説明

車体後部構造

【課題】スペアタイヤの離脱を防止し、スペアタイヤの跳返りによる車体後部への影響を防止する車体後部構造を提供する。
【解決手段】車体後部構造10は、後部フロア13の下方に左右の前支持部31および後支持部33を介して鋼製のフレーム部72が設けられ、フレーム部でスペアタイヤ25を格納するスペアタイヤキャリア35を備えている。フレーム部は、左右の前支持部31に回動自在に連結された左右の前連結部75a,75bと、後支持部のフック65に掛け止めされた環状の後連結部83とを備えている。後支持部でフックを昇降させることで環状の後連結部をタイヤ格納位置とタイヤ着脱位置とに配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後部フロアの下方に前後の支持部を介してフレーム部が設けられ、フレーム部でスペアタイヤを格納するスペアタイヤキャリアを備えた車体後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体後部構造のなかには、車両の外側として後部フロアの下方にスペアタイヤが設けられ、スペアタイヤの車体前方側にスペアタイヤの移動方向を偏向させるタイヤ偏向装置が設けられ、タイヤ偏向装置の下方(すなわち、スペアタイヤの前方で、かつスペアタイヤの下方)にクロスメンバが設けられたものが知られている。
【0003】
この車体後部構造によれば、車体後方からスペアタイヤに衝撃荷重が作用した場合、スペアタイヤが車体前方に移動する。車体前方に移動したスペアタイヤはタイヤ偏向装置で案内されて車体前方に向けて下り勾配に移動(偏向)する。
スペアタイヤが車体前方に向けて下り勾配に移動することで、スペアタイヤの前端部がクロスメンバに当接してスペアタイヤの前端部をクロスメンバで支える(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−537922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、スペアタイヤがタイヤ偏向装置に案内されて車体前方に向けて下り勾配に移動(偏向)した場合、スペアタイヤが車体から外れて車体に保持されていない状態になる。
スペアタイヤが保持されていない状態になることで、スペアタイヤが車体から離脱することが考えられる。
【0006】
さらに、スペアタイヤの前端部がクロスメンバに当たった場合に、スペアタイヤが弾性変形し、弾性変形が復元することでスペアタイヤが車体後方に向けて跳ね返る虞がある。
このため、跳ね返ったスペアタイヤの後端部が車体後部(具体的には、後部フロア)に影響を与えることが考えられる。
【0007】
本発明は、スペアタイヤが車体から離脱することを防止でき、さらに、スペアタイヤが車体後方に向けて跳ね返ることを防いで車体後部(具体的には、後部フロア)に影響を与えることを防止できる車体後部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、後部フロアの下方に前後の支持部を介して鋼製のフレーム部が設けられ、前記フレーム部でスペアタイヤを格納するスペアタイヤキャリアを備えた車体後部構造であって、前記フレーム部は、前記前支持部に回動自在に連結された前連結部と、前記後支持部のフック部に掛け止めされた環状の後連結部と、を備え、前記フック部は前記後支持部に昇降自在に設けられ、前記後支持部で前記フック部を昇降させることで、前記環状の後連結部を前記スペアタイヤが格納可能なタイヤ格納位置と、前記スペアタイヤが着脱可能なタイヤ着脱位置とに配置することを特徴とする。
【0009】
請求項2は、前記フレーム部に、前記スペアタイヤの下部を覆うタイヤカバーが設けられ、前記タイヤカバーは、前記スペアタイヤの下前部を覆う金属製の下前カバー部を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3は、前記後部フロアの下方で、かつ前記スペアタイヤの上方に車幅方向に延びるクロスメンバを備え、前記クロスメンバの底部が車体前方に向けて下り勾配の傾斜状に形成され、前記スペアタイヤに車体後方から衝撃荷重が作用した場合に、前記スペアタイヤを前記クロスメンバの底部で車体前方に向けて下り勾配に案内することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、後支持部のフック部に環状の後連結部を掛け止めした。後連結部を環状に形成することで、スペアタイヤに車体後方から衝撃荷重が作用した場合に、環状の後連結部がフック部から外れる(分離する)虞がない。
よって、環状の後連結部をフック部に掛け止めした状態(係合した状態)に保つことができる。これにより、スペアタイヤが車体(すなわち、スペアタイヤキャリア)から離脱することを防止できる。
【0012】
請求項2に係る発明では、タイヤカバーのうち、スペアタイヤの下前部を金属製の下前カバー部で覆うようにした。
よって、スペアタイヤに作用した衝撃荷重でスペアタイヤの下前部が路面に向けて下降したとき、金属製の下前カバー部を路面に当接(接地)させることができる。
