説明

車体プラグ

車体の穴をシールするためのプラグ(10)は中央の閉鎖部分(12)と、リム上に配置され、車体部分を受け入れるために設けられた係合部分(14)とを有し、閉鎖部分(12)及び係合部分(14)はプラスチック材料で作られ、係合部分(14)のプラスチック材料は閉鎖部分(12)のプラスチック材料よりも柔らかい。係合部分(14)のプラスチック材料は、係合部分(14)と係合部分により受け入れられた車体部分との間に緊密な接続が生じるように、熱により軟化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中央の閉鎖部分と、リム上に配置され、車体の部分を受け入れるために設けられた係合部分とを有する、車体の穴をシールするためのプラグに関する。
【背景技術】
【0002】
この形式の車体プラグはよく知られている。プラグは、車体に設けられて車体を製造するのに必要な穴を湿気及び腐食から保護するためのものである。しかし、既知のプラグは穴の恒久的で完全なシールを許容しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに比べ、本発明は、低コストで製造でき、設置が容易であり、異なる板厚及び穴の種々のカラー高さを有する金属シートの縁部の完全なシールを可能にする車体プラグを提供する。更に、本発明に係る車体プラグは車体の塗装後のみならず塗装前にも適用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この目的のため、中央の閉鎖部分と、リム上に配置され、車体の部分を受け入れるために設けられた係合部分とを有する、車体の穴をシールするためのプラグが提供され、閉鎖部分及び係合部分はプラスチック材料で作られ、係合部分のプラスチック材料は閉鎖部分のプラスチック材料よりも柔らかく、係合部分のプラスチック材料は、係合部分と係合部分により受け入れられた車体の部分との間に緊密な接続が生じるように、熱により軟化するようになっている。
【0005】
本発明の有利な更なる発展は従属の特許請求の範囲から明らかとなろう。
好ましくは、本発明に係る車体プラグは、下塗りを備え、後に塗装を施され、塗料乾燥設備を通して搬送される車体に装着される。塗料乾燥設備内に存在する温度により、プラグは、軟化のため及び好ましくは穴の縁部のまわりでの柔軟な係合部分の流れのため、両側で穴をシールする。塗装後に適用する場合は、係合部分に設けたシールリップ部上に閉鎖部分により両側から加えられる接触圧力が、係合部分を金属シート上で溶融することなく、信頼あるシールを保証する。
【0006】
従って、本発明は車体の穴の金属シートの縁部の完全で恒久的なシールを保証し、これが腐食に対する保護となる。
本発明の更なる利点は添付図面に関連しての好ましい実施の形態の以下の説明から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図面に示すプラグ10は中央の閉鎖部分12と、リム上に配置され、例えば金属シートの穴の縁部又はカラーのような車体部分を受け入れるために設けられた係合部分14とを有する。
【0008】
ここでは実質上中空の円筒形状である閉鎖部分12は例えば約55ショアDの範囲の硬さを有するポリエステル・エステルエラストマーのような比較的硬質のプラスチック材料(例えば、オランダ国のDSM社から入手できるArnitel)でできている。中空円筒状の閉鎖部分12の一端16は底部により閉じられる。他端18は開いており、閉じた端部16の方へ外方に屈曲し、リムの区域に谷部20を形成する。閉鎖部分12の底部には、好ましくは、中空円筒体内へ向かう中央に位置する突出部22が形成され、この突出部はプラグの機械的な強度及びそれを装着する能力を改善する。
【0009】
リムの区域の谷部20に挿入される係合部分14は2つの対向する側壁28、32を備えた実質上U字又はV字状の横断面を有し、閉鎖部分12のプラスチック材料よりも柔らかいプラスチック材料で作られる。約85ショアA程度の硬さを有する熱可塑性のゴム(例えば、ベルギー国のアドバンスト・エラストマー・システムズ社(Advanced Elastomer Systems)から入手できるSantoprene)は、例えば係合部分14のプラスチック材料として使用できる。係合部分14のプラスチック材料は好ましくは約150ないし200℃の融点温度を有する。これは、使用される塗料乾燥設備内に存在する温度により、プラスチック材料が係合部分に受け入れられた金属シートの縁部の区域において溶融することを保証し、車体の穴の信頼あるシールを達成させる。
【0010】
