説明

車両用電源重畳多重通信システム

【課題】複数の通信エリアが隣接して配置された場合であっても、各通信エリア間でのデータの混入を防止することのできる車両用電源重畳多重通信システムを提供する。
【解決手段】バッテリと各通信エリア3,4とを連結する電源線2により、通信エリアに設けられたECU10,11に電力を供給すると共に、各通信エリア3,4内では、各ECU10,11間を連結する電源線12,13に通信データを重畳することにより、各ECU10,11間でのデータ通信を行うようにした車両用電源重畳多重通信システムにおいて、電源線2は、+B線とグランド線とを有し、各通信エリア3,4間を連結する電源線2の一部において、+B線をグランド線に対して迂回して配置することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される各機器に電力を供給する電源線に、各電子制御ユニット(以下、ECU;Electronic Control Unitという)間での通信データを重畳して通信を行う車両用電源重畳多重通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年における車両では、例えば、特開2004−12740号公報に開示されているように、各種ECU間でのデータ通信を行うために、電源重畳多重通信システムが提案されている。
【0003】
電源重畳多重通信システムは、車載されたECUに電力を供給するために配索される電源線に、各ECU間での通信データを重畳することにより、各ECU間を接続するハーネスの本数を削減することができる。
【0004】
図10は、電源重畳多重通信システムの電源線に接続されるECUの構成を示すブロック図である。図示のようにECU101は、電源線105に連結されており、ASK(Amplitude Shift Keying)変調による送信回路102と、ASK復調による受信回路103と、送信回路102及び受信回路103によるデータの送受信を制御すると共に、車両に搭載される負荷(図示省略)を制御するCPU104とを備えている。
【0005】
更に、ECU101に駆動用の電圧(例えば、12V)を供給するための電源線105と送信回路102及び受信回路103との間に設けられるバンドパスフィルタ106と、電源線105を介して供給される駆動用の電圧を、所望のレベルの電圧に変換する電源回路107とを備えている。
【0006】
そして、データを送信する際には、CPU104より送信データ、搬送波、送信許可信号、スタンバイ信号が送信回路102に出力され、該送信回路102によるASK変調により送信データが生成されて電源線105に重畳される。
【0007】
他方、電源線105に重畳されている他のECUより送信された送信データを受信する際には、この送信データがバンドパスフィルタ106を介して、受信回路103に取り込まれ、ASK復調されて受信データを得ることができる。
【0008】
また、昨今においては、車載されるECUが増加傾向にあり、複数の通信エリアを設定して、各通信エリア内でPLC装置を用いた電源重畳多重通信を行うようにしている。ここで、PLC(Power line Communication)とは、電源線に通信データを重畳することにより、専用通信線なしで通信を可能とする方式である。図11は、電源線105に対して、第1の通信エリア108a、及び第2の通信エリア108bが設定されている場合の配線図である。
【0009】
同図に示すように、第1の通信エリア108aは、電源線105と接続されるJ/C(ジャンクションコネクタ)109を備えており、該J/C109から分岐される複数の分岐電源線110は、マスタ局となるECU101a、及びスレーブ局となる複数のECU101bと連結されている。更に、各ECU101bは、制御対象となる負荷111と連結されている。また、第2の通信エリア108bについても同様の構成を有している。
【0010】
そして、上述したように、第1の通信エリア108aでは、マスタ局となるECU101a、及びスレーブ局となる各ECU101bとの間で、分岐電源線110を介したデータ通信が行われる。
【特許文献1】特開2004−12740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、図11に示した如くの、複数の通信エリア108a,108bを備えるシステムにおいては、2つの通信エリア108a,108bが隣接して配置されている場合には、第1の通信エリア108aの中で通信しているデータが、各通信エリア108a,108bを連結する電源線105を介して第2の通信エリア108bの中に進入してしまうことがあり、第2の通信エリア108b内での通信を妨害してしまうという問題がある。
【0012】
また、これとは反対に、第2の通信エリア108bの中で通信しているデータが電源線105を介して第1の通信エリア108aの中に進入することがあり、第1の通信エリア108a内での通信を妨害してしまうという問題がある。
【0013】
