説明

車載型通信装置、通信システム、通信方法、及びプログラム

【課題】車載型通信装置が、いずれの無線通信方式を用いて外部の情報提供装置と通信するかを自動で判断できるようにする。
【解決手段】車両50がDSRCの通信圏内に入ると、車載型通信装置200の第1通信部210は、情報提供装置100の第2通信部120との間で通信を確立する。第2通信部120は、情報提供装置100と車載型通信装置200の間で用いるべき通信方式を示す情報を第1通信部210に送信する。車載型通信装置200及び無線通信端末300は、送信されてきた情報に従って、情報提供装置100と通信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DSRC(Dedicated Short Range Communication)方式で情報提供装置と通信する車載型通信装置、通信システム、通信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
DSRC方式で通信する車載型通信装置としては、例えばETC(Electronic Toll Collection:電子料金収受システム)がある。
【0003】
特許文献1には、ETCシステムをPOSシステムにつなげることにより、質の高いサービスを提供できる、と記載されている。
【0004】
特許文献2には、以下のシステムが開示されている。まず、ユーザは、携帯電話を用いてメニュー情報の受信及び注文の発注を行う。すると、携帯電話には予約IDコートが返信されてくる。この予約IDコードは、携帯電話からETC用の車載器に転送される。車載器は、予約IDコードを店舗側の装置に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−22836号公報
【特許文献2】特開2004−178345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、車載型通信装置は、複数種類の無線通信に対応している。無線通信は、規格ごとに特徴が異なっている。このため、外部と無線通信を行う場合、車載型通信装置は、目的に応じて無線通信方式を選択する必要がある。
【0007】
また、無線通信は、情報漏えいのリスクが、優先通信よりも高いと考えられている。
【0008】
本発明の第1の目的は、いずれの無線通信方式を用いて外部の情報提供装置と通信するかを自動で判断することができる車載型通信装置、通信システム、通信方法、及びプログラムを提供することにある。また本発明の第2の目的は、無線通信で外部の情報提供装置と通信する際に、情報漏えいのリスクを低くすることができる通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、DSRC(Dedicated Short Range Communication)方式で情報提供装置と無線通信を行う第1通信手段と、
携帯通信端末と通信を行う第2通信手段と、
を備え、
前記携帯通信端末は、直接又は公衆通信網を介して前記情報提供装置に接続し、
さらに、
前記第1通信手段を介して受信する情報に基づいて、前記第1通信手段のみで前記情報提供装置と通信を行うか、前記第1通信手段及び前記第2通信手段を併用して前記情報提供装置と通信を行うかを決定する通信制御手段と、
を備える車載型通信装置が提供される。
【0010】
本発明によれば、直接又は公衆通信網を介して情報提供装置に接続する携帯通信端末と、
車載型通信装置と、
を備え、
前記車載型通信装置は、
DSRC(Dedicated Short Range Communication)方式で前記情報提供装置と無線通信を行う第1通信手段と、
前記携帯通信端末と通信を行う第2通信手段と、
前記第1通信手段を介して受信する情報に基づいて、前記第1通信手段のみで前記情報提供装置と通信を行うか、前記第1通信手段及び前記第2通信手段を併用して前記情報提供装置と通信を行うかを決定する通信制御手段と、
を備える通信システムが提供される。
【0011】
本発明によれば、直接又は公衆通信網を介して情報提供装置に接続する携帯通信端末と、
車載型通信装置と、
を備え、
前記車載型通信装置は、
DSRC(Dedicated Short Range Communication)方式で前記情報提供装置と無線通信を行う第1通信手段と、
前記携帯通信端末と通信を行う第2通信手段と、
を備え、
前記携帯通信端末は、前記DSRC方式の通信に必要な設定情報を受信し、
前記車載型通信装置の前記第2通信手段は、前記設定情報を前記携帯通信端末から取得し、
前記車載型通信装置の前記第1通信手段は、前記第2通信手段が受信した前記設定情報を用いて前記情報提供装置と通信する通信システムが提供される。
【0012】
本発明によれば、DSRC(Dedicated Short Range Communication)方式で情報提供装置と無線通信を行う第1通信手段と、
携帯通信端末と通信を行う第2通信手段と、
を備える車載型通信装置を用いた通信方法であって、
前記携帯通信端末は、直接又は公衆通信網を介して前記情報提供装置に接続し、
