(白)を設定する。ステップST206,ST208,ST211,ST213又はST214の処理が終了すると、図7の処理を終了し、図6のステップST102に進む。
【0072】
ステップST102では、外気スイッチ116が操作されることで外気温Toを表示する必要が生じたか否かを判定する。判定結果がYESのときは、ステップST103に進み、外気温Toを表示するときの色を設定する。
【0073】
図8を用いてステップST103の詳細な処理について説明する。図8のフローチャートの最初のステップST301は、外気温センサ16によって外気温Toを検出する。次に、ステップST302に進み、外気温Toが所定の値β1未満か否かを判定する。ステップST302の判定結果がYESのときは、ステップST303に進み、寒色系の色(例えば、青)に設定し、NOのときは、ステップST304に進む。
【0074】
ステップST304では、外気温Toが所定の値β2未満か否かを判定する。ステップST304の判定結果がYESのときは、ステップST305に進み、通常の色(白)に設定し、NOのときは、ステップST306に進み、暖色系の色(例えば、赤)に設定する。
【0075】
β1及びβ2は、外気温Toが、寒い気温(ステップST302の判定結果がYES)、程よい気温(ステップST304の判定結果がYES)、又は暑い気温(ステップST304の判定結果がNO)のいずれであるかを適切に判別可能に設定されていればよい。
【0076】
ステップST303,ST305又はST306の処理が終了するか、図6のステップST102の判定結果がNOのときは、ステップST104に進み、湿度スイッチ115が操作されることで湿度Hを表示する必要が生じたか否かを判定する。判定結果がYESのときは、ステップST105に進み、湿度センサ14の検出値である湿度Hに応じて湿度表示用の色を設定する。これは、湿度Hが増加するに従って、緑色が濃くなるように設定する。色の濃さを変更するだけではなく、ステップST103の外気温Toのときのように閾値を設定して、色を変更してもよい。
【0077】
ステップST103又はST105による色の設定では、ステップST101の色の設定が上書きされる。但し、ステップST101で強調表示のために背景の色を変更しており、ステップST103又はST105で背景の色を変更していない場合には、強調表示の背景の色は、ST101で設定された背景の色となる。すなわち、このような場合には、ステップST101で設定した背景の色に関しては上書きされない。
【0078】
ステップST105の処理が終了すると、前述の図4のステップST6に進む。
【0079】
以上のように、操作部としてのスイッチ操作部11の各スイッチ101〜116が操作されると、ステップST4,5,6及び7の処理によって、表示部12の表示がこの操作に対応した表示になるように表示用バッファに設定される。そして、各スイッチ101〜116が操作されてカウンタCの値が0に設定されてから(ステップST6)、このカウンタCの値が表示時間閾値用カウンタCvの値を超えるまでは(ステップST9の判定結果がYESになるまでは)、表示部12の表示が図3(b)に例示するような強調表示に変更され、カウンタCの値が表示時間閾値用カウンタCvの値を超えた後は(ステップST9の判定結果がYESになったとき)、表示部12の表示が図3(a),(c)に例示するような通常表示に変更される。
【0080】
従って、操作部としてのスイッチ操作部11の操作に対応した情報が強調表示されると共に、スイッチ操作部11の操作に対応しない情報の表示は消されるため、表示部12の操作に対応する情報の表示の視認性を向上することができる。
【0081】
また、表示部12は、従来から使用されているドットマトリクス方式による表示が可能なカラー液晶画面であるため、従来の機能を有したまま、本発明の効果である視認性の向上を実現できる。
【0082】
また、図7に示されるフローチャートの処理によって、送風口温度センサ19の検出値である送風口検出温度Taと空調装置10の設定温度Tsとから強調表示の色を設定している。これは、前記第3発明における空調装置の設定温度と送風温度検出部によって検出された温度との差に応じた色で、操作に対応する情報を表示することに相当する。
【0083】
これによって、設定温度に対する空調装置10の現在の作動が暖房動作中、冷房動作中、安定動作中のいずれであるかを色で識別することができる。このため、暖房動作中、冷房動作中、安定動作中のいずれであるかを確認するために、文字や図形を識別する必要がなくなり、空調装置10の作動状態の視認性を向上させることができる。
【0084】
特に、暖房動作中のときに暖色系を設定し、冷房動作中のときに寒色系を設定することで、温度に対する色の感覚に合い、より視認性を向上させることができる。
【0085】
