説明

車両用部材の取付構造

【課題】車両用部材の支持剛性を確保しつつ、該車両用部材の振動を常に効果的に抑制するとともに、生産性及びメンテナンス性を向上させる。
【解決手段】第1車両部材10aと第2車両部材30との結合部に、剛結合部Rと、柔結合部材50を用いる柔結合部Fと、を設け、柔結合部材50に、一方の面が第1車両部材10aに当接する板状の台座部材52と、該台座部材52の他方の面に積層されて第2車両部材30に当接する弾性力を有する減衰部材54と、台座部材52の前記一方または他方の面に設けられて第1又は第2車両部材10a,30に固定される固定部56と、を設け、柔結合部材50を、減衰部材54と第2車両部材30との当接面に所定以上の摩擦力が作用するように該減衰部材54が圧縮された状態で、第1車両部材10aと第2車両部材30との間に介装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を構成する2つの車両用部材同士の結合部における車両用部材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両において、ハンドルやシートなどの振動を低減するためには、これらの部材および該部材を支持する車体側の部材を、それらの振動が抑制されるように取り付けること重要である。
【0003】
ハンドルの取付構造の具体例について説明すると、車体の側方部を構成する左右のヒンジピラー間に跨って車幅方向に延設されたインパネメンバのビーム部材に、ステアリングシャフトを介してハンドルが支持されることがある。このインパネメンバのビーム部材の端部にブラケットが固定されるか又は一体に設けられている場合、このブラケットとヒンジピラーとの結合部において、ヒンジピラー側からインパネメンバ側への振動の伝達が抑制されるように該両部材を取り付けることにより、ハンドルの振動を低減することができる。
【0004】
より具体的な例が特許文献1に開示されており、この特許文献1の技術によれば、ハンドルを支持するインパネメンバと、車体の側方部を構成するフロントピラーとの結合部の剛性を高めることで、ハンドルの振動抑制が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−168479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術は、インパネメンバとフロントピラーとの結合部の剛性を高めることで、固有振動数を高周波側へシフトさせるものであるため、特定の周波数成分についての振動抑制効果が生じるものの、この周波数成分よりも高い周波数成分について新たな共振が発生することがある。そのため、高周波成分によるビリビリした振動がハンドルに伝達されることにより、ハンドル操作のフィーリングや乗り心地が悪化することがある。
【0007】
この問題に鑑みて、固有振動数をシフトさせるのではなく振動レベル自体を低減するための技術として、例えば上述のインパネメンバのブラケットとヒンジピラー等、2つの車両用部材間の結合部において、振動エネルギーをひずみエネルギーとして吸収する減衰部材を両部材間に介装することで、結合剛性を維持しつつ、かつ別の周波数での新たな共振を発生させることなく、振動レベルを低減させることが考えられる。
【0008】
この場合、減衰部材と車両用部材との当接部において、減衰部材を、そのせん断方向に作用する車両用部材の振動に確実に追従させるため、車両用部材に減衰部材を接着させることが考えられる。
【0009】
しかしながら、いったん車両用部材に接着させた減衰部材は容易に取り外すことができないことから、取付け後の調整が困難となるため、生産性やメンテナンス性が悪くなるおそれがある。
【0010】
そこで、本発明は、車両用部材の支持剛性を確保しつつ、該車両用部材の振動を常に効果的に抑制することができるとともに、生産性及びメンテナンス性に優れた車両用部材の取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明に係る車両用部材の取付構造は、次のように構成したことを特徴とする。
【0012】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、
車両を構成する第1車両部材と第2車両部材との結合部における車両用部材の取付構造であって、
前記第1車両部材と前記第2車両部材との結合部は、前記第1車両部材と前記第2車両部材とが当接した状態で剛結された剛結合部と、前記第1車両部材と前記第2車両部材とが柔結合部材を介して結合された柔結合部と、を備え、
前記柔結合部材は、一方の面が前記第1車両部材に当接する板状の台座部材と、該台座部材の他方の面に積層されて前記第2車両部材に当接する弾性力を有する減衰部材と、前記台座部材の前記一方または他方の面に設けられて前記第1又は第2車両部材に固定される固定部と、を備え、
前記柔結合部材は、前記減衰部材と前記第2車両部材との当接面に所定以上の摩擦力が作用するように該減衰部材が圧縮された状態で、前記第1車両部材と前記第2車両部材との間に介装されたことを特徴とする。