前記車載型通信装置は、前記第1通信手段を介して受信する情報に基づいて、前記第1通信手段のみで前記情報提供装置と通信を行うか、前記第1通信手段及び前記第2通信手段を併用して前記情報提供装置と通信を行うかを決定する通信方法が提供される。
【0013】
本発明によれば、車載型通信装置に用いられるプログラムであって、
前記車載型通信装置は、
DSRC(Dedicated Short Range Communication)方式で情報提供装置と無線通信を行う第1通信手段と、
携帯通信端末と通信を行う第2通信手段と、
を備えており、
前記車載型通信装置に、前記第1通信手段を介して受信する情報に基づいて、前記第1通信手段のみで前記情報提供装置と通信を行うか、前記第1通信手段及び前記第2通信手段を併用して前記情報提供装置と通信を行うかを決定する機能を持たせるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車載型通信装置は、いずれの無線通信方式を用いて外部の情報提供装置と通信するかを自動で判断することができる。また、通信システムと情報提供装置の間の通信において、情報漏えいのリスクを低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態に係る車載型通信装置の機能構成を示す図である。
【図2】図1に示した通信システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】第2の実施形態に係る通信システムの機能構成を示す図である。
【図4】図3に示した通信システムの処理を示すフローチャートである。
【図5】第3の実施形態に係る通信システムの機能構成を示す図である。
【図6】図5に示した通信システムの動作を示すフローチャートである。
【図7】第4の実施形態に係る通信システムの機能構成を示す図である。
【図8】車載型通信装置200の第1通信部210が受信する通信選択情報及び設定情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る車載型通信装置200の機能構成を、その使用環境とともに示す図である。車載型通信装置200は、通信システムの一部として用いられている。この通信システムは、車載型通信装置200及び無線通信端末300を備えており、情報提供装置100と通信を行う。車載型通信装置200は、車両50に取り付けられている。無線通信端末300は、車両50に乗っている人が所持している。
【0018】
情報提供装置100は、例えばドライブスルーなどの店舗に設置された装置であり、メニュー情報の提供や、注文処理などを行う。情報提供装置100は、第1通信部110、第2通信部120、及び処理部130を備えている。第1通信部110は、通信網10を介して無線通信端末300と通信を行う。通信網10は、例えばインターネットや、携帯通信網である。第2通信部120は、DSRC(Dedicated Short Range Communication)方式で車載型通信装置200と通信を行う。処理部130は、第1通信部110及び第2通信部120を介して、車載型通信装置200や無線通信端末300に対して情報提供を行う。また処理部130は、第1通信部110及び第2通信部120を介して、車載型通信装置200や無線通信端末300から送信されてきた情報を処理する。この処理には、注文処理が含まれている。
【0019】
車載型通信装置200は、第1通信部210、第2通信部220、及び通信制御部230を有している。第1通信部210は、情報提供装置100の第2通信部120と、DSRC方式で通信を行う。第2通信部220は、無線通信端末300と通信する。第2通信部220と無線通信端末300の間の通信は、例えば、赤外線通信、Bluetoothなどの無線通信、又はUSBなどの有線通信によって行われる。通信制御部230は、第1通信部210と第2通信部220のいずれを用いて通信を行うかを制御する。通信制御部230が行う処理については、フローチャートを用いて後述する。
【0020】
無線通信端末300は、第1通信部310及び第2通信部320を備えている。第1通信部310は、通信網10を介して情報提供装置100の第1通信部110と通信を行う。第2通信部320は、車載型通信装置200の第2通信部220と通信を行う。
【0021】
なお、図1に示した車載型通信装置200の各構成要素は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。車載型通信装置200の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶メディア、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置には様々な変形例がある。
【0022】
図2は、図1に示した通信システムの動作を示すフローチャートである。まず情報提供装置100の第2通信部120は、常に問い合わせ信号を出力している。車両50が情報提供装置100を有する店舗に近づくと、車載型通信装置200の第1通信部210は、問い合わせ信号の受信強度が基準値を超えるため、DSRC方式による通信圏内であることを認識する(ステップS10)。すると第1通信部210は、第2通信部120との間で通信を確立する(ステップS20)。このとき、第1通信部210は、第1通信部210から第2通信部120への通信チャンネルであるアップリンクチャンネルを用いて、MDS(メッセージデータスロット)により、車載型通信装置200及び無線通信端末300が有する通信手段を示す情報(以下、通信手段情報と記載)を送信する。