また、除湿中は、空調作動表示203を緑色に設定して表示している。これは、前記第6発明における除湿を行なっている場合には、除湿を行なっていない場合と異なる色で、操作に対応する情報を表示することに相当する。これによって、除湿中であることを色で識別することができるため、除湿中か否かの表示の視認性を向上させることができる。
【0086】
また、外気温Toを表示するとき(ステップST102の判定結果がYESのとき)は、外気温センサ16の検出値に応じて色を設定している。これは、前記第7発明における表示部に外気温を表示するときには、外気温検出部が検出した温度に応じた色で、操作に対応する情報を表示することに相当する。
【0087】
これによって、外気温Toの高低を色で識別することができるため、外気温Toの表示に関して視認性を向上させることができる。特に、外気温Toが高いときに暖色系を設定し、外気温Toが低いときに寒色系を設定することで、温度に対する色の感覚に合い、より視認性を向上させることができる。
【0088】
また、湿度Hを表示するとき(ステップST104の判定結果がYESのとき)は、湿度センサ14の検出値に応じて色を設定している。これは、前記第8発明における表示部に湿度を表示するときには、車内湿度検出部が検出した湿度に応じた色で、操作に対応する情報を表示することに相当する。これによって、湿度Hの高低を色で識別することができるため、湿度Hの表示に関して視認性を向上させることができる。
【0089】
また、ステップST8で、表示時間閾値用カウンタCvの値を車速センサ17によって検出された車速Vが増加すると増加するように設定している。これは、前記第9発明における所定の時間は、車両の走行速度の増加に応じて増加することに相当する。これによって、高速度で運転中であっても、運転に支障を与えないタイミングで強調表示を確認できる可能性を高めることができる。
【0090】
尚、第1実施形態では、図7のフローチャートにおいて、ステップST201で検出した送風口温度センサの検出値Taと、ステップST202で取得した空調装置10の設定温度Tsとの差分TDをステップST203で求めている。ステップST201の処理は、空調装置10の設定温度Tsを取得する以外の処理でもよく、例えば、内気温センサ15によって内気温Tiを検出してもよい。この場合には、ステップST203で、空調装置10の設定温度Tsと内気温センサ15の検出値の内気温Tiとの差によって差分TDを求めればよい。これによって、設定温度Tsに対する実際の内気温Tiの高低を色で識別することができる。
【0091】
これは、第3発明における、空調装置の設定温度と、車内温度検出部によって検出された温度との差に応じた色で、操作に対応する情報を表示することに相当する。
【0092】
更に、ステップST201の処理としては、CPU13の送風口温度算出部13dによって送風温を算出してもよい。この場合には、ステップST203で、空調装置10の設定温度Tsと送風口温度算出部13dによって算出された送風温との差によって差分TDを求めればよい。これによっても、設定温度Tsに対する送風温の高低を色で識別することができる。
【0093】
これは、第3発明における、空調装置の設定温度と、送風温度算出部によって算出された温度との差に応じた色で、操作に対応する情報を表示することに相当する。
【0094】
また、第1実施形態では、背景を黒、通常の色を白、暖色系の色を赤、寒色系の色を青としているが、視認性を低下させるような色でなければ他の色であってもよい。また、第1実施形態では、ステップST208で暖色系、ステップST213で寒色系、ステップST206,ST211,ST214で通常の色を設定しているが、暖房動作中、冷房動作中、安定動作中(暖房動作中、冷房動作中のいずれでもない動作のとき)のいずれであるかの判別が容易な色に設定されればよい。外気温Toを表示するときも同様に、外気温Toの高低を判別が容易であれば、暖色系、寒色系の色ではなくてもよい。
【0095】
また、第1実施形態では、除湿時に空調作動表示203を緑色で表示するように設定しているが、緑色ではなくてもよい。除湿しているときと除湿していないときとの判別が容易であればよい。また、湿度Hを表示するときに、湿度Hに応じて緑色の濃さを設定しているが、緑色ではなくてもよい。また、湿度Hに応じて濃さを変更するのではなく、いくつかの閾値を設定して閾値ごとに暖色系、寒色系のように色を変更してもよい。
【0096】
また、図7のフローチャートにおいて、ヒータコアが暖まっていないとき(ステップST205の判定結果がYESのとき)又はエバポレータが冷えていないとき(ステップST210の判定結果がYESのとき)には、ステップST206又はST211において通常の色を設定している。空調装置10がこれらの状態にあるときは、空調機能を充分に発揮できないときである。これを通知するために、通常の色、暖色及び寒色のいずれでもない色を設定してもよい。これによって、空調が充分に働けない状態であることを色で通知することができる。
【0097】
また、第1実施形態では、表示部12は、カラーフィルタを有するドットマトリクス方式による表示が可能なカラー液晶画面で構成されているが、この構成に限らず、強調表示や色を設定可能な表示装置であればよい。
