説明

車体底部の突起物の検知方法及び検知装置

【課題】車両の泥除け等、設定された車両最低地上高を下回るが入庫に何ら支障を生じない突起物の判別を、正確かつ迅速に行う。
【解決手段】突起物検知センサ36による検知信号S36が、車輪38の検知による一度目のON(ON1)となり、続いて、車輪検知センサ34の検知信号がOFFとなった後、突起物検知センサ36による検知信号S36が、一時的にOFF、二度目のON(ON2)、再度のOFFの順序で検知されたとき、突起物検知センサ36の検知信号S36の最初のON時間t1を、突起物検知センサ36の検知信号の一時的なOFF時間t2、及び、二度目のON時間t3の双方と比較する。この比較結果に基づき、一時的にOFFとなる検知信号が車輪38と泥除け46との隙間によるものであり、かつ、二度目のONとなる検知信号が、泥除け46を検知したことによるものであると判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体底部の突起物の検知方法及び検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、収容効率に優れた機械式駐車装置が、公共施設、商業施設、集合住宅等に広く設置されている。また、特に多くの収容台数を有する駐車装置においては、駐車室毎に、入庫可能な車両の形態(セダン等の一般的乗用車、または、ワンボックス車、RV車等のワイドかつハイルーフ車等)を限定する、いわゆる入庫区分を設定し、車両形態毎に広さの異なる駐車室を割り当てている。例えば、セダン等の乗用車と、ワンボックス車、RV車等のハイフーフ車とで入庫区分を分けると共に、何れにも当てはまらない大型車や改造車に対しては、いわゆる平置きの駐車スペースを割り当てている。
【0003】
このような入庫区分を設定した機械式駐車装置の場合には、車両入場口で、車両の形態を判別する必要がある。この判別作業において、従来は、車種、形状等から駐車場係員が判断して、適合するユニット若しくは駐車室を選択し、車両の進路を誘導指示していた。
しかしながら、従来のように駐車場係員に車両の判別を任せる手法は、機械式駐車装置を運転する際の無人化(少人数化)を促進する際の妨げとなり、かつ、係員の判断ミスを誘発するおそれもあった。また、キャリヤ等の付属物を装着した車両については、駐車室の選択が難しい等、機械式駐車装置の運用効率を悪化させることとなった。かかる問題を解決すべく、本出願人は、車種判別エリアを通過する車両の車種を、正確かつ迅速に判別することが可能な、車種判別装置を開発している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特許第3116213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、機械式駐車装置は、駐車室等の構造上入庫可能な車両の、最低地上高が定められている。したがって、上記従来の車種判別装置においても、車体底部に定められた最低地上高を下回る突起物を検知する、最低地上高センサが設けられている。しかしながら、車輪の後方近傍に設けられた泥除け等、定められた車両最低地上高を下回っても入庫に何ら支障を生じない突起物と、それ以外の、実際に入庫に支障を来たす突起物との判別が困難であり、駐車の可否の判断を、最終的に駐車場係員が行うことが必要な場合もあった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両の泥除け等、設定された車両最低地上高を下回るが入庫に何ら支障を生じない突起物と、それ以外の、実際に入庫に支障を来たす突起物との判別を、正確かつ迅速に行うことを可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための、請求項1に係る車体底部の突起物の検知方法は、検知エリアを通過する車両の、車体底部の突起物を検知する方法であって、地表面近傍に車輪検知センサを配置すると共に、該車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサを、前記車輪検知センサの直上若しくはその近傍に配置し、前記車輪検知センサの検知信号がONとなっている最中に、前記突起物検知センサの検知信号が一度目のONとなり、続いて、前記車輪検知センサの検知信号がOFFとなり、かつ、前記突起物検知センサの検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知されたとき、前記突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間を、前記突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間、及び、二度目のON時間の双方と比較することにより、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を検知することを特徴とするものである。
【0007】
車両の泥除けは、車輪の後方近傍すなわち車輪との干渉を防ぎ得る最小限の隙間を空けて固定されており(換言すれば、車輪近傍の存在が大前提となっており)、この点において、車輪との距離がより遠くなる他の突起物と異なっている。又、車両の泥除けの厚みは車輪の前後方向の幅より薄いものである。本発明はかかる泥除けの特徴部分に着目したものである。
そして、地表面近傍に車輪検知センサを配置すると共に、車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサを、前記車輪検知センサの直上若しくはその近傍に配置する。
かかる二つのセンサの配置において、突起物検知センサによる検知信号が、車輪の検知による一度目のONとなり、続いて、車輪検知センサの検知信号がOFFとなった後、突起物検知センサによる検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知されたとき、一時的にOFFとなる検知信号が車輪と泥除けとの隙間によるものであり、かつ、二度目のONとなる検知信号が、泥除けを検知したことによるものであると判断し得るものとなる。一方、二度目のONとなる検知信号が、車輪の後方に突出する、泥除け以外の突起物によるものである場合も考えられる。
そこで、泥除けの検知精度を更に高めるため、突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間すなわち突起物検知センサの高さにおける車輪の検知時間を、車輪と泥除けとの隙間に起因する可能性がある、突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間、及び、泥除けの検知に起因する可能性がある、二度目のON時間の双方と比較することにより、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を検知することが可能となる。
【0008】
なお、突起物検知センサを車輪検知センサの車両進行方向前方、かつ、両方のセンサ中心を、想定される最小半径の車輪を両方のセンサが同時に検知開始可能な範囲内で離間させて配置することとすれば、両センサに透過型光電センサを用いた場合に、相互に誤検知の発生を防止することができる。換言すれば、両センサを上記のごとく離間させて配置することにより、車輪検知センサと前記突起物検知センサの誤検知防止対策を施すものである。
【0009】
一方、地表面近傍に車輪検知センサを配置すると共に、車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサを、前記車輪検知センサの直上若しくはその最近傍に配置し、かつ、前記車輪検知センサと前記突起物検知センサの誤検知防止対策を施すこととしてもよい。
なお、かかる場合の誤検知防止対策として、例えば、各センサの発光部及び受光部に、光の射出方向を制限するフィルタを設ける手法が挙げられる。又、一方のセンサ発光部を設けた側には、他方のセンサの受光部を設ける(すなわち、各センサの発光部と受光部との配置を、各センサで逆にする)といった手法も考えられる。
【0010】
又、請求項2に係る発明は、請求項1記載の車体底部の突起物の検知方法において、前記突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間で、前記突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間を除した値、及び、前記突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間で、前記突起物検知センサの検知信号の二度目のON時間を除した値が、何れも所定値未満であるときにのみ、車輪の後方近傍に泥除けが設けられていると判別することが望ましい。
【0011】
本発明によれば、突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間すなわち突起物検知センサの高さにおける車輪の検知時間で、車輪と泥除けとの隙間に起因する可能性がある、突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間を除した値により、車輪及び隙間の、車両前後方向の相対的な長さが把握される。そして、かかる値が所定値未満であるとき、車輪と泥除けとの隙間であると判断することができる。又、突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間すなわち突起物検知センサの高さにおける車輪の検知時間で、泥除けの検知に起因する可能性がある、二度目のON時間を除した値により、車輪及び突起物の、車両前後方向の相対的な長さが把握される。そして、かかる値が所定値未満であるとき、突起物が泥除けであると判断することができる。よって、上記二つの値が何れも所定値未満であれば、車輪の後方近傍に泥除けが設けられていると判別することが可能となる。
【0012】
又、請求項3に係る発明は、請求項2記載の車体底部の突起物の検知方法において、前記検知エリアに車体長さの検知手段を設け、前記車輪検知センサ及び前記突起物検知センサによる検知を車体長さの検知中に行い、この間、一度でも前記条件を満たさなかった場合に、泥除け以外の突起物が存在すると判別することが望ましい。
【0013】
