説明

車室外LEDランプ制御装置および電気接続箱

【課題】テールリレーを用いず、低コスト化を図ったLEDランプ制御装置および電気接続箱を提供する。
【解決手段】車室外LEDランプ制御装置1に、従来のテールリレーの代わりにSW検知回路3aとLEDドライバ3bとから構成されるテールドライバ3を備えた。そして、コンビSW2からの制御信号によりSW検知回路3aがLEDドライバ3bを経由してLEDランプ4に電流を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアコンビネーションランプ等に含まれる車室外に取り付けられるLEDランプの制御装置および制御装置が取り付けられる電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両の車室外には、自車両に関する情報を周囲に通知するためテールランプ、ストップランプ、クリアランスランプ、ターンシグナルランプなどのランプが備えられている。
【0003】
従来、この種のランプはフィラメントを有するバルブ(電球)が用いられていることが多かったが、近年は、消費電力や寿命などにおいてバルブよりも優れているLED(発光ダイオード)を用いられることが増加している(例えば、特許文献1)。
【0004】
図6に従来のLEDを用いたリアコンビネーションランプ(リアコンビランプ)の回路図を示す。リアコンビランプとは車両の後部に取り付けられるテールランプ、ストップランプ、クリアランスランプ、ターンシグナルランプなどを組み合わせたランプである。図6に示した回路図はコンビSW101と、テールリレー102と、LEDドライバ103と、LEDランプ104と、を備えている。
【0005】
コンビSW101は、図示しないECU(電子制御ユニット)などからのリアコンビランプの点灯指令を受けてコンビSW101内の図示しないテールSWを開閉制御(オフ/オン)する。テールSWは後述するテールリレー102内のコイル102aの他端と接続されている。
【0006】
テールリレー102は、コイル102aと、スイッチ102bを備え、コイル102aは、一端が電源に接続され他端がコンビSW101に接続されている。コイル102aは、コンビSW101においてテールSWが閉制御(オン)されると通電する。スイッチ102bはコイル102aが通電すると閉じる(オンする)。
【0007】
LEDドライバ103は、LEDランプ104に対して所定の電流を供給するための回路であり、例えばダイオードと、ダイオードに直列接続された複数並列に接続された抵抗とから構成される。
【0008】
上述したリアコンビランプは、図示しないECUなどから点灯指令がコンビSW101に入力されると、テールSWがオンとなる。テールSWがオンとなるとテールリレー102のコイル102aが通電しスイッチ102bがオンとなる。そして、電源からテールリレー102のスイッチ102bを経由して電流がLEDドライバ103で所定の電流値にされた後にLEDランプ104へ供給されLEDランプ104が点灯する。
【特許文献1】特開2002−270011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したリアコンビランプにおいて、テールリレー102は、本来ランプがバルブの場合のために設けられた回路であり、LEDランプ104を点灯させるためには、LEDランプ104を点灯するのに必要な電流を供給するLEDドライバ103をLEDランプ104の前段に設ける必要があった。つまり、図7に示すようにリアコンビランプ本体にLEDランプ104を設けていた。
【0010】
しかしながら、ランプがバルブとLEDランプ104が混在している場合はこのような構成でもよいが、ランプがLEDランプ104のみとなった場合はテールリレー102が過剰機能となってしまう。
【0011】
また、図6の回路では、テール右、テール左など各LEDランプ104の前段(すなわち、リアコンビランプ内)にLEDドライバ103を設けているのでコストアップとなってしまうという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、テールリレーを用いず、低コスト化を図ったLEDランプ制御装置および電気接続箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、所定の制御信号によって車室外に取り付けられるLEDランプの点灯を制御する制御手段を備えた車室外LEDランプ制御装置であって、前記制御手段が、前記LEDランプを点灯するために必要な所定の電流を供給する駆動回路を備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の発明は、前記制御手段が、前記所定の制御信号によってオン/オフ制御されるスイッチを備え、前記スイッチのオン/オフを切り替えることで前記駆動回路に前記所定の電流を供給するか否かを決定することを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記制御手段が、前記所定の制御信号によってオン/オフ制御されるトランジスタを備え、前記トランジスタのオン/オフを切り替えることで前記駆動回路に前記所定の電流を供給するか否かを決定することを特徴としている。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記駆動回路が、ダイオードと抵抗とを直列に接続した構成としていることを特徴としている。