これにより、金属製の下前カバー部を路面に沿って車両とともに車体前方に向けて滑走させることができる。
【0013】
すなわち、スペアタイヤの下前部が路面に当接(接地)してスペアタイヤが車体後方に向けて跳ね返ることを防止できるので、跳ね返ったスペアタイヤで車体後部(具体的には、後部フロア)に影響を与えることを防止できる。
【0014】
請求項3に係る発明では、クロスメンバの底部を車体前方に向けて下り勾配の傾斜状に形成した。
よって、スペアタイヤに車体後方から衝撃荷重が作用した場合に、スペアタイヤをクロスメンバの底部で車体前方に向けて下り勾配に案内することができる。
これにより、後部フロアの近傍に設けられた燃料系(例えば、キャニスタなど)にスペアタイヤが干渉することを防いで燃料系(キャニスタなど)に影響を与えないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る車体後部構造(実施例1)を示す斜視図である。
【図2】実施例1の車体後部構造を示す側面図である。
【図3】実施例1の車体後部構造を示す背面図である。
【図4】実施例1の車体後部構造の後支持部を示す断面図である。
【図5】図4の後支持部を示す斜視図である。
【図6】(a)は後支持部のストッパ部を示す断面図、(b)は後支持部のストッパ部を示す斜視図である。
【図7】実施例1の車体後部構造のスペアタイヤキャリアを示す斜視図である。
【図8】図7のスペアタイヤキャリアのフレーム部を示す斜視図である。
【図9】(a)は図7の9a−9a線断面図、(b)は図7の9b−9b線断面図である。
【図10】実施例1の軸部にストッパ部を取り付ける手順を説明する図である。
【図11】実施例1のスペアタイヤキャリアの後端部を下降する例を説明する図である。
【図12】実施例1のスペアタイヤキャリアの後端部を下降した状態を説明する図である。
【図13】実施例1のスペアタイヤキャリアからスペアタイヤを取り外す例を説明する図である。
【図14】実施例1のスペアタイヤキャリアに沿って走行風を導く例を説明する図である。
【図15】実施例1のスペアタイヤに車体後方から衝撃荷重が作用する例を説明する図である。
【図16】実施例1の金属製の下前カバー部が路面に接地する例を説明する図である。
【図17】本発明に係るスペアタイヤキャリア(実施例2)を示す斜視図である。
【図18】実施例2のスペアタイヤキャリアを底面側から見た状態を示す斜視図である。
【図19】図17の19−19線断面図である。
【図20】(a)は図17の20a−20a線断面図、(b)は図17の20b−20b線断面図である。
【図21】実施例2の埋込溝部にフレーム部を埋設する例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は運転者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
【実施例1】
【0017】
実施例1に係る車体後部構造10について説明する。
図1〜図3に示すように、車体後部構造10は、車体前後方向に延出された左右のリヤサイドフレーム12と、左右のリヤサイドフレーム12に設けられた後部フロア13と、左右のリヤサイドフレーム12に架け渡されたリヤクロスメンバ15およびリヤパネル16と、リヤパネル16の車体後方に設けられたリヤバンパー17と、後部フロア13およびリヤパネル16に設けられたキャリア手段20とを備えている。
【0018】
左右のリヤサイドフレーム12は、車幅方向に所定間隔をおいて互いに平行に配置され、車体前後方向に延出されている。
後部フロア13は、左右のリヤサイドフレーム12に設けられた床板である。
この後部フロア13は、略中央部に下方に膨出した段部22が形成されている。段部22は、リヤパネル16近傍から車体前方に向けて下り勾配に形成されたフロア底部22aを有している。
底部22aは、前端部近傍に下方に膨出された左右の取付座部23が形成されている。
【0019】
リヤクロスメンバ15は、左右のリヤサイドフレーム12の車体前後方向略中央部12aに架け渡されるとともに、後部フロア13の上面13aに沿って車幅方向に向けて延出されている。
このリヤクロスメンバ15は、キャリア手段20の上方に設けられ、メンバ底部(底部)15aがスペアタイヤ25の上方に設けられている。
【0020】
メンバ底部15aは、スペアタイヤ25の上部25aに沿って、車体前方に向けて傾斜角θ1で下り勾配の傾斜状に形成されている。
よって、スペアタイヤ25に車体後方から衝撃荷重が作用した場合に、スペアタイヤ25をメンバ底部15aで車体前方に向けて下り勾配に案内することができる。
これにより、後部フロア13の近傍に設けられた燃料系(例えば、キャニスタ28など)にスペアタイヤ25が干渉することを防ぐことができる。
なお、メンバ底部15aを下り勾配に形成した理由については図15で詳しく説明する。
【0021】
ここで、スペアタイヤ25は車体前方に向けて傾斜角θ2の前傾状態でキャリア手段20に支えられている。
なお、スペアタイヤ25の傾斜角θ2、およびメンバ底部15aの傾斜角θ1は、θ1=θ2、あるいはθ1≒θ2の関係が成立する。