この問題を解決するために、第1の通信エリア108aと第2の通信エリア108bを結ぶ電源線105の、+B線(プラス側配線)とグランド線(マイナス側配線)のうちのいずれか一方に、コイル或いはコンデンサ等のリアクタンス素子を介置することにより、フィルター機能を発揮させ、データの混入を防止する方法が容易に考えられるが、このような構成を採ると、素子を追加する必要があり、装置規模が拡大化し且つコストアップにつながるので、実用的ではない。
【0014】
この発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、複数の通信エリアが隣接して配置された場合であっても、各通信エリア間でのデータの混入を防止することのできる車両用電源重畳多重通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、複数の通信エリアを有し、車載されたバッテリと前記各通信エリアとを連結する電源線により、各通信エリアに設けられた電子制御ユニットに電力を供給すると共に、前記各通信エリア内では、前記各電子制御ユニット間を連結する電源線に通信データを重畳することにより、各電子制御ユニット間でのデータ通信を行うようにした車両用電源重畳多重通信システムにおいて、前記電源線は、プラス極となる+B線とマイナス極となるグランド線とを有し、前記通信エリア間を連結する前記電源線の一部において、前記+B線とグランド線を離間して配置することを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の発明は、前記通信エリア間を連結する電源線は、前記+B線と前記グランド線の配線距離が異なり、このうち長い方の電線を迂回させることにより、前記+B線と前記グランド線とを離間させることを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記複数の通信エリアは、車両のドア内通信に用いるドア内通信エリアと、パワーシート内通信に用いるパワーシート内通信エリアを有し、前記ドア内通信エリアと前記パワーシート内通信エリアを連結する前記電源線の、前記+B線及びグランド線のうちの、一方がシート内に配索されることにより、それぞれの配線距離が異なるように設定することを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の発明は、前記グランド線は、車体の金属部分を用い、前記+B線の一部を、前記車体の金属部分から遠ざけることにより、前記+B線と前記グランド線との配線距離が異なるようにすることを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明は、前記複数の通信エリアは、車両の前側を通信する前側通信エリアと、車両の後側を通信する後側通信エリアを有し、前記前側通信エリアと前記後側通信エリアとを連結する前記電源線の、前記+B線は、前記車体の金属部分に沿って配索されると共に、車両のコンソール部分で前記車体の金属部分から遠ざけることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本願請求項1の発明では、電源線を構成する+B線とグランド線とを、その一部において離間して配置するので、この部分でインダクタンスが発生し、該インダクタンスのフィルタ作用により、各通信エリア間でのデータの進入が遮断されるので、各通信エリア間での通信データの進入を防止することができる。これにより、各通信エリア内で高品質な通信が可能となる。また、通信データの進入を阻止するためにコイル等のリアクタンス素子を用いる必要がないので、構成の簡素化、コストダウンを図ることができる。
【0021】
請求項2の発明では、+B線とグランド線の長さが異なるようにし、このうち長い方の電線を短い方の電線に対して迂回させることにより、2つの電線を離間させるので、配索作業が容易となる。
【0022】
請求項3の発明では、ドア内通信エリアとパワーシート内通信エリアとの間での通信データの進入を確実に防止することができる。また、シートの内部に+B線またはグランド線を配索するので、迂回させた部分が外部に露出することなく、見栄えを良くすることができる。
【0023】
請求項4の発明では、グランド線として、ボデー等の車体を構成する金属部分を用い、+B線をこの金属部分に沿って配索すると共に、その一部において、金属部分から離間させるので、請求項1と同様に各通信エリア間での通信データの進入を防止して高品質なデータ通信が可能となり、且つ、長距離間を連結する場合のグランド線としてボデーを用いる場合においても、確実に通信データの進入を防止することができる。
【0024】
請求項5の発明では、車両の前側に設けられた前側通信エリアと、車両の後側に設けられた後側通信エリアとの間を連結する電源線を構成するグランド線を、車体の金属部分とし、コンソールを用いて+B線を迂回させるので、+B線の配索が容易となり、作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る車両用電源重畳多重通信システムでは、車両内に搭載される各通信エリア間を連結する電源線の一部において、+B線とグランド線を離間させることにより、インダクタンスを発生させ、フィルタの役目を果たすことにより、各通信エリア間での通信データの進入を防止する。