【0013】
なお、本明細書でいう「所定以上の摩擦力」とは、振動に起因する台座部材と第2車両部材とのせん断方向の相対変位に対して、減衰部材の当接面が追従するのに必要な摩擦力を指すものとする。また、この摩擦力は、減衰部材と第2車両部材との当接部における両当接面の摩擦係数、垂直抗力、および当接面の面積等によって定められる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、
前記固定部は、前記台座部材の前記一方または他方の面から略垂直に延びる脚部であり、
該脚部が前記第1又は第2車両部材に設けられた孔部に嵌合されることで、該車両部材に前記柔結合部材が固定されていることを特徴とする。
【0015】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の発明において、前記台座部材の前記一方の面に前記固定部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
またさらに、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、
前記台座部材の前記一方または他方の面は円形の面であり、
前記固定部は、前記台座部材の前記円形の面に1箇所のみ、且つ、該円形の面の略中心に設けられていることを特徴とする。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項2または請求項3に記載の発明において、
前記台座部材と前記第1車両部材との当接部において、前記台座部材の当接面は、前記第1車両部材の当接面の凹凸形状に沿った凹凸形状を有し、
前記減衰部材と前記第2車両部材との当接部において、前記減衰部材の当接面は、前記第2車両部材の当接面の凹凸形状に沿った凹凸形状を有することを特徴とする。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明において、
前記減衰部材は、温度が20度で且つ加振力の周波数が30Hzである条件下において、貯蔵弾性率が500MPa以下で、且つ、損失係数が0.2以上である粘弾性部材であることを特徴とする。
【0019】
さらに、請求項7に記載の発明は、前記請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の発明において、
前記減衰部材における前記第2車両部材との当接面に、該両部材が相互に接着されることを防止するための接着防止層が設けられていることを特徴とする。
【0020】
また、請求項8に記載の発明は、前記請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の発明において、
前記第1又は第2車両部材の一方の部材は、車体の側方部を構成するヒンジピラーであり、
前記第1又は第2車両部材の他方の部材は、車幅方向に延設された略円筒状のビーム部材と、該ビーム部材の一端に固定されるか又は一体に設けられて前記ヒンジピラーに結合されるブラケットとを備えたインパネメンバであり、
前記ビーム部材の軸方向から該ビーム部材を前記ブラケットに投影してなる略円形の投影部の外縁部において、前記剛結合部と前記柔結合部とが分散して配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
まず、請求項1に記載の発明によれば、第1車両部材と第2車両部材とが剛結合部と柔結合部とを併用して結合されるため、前記両部材の結合力を維持しつつ、柔結合部において柔結合部材の減衰部材が一方の車両部材側の振動エネルギーをひずみエネルギーとして吸収することにより、他方の車両部材の振動レベルを低減できる。したがって、車両用部材の振動を常に効果的に抑制することができ、乗り心地を向上させることができる。その上、請求項1に記載の発明によれば、柔結合部材の固定部を第1車両部材または第2車両部材に固定しつつ、柔結合部材の減衰部材と第2車両部材との当接面に所定以上の摩擦力が作用するように減衰部材を圧縮させることで、柔結合部材が取り付けられるため、両車両部材に対して減衰部材を接着させなくても、振動に起因する第1車両部材と第2車両部材とのせん断方向の相対変位に対して減衰部材が追従して変形することが可能になる。そのため、車両の生産またはメンテナンスの際、いったん取り付けた柔結合部材を必要に応じて容易に取り外すことができることから、車両の生産性およびメンテナンス性を向上させることができる。
【0022】
また、請求項2に記載の発明によれば、柔結合部材の固定部が、台座部材における第1又は第2車両部材との対向面から略垂直に延びる脚部であり、該脚部が第1又は第2車両部材に設けられた孔部に嵌合されることで、該車両部材に柔結合部材が固定されるため、かかる柔結合部材の固定を、簡単な構造で実現することができる。
