説明

車室エアフィルタ装置

フィルタ層としてのエレクトレット帯電熱可塑性マイクロファイバーの不織ウェブであって、該マイクロファイバーは、その有効繊維直径が10μmを超え、固有抵抗が1014オーム・cmを超える熱可塑性樹脂と、フルオロケミカル化合物またはオリゴマー、有機トリアジン化合物またはオリゴマー、ヒンダードアミン化合物、芳香族アミン化合物、窒素含有ヒンダードフェノール、金属含有ヒンダードフェノールおよびこれらの混合物から選択される添加剤とを含み、秤量が60g/m2未満の該ウェブと、吸着粒子充填層を含むガス吸着層であって、任意で、該吸着層に結合された支持層および/またはカバー層をさらに含み、ガス吸着層の吸着粒子の秤量が少なくとも150g/m2であるガス吸着層とを含み、フィルタ層が、ガス吸着層の上流であり、フィルタ層およびガス吸着層が、共プリーツ加工されていて、任意でろ過媒体の1つ以上の外側端部以外は互いに実質的に結合されていない、ろ過媒体を含む車室エアフィルタ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室エアフィルタ装置に係わり、特に、かかる車室のための空中浮遊粒子およびガスのろ過に好適なろ過媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
車室(または自動車内部キャビン)ろ過は、特に難しいろ過用途である。全てが極めて限られた空間内にあることを考慮に入れ、限られたファン性能を考慮すると、非常に低い圧損性能に対する要求と共に、粒子ろ過および/またはガス吸着を対象としているためである。市販の車室エアフィルタは、一般的に、浮遊粒子および/またはガスをろ過するのにプリーツ加工された多層結合ろ過媒体ラミネートを用いている。かかる多層結合ろ過媒体は、一般的に、3層以上のろ過層(例えば、プレ(粒子)フィルタ、主フィルタ層、超微粒フィラメント粒子フィルタ層およびガス吸着層)と、取扱いの容易さおよび/または構造的完全性のために、カバーおよび支持層とを含む。しかしながら、これらのフィルタには、フィルタを通る低い充填能および比較的高い圧損をはじめとする数多くの欠陥がある。さらに、許容限界内に圧損を保つために、満足行くほど、または望ましいほど低くはないが、粒子捕捉(ろ過)効率を犠牲にしなければならないことが多い。粒子捕捉効率を犠牲にするこの欠点は、例えば、充填や露出時に、かかるフィルタ媒体およびフィルタの、時間の関数としての粒子捕捉効率の喪失を守ることにより、折り合いをつけることが最も多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
サブミクロン粒子や微粒子等の特定の浮遊粒子に関連した危険および様々なガスへの露出に関連した危険の認識が増大する観点から、安定した操作特徴を有しつつ、例えば、充填および/または露出の際の粒子捕捉効率を維持しつつ、高充填能、効率的なガス吸着および低圧損性能と組み合わせて、高粒子捕捉効率、特に、高サブミクロン粒子捕捉効率を有する車室エアフィルタ装置、特に、そのろ過媒体が継続して必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、ろ過媒体を含む車室エアフィルタ装置であって、ろ過媒体が、
(i)フィルタ層としてのエレクトレット帯電熱可塑性マイクロファイバーの不織ウェブであって、マイクロファイバーは、その有効繊維直径(EFD)が10μmを超え、固有抵抗が1014オーム・cmを超える熱可塑性樹脂と、フルオロケミカル化合物またはオリゴマー、有機トリアジン化合物またはオリゴマー、ヒンダードアミン化合物、芳香族アミン化合物、窒素含有ヒンダードフェノール、金属含有ヒンダードフェノールおよびこれらの混合物から選択される添加剤とを含み、秤量が60g/m2未満のウェブと、
(ii)吸着粒子充填層を含むガス吸着層であって、任意で、吸着層に結合された支持層および/またはカバー層をさらに含み、ガス吸着層の吸着粒子の秤量が少なくとも150g/m2であるガス吸着層と
を含み、
フィルタ層が、ガス吸着層の上流にあり、フィルタ層およびガス吸着層が、共プリーツ加工されていて、任意でろ過媒体の1つ以上の外側端部以外は互いに実質的に結合されていない、ろ過媒体を含む車室エアフィルタ装置が提供される。
【0005】
意外にも、特に望ましい高充填能(例えば、100Paの圧損における増加後に少なくとも20gの充填)、高初期粒子捕捉効率(例えば、0.4μmの粒子について少なくとも90%の初期粒子捕捉効率)および充填の際の高粒子捕捉効率の好ましい維持(例えば、圧損における50Paの上昇の際の充填中、0.4μmの粒子について少なくとも87%の粒子捕捉効率)が、望ましい効率的なガス吸着と共に、達成できるということを知見した。特に、かかる有利な性能は、記載したフィルタ層の上流の粒子フィルタ層(プレフィルタ層)および/または記載したフィルタ層から下流の追加の粒子フィルタ層(記載したフィルタ層およびガス吸着層以外)を適用せずに達成することができる。コストについての考慮、および好ましい性能を促進する寸法およびプリーツ加工についての考慮に関連して、これもまた有利である。また、有利な低い初期圧損が達成できる(例えば、225m3/hの体積流量で、フィルタ表面積が250mm×200mm、プリーツ高さが30mmおよびプリーツ距離(ピーク間)が5〜約12mmのフィルタについて100Pa以下の圧損)。
【0006】
従属項が本発明のさらなる実施形態を定義する。
【0007】
本発明、その実施形態およびさらなる利点を、図面を参照して以下に説明する。
【0008】