本発明によれば、車輪検知センサ及び突起物検知センサによる検知を車体長さの検知中に行い、この間、車輪検知センサの検知信号がOFFであるときに、突起物検知センサの検知信号がONとなった場合には、車輪の存在と無関係に突起物が検知されたことになるので、泥除け以外の突起物が存在すると判断することができる。
一方、車輪検知センサの検知信号がONとなっている最中に、突起物検知センサの検知信号がONとなった場合であっても、車輪検知センサの検知信号がOFFとなった後、突起物検知センサの検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの検知パターンが得られなかった場合には、泥除けに起因する検知パターンではないことから、泥除け以外の突起物が存在すると判別することができる。
更に、突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間すなわち突起物検知センサの高さにおける車輪の検知時間を、車輪と泥除けとの隙間に起因する可能性がある、突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間、及び、泥除けの検知に起因する可能性がある、二度目のON時間の双方と比較した結果が、所定の条件を満たさない場合も、泥除け以外の突起物が存在すると判別することができる。
【0014】
又、上記課題を解決するための、請求項4に係る車体底部の突起物の検知方法は、検知エリアを通過する車両の、車体底部の突起物を検知する方法であって、地表面近傍に車輪検知センサを配置すると共に、該車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサを、前記車輪検知センサの直上若しくはその近傍に配置し、更に、車体長さの検知手段を設け、前記車輪検知センサの検知信号がONとなっている最中に、前記突起物検知センサの検知信号が一度目のONとなり、続いて、前記車輪検知センサの検知信号がOFFとなり、かつ、前記突起物検知センサの検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知されたとき、前記車体長さの検知手段により得られる車体長さ及び車体の検知時間から算出した車両の速度を、前記突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間、及び、二度目のON時間の双方に乗じて得られる長さの値が、何れも所定値未満の場合に、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を検知することを特徴とする車体底部の突起物の検知方法ものである。
【0015】
本発明によれば、車両の泥除けは、車輪の後方近傍すなわち車輪との干渉を防ぎ得る最小限の隙間を空けて固定されており(換言すれば、車輪近傍の存在が大前提となっており)、この点において、車輪との距離がより遠くなる他の突起物と異なっている。又、車両の泥除けの厚みは車輪の前後方向の幅より薄いものである。本発明はかかる泥除けの特徴部分に着目したものである。
そして、地表面近傍に車輪検知センサを配置すると共に、車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサを、前記車輪検知センサの直上若しくはその近傍に配置する。
かかる二つのセンサの配置において、突起物検知センサによる検知信号が、車輪の検知による一度目のONとなり、続いて、車輪検知センサの検知信号がOFFとなった後、突起物検知センサによる検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知されたとき、一時的にOFFとなる検知信号が車輪と泥除けとの隙間によるものであり、かつ、二度目のONとなる検知信号が、泥除けを検知したことによるものであると判断し得るものとなる。一方、二度目のONとなる検知信号が、車輪の後方に突出する、泥除け以外の突起物によるものである場合も考えられる。
そこで、泥除けの検知精度を更に高めるため、車体長さの検知手段により得られる車体長さ及び車体の検知時間から算出した車両の速度を、車輪と泥除けとの隙間に起因する可能性がある、突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間、及び、二度目のON時間の双方に乗じて得られる長さの値が、何れも所定値未満の場合に、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を検知するものである。
【0016】
なお、突起物検知センサを車輪検知センサの車両進行方向前方、かつ、両方のセンサ中心を、想定される最小半径の車輪を両方のセンサが同時に検知開始可能な範囲内で離間させて配置することとすれば、両センサに透過型光電センサを用いた場合に、相互に誤検知の発生を防止することができる。換言すれば、両センサを上記のごとく離間させて配置することにより、車輪検知センサと前記突起物検知センサの誤検知防止対策を施すものである。
【0017】
一方、地表面近傍に車輪検知センサを配置すると共に、車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサを、前記車輪検知センサの直上若しくはその最近傍に配置し、かつ、前記車輪検知センサと前記突起物検知センサの誤検知防止対策を施すこととしてもよい。
なお、かかる場合の誤検知防止対策として、例えば、各センサの発光部及び受光部に、光の射出方向を制限するフィルタを設ける手法が挙げられる。又、一方のセンサ発光部を設けた側には、他方のセンサの受光部を設ける(すなわち、各センサの発光部と受光部との配置を、各センサで逆にする)といった手法も考えられる。
【0018】
又、請求項5に係る発明は、請求項4記載の車体底部の突起物の検知方法において、前記車輪検知センサの検知信号がONとなっている最中に、前記突起物検知センサの検知信号が一度目のONとなり、続いて、前記車輪検知センサの検知信号がOFFとなり、かつ、前記突起物検知センサの検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知される検知パターンが、前記車輪検知センサによる後輪検知がなされるまでの間に、1回若しくは2回満たされた場合に、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を検知するものである。
【0019】
機械式駐車装置に入庫可能な車両は、前輪、後輪共に一軸の車両であり、上記検知パターンは、前輪に係る検知パターンと後輪に係る検知パターンとで、車両一台当り2回の検知となる。よって、本発明によれば、上記検知パターンが、前記車輪検知センサによる後輪検知がなされるまでの間に、3回以上なされた場合には、たとえ各回毎の検知パターン自体に異常が無いような場合であっても、前後車輪と各車輪の近傍に設けられた以外の突起物が存在すると判別することができる。
【0020】
又、上記課題を解決するための、請求項6に係る発明は、検知エリアを通過する車両の、車体底部の突起物を検知する方法であって、地表面近傍に車輪検知センサを配置すると共に、該車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサを配置し、前記車輪検知センサの検知信号がONとなっている最中に、前記突起物検知センサの検知信号が一度目のONとなり、続いて、前記車輪検知センサの検知信号がOFFとなり、かつ、前記突起物検知センサの検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知されたとき、前記突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間、前記突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間、及び、二度目のON時間のうち、少なくとも2つ以上の時間を基に、車輪後方の突起物及び該突起物と車輪の間の隙間の、相対的又は絶対的な長さを求め、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を検知することを特徴とするものである。
【0021】
本発明では、車両の泥除けは、車輪の後方近傍すなわち車輪との干渉を防ぎ得る最小限の隙間を空けて固定されており、この点において、車輪との距離がより遠くなる他の突起物と異なっている。又、車両の泥除けの厚みは車輪の前後方向の幅より薄いものである。本発明はかかる泥除けの特徴部分に着目したものである。
そして、地表面近傍に車輪検知センサを配置すると共に、車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサを配置し、突起物検知センサによる検知信号が、車輪の検知による一度目のONとなり、続いて、車輪検知センサの検知信号がOFFとなった後、突起物検知センサによる検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知されたとき、一時的にOFFとなる検知信号が車輪と泥除けとの隙間によるものであり、かつ、二度目のONとなる検知信号が、泥除けを検知したことによるものであると判断し得るものとなる。一方、二度目のONとなる検知信号が、車輪の後方に突出する、泥除け以外の突起物によるものである場合も考えられる。
そこで、突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間、突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間、及び、二度目のON時間のうち、少なくとも2つ以上の時間を基に、車輪後方の突起物及び該突起物と車輪の間の隙間の、相対的又は絶対的な長さを求めることにより、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を検知するものである。
【0022】