【0023】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、台座部材における減衰部材との接合面とは反対側の面に前記固定部が設けられているため、該固定部との干渉を避けるための穴を減衰部材に設ける必要がなく、これにより、減衰部材と第2車両部材との当接面積を増大させて、減衰効果の向上を図ることができる。
【0024】
またさらに、請求項4に記載の発明によれば、台座部材の面の1箇所のみに前記固定部が設けられるため、該固定部を第1又は第2車両部材に取り付ける際、複数箇所で同時に位置合わせすることを回避できるため、位置決めを容易に行うことができる。また、前記固定部は台座部材の円形の面の略中心に設けられるため、前記固定部を中心とする台座部材の円形面の回転位置が如何なる位置であっても、減衰部材の取付け位置は変化しない。そのため、減衰部材を確実に所望の位置に取り付けることができる。
【0025】
また、請求項5に記載の発明によれば、台座部材と第1車両部材との当接部において、台座部材の当接面が、第1車両部材の当接面の凹凸形状に沿った凹凸形状を有し、減衰部材と第2車両部材との当接部において、減衰部材の当接面が、第2車両部材の当接面の凹凸形状に沿った凹凸形状を有するため、車両部材の表面の凹凸形状に関わらず、柔結合部材をがたつくことなく取り付けることができ、振動に起因する第1車両部材と第2車両部材とのせん断方向の相対変位に対する減衰部材の追従性を高めることができる。
【0026】
またさらに、請求項6に記載の発明によれば、減衰部材として、柔結合部の剛性が過剰に高くなることを回避でき且つ振動を効果的に減衰し得る粘弾性部材が使用されるため、別の周波数での新たな共振発生の回避と、振動レベルの低減とを確実に図ることができる。
【0027】
さらに、請求項7に記載の発明によれば、減衰部材と第2車両部材との間に接着防止層が介在されるため、減衰部材が接着性を有する材料からなる場合であっても、減衰部材と第2車両部材とが相互に接着されることを防止することができ、車両の生産時またはメンテナンス時において、柔結合部に取り付けられた柔結合部材を必要に応じて容易に取り外すことができ、生産性およびメンテナンス性の向上を確実に図ることができる。
【0028】
また、請求項8に記載の発明によれば、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の発明をインパネメンバのブラケットとヒンジピラーとの結合部に適用する場合において、インパネメンバのビーム部材の軸方向から該ビーム部材を前記ブラケットに投影してなる略円形の投影部の外縁部において、前記剛結合部と前記柔結合部とが分散して配置されることで、インパネメンバとヒンジピラーとの間で伝達される振動を効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用部材の取付構造が適用されるインパネメンバの取付け位置を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】第1の実施形態に係るインパネメンバとヒンジピラーとの取付構造を示す図2のB−B線断面図である。
【図4】図3に示す取付構造に使用する柔結合部材を示す斜視図である。
【図5】インパネメンバを取り付ける手順を説明するための図である。
【図6】同じくインパネメンバを取り付ける手順を説明するための図である。
【図7】第2の実施形態に係るインパネメンバとヒンジピラーとの取付構造を示す図2のB−B線断面図である。
【図8】第3の実施形態に係るインパネメンバとヒンジピラーとの取付構造を示す図2のB−B線断面図である。
【図9】第4の実施形態に係るインパネメンバとヒンジピラーとの取付構造を示す図2のB−B線断面図である。
【図10】図2に示すブラケットとは別のブラケットを使用する場合における図1のA−A線断面図である。
【図11】図10に示すブラケットと図4に示す柔結合部材とを使用する実施例と従来例の振動レベルを比較して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「前後」、「右」、「左」、「左右」等の方向を示す用語は、特段の説明がある場合を除いて、車両の進行方向を「前」とした場合の方向を指すものとする。
【0031】
[第1の実施形態]
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る車両用部材の取付構造は、車両2の構成部材であるヒンジピラー10とインパネメンバ20との結合部に適用される。
【0032】
ヒンジピラー10は、車体4の両側面部においてそれぞれ該側面部の一部を構成するように左右一対設けられており、各ヒンジピラー10は、サイドシル6の前端部とフロントピラー8の下端部とに跨って上下方向に延設されている。
【0033】
インパネメンバ20は、左右のヒンジピラー10間に跨って設けられており、このインパネメンバ20により、ハンドル16がステアリングシャフト18を介して支持されるようになっている。
【0034】
