説明

車軸のための軸懸架部

軸体(3)及びこの軸体(3)の両端部において軸体(3)に交差する、車両に支持されている軸リンク(10)を備えた車両のための軸懸架部を提案する。各軸リンク(10)は2つの部分から成っており、車両方向において前方の軸区分と、車両方向において後方のリンク区分とから構成される。2つのリンク区分(11,12)にシェル(21,22)が一体成形されている。シェル(21,22)の内面は、軸体(3)の長手方向区分に対して比較的大きな長さに亘って当接するように、軸方向に延びている。リンク区分(11,12)は、軸体(3)の2つの異なる側において軸体に対して横方向に延びている引張エレメント(33,34)により互いに接合されている。引張エレメント(33,34)はシェル(21)の周囲を案内されているねじ山付き湾曲体(31)の構成部分であってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車軸のための軸懸架部であって、軸体と、この軸体の両端部において軸体と交差する軸リンクとを備えており、これらの軸リンクは車両に支持されており、各軸リンクは少なくとも1つの、車両方向において前方及び後方のリンク区分から構成されていて、2つのリンク区分にシェルが一体成形されており、これらのシェルの内面が軸体の長手方向区分に接しているように軸方向に延びている、車軸のための軸懸架部に関する。
【0002】
上述の特徴を有する軸懸架部は、国際特許出願公開第2004054825号明細書において公知である。
【0003】
本発明により、先行技術に比べて改良された、簡単で少ない個別部分のみから組付け可能である軸懸架部を提供することが望まれる。
【0004】
解決手段として、請求項1の特徴部を備えた軸懸架部を提案する。
【0005】
軸懸架部の有利な構成が従属請求項に記載されている。
【0006】
一構成によれば、各シェルは少なくとも1つの第1及び第2の平坦な内面を有している。第1及び第2の内面は互いに角度を成している。有利には、シェルは、軸方向に見て、90°又は90°よりも僅かに小さい内角を備えたV字形の内面輪郭を有している。
【0007】
別の構成において、内角の角領域に歯付き構造を形成することを提案する。この歯付き構造は軸体の材料内に引張エレメントの引締め時に食い込む。これにより軸リンクと軸体との間に形状接続がもたらされ、とりわけ軸方向にも形状接続がもたらされる。
【0008】
さらに別の構成において、少なくとも走行方向において前方のリンク区分が鋳造部分であることが提案される。有利には走行方向において後方のリンク区分も鋳造部分である。
【0009】
さらに別の構成においては、引張エレメントはU字湾曲部分に基づき形成されたねじ山付き湾曲体の構成部分である。ねじ山付き湾曲体は湾曲区分において、2つのリンク区分の一方に配置されている受けの周囲を案内されている。引張エレメントは軸体の領域において軸リンクの延在に対して平行に延びている。有利には、リンク区分の上面及び/又は下面から突出している突起が受けとして働く。突起には突起の基部に沿って、湾曲区分の湾曲に対応する溝が設けられている。
【0010】
択一的な構成においては、引張エレメントは、2つのシェルの一方の周囲を案内されているねじ山付き湾曲体の構成部分である。ねじ山付き湾曲体の両自由端部は、他方のシェルにねじ止めされている。有利にはねじ山付き湾曲体には、シェル周囲の案内に沿って連続して、45°、90°そして再度45°の屈曲部が設けられている。
【0011】
さらに別の構成において、ねじ山付き湾曲体は前方のリンク区分に一体成形されているシェルの周囲を外側において案内されている。
【0012】
さらに別の構成において、引張エレメントの自由端部に、後方のリンク区分に一体成形されたシェルに支持されるねじ山付きナットが螺嵌されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】エアサスペンション式の車軸のための、軸懸架部の第1の実施の形態の斜視図である。
【図2】軸懸架部の別の斜視図である。
【図3】軸懸架部の2つの部分から成る軸リンクの斜視図であり、図面を見やすくする理由から、軸体は示さない。
【図4】軸懸架部の個別の部分を分解した斜視図である。
【図5】2つの部分から成る軸リンクの個別の部分の側面図であり、特に軸リンクの軸体を取り囲む内面を示す図である。
【図6】エアサスペンション式の車軸のための軸懸架部の第2の実施の形態を示す側面図である。
【図7】図6に示した軸懸架部の斜視図である。
【図8】軸リンクと車軸との接合領域を拡大して示す斜視図である。