又、上記課題を解決するための、請求項7に係る車体底部の突起物の検知装置は、検知エリアを通過する車両の、車体底部の突起物を検知する装置であって、地表面近傍に配置された車輪検知センサと、該車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサとを備え、該突起物検知センサは、前記車輪検知センサの直上若しくはその近傍に配置され、更に、前記車輪検知センサの検知信号がONとなっている最中に、前記突起物検知センサの検知信号が一度目のONとなり、続いて、前記車輪検知センサの検知信号がOFFとなった後、前記突起物検知センサの検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知されたとき、前記突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間を、前記突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間、及び、二度目のON時間の双方と比較することにより、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を判別する処理ロジックを含む判別出段を備えることを特徴とするものである。
【0023】
車両の泥除けは、車輪の後方近傍すなわち車輪との干渉を防ぎ得る最小限の隙間を空けて固定されており(換言すれば、車輪近傍の存在が大前提となっており)、この点において、車輪との距離がより遠くなる他の突起物と異なっている。又、車両の泥除けの厚みは車輪の前後方向の幅より薄いものである。本発明はかかる泥除けの特徴部分に着目したものである。
そして、地表面近傍に車輪検知センサを配置すると共に、車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサを、前記車輪検知センサの直上若しくはその近傍に配置する。
かかる二つのセンサの配置において、突起物検知センサによる検知信号が、車輪の検知による一度目のONとなり、続いて、車輪検知センサの検知信号がOFFとなった後、突起物検知センサによる検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知されたとき、一時的にOFFとなる検知信号が車輪と泥除けとの隙間によるものであり、かつ、二度目のONとなる検知信号が、泥除けを検知したことによるものであると判断し得るものとなる。一方、二度目のONとなる検知信号が、車輪の後方に突出する、泥除け以外の突起物によるものである場合も考えられる。
そこで、判別出段では、泥除けの検知制度を更に高めるため、突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間すなわち突起物検知センサの高さにおける車輪の検知時間を、車輪と泥除けとの隙間に起因する可能性がある、突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間、及び、泥除けの検知に起因する可能性がある、二度目のON時間の双方と比較することにより、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を検知することが可能となる。
【0024】
なお、突起物検知センサを車輪検知センサの車両進行方向前方、かつ、両方のセンサ中心を、想定される最小半径の車輪を両方のセンサが同時に検知開始可能な範囲内で離間させて配置することとすれば、両センサに透過型光電センサを用いた場合に、相互に誤検知の発生を防止することができる。換言すれば、両センサを上記のごとく離間させて配置することにより、車輪検知センサと前記突起物検知センサの誤検知防止対策を施すものである。
【0025】
一方、地表面近傍に車輪検知センサが配置されると共に、車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサが、前記車輪検知センサの直上若しくはその最近傍に配置され、かつ、前記車輪検知センサと前記突起物検知センサの誤検知防止対策が施されることとしてもよい。
なお、かかる場合の誤検知防止対策として、例えば、各センサの発光部及び受光部に、光の射出方向を制限するフィルタを設ける手法が挙げられる。又、一方のセンサ発光部を設けた側には、他方のセンサの受光部を設ける(すなわち、各センサの発光部と受光部との配置を逆にする)といった手法も考えられる。
【0026】
又、請求項8に係る発明は、請求項7記載の車体底部の突起物の検知装置において、前記判別手段には、前記突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間で、前記突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間を除した値、及び、前記突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間で、前記突起物検知センサの検知信号の二度目のON時間を除した値が、何れも所定値未満であるときにのみ、車輪の後方近傍に泥除けが設けられていると判別する処理ロジックが含まれることが望ましい。
【0027】
本発明によれば、判別手段において、突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間すなわち突起物検知センサの高さにおける車輪の検知時間で、車輪と泥除けとの隙間に起因する可能性がある、突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間を除した値により、車輪と隙間との、車両前後方向の相対的な長さが把握される。そして、かかる値が所定値未満であるとき、車輪と泥除けとの隙間であると判断することができる。又、突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間すなわち突起物検知センサの高さにおける車輪の検知時間で、泥除けの検知に起因する可能性がある、二度目のON時間を除した値により、車輪と突起物との、車両前後方向の相対的な長さが把握される。そして、かかる値が所定値未満であるとき、突起物が泥除けであると判断することができる。よって、上記二つの値が何れも所定値未満であれば、車輪の後方近傍に泥除けが設けられていると判別することが可能となる。
【0028】
又、請求項9に係る発明は、請求項8記載の車体底部の突起物の検知装置において、前記検知エリアには車体長さの検知手段が設けられており、前記判別手段には、車体長さの検知中に、前記車輪検知センサ及び前記突起物検知センサによる検知結果が、一度でも前記条件を満たさなかった場合に、泥除け以外の突起物が存在すると判別する制御ロジックが含まれることが望ましい。
【0029】
本発明によれば、車輪検知センサ及び突起物検知センサによる検知を車体長さの検知中に行い、この間、車輪検知センサの検知信号がOFFであるときに、突起物検知センサの検知信号がONとなった場合には、車輪の存在と無関係に突起物が検知されたことになるので、判別手段において、泥除け以外の突起物が存在すると判断することができる。
一方、車輪検知センサの検知信号がONとなっている最中に、突起物検知センサの検知信号がONとなった場合であっても、車輪検知センサの検知信号がOFFとなった後、突起物検知センサの検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの検知パターンが得られなかった場合には、泥除けに起因する検知パターンではないことから、判別手段において、泥除け以外の突起物が存在すると判別することができる。
更に、突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間すなわち突起物検知センサの高さにおける車輪の検知時間を、車輪と泥除けとの隙間に起因する可能性がある、突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間、及び、泥除けの検知に起因する可能性がある、二度目のON時間の双方と比較した結果が、所定の条件を満たさない場合も、泥除け以外の突起物が存在すると判別することができる。
【0030】
又、上記課題を解決するための、請求項10に係る車体底部の突起物の検知装置は、検知エリアを通過する車両の、車体底部の突起物を検知する装置であって、地表面近傍に配置された車輪検知センサと、該車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサとを備え、該突起物検知センサは、前記車輪検知センサの直上若しくはその近傍に配置され、更に、前記車輪検知センサの検知信号がONとなっている最中に、前記突起物検知センサの検知信号が一度目のONとなり、続いて、前記車輪検知センサの検知信号がOFFとなり、かつ、前記突起物検知センサの検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知されたとき、前記車体長さの検知手段により得られる車体長さ及び車体の検知時間から、車両の速度を算出し、該車両の速度を前記突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間、及び、二度目のON時間の双方に乗じて長さの値を求め、該長さの値が何れも所定値未満の場合に、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を判別する処理ロジックを含む判別出段を備えることを特徴とするものである。
【0031】
車両の泥除けは、車輪の後方近傍すなわち車輪との干渉を防ぎ得る最小限の隙間を空けて固定されており(換言すれば、車輪近傍の存在が大前提となっており)、この点において、車輪との距離がより遠くなる他の突起物と異なっている。又、車両の泥除けの厚みは車輪の前後方向の幅より薄いものである。本発明はかかる泥除けの特徴部分に着目したものである。
そして、地表面近傍に車輪検知センサを配置すると共に、車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサを、前記車輪検知センサの直上若しくはその近傍に配置する。
かかる二つのセンサの配置において、突起物検知センサによる検知信号が、車輪の検知による一度目のONとなり、続いて、車輪検知センサの検知信号がOFFとなった後、突起物検知センサによる検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知されたとき、一時的にOFFとなる検知信号が車輪と泥除けとの隙間によるものであり、かつ、二度目のONとなる検知信号が、泥除けを検知したことによるものであると判断し得るものとなる。一方、二度目のONとなる検知信号が、車輪の後方に突出する、泥除け以外の突起物によるものである場合も考えられる。