図6は、インパネメンバ20を車両後方側から見た図であり、この図6に示すように、インパネメンバ20は、車幅方向に延設された略円筒状のビーム部材22と、該ビーム部材22の一端に固定されて例えば左側のヒンジピラー10aに固定されるブラケット30と、ビーム部材22の他端に固定されて例えば右側のヒンジピラー10bに固定される固定装置70とを有する。なお、ブラケット30及び固定装置70は、それぞれビーム部材22と一体に設けるようにしてもよい。
【0035】
ビーム部材22は、第1ビーム部24と、該第1ビーム部24に連結されて該第1ビーム部24よりも小径の第2ビーム部26とを有し、本実施形態において、第1ビーム部24は前記ブラケット30に固定され、第2ビーム部26は前記固定装置70に固定されている。なお、前記ステアリングシャフト18は、ビーム部材22の第1ビーム部24に連結されるようになっている(図1参照)。
【0036】
固定装置70は、ビーム部材22の軸方向に垂直な面に沿って配設されて該ビーム部材22の端部に固定されたベースプレート74と、該ベースプレート74におけるヒンジピラー10bとの対向面に固定されて車幅方向に伸縮可能な複数の伸縮部材72とを有する。後述のように、この伸縮部材72は、例えば右側のヒンジピラー10bに固定される。
【0037】
一方、ブラケット30は、ビーム部材22の軸方向に垂直な面に沿って配設されて該ビーム部材22の端部に溶接部40を介して結合された板状部材であり、このブラケット30におけるビーム部材22との結合部の近傍には、車幅方向外側へ凹入した複数の凹部36,38が設けられている。なお、ブラケット30の外縁部の一部には、車幅方向内側へ延びる延出片32,34が形成されている(図2及び図3参照)。
【0038】
図2〜図4を参照しながら、インパネメンバ20のブラケット30とヒンジピラー10aとの結合部の構成について説明する。なお、図2は、インパネメンバ20のビーム部材22の軸方向からブラケット30及びヒンジピラー10aを見た図(図1のA−A線断面図)である。また、図3は、図2のB−B線断面図であり、この図3では、ビーム部材22の図示を省略している。さらに、図4は、ブラケット30とヒンジピラー10aとの結合部に設けられる柔結合部材50を示す斜視図である。
【0039】
図2及び図3に示すように、ブラケット30とヒンジピラー10aとの結合部には、剛結合部Rと柔結合部Fとが設けられている。
【0040】
剛結合部Rでは、ブラケット30の前記凹部36と、ヒンジピラー10aにおける該凹部36に対向する位置において車幅方向内側へ突設された凸部12とが互いに当接した状態でボルト60及びナット62により剛結されている。なお、ナット62は、ブラケット30の凹部36に例えば溶接により予め固着しておくことが好ましく、これにより、ボルト60の締結作業を車幅方向外側から容易に行うことができる。
【0041】
一方、柔結合部Fでは、ブラケット30とヒンジピラー10aとの間に設けられた隙間に柔結合部材50がそれら両部材4,30に接合するように配設されている。
【0042】
図3及び図4に示すように、柔結合部材50は、一方の面がヒンジピラー10aに当接する板状の台座部材52と、該台座部材52の他方の面に積層されてブラケット30に当接する減衰部材54と、台座部材52におけるヒンジピラー10aとの対向面に設けられて該ヒンジピラー10aに固定される固定用脚部56とを備えている。
【0043】
台座部材52は、両面共に円形であり、全体に亘って略一定の厚みを有する。台座部材52は例えば樹脂からなるが、台座部材52の材料は特に限定されるものでなく、例えば金属であってもよい。
【0044】
脚部56は、台座部材52におけるヒンジピラー10aとの対向面から略垂直に延びるように突設されている。また、脚部56は例えば丸棒状に形成されており、該脚部56には、径方向外側に拡がる円盤状のフランジ部58が複数形成されている。さらに、脚部56は、例えば樹脂からなるが、脚部56の材料は特に限定されるものでない。
【0045】
図3に示すように、脚部56は、ヒンジピラー10aに設けられた孔部15に嵌合されており、この簡単な構造により、柔結合部材50がヒンジピラー10aに固定されるようになっている。このとき、脚部56のフランジ部58は、ヒンジピラー10aにおける車幅方向外側の面と前記孔部15の内壁とに係止されるようになっており、これにより、柔結合部材50がヒンジピラー10aから容易に脱落することを防止できるようになっている。
【0046】
また、脚部56は、ヒンジピラー10aに対向する台座部材52の前記円形の面に1箇所のみ設けられている。そのため、仮に該円形の面に複数の脚部56を設ける場合に比べて、ヒンジピラー10aの孔部15に対する脚部56の位置合わせを極めて容易に行うことができ、位置決め作業の効率化を図ることができる。また、脚部56は、台座部材52の前記円形の面の略中心に設けられている。そのため、脚部56を中心とする台座部材52の前記円形面の回転位置が如何なる位置であっても、減衰部材54の取付け位置が変化することがなく、これにより、該減衰部材54を確実に所望の位置に取り付けることができるようになっている。
