説明

車両用警報装置

【課題】 運転者が異常や危険の発生を確実に認識することができると共に、複数種類の異常や危険を確実に識別することができる車両用警報装置を提供する。
【解決手段】 事象検出装置1は外部センサーおよび内部センサーからの信号を受け、発生している事象(異常や危険)を検出する。振動体制御装置2は、事象検出装置1から受けた情報に基づいて振動体駆動装置(4a〜4dのいずれか)へ駆動信号を出力する。これにより、車両のシートに埋め込まれた振動体(5a〜5dのいずれか)が振動する。音源制御装置3は、事象検出装置1から受けた情報に基づいて警報音および音量を決定し、振動体制御装置2から出力される同期信号に同期させて音源装置7へ出力する。音源装置7は音源制御装置3からのデータに対応する警報音信号を生成し、音源制御装置3から出力されたデータによって音量制御をしてスピーカ9へ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者に他車両や障害物の接近等の異常や危険を報知する車両用警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の装置として、特許文献1に記載された「車両用シート併用型報知システム」や特許文献2に記載された「振動体を有する運転座席」が知られている。これらの装置はいずれも車両の運転者用シートに振動体を設け、障害物の接近等の際にその振動体を振動させることによって異常を運転者に知られるというものである。
【特許文献1】特開2000-225877号公報
【特許文献2】特開2001-199296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1のものは音声再生装置による警報音が併用されていないので、異常の発生が運転者に認識されない場合があるという問題があった。また、特許文献2のものも、音声再生装置による警報音が併用されていないので、複数種類の異常の発生に対して対応することが難しいという問題があった。
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、運転者が異常や危険の発生を確実に認識することができると共に、複数種類の異常や危険を確実に識別することができる車両用警報装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、車両の異常あるいは危険を検知する検知手段と、車両のシートに設置され、前記検知手段が検知した異常あるいは危険の度合いに応じた強さで振動する振動体と、前記振動体の強さに応じた音量で警報音を発生する警報音発生手段とを具備することを特徴とする車両用警報装置である。
請求項2に記載の発明は、車両の異常あるいは危険を検知する検知手段と、車両のシートに設置され、前記検知手段が異常あるいは危険を検知すると、所定のタイミングで振動する振動体と、前記振動体が振動するタイミングに同期して警報音を発生する警報音発生手段とを具備することを特徴とする車両用警報装置である。
【0005】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の車両用警報装置において、前記振動体は、シートの異なる部位に複数設置され、車両の異常あるいは危険の発生した位置に応じた振動体が振動することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の車両用警報装置において、前記警報音発生手段は、前記検知手段が検知した異常あるいは危険の種類に応じて警報音の種類を変えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、運転者が異常や危険の発生を確実に認識することができると共に、複数種類の異常や危険を確実に識別することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1はこの発明の一実施の形態による車両用警報装置の構成を示すブロック図、図2は車両用警報装置において用いられる振動体5a〜5dの取り付け位置を示す図である。図1において、符号1はn個の外部センサーおよびm個の内部センサーからの信号を受ける事象検出装置である。ここで、外部センサーは障害物や他の車両を検出するために車両の外部に取り付けられた超音波センサーやミリ波レーダー等であり、また、内部センサーは車両の故障検知などのためのもので、タイヤ内部に取り付けられたパンクを検出するセンサー等である。事象検出装置1は、外部センサーや内部センサーから得た情報に基づいて、発生している事象(異常や危険)がどのような事象であるか、どの方向か、どの程度の度合いかを検出する。そして、その検出結果である事象情報、方向情報、度合い情報を振動体制御装置2および音源制御装置3へ出力する。
【0008】
振動体制御装置2は、事象検出装置1から受けた方向情報に基づいて駆動する振動体(5a〜5dのいずれか)を選択し、選択した振動体(5a〜5d)を駆動する振動体駆動装置(4a〜4d)へ事象検出装置1から受けた度合い情報に対応する駆動強さ情報を含む駆動信号を出力する。振動体駆動装置4a〜4dは各々振動体制御装置2から受けた駆動信号の駆動強さ情報に応じた強度で振動体5a〜5dを駆動する。振動体5a〜5dは各々、図2に示すように、車両の運転者のシートに埋め込まれたもので、振動体5aは運転者の背骨の右側後部のシートに、振動体5bは運転者の背骨の左側後部のシートに、振動体5cは運転者の右足下部のシートに、振動体5dは運転者の左足下部のシートにそれぞれ埋め込まれている。
【0009】
音源制御装置3は、事象検出装置1から受けた事象情報に基づいて警報音データを決定すると共に、同装置1から受けた度合い情報に基づいて音量を決定し、決定した警報音データの番号および音量データを振動体制御装置2から出力される同期信号に同期させて音源装置7へ出力する。音源装置7は音源制御装置3から出力される警報音データの番号に基づいて、予め記憶装置に記憶されている警報音データ1〜kの1つを読み出し、読み出した警報音データに基づいて警報音信号を生成し、該警報音信号に音源制御装置3から出力された音量データによる音量制御をしてスピーカ9へ出力する。警報音データ1〜kは、様々な警報音を生成するためのデータや、警報音声などを録音採取したデータである。
