説明

車載レーザーレーダ用光学モジュール及その組み付け方法

【課題】信頼性が高く、且つ高精度で小型化に寄与した車載レーザーレーダ用光学モジュールを提供する。
【解決手段】レーザー光を出射する半導体レーザー3、半導体レーザー3から出射されたレーザービームを成形するレーザー光学系102b、及び半導体レーザー3並びにレーザー光学系102bを保持する入射光学系保持部材102aを備えた入射光学系ユニット102と、光偏向素子20、入射光学系ユニット102から導光したレーザービームを回折して偏向するための電圧を光偏向素子20に供給する電極板ばね22、及び光偏向素子20並びに電極板ばね22を保持する光偏向素子保持部材101aを備えた光偏向素子ユニット101と、光偏向素子ユニット101から出射された偏向レーザー光を成形する出射光学系103b、及び出射光学系103bを保持する出射光学系保持部材103aを備えた出射光学系ユニット103と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載レーザーレーダ用光学モジュールに関し、特に、光導波路型の光偏向器を用いた車載レーザーレーダ用光学モジュールの発光部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用レーダ装置は、車両による追突事故や人身事故を防止するために、障害となる周囲の対象物を認識する装置として一部の車両に搭載され始めている。この装置では、電波やビーム光などのレーダ波を前方に照射し、対象物からのレーダ波の反射を利用して、自動車などの車両と対象物との距離や、車両と対象物との角度等を検出する。尚、車両用レーダ装置の主要な技術であるビームを偏向させて対象物を認識する光偏向器として、ポリゴンミラーなどの機械式偏向器や、電気光学素子などの非機械式光偏向器が考えられる。
例えば、特許文献1には、光源レーザーもしくは発散レンズに可動機構を設けて対象物を走査することが開示されている。また、特許文献2には、半導体レーザーを保持する第1の基板と光学系を保持する第2の基板によりモジュールを構成する場合に、第1の基板のネジ穴に接着剤を介在させて、第2の基板をネジにより固定する構成について開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の車両用レーダ装置の光偏向器として実用化されているものは、ポリゴンミラーや可動レンズを用いた機械式光偏向器であり、機械式光偏向器は、機械的な可動部分を持つため高速化や集積化などが困難であるといった課題がある。
また、特許文献1に開示されている従来技術は、発散レンズが巨大となり、また可動機構の領域を確保するために、装置のサイズが増大するといった問題がある。これを解決して装置を更に小型化するために、非機械式光偏向器搭載の車両用レーダ装置の実用化が期待されている。例えば、光導波路を用いた非機械式光偏向器において、対象物を認識するために十分な偏向角度(約30°)が得られている。しかし、光導波路型の場合、高効率な光結合を実現するためのモジュール組み付けや、導波路形状に合わせたビーム形成が容易でないという課題がある。
また、特許文献2に開示されている組み付け手段で得られる組み付け精度では、車両用レーダ装置に必要な出力特性を得ることができないといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、導波路を用いた非機械式光偏向器を車両用レーダ装置へ搭載するために、入射ビームと光導波路の高効率な光結合を実現できる高精度な組み付け方法を実現して、信頼性が高く、且つ高精度で小型化に寄与した車載レーザーレーダ用光学モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、電気光学効果を持つ材料で形成された光偏向素子を用いた車載レーザーレーダ用光学モジュールの発光部であって、レーザー光を出射するレーザー光源、該レーザー光源から出射されたレーザービームを成形するレーザー光学系、及び前記レーザー光源並びに前記レーザー光学系を保持する入射光学系保持部材を備えた入射光学系ユニットと、前記光偏向素子、前記入射光学系ユニットから導光したレーザービームを回折して偏向するための電圧を前記光偏向素子に供給する電極ピン、及び前記光偏向素子並びに前記電極ピンを保持する光偏向素子保持部材を備えた光偏向素子ユニットと、前記光偏向素子ユニットから出射された偏向レーザー光を成形する出射光学系、及び該出射光学系を保持する出射光学系保持部材を備えた出射光学系ユニットと、を備え、前記光偏向素子ユニットは、前記光偏向素子保持部材の前記レーザー光入射面と前記光偏向素子の光導波路とが直交する位置に固定され、前記光偏向素子保持部材の入射側面又は出射側面の何れか一方を基準面として、前記入射側面に前記入射光学系ユニットを組み付け、前記出射側面に前記出射光学系ユニットを組み付けたことを特徴とする。
