説明

車両緊急停止装置

【課題】車両緊急停止装置に関し、乗客の誤りや故意で作動することなく、運転者の異常を検知したときに限り乗客の応答動作に基づいて車両を自動的に緊急停止することができるようにする。
【解決手段】運転者の異常を検知する運転者状態検知手段10と、運転者状態検知手段10が運転者の異常を検知したときに運転者の異常を車内及び車外に報知する車内用報知手段3及び車外用報知手段6,7と、乗客の応答動作に基づいて乗客の車両停止要求を検知する乗客側停止要求検知手段4,5と、車両を自動的に制動させる自動制動手段8と、運転者状態検知手段10によって運転者の異常が検知され且つ乗客側停止要求検知手段4,5によって乗客の車両停止要求が検知されたときに、緊急停止の必要があると判断して自動制動手段8に制動指示を行なう制御手段20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客を輸送する車両、特にバスに好適な緊急停止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
路線バスや観光バスにおいて、運転者が突然意識を失ってバスを運転操作できなくなる事故が報告されている。このような突然の運転者の意識喪失の状況下で、乗客が運転者の意識喪失を即座に把握することは困難であるし、また、乗客が運転者に代わりとっさにブレーキ操作を行なうことも困難である。したがって、このような状況への安全対策が求められている。この安全対策として、例えば、列車の緊急停止ボタンのようなボタンを車内に設置することが考えられる。
【0003】
また、特許文献1や特許文献2に開示されているように、緊急時における装置の操作者の特定の動作や音声を認識した場合に、その装置を緊急停止する手段が知られている。具体的には、例えば特許文献1には、危険を認知したときのドライバのアクセルペダル操作や異常音声を感知することで緊急状態を判断し、自動ブレーキを作動させる技術が開示されている。また、特許文献2には、作業者の異常音声を認識した場合に機器を緊急停止させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−260507号公報
【特許文献2】特開平6−27986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、列車の緊急停止ボタンのような単純なボタン設置では、通常時に乗客が誤ってあるいは故意にボタンを操作した場合、ドライバの運転操作に関係なく車両が緊急停止してしまうことになる。
また、特許文献1記載の技術及び特許文献2記載の技術は共に、意識のある操作者(ドライバや作業者)の反応が前提であり、上述のように運転者が意識を喪失してしまった場合には対応できない。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みて案出されたもので、乗客の誤りや故意で作動することなく、運転者の異常を検知したときに限り乗客の応答動作に基づいて車両を自動的に緊急停止することができるようにした、車両緊急停止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の車両緊急停止装置は、乗客を輸送する車両を緊急停止させる車両緊急停止装置であって、運転者の異常を検知する運転者状態検知手段と、前記運転者状態検知手段が運転者の異常を検知したときに、運転者の異常を車内に報知する車内用報知手段と、前記運転者状態検知手段が運転者の異常を検知したときに、運転者の異常を車外に報知する車外用報知手段と、前記車内に設けられ、乗客の応答動作に基づいて乗客の車両停止要求を検知する乗客側停止要求検知手段と、前記車両を自動的に制動させる自動制動手段と、前記運転者状態検知手段によって運転者の異常が検知され、且つ、前記乗客側停止要求検知手段によって乗客の車両停止要求が検知されたときに、緊急停止の必要があると判断して前記自動制動手段に制動指示を行なう制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0008】
なお、前記運転者状態検知手段は、運転者の視線及び顔の向きを検知する画像センサと、運転席にかかるシート圧を検知するシート圧センサと、ステアリングに加わる握力を検知するステアリング握力センサと、を有し、前記画像センサにより検知された運転者の視線及び顔の向き並びに姿勢と、前記シート圧センサにより検知されたシート圧分布と、前記ステアリング握力センサにより検知された握力と、に基づき運転者の異常を検知することが好ましい。