【0098】
例えば、カラーフィルタを用いずに赤、緑、青の3色のLEDバックライトの点灯時間をずらして色を表現するFSLCD(Filed Sequencial Liquid Crystal Display)、又は電圧の供給によって発光するカラー有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイであってもよい。
【0099】
この場合であっても、スイッチ操作部11の操作に対応する情報が強調表示され、スイッチ操作部11の操作に対応しない情報の表示は消されるため、本発明の効果として、表示部12の操作に対応する情報の表示の視認性を向上することができる。
【0100】
また、表示部12は、強調表示が可能であれば色が設定できなくてもよい。この場合には、ステップST4の処理が終了した後に、ステップST5の処理をせずに、ステップST6の処理を実行すればよい。この場合であっても、スイッチ操作部11の操作に対応する情報が強調表示され、スイッチ操作部11の操作に対応しない情報の表示は消されるため、本発明の効果として、表示部12の操作に対応する情報の表示の視認性を向上することができる。
【0101】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態の空調装置について説明する。第2実施形態の空調装置10は、表示部12が、表示する絵や文字に合わせて予め形状が決定されたセグメント毎に点灯と消灯とを切り替え可能なセグメント方式による表示が可能なカラー液晶画面で構成されている。また、第1実施形態と同様に、表示部12は、赤,緑,青の3つの色の光の透過・非透過を切替自在なカラーフィルタを備えており、様々な色の表示が可能となっている。その他の構成は第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。尚、第1実施形態と同様に、表示部12は、FSLCD又はカラー有機ELディスプレイで構成されていてもよい。
【0102】
図9は、表示部12の詳細を示す図であり、図9(a)は、足元用の送風口が選択されている状態、図9(b)は、(a)の状態でMODEスイッチ106が操作された直後、図9(c)は、MODEスイッチ106が操作されてから所定時間経過した後の表示部12を示している。これらの表示は、第1実施形態と同様に、空調作動処理部13bが表示制御部13cに信号を送信することで制御される。
【0103】
表示部12は、第1実施形態と同様に、黒の背景に白で表示している。図9(a)の運転席設定温度表示301,助手席設定温度表示302は、第1実施形態の運転席設定温度表示201,助手席設定温度表示202と同様に、運転席,助手席の設定温度を数字で表示している。
【0104】
空調作動表示303は、A/Cスイッチ105が操作されることで変更されるコンプレッサの作動状態(「A/Cオン状態」又は「A/Cオフ状態」)を文字列で表示する。図9(a)は「A/Cオン状態」のときであり、「A/C ON」と表示される。「A/Cオフ状態」のときは、図3(a)に示す「A/C ON」という表示に代わり、「A/C OFF」と表示する。また、「A/Cオン状態」のときは、除湿中であるため、「A/C ON」の表示を緑色にし、除湿中であることの視認性を向上している。
【0105】
設定風量表示304は、FAN△スイッチ109又はFAN▽スイッチ110が操作されることで変化する送風口から送風される風量を図で表示している。送風口表示305は、MODEスイッチ106の操作によって選択されている送風口の種類を図で表示する。また、図9(a)には図示されていないが、フロント霜取りモード又はリア霜取りモードになっているときは、「DEF ON」又は「REARDEF ON」と表示し、同期モードになっているときは、「SYNC」と表示し、自動モードになっているときは、「AUTO」と表示してもよい。また、第1実施形態と同様に、4つのLEDインジケータ107a,108a,111a,112aは、点灯又は消灯によって空調装置10の作動状態を通知する。
【0106】
表示部12が図9(a)のように表示している状態で、MODEスイッチ106が操作されると、送風口を「足元用」から「足元+フロントガラス用」に切り替えるため、空調作動処理部13bは、表示部12の表示を図9(b)の表示に切り替える。すなわち、各表示301〜304を消し、MODEスイッチ106によって選択された送風口の種類に応じた表示305のみを表示する。また、このときに、送風口表示305は、第1実施形態と同様に、他の表示とは異なる色が設定される。
【0107】
図9(b)の表示に切り替えてから所定時間が経過すると、空調作動処理部13bは、表示部12の表示を図9(c)の表示に切り替える。MODEスイッチ106の操作によって送風口の種類が変更されているため、図9(a)に示された表示と比べると、送風口表示305が現在の送風口の種類に変化している。