【0014】
さらなる利点及び詳細については、図示の軸懸架部の実施の形態に関する以下の説明において明かにする。
【0015】
図示の軸懸架部は、とりわけ連続した軸体を備えた車軸のために使用される。この軸は道路運転における大きな輸送重量及び荷重のために設計されているので、上述の車軸は、とりわけ高荷重領域、特にトラックのトレーラ及びセミトレーラに使用される。
【0016】
各車両側面における車両シャシ(図示せず)の長手方向支持体の下側に、リンク支持部1が取り付けられている。このリンク支持部1は軸懸架部のための旋回支承部2を収容する。一方の車両側面から他方の車両側面に剛に貫通している軸体3の案内のために、各車両側面において軸リンク10が働く。軸リンク10の前方の端部には、旋回支承部の構成部分である一体に鋳造されたリンクアイ2が設けられている。したがってこれにより、ピン2aにより軸リンク10は鉛直方向に旋回可能にリンク支持部1に保持される。旋回支承部2の構成部分は、ピン2aを囲むゴムエレメント又はエラストマエレメントであってよい。ゴムエレメント又はエラストマエレメントは、旋回支承部において半径方向でのある程度の運動を可能にする。上述のエレメントは公知である。
【0017】
軸リンク10の走行方向で後方に、エアサスペンション14のための載置面13が形成されている。エアサスペンション14の上側の終端プレート15は、下方から車両シャシの対応する長手方向支持体を支持する。
【0018】
軸リンク10は2つの部分から構成されている。軸リンク10は、走行方向において前方若しくは上流側の円弧状に上方に湾曲して形成されているリンク区分11と、走行方向において後方若しくは下流側の円弧状に下方に湾曲されているリンク区分12とから構成される。後方のリンク区分12に、エアサスペンション14のための載置面13が一体成形されている。前方のリンク区分11に固定ピン又はショックアブソーバのための固定アイ18が一体成形されている。
【0019】
前方のリンク区分11は旋回支承部2の支承アイから軸体3にまで延びており、前方のリンク区分11の後方の端部は斜め下方に延びている。後方のリンク区分12は軸体3からエアサスペンション14のための載置面13にまで延びている。後方のリンク区分12の前方の端部は斜め上方に延びている。軸リンク10が2つの部分から成っているということは、適切な大きさにおけるリンク区分11,12の選択により、旋回支承部2と、軸体3と、エアサスペンション14との間の車両特有の間隔が個別に、つまり顧客に合わせて実現可能であるので有利である。
【0020】
前方のリンク区分11は鋳鉄、有利には球状黒鉛鋳鋼(Sphaerostahlguss)から成っている。有利には後方のリンク区分12も鋳鉄、有利には球状黒鉛鋳鋼から成っている。
【0021】
図2によれば軸体3は、軸体3の長さの大部分において軸管として構成されている。軸管はほぼ正方形の横断面を有しているので、軸管の外面として上面4、下面5、走行方向において前方を向いている面6及び車両後方を向いている面7がもたらされる。これらの面4,5,6,7の間に、軸管横断面は四分円形状の湾曲部を有している。
【0022】
軸管は上側及び下側の半割シェルの溶接により接合される。これにより半割シェルの接合領域に溶接シーム8がもたらされる。完成した軸管に沿って、中立の撓み曲線に配置されている溶接シーム8は、軸管の両面6,7において長く延びた隆起部をもたらす。さらに、軸管の端部に溶接されている軸区分(Achsschenkel)9は軸体3の構成部分である。各軸区分9には各車両ホイールが回動可能に支承されている。
【0023】
2つの部分から成る軸リンク10の前方のリンク区分11に、ショックアブソーバ19を支持するための固定アイ又は固定ピン18が一体鋳造されている。ショックアブソーバ19の他方の端部でショックアブソーバ19は剛性の高いリンク支持部1の上側の領域においてヒンジ式に支持されている。
【0024】
2つの軸リンク10における軸体3の組込みは、2つのリンク区分11,12の間の軸体3の形状接続式の挟込みにより行われる。そのために前方のリンク区分11には横断面においてV字形のシェル21が設けられており、後方のリンク区分12にも横断面においてV字形のシェル22が設けられている。シェル21,22は鋳造されたリンク区分11,12の一体の構成部分である。軸リンク10における最適な力の経路のために、リンク区分11は斜め下方にシェル21に突き当たり、リンク区分12は斜め上方にシェル22に突き当たるような鋳造構成である。リンク区分11,12のシェル21,22の内面によってリンク区分11,12は軸体3の対応する面4,5,6,7に平面的に支持される。引張エレメントにより必要なクランプ力が達成される。これらの引張エレメントは軸体3を間に配置して、一方のシェル21を他方のシェル22に緊締する。この緊締は、図5に示すように、水平方向に対して傾いた角度Wを成して行われる。