本発明は、本明細書に記載した好適な、特定の、望ましい、利点のある、有利な、好ましい態様の全ての組み合わせを包含するものと考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、車室を流れる空気をろ過するための例示のフィルタ装置の概略図を示す。かかる装置(10)はろ過媒体(1)を含む。装置(10)はまた、ろ過媒体が上に接続されるフレームまたは筐体(20)を含んでいてよい。一般的に、かかるフレームまたは筐体はポリマー材料でできている。ろ過媒体(1)、特に、その外側端部を、例えば、接着剤により、または米国特許第5,512,172号明細書に記載されたような超音波溶接により、フレームまたは筐体の内壁の一部にシールしてもよい。あるいは、ろ過媒体は、その外側端部を、射出成形によりフレームを製造している間に、フレームまたは筐体壁にシールして、インサート成形プロセス後、ろ過媒体の端部を、フレームのプラスチック材料により埋め込んでもよい。好適なインサート成形技術は、例えば、米国特許第5,679,122号明細書および欧州特許第713,421号明細書に記載されている。
【0010】
例えば、図1に示す例示のフィルタ装置に用いるのに好適な例示のろ過媒体(1)の概略部分断面図を示す図2を参照すると、ろ過媒体は、ガス吸着層(12)(詳細は以下に説明する)の上流のフィルタ層(11)(詳細は以下に説明する)を含む。ガス吸着層は、吸着粒子充填層(13)、好ましくは活性炭層を含む。図2に示す例示のろ過媒体(1)から分かるとおり、ガス吸着層(12)は、例えば、吸着層の下流に支持層(14)を含んでいてよい。通常、かかる支持層を用いる場合には、吸着層に結合または固定する。ガス吸着層はまた、吸着層の上流にカバー層(15)も含んでよい。カバー層を用いる場合には、一般的に、吸着層に結合または固定される。フィルタ層(11)およびガス吸着層(12)は、共プリーツ加工されていて、実質的に結合されていない、好ましくは、任意でろ過媒体の外側端部または周囲以外は互いに結合されていない。例えば、用いる場合には、フレームまたは筐体の取扱いおよび/または加工および/または接続を促すために、外側端部の1つ以上を結合して、媒体の該端部に沿って、または周囲にシームを形成してもよい。「実質的に結合されていない」という用語は、存在する場合には、媒体の1つまたは複数の外側端部または周囲に沿った結合されたシーム領域を除いたろ過媒体の合計表面積に対して、好ましくは4%未満の結合、より好ましくは2%未満の結合を意味する。存在する場合には、媒体の1つまたは複数の外側端部または周囲に沿った結合されたシームの表面積は、通常、ろ過媒体の合計表面積の8%未満(より好適には6%未満、最も好適には4%未満)である。
【0011】
ろ過媒体は、フィルタ層として、エレクトレット帯電熱可塑性マイクロファイバーの不織ウェブ、好ましくはメルトブローン不織ウェブを含む。望ましいろ過性能のためには、マイクロファイバーの有効繊維直径(EFD)は10μmを超えると有利であることが分かっている。さらに性能を向上させるためには、EFDは、より望ましくは約11μm以上、最も望ましくは約12μm以上である。好適にはEFDは最大で20μm、より望ましくは最大で18μm、最も望ましくは最大で16μmである。EFDは、デイビス(Davis)、C.N.「浮遊ダストおよび微粒子の分離(The Separation of Airborne Dust and Particulates)」、Proc.Inst.Mech.Engrs.,ロンドン(London)、1B、p.185(1952年)に規定された方法に従って求める。
【0012】
フィルタ層の熱可塑性マイクロファイバーは、非導電性熱可塑性樹脂、すなわち、低効率が少なくとも1014オーム・cm、好ましくは少なくとも1016オーム・cmの熱可塑性樹脂を含む。好適な非導電性熱可塑性樹脂としては、非一過性または長寿捕獲電荷を有する能力をもつものが挙げられる。樹脂は、ホモポリマーまたはコポリマーまたはポリマーブレンドとすることができる。好適なポリマーとしては、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)または鎖状低密度ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネートおよびポリエステル等のポリオレフィンが挙げられる。フィルタ装置の寿命にわたる望ましい性能のために、特に、60℃以上、より好適には80℃以上の露光の際には、マイクロファイバーが、実質的にない(例えば、2wt%未満)、より好ましくはポリエチレンがないと有利であることが分かっている。好ましくは、熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステルおよびこれらの混合物、より好ましくは、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、これらのブレンドまたは、ポリプロピレンと4−メチル−1−ペンテンのうち少なくとも1つから形成されたコポリマーから選択される。ポリマーまたはポリマーブレンドの主成分は、ポリプロピレンの高固有抵抗、十分な電荷安定性、疎水性および耐湿性から、ポリプロピレンが好ましい。
【0013】
フィルタ層の熱可塑性マイクロファイバーはまた、フルオロケミカル化合物およびオリゴマー、トリアジン化合物またはオリゴマー、ヒンダードアミン化合物、芳香族アミン化合物、窒素含有ヒンダードフェノール、金属含有ヒンダードフェノールおよびこれらの混合物から選択される添加剤も含む。添加剤は、ろ過媒体のろ過性能を有利に向上する。以降、性能向上添加剤と呼ぶ。