【0022】
リヤパネル16は、左右のリヤサイドフレーム12の後端部12bに架け渡されている。
リヤバンパー17は、リヤパネル16の車体後方に設けられている。
【0023】
キャリア手段20は、フロア底部22aのうち左右の取付座部23に取り付けられた左右の前支持部(前支持部)31(図7も参照)と、リヤパネル16の右端部16aに取り付けられた後支持部(軸方向移動装置)33と、左右の前支持部31および後支持部33に設けられたスペアタイヤキャリア35とを備えている。
【0024】
左前支持部31は、左取付座部23に上端部がボルト34,34(図7参照)で取り付けられることで左取付座部23から下方に突出されている。
この左前支持部31は、下端部に支持孔32が形成されている。
左前支持部31の支持孔32に、スペアタイヤキャリア35の左前連結部75a(後述する)が連結されている。
【0025】
図7に示す右前支持部31は、左前支持部31と左右対称の部材であり、左前支持部31と同じ符号を付して説明を省略する。
左前支持部31の支持孔32に、スペアタイヤキャリア35の右前連結部75b(後述する)が連結されている。
【0026】
図4、図5に示すように、後支持部33は、リヤパネル16の右端部16aに取り付けられた支持ボス部41と、支持ボス部41の貫通孔41aに回転自在に支持された軸部42と、軸部42にねじ結合された円筒部44と、円筒部44に設けられたフック部45と、軸部42の端部43(図6も参照)に設けられたストッパ部46とを備えている。
後支持部33のフック部45に、スペアタイヤキャリア35の後連結部83(後述する)が連結されている。
【0027】
支持ボス部41は、リヤパネル16の右端部16aに接合され、貫通孔41aが鉛直方向に向いて配置されている。
【0028】
軸部42は、支持ボス部41の貫通孔41aに回転自在に支持され、頂部にナット部48が一体に形成され、図6(a)に示す端部43の外周面に軸凹部(凹部)49が環状に形成され、ナット部48の近傍部位42aから軸凹部49までの外周面に雄ねじ51が形成されている。
【0029】
図6(a)に示すように、軸凹部49は、軸底部53、上壁部54および下壁部55で環状の凹状に形成されている。
この軸底部53は、小径底部53aと、傾斜底部53bとを備えている。傾斜底部53bは、小径底部53aから上方に向けて外径が徐々に大きくなるように傾斜状に形成されている。
軸部42の端部43に軸凹部49を形成することで、端部43の端縁に係止縁部57が形成されている。
【0030】
円筒部44は、内周面61に雌ねじ62が形成され、円筒部44の下端部(端部)63にテーパ部63aが形成されている。そして、円筒部44の雌ねじ62が軸部42の雄ねじ51にねじ結合されている。
この状態で、軸部42のナット部48を作動工具で操作して軸部42を回転することで円筒部44を軸部42に沿わせて移動させることができる。
【0031】
図5に示すように、フック部45は、上端部45aが円筒部44の外周壁に設けられ、下端部45bが上向きに折り曲げられている。
下端部45bが上向きに折り曲げられることで、スペアタイヤキャリア35(具体的には、環状の後連結部83)を吊下げ可能なフック65が形成されている。
すなわち、フック65でスペアタイヤキャリア35に載置されたスペアタイヤ25を格納することができる。
【0032】
図6に示すように、ストッパ部46は、端部43の係止縁部57に係止可能な樹脂製の部材である。
このストッパ部46は、軸部42の端部43を保護するプロテクタ部67と、プロテクタ部67から上方に向けて突出された複数の係止爪68とを有している。
【0033】
プロテクタ部67は、端部43の係止縁部57を覆うように環状に形成され、図5に示すスペアタイヤキャリア35(環状の後連結部83)が当接可能な部位である。
環状の後連結部83がプロテクタ部67に当接することで、環状の後連結部83が端部43の係止縁部57に干渉することを阻止できる。
よって、端部43の係止縁部57(すなわち、後支持部33)をスペアタイヤキャリア35からプロテクタ部67で保護することができる。
【0034】
複数の係止爪68は、環状のプロテクタ部67の上部において円周方向に沿って等間隔に設けられている。
係止爪68は、基部に凹状係止部68aが形成されている。凹状係止部68aを軸凹部49の下壁部55に係止することで、係止爪68(すなわち、ストッパ部46)が端部43に設けられている。
すなわち、係止爪68は軸凹部49に係止可能に形成されている。
【0035】
また、係止爪68は、凹状係止部68a上方の内部に内傾斜部68bが形成され、外部に外傾斜部(傾斜部)68cが形成されることで、上方に向けて先細状になる断面先細部69を有している。
ここで、係止爪68を軸凹部49に係止させた状態で、軸凹部49の傾斜底部53bに対して内傾斜部68bが所定間隔S1をおいて配置されている。
さらに、断面先細部69の先端69aが軸凹部49の上壁部54に対向(対峙)した状態に配置されている。
【0036】