【0023】
情報提供装置100の処理部130は、第2通信部120が通信手段情報を受信すると、受信した通信手段情報を用いて、車載型通信装置200及び無線通信端末300とどのような方式で通信を行うかを決定する。具体的には、処理部130は、車載型通信装置200との間のDSRC方式のみで通信を行う方式と、無線通信端末300との間の無線通信をDSRC方式とともに併用する方式と、のいずれかを選択する。そして処理部130は、第2通信部120を介して、決定した方式を示す情報(以下、通信選択情報と記載)を車載型通信装置200の第1通信部210に送信する(ステップS30)。
【0024】
車載型通信装置200の通信制御部230は、第1通信部210が通信選択情報を受信すると、受信した通信選択情報に従って、第1通信部210及び第2通信部220を用いて情報提供装置100と通信する(ステップS40)。
【0025】
以上、本実施形態によれば、車載型通信装置200は、情報提供装置100から送信されてきた通信選択情報に従って、第1通信部210及び第2通信部220を用いて情報提供装置100と通信する。従って、車載型通信装置200は、いずれの無線通信方式を用いて情報提供装置100と通信するかを、自動で判断することができる。
【0026】
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係る通信システムの機能構成を、その使用環境とともに示す図である。この通信システムは、以下の点を除いて、第1の実施形態に係る通信システムと同様の構成である。
【0027】
まず、車載型通信装置200は、ETC車載器としての機能を有しており、カードリーダ240を備えている。カードリーダ240は、クレジットカードから決済に必要な情報を読み取る。また車載型通信装置200は、車両50の車両情報も記憶している。
【0028】
また無線通信端末300は、表示部330及び入力部340を備えている。表示部330は、無線通信端末300が受信した情報を表示する。無線通信端末300に表示される情報には、第1通信部310が受信した情報と、第2通信部320が受信した情報の双方が含まれる。入力部340には、ユーザが情報を入力する。この情報には、注文情報や、カードリーダ240に読み取られるクレジットカードの暗証番号が含まれている。
【0029】
そして、情報提供装置100と無線通信端末300の間の通信速度は、情報提供装置100と車載型通信装置200の間の通信速度よりも速い。また、情報提供装置100と車載型通信装置200の間の通信は、情報提供装置100と無線通信端末300の間の通信よりも秘匿性が高い。
【0030】
図4は、図3に示した通信システムの処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、図2のステップS40の詳細を示す情報である。なお、ステップS40に至るまでの処理(具体的には図2のステップS10〜S30)は、第1の実施形態と同様である。
【0031】
情報提供装置100と車載型通信装置200の間の通信が確立すると、情報提供装置100の第2通信部120は、車載型通信装置200の第1通信部210に、情報提供装置100と無線通信端末300との間の通信に使用する設定情報を送信する(ステップS100)。この設定情報には、無線通信に用いられる通信チャンネルを示す情報(チャンネル情報コード)、並びに、暗号方式、SSID(Service Set Identifier)、及び暗号キー暗号コード)が含まれる。処理部130は、空きチャンネルを管理しており、この管理している情報を用いて、無線通信端末300に割り当てる通信チャンネルを設定する。
【0032】
車載型通信装置200の第2通信部220は、第1通信部210が受信した設定情報を、無線通信端末300の第2通信部320に送信する(ステップS110)。無線通信端末300の第1通信部310は、第2通信部320が受信した設定情報を用いて、情報提供装置100の第1通信部110との間で通信を確立する(ステップS120)。具体的には、第1通信部310は、設定情報に含まれる情報に従って、通信チャンネルを設定し、また、設定情報に従って、暗号方式、SSID、及び暗号キーを設定する。そして第1通信部310は、例えばWPA方式を用いて、第1通信部110に対して接続要求を送信する。この接続要求には、SSID及び暗号情報が含まれる。第1通信部110は、接続要求に含まれるSSID及び暗号情報が、車載型通信装置200に送信した設定情報に対応している場合、第1通信部310との通信を確立する。
【0033】
次いで情報提供装置100の処理部130は、第1通信部110に、秘匿性が要求されない情報(以下、第2情報と記載)を、無線通信端末300に送信する(ステップS130)。第2情報は、例えばメニュー情報、画像情報、又は動画情報であり、容量が大きい情報である。
【0034】
