説明

車載ランプ点灯回路

【課題】配線構造を複雑にすることなく、複数の車載ランプの点灯制御ができる車載ランプ点灯回路を提供する。
【解決手段】車載ランプ点灯回路を、ダイオード21,22及び抵抗23から構成する。ダイオード21のアノードは、電源Vbの正側に接続し、カソードをリアランプ10L,10Rに接続している。ダイオード22のアノードは、電源Vbの正側に接続し、カソードを抵抗23を介してダイオード21のカソードに接続している。また、ダイオード21のアノードはハイマウントストップランプ11に接続し、ダイオード22のアノードはライセンスプレートランプ12に接続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる大きさの電流を車載ランプに供給する車載ランプ点灯回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載される車載機器の数は増加しており、それに伴い、各機器を接続する通信線、及び電力を供給する電力線なども増加している。このため、車両内の配線スペース及びコストの増大、また配線構造の複雑化などの問題があった。斯かる問題を解決するために、特許文献1には、ランプ系統の配線を簡易化することができる回路システムが開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の回路システムは、車両のリアランプであるストップランプ及びテールランプに係る配線を簡易化するための回路システムであって、左右一対で一つのリアランプを、ストップランプとテールランプとの2つのランプとして機能させている。具体的には、ストップランプとして機能させる場合と、テールランプとして機能させる場合とにおいて異なる大きさの電流がリアランプに流れるように、ストップランプの回路とテールランプの回路とを同一回路で構成している。これにより、リアランプは、21Wで点灯する場合にはストップランプとなり、5Wで点灯する場合にはテールランプとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−189093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の回路システムにより、ストップランプ及びテールランプを搭載した車両内の配線の簡易化を実現できるようになった。しかしながら、車両には、ストップランプ及びテールランプの他に、ハイマウントストップランプ及びライセンスプレートランプなど複数の車載ランプが搭載されている。このため、車載ランプの数が増加した場合には、特許文献1では問題を確実に解決することはできない。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、配線構造を複雑にすることなく、複数の車載ランプの点灯制御ができる車載ランプ点灯回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車載ランプ点灯回路は、アノードが電源の正側に接続されている第1及び第2整流素子と、一端が前記第2整流素子のカソードに接続され、他端が前記第1整流素子のカソードに接続されている抵抗と、前記第1整流素子のカソードと第1車載ランプとを接続している第1電流路と、前記第1整流素子のアノードと第2車載ランプとを接続している第2電流路と、前記第2整流素子のアノードと第3車載ランプとを接続している第3電流路とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、第1車載ランプには、第1整流素子のみを通過した電流、及び第2整流素子と抵抗とを通過した電流が供給される。後者の電流は、抵抗を通過する分、前者の電流よりも小さい。従って、前者の電流が第1車載ランプに流れた場合、第1車載ランプは、後者の場合よりも明るく点灯する。この結果、第1車載ランプは異なる輝度で点灯することで、2つの発光態様を有する。また、第1整流素子に電流が流れる場合には、第2電流路にも電流が流れ、第2車載ランプが点灯する。一方、第2整流素子に電流が流れる場合には、第3電流路にも電流が流れ、第3車載ランプが点灯する。すなわち、第1車載ランプの発光態様を変えた場合、それに伴い、第2又は第3車載ランプを点灯させることができる。これにより、第2及び第3車載ランプを点灯させるための回路を別途構成する必要がなくなり、配線の簡易化を図ることができると共に、コストの高騰を抑制できる。
【0009】
本発明に係る車載ランプ点灯回路は、前記第2車載ランプはハイマウントストップランプであり、前記第3車載ランプはライセンスプレートランプであることを特徴とする。
【0010】
本発明においては、ハイマウントストップランプと、ライセンスプレートランプとを備える車両における配線を簡易化することができる。
【0011】
本発明に係る車載ランプ点灯回路は、前記第1車載ランプは、ストップランプ及びテールランプ兼用の車載ランプであることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、第1車載ランプが、ストップランプ及びテールランプを兼用することで、ランプ数を減らすことができ、配線の簡易化を図ることができると共に、コストの高騰を抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、第1車載ランプは異なる輝度で点灯することで、2つの発光態様を有する。また、第1車載ランプの発光態様を変えた場合、それに伴い、第2又は第3車載ランプを点灯させることができる。第2及び第3車載ランプを点灯させるための回路を別途構成する必要がなくなり、配線の簡易化を図ることができると共に、コストの高騰を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態に係る車載ランプ点灯回路を模式的に示す回路図である。