この状態で、円筒部44が軸部42の端部43まで下降した場合に、円筒部44の内周面61が断面先細部69の外傾斜部68cに嵌合するとともに、円筒部44のテーパ部(端部)63aを外傾斜部68cに当接する。
これにより、円筒部44が軸部42の端部43から抜け出すことをストッパ部46で阻止することができる。
【0037】
図7に示すように、スペアタイヤキャリア35は、左右の前支持部31および後支持部33を介して後部フロア13(図2参照)の下方に設けられた鋼製のフレーム部72と、フレーム部72に設けられたタイヤカバー73とを備えている。
このスペアタイヤキャリア35は、図2に示すように、スペアタイヤ25を略横置き(詳しくは、車体前方に向けて傾斜角θ2の前傾状態)に載置した状態で支える部材である。
【0038】
図8に示すように、フレーム部72は、フレーム部72の外枠を形成するメインフレーム75と、メインフレーム75の内部に設けられてメインフレーム75を補強するX字フレーム76と、X字フレーム76およびメインフレーム75を連結する連結フレーム77と、メインフレーム75の上半環状部78に設けられた下半環状フレーム79とを備えている。
【0039】
メインフレーム75は、ロッドが平面視で略コ字状に折り曲げられた鋼製の部材である。
このメインフレーム75は、左前支持部31の支持孔32に回動自在に連結された左前連結部(前連結部)75aと、右前支持部31の支持孔32に回動自在に連結された右前連結部(前連結部)75bと、後支持部33のフック65に掛止め(係合)可能な上半環状部78とを有している。
上半環状部78は、メインフレーム75の右側後端部に形成されている。
【0040】
X字フレーム76は、ロッドが略V字状に折り曲げられた鋼製の左略V字フレーム81と、ロッドが略V字状に折り曲げられた鋼製の右略V字フレーム82とを有し、右略V字フレーム82の頂部82aに左略V字フレーム81の頂部81aが接合されることで略X字状に形成されている。
【0041】
このX字フレーム76は、左略V字フレーム81の接合部位81bがメインフレーム75の左側ロッド部75cに接合され、右略V字フレーム82の接合部位82bがメインフレーム75の右側ロッド部75dに接合されている。
これにより、X字フレーム76でメインフレーム75を補強することができる。
【0042】
連結フレーム77は、前端部77aがメインフレーム75の右側ロッド部75dに接合され、後端部77bがメインフレーム75の左側ロッド部75cに接合され、中央部77cが右略V字フレーム82に接合された鋼製のロッドである。
これにより、連結フレーム77でメインフレーム75を補強することができる。
【0043】
下半環状フレーム79は、メインフレーム75の上半環状部78の近傍部位78aに接合された直線部84と、直線部84の前端部に設けられた下半環状部85とを有する鋼製のロッドである。
下半環状部85は下方に向けて凹状に形成され、前端部85aが上半環状部78の前端部78bに接合されている。上半環状部78は上方に向けて凹状に形成されている。
【0044】
これにより、下半環状部85および上半環状部78で環状の後連結部83が形成されている。環状の後連結部83は、フレーム部72の右側後端部に設けられ、上半環状部78が後支持部33のフック65に掛け止めされている。
このように、後連結部83を環状に形成することで、後連結部83がフック65から外れることを阻止できる。
なお、後連結部83を環状に形成した理由については図15〜図16で詳しく説明する。
【0045】
図7に示すように、フレーム部72は、取付ブラケット87…,88やリベット89…(図9参照)でタイヤカバー73に取り付けられている(設けられている)。
タイヤカバー73は、スペアタイヤ25を略横置き(詳しくは、車体前方に向けて前傾状態)に載置した状態で、スペアタイヤ25の下部25b(図2参照)を覆うカバーである。
【0046】
このタイヤカバー73は、スペアタイヤ25の下部25bのうち下前部25c(図2参照)を覆う金属製の下前カバー部91と、スペアタイヤ25の残りの部位25d(図2参照)を覆う樹脂製の下後カバー部92とを備えている。
なお、図2に示すスペアタイヤ25の残りの部位25dは、スペアタイヤ25の下部25bのうち下前部25cの後方から下後部25eまでの部位、すなわち下前部25cの車体後方側の部位である。
【0047】
樹脂製の下後カバー部92は、平面視略矩形状に形成され、図9(a)に示す外面92aに下後カバー部92内方に向けて凹む埋込溝部(埋込凹部)94が形成されている。
図9(a)に示すように、埋込溝部94にタイヤカバー73(下後カバー部92)の外側からフレーム部72が嵌め込まれている。
【0048】
埋込溝部94に嵌め込まれたフレーム部72(左略V字フレーム81の頂部81aおよび右略V字フレーム82の頂部82a)は、取付ブラケット87およびリベット89,89で下後カバー部92に取り付けられている(設けられている)。
これにより、フレーム部72(左略V字フレーム81の頂部81aおよび右略V字フレーム82の頂部82a)は、埋込溝部94に埋設されている。
【0049】
埋込溝部94にフレーム部72を埋設することで、フレーム部72を車体外側から目視できないように隠すことができる。
