説明

車両用行先表示器

【課題】 行先と共に表示される車両の系統番号や運行形態を様々な色を使って強調して表示し、視認性を向上させることができる車両用行先表示器を提供する。
【解決手段】 系統番号12と行先13とが表示された車両用行先表示器1において、系統番号12の上部および行先の上部に、それぞれチューブ状発光体8A、8Bが設置される。行先表示部6の黄色に対し、チューブ状発光体8Aの発色(例えば赤色)とチューブ状発光体8Bの発色(例えば緑色)とを異ならせることにより、表示内容が強調されると共に、視認性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バスや電車などの車両に取り付けられ、その行先を表示する車両用行先表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の車両用行先表示器は、単色の発光ダイオード(以下、LEDと記す)をドットマトリックス状に配列させて、そのLEDを選択的に発光させることによって、文字、数字などをドットパターンとして表示するものもある。
【特許文献1】特開2000−112404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、このような行先表示器においては、単に車両の行先のみを表示するだけでなく、路線の違いを示すための系統番号や、普通、急行、最終バスなどのような運行形態を、車両の行先と共に記すようにしている。その場合、路線や運行形態の違いを目立たせるため、単色LEDをフルカラーLEDに置き換えたり、一部にフルカラーLEDを組み込み、カラー表示することも考えられるが、コストが高くなるという問題があった。また、既設の単色LED行先表示器の表示部の一部をフルカラーLEDに置き換えるにはコストが高くなるのに加えて、非常に多くの手間を要していた。
【0004】
そこで本発明では、行先と共に表示される車両の系統番号や運行形態を様々な色を使って強調して表示し、視認性を向上させることができる車両用行先表示器をより安価に提供することができ、且つその表示形態等は容易に変更できることを可能とする車両用行先表示器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の車両用行先表示器は、外部から見える位置に設置され、且つ車両の行先等を表示する表示部と、該表示部を支える周枠とを有する車両用行先表示器において、前記周枠の外部から見える位置には、光源を収納するソケットと、該光源から導光された光を側面から出射することにより線状に発光する導光体が設置されていることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の車両用行先表示器は、請求項1に記載の車両用行先表示器に加えて、前記導光体は、前記表示部に表示された行先の上または下の少なくともいずれか一方に位置する前記周枠上に設置され、運行形態に応じて異なる色を表示することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に記載の車両用行先表示器は、請求項1または請求項2に記載の車両用行先表示器に加えて、前記表示部には、車両の行先と運行形態または系統番号が共に表示され、前記導光体は、前記表示部に表示された運行形態または系統番号の上または下の少なくともいずれか一方に位置する前記周枠上に設置されることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に記載の車両用行先表示器は、請求項1ないし請求項3に記載の車両用行先表示器に加えて、前記導光体は、導光チューブであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の車両用行先表示器によれば、前記車両用行先表示器の行先表示部の周囲に位置する周枠上に、光源を収納するソケットと、該光源から導光された光を側面から出射することにより線状に発光する導光体を設置することとしたため、行先表示器に表示される文字、数字等の外周を導光体が発光することによって当該文字、数字等を強調することが可能となる。また、行先表示部は従来のままで使用できるので、既設の行先表示器であっても、その周枠のみの取り替え又は追加加工を行うことによって、本発明形態を実施することができる。
【0010】
また、請求項2に記載の車両用行先表示器によれば、請求項1に記載の車両用行先表示器の効果に加えて、前記導光体を前記表示部に表示された行先の上または下の少なくともいずれか一方に位置する前記周枠上に設置し、運行形態に応じて異なる色を表示することとしたため、運行形態の違いを強調することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の車両用行先表示器によれば、請求項1または請求項2に記載の車両用行先表示器の効果に加えて、前記表示部に表示された運行形態または系統番号の上または下の少なくともいずれか一方に位置する前記周枠上に前記導光体を設置することとしたため、運行形態または系統番号の文字または数字を強調することができる。
【0012】
また、請求項4に記載の車両用行先表示器によれば、請求項1ないし請求項3に記載の車両用行先表示器の効果に加えて、前記導光体は、導光チューブとしたので、周枠への導光体の取り付けを容易に行うことができる。
【0013】
以上の発明の車両用行先表示器によって、新設のみならず既設の行先表示器であっても、該行先表示器の周枠上に光源を収納するソケットと、該光源から導光された光を側面から出射することにより線状に発光する導光体を取り付けることとしたので、行先と共に表示される車両の系統番号や運行形態を様々な色を使って強調して表示し、視認性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明における実施例について図1〜図8を用いて説明する。なお、各図の同様な構成要素に付した符号は同一としてある。
【0015】
図1は車両用行先表示器1がバスに設置された場合を示しており、該行先表示器1はバスの前面ガラスの上部2、乗降者側の側面3および後面ガラスの上部4に設置されている。
【実施例1】
【0016】
図2は多数の単色LED5をマトリックス状に配置した行先表示部6を有する車両用行先表示器1であり、その周枠7の上部には、導光体としてチューブ状発光体8が設置されている。
【0017】
図3はチューブ状発光体8の略断面図である。チューブ状発光体8は、透光性を有する保護チューブ8a内に設けられた導光性を有する導光チューブ8bと、保護チューブ8aの両端に設けられたソケット9とからなり、ソケット9内には、光源としてのLED10が基板11に固定されている。LED10の光は、保護チューブ8aを透過して導光チューブ8bに導光されることにより、チューブ状発光体8が線状に発光する。