【0014】
好適なフルオロケミカル性能向上添加剤としては、その内容が参照により本明細書に援用される米国特許第5,472,481号明細書(ジョーンズら(Jones et al.))および国際公開第97/07272号パンフレット(ルソーら(Rousseau et al.)に記載されたようなフルオロケミカル化合物およびオリゴマーが挙げられる。フルオロケミカル添加剤は、フルオロケミカルピペラジン、パーフルオロアルコールのステアレートエステル、フルオロケミカルオキサゾリジノン等の少なくとも1つの過フッ素化部分を含有する有機化合物またはオリゴマーを含むのが望ましい。かかる化合物またはオリゴマーのフッ素含量は、少なくとも約18重量パーセントであるのが好ましい。かかるフルオロケミカル添加剤は、望ましくない分解や蒸発をすることなく、処理に耐えるために、熱安定性、すなわち、ポリマー樹脂の押出し温度で熱安定性があるのが望ましい。過剰な蒸発を避けるには、通常、分子量500以上で十分である。フルオロケミカル化合物またはオリゴマーの融点は、熱可塑性樹脂ポリマーの融点より高く、押出し温度より低いのが望ましい。処理を考慮に入れると、例えば、ポリプロピレンを用いるときは、フルオロケミカルの融点は160℃を超えるのが好ましく、160℃〜290℃であるのがより好ましい。好ましいフルオロケミカル添加剤としては、次のような各構造を有する米国特許第5,411,576号明細書記載の添加剤A、BおよびCが挙げられる。
【化1】

【0015】
好適なトリアジン化合物またはオリゴマーは、ここでもその内容が参照により本明細書に援用される国際公開第97/07272号パンフレットに記載されたものが挙げられる。トリアジン添加剤は、少なくとも1つの追加の窒素含有基を備えた有機トリアジン化合物またはオリゴマーを含むのが望ましい。かかる添加剤はここでも熱安定性であるのが望ましい(望ましくない分解や蒸発をすることなく、処理に耐えるために、ポリマー樹脂の押出し温度で熱安定性がある)。通常、少なくとも500の分子量を有するかかる化合物またはオリゴマーは、一般に、蒸発しない。好ましいトリアジンとしては、以下の一般構造を有し、R2がアルキル基で、直鎖または分岐していてよく、好ましくは4〜10個の炭素原子を有し、nが2〜40、好ましくは2〜20の数である。
【化2】

【0016】
性能向上添加剤は、ヒンダードまたは芳香族アミン化合物であるのが好適であり、テトラメチルピペリジン環から誘導されるようなヒンダードアミンを含有する化合物であるのが好ましい。
【化3】

式中、Rは水素またはアルキル基である。ヒンダードアミンは、上述したようにトリアジン基と組み合わされるのが好ましい。この代わりに、窒素または金属含有ヒンダードフェノール帯電向上剤を、その内容が参照により本明細書に援用される米国特許第5,057,710号明細書に開示されているように用いても好適である。
【0017】
ろ過媒体のフィルタ層の不織ウェブは、ウェブの重量に基づいて、少なくとも0.01wt%、より好ましくは0.1wt%、さらに好ましくは少なくとも0.2wt%および最も好ましくは少なくとも0.5wt%の性能向上添加剤を含有するのが好ましい。フィルタ層の不織ウェブは、ウェブの重量に基づいて、最大で10wt%、より好ましくは最大で5.0wt%、最も好ましくは最大で2.0wt%の性能向上添加剤を含有するのが好ましい。
【0018】
好適には、フィルタ層の不織ウェブの繊維は、熱可塑性樹脂および添加剤のブレンドから形成される。特に、樹脂および性能向上添加剤は、溶融する前に固体としてブレンドする、または別個に溶融して、液体として一緒にブレンドしてよい。この代わりに、添加剤と樹脂の一部とを、固体として混合して、溶融し、比較的添加剤リッチな溶融ブレンドを形成し、これを樹脂のさらなる部分と後に結合することもできる。
【0019】
フィルタ層の不織ウェブの繊維は、好ましくは、業界で周知のメルトブローンプロセスおよび装置を用いて、メルトブローンすることにより形成される。例えば、ろ過媒体のフィルタ層用にメルトブローン不織ウェブを形成する繊維の製造において、樹脂と添加剤の溶融ブレンドは、繊維ダイを通して、収集表面に押出して、熱可塑性マイクロファイバーのウェブへと形成される。かかるマイクロファイバーは、一般的に、ウェブ形成プロセス中か、ウェブ形成プロセス後のいずれかに、その交点で他方に一体結合される。繊維は、単一層、多層またはシース−コア構成とすることができる。多層を用いる場合には、外側層またはシース層の少なくとも一部が、ブレンド中に、上述の性能向上添加剤を含んでいるのが好ましい。
【0020】
収集したウェブ材料をアニールして、油性噴霧の存在下で、静電帯電安定性を増大してもよい。アニール工程は、十分な温度および十分な時間にわたって実施して、性能向上添加剤を材料の界面(例えば、ポリマー−空気界面、および結晶とアモルファス相との間の境界)に拡散させるのが好ましい。通常、高アニール温度によって、アニール時間が短くなる。最終製品に望ましい特性を得るには、ポリプロピレン材料のアニールは、通常、約100℃より高くして実施される。アニールは、好ましくは約130〜155℃で約2〜20分、より好ましくは約140〜150℃で約2〜10分、さらにより好ましくは約150℃で約4.5分実施される。アニールは、ウェブの構造を大幅に劣化しない条件下で実施されなければならない。ポリプロピレンウェブについて、約155℃より大幅に高いアニール温度は、材料が損傷する恐れがあるため望ましくない。
【0021】