【0009】
また、前記制御手段は、前記運転者状態検知手段によって運転者の異常が検知された後に前記乗客側停止要求検知手段の機能を有効化することが好ましい。
また、前記乗客側停止要求検知手段は車内の音声を検知する音声検知手段を有し、前記音声検知手段の検知した音声が予め設定した特定音声に該当した場合にその音声を乗客の車両停止要求とみなすことが好ましい。
【0010】
また、前記乗客側停止要求検知手段は乗客によって操作される停止ボタンを有し、前記停止ボタンが操作された場合にその操作を乗客の車両停止要求とみなすことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車両の衝突回避装置によれば、運転者状態検知手段によって運転者の異常が検知され、且つ、乗客側停止要求検知手段によって乗客の車両停止要求が検知されたときに自動制動するので、乗客の誤りや故意で装置が作動することなく、運転者の異常を検知したときに限り乗客の応答動作に基づいて車両を自動的に緊急停止することができる。また、車内用報知手段及び車外用報知手段によって即座に車内外に運転者の異常を報知し、乗客の応答動作を促すとともに、他車両や歩行者に安全行動を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両緊急停止装置の全体像を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車両緊急停止装置の作動順序を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態の変形例に係る車両緊急停止装置の作動順序を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面により本発明の車両緊急停止装置の実施の形態について説明する。
<構成>
図1に示すように、本実施形態の緊急停止装置1は、バス2に設けられたものであって、運転者状態検知装置(運転者状態検知手段)10と、警報ブザー(車内用報知手段)3と、マイクロホン(音声検知手段;乗客側停止要求検知手段)4と、停止ボタン(乗客側停止要求検知手段)5と、スピーカー(車外用報知手段)6と、ハザードランプ(車外用報知手段)7と、ブレーキECU(自動制動手段)8と、メインECU(制御手段)20とを備えている。
【0014】
運転者状態検知装置10は、運転者の異常を検知するものであって、運転者の視線及び顔の向き並びに姿勢を検知する画像センサ11と、運転席にかかるシート圧を検知するシート圧センサ12と、ステアリングに加わる握力を検知するステアリング握力センサ13と、これらセンサ11〜13の検知した情報に基づき運転者の異常を判断する異常判断部とを有して構成される。運転者の異常としては運転者の意識喪失が想定される。
【0015】
異常判断部は、画像センサ11により検知された運転者の視線及び顔の向き並びに姿勢と、シート圧センサ12により検知されたシート圧分布と、ステアリング握力センサ13により検知された握力とに基づき、運転者の異常として運転者の意識喪失を判断する。
より具体的には、異常判断部は、(1)画像センサ11が運転者の視線や顔が長時間前方以外を向いていることを検知した、(2)画像センサ11が運転者の首が長時間曲がったままでいることを検知した、(3)シート圧センサ12がシート圧が極端に偏っていることを検知した、(4)ステアリング握力センサ13が握力が異常に低いあるいは握力がゼロであることを検知した、のうちの少なくとも1つが成立したときに、わき見や居眠りではなく意識喪失であると判断するようになっている。なお、意識喪失の判断をより厳密にするために、上記(1)〜(4)のうちの複数が成立したときに意識喪失であると判断するようにしても良い。異常判断部は、意識喪失であると判断すると、意識喪失を検知したとして後述のメインECU20に異常を知らせる信号(異常信号)を出力する。
【0016】
警報ブザー3は、ブザー音を発する報知手段であり、運転者状態検知装置10で運転者の意識喪失が検知されたら、後述のメインECU20の制御信号を受けて運転者が意識喪失していることを車内の乗客にブザー音によって警報するようになっている。
マイクロホン4は、車内の音声を検知するものであり、複数個備えられて、運転席付近や客席付近といった車内の数箇所に設置されている。マイクロホン4には、マイクロホン4の検知した音声が予め設定された特定音声に該当するか否かを判断する音声判断部と、特定音声を記憶する記憶部とが併設されている。
