説明

車両組立装置

【課題】部品の個数が異なるタイプの自動車を混合させて生産する際に、小型自動車をより効率よく生産することができる車両組立装置を提供する。
【解決手段】車両組立装置30は、小型自動車10の車体11を搭載した搬送ハンガ43を案内レール41に沿って搬送させる第1搬送機構35を備え、第1搬送機構35で小型車体11を搬送させながら部品の組付けをおこなうものである。搬送ハンガは、単一の状態で小型車体11を2台搭載可能に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体を搭載した搬送ハンガを搬送ラインに沿って搬送させながら部品の組付けをおこなう車両組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ライフスタイルに合わせて自動車を選択する傾向にあり、通常の乗車定員(5名)用の普通自動車と同様に、少数の乗車定員(2〜3名)用の小型自動車の要望が高まっている。
小型自動車は、乗車定員が2〜3名なので、シートを1列分だけ備えていればよく、全長を普通自動車と比較して略半分に短く抑えることが可能である。
【0003】
この小型自動車を製造するためには、小型自動車専用の生産ラインを新たに準備する必要がある。しかし、小型自動車専用の生産ラインを新たに準備すると、生産ラインの設備費がかかり、小型自動車の価格を抑える妨げになる。
加えて、小型自動車専用の生産ラインを新たに備えるためには、生産工場内に比較的大きな空間を確保する必要がある。
【0004】
ところで、生産ラインのなかには、例えば、スポーツタイプ車両やバンタイプ車両などの複数タイプの車両を生産可能な混合生産ラインがある(例えば、特許文献1,2参照。)。
スポーツタイプ車両やバンタイプ車両などは、部品の個数がそれぞれ異なる。部品の個数の異なりを吸収するために、混合生産ラインにはバイパス搬送ラインが備えられている。
【0005】
具体的には、部品数の多いタイプの車両を、バイパス搬送ラインに流すことで、他のタイプの車両との部品個数の異なりを吸収することが可能になる。
【特許文献1】特開昭63−13857号公報
【特許文献2】特許第3008220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、スポーツタイプ車両やバンタイプ車両などは、部品の個数がわずかに異なっているだけなので、バイパス搬送ラインで、部品個数の差を吸収することが可能である。
しかし、小型自動車は、普通自動車と比較して部品の個数が略半分である。
よって、特許文献1の混合生産ラインにおいて、小型自動車を普通自動車に混合させて生産する場合、普通自動車の組付工数と比較して小型自動車の組付工数が略半分に減る。
【0007】
小型自動車の組付工数が略半分に減った場合、特許文献1のバイパス搬送ラインでは部品個数の差を十分に吸収することは難しい。この場合、大型自動車の組付作業時間に合わせて、小型自動車の組付作業時間を設定することになる。
このため、小型自動車の組付作業においてアイドルタイムが多くなり、小型自動車を効率よく生産することは難しい。
【0008】
本発明は、部品の個数が異なるタイプの自動車を混合させて生産する際に、小型自動車をより効率よく生産することができる車両組立装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、自動車の車体を搭載した搬送ハンガを搬送ラインに沿って搬送させる搬送機構を備え、前記車体を搬送させながら部品の組付けをおこなう車両組立装置において、前記搬送ハンガは、単一の状態で前記車体を2台搭載可能であることを特徴とする。
【0010】
請求項2は、前記搬送ハンガに前記車体を2台搭載した状態において、搭載した2台の車体の全長が、前記搬送ラインに沿って搬送可能な車体の最大全長と略同じ、または前記最大全長より小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、単一の搬送ハンガに車体を2台搭載することで、搬送ハンガに搭載した2台の車体を1ユニットとして搬送することができる。
ここで、例えば、小型自動車は普通自動車と比較して部品の個数が略半分である。小型自動車の車体を搬送ハンガに2台搭載することで、生産ラインにおいて、小型自動車の車体を1ユニット化することができる。
【0012】