さらに、埋込溝部94にフレーム部72を埋設することで、下後カバー部92の外面92aからフレーム部72が突出することを抑え、下後カバー部92の外面92aを平坦に確保することができる。
【0050】
埋込溝部94にフレーム部72を埋設することで、図9(b)に示すように、フレーム部72のうち埋込溝部94に埋設しないロッド部位72aが下後カバー部92の溝部95に嵌め込まれている。
溝部95に嵌め込まれたロッド部位72aは、取付ブラケット88およびリベット89,89で下後カバー部92に取り付けられている(設けられている)。
【0051】
このように、溝部95にロッド部位72aを嵌め込むことで、下後カバー部92の外面92aからロッド部位72aが突出することを抑え、下後カバー部92の外面92aを平坦に確保することができる。
【0052】
図7に示すように、金属製の下前カバー部91は、メインフレーム75の左前連結部75aの近傍部位75e、メインフレーム75の右前連結部75bの近傍部位75f、X字フレーム76の左前端部76aおよびX字フレーム76の右前端部76bが下前カバー部91の内面91aに接合されている。
【0053】
よって、金属製の下前カバー部91は、樹脂製の下後カバー部92と一体にフレーム部72に設けられている。
図2、図3に示すように、金属製の下前カバー部91の外面91bは、樹脂製の下後カバー部92の外面92aに対して略面一に配置されている。
【0054】
すなわち、金属製の下前カバー部91および樹脂製の下後カバー部92はフレーム部72に一体に設けられている。
これにより、フレーム部72で支持したスペアタイヤ25の下部25bを下前カバー部91および下後カバー部92(すなわち、タイヤカバー73)で覆うことができる。
【0055】
このように、スペアタイヤ25の下部25bをタイヤカバー73で覆うことで、タイヤカバー73でスペアタイヤ25の下部25bを隠すことができる。
よって、スペアタイヤ25の下部25bが車外から目視できないように(すなわち、外観性を確保した状態で)、スペアタイヤ25の下部25bをリヤバンパー17の下方まで下げることができる。
【0056】
具体的には、タイヤカバー73の後端部73aをリヤバンパー17の底部17aと略同じ高さに配置し、タイヤカバー73を車体前方に向けて傾斜角θ2の前傾状態に傾けるようにした。
よって、タイヤカバー73の前端部73bの高さをリヤバンパー17の底部17aに対してH1だけ下げることができる。
【0057】
すなわち、タイヤカバー73(スペアタイヤ25の下部25b)をリヤバンパー17の下方まで下げることができる。
これにより、スペアタイヤ25に合わせて後部フロア13のフロア底部22aを下方に下げることができるので、車両の後部室内空間97を大きく確保することができる。
【0058】
加えて、図9(a)に示すように、下後カバー部92に埋込溝部94を形成して、埋込溝部94にフレーム部72を埋設した。
よって、図2、図3に示すように、タイヤカバー73の外面73cからフレーム部72が突出することを抑えて、タイヤカバー73の外面73cを略平坦に保つことができる。
これにより、タイヤカバー73の外面73cに沿って走行風を円滑に流すことができ、空力性能を高めて燃費性能の向上を図ることができる。
【0059】
図2に示すように、金属製の下前カバー部91は、スペアタイヤ25を略横置き(詳しくは、車体前方に向けて傾斜角θ2の前傾状態)に配置した状態で、スペアタイヤ25の下前部25cを覆うカバーである。
【0060】
よって、スペアタイヤ25に作用した衝撃荷重でスペアタイヤ25の下前部25cが路面101(図16(b)参照)に向けて下降したとき、金属製の下前カバー部91を路面101に当接(接地)させることができる。
ここで、下前カバー部91を金属製のカバーとすることで、下前カバー部91を路面101(図16(b)参照)に沿って車両とともに車体前方に向けて滑走させることができる。
なお、下前カバー部91を金属製のカバーとした理由については図16で詳しく説明する。
【0061】
また、スペアタイヤキャリア35の環状の後連結部83がフック65に掛け止めされることで、スペアタイヤキャリア35でスペアタイヤ25が略横置きに載置される。
これにより、スペアタイヤ25が車体前方に向けて傾斜角θ2の前傾状態の格納位置に格納される。
【0062】
環状の後連結部83がフック65に掛け止めされた状態で、図7に示す軸部42のナット部48を作動工具で操作して軸部42を回転することができる。
軸部42が回転することで、円筒部44とともにフック65を手間をかけないで昇降する(上下方向に移動する)ことができる。
【0063】
フック65を昇降する(上下方向に移動する)ことで、左右の前連結部75a,75bを軸にしてタイヤカバー73の後端部73aを矢印方向に容易に昇降することができる。
左右の前連結部75a,75bは、左右の前支持部31に回動自在に支持されている。
このように、タイヤカバー73の後端部73aを矢印方向に容易に昇降することで、タイヤカバー73の後端部73aを昇降させる際に、操作性の容易化を図ることができる。