無線通信端末300の表示部330は、無線通信端末300の第1通信部310が受信した第2情報を表示する(ステップS140)。そして無線通信端末300のユーザは、第2情報を見ながら、入力部340を用いて無線通信端末300に情報(以下、第1情報と記載)を入力する(ステップS150)。第1情報は、第2情報よりも秘匿性が要求される情報、例えばパスワードを含んでいる。そして無線通信端末300の第2通信部320は、車載型通信装置200の第2通信部220に、第1情報を送信する(ステップS160)。
【0035】
また車載型通信装置200のカードリーダ240は、クレジットカードから決済に必要な情報(以下、カード情報と記載)を読み取る(ステップS155)。そして車載型通信装置200の第1通信部210は、ステップS160で送信されてきた第1情報、及びカードリーダ240が読み取ったカード情報を、DSRC方式で情報提供装置100の第2通信部120に送信する(ステップS170)。
【0036】
そして情報提供装置100の処理部130は、ステップS170で送信されてきた情報を用いて、注文処理を行う。そして処理部130は、決済情報(課金情報)を生成して、第2通信部120を介して車載型通信装置200の第1通信部210に、決済情報を送信する(ステップS180)。
【0037】
車載型通信装置200の第2通信部220は、第1通信部210が受信した決済情報を、無線通信端末300の第2通信部320に送信する(ステップS182)。無線通信端末300の表示部330は、第2通信部320が受信した決済情報を表示する(ステップS184)。
【0038】
以上、本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、ユーザは、無線通信端末300の表示部を用いて、情報提供装置100から車載型通信装置200に送信されてきた情報を確認できる。このため、車載型通信装置200に表示部を設ける必要がない。
【0039】
また、ユーザは、無線通信端末300の入力部を用いて、車載型通信装置200が情報提供装置100に送信すべき情報を入力することができる。このため、車載型通信装置200に入力部を設ける必要がない。
【0040】
また、無線通信端末300の第1通信部310は、車載型通信装置200の第1通信部210が情報提供装置100から受信した情報に従って、通信チャンネルを設定する。このため、通信チャンネルのサーチが不要となるため、無線通信端末300と情報提供装置100の間の通信を確立するまでの時間が短くなる。
【0041】
また、情報提供装置100と無線通信端末300の間の通信に必要な暗号コードを、秘匿性の高いDSRC通信を用いて、情報提供装置100から車載型通信装置200を経由して無線通信端末300に送信している。従って、無線通信において情報が漏洩するリスクが低くなる。
【0042】
なお、本実施形態において、車載型通信装置200は、無線通信端末300のMACアドレスを無線通信端末300から受信して、このMACアドレスを情報提供装置100に送信しても良い。この場合、情報提供装置100は、MACアドレスフィルタリングを行うことにより、無線通信端末300と情報提供装置100の間の通信のセキュリティーを高めることができる。
【0043】
(第3の実施形態)
図5は、第3の実施形態に係る通信システムの機能構成を、その使用環境とともに示す図である。本実施形態に係る通信システムは、情報提供装置100の第1通信部110と無線通信端末300の第1通信部310が、無線LANで通信を行う点を除いて、第2の実施形態に係る通信システムと同様の構成である。
【0044】
図6は、図5に示した通信システムの動作を示すフローチャートである。無線LANの通信範囲は、DSRCの通信範囲よりも広い。このため、車載型通信装置200が情報提供装置100と通信を確立する前に、無線通信端末300と情報提供装置100の通信が確立する。
【0045】
本実施形態において、情報提供装置100の第1通信部110は、常に問い合わせ信号を出力している。そして車両50が情報提供装置100を有する店舗に近づくと、無線通信端末300の第1通信部310は、問い合わせ信号の受信強度が基準値を超えるため、無線LANによる通信圏内であることを認識する(ステップS200)。次いで無線通信端末300の第1通信部310は、車載型通信装置200と情報提供装置100を接続するように要求する(ステップS210)。すると情報提供装置100の処理部130は、情報提供装置100と車載型通信装置200の間のDSRC通信を確立するために必要な設定情報を生成する。この設定情報には、無線通信に用いられる通信チャンネルを示す情報が含まれる。
【0046】
無線通信端末300の第2通信部320は、第1通信部310が受信した設定情報を、車載型通信装置200の第2通信部220に送信する(ステップS230)。次いで車載型通信装置200の第1通信部210は、第2通信部220が受信した設定情報に従って、情報提供装置100の第1通信部110との間で通信を確立する(ステップS240)。
【0047】
その後、情報提供装置100、車載型通信装置200、及び無線通信端末300は通信を行う(ステップS250)。この通信の詳細は、例えば、図4のステップS130移行と同様である。
【0048】