そこで、判別出段では、泥除けの検知制度を更に高めるため、車体長さの検知手段により得られる車体長さ及び車体の検知時間から算出した車両の速度を、車輪と泥除けとの隙間に起因する可能性がある、突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間、及び、二度目のON時間の双方に乗じて得られる長さの値が、何れも所定値未満の場合に、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を検知する。
【0032】
なお、突起物検知センサを車輪検知センサの車両進行方向前方、かつ、両方のセンサ中心を、想定される最小半径の車輪を両方のセンサが同時に検知開始可能な範囲内で離間させて配置することとすれば、両センサに透過型光電センサを用いた場合に、相互に誤検知の発生を防止することができる。換言すれば、両センサを上記のごとく離間させて配置することにより、車輪検知センサと前記突起物検知センサの誤検知防止対策を施すものである。
【0033】
一方、地表面近傍に車輪検知センサが配置されると共に、車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサが、前記車輪検知センサの直上若しくはその最近傍に配置され、かつ、前記車輪検知センサと前記突起物検知センサの誤検知防止対策が施されることとしてもよい。
なお、かかる場合の誤検知防止対策として、例えば、各センサの発光部及び受光部に、光の射出方向を制限するフィルタを設ける手法が挙げられる。又、一方のセンサ発光部を設けた側には、他方のセンサの受光部を設ける(すなわち、各センサの発光部と受光部との配置を逆にする)といった手法も考えられる。
【0034】
又、請求項11に係る発明は、請求項10記載の車体底部の突起物の検知装置において、前記判別手段には、前記車輪検知センサの検知信号がONとなっている最中に、前記突起物検知センサの検知信号が一度目のONとなり、続いて、前記車輪検知センサの検知信号がOFFとなり、かつ、前記突起物検知センサの検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知される検知パターンが、前記車輪検知センサによる後輪検知がなされるまでの間に、1回若しくは2回満たされた場合に、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を判別する処理ロジックが含まれることを特徴とするものである。
【0035】
機械式駐車装置に入庫可能な車両は、前輪、後輪共に一軸の車両であり、上記検知パターンは、前輪に係る検知パターンと後輪に係る検知パターンとで、車両一台当り2回の検知となる。よって、本発明によれば、判別手段によって、上記検知パターンが、前記車輪検知センサによる後輪検知がなされるまでの間に、3回以上なされた場合には、たとえ各回毎の検知パターン自体に異常が無いような場合であっても、前後車輪と各車輪の近傍に設けられた泥除け以外の突起物が存在すると判別することができる。
【0036】
又、上記課題を解決するための、請求項12に係る発明は、検知エリアを通過する車両の、車体底部の突起物を検知する装置であって、地表面近傍に配置された車輪検知センサと、該車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサとを備え、更に、前記車輪検知センサの検知信号がONとなっている最中に、前記突起物検知センサの検知信号が一度目のONとなり、続いて、前記車輪検知センサの検知信号がOFFとなり、かつ、前記突起物検知センサの検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知されたとき、前記突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間、前記突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間、及び、二度目のON時間のうち、少なくとも2つ以上の時間を基に、車輪後方の突起物及び該突起物と車輪の間の隙間の、相対的又は絶対的な長さを求め、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を検知する処理ロジックを含む判別出段を備えることを特徴とするものである。
【0037】
車両の泥除けは、車輪の後方近傍すなわち車輪との干渉を防ぎ得る最小限の隙間を空けて固定されており、この点において、車輪との距離がより遠くなる他の突起物と異なっている。又、車両の泥除けの厚みは車輪の前後方向の幅より薄いものである。本発明はかかる泥除けの特徴部分に着目したものである。
そして、地表面近傍に車輪検知センサを配置すると共に、車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサを配置し、突起物検知センサによる検知信号が、車輪の検知による一度目のONとなり、続いて、車輪検知センサの検知信号がOFFとなった後、突起物検知センサによる検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知されたとき、一時的にOFFとなる検知信号が車輪と泥除けとの隙間によるものであり、かつ、二度目のONとなる検知信号が、泥除けを検知したことによるものであると判断し得るものとなる。一方、二度目のONとなる検知信号が、車輪の後方に突出する、泥除け以外の突起物によるものである場合も考えられる。
そこで、判別出段では、突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間、突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間、及び、二度目のON時間のうち、少なくとも2つ以上の時間を基に、車輪後方の突起物及び該突起物と車輪の間の隙間の、相対的又は絶対的な長さを求めることにより、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を検知するものである。
【発明の効果】
【0038】
本発明はこのように構成したので、車両の泥除け等、設定された車両最低地上高を下回るが入庫に何ら支障を生じない突起物と、それ以外の、実際に入庫に支障を来たす突起物との判別を、正確かつ迅速に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。
まず、図1から図6を参照しながら、本発明の第1の実施の形態について説明する。図1及び図2に示される、機械式駐車装置の入庫ゲート近傍の車種検知エリア10には、本発明の第1の実施の形態に係る車体底部の突起物の検知装置が設けられている。この車種検知エリア10は、車両12が自走によって矢印F方向に進入するものである。そして、車種検知エリア10の入り口寄りの場所には、最低地上高検知装置14、車高検知装置16、車両後端検知装置18、車幅検知装置20が設けられている。更に、車種検知エリア10の出口に向かって、入庫ボタンボックス22、車両前端検知装置24、行先案内灯26、入庫ゲート28が設けられている。なお、車両後端検知装置18及び車両前端検知装置24は、車体長さの検知手段を構成するものである。上記各検知装置のうち、最低地上高検知装置14、車高検知装置16、車両後端検知装置18、車両前端検知装置24には、透過型光電センサが用いられており、車幅検知装置20には、超音波センサが用いられている。なお、上記構成は、従来技術(特許文献1)も同様である。
そして、最低地上高検知装置14及び判別手段30により、本発明の第1の実施の形態に係る、車体底部の突起物の検知装置32が構成されている。判別手段30は、電子計算機により構成され、図示の例では独立したブロックとして模式的に示されているが、車種判別装置の一部として組み込まれていても良く、又、機械式駐車装置の制御システムに含まれるものであっても良い。
【0040】
さて、本発明の第1の実施の形態に係る、車体底部の突起物の検知検知装置32の、最低地上高検知装置14は、図3に示されるように、地表面GLの近傍に配置された車輪検知センサ34と、車輪検知センサ34より高位置に配置された突起物検知センサ36との二つのセンサを備えている。車輪検知センサ34及び突起物検知センサ36は、何れも透過型光電センサである。車輪検知センサ34は、地表面GLと車両の最低地上高との間で、可能な限り地表面GLに近い位置に設けることで、車輪38(図2)のみを検知するものである。一方、突起物検知センサ36は、車輪検知センサ34より高位置で、車輪38以外の、車体底部の突起物の検知が可能となっている。しかも、突起物検知センサ36は、車輪検知センサ34の車両進行方向(矢印F)前方、かつ、両方のセンサのセンサ中心C34、C36が、想定される最小半径の車輪(例えば、軽自動車の車輪)を両方のセンサ34、36が同時に検知開始可能な範囲内で離間するように配置されている。図示の例では、車輪検知センサ34の地表面からの高さは40mm、突起物検知センサ36の地表面からの高さは70mm、両方のセンサのセンサ中心C34、C36の前後方向の距離は、130mmとなっている。
【0041】
又、最低地上高検知装置14を、図4に示されるように、車種検知エリア10の先に設けられた入庫リフトのドア40の直前に位置する入庫バース41にも設けている。すなわち、入庫バース41も、車種検知エリア(第2の検知エリア)となっている。そして、図1、図2の車種検知エリア10では、乗員が乗り込んだ状態での車両地上高を大まかに測定し、入庫リフトのドア40の直前では、乗員が下車した状態での車両地上高を、より正確に測定し、最終的な車体底部の突起物の有無の判断を行う。
具体例として、図1、図2に示された入庫ゲート近傍の車種検知エリアにおける、最低地上高の判断基準(すなわち、突起物検知センサ36の地表面からの高さ)を70mmとし、図4に示された入庫バース41における最低地上高の判断基準を90mmとする。車両の全長に関しては、乗員の有無に関わらず一定であることから、入庫バース41には、車両後端検知装置18、車両前端検知装置24を設けず、入庫ゲート近傍の車種検知エリアで検知された車長データをそのまま利用して、以下に説明する車体底部の突起物の検知方法を実施することが可能である。なお、図4の符号42は出庫リフトのドアである。