【0047】
減衰部材54は、柔結合部Fにおいて振動を減衰させる部材であり、弾力性を有する部材で構成される。図4に示すように、減衰部材54は、台座部材52と同一径の円板状または円柱状に形成されており、例えば接着により台座部材52に接合されている。
【0048】
また、減衰部材54は、圧縮されていない状態において、少なくとも柔結合部Fにおける台座部材52とブラケット30との間隔よりも大きく、且つ、全体に亘って略一定の厚みを有する。そして、図3に示すように柔結合部材50がヒンジピラー10aとブラケット30との間に介装された状態において、減衰部材54は、該減衰部材54とブラケット30との当接面に所定以上の摩擦力が作用するように圧縮される。
【0049】
なお、ここでいう「所定以上の摩擦力」とは、振動に起因する台座部材52とブラケット30とのせん断方向の相対変位に対して、減衰部材54の当接面が追従するのに必要な摩擦力を指すものとする。また、この摩擦力は、減衰部材54とブラケット30との当接部における両当接面の摩擦係数、垂直抗力、および当接面の面積等によって定められる。
【0050】
よって、振動によりヒンジピラー10aとブラケット30とがせん断方向に相対変位したとき、この相対変位に対して減衰部材54が追従して変形し、これにより、振動を減衰させるようになっている。すなわち、柔結合部Fでは、剛結合部Rに比べて結合剛性が低い反面、減衰部材54による振動減衰効果を得られる利点がある。
【0051】
上述のように、ブラケット30とヒンジピラー10aとは、剛結合部Rと柔結合部Fとを併用して結合されているため、ブラケット30とヒンジピラー10aとの結合力を維持しつつ、柔結合部Fにおいて減衰部材54が車体側の振動エネルギーをひずみエネルギーとして吸収することにより、インパネメンバ20及び該インパネメンバ20に支持されたハンドル16の振動レベルを低減できる。したがって、ハンドル16の振動を常に効果的に抑制することができ、ハンドル操作のフィーリングや乗り心地を向上させることができる。
【0052】
剛結合部Rと柔結合部Fとは、ブラケット30とヒンジピラー10aとの結合剛性が従来の構造の結合剛性と等しくなるように設けることが好ましい。この場合、ハンドル16を支持する部分の固有振動数を維持することができ、これにより、別の周波数での新たな共振の発生を防止することができる。
【0053】
減衰部材54の材料は、弾力性を有するものであれば特に限定されないが、ヒンジピラー10aからブラケット30を取り外すときなどにブラケット30から容易に離すことができる程度に接着力が弱い材料であることが好ましい。減衰部材54の具体的な材料としては、例えば、シリコーン系材料、アクリル系材料が挙げられる。
【0054】
さらに具体的に、減衰部材54としては、温度が20度で且つ加振力の周波数が30Hzである条件下において、貯蔵弾性率が500MPa以下で、且つ、損失係数が0.2以上である粘弾性部材を用いることが好ましい。この場合、貯蔵弾性率が500MPa以下であることにより、柔結合部Fの結合剛性が過剰に高くなることを回避できるとともに、損失係数が0.2以上であることにより、減衰部材54による高い振動減衰効果を得ることができるため、別の周波数での新たな共振発生の回避と、振動レベルの低減とを確実に図ることができる。
【0055】
次に、剛結合部Rと柔結合部Fの配置について説明する。
【0056】
図2及び図3に示すように、剛結合部Rは、ヒンジピラー10aの凸部12,14とブラケット30の凹部36,38との対向部に設けられている。より具体的に、剛結合部Rは、ヒンジピラー10aの凸部12,14とブラケット30の凹部36,38との当接部にボルト46の軸方向からボルト着座面を投影した部分である。
【0057】
一方、柔結合部Fは、剛結合部Rとの位置関係において減衰部材54による減衰効果が十分に発揮され得る位置に設けられている。
【0058】
減衰部材54による減衰効果は、減衰部材54に吸収されるひずみエネルギーを大きくすると高くなる。そのため、柔結合部Fは、減衰部材54が吸収するひずみエネルギーが最大となる部位を含む部分に設定することが望ましく、これにより、振動レベルを効果的に低減することができる。
【0059】
減衰部材54に吸収されるひずみエネルギーは、減衰部材54の変形量が大きいときほど大きくなる。また、減衰部材54の変形量は、減衰部材54が変形できる自由度(変形自由度)と、減衰部材54を変形させる力(減衰部材54にかかる応力)とに比例する。
【0060】
そのため、柔結合部Fが剛結合部Rに近すぎると、減衰部材54の変形自由度が小さすぎて、十分な減衰効果を得ることができない。逆に、柔結合部Fが剛結合部Rから遠すぎると、減衰部材54にかかる応力が小さすぎて、十分な減衰効果を得ることができない。よって、柔結合部Fは、剛結合部Rとの位置関係において減衰部材54の変形自由度と減衰部材54にかかる応力との積が最大になる位置を含む部分に設けることが望ましく、これにより、減衰部材54による減衰効果を最大限に発揮させることができる。