【0017】
請求項5に記載の発明は、電気接続箱に請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車室外LEDランプ制御装置を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、制御手段にLEDランプを点灯するために必要な所定の電流を供給する駆動回路を備えることで、LEDランプ毎に駆動回路を設ける必要がなくなり低コスト化が図れる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、制御手段が所定の制御信号によってオン/オフ制御されるスイッチを備えているので、スイッチをオンにすることで駆動回路を経由して電源から電流をLEDに供給することができる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、制御手段が所定の制御信号によってオン/オフ制御されるトランジスタを備えているので、トランジスタをオンにすることで駆動回路を経由して電源から電流をLEDランプに供給することができる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、駆動回路が、ダイオードと抵抗とを直列に接続した構成としているので、電源から供給される電流をLEDランプを点灯させるために必要な電流にすることができる。
【0022】
請求項5記載の発明によれば、電気接続箱に請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車室外LEDランプ制御装置を備えたので、電気接続箱のテールリレーが収まっていたスペースに制御手段を収容することで、電気接続箱の仕様変更等の必要がなく低コストにLEDランプのみのシステムに対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる車室外LEDランプ制御装置を備えたリアコンビランプを示す回路図である。図2は、図1に示されたリアコンビランプのテールドライバの回路図である。図3は、ジャンクションボックスの説明図である。図4は、リアコンビランプ本体の説明図ある。
【0024】
リアコンビランプは、図1に示すようにコンビSW2と、テールドライバ3と、LEDランプ4と、を備えている。コンビSW2と、テールドライバ3は、本発明の一実施形態にかかる車室外LEDランプ制御装置1を構成している。
【0025】
コンビSW2は、図示しないECUなどからのリアコンビランプの点灯指令を受けてコンビSW2内のテールSW2aをオンにする。テールSW2aは、図2に示すように一端がテールドライバ3に接続され他端が接地されている。つまり、コンビSW2は、後述するテールドライバ3内のSW検知回路3a内のコイル3a1の通電/非通電の制御を行っている。
【0026】
制御手段としてのテールドライバ3は、SW検知回路3aとLEDドライバ3bとを備え、テールSW2aをオンにすることによってLEDランプ4に対して電源供給を行う。
【0027】
SW検知回路3aは、例えば図2に示すようにコイル3a1とスイッチ3a2とから構成される。コイル3a1は、一端が電源(+12V)に接続され他端がコンビSW2に接続されている。スイッチ3a2は、一端が電源(+12V)に接続され他端がLEDドライバ3bに接続されている。
【0028】
コイル3a1は、コンビSW2内のテールSW2aがオンにされると通電し、スイッチ3a2をオンにする。
【0029】
スイッチ3a2は、コイル3a1が通電するとオンになり電源(+12V)からLEDドライバ3bに電源を供給する。
【0030】
駆動回路としてのLEDドライバ3bは、ダイオード3b1と、ダイオード3b1と直列に接続された1または複数並列に接続された抵抗3b2とから構成されている。
【0031】
ダイオード3b1は一端がSW検知回路3aに接続され他端が抵抗3b2に接続されている。抵抗3b2は一端がダイオード3b1に接続され他端がLEDランプ4に接続されている。
【0032】
抵抗3b2は、図1に示すように複数(図1では3つ)を並列に接続してもよいし、図2に示すように1つでもよい。LEDドライバ3bは、他端が接続されるLEDランプ4に電源を供給する回路であるため、抵抗3b2は、LEDランプ4が必要とする電源(電流)に合わせて抵抗値や並列数を設定すればよい。
【0033】
LEDランプ4は、リアコンビランプの一部を構成するLED(発光ダイオード)であり、例えばテールランプとして機能する。LEDランプ4は、用いられる機能に必要な色や数が選択されテールドライバ3に接続されている。
【0034】
上述したリアコンビランプ回路は、図示しないECUから所定の制御信号としての点灯指令がコンビSW2に入力されると、テールSW2aがオンとなる。テールSW2aがオンとなるとテールドライバ3内のSW検知回路コイル3a内のコイル3a1が通電しスイッチ3a2がオンとなる。そして、電源(+12V)からテールドライバ3内のSW検知回路3a内のスイッチ3a2を経由して電流がLEDドライバ3bで所定の電流値に調整された後にLEDランプ4へ供給されLEDランプ4が点灯する。すなわち、点灯指令によってコイル3a1を通電させ、スイッチ3a2のオン/オフを切り替えることで駆動回路に所定の電流を供給するか否かを決定している。