【0042】
続いて、本発明の第1の実施の形態に係る、車体底部の突起物の検知方法を、図5及び図6を参照しながら説明する。図5には、車両12(図2)が検知エリア10を通過することで、刻々と変化する、車輪検知センサ34及び突起物検知センサ36に対する車輪38の相対的な位置と、各位置毎の、車輪検知センサ34及び突起物検知センサ36の検知信号S34、S36の、検知パターン(ON、OFF)が示されている。
【0043】
まず、図5(a)について説明すると、(ア)のように、車輪38が車輪検知センサ34及び突起物検知センサ36の何れとも重なっていない状態では、車輪検知センサ及び突起物検知センサの検知信号S34、S36は、何れもOFFである。続いて、(イ)のように車輪38が車輪検知センサ34にのみ重なった状態では、車輪検知センサの検知信号S34はONとなるが、突起物検知センサの検知信号S36はOFFのままである。続いて(ウ)のように、車輪38が車輪検知センサ34及び突起物検知センサ36の何れとも重なった状態では、車輪検知センサ及び突起物検知センサの検知信号S34、S36は、何れもONとなる。続いて、(エ)のように、車輪38が車輪検知センサ34の位置を通り過ぎ、突起物検知センサ36とのみ重なった状態となると、車輪検知センサの検知信号S34はOFFとなるが、突起物検知センサの検知信号S36は引き続きONとなる。そして、(オ)に示されるように、車輪38が突起物検知センサ36の位置も通り過ぎると、車輪検知センサ及び突起物検知センサの検知信号S34、S36は、何れもOFFとなる。
【0044】
一方、図5(b)は、車輪38の後方に泥除け以外の突起物44が存在する場合の、車輪検知センサ34及び突起物検知センサ36の検知パターンが示されている。このように、泥除け以外の突起物44が存在する場合には、車輪38の存在とは無関係に、すなわち、図5(a)の(オ)の検知パターンの後、車輪検知センサ34がOFFの状態で、突起物検知センサ36のみがONとなる。
【0045】
図6には、車輪38の後方近傍に設けられた泥除け46の検知パターンが示されている。まず、図5(a)と同様に、車輪38が車輪検知センサ34と重なり、車輪検知センサの検知信号S34がONとなっている最中に、車輪38が突起物検知センサ36と重なり、突起物検知センサの検知信号S36が一度目のON(ON1)となる。続いて、車輪38が車輪検知センサ34を通り過ぎ、車輪検知センサの検知信号S34がOFF(又は非検知信号がON)となった後、車輪38が突起物検知センサ36をも通り過ぎることで、突起物検知センサの検知信号S36が一時的にOFF(又は非検知信号がON)となる。その後、泥除け46が突起物検知センサ36と重なることで、二度目のON(ON2)となる。そして、泥除け46が突起物検知センサ36を通り過ぎることで、再度のOFF(又は非検知信号がON)となる。
【0046】
そして、判別手段30では、図6の検知パターンを受けて、突起物検知センサ36の検知信号S36の一度目のON時間すなわち突起物検知センサ36の高さにおける車輪38の検知時間t1で、車輪38と泥除けとの隙間に起因する、突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間t2を除した値により、車輪34の幅と、車輪34及び泥除け46の隙間との、相対的な長さが把握される。又、突起物検知センサ36の検知信号S36の一度目のON時間t1で、泥除け46の検知に起因する二度目のON時間t3を除した値により、車輪と突起物との、車両前後方向の相対的な長さが把握される。なお、判別手段30には、t2/t1<0.3、かつ、t3/t1<0.3であるとき、車輪38の後方近傍に泥除け46が設けられていると判別する制御ロジックが含まれている。
【0047】
なお、図6に示された、車輪検知センサ34及び突起物検知センサ36による検知を、車種検知エリア10の車両後端検知装置18及び車両前端検知装置24による車両12の車体長さの検知中に行い、この間、一度でも図6の条件を満たさなかった場合には、泥除け以外の突起物44が存在すると判別する制御ロジックが、判別手段30に含まれている。すなわち、t2/t1≧0.3、又は、t3/t1≧0.3となった場合には、車輪36の後方近傍に、泥除け以外の突起物44が存在すると判断する。又、図5(b)の検知パターンが検出された場合にも、車輪36の後方に、泥除け以外の突起物44が存在すると判断する。なお、上記の0.3の値は、発明者らが、実験により泥除けの判別に適した値を割出したものであり、各センサ34、36の位置によって変化するものである。
【0048】
上記構成をなす、本発明の第1の実施の形態により得られる作用効果は、以下の通りである。
車両12の泥除け46は、車輪38の後方近傍、すなわち車輪38との干渉を防ぎ得る最小限の隙間を空けて固定されており(換言すれば、車輪38の近傍の存在が大前提となっており)、この点において、車輪38との距離がより遠くなる他の突起物44と異なっている。又、車両の泥除け46の厚みは、車輪38の前後方向の幅より薄いものである。本発明の第1の実施の形態はかかる泥除け46の特徴部分に着目したものである。
そして、地表面GL近傍に車輪検知センサ34を配置すると共に、車輪検知センサ34より高位置で車輪38以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサ36を、車輪検知センサ34の車両進行方向前方(矢印F)、かつ、両方のセンサ中心C34、C36を、軽自動車等、想定される最小半径の車輪36を両方のセンサ34、36が同時に検知開始可能な範囲内で離間させて配置する。
【0049】
かかる二つのセンサ34、36の配置において、図6に示されるように、突起物検知センサ36による検知信号S36が、車輪38の検知による一度目のON(ON1)となり、続いて、車輪検知センサ34の検知信号がOFFとなった後、突起物検知センサ36による検知信号S36が、一時的にOFF、二度目のON(ON2)、再度のOFFの順序で検知されたとき、一時的にOFFとなる検知信号が車輪38と泥除け46との隙間によるものであり、かつ、二度目のONとなる検知信号が、泥除け46を検知したことによるものであると判断し得るものとなる。一方、検知信号S36における二度目のON(ON2)となる検知信号が、車輪38の後方に突出する、泥除け以外の突起物44によるものである場合(図5(b))も考えられる。
【0050】
そこで、判別出段30では、泥除けの検知制度を更に高めるため、突起物検知センサ36の検知信号S36の一度目のON時間すなわち突起物検知センサ36の高さにおける車輪38の検知時間t1を、車輪と泥除けとの隙間に起因する可能性がある、突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間t2、及び、泥除けの検知に起因する可能性がある、二度目のON時間t3の双方と比較することにより、車輪38の後方近傍に設けられた泥除け46の存在を検知することが可能となる。
【0051】
より具体的には、判別手段30において、突起物検知センサ36の検知信号S36の一度目のON時間すなわち突起物検知センサ36の高さにおける車輪38の検知時間t1で、車輪38と泥除け46との隙間に起因する可能性がある、突起物検知センサ36の検知信号S36の一時的なOFF時間t2を除した値により、車輪と隙間との、車両前後方向の相対的な長さが把握される。そして、かかる値が所定値、すなわち0.3未満であるとき、検知信号S36の一時的なOFF信号は車輪と泥除けとの隙間によるものであると判断することができる。
【0052】
又、車輪検知センサ34の検知信号のON時間すなわち突起物検知センサ36の高さにおける車輪38の検知時間t1で、泥除け46の検知に起因する可能性がある、二度目のON時間t3を除した値により、車輪36と突起物46との、車両前後方向の相対的な長さが把握される。そして、かかる値が所定値、すなわち0.3未満であるとき、突起物46が泥除けであると判断することができる。よって、上記二つの値が何れも0.3未満であれば、車輪の後方近傍に泥除けが設けられていると判別することが可能となる。なお、上記二つの値のいずれか一方でも、0.3以上となった場合には、泥除け以外の突起物44と判別することが可能となる。
なお、必要に応じ、上記所定値に幅を持たせることが望ましい。例えば、車両12が車種検知エリア10を斜めに通過する場合や、泥除け46の形状が平面状をなす場合のみならず、車輪12の踏面を囲むように湾曲した形状を有している場合を考慮して、理想値(下限値)として0.3、実用性を勘案した値(上限値)として0.5とし、判別手段30の制御ロジックにおいて、数値を0.3〜0.5の間で適宜設定することも可能である。
【0053】
又、本発明の実施の形態では、車輪検知センサ34及び突起物検知センサ36による検知を車体長さの検知中に行い、この間、図5(b)に示されるように、車輪検知センサ34の検知信号がOFFであるときに、突起物検知センサの検知信号がONとなった場合には、車輪38の存在と無関係に突起物が検知されたことになるので(泥除け46は車輪38の存在が前提となる。)、判別手段30において、泥除け以外の突起物44が存在すると判断することができる。
一方、車輪検知センサ34の検知信号がONとなっている最中に、突起物検知センサ36の検知信号がONとなった場合であっても、車輪検知センサ34の検知信号がOFFとなった後、突起物検知センサ36の検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの検知パターンが得られなかった場合には、泥除け46に起因する検知パターンではないことから、判別手段30において、泥除け以外の突起物が存在すると判別することができる。
更に、突起物検知センサ36の検知信号S36の一度目のON時間すなわち突起物検知センサ36の高さにおける車輪38の検知時間t1を、車輪38と泥除け46との隙間に起因する可能性がある、突起物検知センサ36の検知信号S38の一時的なOFF時間t2、及び、泥除け46の検知に起因する可能性がある、二度目のON時間t3の双方と比較した結果が、上記所定の条件を満たさない場合も、泥除け以外の突起物44が存在すると判別することができる。
【0054】