【0061】
また、本実施形態では、インパネメンバ20の構造的な特徴に鑑みて、ブラケット30におけるビーム部材22との結合部の周縁部が強度面で重要な部分となっている。
【0062】
以上の観点から、剛結合部Rと柔結合部Fとは、図2に示すように、ビーム部材22を該ビーム部材22の軸方向からブラケット30に投影してなる略円形の投影部の外縁部において分散して配置されている。これにより、インパネメンバ20とヒンジピラー10aとの間で伝達される振動を効果的に低減することができる。
【0063】
続いて、図5及び図6を参照しながら、車体4にインパネメンバ20を取り付ける手順について説明する。
【0064】
先ず、図5に示すように、例えば左側のヒンジピラー10aの各所定位置(柔結合部F)に柔結合部材50を取り付ける。具体的には、上述のようにヒンジピラー10aの孔部15に柔結合部材50の脚部56を差し込むことで、ヒンジピラー10aに対して柔結合部材50を仮止めしておく。
【0065】
次に、固定装置70の伸縮部材72が収縮した状態のインパネメンバ20を左右のヒンジピラー10a,10b間に配置して、例えば右側のヒンジピラー10bに伸縮部材72の車幅方向外側端部を固定する。このとき、インパネメンバ20の左端に設けられたブラケット30は、左側のヒンジピラー10a及び該ヒンジピラー10aに仮止めされた柔結合部材50から離間した状態となっている。
【0066】
その後、図6に示すように、固定装置70の伸縮部材72を伸長させることで、ブラケット30を左方向へスライド移動させ、該ブラケット30を前記の仮止めされた柔結合部材50の減衰部材54に押し当てる。このブラケット30のスライド移動を、該ブラケット30の前記凹部36,38が左側のヒンジピラー10aの前記凸部12,14に当接するまで継続し、これにより、減衰部材54は台座部材52とブラケット30とにより挟み込まれて圧縮される。このようにして、減衰部材54を上述のように圧縮させた状態でヒンジピラー10aとブラケット30との間に柔結合部材50を介装させることができる。
【0067】
最後に、ヒンジピラー10aの凸部12,14とブラケット30の凹部36,38との当接部を、車幅方向外側から差し込むボルト60により固定することで、剛結合部Rと柔結合部Fとを併用したヒンジピラー10aとブラケット30との結合が完了する。
【0068】
なお、第1の実施形態では、図2に示すブラケット30を使用する構成について説明したが、本発明は、別のブラケットを使用する場合にも適用することができる。例えば、図10に示すブラケット130を使用する場合にも、この図10に示すように、剛結合部Rと柔結合部Fとが、ビーム部材22を該ビーム部材22の軸方向からブラケット30に投影してなる略円形の投影部の外縁部において分散して配置されることで、インパネメンバ20とヒンジピラー10aとの間で伝達される振動を効果的に低減することができる。なお、図10に示すブラケット130にも、図2に示すブラケット30と同様、ヒンジピラー10aの前記凸部12,14に対応するように凹部136,138が設けられるとともに、ブラケット130の外縁部の一部に、車幅方向内側へ延びる延出片132〜135が形成されている。
【0069】
[第2の実施形態]
図7は、第2の実施形態に係るインパネメンバ20とヒンジピラー10aとの取付構造を示している。この実施形態では、減衰部材54におけるブラケット30との当接面に、減衰部材54とブラケット30とが相互に接着されることを防止するための接着防止層80が設けられている。これにより、減衰部材54とブラケット30との間に接着防止層80が介在されることとなるため、減衰部材54が接着性を有する材料からなる場合であっても、減衰部材54とブラケット30とが相互に接着されることを防止することができ、車両の生産時またはメンテナンス時において、柔結合部Fに取り付けられた柔結合部材50を必要に応じて容易に取り外すことができ、生産性およびメンテナンス性の向上を確実に図ることができる。
【0070】
接着防止層80は、例えば、減衰部材54の表面にフィルム状の接着防止材を貼り付けることによって形成されるか、又は、減衰部材54の表面の接着力を低下させるための表面処理を行うことによって形成される。
【0071】
なお、第2の実施形態において、その他の構成は第1の実施形態と同様であり、図7において、第1の実施形態と同様の機能を有する部材には同符号を付してある。
【0072】
[第3の実施形態]
図8は、第3の実施形態に係るインパネメンバ20とヒンジピラー10aとの取付構造を示している。この実施形態では、柔結合部Fにおいて、ヒンジピラー10a及びブラケット30の表面がそれぞれ凹凸形状を有している。そして、台座部材52とヒンジピラー10aとの当接部において、台座部材52の当接面は、ヒンジピラー10aの当接面の凹凸形状に沿った凹凸形状を有し、減衰部材54とブラケット30との当接部において、減衰部材54の当接面は、ブラケット30の当接面の凹凸形状に沿った凹凸形状を有している。これにより、ヒンジピラー10a及びブラケット30の表面の凹凸形状に関わらず、柔結合部材50をがたつくことなく取り付けることができ、振動に起因するヒンジピラー10aとブラケット30とのせん断方向の相対変位に対する減衰部材54の追従性を高めることができる。