【0064】
タイヤカバー73の後端部73aを矢印方向に昇降することで、環状の後連結部83(すなわち、スペアタイヤキャリア35)をタイヤ格納位置P1とタイヤ着脱位置P2(図13(b)参照)とに配置することができる。
タイヤ格納位置P1は、スペアタイヤ25を格納可能な位置である。
また、タイヤ着脱位置P2は、スペアタイヤ25を着脱可能な位置である。
【0065】
つぎに、後支持部33の軸部42にストッパ部46を取り付ける手順を図10に基づいて説明する。
図10(a)に示すように、軸部42の端部43に向けてストッパ部46を矢印Aの如く移動する。
ストッパ部46の複数の係止爪68が端部43の係止縁部57に当接して、複数の係止爪68が矢印Bの如く弾性変形して外側に広げられる。
この状態で、ストッパ部46を矢印Aの如く継続して移動することで、複数の係止爪68が係止縁部57を乗り越える。
【0066】
図10(b)に示すように、複数の係止爪68が係止縁部57を乗り越えることで、複数の係止爪68が元の状態に矢印Cの如く復元する。
複数の係止爪68が復元して複数の係止爪68が軸凹部49に嵌入して、複数の係止爪68の凹状係止部68aが軸凹部49の下壁部55に係止する。
【0067】
これにより、複数の係止爪68、すなわちストッパ部46を軸部42の端部43に取り付けることができる。
このように、複数の係止爪68を弾性変形させて軸部42の軸凹部49に係止させることで、ストッパ部46を軸部42の端部43に手間をかけないで容易に取り付けることができる。
【0068】
ついで、スペアタイヤキャリア35からスペアタイヤ25を取り外す手順を図11〜図13に基づいて説明する。
図11(a)に示すように、スペアタイヤキャリア35の左右の前連結部75a,75bが左右の前支持部31に回動自在に連結されている。
【0069】
そして、スペアタイヤキャリア35の環状の後連結部83が後支持部33(具体的には、フック65)に掛け止めされている。フック65(環状の後連結部83)はタイヤ格納位置P1に配置されている。
この状態で、スペアタイヤキャリア35でスペアタイヤ25が略横置き(詳しくは、車体前方に向けて傾斜角θ2の前傾状態)に配置した状態で格納されている。
【0070】
図11(b)に示すように、環状の後連結部83がフック65に掛け止めされた状態で、軸部42のナット部48を作動工具で軸部42を矢印Dの如く回転する。
軸部42が回転することで、円筒部44とともにフック65が矢印Eの如く下降する。
図11(a)に戻って、フック65が矢印Eの如く下降することで、タイヤカバー73の後端部73aが左右の前連結部75a,75bを軸にして矢印Fの如く昇降する。
【0071】
図12に示すように、円筒部44が軸部42の端部43まで下降することでフック65(環状の後連結部83)が着脱位置P2に配置される。
【0072】
図13(a)に示すように、円筒部44が軸部42の端部43まで下降した場合に、円筒部44の内周面61が複数の断面先細部69の外傾斜部68cに嵌合する。
複数の断面先細部69が矢印Gの如く弾性変形して軸凹部49の軸底部53に当接する。
この状態で、円筒部44のテーパ部63aが複数の断面先細部69の外傾斜部68cに当接することで、テーパ部63aが複数の断面先細部69をくわえ込む。
【0073】
テーパ部63aが複数の断面先細部69をくわえ込むことで、樹脂製のストッパ部46でも、円筒部44を複数の係止爪68で強固に保持できる。
ストッパ部46を樹脂製とすることができ、ストッパ部46の製造の容易化を図るとともに、コストを抑えることができる。
【0074】
このように、円筒部44を複数の係止爪68で強固に保持することで、フック65に比較的大きな下向き荷重が作用した場合でも、円筒部44が軸部42の端部43から落下する(抜け出す)ことを防止できる。
これにより、スペアタイヤキャリア35に載置したスペアタイヤ25(比較的重量物)を後支持部33で好適に支えることができる。
【0075】
図13(b)に示すように、フック65(環状の後連結部83)がタイヤ着脱位置P2に配置されることで、タイヤカバー73の後端部73aがリヤバンパー17の底部17aに対して間隔H2だけ下降する。
よって、リヤバンパー17の底部17aおよびタイヤカバー73の後端部73a間に空間103を確保し、この空間103を利用してスペアタイヤ25を着脱する。
【0076】
なお、スペアタイヤキャリア35でスペアタイヤ25を格納する場合には、図11〜図13で説明した手順を逆におこなう。
【0077】
図11〜図13で説明したように、左右の前連結部75a,75bを左右の前支持部31に回動自在に連結し、環状の後連結部83をフック65に掛け止め(係合)した。
よって、タイヤカバー73の後端部73aを昇降させてタイヤカバー73をタイヤ格納位置P1とタイヤ着脱位置P2とに配置できる。
【0078】
これにより、タイヤカバー73の後端部73aのみを昇降させるだけで、スペアタイヤ25を着脱することができる。
したがって、スペアタイヤ25を着脱する場合の操作力を小さく抑えることができ、スペアタイヤ25の着脱を手間をかけないで容易におこなうことができる。