なお、本発明の第1の実施の形態では、突起物が泥除けか否かの判断に際し、t1、t2、t3の相対的な時間を問題としていることから、車両12の通過速度はさほど問題とならないが、検知エリア10内の車両12の通過速度としては、3km/h程度を想定している。
【0055】
続いて、図6から図10を参照しながら、本発明の第2の実施の形態について説明する。ここで、本発明の第1の実施の形態と同一部分、若しくは相当する部分については、同一符号で示し(図1から図6も参照)、詳しい説明を省略する。
本発明の第2の実施の形態における第1の実施の形態との相違点は、地表面GL近傍に車輪検知センサ34を配置すると共に、車輪検知センサ34より高位置で車輪38以外の車体底部の突起物44を検知可能な突起物検知センサ36を、車輪検知センサ34の直上に配置し、かつ、車輪検知センサ34と突起物検知センサ36の誤検知防止対策を施しているところにある。
【0056】
具体的には、車体底部の突起物の検知検知装置32の、最低地上高検知装置14は、図7に示されるように、地表面GLの近傍に配置された車輪検知センサ34と、車輪検知センサ34より高位置に配置された突起物検知センサ36との二つのセンサを備えている。車輪検知センサ34及び突起物検知センサ36は、何れも透過型光電センサである。車輪検知センサ34は、地表面GLと車両の最低地上高との間で、可能な限り地表面GLに近い位置に設けることで、車輪38(図2)のみを検知するものである。一方、突起物検知センサ36は、車輪検知センサ34より高位置で、車輪38以外の、車体底部の突起物の検知が可能となっている。しかも、突起物検知センサ36は、車輪検知センサ34の直上に位置している(各センサのセンサ中心C34、C36が整列するように配置されている。)。図示の例では、車輪検知センサ34の地表面からの高さは40mm、突起物検知センサ36の地表面からの高さは70mmとなっている。
【0057】
なお、図7に示されるように、車輪検知センサ34と突起物検知センサ36とが接近して配置されると、各センサが他方のセンサの光を受光し、誤検知が発生する虞がある。かかる誤検知防止対策としては、例えば、各センサの発光部及び受光部に、光の射出方向を制限するフィルタ(周知のものであり、説明を省略する。)を設ける手法が挙げられる。又、一方のセンサ(例えば車輪検知センサ34)の発光部を設けた側(例えば車両12の右側)には、他方のセンサ(例えば突起物検知センサ36)の受光部を設ける(すなわち、各センサの発光部と受光部との配置を、各センサで逆にする)といった手法も考えられる。
【0058】
又、本発明の第2の実施の形態おける、車両後端検知装置18及び車両前端検知装置24は、図8に示される構成を有している。ここで、図8の上方には、車種検知エリア10に設けられた車両後端検知装置18及び車両前端検知装置24の側面図が、図8の下方には平面図が示されている。図示の如く、車両後端検知装置18及び車両前端検知装置24は夫々検知用のセンサを備えており、一例として、各センサの距離Xは5300mmとしている。この数値は、一般的乗用車の全長、つまり機械式駐車装置に入庫可能とされる車両の全長が、一般的にこの数値を下回っていることから定められたものである。そして、これらの各センサと判別手段30(図1参照)とによって、車体長さの検知手段が構成される。
【0059】
さて、本発明の第2の実施の形態における車体長さの検知手段は、以下の判断基準に基づき車両12の全長を判別するものである。まず、車両12が車種検知エリア10へと進入する際には、入庫ゲート28は閉じており、車両12の運転者は、入庫ゲート28の手前に設置された入庫ボタンボックス(又は発券機)22で、一時停止する必要がある。この際、全長5300mm未満の車両は、車両後端検知装置18と車両前端検知装置24の間に収まり、車両後端検知装置18と車両前端検知装置24の何れも遮光されない。しかしながら、全長5300mm超の車両は、その停車位置にもよるが、車両後端検知装置18若しくは車両前端検知装置24の少なくともいずれか一方を遮光する。従って、判別手段30は、車両後端検知装置18と、車両前端検知装置24の各センサの検知パターンに基づき、車両12の全長を(仮車長として)把握することができる。
又、車両12が通過することによって車両前端検知装置24のセンサが遮光される時間が、車体の検知時間として判別手段30に把握される。
【0060】
又、本発明の第2の実施の形態においても、最低地上高検知装置14を、図4に示されるように、車種検知エリア10の先に設けられた入庫リフトのドア40の直前に位置する入庫バース41にも設けている。すなわち、入庫バース41も、車種検知エリア(第2の検知エリア)となっている。そして、図8の車種検知エリア10では、乗員が乗り込んだ状態での車両地上高を大まかに測定し、入庫リフトのドア40の直前では、乗員が下車した状態での車両地上高を、より正確に測定し、最終的な車体底部の突起物の有無の判断を行うことができる。
具体例として、図8に示された入庫ゲート近傍の車種検知エリアにおける、最低地上高の判断基準(すなわち、突起物検知センサ36の地表面からの高さ)を70mmとし、図4に示された入庫バース41における最低地上高の判断基準を90mmとする。車両の全長に関しては、乗員の有無に関わらず一定であることから、入庫バース41には、車両後端検知装置18、車両前端検知装置24を設けず、入庫ゲート近傍の車種検知エリアで検知された車長データ(仮車長データ)をそのまま利用して、以下に説明する車体底部の突起物の検知方法を実施することが可能である。
【0061】
ここで、本発明の第2の実施の形態に係る、車体底部の突起物の検知方法を、図9及び図10を参照しながら説明する。図9には、車両12(図2)が検知エリア10を通過することで、刻々と変化する、車輪検知センサ34及び突起物検知センサ36に対する車輪38の相対的な位置と、各位置毎の、車輪検知センサ34及び突起物検知センサ36の検知信号S34、S36の、検知パターン(ON、OFF)が示されている。
【0062】
まず、図9(a)について説明すると、(カ)のように、車輪38が車輪検知センサ34及び突起物検知センサ36の何れとも重なっていない状態では、車輪検知センサ及び突起物検知センサの検知信号S34、S36は、何れもOFFである。続いて、(キ)のように、車輪38が車輪検知センサ34及び突起物検知センサ36の何れとも重なる状態では、車輪検知センサ及び突起物検知センサの検知信号S34、S36は、何れもONとなる。そして、(ク)に示されるように、車輪38が車輪検知センサ34及び突起物検知センサ36の位置を通り過ぎると、車輪検知センサ及び突起物検知センサの検知信号S34、S36は、何れもOFFとなる。このように、本実施の形態では、突起物検知センサ36は、車輪検知センサ34の直上に位置していることから、車輪検知センサ及び突起物検知センサの検知信号S34、S36のON、OFF信号は実質的に同期する(すなわち、両者の信号にずれが生じるとしても、突起物の判断に何ら影響を及ぼさない程度のずれにすぎない)。
【0063】
一方、図9(b)は、車輪38の後方に泥除け以外の突起物44が存在する場合の、車輪検知センサ34及び突起物検知センサ36の検知パターンが示されている。このように、泥除け以外の突起物44が存在する場合には、車輪38の存在とは無関係に、すなわち、図9(a)の(ク)の検知パターンの後、車輪検知センサ34がOFFの状態で、突起物検知センサ36のみがONとなる。
【0064】
図10には、車輪38の後方近傍に設けられた泥除け46の検知パターンが示されている。まず、図10(a)と同様に、車輪38が車輪検知センサ34と重なり、車輪検知センサの検知信号S34がONとなり、これと同時に(実質的に同時に)、車輪38が突起物検知センサ36と重なり、突起物検知センサの検知信号S36が一度目のON(ON1)となる。続いて、車輪38が車輪検知センサ34を通り過ぎ、車輪検知センサの検知信号S34がOFF(又は非検知信号がON)となった時点で、車輪38が突起物検知センサ36をも通り過ぎることで、突起物検知センサの検知信号S36が一時的にOFF(又は非検知信号がON)となる。その後、泥除け46が突起物検知センサ36と重なることで、二度目のON(ON2)となる。そして、泥除け46が突起物検知センサ36を通り過ぎることで、再度のOFF(又は非検知信号がON)となる。
【0065】
そして、判別手段30では、図10の検知パターンを受けて、車体長さの検知手段により得られる仮車長(5300mm未満又は5300mm超の二区分)及び車体の検知時間から、車輪検知センサ34及び突起物検知センサ36を通過する車両12の速度vを算出する。そして、算出された車両のvを、速度突起物検知センサ36の検知信号S36の一時的なOFF時間t2、及び、二度目のON時間t3の双方に乗じて得られる長さL2、L3の値が、何れも所定値未満の場合に、車輪38の後方近傍に設けられた泥除け46の存在を検知する制御ロジックが含まれている。
【0066】
なお、判別手段30には、図10の検知パターンが、車体底部の突起物の検知中であって、車輪検知センサ34による車両12後輪検知がなされるまでの間に、1回若しくは2回満たされた場合に、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を検知する制御ロジックも含まれている。
【0067】
上記構成をなす、本発明の第2の実施の形態により得られる作用効果は、以下の通りである。
まず、車両12の泥除け46は、車輪38の後方近傍、すなわち車輪38との干渉を防ぎ得る最小限の隙間を空けて固定されており(換言すれば、車輪38の近傍の存在が大前提となっており)、この点において、車輪38との距離がより遠くなる他の突起物44と異なっている。又、車両の泥除け46の厚みは、車輪38の前後方向の幅より薄いものである。本発明の第2の実施の形態はかかる泥除け46の特徴部分に着目したものである。
そして、地表面GL近傍に車輪検知センサ34を配置すると共に、車輪検知センサ34より高位置で車輪38以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサ36を、車輪検知センサ34の直上に配置し、かつ、車輪検知センサ34と突起物検知センサ36との誤検知防止対策を施し、更に、車体長さの検知手段18、24、30を設けている。なお、突起物検知センサ36は、必ずしも車輪検知センサ34の直上に位置する必要は無く、必要に応じ、直上位置の近傍に設けることとしても、検知精度に何ら影響を及ぼすものではない。
