説明

車両速度検知システム、速度検知装置及び車載機

【課題】道路を走行する車両の速度を正確に検知することができる車両速度検知システム、速度検知装置及び車載機を提供する。
【解決手段】車載機30は、任意の地点で測定用の信号(キャリア周波数f0)を各受信部21、22へ送信する。路側機20は、受信した信号の到達時間差を算出する。また、路側機20は、各受信部21、22で受信した信号のキャリア周波数f1、f2を検出する。路側機20は、信号の到達時間差及び道路形状情報などにより車載機30の位置情報を生成し、生成した位置情報と道路形状情報により車載機30の走行方向を算出する。路側機20は、車載機30の走行方位、車載機30から各受信部21、22への方向とのなす角度を算出し、算出した角度に基づいて、車両の速度Vを検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路を走行する車両の速度を高精度に検知することができる車両速度検知システム、該車両速度検知システムを構成する速度検知装置及び車載機に関する。
【背景技術】
【0002】
道路を走行する車両の速度を地上系の装置(例えば、路側機)で検知する方法として、路側機から車両に対して信号(例えば、超音波)を送信し、反射した信号を受信し、送信信号と受信信号の周波数の差を算出して、車両の速度を検知するものがある。これは、高速度で走行する車両ほど、ドップラー効果による周波数シフトが大きくなる原理を利用するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の方法としては、車両から信号を送信し、3つの無線機(受信部)で車両が送信した信号を受信し、それぞれの受信部で受信した信号の周波数差に基づいて、車両の速度を検知するものもある。
【特許文献1】特開昭61−294383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の方法で利用されているドップラー効果は、車両と路側機とを結ぶ直線上において生じるものであり、例えば、車両の走行方向(速度の方向)と車両から見た路側機の方向が異なる場合には、車両の速度のうち路側機の方向の成分のみに発生する。従って、車両と路側機との相対的向きが車両の走行方向と一致している場合にのみ車両の速度を検知することができるだけであって、車両の向きと車両から見た路側機の方向との相対的な角度が分からないと正確な速度を求めることができない。
【0005】
また、3つの受信部を用いる方法では、車両と各受信部との方向ごとに算出した速度を合成する必要があり、また、車両の速度を測定する測定領域を多数設ける場合には、多くの受信部を設置する必要があるため、少ない受信部で精度良く車両の速度を検知できるシステムが望まれていた。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、少ない受信部で道路を走行する車両の速度を正確に検知することができる車両速度検知システム、該車両速度検知システムを構成する速度検知装置及び車載機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る車両速度検知システムは、車載機と、該車載機が送信した所定の周波数帯の信号を受信する2つ以上の受信部を有する路側機とを備える車両速度検知システムにおいて、前記路側機は、各受信部の受信地点情報及び道路形状に関する道路形状情報を記憶するための記憶手段と、車載機の位置情報を生成する位置情報生成手段と、各受信部で受信した信号の周波数を検出する周波数検出手段と、前記受信地点情報、道路形状情報、車載機の位置情報及び前記周波数検出手段で検出した周波数に基づいて車両の速度を検知する速度検知手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
第2発明に係る車両速度検知システムは、第1発明において、前記路側機は、車載機が送信した信号の各受信部への到達時間差を算出する到達時間差算出手段を備え、前記位置情報生成手段は、前記到達時間差算出手段で算出した到達時間差、各受信地点情報及び道路形状情報に基づいて、車載機の位置情報を生成するように構成してあることを特徴とする。
【0009】
第3発明に係る車両速度検知システムは、第1発明又は第2発明において、前記路側機は、前記位置情報生成手段で生成した位置情報及び前記道路形状情報に基づいて、車載機の走行方向を算出する走行方向算出手段と、前記走行方向算出手段で算出した走行方向と車載機から前記受信部への方向とのなす角度を算出する角度算出手段とを備え、前記速度検知手段は、前記角度算出手段で算出した角度に基づいて、車両の速度を検知するように構成してあることを特徴とする。
【0010】
第4発明に係る車両速度検知システムは、第1発明乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記車載機は、搭載位置の高さ情報を信号に含めて送信するように構成してあり、前記路側機は、前記高さ情報を受信するように構成してあり、前記速度検知手段は、前記高さ情報に基づいて、車両の速度を検知するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
第5発明に係る車両速度検知システムは、第1発明乃至第4発明のいずれか1つにおいて、前記車載機は、個別の識別情報を信号に含めて送信するように構成してあり、前記路側機は、前記識別情報を受信するように構成してあり、前記速度検知手段は、同一識別情報の信号の周波数に基づいて、車両の速度を検知するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