フィルタ層の不織ウェブの繊維はエレクトレット帯電している。エレクトレット帯電繊維を生成するのに有用な静電帯電方法としては、米国特許第5,401,446号明細書(ツァイら(Tsai et al.)、同第4,375,718号明細書(ワッズワースら(Wadsworth et al.)、同第4,588,537号明細書(クラッセら(Klaase et al.)および同第4,592,815号明細書(ナカオ(Nakao))に記載されているものが挙げられる。ろ過性能(例えば、粒子捕捉効率)をさらに向上するには、不織ウェブの繊維は、好ましくはハイドロチャージされるのが好ましい。すなわち、ウェブを、ろ過向上エレクトレット帯電させるのに十分な圧力で、水ジェットまたは水滴ストリームを衝突することにより、不織ウェブをハイドロチャージする(例えば、米国特許第5,496,507号明細書(アンガジバンドら(Angadjivand et al.))を参照のこと)。最良の結果を得るのに必要な圧力は、用いる噴霧器の種類、ウェブが形成されるポリマーの種類、ポリマーへの添加剤の種類および濃度、ウェブの厚さおよび密度に応じて異なる。通常、約10〜500psi(69〜3450kPa)の圧力が好適である。水滴を与えるのに用いる水は比較的純粋であるのが好ましい。蒸留または脱イオン水が水道水より好ましい。水ジェットまたは水滴ストリームは、任意の好適なスプレー手段により提供することができる。繊維を水圧エンタングリングするのに有用な装置が、通常、有用である。ただし、操作は、ヒドロエンタングルに通常用いられるよりもハイドロチャージにおいては低い圧力で実施される。好ましい向上したろ過性能については、不織ウェブの繊維に、コロナ放電や高パルス電圧を行わず、例えば、前または後処理として、ハイドロチャージを行うのが有利であることが分かっている。特に、不織ウェブの繊維はハイドロチャージのみ行うのが特に有利であることが分かっている。例えば、繊維には、ハイドロチャージとは異なるタイプの帯電を行わない(前または後処理として)。
【0022】
ろ過媒体のフィルタ層の不織ウェブの秤量は、60g/m2未満、好ましくは55g/m2以下、最も好ましくは50g/m2以下である。ろ過媒体のフィルタ層の不織ウェブの秤量は、通常、20g/m2以上、より好ましくは25g/m2以上、最も好ましくは30g/m2以上である。
【0023】
例えば、フィルタ層の不織ウェブについて、DIN53887(平坦材料について)に従って求めたときに、200Paで1000 l/(m2×s)以上の通気度が、望ましいろ過性能にとって特に好ましいことが分かっている。200Paで1250 l/(m2×s)以上の通気度がより好ましく、200Paで1500 l/(m2×s)以上の通気度が最も好ましい。通常、200Paで4250 l/(m2×s)以下の通気度が、フィルタ層の不織ウェブには好適である。より好適には200Paで3750 l/(m2×s)以下、最も好適には200Paで3250 l/(m2×s)以下である。
【0024】
望ましい寸法およびプリーツ加工を考慮に入れ、ろ過媒体の好ましいろ過性能のためには、フィルタ層の好ましい厚さは、1.50mm以下、より好ましくは1.25mm以下、最も好ましくは100mm以下である(2N/cm2のスタンプ圧力を加えるISO534に従って測定)。フィルタ層の厚さは、好適には少なくとも0.25mm、より好適には少なくとも0.35mm、最も好適には少なくとも0.45mmである。
【0025】
上述したとおり、ろ過媒体は、吸着粒子を充填した層を含むガス吸着層と、任意で、該活性炭層に結合された支持層および/またはカバー層とを含む。
【0026】
支持およびカバー層を用いる場合は、通常、製造、取扱いおよび/または加工が促進され、かつ/または構造的完全性が促進される。不織(例えば、湿式、乾式(スパンレース、カレンダ加工、ニードルパンチ、化学結合乾式)、スパン結合、不織)、織、ネット、組織またはスクリム状材料で好適には作製されるかかる層は、一般的に、平坦な材料について、200Paで4250 l/(m2×s)以上(より好適には200Paで4750 l/(m2×s)以上)、最も好適には200Paで5500 l/(m2×s)以上の高通気度を有している(例えば、DIN53887に従って求める)。フィルタ装置の寿命にわたって望ましい性能のために、特に、60℃以上(より好適には80℃以上)の高温に露出する際には、支持および/またはカバー層が、ポリマー樹脂、特に、ポリエチレンを実質的に含まない(例えば、2wt%未満)、より好ましくは含まないポリマー樹脂を含むのが有利である。ポリマー樹脂は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ならびにこれらの混合物、コポリマーおよびブレンドから選択されるのが好ましい。支持および/またはカバー層の厚さは、一般的に、0.6mm以下、より好適には0.5mm以下である。この範囲内で、最小の厚さの0.05mmが好適であり、0.1mmがより好適である。
【0027】