本発明のモジュールは3つのユニットから構成されている。即ち、入射光学系ユニット、光偏向素子ユニット、及び出射光学系ユニットである。本発明のモジュールで大切なことは、ビーム形状の調整とコリメートである。また、組み立ての精度を高めるためには、接着剤等を極力使用せず、ねじにより組み立てることが重要である。そこで本発明では、3つのユニットの中心ユニットである光偏向素子ユニットの保持部材に剛性を持たせ、組みつけによる歪を低減し、且つ組み立て精度を高めたものである。これにより、モジュール全体の組み立て精度を高め、且つ小型化に寄与することができる。
【0005】
請求項2は、前記入射光学系保持部材、前記光偏向素子保持部材、及び前記出射光学系保持部材は、夫々共通の部材を持たない独立した構成であることを特徴とする。
3つのユニットは、それらを組み付けることで1つのモジュールを構成する。また、モジュールを一体で構成した場合、組み付ける手間は省けるが、型が大型化して型代が高くなり、モジュール全体のコストを高くしてしまう。また、各ユニットに変更が発生した場合、一体で構成すると全体の型を作り直さなければならなくなる。そこで本発明では、各保持部材を独立にして、組み立てることで1つのモジュールを構成するようにした。これにより、型変更に柔軟に対応することができる。
【0006】
請求項3は、前記入射光学系保持部材は、単独でビーム形状の調整及びコリメートを行うことが可能であることを特徴とする。
入射光学系の保持部材に光源ホルダと光学系を組み付けた後、ビーム形状の調整とコリメートを行う必要がある。光学系のレンズは接着剤によりレンズホルダに取り付けるため、この時点で光軸のずれとビーム形状を確認しておく。これにより、調整済みの入射光学系ユニットであれば、どの光偏向素子ユニットにも取り付けることができる。
【0007】
請求項4は、前記光偏向素子保持部材の前記入射側面及び出射側面に、夫々前記入射光学系保持部材、及び前記出射光学系保持部材を組みつけてから外部からネジで固定した構成としたことを特徴とする。
光偏向素子保持部材へ入射光学系保持部材、及び出射光学系保持部材を組付ける場合、ジグにより夫々位置決めされてからネジで固定する。このとき、ネジは入射光学系保持部材、及び出射光学系保持部材の外部からネジ止めされる。これにより、作業性が高まり、製造効率が向上し、且つ位置決め精度を高くすることができる。
【0008】
請求項5は、前記光偏向素子と前記光偏向素子保持部材は、電気的に導通しないように構成されていることを特徴とする。
光偏向素子保持部材は、剛性を持たせるために金属により構成する。また、光偏向素子には、光を偏向するために外から磁界を印加する必要があり、そのための電源も必要となる。従って、金属に固定する光偏向素子を電気的に絶縁する構成が必要となる。これにより、金属の光偏向素子保持部材内に電気的に動作する部品を収納することができる。
【0009】
請求項6は、前記レーザー光源が半導体レーザーにより構成されていることを特徴とする。
半導体レーザーは出力パワーは少ないが、低消費電力で、且つ小型に構成することができる。
【0010】
請求項7は、前記入射光学系ユニットが前記半導体レーザーを固定する光源ホルダ、及び前記レーザービームを前記光偏向素子保持部材の入射側面に結合させる結合レンズホルダを備え、前記光偏向素子ユニットが前記光偏向素子、及び前記電極ピンを組付ける台座を備え、前記出射光学系ユニットがレンズを組付けるレンズホルダを備えた請求項1乃至6の何れか一項に記載の車載レーザーレーダ用光学モジュールの組み付け方法であって、前記光源ホルダに前記半導体レーザーを組み付けるレーザー組付工程と、前記入射光学系保持部材に前記レーザー光学系を組み付ける光学系組付工程と、該光学系組付工程が完了した前記入射光学系保持部材に前記レーザー組付工程が完了した前記光源ホルダを組付ける光源ホルダ組付工程と、該光源ホルダ組付工程が完了した前記入射光学系保持部材に前記結合レンズホルダを組付けるレンズホルダ組付工程と、を含む入射光学系ユニット組付工程と、前記台座に前記光偏向素子を組付ける光偏向素子組付工程と、該台座に前記電極ピンを組付ける電極ピン組付工程と