第6発明に係る車両速度検知システムは、第5発明において、前記車載機は、車両が所定の領域内に存在する場合のみ有効な識別情報を取得する識別情報取得手段を備え、該識別情報取得手段で取得した識別情報を信号に含めて送信するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
第7発明に係る車両速度検知システムは、第6発明において、車両が所定の領域内に存在することを感知する感知機を備え、該感知機は、車両が所定の領域内に存在する場合のみ有効な識別情報を車載機へ送信する送信手段を備えることを特徴とする。
【0014】
第8発明に係る車両速度検知システムは、第7発明において、前記感知機は、車両が前記領域外へ移動した場合、又は車両を感知した後所定時間が経過した場合、前記識別情報を無効にする無効手段を備えることを特徴とする。
【0015】
第9発明に係る車両速度検知システムは、第2発明乃至第8発明のいずれか1つにおいて、前記車載機は、車両が停止していることを示す停止情報を信号に含めて送信するように構成してあり、前記路側機は、前記停止情報を受信するように構成してあり、各受信部で受信時点を計時する計時手段と、前記停止情報を受信した場合、車載機の位置情報及び信号の各受信部への到達時間差に基づいて、各計時手段での計時を同期させる同期手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
第10発明に係る速度検知装置は、所定の周波数帯の信号を受信する2つ以上の受信部を備え、受信した信号に基づいて車両の速度を検知する速度検知装置において、各受信部の受信地点情報及び道路形状に関する道路形状情報を記憶するための記憶手段と、信号を送信した車載機の位置情報を生成する位置情報生成手段と、各受信部で受信した信号の周波数を検出する周波数検出手段と、前記受信地点情報、道路形状情報、車載機の位置情報及び前記周波数検出手段で検出した周波数に基づいて車両の速度を検知する速度検知手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
第11発明に係る車載機は、所定の周波数帯の信号を送信する車載機において、搭載位置の高さ情報、個別の識別情報及び車両が停止していることを示す停止情報の少なくとも1つを信号に含めて送信するように構成してあることを特徴とする。
【0018】
第1発明及び第10発明にあっては、路側機(速度検知装置を含む)は、車載機が送信した信号(測定用の信号で所定の周波数帯、例えば、周波数f0を有する)を2つ以上(例えば、2つ)の受信部で受信する。なお、各受信部それぞれは異なる受信地点に設けてある。路側機は、各受信部で受信した信号の周波数(例えば、f1、f2)を検出する。なお、周波数の逆数である信号の波長も周波数と同等のものである。路側機は、車載機の位置情報を生成する。車載機の位置情報は、例えば、各受信部の受信地点情報、各受信部で受信した信号の到達時間差、車両が走行する道路形状情報などに基づいて生成することができる。あるいは、車載機の位置情報は、車両の通過地点情報とその地点からの走行履歴などに基づいて生成することもできる。道路形状情報は、例えば、道路を1又は複数の適長の区間に分割した各区間についての距離、勾配又は曲率などの情報を含む。道路形状情報により、車両が走行する走行面を特定することができる。
【0019】
路側機は、各受信部の受信地点情報、道路形状情報、車載機の位置情報及び検出した周波数などに基づいて車両の速度を検知する。この場合、路側機は、生成した位置情報及び道路形状情報に基づいて、車載機の走行方向を算出する。路側機は、算出した走行方向と車載機から各受信部への方向とのなす角度を算出し、算出した角度に基づいて、車両の速度を検知する。これにより、少ない(例えば、2つの)受信部で走行する車両の速度を正確に検知することができる。
【0020】
第2発明にあっては、路側機は、各受信部で受信した信号の到達時間差を算出する。路側機は、各受信部の受信地点情報、道路形状情報及び算出した到達時間差に基づいて、車載機の位置情報を生成する。例えば、車載機が送信した信号が一方の受信部に到達した時点(受信した時点)と他方の受信部に到達した時点(受信した時点)との到達時間差に信号の伝播速度を積算すれば一方の受信部からの距離と他方の受信部からの距離との距離差が求められる。すなわち、車載機、各受信部の高さが一致している場合(例えば、路面からの高さとして、1m、1.5mなど)、車載機の位置は、各受信部の位置を焦点とする回転双曲面上にある。また、車載機は、道路形状情報で特定される走行面上に存在すると考えられるので、車載機に位置は走行面と回転双曲面との交線上として求めることができる。これにより、精度良く車載機の位置を求めることができる。
【0021】
第3発明にあっては、路側機は、車載機の位置情報と道路形状情報に基づいて、車両の走行方位を算出することができる。また、車載機の位置情報と受信地点情報とに基づいて、車載機から見た各受信部の方向を特定することができ、車両の走行方向と各受信部の方向とのなす角度θ1、θ2を求めることができる。路側機は、信号の元の周波数f0と検出した周波数f1、f2、車両の走行方向と各受信部の方向とのなす角度θ1、θ2により車両の速度を求めることができる。これにより、少ない(例えば、2つの)受信部で走行する車両の速度を正確に検知することができる。