1ユニット化した2台の車体は、部品の個数が普通自動車と略同じになり、組付工数が普通自動車と略同じになる。よって、1ユニット化した2台の車体を、普通自動車の車体と同様の組付工数にすることが可能になる。
これにより、小型自動車や普通自動車の車体を混合させて生産する際に、小型自動車の組付工程においてアイドルタイムをなくして小型自動車をより効率よく生産することができる。
【0013】
請求項2に係る発明では、単一の搬送ハンガに車体を2台搭載した状態において、搭載した2台の車体の全長を、搬送ライン上を搬送可能な車体の最大全長と略同じ、または最大全長より小さくした。
よって、車体を2台搭載した搬送ハンガを、普通自動車の車体を1台搭載した搬送ハンガと同じ間隔で配置することができる。
これにより、1ユニット化した2台の車体を、普通自動車の車体と同じ間隔で搬送することが可能になり、小型自動車をより効率よく生産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1(a)は本発明に係る車両組立装置(第1実施の形態)で生産する小型自動車を示す側面図、図1(b)は本発明に係る車両組立装置で生産する小型自動車を示す平面図である。
自動車としての小型自動車10は、車体11の前部に設けたエンジン13と、車体11の右側に設けた右サイドドア14と、車体11の左側に設けた左サイドドア15と、車室16内の右側に設けたドライバシート17と、車室16内の左側に設けたパッセンジャシート18と、車体11の前部に設けた左右の前輪21,21と、車体11の後部に設けた左右の後輪22,22とを備える。
【0015】
小型自動車10は、ドライバシート17とパッセンジャシート18とを1列分だけ備えた乗車定員2名の車両である。
よって、小型自動車10の全長L1を、図2に示す普通自動車(自動車)25の全長L2と比較して略半分に短く抑えることが可能である。
なお、本実施の形態において、乗車定員2名の小型自動車10を例示するが、例えばドライバシート17とパッセンジャシート18との間にセンタシート(図示せず)を設けることで乗車定員3名とすることも可能である。
【0016】
図2は第1実施の形態に係る車両組立装置を示す概略図である。
車両組立装置30は、普通自動車25の車体26および小型自動車10の車体11を塗装する塗装エリア31と、普通自動車25の車体26および小型自動車10の車体11にエンジンや足回りを組み付けるエンジン・足回り組立エリア32と、普通自動車25の車体26および小型自動車10の車体11にサイドドアやシートを組み付ける外装・内装組立エリア33とを備える。
【0017】
車両組立装置30は、普通自動車25や小型自動車10の車体26…,11…を吊り下げた状態で搬送する第1搬送機構(搬送機構)35、および普通自動車25や小型自動車10の車体26…,11…を載置した状態で搬送する第2搬送機構(搬送機構)36を備えている。
【0018】
外装・内装組立エリア33において、普通自動車25の車体26および小型自動車10の車体11にサイドドアやシートを組み付けた後、普通自動車25の車体26および小型自動車10の車体11に前輪21,21および後輪22,22を組み付けることで普通自動車25および小型自動車10の組立工程が完了する。
【0019】
第1搬送機構35は、塗装エリア31において、普通自動車25の車体26および小型自動車10の車体11を吊り下げた状態で搬送し、かつ、エンジン・足回り組立エリア32において、普通自動車25の車体26および小型自動車10の車体11を吊り下げた状態で搬送するものである。
第2搬送機構36は、外装・内装組立エリア33において、普通自動車25の車体26および小型自動車10の車体11をベルトコンベアに載置した状態で搬送するものである。
【0020】
図3は第1実施の形態に係る車両組立装置の搬送機構に普通車体を搭載した状態を示す側面図、図4は第1実施の形態に係る車両組立装置の搬送機構に小型車体を搭載した状態を示す側面図である。
第1搬送機構35は、図2に示す塗装エリア31やエンジン・足回り組立エリア32の上方に設けられた案内レール(搬送ライン)41と、案内レール41に移動自在に吊り下げられた台車42と、台車42に設けられた搬送ハンガ43と、台車42を案内レール41に沿って移動させる移動手段(図示せず)とを備える。
【0021】