、前記台座の位置を調整する調整工程と、該調整工程が完了した台座を前記光偏向素子保持部材に固定する台座固定工程と、を含む光偏向素子ユニット組付工程と、前記レンズホルダへレンズを組付けるレンズ組付工程と、該レンズ組付工程が完了したレンズホルダを前記出射光学系保持部材に組付けるレンズホルダ組付工程と、を含む出射光学系ユニット組付工程と、を含み、前記光偏向素子ユニット組付工程が完了した前記光偏向素子保持部材の入射側面又は出射側面の何れか一方を基準面として、前記入射側面に前記入射光学系ユニット組付工程が完了した前記入射光学系ユニットを組み付け、前記出射側面に前記出射光学系ユニット組付工程が完了した前記出射光学系ユニットを組み付けたことを特徴とする。
本発明は請求項1と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光導波路型の光偏向器を用いた車載レーザーレーダ用光学モジュールの組み付けを、高温高圧環境に弱い接着剤を用いずにネジ止めのみの組付けで行うことにより、高精度の組付けを実現することができる。
また、光偏向器を保持する部材を組付け基準とした簡易な組み付け構成とすることにより、装置を小型にすることができ、且つコストの高い部品や製作が困難な部品を使用せずに、モジュールを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る車載レーザーレーダ用光学モジュールの発光部を示した概略図である。
【図2】半導体レーザーを光源ホルダに組み付ける方法を示した図である。
【図3】入射光学系保持部材に入射光学系を組み付ける方法を示した図である。
【図4】光源ホルダと入射光学系保持部材を組み付ける方法を示した図である。
【図5】(a)は入射光学系保持部材に結合レンズホルダを組み付ける方法を示した図であり、(b)は結合レンズホルダの図である。
【図6】入射光学系保持部材と光偏向素子保持部材を組み付ける方法を示した図である。
【図7】光偏向素子ユニットと出射光学系保持部材の組み付ける方法を示した図である。
【図8】本発明の車載レーザーレーダ用光学モジュールの光のルートを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0014】
図1は本発明の実施形態に係る車載レーザーレーダ用光学モジュール(以下、単に光学モジュールと呼ぶ)の発光部を示した概略図である。本発明の光学モジュール100は、電気光学効果を持つ材料で形成された光偏向素子20を用いた光学モジュール100の発光部であって、レーザー光を出射する半導体レーザー(レーザー光源)3、半導体レーザー3から出射されたレーザービームを成形するレーザー光学系102b(図3参照)、及び半導体レーザー3並びにレーザー光学系102bを保持する入射光学系保持部材102aを備えた入射光学系ユニット102と、光偏向素子20、入射光学系ユニット102から導光したレーザービームを回折して偏向するための電圧を光偏向素子20に供給する電極板ばね22、及び光偏向素子20並びに電極板ばね22を保持する光偏向素子保持部材101aを備えた光偏向素子ユニット101と、光偏向素子ユニット101から出射された偏向レーザー光を成形する出射光学系103b(図7参照)、及び出射光学系103bを保持する出射光学系保持部材103aを備えた出射光学系ユニット103と、を備え、光偏向素子ユニット101は、光偏向素子保持部材101aのレーザー光入射面と光偏向素子20の光導波路とが直交する位置に固定され、光偏向素子保持部材101aの入射側面101b又は出射側面101cの何れか一方を基準面として、入射側面101bに入射光学系ユニット102を組み付け、出射側面101cに出射光学系ユニット103を組み付けた。
【0015】
図1に示す光学モジュール100では、光偏向素子保持部材101aに入射光学系保持部材102aと出射光学系保持部材103aがネジ止めによって外側から組み付けられる。通常ネジで組み付けを行った場合、数μmレベルの位置精度を出すことは困難である。従って、高い位置精度を必要とする光学素子のうち、一方を固定し、もう一方をネジで固定することで、相対的な位置ずれが生じにくくなるような組み付け構成にする。このことを、光偏向素子保持部材101aと入射光学系保持部材102a、そして光偏向素子保持部材101aと出射光学系保持部材103aに適用させる。また部材強度は部材の重さや大きさに制約されるが、組付け時に光偏向素子保持部材101aはジグなどで固定してあり、位置調整で動かすことがないため、重さや大きさがある程度許容される。従って、部材強度も必要に応じて十分に大きな値に設計できる。部材強度の指標として、側面のたわみ強度などを試算してみると、例えば、光偏向素子保持部材101aを材質真鍮で幅60mm、長さ60mm、高さ25mmのサイズに設計した場合に、別部材を光偏向素子保持部材101aに100Nの荷重で押し当てて組み付けたときのたわみ量は、2.5μm以下となるように設計を行う。