【0022】
第4発明にあっては、車載機は、搭載位置の高さ情報を信号に含めて送信する。路側機は、受信した高さ情報に基づいて、車両の速度を検知する。これにより、車載機の位置をさらに精度良く求めることができ、検知する車両の速度の精度が向上する。
【0023】
第5発明にあっては、車載機は、個別の識別情報(他の車載機から識別するための識別情報)を信号に含めて送信する。路側機は、受信した識別情報が同じ信号の周波数に基づいて、車両の速度を検知する。これにより、信号を送信する車載機が同時に多数存在する場合であっても、個々の車載機を識別して各車両の速度を検知することができる。
【0024】
第6発明にあっては、車載機は、車両が所定の領域(例えば、車両速度を測定する領域)内に存在する場合のみ有効な識別情報(例えば、暫定ID)を取得し、取得した識別情報を信号に含めて送信する。車載機の識別に所定の領域内でのみ有効な暫定的な識別情報を用いることにより、すべての車載機に固有の識別情報を予め設定しておくという非現実的な処置を行う必要がなく、また、一旦設定された固有の識別情報が盗用されるなどのセキュリティ面における脆弱性も回避することが可能となる。
【0025】
第7発明にあっては、車載機の通過を感知することができる感知機は、車載機が所定の領域内に存在すると判定した場合、所定の領域内でのみ有効な識別情報(例えば、暫定ID)を車載機へ送信する。車載機は、識別情報を取得し、取得した識別情報を信号に含めて送信する。これにより、すべての車載機に固有の識別情報を予め設定しておくという非現実的な処置を行う必要がなく、また、一旦設定された固有の識別情報が盗用されるなどのセキュリティ面における脆弱性も回避することが可能となる。
【0026】
第8発明にあっては、感知機は、車両が所定の領域外へ移動した場合、又は車両を感知した後所定時間が経過した場合、識別情報を無効にする。これにより、路側機は、必要な車載機に対してだけ速度検知処理を行えばよく、路側機での不要な処理を低減することができる。また、識別情報が無効になった場合に、車載機からの信号の送信を停止させることで、車載機からの信号が不用意に送信されることを防止して通信トラフィック量を低減することができる。
【0027】
第9発明にあっては、車載機は、車両が停止していることを示す停止情報を信号に含めて送信する。路側機は、停止情報を受信した場合、車載機の位置情報及び信号の各受信部への到達時間差に基づいて、各受信部での計時を同期させる。例えば、車載機の位置と2つの受信部の受信地点との距離により2つの受信部の到達時間差が300nsである場合に、実際に受信した信号の到達時間差が350nsであるときは、一方の受信部の時刻が50nsずれていることが判明する。一方の受信部の時刻を50nsだけ補正することで両受信部の時刻を一致(同期)させることができる。これにより、車載機が送信した信号の到達時間差を精度良く算出することができ、自車位置を精度良く特定することができる。
【0028】
第11発明にあっては、車載機は、搭載位置の高さ情報、個別の識別情報及び車両が停止していることを示す停止情報の少なくとも1つを信号に含めて送信する。これにより、路側機は、所要の情報を取得することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明にあっては、少ない(例えば、2つの)受信部で走行する車両の速度を正確に検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る車両速度検知システムの概要を示す模式図である。本発明に係る車両速度検知システムは、特に、路車間通信システムとして実現することができ、車両に搭載された車載機30、車載機30が送信する測定用の信号を受信する第1受信部21、第2受信部22(少なくとも2つの受信部)を有する路側機(速度検知装置)20などを備えている。図1に示すように、路側機20の各受信部21、22は、道路付近の所定の位置に離隔して設置されている。
【0031】
本発明に係る車両速度検知システムでは、車載機30は、測定領域M内の任意の地点で測定用の信号(所定のキャリア周波数f0を有する)を各受信部21、22へ送信する。路側機20は、各受信部21、22で測定用の信号を受信し、受信した信号の到達時間差(受信時間差)を算出する。また、路側機20は、各受信部21、22で受信した信号のキャリア周波数f1、f2を検出する。なお、周波数に代えて信号の波長でもよい。両者は同等のものである。
【0032】
路側機20は、予め各受信部21、22の設置位置、すなわち、信号の受信地点情報を記憶してあるとともに、測定領域M内の道路の形状に関する道路形状情報(詳細は後述)を記憶してある。路側機20は、後述するように車載機30の位置情報を生成し、生成した位置情報と道路形状情報により車載機30の走行方向を推定する。路側機20は、車載機30の走行方位、車載機30から各受信部21、22への方向とのなす角度を算出し、算出した角度に基づいて、車両の速度Vを検知する。路側機20は、車載機30から信号を受信する都度、車両の速度検知処理を繰り返す。なお、図1は模式的に示したものであり、道路形状、受信部21、22の設置位置は一例であって、これに限定されるものではない。
【0033】