【0025】
図1〜5に示す実施の形態において各シェル21,22は、軸方向に見て、各リンク区分11,12の通常の幅Bよりも明らかに大きい長さL(図4)を有している。こうして、軸方向において、軸体3の対応する長手方向区分におけるシェル21,22の長い支持がもたらされる。
【0026】
図5によれば、2つの各シェル21,22は、軸方向に見て、少なくとも1つの第1の平坦な内面と、この第1の平坦な内面に対して直角を成して配置されている第2の平坦な内面とを有している。つまり、同一平面にある2つの第1の平坦な内面23a,23bと、これらの第1の平坦な内面23a,23bに対して直角に配置されている、同一平面にある2つの第2の平坦な内面24a,24bである。互いの上述の角度は、とりわけ有利には90°よりも少し小さく、例えば88°又は89°である。組み付けられた状態においてシェル21,22の直角の輪郭が少しだけ拡開されることにより、完全に直角でない内角に基づき、引張エレメント31の引締め時にクランプ応力を高めつつ、正方形の軸体3の同様に平坦な面4,5,6,7と、平坦な内面23a,23b及び24a,24bとの密着をもたらす。内面23a,23b,24a,24bは、軸体3の外面に対して遊びなく面接触する。組付け時に軸管の溶接シーム8(図2)がある位置、つまり同一平面に配置されている内面23a,23bの間に、十分に大きな切欠き25がシェル21,22に設けられているということは、遊びのない面接触に寄与する。したがって、切欠き25の領域において、シェル21,22の内面と軸体3とは接触しない。2つの他の内面24a,24bの間にも、とりわけ比較的平坦になっている類似の切欠き26が設けられている。
【0027】
軸懸架部が取り付けられている場合、前方のリンク区分11のシェル21は同時に上面4及び軸体の前方を向いている面6に支持される。これに対して、他のシェル22は同時に下面5と軸体の後方を向いている面7とに支持される。したがって2つのシェル21,22の内面は一緒に、軸体3をほぼ軸体3の全周に亘って取り囲む。とりわけ一方のシェル21の外縁と他のシェル22の隣り合う外縁との間に夫々、ある程度囲まれていない周間隔A(図2,図5)が残されている。どのような場合であっても、また軸懸架部に強力なねじり荷重が加わった場合であっても、2つのシェル21,22が接触しないように間隔Aは必要である。
【0028】
公差補償のために、シェル21,22の内面と軸体3との間には、さらに介在板、例えば肉薄の金属薄板が配置されていてよい。
【0029】
以下に、どのようにしてリンク区分11,12のシェル21,22を、軸体3の2つの異なる側において軸体に対して横方向に延びている複数の引張エレメント33,34により互いに引っ張ることができるかを説明する。図1〜5に示す実施の形態において、軸リンク10の車両内側にも車両外側にも、ねじ山付き湾曲体31が夫々設けられている。このねじ山付き湾曲体31は3回曲げられた湾曲区分32と、互いに平行な2つの真っ直ぐな区分33,34から成っている。真っ直ぐな区分33,34は実際の引張エレメントとして引張力を伝達し、引張エレメントの自由端部の領域において、ねじ山付き区分として形成されている。このねじ山付き区分に夫々、ねじ山付きナット35が螺嵌可能である。
【0030】
ねじ山付き湾曲体31は、曲げられた区分、つまり湾曲区分32がリンク区分11のシェル21に外側から遊びなしで接触するように成形されている。シェル21の周囲において湾曲区分32が案内されている。ねじ山付き湾曲体31による囲み案内は、シェル21の長さLが隣接するリンク区分11の幅Bから突出している(図4)シェル21の軸方向において見た長手方向区分において行われる。したがって、シェル21の外面は湾曲部31の緊締時の受けを形成する。
【0031】
シェル21周囲の案内部に沿って、ねじ山付き湾曲体31は連続して、45°、90°、再び45°の屈曲部を有している。したがって、湾曲区分32に沿ったシェル21周囲の案内部は、リンク区分11の両側においてシェル21のV字形の外側輪郭と同様にV字形である。
【0032】
軸方向におけるねじ山付き湾曲体31の滑落を回避するために、シェル21には、軸管に向かって沈み込んだ、湾曲区分32の取付けのための、通路状の凹部39が設けられている。ねじ山付き湾曲体31は湾曲区分32の長さに亘って、ねじ山付き湾曲体31の他の長さ区分よりも平坦な横断面を有している。