【図2】実施の形態に係る車載ランプ点灯回路により点灯制御される車載ランプを搭載した車両を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る車載ランプ点灯回路の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る車載ランプ点灯回路を模式的に示す回路図である。図2は、本実施の形態に係る車載ランプ点灯回路により点灯制御される車載ランプを搭載した車両を示す斜視図である。本実施の形態に係る車載ランプ点灯回路は、図2に示す車両100の後部に搭載されたリアランプ(第1車載ランプ)10L,10R、ハイマウントストップランプ(第2車載ランプ)11及びライセンスプレートランプ(第3車載ランプ)12の点灯制御を行う回路である。
【0017】
リアランプ10L,10Rは、左右一対のランプであって、発光量を変えることでストップランプ及びテールランプとして機能する。具体的には、リアランプ10L,10Rは、ストップランプとして機能する場合、テールランプとして機能するときよりも大きい発光量(例えば、5倍の発光量)で点灯する。なお、ストップランプは、ブレーキが踏まれたときに点灯するランプである。テールランプは、ライセンスプレートランプと連動して点灯し、夜間などに後続の車に自車両の存在を知らせるためのランプである。
【0018】
ハイマウントストップランプ11は、車両100の後部の高い位置 (例えばリアウインドウの上部)に設置され、ストップランプと連動して点灯するランプである。ライセンスプレートランプ12は、車両100の後部のナンバープレート101を照射するためのランプである。
【0019】
上述の各ランプ10〜12の点灯制御を行う車載ランプ点灯回路は、図1に示すように、電源Vbからの電流を各ランプ10〜12に流す電流路が形成されている回路20を備えている。回路20は、ダイオード21,22及び抵抗23などを備えている。
【0020】
ダイオード21(第1整流素子)は、例えばワイヤーハーネスにより、アノードがジャンクションボックス(J/B)40及びストップランプスイッチ15を介して、電源Vbに接続されている。ジャンクションボックス40は、経路途中に配されたヒューズを有し、過電流が流れた場合にはヒューズの溶断によって過電流を防止する。ストップランプスイッチ15は、リアランプ10L,10Rをストップランプスイッチとして点灯させるためのスイッチであり、ブレーキ操作に連動してオンオフとなる。以下、ジャンクションボックス40とダイオード21とを接続しているワイヤーハーネスをストップ用ライン30と言う。
【0021】
また、ダイオード21は、カソードが、一端が接地されたリアランプ10L,10Rに接続されている。具体的には、ダイオード21のカソード近傍で分岐し、リアランプ10L,10Rそれぞれに接続している。以下、分岐してからリアランプ10L,10Rへと接続しているワイヤーハーネスをリアランプ用ライン(第1電流路)31,32と言う。
【0022】
ストップ用ライン30は、ダイオード21のアノード近傍で分岐し、一端が接地されたハイマウントストップランプ11に接続されている。すなわち、ストップランプスイッチ15がオンとなり、ストップ用ライン30に電源Vbからの電流が流れた場合、ハイマウントストップランプ11にも電流が流れる。以下、ストップ用ライン30とハイマウントストップランプ11とを接続しているワイヤーハーネスをハイマウント用ライン(第2電流路)33と言う。
【0023】
ダイオード22は、アノードがジャンクションボックス(J/B)40及びテールランプスイッチ16を介して、電源Vbに接続されている。テールランプスイッチ16は、リアランプ10L,10Rをテールランプとして点灯させるためのスイッチであり、ヘッドランプの点灯操作に連動してオンオフとなる。以下、ジャンクションボックス40とダイオード22とを接続しているワイヤーハーネスをテール用ライン34と言う。
【0024】
また、ダイオード22は、カソードが抵抗23の一端に接続され、抵抗23の他端はダイオード21のカソードに接続されている。具体的には、抵抗23の他端は、ダイオード21のカソードに接続されているワイヤーハーネスが、リアランプ用ライン31,32へと分岐している点に接続されている。
【0025】
テール用ライン34は、ダイオード22のアノード近傍で分岐し、ライセンスプレートランプ12に接続されている。すなわち、テールランプスイッチ16がオンとなり、テール用ライン34に電源Vbからの電流が流れた場合、ライセンスプレートランプ12にも電流が流れる。以下、テール用ライン34とライセンスプレートランプ12とを接続しているワイヤーハーネスをライセンス用ライン(第3電流路)35と言う。
【0026】
次に、以上のように構成される車載ランプ点灯回路における動作について説明する。なお、動作開始時では、ストップランプスイッチ15及びテールランプスイッチ16は、何れもオフとして説明する。
【0027】
ブレーキが踏まれたときに、ストップランプスイッチ15がオンとなり、電源Vbからの電流がストップ用ライン30を流れる。そして、ダイオード21からリアランプ用ライン31,32を介してリアランプ10L,10Rそれぞれへ電流が供給される。これにより、リアランプ10L,10Rは、ストップランプとして点灯する。
【0028】
また、ストップ用ライン30を流れる電流は、ストップ用ライン30から分岐したハイマウント用ライン33にも流れ、ハイマウントストップランプ11へ供給される。これにより、ハイマウントストップランプ11は、ストップランプとして点灯するリアランプ10L,10Rに連動して点灯する。