図2は本発明に係る車両速度検知システムの構成を示すブロック図である。車載機30は、光ビーコン、電波ビーコン、DSRCなどの路側装置との通信機能を有する第1通信部31、路側機20との通信機能を有する第2通信部32、車載機30の動作を制御する制御部33、記憶部34、表示部35、操作部36、GPS(Global Positioning System)受信機能を有するGPS受信部37、車輪速センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ等の車載センサを備えるセンサ部38、ナビゲーション部39などを備えている。
【0034】
第2通信部32は、例えば、VHF/UHF帯の周波数帯域の電波を路側機20に対して送信する。第2通信部32は、基準クロック信号を生成する水晶発振器、基準クロック信号に基づいて動作する時計、タイマ、又はカウンタ等の計時機構、搬送波生成回路、変調回路等(不図示)を備え、基準クロック信号に基づいて所定の信号(例えば、周波数が10kHz程度の矩形波信号)を生成する。第2通信部32は、生成した信号に基づいて搬送波(例えば、周波数が100MHz程度、200MHz程度、あるいは700MHz程度など)を周波数変調し、アンテナ(不図示)を通じて変調後の搬送波を送信する。
【0035】
また、第2通信部32は、復調回路を備え、路側機20が送信した電波を受信し、受信した電波を復調して元の信号を抽出する。なお、車載機30が使用する周波数帯域は、一例であって、VHF/UHF帯に限定されるものではなく、他の周波数帯域でもよい。例えば、自動車専用として割り当てられている5.8GHz帯を使用してもよく、また、携帯電話、PHS等で使用する周波数帯域を使用することも可能である。
【0036】
表示部35は、ヘッドアップディスプレイ、カーナビゲーションシステム又は監視モニタなどの液晶表示パネルであり、運転者に対して、各種交通情報を表示することができる。例えば、車両が安全に走行できない場合の警告等を表示する。
【0037】
操作部36は、各種操作パネルを備え、運転者と車載機30とのユーザインタフェースとして機能する。例えば、操作部36は、運転者の操作により車載機30の動作の開始又は停止の操作を受け付ける。
【0038】
GPS受信部37は、DGPS(ディファレンシャルGPS)又はRTK−GPS(Real-Time KinematicGPS)などのGPS受信機能を備え、複数のGPSを含むGNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からの電波を随時繰り返し受信し、自車位置を測定する。これにより、車載機30は、任意の地点での自車の位置情報(通過地点情報)を取得することができる。
【0039】
ナビゲーション部39は、地図データベース等を内蔵し、GPS受信部37からの情報、センサ部38からの情報に基づいて、自車の走行履歴(例えば、時刻とともに記録された走行距離、走行方位、走行速度、加減速度など)を記憶している。
【0040】
記憶部34は、第1通信部31、第2通信部32を通じて受信した情報を記憶する。また、記憶部34は、車載機30の搭載位置の高さ情報などを記憶する。
【0041】
路側機20は、車載機30が送信した測定用の信号を受信する第1受信部21、第2受信部22、車載機30へ測定結果を送信する送信部23、路側機20全体の動作を制御する制御部24、所定の情報を記憶する記憶部25などを備えている。
【0042】
第1受信部21は、基準クロック信号を生成する水晶発振器、基準クロック信号に基づいて動作する時計、タイマ、又はカウンタ等の計時機構、復調回路などを備え、車載機30が送信した電波を受信し、受信した電波を復調して元の信号を抽出する。第1受信部21は、抽出した信号に基づいて、信号の受信時点を算出し、算出した受信時点を制御部24へ出力する。なお、所定の時間内に、複数回にわたって受信時点を算出した上で、これらの平均値又は中央値等を用いることもできる。このような方法によれば、ノイズ等による影響を低減し、安定した受信時点を得ることができる。なお、信号の受信時点の算出は、信号波形の立ち上がり部分のみならず、立ち下り部分で算出することもできる。また、第1受信部21は、受信した信号からキャリア周波数を検出し、検出したキャリア周波数を制御部24へ出力する。
【0043】
第2受信部22は、第1受信部21と同様の構成を有し、車載機30が送信した電波を復調して元の信号を抽出し、抽出した信号に基づいて、信号の受信時点を算出し、算出した受信時点を制御部24へ出力する。また、第2受信部22は、受信した信号からキャリア周波数を検出し、検出したキャリア周波数を制御部24へ出力する。
【0044】
記憶部25は、第1受信部21、第2受信部22の設置地点の情報である受信地点情報、測定領域M内の道路の形状に関する道路形状情報、車載機30が送信する信号のキャリア周波数などを記憶している。また、記憶部25は、第1受信部21、第2受信部22で受信した情報、制御部24で行った処理結果などを記憶している。
【0045】
また、第1受信部21は、制御部24の指令又は所定の時間間隔により、基準クロック信号を第2受信部22へ送信する。第2受信部22は、送信された基準クロック信号及び第1受信部21から第2受信部22までの基準クロック信号の伝播時間に基づいて、時計、タイマ、又はカウンタ等の計時機構を補正する。これにより、各受信部21、22における時刻を一致(同期)させる。
【0046】
制御部24は、各受信部21、22で算出した信号の受信時点に基づいて、各受信部21、22での信号の到達時間差ΔT(受信時間差)を算出する。制御部24は、算出した到達時間差ΔT、各受信部21、22の受信地点情報及び道路形状情報に基づいて、車載機30の位置情報を生成する。