台車42は、支持アーム45を介して案内レール41に連結されている。支持アーム45の上端部にローラ(図示せず)が設けられ、ローラが案内レール41に移動自在に設けられている。
【0022】
搬送ハンガ43は、台車42の前端部に右左の前ハンガ枠46,47が設けられ、台車42の後端部に右左の後ハンガ枠48,49が設けられ、右前ハンガ枠46および右後ハンガ枠48のそれぞれの下端部に右サポート部51が設けられ、左前ハンガ枠47および左後ハンガ枠49のそれぞれの下端部に左サポート部52が設けられている。
右左の前ハンガ枠46,47は左右対称の部材であり、右左の後ハンガ枠48,49も左右対称の部材である。
【0023】
右サポート部51は、前端部に第1右受け具51aが設けられ、後端部に第2右受け具51bが設けられ、第1右受け具51aの後方(右前ハンガ枠46近傍)に第3右受け具51cが設けられ、第2右受け具51bの前方(右後ハンガ枠48近傍)に第4右受け具51dが設けられている。
【0024】
左サポート部52は、前端部に第1左受け具52aが設けられ、後端部に第2左受け具52bが設けられ、第1左受け具52aの後方(左前ハンガ枠47近傍)に第3左受け具52cが設けられ、第2左受け具52bの前方(左後ハンガ枠49近傍)に第4左受け具52dが設けられている。
右左のサポート部51,52は左右対称の部材であり、第1〜第4の右受け具51a〜51dおよび第1〜第4の左受け具52a〜52dも左右対称の部材である。
【0025】
前記移動手段は、一例として、搬送ハンガ43をチェーン(図示せず)で連結し、チェーンを駆動することで搬送ハンガ43を案内レール41に沿って矢印の如く移動させるものである。
【0026】
搬送ハンガ43に普通自動車25の車体26を搭載する例を図3に基づいて説明する。以下、普通自動車25の車体26を「普通車体26」と称する。
右サポート部51の第1右受け具51aおよび左サポート部52の第1左受け具52aで普通車体26の前部26aを受ける。
右サポート部51の第2右受け具51bおよび左サポート部52の第2左受け具52bで普通車体26の後部26bを受ける。
これにより、搬送ハンガ43に普通車体26が前向き搭載される。
【0027】
搬送ハンガ43の前半分43aおよび後半分43bに小型自動車10の車体11をそれぞれ搭載する例を図4に基づいて説明する。
以下、搬送ハンガ43の前半分43aに前向きに搭載した小型自動車10の車体11を、「前向き小型車体11」と称する。
また、搬送ハンガ43の後半分43bに後ろ向きに搭載した小型自動車10の車体11を、「後向き小型車体11」と称する。
【0028】
右サポート部51の第1右受け具51aおよび左サポート部52の第1左受け具52aで前向き小型車体11の前部11aを受ける。
右サポート部51の第3右受け具51cおよび左サポート部52の第3左受け具52cで前向き小型車体11の後部11bを受ける。
これにより、搬送ハンガ43の前半分43aに前向き小型車体11が前向きに搭載される。
【0029】
右サポート部51の第2右受け具51bおよび左サポート部52の第2左受け具52bで後向き小型車体11の前部11aを受ける。
右サポート部51の第4右受け具51dおよび左サポート部52の第4左受け具52dで後向き小型車体11の後部11bを受ける。
これにより、搬送ハンガ43の後半分43bに後向き小型車体11が後向きに搭載される。
【0030】
このように、搬送ハンガ43の前半分43aに前向き小型車体11を前向きに搭載し、かつ、搬送ハンガ43の後半分43bに後向き小型車体11を後向きに搭載することで、単一の搬送ハンガ43に2台の小型自動車10を搭載することができる。
【0031】
図4に示す小型自動車10は全長L1(図2参照)であり、図3に示す普通自動車25は全長L2(図2参照)である。全長L1は全長L2の略半分に短く抑えられている。
ここで、普通自動車25の全長L2を、便宜上、案内レール41に沿って搬送可能な車体の最大全長とする。
【0032】
これにより、搬送ハンガ43に2台の小型車体11を搭載した状態において、搭載した2台の小型車体11の全長L3は、案内レール41に沿って搬送可能な車体の最大全長L2と略同じ、または最大全長L2より小さく抑えることができる。
第1実施の形態では、搭載した2台の小型車体11の全長L3が最大全長L2と略同じとして説明する。
【0033】