【0029】
このとき、ダイオード21からリアランプ10L,10Rへ供給される電流は、ダイオード22の整流機能により、ライセンス用ライン35へ流れることはない。従って、ストップランプスイッチ15がオンで、かつ、テールランプスイッチ16がオフの場合、リアランプ10L,10R及びハイマウントストップランプ11は点灯するが、ライセンスプレートランプ12が点灯することはない。
【0030】
その後、ブレーキが踏まれなくなったときに、ストップランプスイッチ15がオフとなり、リアランプ10L,10R及びハイマウントストップランプ11には電流が供給されなくなる。そして、リアランプ10L,10R及びハイマウントストップランプ11は消灯する。
【0031】
一方、テールランプスイッチ16がオンとなり、電源Vbからの電流がテール用ライン34を流れる。そして、ダイオード22及び抵抗23からリアランプ用ライン31,32を介して、リアランプ10L,10Rそれぞれへ電流が供給される。このときリアランプ10L,10Rへ供給される電流は、抵抗23を通過しているため、ダイオード21からリアランプ10L,10Rへ供給される電流よりも小さくなっている。このため、リアランプ10L,10Rは、ストップランプとして点灯する場合よりも小さい発光量で点灯する。これにより、リアランプ10L,10Rは、テールランプとして点灯する。
【0032】
また、テール用ライン34を流れる電流は、テール用ライン34から分岐したライセンス用ライン35にも流れ、ライセンスプレートランプ12へ供給される。これにより、ライセンスプレートランプ12は、テールランプとして点灯するリアランプ10L,10Rに連動して点灯する。
【0033】
このとき、ダイオード22及び抵抗23からリアランプ10L,10Rへ供給される電流は、ダイオード21の整流機能により、ハイマウント用ライン33へ流れることはない。従って、テールランプスイッチ16がオンで、かつ、ストップランプスイッチ15がオフの場合、リアランプ10L,10R及びライセンスプレートランプ12は点灯するが、ハイマウントストップランプ11が点灯することはない。
【0034】
ストップランプスイッチ15及びテールランプスイッチ16が何れもオンとなった場合、上述のように、ハイマウントストップランプ11及びライセンスプレートランプ12の両方が点灯する。また、リアランプ10L,10Rには、ダイオード21を通過した電流と、ダイオード22及び抵抗23を通過した電流とが供給され、リアランプ10L,10Rは、発光量が大きいストップランプとして点灯する。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態おいては、リアランプ10L,10Rを、ストップランプ及びテールランプの2つのランプとして点灯させることができ、リアランプ10L,10Rの発光態様に応じて、ハイマウントストップランプ11又はライセンスプレートランプ12を点灯させることができる。この場合に、ハイマウントストップランプ11及びライセンスプレートランプ12を、ダイオード21,22のアノードに接続するだけでよく、ハイマウントストップランプ11及びライセンスプレートランプ12を点灯させるための回路を別途構成する必要がなくなり、配線の簡易化を図ることができると共に、コストの高騰を抑制できる。
【0036】
以上、本発明の好適な一実施の形態について、具体的に説明したが、各構成及び動作等は適宜変更可能であって、上述の実施の形態に限定されることはない。例えば、回路20は、ストップ用ライン30に搭載させるようにしてもよく、車両100の配線スペースに応じて、回路20の設置位置を適宜変更することができる。設置位置は、車両100の前部又は後部の何れであってもよい。また、本実施の形態に係る車載ランプ点灯回路に、別の車載ランプをさらに追加するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10L,10R リアランプ(第1車載ランプ)
11 ハイマウントストップランプ(第2車載ランプ)
12 ライセンスプレートランプ(第3車載ランプ)
21 ダイオード(第1整流素子)
22 ダイオード(第2整流素子)
23 抵抗
31,32 リアランプ用ライン(第1電流路)
33 ハイマウント用ライン(第2電流路)
34 テール用ライン(第3電流路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードが電源の正側に接続されている第1及び第2整流素子と、
一端が前記第2整流素子のカソードに接続され、他端が前記第1整流素子のカソードに接続されている抵抗と、
前記第1整流素子のカソードと第1車載ランプとを接続している第1電流路と、
前記第1整流素子のアノードと第2車載ランプとを接続している第2電流路と、
前記第2整流素子のアノードと第3車載ランプとを接続している第3電流路と
を備えることを特徴とする車載ランプ点灯回路。
【請求項2】
前記第2車載ランプはハイマウントストップランプであり、
前記第3車載ランプはライセンスプレートランプである
ことを特徴とする請求項1に記載の車載ランプ点灯回路。
【請求項3】
前記第1車載ランプは、ストップランプ及びテールランプ兼用の車載ランプであることを特徴とする請求項1又は2に記載の車載ランプ点灯回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−73508(P2011−73508A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225225(P2009−225225)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】