吸着粒子充填層は、熱可塑性マイクロファイバーの(例えば、フィルタ層ウェブに用いる熱可塑性樹脂に関連して上述した熱可塑性樹脂の種類の)不織ウェブとして構成されているのが望ましい。より望ましくはエレクトレット帯電マイクロファイバーであり、吸着粒子が、ウェブに、かつ/または繊維状ウェブ構造内に配列して固定されている。吸着粒子充填層は、熱可塑性ヤードの(例えば、フィルタ層ウェブに用いる熱可塑性樹脂に関連して上述した熱可塑性樹脂の種類の)織ウェブまたはネットで形成されているのが望ましい。吸着粒子、好ましくは活性炭粒子が、織ウェブまたはネットに、かつ/またはその内部に配列して固定されている。溶融接着糸および/またはドットで形成された吸着粒子充填層を用いるのが特に有利であることが分かっており、吸着粒子、好ましくは活性炭粒子が、該スレッドおよび/またはドットに少なくとも点で固定されている。かかる吸着層は、一般的に、支持層に提供され(例えば、吸着粒子充填層の加工中または製造中)、任意でカバー層を含んでいてもよい。溶融接着糸および/またはドットで形成された吸着層に関して、望ましくは、吸着粒子を充填した該溶融接着糸および/またはドットは、通気性のある三次元構造またはネットを形成する。かかる吸着層構成は、例えば、内容が参照により本明細書に援用される米国特許第6,423,123号明細書および欧州特許第818 230号明細書に開示されている。望ましくは、溶融接着剤の比率は、吸着粒子充填層と支持層の質量の2〜30wt%である。好適な溶融接着剤としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリウレタンまたはポリアミド系材料を含む溶融接着剤、好ましくは水活性溶融接着剤が挙げられる。
【0028】
好適には、吸着粒子は、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、カーボンブラック、ゼオライト粒子またはこれらの混合物を含んでもよい。活性炭粒子が好ましい。吸着粒子の好適な粒子サイズは、100〜2000μm、好ましくは100〜1000μmの範囲であることが分かっている。全範囲が1種類の材料ではなく、149〜420μm(40×100US標準メッシュ)、210〜595μm(30×70USメッシュ)、250〜500μm(35×60US標準メッシュ)、354〜710(25×45US標準メッシュ)、420〜841μm(20×40US標準メッシュ)および500〜1000(18×35US標準メッシュ)等、異なる重なったサイズ範囲が好ましい。用いることのできる一般的な粒子サイズは、(20〜35)×(40〜70)US標準メッシュである。
【0029】
ガス吸着層に含まれる吸着粒子、好ましくは活性炭粒子の秤量は、少なくとも150g/m2、好ましくは少なくとも200g/m2、より好ましくは少なくとも250g/m2、最も好ましくは少なくとも300g/m2である。ガス吸着層中の吸着粒子の秤量は、一般的に最大で1500g/m2、より好適には1250g/m2、最も好適には750g/m2である。
【0030】
望ましい寸法およびプリーツ加工を考慮に入れ、ろ過媒体の好ましいろ過性能のためには、ガス吸着層(任意の支持および/またはカバー層を含めて)の好ましい厚さは、2.75mm以下、より好ましくは2.50mm以下、さらに好ましくは2.00mm以下、最も好ましくは1.50mm以下である(例えば、ISO534、2.0N/cm2に従って測定)。ガス吸着層の厚さは、好適には0.60mm以上、より好適には0.70mm以上、最も好適には0.80mm以上であってよい。特に、全体の厚さが2.75mm以下(より好ましくは2.50mm以下、さらに好ましくは2.00mm以下、最も好ましくは1.50mm以下)のガス吸着層を与え、充填吸着粒子の適切な秤量およびガス吸着層の厚さを選択して、少なくとも150,000g/m3(より好ましくは少なくとも165,000g/m3、最も好ましくは少なくとも180,000g/m3)の吸着粒子、好ましくは活性炭粒子の密度がガス吸着層に与えられるようにすると、ろ過媒体の好ましいガス吸着および全体の性能に有利であることが分かっている。
【0031】
例えば、DIN53887(平坦材料について)に従って求めた200Paで800 l/(m2×s)以上の通気度が、フィルタ装置の望ましい全体のろ過性能にとって特に好ましいことが分かっている。200Paで1000 l/(m2×s)以上の通気度がより好ましく、1200 l/(m2×s)以上の通気度が最も好ましい。通常、200Paで4250 l/(m2×s)以下の通気度が好適である。より好適には200Paで3750 l/(m2×s)以下、最も好適には200Paで3000 l/(m2×s)以下である。
【0032】
本発明のフィルタ装置は、一般的に、例えば、DIN71460−1に従って測定される0.4μm粒子について少なくとも90%(より望ましくは少なくとも93%、最も望ましくは少なくとも95%)の有利に高い初期粒子捕捉効率を示す。同様に、本発明のフィルタ装置は、一般的に、例えば、DIN71460−1に従って測定される圧損で50Paの上昇で、充填中、0.4μm粒子について少なくとも87%(より望ましくは90%、最も望ましくは93%)の初期粒子捕捉効率等、充填の際に粒子捕捉効率の望ましい維持を示す。
【0033】
本発明のフィルタ装置は、一般的に、例えば、DIN71460−1に従って測定される100Paの圧損上昇後、少なくとも20g(より望ましくは23g)の望ましい充填能を示す。
【0034】
本発明のフィルタ装置は、一般的に、例えば、DIN71460−1に従って測定される、225m3/hの体積流量で、250mm×200mmのフィルタ表面積、30mmのプリーツ高さ、および5〜約12mmのプリーツ距離(ピーク間)(より好適には6〜10mmのプリーツ距離、最も好適には8mmのプリーツ距離)のフィルタについて100Pa以下(より有利には90Pa以下、最も有利には80Pa以下)の有利に低い初期圧損を示す。
【0035】
本発明のフィルタ装置は、一般的に、例えば、DIN71460−2に従って測定される、少なくとも60%(より望ましくは少なくとも70%、最も望ましくは少なくとも80%)のn−ブタン、トルエン、SO2のうち少なくとも1つ(より好ましくはこれらのうち少なくとも2つ、最も好ましくは3つ全て)について、好ましい初期吸着効率を示す。