この場合、係合区域14は別個のインサート片の形として製造され、閉鎖部分12のリムの区域の谷部20内に挿入される。中空円筒状の閉鎖部分12はその外表面に取り巻きくぼみ即ち円周方向くぼみ24を有し;係合部分14の対応する突起即ち隆起部26がこのくぼみに係合する。これにより、相互係止嵌合の形をした接続が係合部分14と閉鎖部分12との間に生じる。しかし、係合部分は接着により閉鎖部分14に結合することもできる。更に、射出成形工具内で閉鎖部分12と一体的に係合部分14をモールド成形することができ、これによっても、強固な接着接続を達成することができる。
【0011】
閉鎖部分12に当接するその側壁28において、係合部分14は更に横方向に突出する取り巻きシールリップ部30を有し、このシールリップ部は、車体の穴内へのプラグ10の設置後に、金属シートの穴の縁部とのラッチ接続を形成する。係合部分14の第1の側壁28とは反対側に位置する側壁32は閉鎖部分12のリムを越えて延び、それ故、別のシールリップ部34を形成し、このシールリップ部は、使用時に、金属シートの穴の縁部の反対側に係合する。そうすることにより、閉鎖部分12は弾性に変形する態様で圧力を発生させ、そのため、車体の穴の金属シートの縁部に対して両側からシールリップ部30、34を押圧する。このようにして、車体プラグ10が車体の塗装後に装着された場合でさえ、金属シートの穴の縁部の区域での係合部分14の溶融を発生させることなく、信頼あるシールが保証される。
【0012】
本発明に係る車体プラグ10を適用するため、プラグは下塗り(プライミングペイント)を有する車体の穴内に設置される。続いて、車体は塗装され、塗料乾燥設備を通して搬送される。塗料乾燥設備内に存在する高温及び硬質の閉鎖部分12の接触圧力により、柔軟なプラスチック材料でできた係合部分14は両側から金属シートの穴の縁部に対して押し付けられ、この区域で溶融する。これにより、車体の穴は信頼を持ってシールされ;同時に、金属シートの不均一な部分はある程度まで平坦化することができる。塗装された車体及びプラグ10の冷却後並びにこれに関連する柔軟なプラスチック材料の固化後、金属シートの穴の縁部は完全に恒久的にシールされる。この種のシールのため、車体プラグはまた金属シートの穴における種々のカラー高さ及び異なる板厚に対して使用することができる。この場合もまた、湿気及び腐食に対する恒久的な保護が保証される。
【0013】
プラグ10がいかなる加熱をも生じていない状態で車体の塗装後に適用された場合、金属シートの穴の縁部のシールは硬質の閉鎖部分12により柔軟な係合部分14上に加えられる接触圧力によってのみ達成される。従って、本発明は塗装の前及び後に車体の金属シートの穴の縁部の両面シールを許容する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る車体プラグの斜視図である。
【図2】図1の本発明に係る車体プラグの断面図である。
【図3】図2の詳部を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の穴をシールするためのプラグ(10)において、
中央の閉鎖部分(12)と、リム上に配置され、車体部分を受け入れるために設けられた係合部分(14)とを有し、上記閉鎖部分(12)及び上記係合部分(14)がプラスチック材料で作られ、当該係合部分(14)のプラスチック材料が上記閉鎖部分(12)のプラスチック材料よりも柔らかく、該係合部分(14)のプラスチック材料は、該係合部分(14)と同係合部分により受け入れられた上記車体部分との間に緊密な接続が生じるように、熱により軟化するようになっていることを特徴とするプラグ。
【請求項2】
上記係合部分(14)が上記閉鎖部分(12)のリム側の谷部(20)内に挿入されることを特徴とする請求項1に記載のプラグ。
【請求項3】
上記閉鎖部分(12)及び上記係合部分(14)が相互係止嵌合により互いに接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラグ。
【請求項4】
上記閉鎖部分(12)及び上記係合部分(14)が接着剤により互いに結合されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のプラグ。
【請求項5】
上記係合部分(14)の軟化が150ないし200℃の温度で遂行されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のプラグ。
【請求項6】
上記係合部分(14)が上記車体部分とのラッチ接続を形成する取り巻きシールリップ部(30)を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のプラグ。
【請求項7】
上記閉鎖部分(12)が弾性的に変形する態様で上記車体部分に対して上記係合部分(14)を押し付けることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のプラグ。
【請求項8】