【0108】
図9では、MODEスイッチ106が操作されたときの例を示したが、第1実施形態と同様に、空調装置10の作動状態と各操作スイッチ101〜116の操作とに応じて表示は変化する。
【0109】
以下、第2実施形態では、図9(a),(c)に示す表示を通常表示、図9(b)に示す表示を強調表示という。図9(b)に例示するような強調表示が、本発明において、操作に対応する情報を表示し、操作に対応しない情報の表示を消すことに相当する。
【0110】
第2実施形態においても、制御部としてのCPU13は、第1実施形態と同様に、図4及び図6〜8の処理によって、空調装置10の制御を実行する。
【0111】
以上のように構成された空調装置10は、操作部としてのスイッチ操作部11の各スイッチ101〜116が操作されると、表示部12の表示が、この操作に対応した表示、すなわち、図9(b)に例示するような強調表示に変更される。そして、第1実施形態と同様に、所定時間が経過すると、すなわち、カウンタCの値が表示時間閾値用カウンタCvの値を超えると、表示部12の表示が図9(c)に例示するような通常表示に変更される。従って、操作部としてのスイッチ操作部11の表示部12の操作に対応する情報の表示の視認性を向上することができる。
【0112】
また、表示部12は、従来から使用されているセグメント方式による表示が可能なカラー液晶画面であるため、従来の機能を有したまま、本発明の効果である視認性の向上を実現できる。
【0113】
また、第2実施形態では、表示部12をセグメント方式による表示が可能に構成しているため、表示部12をドットマトリクス方式による表示が可能な液晶画面で構成する場合に比べて、安価に構成できると共に、表示部12に表示するための制御の処理を簡潔にできる。
【0114】
また、第1実施形態のドットマトリクス方式によって得られる効果、すなわち、拡大して表示することで視認性を向上できる効果以外の効果に関しては、第2実施形態でも同様に得ることができる。
【0115】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態の空調装置について説明する。第3実施形態の空調装置10は、第1実施形態の空調装置10と比べて、図6のステップST101の強調表示用の色の設定をする処理が異なる。これについて、図10を用いて説明する。
【0116】
ステップST401は、内気温センサ15によって内気温Tiを検出する。次にステップST402に進み、内気温Tiが所定の値γ1未満か否かを判定する。ステップST402の判定結果がYESのときは、ステップST403に進み、寒色系の色(例えば、青)を設定し、ステップST402の判定結果がNOのときは、ステップST404に進む。
【0117】
ステップST404では、内気温Tiが所定の値γ2未満か否かを判定する。ステップST404の判定結果がYESのときは、ステップST405に進み、通常の色を設定し、ステップST404の判定結果がNOのときは、ステップST406に進み、暖色系の色(例えば、赤)を設定する。
【0118】
γ1及びγ2は、内気温Tiが、寒い気温(ステップST402の判定結果がYES)、程よい気温(ステップST404の判定結果がYES)、又は暑い気温(ステップST404の判定結果がNO)のいずれであるかを適切に判別可能に設定されていればよい。
【0119】
ステップST403,ST405,ST406の処理が終了すると、図6のステップST102の処理を実行する。他の処理に関しては第1実施形態と同じであるため省略する。
【0120】
以上のように構成された空調装置10は、操作部としてのスイッチ操作部11の各スイッチ101〜116が操作されたときの強調表示のときに、内気温センサ15の検出値である内気温Tiに応じて色を変化させる。このため、強調表示することによる視認性の向上と共に、車内の温度の表示に関して、視認性を向上することができる。
【0121】
また、第1実施形態と同様に、表示部12は、従来から使用されているドットマトリクス方式による表示が可能なカラー液晶画面であるため、従来の機能を有したまま、本発明の効果である視認性の向上を実現できる。
【0122】
特に、内気温Tiが高いときに暖色系を設定し、内気温Tiが低いときに寒色系を設定することで、温度に対する色の感覚に合い、より視認性を向上させることができる。
【0123】
尚、ステップST403,ST406のときには、内気温Tiの大きさに応じて色の濃さを変更して設定してもよい。例えば、ステップST403において、内気温Tiとγ1との差分の大きさが大きくなるほど青の濃さを濃くし、ステップST406において、内気温Tiとγ2との差分の大きさが大きくなるほど赤の濃さを濃くする。これによって、内気温Tiのより細かい識別を、色によって行なうことができ、内気温Tiの表示に関して、更に視認性が向上する。
【0124】