【0079】
つぎに、スペアタイヤキャリア35で走行風を円滑に流す例を図9(a)、図14に基づいて説明する。
図9(a)に示すように、下後カバー部92に埋込溝部94を形成して、埋込溝部94にフレーム部72を埋設した。
【0080】
図14に示すように、タイヤカバー73の外面73cからフレーム部72が突出することを抑えて、タイヤカバー73の外面73cを略平坦に保つことができる。
これにより、タイヤカバー73をタイヤ格納位置P1に配置した状態で、タイヤカバー73の外面73cに沿って走行風を矢印Iの如く円滑に流すことができ、空力性能を高めて燃費性能の向上を図ることができる。
【0081】
ついで、スペアタイヤ25に車体後方から衝撃荷重が作用する例を図15〜図16に基づいて説明する。
図15(a)に示すように、例えば、車両100の走行中に、車両100後方からスペアタイヤ25に衝撃荷重F1が作用する。
ここで、リヤクロスメンバ15のメンバ底部15aがスペアタイヤ25の上部25aに沿って傾斜角θ1(図2参照)で傾斜状に形成されている。
【0082】
よって、スペアタイヤ25に衝撃荷重F1が作用した場合に、スペアタイヤ25をメンバ底部15aで車体前方に向けて下り勾配に矢印Jの如く案内することができる。
これにより、後部フロア13の近傍に設けられた燃料系(例えば、キャニスタ28など)にスペアタイヤ25が干渉することを防いで燃料系(例えば、キャニスタ28など)に影響を与えないようにできる。
【0083】
図15(b)に示すように、スペアタイヤ25が矢印Jの如く移動することで、環状の後連結部83が矢印Jの如く移動する。環状の後連結部83はフック65に掛け止めされている(係合されている)。
よって、環状の後連結部83が移動することで、後支持部33が支持ボス部41を支点にして矢印Kの如くスイング移動する。
【0084】
図16(a)に示すように、後連結部83は下半環状部85および上半環状部78で環状に形成されている。
よって、環状の後連結部83が矢印Jの如く移動して後支持部33が矢印Kの如くスイング移動した場合に、環状の後連結部83がフック65から外れる(分離する)虞がない。
【0085】
よって、環状の後連結部83をフック65に掛け止めした状態(係合した状態)に保つことができる。
これにより、スペアタイヤ25が車体後部構造10(すなわち、スペアタイヤキャリア35)から離脱することを防止できる。
【0086】
図16(b)に示すように、スペアタイヤ25が矢印Jの如く移動することで、下前カバー部91が路面101に当接(接地)する。ここで、下前カバー部91は金属製のカバーであり、剛性を備えている。
このように、下前カバー部91を金属製のカバーとして剛性を高めることで、下前カバー部91を路面101に沿って車両100とともに車体前方に向けて矢印Lの如く滑走させることができる。
【0087】
すなわち、スペアタイヤ25の下前部25cが路面101に当接(接地)してスペアタイヤ25が車体後方に向けて跳ね返ることを防止できる。
これにより、跳ね返ったスペアタイヤ25で車体後部(具体的には、後部フロア)に影響を与えることを防止できる。
【実施例2】
【0088】
実施例2に係るスペアタイヤキャリア110について説明する。
図17に示すように、スペアタイヤキャリア110は、実施例1の下後カバー部92を下後カバー部112に代えたもので、その他の構成は実施例1のスペアタイヤキャリア35と同様である。
【0089】
図18〜図20に示すように、下後カバー部112は、外面112aに下後カバー部112内方に向けて凹む埋込溝部(埋込凹部)114が形成されたもので、その他の構成は実施例1の下後カバー部92と同様である。
埋込溝部114に下後カバー部112の外側からフレーム部72が嵌め込まれている。
【0090】
埋込溝部114の一方の側壁(側壁)115から対峙する他方の側壁(側壁)116に向けて一方の係止爪(係止爪)117が突出されている。
また、埋込溝部114の他方の側壁(側壁)116から対峙する一方の側壁(側壁)115に向けて他方の係止爪(係止爪)118が突出されている。
【0091】
図17、図19〜図21に示すように、埋込溝部114の底部114aに開口部119…が形成されている。
開口部119は、一方の係止爪117および他方の係止爪118を成形する際に、成形型を受け入れるために必要な開口である。
【0092】
一方の係止爪117および他方の係止爪118は、所定間隔S2をおいて互いに対向するように突出(張り出)されている。
よって、一方の係止爪117および他方の係止爪118でフレーム部72を埋込溝部114内に保持することでフレーム部72の抜出しを阻止することができる。
【0093】
つぎに、埋込溝部114にフレーム部72を埋設する手順を図21に基づいて説明する。
図21(a)に示すように、フレーム部72を埋込溝部114に向けて矢印Mの如く差し込み。
フレーム部72が一方の係止爪117および他方の係止爪118に当接して、一方の係止爪117および他方の係止爪118が矢印Nの如く弾性変形する。
【0094】