つぎに、車両組立装置30で、複数の普通車体26の間に4台の小型車体11を混合させて組み立てる例を図5〜図7に基づいて説明する。
【0034】
図5は第1実施の形態に係る車両組立装置で普通車体および小型車体を塗装する工程を説明する図である。
搬送ハンガ43に搭載することで2台の小型車体11を1ユニット化する。1ユニット化した2台の小型車体11の全長L3は、普通自動車25の全長L2(最大全長L2)と略同じである。
よって、塗装エリア31において、1ユニット化した2台の小型車体11を搭載した搬送ハンガ43と、普通車体26を搭載した搬送ハンガ43とを同じ間隔P1で案内レール41に沿って矢印の方向に移動させることができる。
【0035】
ここで、小型車体11の表面積は、普通車体26の表面積の略半分である。このため、1ユニット化した2台の小型車体11の表面積は、普通車体26の表面積と略同じになる。
よって、1ユニット化した2台の小型車体11を塗装する時間と、普通車体26を塗装する時間とを略同じにすることができる。
【0036】
このように、1ユニット化した2台の小型車体11と普通車体26とを同じ間隔P1で搬送可能で、かつ、1ユニット化した2台の小型車体11の塗装時間と、普通車体26の塗装時間とを略同じにすることができる。
よって、1ユニット化した2台の小型車体11を、普通車体26に混合させて塗装する際に、普通車体26の塗装時間と略同じ時間で塗装することが可能である。
これにより、小型車体11を効率よく塗装することができる。
【0037】
図6は第1実施の形態に係る車両組立装置で普通車体および小型車体にエンジンや足回りを組み付ける工程を説明する図である。
エンジン・足回り組立エリア32において、普通車体26および小型車体11は、塗装エリア31と同様に、搬送ハンガ43で搬送される。
よって、エンジン・足回り組立エリア32において、1ユニット化した2台の小型車体11を搭載した搬送ハンガ43と、普通車体26を搭載した搬送ハンガ43とを同じ間隔P1で案内レール41に沿って矢印の方向に移動させることができる。
【0038】
エンジン・足回り組立エリア32において、普通車体26に、部品としてのエンジン61および前後の足回り部材62,63などが組み付けられる。
同様に、小型車体11に、部品としてのエンジン13および前後の足回り部材65,66などが組み付けられる。
【0039】
ここで、小型車体11のエンジン13は、普通車体26のエンジン61と比較して小型軽量である。また、小型車体11の前後の足回り部材65,66は、普通車体26の前後の足回り部材62,63と比較して小型軽量である。
よって、1ユニット化した2台の小型車体11にエンジン13および前後の足回り部材65,66などを組み付ける時間と、普通車体26にエンジン61および前後の足回り部材62,63を組み付ける時間とを略同じにすることができる。
【0040】
このように、1ユニット化した2台の小型車体11と普通車体26とを同じ間隔P1で搬送可能で、かつ、1ユニット化した2台の小型車体11にエンジン13および前後の足回り部材65,66などを組み付ける時間と、普通車体26にエンジン61および前後の足回り部材62,63などを組み付ける時間とを略同じにすることができる。
【0041】
よって、1ユニット化した2台の小型車体11を普通車体26に混合させて、1ユニット化した2台の小型車体11にエンジンや足回り部材を組み付ける際に、普通車体26の組付時間と略同じ時間で組み付けることができる。
これにより、小型車体11にエンジン13および前後の足回り部材65,66などを効率よく組み付けることができる。
【0042】
図7は第1実施の形態に係る車両組立装置で普通車体および小型車体に外装や内装を組み付ける工程を説明する図である。
外装・内装組立エリア33において、普通車体26および小型車体11は、第2搬送機構36のコンベア(搬送ライン)67で搬送される。
【0043】
外装・内装組立エリア33においても、塗装エリア31およびエンジン・足回り組立エリア32と同様に、2台の小型車体11が1ユニット化された状態で搬送される。
よって、1ユニット化した2台の小型車体11と、普通車体26とを同じ間隔P1でコンベア67によって矢印の方向に移動させることができる。
【0044】
外装・内装組立エリア33において、普通車体26に、部品としての右左の前サイドドア68,69、右左の後サイドドア71,72、ドライバシート73、パッセンジャシート74および後部シート75などが組み付けられる。