【0017】
特定音声は、乗客の緊急停止の要求を把握するのに適したワード、及び、一定音圧レベル以上の音声であり、具体的には、例えば「停まれ!」というワードが設定されているともに、臨界音圧レベルとして適宜の値(db)が設定されている。
そして、音声判断部は、マイクロホン4から検知された音声に「停まれ!」のワードが含まれているか、あるいはマイクロホン4から検知された音声が設定値以上の音圧レベルである場合に、乗客が緊急停止を要求していると判断するようになっている。乗客が緊急停止を要求していると判断すると、乗客の緊急停止要求を検知したとして後述のメインECU20に乗客の緊急停止要求を知らせる信号(要求信号)を出力する。
【0018】
なお、特定音声としてのワードは、「停まれ!」に限らず、「停止!」や「ブレーキ!」や「危ない!」等の他のワードが設定されていても良いし、1つだけではなく数個のワードが設定されていても良い。ただし、ワードは短く、通常の会話では使われにくいものが好ましい。
停止ボタン5は、緊急時に乗客に押圧操作されるものであり、マイクロホン40と同様に複数個備えられ、運転席付近や客席付近といった車内の数箇所に設置されている。マイクロホン4と停止ボタン5とは、図1に示すようにセットになって各箇所に設置されていても良いし、個別に離隔して設置されていても良い。ただし、マイクロホン4は車内の音声を検知しやすく、停止ボタン5は乗客の目に付き乗客に操作されやすい位置に設置されるようにする。停止ボタン5は、押圧操作されると、乗客の緊急停止要求を検知したとして後述のメインECU20に乗客の緊急停止要求を知らせる信号(要求信号)を出力する。
【0019】
スピーカー6は、運転者が意識喪失していてバス2が緊急事態にあることを周囲(車外)に報知するものであり、後述のメインECU20の制御信号を受けて例えば「緊急!」のワードを繰り返し発することで緊急停止する前に他車両や歩行者に警報を発し、安全行動を促すようになっている。
ハザードランプ7は、スピーカー6と同様にバス2が緊急事態にあることを周囲に報知するものであり、後述のメインECU20の制御信号を受けて所定間隔で点滅するようになっている。このハザードランプ7としては、方向転換や停止を周囲に知らせる既存のハザードランプを利用しても良いし、既存のハザードランプとは別の新たなランプを設けても良い。既存のハザードランプを利用する場合には、本緊急時の点滅間隔が方向転換時や停止時とは異なる間隔であることが好ましい。
【0020】
ブレーキECU8は、ブレーキ装置(図示略)を制御する電子制御ユニット(Electric Control Unit)であり、後述のメインECU20の制御信号を受けて、運転者によるブレーキペダルの踏込操作がなくてもブレーキ装置を作動させ、バス2を自動的に制動させるものである。
メインECU20は、本装置1全体を制御する電子制御ユニットであり、運転者状態検知装置10からの情報とマイクロホン4からの情報と停止ボタン5からの情報とに基づき緊急停止の必要性を判断し、緊急停止が必要であると判断した場合にブレーキECU8に制動指示を行なうものである。
【0021】
メインECU20には、運転者状態検知装置10,警報ブザー3,マイクロホン4,停止ボタン5,スピーカー6,ハザードランプ7及びブレーキECU8が電気的に接続されている。そして、各部4,5,10から情報(信号)が入力されたり各部3〜8に制御信号を出力したりするようになっている。
詳しくは、メインECU20は、運転者状態検知装置10から運転者の異常を知らせる異常信号が入力されたときに、警報ブザー3,スピーカー6及びハザードランプ7に制御信号を出力し、警報ブザー3によって車内の乗客へ運転者の異常を知らせ、且つ、スピーカー6及びハザードランプ7によって車外へバス2の緊急事態を知らせると同時に、マイクロホン4及び停止ボタン5に制御信号を出力し、マイクロホン4及び停止ボタン5の電源を入れる。これによって、マイクロホン4及び停止ボタン5は作動状態になって機能が有効化される。つまり、運転者の意識喪失検知後に、車内外へ注意喚起するとともに、乗客が働きかける緊急停止機構を有効にする。そして、マイクロホン4及び停止ボタン5の少なくとも一方から乗客の緊急停止要求を知らせる要求信号が入力されたときに、ブレーキECU8に制御信号を出力し、バス2を自動制動する。
【0022】
<作用・効果>
本発明の一実施形態に係る車両緊急停止装置は上述のように構成されているので、以下のような作用および効果を奏する。