【0047】
送信部23は、例えば、VHF/UHF帯の周波数帯域の電波を車載機30に対して送信する。送信部23は、基準クロック信号を生成する水晶発振器、搬送波生成回路、変調回路等(不図示)を備え、基準クロック信号に基づいて所定の信号(例えば、周波数が10kHz程度の矩形波信号)を生成する。送信部23は、制御部24の制御のもと、生成した信号に基づいて搬送波(例えば、周波数が100MHz程度、200MHz程度、あるいは700MHz程度など)を周波数変調し、アンテナ(不図示)を通じて変調後の搬送波を送信する。なお、路側機20が使用する周波数帯域は、一例であって、VHF/UHF帯に限定されるものではなく、他の周波数帯域でもよい。例えば、自動車専用として割り当てられている5.8GHz帯を使用してもよく、また、携帯電話、PHS等で使用する周波数帯域を使用することも可能である。
【0048】
図3は信号の到達時間差ΔTの算出例を示す説明図である。図3は、車載機30が送信した信号を第1受信部21、第2受信部22で受信した信号波形を模式的に示すものである。例えば、車載機30から第1受信部21までの距離が、車載機30から第2受信部22までの距離より短いとすると、図3に示すように、車載機30が送信した信号は、第1受信部21に先に到達し、第2受信部22にはΔTだけ遅れて信号が到達する。以下、到達時間差ΔTに基づいて、車載機30の位置を算出する方法について説明する。
【0049】
図4は信号の到達時間差ΔTに基づいて車載機30の位置の特定方法の概念を示す説明図である。図4に示すように、まず、車両位置は、第1受信部21及び第2受信部22の位置(受信地点情報)を焦点とし、第1受信部21及び第2受信部22から車載機30までの各信号の到達時間差ΔTに光速を積算した距離が等しい回転双曲面W上に存在する。路側機20は、次に回転双曲面W上のどこに車両位置が存在するかを求める。
【0050】
路側機20は、記憶してある測定領域M内の道路形状情報から、回転双曲面Wの近傍の道路形状情報で特定される走行面と回転双曲面Wとの交線を車載機30(車両)の位置として求めることができる。この場合、交線の長さは、走行面の道路幅方向の長さに略等しい値となるが、実際には、車両は車線又は道路のほぼ真ん中を走行すると考えられるので、走行面の幅方向の略中央の位置を車両の位置Sとして特定して差し支えない。なお、図4では走行面を矩形状の平面で表しているが、走行面の形状は、これに限定されるものではなく、また、平面状であるとも限らない。
【0051】
図5は道路形状情報の構造を示す説明図である。図5に示すように、道路形状情報は、測定領域M内の道路を複数のノードにより所定の距離(例えば、20m)の区間に分割し、区間毎の距離、勾配、曲率などの情報により構成されている。道路が直線の場合、道路に沿って1つの直線上にノードが設定され、道路がカーブの場合、道路に沿って複数の直線上にノード(例えば、2つのノード)が設定される。これにより、カーブにより道路が傾斜している場合でも、2つの直線で決定される平面を特定することができる。
【0052】
なお、車両の位置は、車載機30から送信した信号の各受信部21、22での到達時間差ΔTにより求める方法に限定されるものではなく、他の方法により求めることもできる。
【0053】
図6は車両の通過地点からの走行履歴に基づいて車載機30の位置の特定方法の概念を示す説明図である。図6において、通過地点情報は地点Rの位置情報であり、例えば、光ビーコン10との通信地点の位置情報とすることができる。この場合、車載機30は、通過地点情報を路側機20へ送信する。あるいは、光ビーコン10から通過地点情報を路側機20へ送信してもよい。車載機30は、測定地点(地点S)で測定用の信号を送信する場合、通過地点からの走行履歴(例えば、速度と経過時間など)に関する情報も路側機20へ送信する。路側機20は、通過地点情報と車載機30の走行履歴に基づいて、車載機30の位置を求めることができる。これにより、精度良く車載機30の位置を求めることができる。
【0054】
なお、光ビーコン10を用いる代わりに、車載機30のGPS、ナビゲーションシステム等で車両の位置を取得し、取得した位置情報を路側機20へ送信することもできる。路側機20は、車載機30から送信される位置情報と走行履歴により車両の位置を求めることもできる。
【0055】
車載機30は、車両が停止していることを示す停止情報を信号に含めて送信することができる。路側機20は、停止情報を受信した場合、車載機30の位置情報及び信号の各受信部21、22への到達時間差ΔTに基づいて、各受信部21、22での計時を同期させる。例えば、車載機30の位置と2つの受信部21、22の受信地点との距離により2つの各受信部21、22での到達時間差ΔTが300nsである場合に、実際に受信した信号の到達時間差ΔTが350nsであるときは、例えば、第1受信部21の時刻が50nsずれていることが判明する。第1受信部21の時刻を50nsだけ補正することで両受信部21、22の時刻を一致(同期)させることができる。これにより、車載機30が送信した信号の到達時間差ΔTを精度良く算出することができ、自車位置を精度良く特定することができる。
【0056】
図7は信号に含まれるデータ構造の例を示す説明図である。図6に示すように、車載機30が送信する信号は、例えば、測定用信号として使用するプリアンブルとデータ領域とで構成され、データ領域には、測定要求を示す測定要求フラグ、個々の車載機30を識別するための暫定IDの他、車載機30の搭載位置の高さ情報、車両が停止していることを示す停止情報(いずれも不図示)などの情報を含む。