【0033】
他の、つまり後方のリンク区分12に一体成形されているシェル22には、ねじ山付き湾曲体31の、引張エレメントとして働く2つの真っ直ぐな区分33,34のための貫通案内部と押圧面37とが設けられている。この押圧面37において、螺嵌されたねじ山付きナット35は、場合によってはワッシャ36を介在させて支持される。
【0034】
軸体3の接合部の領域に引張エレメント33,34が、軸リンク10の延在に沿って、つまり軸リンク10の延在に平行に延びているので有利である。これにより引張エレメント33,34の端部はナット35が螺嵌された状態で、後方にかつ斜め下方に延びている。このことは図5において矢印R及び水平方向に対して角度Wを持って示してある。これにより、とりわけ上側の引張エレメント34及び上側の引張エレメント34のナット35の最適に保護された状態がもたらされる。その理由は、例えば欧州特許出願公開第1088687号明細書に記載の構造においてもたらされることがある、引張エレメント34若しくはナット35と車両の上側に配置されたシャシ部分との接触に、軸リンクが極端にバウンドした場合ですら繋がらないからである。
【0035】
走行方向において前方のリンク区分11も、走行方向において後方のリンク区分12も、鋳造プロセスにおいて製造可能な中空体として構成されている。鋳造プロセス時の中子の除去を良好に行うために、付加的な開口40,41,42が設けられていてよい。さらに、リンク区分11の内部もリンクアイ2及びシェル21の内面に向かって開放していることは、リンク区分11を鋳造技術的に鋳型から取り外すことに寄与する。
【0036】
有利な前方のリンク区分の、走行運転中の変形特性を達成するために、図4によれば、リンク区分11の横断面がリンクアイ2の後方では最小であり、後方に向かって、つまりシェル21に向かって連続的に増大する。このことは、リンクアイ2の後方のリンク区分11の幅Bが最小であり、シェル21に向かって連続的に増大することにより達成することができる。リンク区分11の高さHもガイドアイ2の後方において最小であり、シェル21に向かって連続的に増大する。
【0037】
曲げられた輪郭を鋳造技術により前方のリンク区分11の下面に一体成形することもでき、例えばドイツ連邦共和国特許出願第102006015671号明細書に記載されている。
【0038】
このような輪郭において、軸を持ち上げるために圧縮空気により操作される軸リフトのピストンロッドを支持することができる。
【0039】
2つのシェル21,22の内面には夫々、軸体3への力接続を改良するために歯付き構造45が設けられている。この構造は内面23aと、この内面23aに対して直角を成す内面24aとの間の丸味付けされた角領域に設けられている。構造45は鋳造技術により一体成形することができるものの、有利には後にフライス加工により製造され、有利には同様に内面23a,23b,24a,24bも、鋳造部分の後の切削加工により製造することができる。
【0040】
ねじ山付き湾曲体31のねじ山付きナット35の引締めによるシェル21,22の緊締時に、角の丸味付け部の領域に配置されている歯付き構造45は平らな軸体3の外面における対応する丸味付け部に食い込む。これにより周方向における形状接続だけではなく、軸体の表面及び材料内への構造45の上述の食込みにより、軸方向における形状接続ももたらされる。
【0041】
図6〜8に本発明に係る軸懸架部の第2の実施の形態を示す。同一又は機能に関して同じ部分及びエレメントには、図1〜5に示した第1の実施の形態と同じ符号を付す。
【0042】
図6〜8に示す実施の形態は、2つのシェル21,22の形態及び2つのねじ山付き湾曲体31の配置の点で第1の実施の形態とは異なる。
【0043】
シェル21,22は、軸体3の長手方向において見て、各リンク区分11,12の幅Bよりも長くないか、又はいずれにしても実質的に長くない。方形の軸体3との当接にとって重要な角度付けされたシェル形状は、実質的に、前方のリンク区分11の後方の端部及び後方のリンク区分12の前方の端部に角度のある切欠きが設けられていることにより達成される。これにより、両方の実施の形態において、横断面においてV字形のシェル21,22がもたらされる。したがってシェル21,22は上述の第1の実施の形態のシェルよりも短く、リンク区分11,12の一体の構成部分である。
【0044】