同様に、小型車体11に、部品としての右左のサイドドア14,15、ドライバシート17、パッセンジャシート18などが組み付けられる。
【0045】
すなわち、小型車体11には、右左のサイドドア14,15が2枚組み付けられる。
一方、普通車体26には、右左の前サイドドア68,69、および右左の後サイドドア71,72が4枚組み付けられる。
よって、1ユニット化した2台の小型車体11にサイドドアを組み付ける時間と、普通車体26にサイドドアを組み付ける時間とを略同じにすることができる。
【0046】
さらに、小型車体11には、ドライバシート17、パッセンジャシート18が2個組み付けられる。
一方、普通車体26には、ドライバシート73、パッセンジャシート74および後部シート75が4個組み付けられる。
よって、1ユニット化した2台の小型車体11にシートを組み付ける時間と、普通車体26にシートを組み付ける時間とを略同じにすることができる。
【0047】
このように、1ユニット化した2台の小型車体11と普通車体26とを同じ間隔P1で搬送可能で、かつ、1ユニット化した2台の小型車体11に2枚のサイドドア14,15および2個のシート17,18などを組み付ける時間と、普通車体26に4個のサイドドア68,69,71,72および4個のシート73,74,75などを組み付ける時間とを略同じにすることができる。
【0048】
よって、1ユニット化した2台の小型車体11を普通車体26に混合させて、1ユニット化した2台の小型車体11に外装や内装を組み付ける際に、普通車体26の組付時間と略同じ時間で組み付けることができる。
これにより、小型車体11に右左のサイドドア14,15、ドライバシート17およびパッセンジャシート18などを効率よく組み付けることができる。
【0049】
さらに、2台の小型車体11を1ユニット化することで、例えば、内装部材である車室内のルーフパネル、ライニングやカーペットなどの部品を2セット取りで(すなわち、2セットをまとめて)加工することができる。
これにより、車室内のルーフパネル、ライニングやカーペットなどの部品の加工費を減らすことができる。
【0050】
以上説明したように、第1実施の形態の車両組立装置30によれば、1ユニット化した2台の小型車体11を、普通車体26と略同じ時間で塗装することができ、かつ、1ユニット化した2台の小型車体11に、普通車体26と略同じ時間で部品を組み付けることができる。
【0051】
よって、1ユニット化した2台の小型自動車10を、普通自動車25と略同じ時間で生産することができる。
これにより、小型自動車10や普通自動車25の車体11,26を混合させて生産する際に、小型自動車10を一層効率よく生産することができる。
【0052】
つぎに、第2実施の形態の車両組立装置80を図8に基づいて説明する。なお、第2実施の形態の車両組立装置80において第1実施の形態と同一類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0053】
図8は本発明に係る車両組立装置(第2実施の形態)をエンジン・足回り組立エリアに適用した例を示す平面図である。
小型自動車81の全長L4が、図2に示す普通自動車25の全長L2より小さく、かつ、全長L2の半分より大きい場合が考えられる。
この場合、小型自動車81の車体(以下、「小型車体」という)82を搬送ハンガ43に2台搭載して1ユニット化すると、1ユニット化した2台の小型車体82の全長は、普通車体26の全長L2より大きくなる。
このため、第1実施の形態と同様に、小型車体82を搬送ハンガ43に2台搭載して1ユニット化することは難しい。
【0054】
そこで、車両組立装置80は、例えば、エンジン・足回り組立エリア84において、サブライン86を備え、案内レール41に台車42および搬送ハンガ43を追加可能に構成されている。
よって、小型車体82を複数台、普通車体26に混合させて組み立てる際に、サブライン86の台車42を案内レール41に追加させることができる。
これにより、小型車体82を搭載する台車42の間隔P2を、普通車体26を搭載する台車42の間隔P1より小さくすることができる。
【0055】
小型自動車81は、普通自動車25と比較して部品点数が少ない。このため、小型車体82を搭載する台車42の間隔P2を小さくすることで、複数台の小型自動車81を組み付ける工数を、普通自動車25の組付工数に合わせることができる。