【0057】
なお、車載機30は暫定IDを以下のようにして取得することができる。例えば、光ビーコン10が、車載機30からアップリンク情報を受信した場合、ダウンリンクの切替を行い、その車載機30に対して付与する暫定IDを含むダウンリンク切替後のダウンリンク情報を車載機30に対して送信する。なお、暫定IDは、光ビーコン10から送信することもできるが、路側機20、他の無線機などから送信するようにすることもできる。
【0058】
路側機20は、車載機30から送信された信号に暫定IDが含まれている場合にのみ車両の速度を検知するようにすれば、路側機20は、必要な車載機30に対してだけ速度検知処理を行えばよく、路側機20での不要な処理を低減することができる。また、暫定IDが含まれていない場合(例えば、車両が測定領域M外へ移動した場合、又は車両を感知した後所定時間が経過した場合等により暫定IDが無効になったとき)に、車載機30は信号の送信を停止させることで、車載機30からの信号が不用意に送信されることを防止して通信トラフィック量を低減することができる。
【0059】
また、路側機20は、同じ暫定ID(識別情報)の信号の周波数に基づいて、車両の速度を検知する。これにより、信号を送信する車載機30が同時に多数存在する場合であっても、個々の車載機30を識別して各車両の速度を検知することができる。
【0060】
車載機30が取得した暫定IDの無効化は以下のように行うことができる。すなわち、車載機30は、暫定IDを取得した後、所定時間経過したか否かを判定し、所定時間経過した場合、暫定IDを無効化する。所定時間は、車載機30が測定領域Mに存在するか否かを判定するために予め設定したものであり、測定領域Mの道路上の距離、車両の平均速度などに応じて決定することができる。
【0061】
なお、測定領域M内に存在するか否かは、所定時間の経過により判定する方式に限定されるものではない。例えば、光ビーコン10との通信地点からの走行距離を時々刻々の車両位置から算出し、その走行距離が通信地点から測定領域Mの終端(例えば、停止線、交差点から200m超えた地点など)までの距離を越えたか否かで判定することもできる。また、車両の位置が測定領域Mの終端の位置に一致したか否かで判定することもできる。また、測定領域Mの終端に設置された光ビーコン10を通過したか否かで判定することもできる。さらに、光ビーコン10との送受信による判定だけでなく、車載機30から受信した信号に基づいて測定した車載機30の位置と測定領域Mとを比較して、路側機20で車載機30が測定領域M内に存在するか否かを判定することもできる。
【0062】
車載機30の識別に所定の領域内でのみ有効な暫定IDを用いることにより、すべての車載機30に固有のIDを予め設定しておくという非現実的な処置を行う必要がなく、また、一旦設定された固有のIDが盗用されるなどのセキュリティ面における脆弱性も回避することが可能となる。
【0063】
図8は信号の受信時点を求める例を示す説明図である。図8(a)の上段は車載機30から受信した信号の例を模式的に示し、下段は路側機20が予め記憶している相関処理(パターンマッチング)を行うためのレプリカ信号である。図8(a)に示すように、路側機20で受信した信号及びレプリカ信号を所定の時間間隔でサンプリングし、波形とレプリカ信号の波形が一致する場合、図8(b)に示すように両信号の相関値が鋭いピークを示す。図8(b)に示すように、制御部24は、相関値の鋭いピークが取れた時点で、信号の受信時点を求める。なお、マルチパスによる遅延波の影響がある場合、相関は図8(c)のようにピークが2つ以上生じる。
【0064】
図9及び図10は車両の速度を検知する方法を示す説明図である。路側機20は、上述の方法により車載機30の位置を求めることができ、車載機30の位置情報と道路形状情報に基づいて、車両の走行方位を算出することができる。また、車載機30の位置情報と各受信部21、22の受信地点情報とに基づいて、車載機30から見た各受信部21、22の方向を特定することができ、車両の走行方向と各受信部21、22の方向とのなす角度θ1、θ2を求めることができる。
【0065】
路側機20は、車載機30が送信する信号のキャリア周波数f0と、各受信部21、22それぞれ検出したキャリア周波数f1、f2と、車両の走行方向と各受信部21、22の方向とのなす角度θ1、θ2とにより、式(1)、式(2)、式(3)に基づいて車両の速度Vを求めることができる。なお、式(1)、式(2)に示すように、近似した値を用いることができる。
【0066】
【数1】

【0067】
図10において車両の速度の算出方法をより具体的に示す。図10では、簡単のため車載機30の位置Sと第2受信部22との関係のみを示すが、第1受信部21との関係も同様である。図10において、速度V’は、車両の速度Vのうち、車載機30の位置Sから見た第2受信部22の方向の成分である。車載機30の位置Sでの車両の走行方向と位置Sから見た第2受信部22の方向とのなす角度はθ2であるから、V’=V・cos(θ2)である。
【0068】