また、図10の処理を、内気温センサ15の検出値である内気温Tiではなく、空調装置10の設定温度で行なってもよい。この場合には、図10中の内気温Tiを設定温度に置き換えて処理する。設定温度は、運転席の設定温度でもよいし、運転席の設定温度と助手席の設定温度との平均値、最小値又は最大値でもよい。このとき、設定温度の大きさに応じて色の濃さを変更するとよい。
【0125】
これによって、設定温度の高低を色で把握することができ、設定温度の表示に関して、視認性を向上できる。このとき、第2実施形態のように、表示部12がセグメント方式による表示が可能に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0126】
10…空調装置、11…スイッチ操作部(操作部)、12…表示部、13…CPU(制御部)、13d…送風口温度算出部(送風温度算出部)、14…湿度センサ(車内湿度検出部)、15…内気温センサ(車内温度検出部)、16…外気温センサ(外気温検出部)、19…送風口温度センサ(送風温度検出部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された空調装置を操作するための操作部と、
当該空調装置に関する情報を表示する表示部と、
前記操作部の操作に応じて前記表示部の表示を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記操作部が操作されてから所定の時間が経過するまで、前記操作に対応する情報を表示し、前記操作に対応しない情報の表示を消すことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空調装置において、前記制御部は、前記操作に対応する情報を拡大表示することを特徴とする空調装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の空調装置において、
当該車両には、当該車両の室内の温度を検出する車内温度検出部と、当該空調装置から送風される空気の温度を検出する送風温度検出部とが設けられ、
前記制御部は、前記車内温度検出部によって検出される温度が当該空調装置の設定温度になるように制御するために、前記車内温度検出部によって検出された温度及び前記設定温度に基づいて当該空調装置から送風される空気の温度を算出する送風温度算出部とを備え、
当該空調装置の設定温度と、前記送風温度検出部によって検出された温度、前記送風温度算出部によって算出された温度、又は前記車内温度検出部によって検出された温度との差に応じた色で、前記操作に対応する情報を表示することを特徴とする空調装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の空調装置において、前記制御部は、当該空調装置の設定温度に応じた色で、前記操作に対応する情報を表示することを特徴とする空調装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の空調装置において、
当該車両には、当該車両の室内の温度を検出する車内温度検出部が設けられ、
前記制御部は、前記車内温度検出部が検出した温度に応じた色で、前記操作に対応する情報を表示することを特徴とする空調装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の空調装置において、前記制御部は、当該空調装置が除湿を行なっている場合には、除湿を行なっていない場合と異なる色で、前記操作に対応する情報を表示することを特徴とする空調装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の空調装置において、
当該車両には、外気温を検出する外気温検出部が設けられ、
前記制御部は、前記表示部に前記外気温を表示するときには、前記外気温検出部が検出した温度に応じた色で、前記操作に対応する情報を表示することを特徴とする空調装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の空調装置において、
当該車両には、当該車両の室内の湿度を検出する車内湿度検出部が設けられ、
前記制御部は、前記表示部に前記湿度を表示するときには、前記車内湿度検出部が検出した湿度に応じた色で、前記操作に対応する情報を表示することを特徴とする空調装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の空調装置において、前記所定の時間は、当該車両の走行速度の増加に応じて増加することを特徴とする空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−86736(P2012−86736A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236517(P2010−236517)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】