【0036】
本発明を以下の実施例により説明する。
【実施例】
【0037】
フィルタ層用のメルトブローン不織ウェブの作製
オリゴマーヒンダードアミンチマソーブ(CHIMASSORB)(登録商標)944FL(チバガイギー社(アメリカ合衆国、ニューヨーク州、ホースローン(Ciba−Geigy Corp.,Hawthorne/NY,USA))より入手可能)を、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)(TPX DX820、三井石油化学工業(日本、東京)(Mitsui Petrochemical Industries,Tokyo,Japan)より入手可能)に、40:60の比率で単軸押出し機において溶融配合し、得られたブレンドを直径の大きな繊維へと押し出した。続いて、繊維を粉末へと粉砕した(0.125インチメッシュ)。メルトブローンマイクロファイバーウェブの作製中、粉末をポリプロピレンペレット(アメリカ合衆国、テキサス州、ヒューストンのエクソン社(Exxon Corp.,Houston/TX,USA)より入手可能な400メルトフローインデックスのポリプロピレン樹脂)フィードに添加して、98wt.%のポリプロピレン、1.2wt.%のポリ(4−メチル−1−ペンテン)および0.8wt.%のチマソーブ(CHIMASSORB)(登録商標)944FLからなるポリプロピレン樹脂組成物を得た。例えば、ウェンテ(Wente)、「極細熱可塑性繊維(Superfine Thermoplastic Fibers)」、工業技術化学(Industrial Engineering Chemistry)、第48巻、1342頁以降参照(1956年)または海軍研究試験所(Naval Research Laboratories)、報告No.4364、1954年5月25日発行、ウェンテら(Wente et al.)著「極細有機繊維の製造(Manufacture of Superfine Organic Fibers)」に記載されているのと同様のメルトブロープロセスを用いて、メルトブローンマイクロファイバーウェブを作製するために、押出しプロセスへこの樹脂ブレンドを供給した。押出し機は4つの温度制御ゾーンを有していて、250℃、290℃、320℃および320℃に維持されていた。押出し機をダイに接続している流管(25個の穴により)は300℃に、メルトブローンダイは300℃に維持されていた。一次空気をギャップ幅0.076cmで約400℃および690キロパスカル(kPa)に維持して、均一なウェブを作製した。上述したポリプロピレン樹脂組成物は、0.3g/穴/分のレートでダイから分配し、得られたウェブをコレクタ/ダイ距離15インチに配置された穿孔回転ドラムコレクタ上で集めた。コレクタドラムは、真空システムに接続されていて、メルトブローンマイクロファイバーウェブを集めながら任意でオンオフできた。これによって、真空をコレクタドラムに適用したときに、非常に硬いウェブを作製することができた。全ての場合において、樹脂分配レートを減じるよりも、コレクタ回転速度を増大することにより、低秤量のBMFウェブが得られた。このプロセスから得られたウェブの平均有効繊維直径(EFD)は12μmであった。30g/m2、40g/m2および50g/m2の3つの秤量のウェブを作製した。約100(690kPa)の水圧を用いて、米国特許第5,496,507号明細書(アンガジバンドら(Angadjivand et al.)に記載されたように実質的にハイドロチャージプロセスを用いて、作製したウェブを続いて帯電した。(前または後帯電処理は適用しなかった。)帯電したメルトブローンウェブ材料を、フィルタを作製するさらなる処理のためにロールに巻き付けた。
【0038】
以下に、作製したメルトブローンマイクロファイバーウェブ材料をまとめた。
【0039】
【表1】

【0040】
ガス吸着層用の活性炭含有ウェブの作製
接着糸およびドットに少なくとも点で固定された上下層および中間層活性炭粒子からなる活性炭粒子含有複合体ウェブを、欧州特許第0 818 230号明細書に記載されたプロセスに従って作製した。200g/m2、300g/m2および400g/m2の3つの異なる秤量の活性炭を作製した。水活性軟化ポリウレタン系ホットメルトタイプの接着剤20g/m2をPETスパンボンドウェブ(リーメイ(Reemay)2275、秤量25g/m2および200Paでの通気度6000 l(m2×s))にスプレーし、直ぐ、活性炭粒子(ココナッツ殻系、35×65USメッシュおよび/または20×40USメッシュ)の第1の充填を行った。続いて、スプレーした接着剤の第2の層(20g/m2)を適用した直後に、活性炭粒子の第2の電荷を適用した。最後に、接着剤の第3の層(20g/m2)をスプレーした後、第2のPETスパンボンドウェブ(リーメイ(Reemay)2275)をカバー層として適用した。得られたウェブ材料をロールに巻き付け、水分の存在による活性化により、接着剤を硬化した後(ウェブ成分および周囲環境で)、ロールをさらなる処理に用いてフィルタを作製した。
【0041】
以下に、作製した活性炭ウェブ材料をまとめた。
【0042】
【表2】

【0043】
例示の車室エアフィルタ装置の作製