【0016】
以上のとおり、本実施形態の光学モジュール100は3つのユニットから構成されている。即ち、入射光学系ユニット102、光偏向素子ユニット101、及び出射光学系ユニット103である。本実施形態の光学モジュール100で大切なことは、ビーム形状の調整とコリメートである。また、組み立ての精度を高めるためには、接着剤等を極力使用せず、ネジにより組み立てることが重要である。そこで本実施形態では、3つのユニットの中心ユニットである光偏向素子保持部材101aに剛性を持たせ、組みつけによる歪を低減し、且つ組み立て精度を高めたものである。これにより、モジュール全体の組み立て精度を高め、且つ小型化に寄与することができる。
【0017】
また、入射光学系保持部材102a、光偏向素子保持部材101a、及び出射光学系保持部材103aが共通の部材を持たず夫々独立した部材で構成されている。つまり、3つのユニットは、それらを組み付けることで1つの光学モジュール100を構成する。もし、光学モジュール100を一体で構成した場合、組み付ける手間は省けるが、型が大型化して型代が高くなり、モジュール全体のコストを高くしてしまう。また、各ユニットに変更が発生した場合、一体で構成すると全体の型を作り直さなければならなくなる。そこで本実施形態では、各保持部材を独立にして組み立てることで、1つのモジュールを構成するようにした。これにより、型変更に柔軟に対応することができる。
また、光偏向素子20と光偏向素子保持部材101aは、電気的に導通しないように構成されている。即ち、光偏向素子保持部材101aは、剛性を持たせるために金属により構成する。また、光偏向素子20には、光を偏向するために外から磁界を印加する必要があり、そのための電源も必要となる。従って、金属に固定する光偏向素子20を電気的に絶縁する構成が必要となるため、例えば、光偏向素子20と光偏向素子保持部材101aの間に絶縁部材を挟む構成が考えられる。
【0018】
図2は半導体レーザーを光源ホルダに組み付ける方法を示した図である。同じ構成要素には図1と同じ参照番号を付して説明する。以下、組付け手順に従って説明する。
手順1:ジグ1の凹部1aにレーザー光源ホルダ(以下、単に光源ホルダと呼ぶ)2をはめ込んで固定する。
手順2:光源ホルダ2に半導体レーザー3をはめ込み、微少量の接着剤で仮止めする(接着剤の量を増やすと温度特性が悪くなるので最低限の量にする)。
手順3:カシメ用ジグ4を光源ホルダ2にはめ込み、ハンマー等でカシメ用ジグ4を軽く叩き、半導体レーザー3を光源ホルダ2に固定する。又は、図示しない押さえ板を用いて半導体レーザー3を光源ホルダ2に組み付けることもできる。この工程で半導体レーザー3は光源ホルダ2にカシメ状態で固定される。
【0019】
図3は入射光学系保持部材に入射光学系を組み付ける方法を示した図である。同じ構成要素には図1と同じ参照番号を付して説明する。以下、組付け手順に従って説明する。例として円筒レンズと半球レンズを組み合わせてビーム成型を行った場合の組み付け手順例を示す。
手順1:レンズホルダ8へ円筒レンズ9、半球レンズ10の順に挿入し接着する。
手順2:円筒レンズ9、及び半球レンズ10が接着されたレンズホルダ8を入射光学系保持部材102aにはめ込む。これにより入射光学系102bの組みつけが完了する。
【0020】
図4は光源ホルダと入射光学系保持部材を組み付ける方法を示した図である。同じ構成要素には図1と同じ参照番号を付して説明する。以下、組付け手順に従って説明する。
手順1:位置調整ジグ6を用意する。
手順2:光源ホルダ2のピン穴5を位置調整ジグ6のピン7にはめ込む。
手順3:入射光学系保持部材102aに図2で組付けた光源ホルダ2をネジAによりネジ止めする。尚、半導体レーザー3の偏光方向のオフセットを合わせるため、YZ方向を位置調整ジグ6に備えられた図示しない手動ステージで、角度をゴニオステージで位置調整をしたあと組み付ける。
手順4:偏芯ピン11でX方向の位置調整をした後、上部よりネジ11bで固定する。
手順5:非球面レンズ12を入射光学系保持部材102aの出射窓102cに挿入して接着剤で組み付け、光軸ずれとビーム形状の確認を行う。