【0018】
なお、この例では、赤、緑、青色のLEDがそれぞれソケット9内に設けられ、これらの3種類のLEDを組み合わせて任意の色を発光することができるようにされている。また、ソケット9は保護チューブ8aの両端に設けられているが、片側のソケットのみにLEDを設けるようにしても良い。
【0019】
図4は行先表示部6に系統番号12と行先13とが表示された例である。行先表示部6の上部にチューブ状発光体8が設置されており、行先表示部6の単色と異なった色を発色させることができる。例えば、行先表示部6が黄色の場合、LED10を緑色に発光させることで、行先表示部6の上部に設けられたチューブ状発光体8が緑色に発光するため、行先表示部6の表示内容を強調することができる。
【0020】
また、最終バスの場合にチューブ状発光体を赤色に発光させ、最終バスの一つ前のバスの場合にチューブ状発光体を緑色に発光させることにより、最終バスか否かが一目で容易に識別可能にすることができる。
【実施例2】
【0021】
図5および図6は行先表示部6に系統番号12と行先13とが表示された車両用行先表示器1において、系統番号12の上部および行先の上部に、それぞれチューブ状発光体8A、8Bを設置した例である。行先表示部6の黄色に対し、チューブ状発光体8Aの発色(例えば赤色)とチューブ状発光体8Bの発色(例えば緑色)をそれぞれ異なった色とすることにより、系統番号と行先の表示をそれぞれ強調することができる。
【0022】
また、チューブ状発光体8の発色を系統番号独自の色と決定しておくことが可能である。即ち、図7のように系統番号別にチューブ状発光体8の発色する色をあらかじめ決定しておくことができる。
【0023】
なお、図5および図6においては、系統番号12の上部および行先の上部に、それぞれチューブ状発光体8A、8Bを設置したが、系統番号12の上部にのみチューブ状発光体を設けるようにしてもよい。
【0024】
さらなる別例として、図8ように、系統番号12、行先13および運行形態14を併せて表示するとともに、系統番号12、行先13および運行形態14の各表示の上および下の周枠にそれぞれチューブ状発光体8A,8A’,8B,8B’,8C,8C’を設けてもよい。この場合、チューブ状発光体8Aおよび8A’の発光色と、チューブ状発光体8Bおよび8B’の発光色と,チューブ状発光体8Cおよび8C’の発光色とを互いに異なった色にすることも可能である。
【0025】
以上のように、これらの実施例によれば、新設のみならず既設の行先表示器であっても、車両の行先13、系統番号12または運行形態14の各表示の上部または下部の少なくともいずれか一方に位置する周枠上に設けられるチューブ状発光体8によって、様々な色を使って行先表示部6の表示内容を強調したり、視認性を向上させることができる。
【0026】
なお、本発明は上記の実施例に限定するものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な応用が可能である。例えば、上記実施例では、行先表示部が単色LEDからなると説明したが、フルカラー表示できるLED表示器や、従来の幕式表示器でもよいし、液晶表示やプラズマ表示管等により構成してもよい。
【0027】
また、ソケット9内に固定される光源としてLEDを記載したが、他の光源、例えば、白熱球や他の放電ランプなどを用いても良い。
【0028】
また、導光体として導光チューブの例を記載したが、導光チューブに限ることなく、導光性を有する導光部材、例えば、導光板などを用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、この発明はバスや電車などの車両に取り付けられ、その行先を表示する車両用行先表示器に関するものであるが、バス停や鉄道駅などの待合い場所など、さまざまな分野、場所での応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】行先表示器を備えたバスの外観図である。
【図2】実施例1の行先表示器である。
【図3】実施例1の行先表示器におけるチューブ状発光体の拡大断面図である。
【図4】実施例1の行先表示器によって表示された例である。
【図5】実施例2に行先表示器である。
【図6】実施例2の行先表示器によって表示された例である。
【図7】実施例2におけるチューブ状発光体の発光する発光色と運行形態等との関連表である。
【図8】他の実施例の行先表示器によって表示された例である。
【符号の説明】
【0031】
1・・・車両用行先表示器、2・・・バス前面、3・・・バス側面、4・・・バス後面、5・・・単色LED、6・・・行先表示部、7・・・周枠、8、8A、8B、8C・・・チューブ状発光体、8a・・・保護チューブ、8b・・・導光チューブ、9・・・ソケット、10・・・LED、11・・・基板、12・・・系統番号、13・・・行先、14・・・運行形態。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から見える位置に設置され、且つ車両の行先等を表示する表示部と、
該表示部を支える周枠とを有する車両用行先表示器において、
前記周枠の外部から見える位置には、光源を収納するソケットと、該光源から導光された光を側面から出射することにより線状に発光する導光体が設置されていることを特徴とする車両用行先表示器。
【請求項2】
前記導光体は、前記表示部に表示された行先の上または下の少なくともいずれか一方に位置する前記周枠上に設置され、運行形態に応じて異なる色を表示することを特徴とする請求項1に記載の車両用行先表示器。
【請求項3】
前記表示部には、車両の行先と運行形態または系統番号が共に表示され、
前記導光体は、前記表示部に表示された運行形態または系統番号の上または下の少なくともいずれか一方に位置する前記周枠上に設置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用行先表示器。
【請求項4】
前記導光体は、導光チューブであることを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の車両用行先表示器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−3373(P2006−3373A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−156946(P2004−156946)
【出願日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】