ドップラー効果は、車載機30と第2受信部22とを結ぶ直線上において生じるものであるから、式(3)で求めることができる車両の速度Vは、速度V’の方向を軸とし、頂角をθ2とした三角形を回転させてできる円錐の側面と道路形状情報により特定される走行面との交線により特定することができる。また、この場合、走行面は車載機30の高さ情報により、例えば、Z軸方向に平行移動させることができ、また、道路の傾きなどを考慮して走行面を決定することもできる。これにより、少ない(例えば、2つの)受信部で走行する車両の速度を正確に検知することができる。
【0069】
次に路側機20の動作について説明する。図11は路側機20の処理手順を示すフローチャートである。路側機20は、測定用信号を受信したか否かを判定し(S11)、測定用信号を受信していない場合(S11でNO)、ステップS11の処理を続け、測定用信号を受信するまで待機する。
【0070】
測定用信号を受信した場合(S11でYES)、路側機20は、受信した信号に暫定IDがあるか否かを判定し(S12)、暫定IDがある場合(S12でYES)、車両(車載機30)が測定領域M内にあるものと判定し、第1受信部21、第2受信部22での信号の到達時間差ΔTを算出する(S13)。この場合、路側機20は、同一の暫定IDの信号について到達時間差ΔTを算出する。
【0071】
路側機20は、第1受信部21、第2受信部22での信号のキャリア周波数f1、f2を検出し(S14)、道路形状情報を取得する(S15)。路側機20は、信号の到達時間差ΔT、受信地点情報、道路形状情報などに基づいて、車両の位置(位置情報)を生成し(S16)、生成した車両の位置と道路形状情報とに基づいて、車両の走行方向を算出する(S17)。なお、車両の位置情報を生成する方法は、図6の例を用いてもよい。
【0072】
路側機20は、信号の元のキャリア周波数f0と、各受信部21、22それぞれ検出したキャリア周波数f1、f2と、車両の走行方向と各受信部21、22の方向とのなす角度θ1、θ2と、道路形状情報などに基づいて車両の速度Vを算出する(S18)。
【0073】
路側機20は、他の暫定IDがあるか否かを判定し(S19)、他の暫定IDがある場合(S19でYES)、路側機20は、ステップS13以降の処理を続ける。他の暫定IDがない場合(S19でNO)、路側機20は、処理終了の指示があるか否かを判定し(S20)、処理終了の指示がない場合(S20でNO)、ステップS11以降の処理を続ける。一方、暫定IDがない場合(S12でNO)、路側機20は、ステップS20の処理を行う。処理終了の指示がある場合(S20でYES)、路側機20は、処理を終了する。
【0074】
以上説明したように、本発明にあっては、多くの受信部(無線機)を設置する必要がなく、少ない(2台)受信部で走行する車両の速度を正確に検知することができる。
【0075】
上述の実施の形態では、第1受信部から基準クロック信号を送信して各受信部での時刻を同期させる構成であったが、これに限定されるものではなく、GPS等を含むGNSS(Global Navigation Satellite System)衛星が送信する信号を各受信部で受信し、受信した信号から基準発振周波数(例えば、約10MHz)の信号を抽出し、抽出した基準発振周波数の信号に基づいて、基準クロック信号の周期(周波数)を調整し、各受信部の時刻を同期させることもできる。
【0076】
上述の実施の形態において、車載機が送信する信号の波形は、矩形波形に限定されるものではなく、正弦波形であってもよい。この場合、各受信部は、位相検出器(不図示)を備え、車載機が送信した信号を受信し、受信した信号を位相検出器へ出力する。位相検出器は、各信号の位相差を検出し、これにより、簡便な構成で信号の到達時間差ΔTを算出することができる。
【0077】
上述の実施の形態では、車載機が信号を変調して送信し、各受信部では復調して元の信号を抽出し、信号の到達時間差を算出する構成であったが、これに限定されるものではなく、車載機で、信号を直交周波数多重方式の周波数が異なる搬送波に割り当て、信号が割り当てられた搬送波を送信する。例えば、送信する信号に逆フーリエ変換して周波数の異なる少なくとも1つのサブキャリア(搬送波)に変換し、変換した信号をDA変換して車載機から路側機へ送信する。路側機の各受信部は、送信された搬送波をAD変換し、変換後の信号をレプリカ信号とパターンマッチングすることで相関を求めて信号の到達時間差を算出することができる。これにより、他の帯域における通信との干渉を少なくしつつ周波数帯の利用効率を向上させることができる。
【0078】
上述の実施の形態では、路側機に各受信部を含む構成であったが、各受信部を別個の受信装置として構成することもできる。また、路側機の送信部は、各受信部のいずれかに統合させることもできる。
【0079】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る車両速度検知システムの概要を示す模式図である。
【図2】本発明に係る車両速度検知システムの構成を示すブロック図である。
【図3】信号の到達時間差の算出例を示す説明図である。
【図4】信号の到達時間差に基づいて車載機の位置の特定方法の概念を示す説明図である。
【図5】道路形状情報の構造を示す説明図である。
【図6】車両の通過地点からの走行履歴に基づいて車載機の位置の特定方法の概念を示す説明図である。
【図7】信号に含まれるデータ構造の例を示す説明図である。
【図8】信号の受信時点を求める例を示す説明図である。
【図9】車両の速度を検知する方法を示す説明図である。
【図10】車両の速度を検知する方法を示す説明図である。
【図11】路側機の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0081】