一例として、5台の小型自動車81を組み付ける工数を、3台の普通自動車25を組み付ける工数に合わせることができる。
【0056】
図8においては、車両組立装置80をエンジン・足回り組立エリア84に適用した例について説明したが、塗装エリアや外装・内装組立エリアに適用することも可能である。
但し、外装・内装組立エリアは、案内レール41に台車42および搬送ハンガ43に代えてコンベアで小型車体82および普通車体26を搬送する。
よって、外装・内装組立エリアにおいては、コンベアで搬送する小型車体82の間隔をP2、普通車体26の間隔をP1とする。
【0057】
以上説明したように、第2実施の形態の車両組立装置80によれば、小型車体82を搭載する台車42の間隔P2を小さくすることで、複数台の小型自動車81を組み付ける工数を、普通自動車25の組付工数に合わせることができる。
これにより、小型自動車81や普通自動車25を混合させて生産する際に、小型自動車81を一層効率よく生産することができる。
【0058】
なお、前記実施の形態で示した台車42や搬送ハンガ43の形状は、例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、自動車の車体を搭載した搬送ハンガを搬送ラインに沿って搬送させながら部品の組付けをおこなう車両組立装置への適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】(a)は本発明に係る車両組立装置(第1実施の形態)で生産する小型自動車を示す側面図、(b)は本発明に係る車両組立装置で生産する小型自動車を示す平面図である。
【図2】第1実施の形態に係る車両組立装置を示す概略図である。
【図3】第1実施の形態に係る車両組立装置の搬送機構に普通車体を搭載した状態を示す側面図である。
【図4】第1実施の形態に係る車両組立装置の搬送機構に小型車体を搭載した状態を示す側面図である。
【図5】第1実施の形態に係る車両組立装置で普通車体および小型車体を塗装する工程を説明する図である。
【図6】第1実施の形態に係る車両組立装置で普通車体および小型車体にエンジンや足回りを組み付ける工程を説明する図である。
【図7】第1実施の形態に係る車両組立装置で普通車体および小型車体に外装や内装を組み付ける工程を説明する図である。
【図8】本発明に係る車両組立装置(第2実施の形態)をエンジン・足回り組立エリアに適用した例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0061】
10…小型自動車(自動車)、11…車体(小型車体)、13,61…エンジン(部品)、14…右サイドドア(部品)、15…左サイドドア(部品)、17,73…ドライバシート(部品)、18,74…パッセンジャシート(部品)、25…普通自動車(自動車)、26…車体(普通車体)、30,80…車両組立装置、35…第1搬送機構(搬送機構)、36…第2搬送機構(搬送機構)、41…案内レール(搬送ライン)、43…搬送ハンガ、62,65…前足回り部材(部品)、63,66…後足回り部材(部品)、67…コンベア(搬送ライン)、68…右前サイドドア(部品)、69…左前サイドドア(部品)、71…右後サイドドア(部品)、72…左後サイドドア(部品)、75…後部シート(部品)、L3…2台の小型車体の全長(2台の車体の全長)、L2…最大全長(普通自動車の全長)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体を搭載した搬送ハンガを搬送ラインに沿って搬送させる搬送機構を備え、前記車体を搬送させながら部品の組付けをおこなう車両組立装置において、
前記搬送ハンガは、単一の状態で前記車体を2台搭載可能であることを特徴とする車両組立装置。
【請求項2】
前記搬送ハンガに前記車体を2台搭載した状態において、搭載した2台の車体の全長が、前記搬送ラインに沿って搬送可能な車体の最大全長と略同じ、または前記最大全長より小さいことを特徴とする請求項1記載の車両組立装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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