また、軸リンク10における最適な力経路のためにリンク区分11,12の形態は、斜め下方に方向付けられたリンク区分11の後方の端部がシェル21を形成し、斜め上方に方向付けられたリンク区分12の前方の端部がシェル22を形成するようになっている。このように形成された内面によって、リンク区分11,12は軸体3の対応する面4,5,6,7に対して平面で支持される。また、必要なクランプ力は組付け可能及び取外し可能な引張エレメントにより達成される。引張エレメントは前方のリンク区分11のシェル21を、軸体3を介在させて後方のリンク区分12のシェル22に対して緊締する。この緊締は水平方向に対して斜めの角度Wを成して行われる。
【0045】
リンク区分11,12の相対する緊締は同様に2つのねじ山付き湾曲体31により行われる。2つのねじ山付き湾曲体31は夫々、1つの曲げられた湾曲区分32と、実際の引張エレメントとして引張力を伝達する互いに平行な2つの真っ直ぐな区分33,34とから成っている。引張エレメントの自由端部の領域において区分33,34には、雄ねじ山が設けられている。この雄ねじ山に夫々、ねじ山ナット35が螺嵌されている。
【0046】
各ねじ山付き湾曲体31の湾曲区分32は、前方のリンク区分11に一体成形された受け50の周囲を案内されている。受け50はリンク区分11に一体成形された突起である。この突起には湾曲区分32の湾曲に対応する溝が設けられている。第1の突起がリンク横断面を弱化することなく、リンク区分11の上面51から突出しており、第2の突起がリンク区分11の下面52から突出していることが、図1から看取可能である。各突起には、突起の基部に沿って湾曲区分32の湾曲に対応する溝が設けられているので、湾曲区分32は上述の溝において形状接続式に延在し、突起、つまり受け50から外れ出ることはない。
【0047】
ねじ山付き湾曲体31を上述のように配置しても、軸体3の接合部の領域において、引張エレメント33,34は軸リンク10の延在に沿って、つまり延在に対して平行に延びていて、端部にナット35が螺嵌されている引張エレメント33,34の端部は、後方で斜め下方に延在している。したがってまた、軸リンクの極端なバウンドの場合であっても、上側に配置された車両のシャシ部分との接触は起こらないので、引張エレメントの最適に保護された状態が達成される。第1の実施の形態同様、先行技術と比べて改良された軸懸架部がもたらされる。この軸懸架部は簡単に組付け可能であり、少ない個別部分からのみ成っている。軸懸架部のリンク区分が別体の引張エレメント33,34により接合されているので、軸懸架部はさらに少ない手間で、例えば修理目的で、破壊することなく再び取り外すことができる。
【符号の説明】
【0048】
1 リンク支持部、 2 リンクアイ、 2a ピン、 3 軸体、 4 上面、 5 下面、 6 前方を向く面、 7 後方を向く面、 8 溶接シーム、 9 軸区分、 10 軸リンク、 11 前方のリンク区分、 12 後方のリンク区分、 13 載置面、 14 エアサスペンション、 15 閉鎖プレート、 18 固定ピン、固定アイ、 19 ショックアブソーバ、 21 シェル、 22 シェル、 23a 内面、 23b 内面、 24a 内面、 24b 内面、 25 切欠き、 26 切欠き、 31 ねじ山付き湾曲体、 32 湾曲区分、 33 引張エレメント、ねじ山付き区分、 34 引張エレメント、ねじ山付き区分、 35 ねじ山付きナット、 36 ワッシャ、 37 押圧面、 39 凹部、 40 開口、 41 開口、 42 開口、 45 歯付き構造、 50 受け、 51 上面、 52 下面、 A 周方向間隔、 B 幅、 H 高さ、 L 長さ、 R 方向、 W 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車軸のための軸懸架部であって、軸体(3)と、該軸体(3)の両端部において前記軸体(3)と交差する、車両に支持されている軸リンク(10)とを備えており、該各軸リンク(10)は走行方向において前方の少なくとも1つのリンク区分(11)と、走行方向において後方の少なくとも1つのリンク区分(12)とから構成されており、両リンク区分(11,12)にシェル(21,22)が一体成形されており、該シェル(21,22)の内面が軸方向に延びていて、前記軸体(3)の長手方向区分に接触している、車軸のための軸懸架部において、
前記リンク区分(11,12)は、前記軸体(3)の2つの異なる側において前記軸体(3)に対して横方向に延びている引張エレメント(33,34)により互いに接合されていることを特徴とする、車軸のための軸懸架部。
【請求項2】