【0073】
なお、第3の実施形態において、その他の構成は第1の実施形態と同様であり、図8において、第1の実施形態と同様の機能を有する部材には同符号を付してある。
【0074】
また、第3の実施形態では、ヒンジピラー10a及びブラケット30の両方の表面が凹凸形状を有する場合について説明したが、いずれか一方の部材の表面が凹凸形状を有する場合であっても、該部材に当接する台座部材52又は減衰部材54の表面に上記と同様の凹凸形状を設けることで、同様の効果を得ることができる。
【0075】
さらに、第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様、減衰部材54の表面に接着防止層80を設けるようにしてもよい。
【0076】
[第4の実施形態]
図9は、第4の実施形態に係るインパネメンバ20とヒンジピラー10aとの取付構造を示している。
【0077】
この実施形態に係る柔結合部材150では、台座部材52の一方の面がブラケット30に当接し、台座部材52の他方の面に積層された減衰部材54が、ヒンジピラー10aに当接するようになっている。
【0078】
また、台座部材52におけるヒンジピラー10aとの対向面、すなわち減衰部材54との接合面と同一の面に、固定用脚部56が設けられている。そのため、本実施形態では、減衰部材54に、脚部56との干渉を避けるための孔部155が設けられている。
【0079】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様、柔結合部材150がヒンジピラー10aとブラケット30との間に介装された状態において、減衰部材54は、該減衰部材54とヒンジピラー10aとの当接面に所定以上の摩擦力が作用するように圧縮される。
【0080】
よって、振動によりヒンジピラー10aとブラケット30とがせん断方向に相対変位したとき、この相対変位に対して減衰部材54が追従して変形し、これにより、振動を減衰させるようになっている。
【0081】
また、本実施形態においても、ブラケット30とヒンジピラー10aとは、剛結合部Rと柔結合部Fとを併用して結合されているため、ハンドル16の振動を常に効果的に抑制することができ、ハンドル操作のフィーリングや乗り心地を向上させることができる。
【0082】
なお、第4の実施形態において、その他の構成は第1の実施形態と同様であり、図9において、第1の実施形態と同様の機能を有する部材には同符号を付してある。
【0083】
また、第4の実施形態においても、第2の実施形態と同様、減衰部材54の表面に接着防止層80を設けるようにしてもよい。さらに、第4の実施形態においても、第3の実施形態と同様、台座部材52とブラケット30との当接部において、台座部材52の当接面に、ブラケット30の当接面の凹凸形状に沿った凹凸形状を設け、減衰部材54とヒンジピラー10aとの当接部において、減衰部材54の当接面に、ヒンジピラー10aの当接面の凹凸形状に沿った凹凸形状を設けてもよい。
【0084】
[従来例と実施例との比較試験]
図11は、従来例(従来の車両用部材の取付構造を有する自動車)および実施例(第1の実施形態に係る車両用部材の取付構造を有し、インパネメンバ20が図10に示すブラケット130を有する自動車)についての加振テストの結果を示す。この加振テストは、試験台に自動車を載せた状態で加振器により上下方向の振動を加え、ハンドルにおける左右方向の振動レベルを検出した。具体的には、複数の周波数の振動を加え、それぞれの周波数について伝達関数(イナータンス)を検出した。
【0085】
図11に示すように、伝達関数が高くなる周波数領域、すなわち共振が生じる周波数領域において、実施例の伝達関数は従来例よりも低くなっている。一方、共振が生じる周波数領域は、従来例と実施例とでほぼ一致している。このテスト結果から、第1の実施形態に係る車両用部材の取付構造によれば、左右方向の振動に関して、ハンドルにおける新たな周波数での共振の発生を抑制しつつ、振動レベルを常に効果的に抑制できることを確認できる。
【0086】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0087】
例えば、上述の実施形態では、柔結合部材50の固定部を、ヒンジピラー10aの孔部15に嵌合される脚部56で構成する場合について説明したが、本発明において、柔結合部材50の固定部の構成はこれに限定されるものでなく、例えば、ヒンジピラー10aに設けた凸部が係止される凹状の固定部であってもよい。
【0088】
また、上述の実施形態では、柔結合部材50の固定部(脚部56)をヒンジピラー10aに固定する構成について説明したが、本発明において、柔結合部材50の固定部は、ブラケット50に固定されるようにしてもよい。
【0089】