【0068】
そして、かかる二つのセンサ34、36の配置において、図10に示されるように、突起物検知センサ36による検知信号S36が、車輪38の検知による一度目のON(ON1)となり、続いて、車輪検知センサ34の検知信号がOFFとなった後、突起物検知センサ36による検知信号S36が、一時的にOFF、二度目のON(ON2)、再度のOFFの順序で検知されたとき、一時的にOFFとなる検知信号が車輪38と泥除け46との隙間によるものであり、かつ、二度目のONとなる検知信号が、泥除け46を検知したことによるものであると判断し得るものとなる。一方、検知信号S36における二度目のON(ON2)となる検知信号が、車輪38の後方に突出する、泥除け以外の突起物44によるものである場合(図9(b))も考えられる。
【0069】
そこで、判別出段30では、泥除けの検知制度を更に高めるため、車体長さの検知手段18、24、30により得られる車体長さ及び車体の検知時間から算出した車両の速度vを、車輪38と泥除け46との隙間に起因する可能性がある、突起物検知センサ36の検知信号C36の一時的なOFF時間t2、及び、二度目のON時間t3の双方に乗じて得られる長さの値L2、L3が、何れも所定値未満の場合に、車輪38の後方近傍に設けられた泥除け46の存在を検知する。
一般的に、車輪38と泥除け46との隙間の距離L2は100mm未満であり、又、泥除け46の検知幅は、車両12が検知エリア10に斜めに進入した場合であっても100mm未満である。よって、v×t2=L2<100mmかつv×t3=L3<100mmである場合には、判別手段30は、車輪38の後方近傍に泥除け46が設けられていると判別する。一方、L2、L3の値のいずれか一方が、100mm以上と判断された場合には、泥除け以外の突起物が存在すると判断する。
【0070】
又、機械式駐車装置に入庫可能な車両は、前輪、後輪共に一軸の車両であり、上記検知パターンは、前輪に係る検知パターンと後輪に係る検知パターンとで、車両12一台当り2回の検知となる。そして、本発明の第2の実施の形態に係る判別手段30には、車輪検知センサ34の検知信号S34がONとなっている最中に、突起物検知センサ36の検知信号S36が一度目のONとなり(ON1)、続いて、車輪検知センサ34の検知信号S34がOFFとなり、かつ、突起物検知センサ36の検知信号S36が、一時的にOFF、二度目のON(ON2)、再度のOFFの順序で検知される検知パターンが、車輪検知センサ34による後輪検知がなされるまでの間に、1回若しくは2回満たされた場合に、車輪38の後方近傍に設けられた泥除け46の存在を判別する処理ロジックが含まれる。
よって、判別手段30において上記検知パターンが、車輪検知センサ34による後輪検知がなされるまでの間に、3回以上なされた場合には、たとえ各回毎の検知パターン自体に異常が無いような場合であっても、前後車輪38と第2の実施の形態 各車輪の近傍に設けられた泥除け46以外の突起物が存在すると判別することができる。
【0071】
なお、第2の実施の形態において説明した、突起物検知センサ36を、車輪検知センサ34の直上に配置し(図7、図9参照)、かつ、車輪検知センサ34と突起物検知センサ36の誤検知防止対策を施して用いる手法を、第1の実施の形態にも、そのまま用いることが可能である。又、第1の実施の形態において説明した、突起物検知センサ36を、車輪検知センサ34の車両進行方向前方、かつ、両方のセンサ中心C34、C36を、想定される最小半径の車輪を両方のセンサが同時に検知開始可能な範囲内で離間させて配置する手法(図3、図5参照)を、第2の実施の形態にも、そのまま用いることが可能である。
【0072】
さて、以上の如き特徴を有する、本発明の第1の実施の形態と、第2の実施の形態の特徴部分を更にまとめると、以下のようになる。
すなわち、本発明の実施の形態に係る方法は、検知エリア10、41を通過する車両12の、車体底部の突起物を検知する方法であって、地表面近傍に車輪検知センサ34を配置すると共に、車輪検知センサ34より高位置で車輪38以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサ36を配置し、車輪検知センサ34の検知信号S34がONとなっている最中に、突起物検知センサ36の検知信号S36が一度目のON(ON1)となり、続いて、車輪検知センサ34の検知信号S34がOFFとなり、かつ、突起物検知センサ36の検知信号S36が、一時的にOFF、二度目のON(ON2)、再度のOFFの順序で検知されたとき、突起物検知センサ36の検知信号S36の一度目のON時間t1、突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間t2、及び、二度目のON時間t3のうち、少なくとも2つ以上の時間を基に、車輪38後方の突起物及び該突起物と車輪38の間の隙間の、相対的(第1の実施の形態)又は絶対的(第2の実施の形態)な長さを求め、車輪38の後方近傍に設けられた泥除け46の存在を検知するものである。
【0073】
又、本発明の実施の形態に係る装置は、検知エリア10、41を通過する車両12の、車体底部の突起物を検知する装置であって、地表面近傍に配置された車輪検知センサ34と、車輪検知センサ34より高位置で車輪38以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサ36とを備え、更に、車輪検知センサ34の検知信号S34がONとなっている最中に、突起物検知センサ36の検知信号S36が一度目のON(ON1)となり、続いて、車輪検知センサ34の検知信号S34がOFFとなり、かつ、突起物検知センサ36の検知信号S36が、一時的にOFF、二度目のON(ON2)、再度のOFFの順序で検知されたとき、突起物検知センサ36の検知信号S36の一度目のON時間t1、突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間t2、及び、二度目のON時間t3のうち、少なくとも2つ以上の時間を基に、車輪38後方の突起物及び該突起物と車輪38の間の隙間の、相対的(第1の実施の形態)又は絶対的(第2の実施の形態)な長さを求め、車輪38の後方近傍に設けられた泥除け46の存在を検知する処理ロジックを含む判別出段30を備えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車体底部の突起物の検知装置が設けられた、機械式駐車装置の車種検知エリアの平面図である。
【図2】図1の車種検知エリアの側面図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる車体底部の突起物の検知検知装置の、最低地上高検知装置を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B断面図、(c)は(a)のA−A断面図である。
【図4】車種検知エリアの先に設けられた入庫リフトの、ドア近傍に設けられた最低地上高検知装置を示す参考図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る、車輪検知センサ及び突起物検知センサに対する車輪の相対的な位置と、各位置毎の、車輪検知センサ及び突起物検知センサの検知パターンとを示すものであり、(a)は、車輪の検知パターンに係るものであり、(b)は泥除け以外の突起物の検知パターンに係るものである。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る車体底部の突起物の検知装置による、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの検知パターンを示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態にかかる車体底部の突起物の検知検知装置の、最低地上高検知装置を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のB’−B’断面図、(c)は(a)のA’−A’断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る、車種検知エリアに設けられた車両後端検知装置及び車両前端検知装置を模式的に示す側面図及び平面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る、車輪検知センサ及び突起物検知センサに対する車輪の相対的な位置と、各位置毎の、車輪検知センサ及び突起物検知センサの検知パターンとを示すものであり、(a)は、車輪の検知パターンに係るものであり、(b)は泥除け以外の突起物の検知パターンに係るものである。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る車体底部の突起物の検知装置による、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの検知パターンを示す説明図である。
【符号の説明】
【0075】
10:車種検知エリア、12:車両、14:最低地上高検知装置、18:車両後端部検知装置、24:車両前端検知装置、30:判別手段、32:車体底部の突起物の検知装置、34:車輪検知センサ、36:突起物検知センサ、38:車輪、41:入庫バース、44:泥除け以外の突起物、46:泥除け、GL:地表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知エリアを通過する車両の、車体底部の突起物を検知する方法であって、
地表面近傍に車輪検知センサを配置すると共に、該車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサを、前記車輪検知センサの直上若しくはその近傍に配置し、
前記車輪検知センサの検知信号がONとなっている最中に、前記突起物検知センサの検知信号が一度目のONとなり、続いて、前記車輪検知センサの検知信号がOFFとなり、かつ、前記突起物検知センサの検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知されたとき、