10 光ビーコン
20 路側機
21 第1受信部
22 第2受信部
23 送信部
24 制御部
25 記憶部
30 車載機
31 第1通信部
32 第2通信部
33 制御部
34 記憶部
35 表示部
36 操作部
37 GPS受信部
38 センサ部
39 ナビゲーション部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機と、該車載機が送信した所定の周波数帯の信号を受信する2つ以上の受信部を有する路側機とを備える車両速度検知システムにおいて、
前記路側機は、
各受信部の受信地点情報及び道路形状に関する道路形状情報を記憶するための記憶手段と、
車載機の位置情報を生成する位置情報生成手段と、
各受信部で受信した信号の周波数を検出する周波数検出手段と、
前記受信地点情報、道路形状情報、車載機の位置情報及び前記周波数検出手段で検出した周波数に基づいて車両の速度を検知する速度検知手段と
を備えることを特徴とする車両速度検知システム。
【請求項2】
前記路側機は、
車載機が送信した信号の各受信部への到達時間差を算出する到達時間差算出手段を備え、
前記位置情報生成手段は、
前記到達時間差算出手段で算出した到達時間差、各受信地点情報及び道路形状情報に基づいて、車載機の位置情報を生成するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の車両速度検知システム。
【請求項3】
前記路側機は、
前記位置情報生成手段で生成した位置情報及び前記道路形状情報に基づいて、車載機の走行方向を算出する走行方向算出手段と、
前記走行方向算出手段で算出した走行方向と車載機から前記受信部への方向とのなす角度を算出する角度算出手段と
を備え、
前記速度検知手段は、
前記角度算出手段で算出した角度に基づいて、車両の速度を検知するように構成してあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両速度検知システム。
【請求項4】
前記車載機は、
搭載位置の高さ情報を信号に含めて送信するように構成してあり、
前記路側機は、
前記高さ情報を受信するように構成してあり、
前記速度検知手段は、
前記高さ情報に基づいて、車両の速度を検知するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の車両速度検知システム。
【請求項5】
前記車載機は、
個別の識別情報を信号に含めて送信するように構成してあり、
前記路側機は、
前記識別情報を受信するように構成してあり、
前記速度検知手段は、
同一識別情報の信号の周波数に基づいて、車両の速度を検知するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の車両速度検知システム。
【請求項6】
前記車載機は、
車両が所定の領域内に存在する場合のみ有効な識別情報を取得する識別情報取得手段を備え、
該識別情報取得手段で取得した識別情報を信号に含めて送信するようにしてあることを特徴とする請求項5に記載の車両速度検知システム。
【請求項7】
車両が所定の領域内に存在することを感知する感知機を備え、
該感知機は、
車両が所定の領域内に存在する場合のみ有効な識別情報を車載機へ送信する送信手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の車両速度検知システム。
【請求項8】
前記感知機は、
車両が前記領域外へ移動した場合、又は車両を感知した後所定時間が経過した場合、前記識別情報を無効にする無効手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の車両速度検知システム。
【請求項9】
前記車載機は、
車両が停止していることを示す停止情報を信号に含めて送信するように構成してあり、
前記路側機は、
前記停止情報を受信するように構成してあり、
各受信部で受信時点を計時する計時手段と、
前記停止情報を受信した場合、車載機の位置情報及び信号の各受信部への到達時間差に基づいて、各計時手段での計時を同期させる同期手段と
を備えることを特徴とする請求項2乃至請求項8のいずれか1つに記載の車両速度検知システム。
【請求項10】
所定の周波数帯の信号を受信する2つ以上の受信部を備え、受信した信号に基づいて車両の速度を検知する速度検知装置において、
各受信部の受信地点情報及び道路形状に関する道路形状情報を記憶するための記憶手段と、
信号を送信した車載機の位置情報を生成する位置情報生成手段と、
各受信部で受信した信号の周波数を検出する周波数検出手段と、
前記受信地点情報、道路形状情報、車載機の位置情報及び前記周波数検出手段で検出した周波数に基づいて車両の速度を検知する速度検知手段と
を備えることを特徴とする速度検知装置。
【請求項11】
所定の周波数帯の信号を送信する車載機において、
搭載位置の高さ情報、個別の識別情報及び車両が停止していることを示す停止情報の少なくとも1つを信号に含めて送信するように構成してあることを特徴とする車載機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−52962(P2009−52962A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218581(P2007−218581)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】