さらに、上述の実施形態では、本発明をインパネメンバとヒンジピラーとの結合部に適用する場合について説明したが、本発明は、前記減衰部材により振動を効果的に抑制し得る部分であれば、その他の車両用部材同士の結合部にも等しく適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上のように、本発明によれば、車両用部材の支持剛性を確保しつつ、該車両用部材の振動を常に効果的に抑制することができるとともに、生産性及びメンテナンス性に優れた車両用部材の取付構造を提供することが可能となるから、車両全般の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0091】
2:車両、4:車体、10:ヒンジピラー、20:インパネメンバ、22:ビーム部材、30:ブラケット、50:柔結合部材、52:台座部材、54:減衰部材、56:固定用脚部、80:接着防止層、F:柔結合部、R:剛結合部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を構成する第1車両部材と第2車両部材との結合部における車両用部材の取付構造であって、
前記第1車両部材と前記第2車両部材との結合部は、前記第1車両部材と前記第2車両部材とが当接した状態で剛結された剛結合部と、前記第1車両部材と前記第2車両部材とが柔結合部材を介して結合された柔結合部と、を備え、
前記柔結合部材は、一方の面が前記第1車両部材に当接する板状の台座部材と、該台座部材の他方の面に積層されて前記第2車両部材に当接する弾性力を有する減衰部材と、前記台座部材の前記一方または他方の面に設けられて前記第1又は第2車両部材に固定される固定部と、を備え、
前記柔結合部材は、前記減衰部材と前記第2車両部材との当接面に所定以上の摩擦力が作用するように該減衰部材が圧縮された状態で、前記第1車両部材と前記第2車両部材との間に介装されたことを特徴とする車両用部材の取付構造。
【請求項2】
前記固定部は、前記台座部材の前記一方または他方の面から略垂直に延びる脚部であり、
該脚部が前記第1又は第2車両部材に設けられた孔部に嵌合されることで、該車両部材に前記柔結合部材が固定されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用部材の取付構造。
【請求項3】
前記台座部材の前記一方の面に前記固定部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用部材の取付構造。
【請求項4】
前記台座部材の前記一方または他方の面は円形の面であり、
前記固定部は、前記台座部材の前記円形の面に1箇所のみ、且つ、該円形の面の略中心に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用部材の取付構造。
【請求項5】
前記台座部材と前記第1車両部材との当接部において、前記台座部材の当接面は、前記第1車両部材の当接面の凹凸形状に沿った凹凸形状を有し、
前記減衰部材と前記第2車両部材との当接部において、前記減衰部材の当接面は、前記第2車両部材の当接面の凹凸形状に沿った凹凸形状を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両用部材の取付構造。
【請求項6】
前記減衰部材は、温度が20度で且つ加振力の周波数が30Hzである条件下において、貯蔵弾性率が500MPa以下で、且つ、損失係数が0.2以上である粘弾性部材であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両用部材の取付構造。
【請求項7】
前記減衰部材における前記第2車両部材との当接面に、該両部材が相互に接着されることを防止するための接着防止層が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車両用部材の取付構造。
【請求項8】
前記第1又は第2車両部材の一方の部材は、車体の側方部を構成するヒンジピラーであり、
前記第1又は第2車両部材の他方の部材は、車幅方向に延設された略円筒状のビーム部材と、該ビーム部材の一端に固定されるか又は一体に設けられて前記ヒンジピラーに結合されるブラケットとを備えたインパネメンバであり、
前記ビーム部材の軸方向から該ビーム部材を前記ブラケットに投影してなる略円形の投影部の外縁部において、前記剛結合部と前記柔結合部とが分散して配置されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車両用部材の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−144150(P2012−144150A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4081(P2011−4081)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】