【0026】
即ち、電源線は、プラス極となる+B線と、マイナス極となるグランド線の2本の電線から成り、通常はこの2本の電線は平行して車両内部に配索されるが、本実施形態では、この配索区間の一部にて2本の電線を離間させることにより、実質的に電線内にコイル等のリアクタンス素子を取り付けた場合と同等となる状態を形成し、各通信エリア間での通信データの進入を防止する。
【0027】
以下、インダクタンスが生じる原理について説明する。図2(a)に示すように、+B線とグランド線(GND線)が平行に配索されている状態から、同図(b)に示すように、+B線をグランド線よりも長くし、その一部において+B線を迂回させると、+B線に電流が流れることにより生じる磁界と、グランド線に電流が流れることにより生じる磁界が相違し、結果として、同図(c)に示すように、1巻のコイルと同等の役目を果たすことになる。
【0028】
また、このときに生じるインダクタンスL(H)の大きさは、図3に示すように、+B線とグランド線の一部を離間した際に、以下の(1)式にて示すことができる。
【0029】
L(H)=k*u*S*n2/x ・・・(1)
但し、Hはインダクタンスの単位(ヘンリー)、kは長岡係数、uは(真空の透磁率)*(比透磁率)、Sはコイルの断面積、nはコイルの巻き数、xはコイルの長さである。
【0030】
そして、上記(1)式を用いると、図3に示す2線間の距離が10[cm],線径1.25[mm]のときのインダクタンスは317[nH]、距離が20[cm],線径1.25[mm]のときのインダクタンスは662[nH]となる。
【0031】
図4は、互いに異なる通信エリアに設けられたPLC装置1a,1b間に配索される電源線2を示す説明図であり、同図(a)は接続状態を示し、同図(b)は等価回路を示している。即ち、電源線2は、抵抗R1、インダクタンスL1、及び静電容量C1からなる特性インピーダンスを有している。
【0032】
図5は、図4に示した電源線2を構成する2本の電線が平行に配索された場合に対し、+B線を離間した場合を示しており、(a)は接続状態を示し、(b)、(c)は等価回路を示している。
【0033】
そして、同図(a)に示すように、+B線の距離をグランド線の距離よりも長く設定し、+B線の一部をグランド線に対して迂回させると、同図(b)に示すように、+B線にインダクタンスLが生じることになり、結果として、同図(c)に示すように+B線にインダクタンスLを挿入したものと同等の役目を果たすことになる。
【0034】
本実施形態では、この原理を用いることにより、2つの通信エリア(PLC装置)間を接続する電源線2にインダクタンスを発生させ、これをフィルタとして機能させて、各通信エリア間での通信データの進入を防止する。
【0035】
以下、具体的な実施例について説明する。図1は、車両に搭載されるドア5内に配置されるドア内通信エリア3と、シート6内に配置されるパワーシート内通信エリア4とを、電源線2を用いて連結する場合の説明図である。
【0036】
ドア内通信エリア3内には、ジャンクションコネクタ8と、該ジャンクションコネクタ8から分岐して接続されるパワーウインド制御用のECU、ドアミラー制御用のECU、ドアロック用のECU等の各ECU10が配置され、バッテリ(図示省略)より出力される電源電圧が、電源線2及び分岐電源線12を介して各ECU10に供給される。更に、各分岐電源線12に、各ECU10間での通信データを重畳することにより、データ伝送が行われる。
【0037】
また、パワーシート内通信エリア4内には、ジャンクションコネクタ9と、該ジャンクションコネクタ9から分岐して接続されるパワーシートスイッチ制御用のECU、駆動モータ制御用のECU等の各ECU11が配置され、バッテリより出力される電源電圧が電源線2及び分岐電源線13を介して各ECU11に供給される。更に、各分岐電源線13に各ECU11間での通信データを重畳することにより、データ伝送が行われる。
【0038】
また、2つの通信エリア3,4を連結する電源線2には、ジャンクションボックス7が設けられている。そして、このジャンクションボックス7とパワーシート内通信エリア4との間の電源線2を構成するグランド線(GND線)は、シート6の着座部分の側方に配索されて、ジャンクションコネクタ9に接続され、+B線は、シート6の着座部分の内部、及び背もたれ部分の内部に配索されて、ジャンクションコネクタ9に接続されている。
【0039】
従って、この部分で+B線の距離とグランド線の距離が相違しており、上述した原理に基づいて、電源線2にインダクタンスが生じる。これにより、ドア内通信エリア3とパワーシート内通信エリア4との間で、通信データが進入することを防止することができる。
【0040】
図6は、他の実施例を示す構成図である。同図は、車両の運転席及び助手席の部分を上方から見た模式図である。この実施例では、運転席側のパワーシート内通信エリア4と、助手席側のドア内通信エリア3を電源線2で連結する場合を示している。この実施例では、ジャンクションボックス29と、パワーシート側のジャンクションコネクタ9とを連結する電源線2の+B線をコンソール14の後側に引き回し、グランド線をコンソール14の前側に引き回すことにより、この部分で+B線とグランド線とが離間するようにしている。