前記突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間を、前記突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間、及び、二度目のON時間の双方と比較することにより、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を検知することを特徴とする車体底部の突起物の検知方法。
【請求項2】
前記突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間で、前記突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間を除した値、及び、前記突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間で、前記突起物検知センサの検知信号の二度目のON時間を除した値が、何れも所定値未満であるときにのみ、車輪の後方近傍に泥除けが設けられていると判別することを特徴とする請求項1記載の車体底部の突起物の検知方法。
【請求項3】
前記検知エリアに車体長さの検知手段を設け、前記車輪検知センサ及び前記突起物検知センサによる検知を車体長さの検知中に行い、この間、一度でも前記条件を満たさなかった場合に、泥除け以外の突起物が存在すると判別することを特徴とする請求項2記載の車体底部の突起物の検知方法。
【請求項4】
検知エリアを通過する車両の、車体底部の突起物を検知する方法であって、
地表面近傍に車輪検知センサを配置すると共に、該車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサを、前記車輪検知センサの直上若しくはその近傍に配置し、更に、車体長さの検知手段を設け、
前記車輪検知センサの検知信号がONとなっている最中に、前記突起物検知センサの検知信号が一度目のONとなり、続いて、前記車輪検知センサの検知信号がOFFとなり、かつ、前記突起物検知センサの検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知されたとき、
前記車体長さの検知手段により得られる車体長さ及び車体の検知時間から算出した車両の速度を、前記突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間、及び、二度目のON時間の双方に乗じて得られる長さの値が、何れも所定値未満の場合に、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を検知することを特徴とする車体底部の突起物の検知方法。
【請求項5】
前記車輪検知センサの検知信号がONとなっている最中に、前記突起物検知センサの検知信号が一度目のONとなり、続いて、前記車輪検知センサの検知信号がOFFとなり、かつ、前記突起物検知センサの検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知される検知パターンが、前記車輪検知センサによる後輪検知がなされるまでの間に、1回若しくは2回満たされた場合に、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を検知することを特徴とする請求項4記載の車体底部の突起物の検知方法。
【請求項6】
検知エリアを通過する車両の、車体底部の突起物を検知する方法であって、
地表面近傍に車輪検知センサを配置すると共に、該車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサを配置し、
前記車輪検知センサの検知信号がONとなっている最中に、前記突起物検知センサの検知信号が一度目のONとなり、続いて、前記車輪検知センサの検知信号がOFFとなり、かつ、前記突起物検知センサの検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知されたとき、
前記突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間、前記突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間、及び、二度目のON時間のうち、少なくとも2つ以上の時間を基に、車輪後方の突起物及び該突起物と車輪の間の隙間の、相対的又は絶対的な長さを求め、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を検知することを特徴とする車体底部の突起物の検知方法。
【請求項7】
検知エリアを通過する車両の、車体底部の突起物を検知する装置であって、
地表面近傍に配置された車輪検知センサと、該車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサとを備え、
該突起物検知センサは、前記車輪検知センサの直上若しくはその近傍に配置され、
更に、前記車輪検知センサの検知信号がONとなっている最中に、前記突起物検知センサの検知信号が一度目のONとなり、続いて、前記車輪検知センサの検知信号がOFFとなった後、前記突起物検知センサの検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知されたとき、前記突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間を、前記突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間、及び、二度目のON時間の双方と比較することにより、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を判別する処理ロジックを含む判別出段を備えることを特徴とする車体底部の突起物の検知装置。
【請求項8】
前記判別手段には、前記突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間で、前記突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間を除した値、及び、前記突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間で、前記突起物検知センサの検知信号の二度目のON時間を除した値が、何れも所定値未満であるときにのみ、車輪の後方近傍に泥除けが設けられていると判別する処理ロジックが含まれることを特徴とする請求項7記載の車体底部の突起物の検知装置。
【請求項9】
前記検知エリアには車体長さの検知手段が設けられており、前記判別手段には、車体長さの検知中に、前記車輪検知センサ及び前記突起物検知センサによる検知結果が、一度でも前記条件を満たさなかった場合に、泥除け以外の突起物が存在すると判別する制御ロジックが含まれることを特徴とする請求項8記載の車体底部の突起物の検知装置。
【請求項10】
検知エリアを通過する車両の、車体底部の突起物を検知する装置であって、
地表面近傍に配置された車輪検知センサと、該車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサとを備え、
該突起物検知センサは、前記車輪検知センサの直上若しくはその近傍に配置され、
更に、前記車輪検知センサの検知信号がONとなっている最中に、前記突起物検知センサの検知信号が一度目のONとなり、続いて、前記車輪検知センサの検知信号がOFFとなり、かつ、前記突起物検知センサの検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知されたとき、
前記車体長さの検知手段により得られる車体長さ及び車体の検知時間から、車両の速度を算出し、該車両の速度を前記突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間、及び、二度目のON時間の双方に乗じて長さの値を求め、該長さの値が何れも所定値未満の場合に、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を判別する処理ロジックを含む判別出段を備えることを特徴とする車体底部の突起物の検知装置。
【請求項11】
前記判別手段には、前記車輪検知センサの検知信号がONとなっている最中に、前記突起物検知センサの検知信号が一度目のONとなり、続いて、前記車輪検知センサの検知信号がOFFとなり、かつ、前記突起物検知センサの検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知される検知パターンが、前記車輪検知センサによる後輪検知がなされるまでの間に、1回若しくは2回満たされた場合に、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を判別する処理ロジックが含まれることを特徴とする請求項10記載の車体底部の突起物の検知装置。
【請求項12】
検知エリアを通過する車両の、車体底部の突起物を検知する装置であって、
地表面近傍に配置された車輪検知センサと、該車輪検知センサより高位置で車輪以外の車体底部の突起物を検知可能な突起物検知センサとを備え、
更に、前記車輪検知センサの検知信号がONとなっている最中に、前記突起物検知センサの検知信号が一度目のONとなり、続いて、前記車輪検知センサの検知信号がOFFとなり、かつ、前記突起物検知センサの検知信号が、一時的にOFF、二度目のON、再度のOFFの順序で検知されたとき、
前記突起物検知センサの検知信号の一度目のON時間、前記突起物検知センサの検知信号の一時的なOFF時間、及び、二度目のON時間のうち、少なくとも2つ以上の時間を基に、車輪後方の突起物及び該突起物と車輪の間の隙間の、相対的又は絶対的な長さを求め、車輪の後方近傍に設けられた泥除けの存在を検知する処理ロジックを含む判別出段を備えることを特徴とする車体底部の突起物の検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−33878(P2008−33878A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349754(P2006−349754)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)
【Fターム(参考)】