本装置1は、図2に示すようなフローチャートに従って作動する。
まず、ステップS10では、運転者状態検知装置10が作動を開始する。
【0023】
ステップS20では、メインECU20が、運転者状態検知装置10が運転者の意識喪失を検知したか否か、つまり、運転者状態検知装置10から異常信号が入力されたか否かを判定する。意識喪失が検知された場合にはステップS30に進み、そうでない場合には再びステップS20を繰り返す。
ステップS30では、メインECU20は警報ブザー3に制御信号を出力し、警報ブザー3がブザー音を発して車内の乗客に運転者の異常を知らせる。同時に、メインECU20はマイクロホン4及び停止ボタン5に制御信号を出力し、マイクロホン4及び停止ボタン5を作動させる。この結果、マイクロホン4及び停止ボタン5の機能が有効になる。また同時に、メインECU20はスピーカー6及びハザードランプ7に制御信号を出力し、スピーカー6及びハザードランプ7がバス2が緊急事態にあることを車外に警報する。
【0024】
ステップS40では、メインECU20が、マイクロホン4によって特定音声が検知されたか、あるいは停止ボタン5が操作されたか否かを判断する。特定音声が検知されたか、あるいは停止ボタン5が操作された場合にはステップS50に進む。そうでない場合には再びステップS40を繰り返す。
ステップS50では、メインECU20がブレーキECU8に制御信号を出力し、自動ブレーキをかける。
【0025】
このような本装置1の作動によって、運転者の異常を自動的に検知し、即座に車内外に異常を知らせることができる。そして、乗客はいち早く危険を認知し、特定の音声入力や操作といった応答動作でバス2を停止させたり、あるいは衝撃に備えたりすることができる。また、周囲の歩行者や車両がバス2との衝突を回避できる可能性が高まる。
また、運転者状態検知装置10によって運転者の異常を自動的に検知した後の乗客の応答動作を契機として自動ブレーキが作動するので、通常時に乗客の誤りや故意の操作で自動ブレーキが作動することがないという利点がある。そして、運転者の意識喪失検知と乗客の応答動作検知との二重の条件で自動ブレーキが作動するので、不適切な作動が防止されて本装置1の信頼性が向上するという利点がある。
【0026】
また、自動ブレーキが作動するので、接触事故を起こす前に停止、あるいは事故となった場合でも衝突速度を低減することができる。
また、異常検知後にマイクロホン4及び停止ボタン5の機能が有効になるので、例えば列車に備えられる緊急停止ボタンのように頑丈なケースで覆われている必要がなく、構成を簡素にしてコストを抑えることができるとともに、緊急時のような時間を争う場面でケースを破壊する手間を省き、迅速な対応を可能にすることができる。
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更することが可能である。
【0027】
例えば、上記実施形態では、警報ブザー3により車内の乗客に運転者の異常を知らせるようにしたが、ブザー音以外の警告音声を発する報知手段や、明滅することで異常を知らせる非常ランプ等の報知手段で警報ブザー3を代替しても良い。
また、上記実施形態では、スピーカー6とハザードランプ7とを備えて車外にバス2の緊急事態を報知したが、どちらか一方のみを備えるようにしても良いし、他の報知手段で代替しても良い。
【0028】
また、上記実施形態では、乗客側停止要求検知手段としてマイクロホン4と停止ボタン5とを備えて乗客の音声及び操作といった応答動作に基づいて乗客の緊急停止要求を検知したが、どちらか一方のみを備えるようにしても良いし、他の適宜の手段で代替して乗客側の停止要求を検知しても良い。
また、上記実施形態では、乗客の車両停止要求検知後に自動ブレーキをかけるようにしたが、図3のフローチャートに示すように、まず、運転者の意識喪失が認識された後で尚且つ乗客の車両停止要求検知前に軽く自動ブレーキをかけ(ステップS35)、乗客の車両停止要求検知後に強く自動ブレーキをかける(ステップS50′)ようにしても良い。
【0029】
また、自動ブレーキが作動した場合に、前後の車内映像を記録する車内ドライブレコーダや、バス2の運行を管理する事務所へ通報するテレマティクス装置も装備することが好ましい。
また、普段から、車内放送や掲示等で乗客に対して緊急停止手段の存在とその作動方法とを周知しておくことが好ましい。
【0030】
また、本装置1と周知の車線維持装置とを組み合わせ、自動ブレーキをかける際にステアリングを自動操舵してバス2が自車線内を走行するようにすると好ましい。