【0021】
図5(a)は入射光学系保持部材に結合レンズホルダを組み付ける方法を示した図であり、図5(b)は結合レンズホルダの図である。同じ構成要素には図1と同じ参照番号を付して説明する。以下、組付け手順に従って説明する。
手順1:図5(b)に示すとおり結合レンズホルダ13にレンズ13aを挿入し接着する。
手順2:結合レンズホルダ13のピン溝14(図5(b)参照)に位置調整ジグ15のピン16をはめ込む。
手順3:結合レンズホルダ13の位置はYZ方向を位置調整ジグ15に備えた図示しない手動ステージで調整し、レンズ13aを通過するビームのパワーが最大になるように位置調整を行う。
手順4:入射光学系保持部材102aに結合レンズホルダ13をネジBでネジ止めする。
【0022】
図6は入射光学系保持部材と光偏向素子保持部材を組み付ける方法を示した図である。同じ構成要素には図1と同じ参照番号を付して説明する。以下、組付け手順に従って説明する。
手順1:光偏向素子保持部材101aを土台18に固定する(ネジCで2箇所ネジ止めする)。
手順2:光偏向素子台座19(金属)に光偏向素子20をばねピン21で組み付ける(3箇所)。
手順3:電圧印加のための電極板ばね22を光偏向素子台座19にネジ止めする(2箇所)。
手順4:光偏向素子台座19の位置調整については、XY方向を手動ステージ23で、Z方向を手動ステージ24で行う。
手順5:光偏向素子台座19を光偏向素子保持部材101aにネジ止めする。
手順6:光偏向素子保持部材101aの入射側面101bに入射光学系ユニット102をネジにより固定する。
【0023】
図7は光偏向素子ユニットと出射光学系保持部材の組み付ける方法を示した図である。同じ構成要素には図1と同じ参照番号を付して説明する。以下、組付け手順に従って説明する。例として平凸レンズと非球面レンズを組み合わせてビーム成型を行った場合の組み付け手順例を示す。
手順1:レンズホルダ25へ平凸レンズ26、非球面レンズ27の順にレンズを挿入する。これにより出射光学系103bの組みつけが完了する。
手順2:レンズホルダ25を出射光学系保持部材103aに組み付けする。出射光学系保持部材103aにレンズホルダ25と長ネジ28をはめ込んだ状態で、出射光学系保持部材103aと位置調整ジグ29を連結する。
手順3:出射光学系部材103aを光偏向素子保持部材101aの出射側面101cに組み付ける。そして、YZ方向を位置調整ジグ29に備えた図示しない手動ステージで、X方向を偏芯ピン30で位置調整後、出射光学系保持部材103aと光偏向素子保持部材101aを長ネジ28でネジ止めして、レンズホルダ25は上部からネジDで固定する。
【0024】
図8は本発明の光学モジュールの光のルートを説明する図である。入射光学系ユニット102のレーザー光源ホルダ2に組みつけられた半導体レーザー3から出射したレーザー光Lは、レンズホルダ8に組みつけられた半球レンズ10、円筒レンズ9を介して非球面レンズ12により平行光にされて、結合レンズホルダ13に実装された結合レンズ13aで光偏向素子ユニット101内の光偏向素子20の導波路に結合される。そして、電極板ばね22の電圧でレーザー光Lは偏向されて、出射光学系ユニット103のレンズホルダ25に組みつけられた平凸レンズ26、非球面レンズ27を介して外部に出射される。
【符号の説明】
【0025】
1 ジグ、1a 凹部、2 レーザー光源ホルダ、3 半導体レーザー、4 カシメ用ジグ、5 ピン穴、6 位置調整ジグ、7 ピン、8 レンズホルダ、9 円筒レンズ、10 半球レンズ、11 偏芯ピン、12 非球面レンズ、13 結合レンズホルダ、13a 結合レンズ、14 ピン溝、15 位置調整ジグ、16 ピン、18 土台、19 光偏向素子台座、20 光偏向素子、21 ばねピン、22 電極板ばね、23 手動ステージ、24 手動ステージ、25 レンズホルダ、26 平凸レンズ、27 非球面レンズ、28 長ネジ、29 位置調整ジグ、30 偏芯ピン、100 車載レーザーレーダ用光学モジュール、101 光偏向素子ユニット、101a 光偏向素子保持部材、102 入射光学系ユニット、102a 入射光学系保持部材、103 出射光学系ユニット、103a 出射光学系保持部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開2006−010893公報
【特許文献2】特開平09−054233号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学効果を持つ材料で形成された光偏向素子を用いた車載レーザーレーダ用光学モジュールの発光部であって、