【0041】
従って、図1に示した実施例と同様に、電源線2にインダクタンスを発生させることができ、ドア内通信エリア3とパワーシート内通信エリア4との間で、通信データが進入することを防止することができるのである。
【0042】
このようにして、本実施形態に係る車両用電源重畳多重通信システムでは、+B線をグランド線よりも長くし、電源線2の配索区間の一部において、+B線をグランド線から離間させるようにしたので、この部分で電源線2にインダクタンスを発生させることができる。そして、このインダクタンスのフィルタ作用により、2つの通信エリア間での、電源線2を経由した通信データの進入を阻止することができるので、互いに隣接した通信エリア間でのデータの混入を回避し、高品質な通信が可能となる。
【0043】
また、コイル等のリアクタンス素子を別途設ける必要がないので、構成を簡素化し、且つコストダウンを図ることができる。
【0044】
なお、本実施形態では、+B線とグランド線の長さが異なるようにして、各電線を異なる経路に配索する場合について説明したが、2つの電線を同一長さとして2本を平行配置し、このうち一部において2本の電線が離間するように配索するようにしても同様の効果を得ることができる。
【0045】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。上述した第1の実施形態では、電源線2のグランド線として電線を用いる場合について説明したが、本実施形態では、電線を用いずに、車体を構成する金属部分(ボデー)をアース、即ちグランド線として使用する場合について説明する。
【0046】
図7は、互いに異なる通信エリアに設けられたPLC装置1a,1b間に配索される電源線2を示す説明図であり、同図(a)は接続状態を示し、同図(b)は等価回路を示している。同図(a)に示すように、グランド線は、車両のボデーとされている。そして、同図(b)に示すように、電源線2は、抵抗R1、インダクタンスL1、及び静電容量C1からなる特性インピーダンスを有している。
【0047】
図8は、図7に示した如くの+B線とボデーからなる電源線で、その一部において+B線をボデーから離間させた場合を示しており、(a)は接続状態を示し、(b)、(c)はそれぞれ等価回路を示している。
【0048】
そして、同図(a)に示すように、+B線の距離をボデーから離間させると、同図(b)に示すように、+B線にインダクタンスLが生じることになり、結果として、同図(c)に示すように+B線にインダクタンスLを挿入したものと同等の役目を果たすことになる。
【0049】
このような構成により、上述した第1の実施形態と同様に、各通信エリア間(PLC装置1a,1b間)にインダクタンスによるフィルター機能が作用し、通信エリア間での通信データの進入を防止することができる。
【0050】
図9は、車両の前側に設けられる各ECU21間でのデータ通信を行う前側通信エリア25と、車両の後側に設けられる各ECU24間でのデータ通信を行う後側通信エリア26との間を電源線2を用いて連結する構成を示す説明図である。
【0051】
前側通信エリア25は、ジャンクションコネクタ22と、該ジャンクションコネクタ22から分岐電源線27を介して連結される各ECU21を備えている。
【0052】
また、後側通信エリア26は、ジャンクションコネクタ23と、該ジャンクションコネクタ23から分岐電源線28を介して連結される各ECU24を備えている。ECU24としては、ストップランプ制御用のECU、リヤワイパー制御用のECU、ドアオープナーモータ制御用のECU、バックランプ制御用のECU、マスタ用のECU等がある。
【0053】
そして、ジャンクションコネクタ22は、ジャンクションボックス7に連結され、且つ、ジャンクションボックス7とジャンクションコネクタ23は、電源線2を介して連結されている。
【0054】
電源線2は、前述したように、+B線とグランド線としてのボデーからなっている。つまり、電源のマイナス極側は、車体の金属部分を介して連結されている。そして、+B線は、ボデーに沿って配索されると共に、その一部であるコンソール14の部分で該コンソール14の上側に引き回されることにより、ボデーと離間されている。従って、上述した原理に基づき、この部分でインダクタンスが生じることになり、フィルタ機能が発揮されて、前側通信エリア25と後側通信エリア26の間でのデータの進入を防止することができる。
【0055】
このようにして、本実施形態に係る車両用電源重畳多重通信システムでは、電源線2を構成する+B線と、グランド線としてのボデーが一部で離間されるので、上述した第1の実施形態と同様に、各通信エリア25,26間にて高品質なデータ通信を行うことができるようになる。
【0056】
また、本実施形態では、グランド線として、車両の金属部分であるボデーを利用しているので、車両の前側、後側といったように、電源線2の配索距離が長い場合に極めて有用である。