前記各シェル(21,22)は少なくとも1つの第1の平坦な内面(23a,23b)と、少なくとも1つの第2の平坦な内面(24a,24b)とを有しており、前記第1及び第2の内面は互いに角度を成していることを特徴とする、請求項1記載の軸懸架部。
【請求項3】
軸方向に見て前記シェル(21,22)は90°又は90°よりも僅かに小さい内角を備えたV字形の内面輪郭を有していることを特徴とする、請求項1又は2記載の軸懸架部。
【請求項4】
前記引張エレメント(33,34)の引締めに基づいて軸体(3)の材料内に食い込む、前記角の角領域に形成されている歯付き構造(45)を有することを特徴とする、請求項2又は3記載の軸懸架部。
【請求項5】
前記前方及び後方のリンク区分(11,12)は夫々、鋳造部分であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項記載の軸懸架部。
【請求項6】
前記引張エレメント(33,34)はU字湾曲部の形式に構成されたねじ山付き湾曲体(31)の構成部分であり、該ねじ山付き湾曲体(31)は湾曲区分(32)によって、前記2つのリンク区分(11,12)の一方に配置されている受け(50)の周囲を案内されており、前記引張エレメント(33,34)は前記軸体(3)の領域において、前記軸リンク(10)の延在に対して平行に延びていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項記載の軸懸架部。
【請求項7】
前記受け(50)は前記リンク区分(11,12)の上面及び/又は下面から突出している突起であり、該突起には前記湾曲区分(32)の湾曲に対応する溝が設けられていることを特徴とする、請求項6記載の軸懸架部。
【請求項8】
引張エレメント(33,34)は、前記湾曲区分(32)によって前記2つのシェルのうち一方のシェル(21)の周囲を案内されている前記ねじ山付き湾曲体(31)の構成部分であり、前記引張エレメント(33,34)の自由端部は前記両シェルの他方のシェル(22)に螺合されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項記載の軸懸架部。
【請求項9】
前記シェル(21)の周囲の案内部に沿って連続して、45°、90°そして再度45°の屈曲部が前記ねじ山付き湾曲体(31)に設けられていることを特徴とする、請求項8記載の軸懸架部。
【請求項10】
前記ねじ山付き湾曲体(31)は前記前方のリンク区分(11)に一体成形されているシェル(21)の周囲を外側から案内されていることを特徴とする、請求項8又は9記載の軸懸架部。
【請求項11】
前記ねじ山付き湾曲体(31)は前記シェル(21)の周囲の案内部に沿って、平坦化された横断面を有していることを特徴とする、請求項8から10までのいずれか一項記載の軸懸架部。
【請求項12】
前記ねじ山付き湾曲体(31)は前記シェル(21)の周囲の案内部に沿って、凹部(39)内に位置していることを特徴とする、請求項8から11までのいずれか一項記載の軸懸架部。
【請求項13】
前記引張エレメント(33,34)の自由端部にねじ山付きナット(35)が螺嵌されており、該ねじ山付きナット(35)は前記後方のリンク区分(12)に一体成形されているシェル(22)に支持されることを特徴とする、請求項6から12までのいずれか一項記載の軸懸架部。
【請求項14】
前記引張エレメント(33,34)の自由端部は後方へ斜め下方に延びていることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか一項記載の軸懸架部。
【請求項15】
前記前方のリンク区分(11)は前記シェル(21)に向かって連続して増大する横断面を有していることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか一項記載の軸懸架部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−510928(P2012−510928A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539892(P2011−539892)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【国際出願番号】PCT/DE2009/001690
【国際公開番号】WO2010/066232
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(507349721)
【氏名又は名称原語表記】BPW Bergische Achsen KG
【Fターム(参考)】