また、上記実施形態では、運転者状態検知装置10は画像センサ11とシート圧センサ12とステアリング握力センサ13とを有し、これらセンサ11〜13の検知した情報に基づき運転者の意識喪失を検知したが、運転者状態検知装置10が運転者の意識喪失を検知する構成及び方法はこれに限らず、例えば他のセンサを備えて意識喪失を検知しても良い。また、運転者状態検知装置10の異常判断部は、メインECU20の一機能としてメインECU20に組み込まれて構成されていても良い。
【0031】
また、上記実施形態では、意識喪失を契機に自動ブレーキをかけるが、これは、意識喪失した運転者は容易に運転に復帰できないと予測されるためである。しかしながら、本装置1は居眠り状態の検知と組み合わせても良い。つまり、運転者状態検知装置10は、上述のように意識喪失を検知することに加えて、居眠り状態も検知するようにし、居眠り状態時には運転者に刺激を与えたり、あるいは刺激を与えつつ軽く自動ブレーキをかけたりするようにすると好ましい。
【0032】
また、上記実施形態ではバス2を例に挙げて説明したが、本緊急停止装置1は乗客を輸送する車両全般に適用可能であって、例えばワゴン型タクシーにも適用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 緊急停止装置
2 バス(車両)
3 警報ブザー(車内用報知手段)
4 マイクロホン(音声検知手段;乗客側停止要求検知手段)
5 停止ボタン(乗客側停止要求検知手段)
6 スピーカー(車外用報知手段)
7 ハザードランプ(車外用報知手段)
8 ブレーキECU(自動制動手段)
10 運転者状態検知装置(運転者状態検知手段)
11 画像センサ
12 シート圧センサ
13 ステアリング握力センサ
20 メインECU(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客を輸送する車両を緊急停止させる車両緊急停止装置であって、
運転者の異常を検知する運転者状態検知手段と、
前記運転者状態検知手段が運転者の異常を検知したときに、運転者の異常を車内に報知する車内用報知手段と、
前記運転者状態検知手段が運転者の異常を検知したときに、運転者の異常を車外に報知する車外用報知手段と、
前記車内に設けられ、乗客の応答動作に基づいて乗客の車両停止要求を検知する乗客側停止要求検知手段と、
前記車両を自動的に制動させる自動制動手段と、
前記運転者状態検知手段によって運転者の異常が検知され、且つ、前記乗客側停止要求検知手段によって乗客の車両停止要求が検知されたときに、緊急停止の必要があると判断して前記自動制動手段に制動指示を行なう制御手段とを備えた
ことを特徴とする、車両緊急停止装置。
【請求項2】
前記運転者状態検知手段は、
運転者の視線及び顔の向きを検知する画像センサと、運転席にかかるシート圧を検知するシート圧センサと、ステアリングに加わる握力を検知するステアリング握力センサと、を有し、
前記画像センサにより検知された運転者の視線及び顔の向き並びに姿勢と、前記シート圧センサにより検知されたシート圧分布と、前記ステアリング握力センサにより検知された握力と、に基づき運転者の異常を検知する
ことを特徴とする、請求項1記載の車両緊急停止装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記運転者状態検知手段によって運転者の異常が検知された後に前記乗客側停止要求検知手段の機能を有効化する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の車両緊急停止装置。
【請求項4】
前記乗客側停止要求検知手段は車内の音声を検知する音声検知手段を有し、前記音声検知手段の検知した音声が予め設定した特定音声に該当した場合にその音声を乗客の車両停止要求とみなす
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両緊急停止装置。
【請求項5】
前記乗客側停止要求検知手段は乗客によって操作される停止ボタンを有し、前記停止ボタンが操作された場合にその操作を乗客の車両停止要求とみなす
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の車両緊急停止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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