【0057】
以上、本発明の車両用電源重畳多重通信システムを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
2つの通信エリア間での通信データの進入を阻止する上で極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用電源重畳多重通信システムの構成を示す説明図である。
【図2】電源線を構成する+B線をグランド線よりも長くしたときに発生する磁界の様子を示す説明図である。
【図3】電源線を構成する+B線とグランド線を離間させた様子を示す説明図である。
【図4】第1の実施形態に係り、+B線とグランド線を平行配置したときの接続状態、及び等価回路を示す説明図である。
【図5】第1に実施形態に係り、+B線をグランド線から離間して配置したときの接続状態、及び等価回路を示す説明図である。
【図6】第1の実施形態に係る車両用電源重畳多重通信システムの他の構成を示す説明図である。
【図7】第2の実施形態に係り、+B線をグランド線としてのボデーに沿って配置したときの接続状態、及び等価回路を示す説明図である。
【図8】第2の実施形態に係り、+B線をボデーから離間して配置したときの接続状態、及び等価回路を示す説明図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る車両用電源重畳多重通信システムの構成を示す説明図である。
【図10】電源多重通信システムの構成を示すブロック図である。
【図11】互いに隣接して設けられる2つの通信エリア、及び一方の通信エリア側での通信データが他方の通信エリアに進入する様子を示す説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1a,1b PLC装置
2 電源線
3 ドア内通信エリア
4 パワーシート内通信エリア
5 ドア
6 シート
7,29 ジャンクションボックス
8,9 ジャンクションコネクタ
10,11 ECU
12,13 分岐電源線
14 コンソール
21,24 ECU
22,23 ジャンクションコネクタ
25 前側通信エリア
26 後側通信エリア
27,28 分岐電源線
101 ECU
101a マスタ局
101b スレーブ局
102 送信回路
103 受信回路
104 CPU
105 電源線
106 バンドパスフィルタ
107 電源回路
108a 第1の通信エリア
108b 第2の通信エリア
109 J/C(ジャンクションコネクタ)
110 分岐電源線
111 負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信エリアを有し、車載されたバッテリと前記各通信エリアとを連結する電源線により、各通信エリアに設けられた電子制御ユニットに電力を供給すると共に、前記各通信エリア内では、前記各電子制御ユニット間を連結する電源線に通信データを重畳することにより、各電子制御ユニット間でのデータ通信を行うようにした車両用電源重畳多重通信システムにおいて、
前記電源線は、プラス極となる+B線とマイナス極となるグランド線とを有し、前記通信エリア間を連結する前記電源線の一部において、前記+B線とグランド線を離間して配置することを特徴とする車両用電源重畳多重通信システム。
【請求項2】
前記通信エリア間を連結する電源線は、前記+B線と前記グランド線の配線距離が異なり、このうち長い方の電線を迂回させることにより、前記+B線と前記グランド線とを離間させることを特徴とする請求項1に記載の車両用電源重畳多重通信システム。
【請求項3】
前記複数の通信エリアは、車両のドア内通信に用いるドア内通信エリアと、パワーシート内通信に用いるパワーシート内通信エリアを有し、
前記ドア内通信エリアと前記パワーシート内通信エリアを連結する前記電源線の、前記+B線及びグランド線のうちの、一方がシート内に配索されることにより、それぞれの配線距離が異なるように設定することを特徴とする請求項2に記載の車両用電源重畳多重通信システム。
【請求項4】
前記グランド線は、車体の金属部分を用い、前記+B線の一部を、前記車体の金属部分から遠ざけることにより、前記+B線と前記グランド線との配線距離が異なるようにすることを特徴とする請求項2に記載の車両用電源重畳多重通信システム。
【請求項5】
前記複数の通信エリアは、車両の前側を通信する前側通信エリアと、車両の後側を通信する後側通信エリアを有し、
前記前側通信エリアと前記後側通信エリアとを連結する前記電源線の、前記+B線は、前記車体の金属部分に沿って配索されると共に、車両のコンソール部分で前記車体の金属部分から遠ざけることを特徴とする請求項4に記載の車両用電源重畳多重通信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−42276(P2006−42276A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223502(P2004−223502)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】