作製したメルトブローンマイクロファイバーウェブ(上述したもの)のロールから供給されたウェブ材料およびガス吸着材料(上述したもの)のロールから供給されたウェブ材料を重ね合わせ、ガイドロールを通過することにより位置合せし、続いて、回転ディスクを備えた「クラッシュ−カット」ユニット間に供給して、予備カット/切込みを与える。重ね合わせ材料である。重ね合わせた予備カット材料に、プリーツ加工ユニット(ラボウスキブレードプリーツ加工機(Rabowski Blade Pleater)、ドイツ、ベルリンのラボウスキ社(Rabowski,Berlin,Germany)より市販)を用いてプリーツ加工した。どれもプリーツ高さは30mmであった。共プリーツ加工媒体を、試験フィルタについてプリーツの数およびプリーツ距離(プリーツ距離は6mm、8mmまたは10mmのいずれかであった)に適切に交差方向に切断し、予備カット線に沿って手で分離した。分離した共プリーツ加工媒体パックを、手で厚紙枠に糊付けして、250×200mmの寸法、すなわち、フィルタ表面積を備えたフィルタとした。このようにして、以下の車室エアフィルタを作製した。
【0044】
【表3】

【0045】
試験方法/手順
微粒子ろ過の試験、例えば、粒子効率、充填および初期圧損を、
E DIN71460−1:2003−05に従って、気温23+/−2℃、相対湿度50+/−3%(周囲環境圧1013hPaで)で、流量225m3/hおよび1.5バール作動圧力を用いて実施した。
【0046】
DIN ISO12103−1に従って試験ダストA4(SAE粗試験ダスト)を、エアロゾル発生器としてTSI型番3400流動床および0.5〜11μmの空力粒子サイズ(0.3〜7μm幾何粒子サイズ)の測定範囲を有するTSI APS型番3321粒子計測器と共に用いた。(サイズ特定ダイリューターは適用しなかった。)
【0047】
0.4μmの幾何粒子についての初期効率、および50〜100Paの圧損上昇(dP)での充填中のかかる粒子の効率を本明細書には記録してある。
【0048】
充填試験については、フィルタ試料を、DINのセクション8.3、コメント2に従って調整して、フィルタを前述の流量および作動圧力で、上述の試験ダストを160mg/m3の濃度で、予め測定した初期圧損プラス100Paに等しい最終圧損までそれぞれ25Paの4ステップで充填した。
【0049】
n−ブタン、トルエンおよびSO2の吸着ろ過試験
を、E DIN71460−2:1994−11に従って、気温23+/−3℃、相対湿度50+/−3%(周囲環境圧1013hPaで)で、流量225m3/hおよび1.5バール作動圧力を用いて実施した。フィルタ試料を前述のDINのパート5および3.1.2に概説されたとおりに調整した。
【0050】
n−ブタンおよびトルエンの試験について、該試験化合物と清浄な空気の混合物中の該試験化合物の濃度(上流)は、それぞれの場合において80ppm、SO2試験については30ppmであった。
【0051】
ガス分析器(n−ブタンおよびトルエンについてはモコン社(Mocon Inc.)製シリーズ8800FID、SO2については、モニターラプス社(Monitor Lapse Inc.)製型番ML98B)を用い、充填中、0、1、2.5、5、7.5、10、12.5および15分の充填時間で、試験化合物下流の濃度をモニターして、効率を求めた。
【0052】
15分間(上述のDINのセクション6.3に記載された破過時間までの代わりに)のガス充填後の容積を、上述のDINの付録Bに従って求めた。tEは15分(破過時間でなく)である。
【0053】
例示の車室エアフィルタについての粒子効率および通気試験の結果を以下の表に示す。
【0054】
【表4】

【0055】
例示の車室エアフィルタについてのガス効率および容量試験の結果を以下の表に示す。
【0056】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】例示の車室エアフィルタ装置の概略図である。
【図2】車室エアフィルタ装置に用いるのに好適な例示のろ過媒体の領域の概略拡大断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろ過媒体を含む車室エアフィルタ装置であって、前記ろ過媒体が、
(i)フィルタ層としてのエレクトレット帯電熱可塑性マイクロファイバーの不織ウェブであって、前記マイクロファイバーは、その有効繊維直径(EFD)が10μmを超え、固有抵抗が1014オーム・cmを超える熱可塑性樹脂と、フルオロケミカル化合物またはオリゴマー、有機トリアジン化合物またはオリゴマー、ヒンダードアミン化合物、芳香族アミン化合物、窒素含有ヒンダードフェノール、金属含有ヒンダードフェノールおよびこれらの混合物から選択される添加剤とを含み、秤量が60g/m2未満のウェブと、
(ii)吸着粒子充填層を含むガス吸着層であって、任意で、前記吸着層に結合された支持層および/またはカバー層をさらに含み、ガス吸着層の吸着粒子の秤量が少なくとも150g/m2であるガス吸着層と
を含み、
前記フィルタ層が、前記ガス吸着層の上流にあり、前記フィルタ層およびガス吸着層が、共プリーツ加工されていて、任意で前記ろ過媒体の1つ以上の外側端部以外は互いに実質的に結合されていない、前記ろ過媒体を含む車室エアフィルタ装置。
【請求項2】
前記ろ過媒体の前記フィルタ層の上流にプレフィルタ層がない請求項1に記載のエアフィルタ装置。
【請求項3】
前記ろ過媒体の前記フィルタ層の下流に第2の粒子フィルタ層がない請求項1または2に記載のエアフィルタ装置。
【請求項4】
ろ過媒体を含む車室エアフィルタ装置であって、前記ろ過媒体が、
(i)フィルタ層としてのエレクトレット帯電熱可塑性マイクロファイバーの不織ウェブであって、前記マイクロファイバーは、その有効繊維直径(EFD)が10μmを超え、固有抵抗が1014オーム・cmを超える熱可塑性樹脂と、フルオロケミカル化合物またはオリゴマー、有機トリアジン化合物またはオリゴマー、ヒンダードアミン化合物、芳香族アミン化合物、窒素含有ヒンダードフェノール、金属含有ヒンダードフェノールおよびこれらの混合物から選択される添加剤とを含み、秤量が60g/m2未満のウェブと、