図21(b)に示すように、フレーム部72が一方の係止爪117および他方の係止爪118を乗り越えて、埋込溝部114内に嵌入する。
フレーム部72が一方の係止爪117および他方の係止爪118から離れ、一方の係止爪117および他方の係止爪118が矢印Oの如く復元する。
これにより、一方の係止爪117および他方の係止爪118でフレーム部72を埋込溝部114内に埋設した状態に保持できる。
【0095】
これにより、フレーム部72を埋込溝部114内に手間をかけないで容易に埋設することができる。
さらに、一方の係止爪117および他方の係止爪118でフレーム部72を埋込溝部114内に保持することでフレーム部72の抜出しを阻止するようにした。
これにより、フレーム部72を埋込溝部114内に保持するために、保持用の部材を用意する必要がなく、部品点数を抑えることができる。
【0096】
例えば、実施例1で保持用の部材として取付ブラケット87…,88やリベット89…(図9参照)を必要としたが、これらの部材を除去することができる。
これにより、コスト低減を図るとともに、取付工程の削減や重量の軽減を図ることができる。
【0097】
加えて、実施例2のスペアタイヤキャリア110によれば、実施例1のスペアタイヤキャリア35と同様の効果を得ることができる。
【0098】
なお、本発明に係る車体後部構造10は、前述した実施例1,2に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例1,2では、リヤパネル16の右端部16aに後支持部33を取り付け、フレーム部72の右側後端部に環状の後連結部83を設けた例について説明したが、これに限らないで、後支持部33および環状の後連結部83を左側に設けることや左右の両側に設けることも可能である。
【0099】
また、前記実施例1,2では、燃料系としてキャニスタにスペアタイヤが干渉することを防ぐ例について説明したが、これに限らないで、燃料タンクや給油配管などの他の燃料系にスペアタイヤが干渉することを防ぐようにすることも可能である。
【0100】
さらに、前記実施例1,2で示した後部フロア13、クロスメンバ15、メンバ底部15a、スペアタイヤ25、左右の前支持部31、後支持部33、スペアタイヤキャリア35、フック部45、フック65、フレーム部72、タイヤカバー73、左前連結部75a、右前連結部75b、環状の後連結部83、下前カバー部91および下後カバー部92などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の車体後部構造は、後部フロアの下方に鋼製のフレーム部を設け、フレーム部でスペアタイヤを格納するスペアタイヤキャリアを備えた自動車への適用に好適である。
【符号の説明】
【0102】
10…車体後部構造、13…後部フロア、15…クロスメンバ、15a…メンバ底部(底部)、25…スペアタイヤ、25c…スペアタイヤの下前部、31…左右の前支持部(前支持部)、33…後支持部、35…スペアタイヤキャリア、45…フック部、65…フック、72…フレーム部、73…タイヤカバー、75a…左前連結部(前連結部)、75b…右前連結部(前連結部)、83…環状の後連結部、91…下前カバー部、92…下後カバー部、F1…衝撃荷重、P1…タイヤ格納位置、P2…タイヤ着脱位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後部フロアの下方に前後の支持部を介して鋼製のフレーム部が設けられ、前記フレーム部でスペアタイヤを格納するスペアタイヤキャリアを備えた車体後部構造であって、
前記フレーム部は、
前記前支持部に回動自在に連結された前連結部と、
前記後支持部のフック部に掛け止めされた環状の後連結部と、
を備え、
前記フック部は前記後支持部に昇降自在に設けられ、
前記後支持部で前記フック部を昇降させることで、前記環状の後連結部を前記スペアタイヤが格納可能なタイヤ格納位置と、前記スペアタイヤが着脱可能なタイヤ着脱位置とに配置することを特徴とする車体後部構造。
【請求項2】
前記フレーム部に、前記スペアタイヤの下部を覆うタイヤカバーが設けられ、
前記タイヤカバーは、前記スペアタイヤの下前部を覆う金属製の下前カバー部を備えたことを特徴とする請求項1記載の車体後部構造。
【請求項3】
前記後部フロアの下方で、かつ前記スペアタイヤの上方に車幅方向に延びるクロスメンバを備え、
前記クロスメンバの底部が車体前方に向けて下り勾配の傾斜状に形成され、
前記スペアタイヤに車体後方から衝撃荷重が作用した場合に、前記スペアタイヤを前記クロスメンバの底部で車体前方に向けて下り勾配に案内することを特徴とする請求項1または請求項2記載の車体後部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−285095(P2010−285095A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141101(P2009−141101)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】