上記閉鎖部分(12)が閉じた端部(16)及び開いた端部(18)を備えた中空円筒形状となるように形成され、上記開いた端部(18)が上記閉じた端部(16)の方へ外方に屈曲して、リム側に上記谷部(20)を形成することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のプラグ。
【請求項9】
上記中空円筒形状の閉鎖部分(12)がその外表面に取り巻きくぼみ(24)を有し、上記係合部分(14)が相互係止嵌合を形成するように上記くぼみ(24)に係合することを特徴とする請求項8に記載のプラグ。
【請求項10】
上記係合部分(14)が互いに対向して位置する2つの第1及び第2の側表面(28、32)を有し、同第1の側表面(28)が上記中空円筒形状の閉鎖部分(12)の外表面に対して当接し、上記第2の反対側の側表面(32)が当該閉鎖部分(12)の上記リムを越えて延びることを特徴とする請求項7又は8に記載のプラグ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の穴をシールするためのプラグ(10)であって、中央の閉鎖部分(12)と、リム上に配置され、車体の部分を受け入れるために設けられた係合部分(14)とを有し、上記閉鎖部分(12)及び上記係合部分(14)がプラスチック材料で作られ、当該係合部分(14)のプラスチック材料が上記閉鎖部分(12)のプラスチック材料よりも柔らかく、該係合部分(14)のプラスチック材料は、該係合部分(14)と同係合部分により受け入れられた上記車体の部分との間に緊密な接続が生じるように、熱により軟化するようになっており、該係合部分が上記車体の穴の縁部に対してラッチ接続を形成する取り巻きシールリップ部(30)と、当該車体の上記穴の上記縁部の反対側に係合する別のシールリップ部(34)とを有するようなプラグにおいて、
上記係合部分(14)が上記閉鎖部分(12)のリム側の谷部(20)内に挿入されていることを特徴とするプラグ。
【請求項2】
上記閉鎖部分(12)及び上記係合部分(14)が相互係止嵌合により互いに接続されることを特徴とする請求項1に記載のプラグ。
【請求項3】
上記閉鎖部分(12)及び上記係合部分(14)が接着剤により互いに結合されることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラグ。
【請求項4】
上記係合部分(14)の軟化が150ないし200℃の温度で遂行されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のプラグ。
【請求項5】
上記閉鎖部分(12)が弾性的に変形する態様で上記車体の部分に対して上記係合部分(14)を押し付けることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のプラグ。
【請求項6】
上記閉鎖部分(12)が閉じた端部(16)及び開いた端部(18)を備えた中空円筒形状となるように形成され、上記開いた端部(18)が上記閉じた端部(16)の方へ外方に屈曲して、リム側に上記谷部(20)を形成することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のプラグ。
【請求項7】
上記中空円筒形状の閉鎖部分(12)がその外表面に取り巻きくぼみ(24)を有し、上記係合部分(14)が相互係止嵌合を形成するように上記くぼみ(24)に係合することを特徴とする請求項6に記載のプラグ。
【請求項8】
上記係合部分(14)が互いに対向して位置する2つの第1及び第2の側表面(28、32)を有し、同第1の側表面(28)が上記中空円筒形状の閉鎖部分(12)の外表面に対して当接し、上記第2の反対側の側表面(32)が当該閉鎖部分(12)の上記リムを越えて延びることを特徴とする請求項6又は7に記載のプラグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−521514(P2006−521514A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504844(P2006−504844)
【出願日】平成16年3月24日(2004.3.24)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003123
【国際公開番号】WO2004/085231
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(500408588)ティーアールダブリュー・オートモーティブ・エレクトロニクス・アンド・コンポーネンツ・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト (11)
【Fターム(参考)】