【0010】
次に、上記実施形態の動作を図3に示すフローチャートを参照して説明する。
図3(a)は振動体制御装置2の動作を示すフローチャートである。まず、事象検出装置1から方向情報および度合い情報を受信したか否かをチェックし、受信していない時は受信するまでチェック動作を繰り返す(ステップSa1)。そして、受信した時は、方向情報と度合い情報から、駆動すべき振動体(5a〜5d)と駆動強さを決定する(ステップSa2)。ここで、事象(異常や危険)が車両の左前、右前、左後ろ、右後ろでそれぞれ検出された時は、各検出位置に対応して振動体5d、5c、5b、5aを駆動する。また、車両の車両の真前、真後ろ、左真横、右真横で検出された時は、各々振動体5dと5c、、5bと5a、5dと5b、5cと5aをそれぞれ同時に駆動する。
次に、決定した振動体(5a〜5d)を駆動する振動体駆動装置(4a〜4d)へ、駆動強さに応じた駆動信号を予め決められた1周期のオン時間出力する(ステップSa3)。ここで、1周期は例えば5秒であり、オン時間は例えば3秒である。いま、例えば、運転者の左前の方向から障害物が接近したとすると、振動体制御装置2は振動体駆動装置4dへ、障害物までの距離に対応する駆動強さに応じた駆動信号を出力する。これにより、振動体5dが障害物までの距離に対応する強さで3秒間駆動される。また、振動体制御装置2は、振動体の駆動スタート時に、同期信号を音源制御装置3へ出力する(ステップSa4)。そして、上述した1周期(5秒)が経過したか否かを判断し(ステップSa5)、経過していない場合は1周期が経過するまで判断動作を繰り返す。
【0011】
そして、1周期が経過した時は、再びステップSa1へ戻り、事象検出装置1から方向情報および度合い情報を受信しているか否かをチェックする。そして、まだ受信中であった時は、再び、ステップSa2〜Sa5が繰り返される。これにより、例えば、上記の障害物がさらに接近した時は、振動体制御装置2はより強い駆動強さの駆動信号を出力し、振動体5dがさらに強く駆動される。以下、上記の動作が繰り返される。
【0012】
図3(b)は音源制御装置3の動作を示すフローチャートである。まず、振動体制御装置2から同期信号を受信したか否かをチェックする(ステップSb1)。受信していない時は受信するまでチェックを繰り返す。そして、同期信号を受信した時は、事象検出装置1から出力される事象情報に基づいて警報音データを決定すると共に、同装置1から受けた度合い情報に基づいて音量を決定する(ステップSb2)。次に、決定した警報音データの番号および音量データを音源装置7へ出力して警報音を前述した1周期のオン時間(3秒)再生させる。これにより、例えば、障害物が接近している場合は障害物を示す警報音が障害物までの距離に応じた音量で3秒間、前述した振動体5dの振動と同じタイミングで発音される。次に、ステップSb1へ戻って次の同期信号を待ち、同期信号を受けた時は、再び、その時点で事象検出装置1から出力される事象情報に基づいて警報音データを決定すると共に、同装置1から受けた度合い情報に基づいて音量を決定し、決定した警報音データの番号および音量データを音源装置7へ出力して警報音を1周期のオン時間分再生させる。これにより、障害物がさらに近づいた時は警報音がさらに大きくなる。以下、上記動作が繰り返えされる。
【0013】
上記実施形態によれば、車両に異常や危険な事象(障害物が接近する等)が発生した時、事象の発生方向を、5a〜5dのどの振動体を駆動するかによって、また、事象の度合い(例えば、障害物接近の程度)を振動体の振動強さによって運転者に知らせる。また、振動体5a〜5dの振動と同時に警報音を発生させ、かつ、事象の種類を警報音を変えることによって運転者に知らせ、また、警報音の音量によって事象の度合いを運転者に知らせる。このように、上記実施形態によれば、振動および警報音の双方によって運転者に異常や危険を知らせるので、運転者が異常や危険の発生を確実に認識することができると共に、複数種類の異常や危険を確実に識別することができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
この発明は、自動車の警報装置に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施形態による車両用警報装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態において用いられる振動体5a〜5dの取り付け位置を示す図である。
【図3】同実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0016】
1…事象検出装置、2…振動体制御装置、3…音源制御装置、4a〜4d…振動体駆動装置、5a〜5d…振動体、7…音源装置、9スピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の異常あるいは危険を検知する検知手段と、
車両のシートに設置され、前記検知手段が検知した異常あるいは危険の度合いに応じた強さで振動する振動体と、
前記振動体の強さに応じた音量で警報音を発生する警報音発生手段と、
を具備することを特徴とする車両用警報装置。
【請求項2】
車両の異常あるいは危険を検知する検知手段と、
車両のシートに設置され、前記検知手段が異常あるいは危険を検知すると、所定のタイミングで振動する振動体と、
前記振動体が振動するタイミングに同期して警報音を発生する警報音発生手段と、
を具備することを特徴とする車両用警報装置。
【請求項3】
前記振動体は、シートの異なる部位に複数設置され、車両の異常あるいは危険の発生した位置に応じた振動体が振動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用警報装置。
【請求項4】
前記警報音発生手段は、前記検知手段が検知した異常あるいは危険の種類に応じて警報音の種類を変えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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