レーザー光を出射するレーザー光源、該レーザー光源から出射されたレーザービームを成形するレーザー光学系、及び前記レーザー光源並びに前記レーザー光学系を保持する入射光学系保持部材を備えた入射光学系ユニットと、
前記光偏向素子、前記入射光学系ユニットから導光したレーザービームを回折して偏向するための電圧を前記光偏向素子に供給する電極ピン、及び前記光偏向素子並びに前記電極ピンを保持する光偏向素子保持部材を備えた光偏向素子ユニットと、
前記光偏向素子ユニットから出射された偏向レーザー光を成形する出射光学系、及び該出射光学系を保持する出射光学系保持部材を備えた出射光学系ユニットと、
を備え、
前記光偏向素子ユニットは、前記光偏向素子保持部材の前記レーザー光入射面と前記光偏向素子の光導波路とが直交する位置に固定され、前記光偏向素子保持部材の入射側面又は出射側面の何れか一方を基準面として、前記入射側面に前記入射光学系ユニットを組み付け、前記出射側面に前記出射光学系ユニットを組み付けたことを特徴とする車載レーザーレーダ用光学モジュール。
【請求項2】
前記入射光学系保持部材、前記光偏向素子保持部材、及び前記出射光学系保持部材は、夫々共通の部材を持たない独立した構成であることを特徴とする請求項1に記載の車載レーザーレーダ用光学モジュール。
【請求項3】
前記入射光学系保持部材は、単独でビーム形状の調整及びコリメートを行うことが可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車載レーザーレーダ用光学モジュール。
【請求項4】
前記光偏向素子保持部材の前記入射側面及び出射側面に、夫々前記入射光学系保持部材、及び前記出射光学系保持部材を組みつけてから外部からネジで固定した構成としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の車載レーザーレーダ用光学モジュール。
【請求項5】
前記光偏向素子と前記光偏向素子保持部材は、電気的に導通しないように構成されていることを特徴とする請求項1、2又は4に記載の車載レーザーレーダ用光学モジュール。
【請求項6】
前記レーザー光源が半導体レーザーにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の車載レーザーレーダ用光学モジュール。
【請求項7】
前記入射光学系ユニットが前記半導体レーザーを固定する光源ホルダ、及び前記レーザービームを前記光偏向素子保持部材の入射側面に結合させる結合レンズホルダを備え、前記光偏向素子ユニットが前記光偏向素子、及び前記電極ピンを組付ける台座を備え、前記出射光学系ユニットがレンズを組付けるレンズホルダを備えた請求項1乃至6の何れか一項に記載の車載レーザーレーダ用光学モジュールの組み付け方法であって、
前記光源ホルダに前記半導体レーザーを組み付けるレーザー組付工程と、前記入射光学系保持部材に前記レーザー光学系を組み付ける光学系組付工程と、該光学系組付工程が完了した前記入射光学系保持部材に前記レーザー組付工程が完了した前記光源ホルダを組付ける光源ホルダ組付工程と、該光源ホルダ組付工程が完了した前記入射光学系保持部材に前記結合レンズホルダを組付けるレンズホルダ組付工程と、を含む入射光学系ユニット組付工程と、
前記台座に前記光偏向素子を組付ける光偏向素子組付工程と、該台座に前記電極ピンを組付ける電極ピン組付工程と、前記台座の位置を調整する調整工程と、該調整工程が完了した台座を前記光偏向素子保持部材に固定する台座固定工程と、を含む光偏向素子ユニット組付工程と、
前記レンズホルダへレンズを組付けるレンズ組付工程と、該レンズ組付工程が完了したレンズホルダを前記出射光学系保持部材に組付けるレンズホルダ組付工程と、を含む出射光学系ユニット組付工程と、を含み、
前記光偏向素子ユニット組付工程が完了した前記光偏向素子保持部材の入射側面又は出射側面の何れか一方を基準面として、前記入射側面に前記入射光学系ユニット組付工程が完了した前記入射光学系ユニットを組み付け、前記出射側面に前記出射光学系ユニット組付工程が完了した前記出射光学系ユニットを組み付けたことを特徴とする車載レーザーレーダ用光学モジュールの組み付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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