【0035】
上述した車室外LEDランプ制御装置1は、ジャンクションボックスJBと呼ばれる電気接続箱に搭載されている。ジャンクションボックスJBは、リレーやヒューズおよび各種電子部品や基板などが搭載されるとともにワイヤーハーネスが接続される端子などが設けられている。
【0036】
テールドライバ3は、図3に示すように従来設けられていたマイクロISOパッケージのテールリレーと同サイズ、同端子ピッチの回路部品としてテールリレーが収容されていたスペースに搭載される。このように、車室外LEDランプ制御装置1をジャンクションボックスJBに搭載することで図7に示したようにリアコンビランプにLEDドライバ3bを搭載していたのが図4に示すようにリアコンビランプ本体からLEDドライバ3bを削除することができる。
【0037】
以上の車室外LEDランプ制御装置1によれば、テールリレーの代わりにSW検知回路3aとLEDドライバ3bとを備えたテールドライバ3を備えたために、テールリレーを削除でき、また、リアコンビランプ側に設けていたLEDドライバ3bをジャンクションボックスJBに設けて集中制御でLEDランプ4を点灯させることができるので、低コスト化が図れる。
【0038】
また、テールドライバ3は、テールリレーと同サイズで同端子ピッチとしているためにジャンクションボックスJBの変更を行わずにテールリレーを置き換えることができるので電気接続箱の仕様変更等の必要がなく低コストにLEDランプのみのシステムに対応できる。
【0039】
なお、上述した実施形態ではSW検知回路3aを図2に示すようにコイル3a1とスイッチ3a2とで構成していたが、図5に示すようにトランジスタ3a3で構成しても良い。トランジスタ3a3は、エミッタに電源(+12V)、コレクタにLEDドライバ3b、ベースにコンビSW2がそれぞれ接続されている。つまり、トランジスタ3a3をスイッチング素子として使用し、コンビSW2がSW検知回路3aに対してテールSW信号を出力してトランジスタ3a3をオン状態にして電源(+12V)からLEDドライバ3bを経由してLEDランプ4に電源供給する。すなわち、トランジスタのオン/オフを切り替えることで駆動回路に所定の電流を供給するか否かを決定している。
【0040】
また、上述した実施形態は、リアコンビランプについて説明したがリアコンビランプに限らず、バルブのみまたはLEDランプとバルブが混在しているランプをLEDランプのみに変更する際に本発明を適用できる。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態にかかる車室外LEDランプ制御装置を備えたリアコンビランプを示す回路図である。
【図2】図1に示されたリアコンビランプのテールドライバの回路図である。
【図3】ジャンクションボックスの説明図である。
【図4】リアコンビランプ本体の説明図ある。
【図5】テールドライバの他の実施形態の回路図である。
【図6】従来のリアコンビランプの回路図である。
【図7】従来のリアコンビランプの説明図ある。
【符号の説明】
【0043】
1 車室外LEDランプ制御装置
2 コンビSW
3 テールドライバ(制御手段)
3a SW検知回路
3a2 スイッチ
3a3 トランジスタ
3b LEDドライバ(駆動回路)
3b1 ダイオード
3b2 抵抗
4 LEDランプ
JB ジャンクションボックス(電気接続箱)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の制御信号によって車室外に取り付けられるLEDランプの点灯を制御する制御手段を備えた車室外LEDランプ制御装置であって、
前記制御手段が、前記LEDランプを点灯するために必要な所定の電流を供給する駆動回路を備えたことを特徴とする車室外LEDランプ制御装置。
【請求項2】
前記制御手段が、前記所定の制御信号によってオン/オフ制御されるスイッチを備え、前記スイッチのオン/オフを切り替えることで前記駆動回路に前記所定の電流を供給するか否かを決定することを特徴とする請求項1に記載の車室外LEDランプ制御装置。
【請求項3】
前記制御手段が、前記所定の制御信号によってオン/オフ制御されるトランジスタを備え、前記トランジスタのオン/オフを切り替えることで前記駆動回路に前記所定の電流を供給するか否かを決定することを特徴とする請求項1に記載の車室外LEDランプ制御装置。
【請求項4】
前記駆動回路が、ダイオードと抵抗とを直列に接続した構成としていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車室外LEDランプ制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車室外LEDランプ制御装置を備えたことを特徴とする電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−273390(P2008−273390A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−119629(P2007−119629)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】