(ii)吸着粒子充填層を含むガス吸着層であって、任意で、前記吸着層に結合された支持層および/またはカバー層をさらに含み、ガス吸着層の吸着粒子の秤量が少なくとも150g/m2であるガス吸着層と
から本質的になり、
前記フィルタ層が、前記ガス吸着層の上流にあり、前記フィルタ層およびガス吸着層が、共プリーツ加工されていて、任意でろ過媒体の1つ以上の外側端部以外は互いに実質的に結合されていない、前記ろ過媒体を含む車室エアフィルタ装置。
【請求項5】
前記フィルタ層不織ウェブの前記マイクロファイバーが、ハイドロチャージされている請求項1〜4のいずれか一項に記載のエアフィルタ装置。
【請求項6】
前記フィルタ層不織ウェブが、メルトブローン不織ウェブである請求項1〜5のいずれか一項に記載のエアフィルタ装置。
【請求項7】
前記フィルタ層の前記マイクロファイバーのEFDが、20μm以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載のエアフィルタ装置。
【請求項8】
前記フィルタ層の秤量が、20g/m2以上である請求項1〜7のいずれか一項に記載のエアフィルタ装置。
【請求項9】
前記フィルタ層不織ウェブの200Paでの通気度が、1000 l/(m2×s)以上である請求項1〜8のいずれか一項に記載のエアフィルタ装置。
【請求項10】
前記フィルタ層不織ウェブの200Paでの通気度が、4250 l/(m2×s)以下である請求項9に記載のエアフィルタ装置。
【請求項11】
前記フィルタ層不織ウェブの厚さが、1.5mm以下である請求項1〜10のいずれか一項に記載のエアフィルタ装置。
【請求項12】
前記フィルタ層不織ウェブの厚さが、0.25mm以上である請求項11に記載のエアフィルタ装置。
【請求項13】
前記吸着粒子が、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、カーボンブラック、ゼオライト粒子またはこれらの混合物を含む請求項1〜12のいずれか一項に記載のエアフィルタ装置。
【請求項14】
前記吸着粒子が、活性炭を含む請求項13に記載のエアフィルタ装置。
【請求項15】
前記ガス吸着層中の吸着粒子の秤量が、最大で1500g/m2である請求項1〜14のいずれか一項に記載のエアフィルタ装置。
【請求項16】
前記ガス吸着層の厚さが、2.75mm以下である請求項1〜15のいずれか一項に記載のエアフィルタ装置。
【請求項17】
前記ガス吸着層の厚さが、0.60mm以上である請求項16に記載のエアフィルタ装置。
【請求項18】
前記ガス吸着層中の吸着粒子の密度が、150,000g/m3以上である請求項16または17に記載のエアフィルタ装置。
【請求項19】
前記ガス吸着層の200Paでの通気度が、800 l/(m2×s)以上である請求項1〜18のいずれか一項に記載のエアフィルタ装置。
【請求項20】
前記ガス吸着層の200Paでの通気度が、4250 l/(m2×s)以下である請求項19に記載のエアフィルタ装置。
【請求項21】
前記吸着粒子充填層が、熱可塑性マイクロファイバーの不織ウェブとして構成されていて、吸着粒子が、前記ウェブ上に、かつ/または前記ウェブの前記繊維状構造内に配列および固定されている請求項1〜20のいずれか一項に記載のエアフィルタ装置。
【請求項22】
前記吸着粒子充填層が、熱可塑性ヤーンの織ウェブまたはネットとして構成されていて、吸着粒子が、前記織ウェブまたはネット上に、および/またはその内部におよび固定されている請求項1〜20のいずれか一項に記載のエアフィルタ装置。
【請求項23】
前記吸着粒子充填層が、溶融接着糸および/またはドットで形成されていて、吸着粒子が少なくとも点で前記スレッドおよび/またはドットに固定されている請求項1〜20のいずれか一項に記載のエアフィルタ装置。
【請求項24】
前記フィルタ装置の初期粒子捕捉効率が、0.4μm粒子について少なくとも90%である請求項1〜23のいずれか一項に記載のエアフィルタ装置。
【請求項25】
前記フィルタ装置の粒子捕捉効率が、50Paの圧損上昇で、充填中に、0.4μm粒子について少なくとも87%である請求項1〜24のいずれか一項に記載のエアフィルタ装置。
【請求項26】
前記フィルタ装置の充填能が、100Paの圧損上昇後、少なくとも20gである請求項1〜25のいずれか一項に記載のエアフィルタ装置。
【請求項27】
かかるフィルタ装置のフィルタ表面積が250mm×200mm、プリーツ高さが30mm、プリーツ距離が5〜約12mmであるとき、前記フィルタ装置の225m3/hの体積流量での初期圧損が100Pa以下である請求項1〜26のいずれか一項に記載のエアフィルタ装置。
【請求項28】
前記フィルタ装置の、n−ブタン、トルエン、SO2に対する初期吸着効率が少なくとも60%である請求項1〜27のいずれか一項に記載のエアフィルタ装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−531280(P2008−531280A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500766(P2008−500766)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/007529
【国際公開番号】WO2006/096486
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】