本実施形態によっても、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、無線LANの通信範囲は、DSRCの通信範囲よりも広い。このため、車載型通信装置200は、無線通信端末300を介して、DSRCの通信チャンネルを指定する情報を、DSRCの通信圏内に入る前に情報提供装置100から取得することができる。従って、車両50がDSRCの通信圏内に入ったときに、通信チャンネルをサーチする必要がなくなるため、迅速に情報提供装置100と車載型通信装置200の間の通信を確立することができる。
【0049】
なお本実施形態において、第2の実施形態と同様に、車載型通信装置200及び無線通信端末300は、図2に示すフローチャートに従って、情報提供装置100との間の通信を確立しても良い。この場合においても、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
また、第2の実施形態においても、図6に示すフローチャートに従って、情報提供装置100との間の通信を確立しても良い。
【0051】
(第4の実施形態)
図7は、第4の実施形態に係る通信システムの機能構成を、その使用環境とともに示す図である。本実施形態に係る通信システムは、無線通信端末300の第1通信部310と、情報提供装置100の第1通信部110とが、無線LAN及び通信網10のいずれによっても通信を行うことができる点を除いて、第2及び第3の実施形態と同様である。すなわち本実施形態に係る通信システムは、第2の実施形態に示した機能と、第3の実施形態に示した機能の双方を有している。
【0052】
図8は、本実施形態において、車載型通信装置200の第1通信部210が受信する通信選択情報(図2のステップS30)、及びそのときに使用される設定情報を示す表である。本実施形態では、まず、DSRC通信が先に確立される場合と、無線LAN通信又は携帯網通信が確立される場合の双方がある。
【0053】
DSRC通信が先に確立されるとき、1)後に通信手段が確立されない場合、2)後に携帯網通信が確立される場合(すなわち第1及び第2の実施形態)、及び、3)後に無線LAN通信が確立される場合(すなわち第3の実施形態の変形例)の3通りがある。車載型通信装置200の第1通信部210は、情報提供装置100から、1)の場合には通信選択情報のみを受信し、2)及び3)の場合は、通信選択情報のほか、設定情報としてチャンネル情報コード及び暗号コードを受信する。
【0054】
また、無線LAN通信又は携帯網通信が先に確立されるときは、必ず後にDSRC通信が確立される。このとき、車載型通信装置200の第2通信部220は、無線通信端末300を介して、チャンネル情報コードのみを受信する。
【0055】
本実施形態によっても、第1〜第3の実施形態に示した効果を得ることができる。
【0056】
なお、上記した実施形態によれば、以下の発明が開示されている。
(付記1)
DSRC(Dedicated Short Range Communication)方式で情報提供装置と無線通信を行う第1通信手段と、
携帯通信端末と通信を行う第2通信手段と、
を備え、
前記携帯通信端末は、直接又は公衆通信網を介して前記情報提供装置に接続し、
さらに、
前記第1通信手段を介して受信する情報に基づいて、前記第1通信手段のみで前記情報提供装置と通信を行うか、前記第1通信手段及び前記第2通信手段を併用して前記情報提供装置と通信を行うかを決定する通信制御手段と、
を備える車載型通信装置。
(付記2)
付記1に記載の車載型通信装置において、
前記通信制御手段は、前記第1通信手段及び前記第2通信手段を併用して前記情報提供装置と通信を行うように決定するとき、前記第1通信手段を介して、前記携帯通信端末と前記情報提供装置とを通信させるための設定情報を受信し、
前記第2通信手段は、前記設定情報を前記携帯通信端末に送信する車載型通信装置。
(付記3)
付記1又は2に記載の車載型通信装置において、
前記第1通信手段は、前記情報提供装置との間で第1情報を通信し、
前記第2通信手段は、前記携帯通信端末を介して前記情報提供装置との間で第2情報を通信し、
前記第1情報は、前記第2情報よりも秘匿性が要求される情報である車載型通信装置。
(付記4)
直接又は公衆通信網を介して情報提供装置に接続する携帯通信端末と、
車載型通信装置と、
を備え、
前記車載型通信装置は、
DSRC(Dedicated Short Range Communication)方式で前記情報提供装置と無線通信を行う第1通信手段と、
前記携帯通信端末と通信を行う第2通信手段と、
前記第1通信手段を介して受信する情報に基づいて、前記第1通信手段のみで前記情報提供装置と通信を行うか、前記第1通信手段及び前記第2通信手段を併用して前記情報提供装置と通信を行うかを決定する通信制御手段と、
を備える通信システム。
(付記5)
付記4に記載の通信システムにおいて、
前記携帯通信端末は、表示手段を有しており、
前記表示手段は、前記車載型通信装置が前記第1通信手段を用いて前記情報提供装置から受信した情報を表示する通信システム。
(付記6)
付記4又は5に記載の通信システムにおいて、
前記携帯通信端末は、入力手段を有しており、
前記車載型通信装置の前記第2通信手段は、前記携帯通信端末の前記入力手段によって入力された情報を受信し、
前記車載型通信装置の前記第1通信手段は、前記第2通信手段が前記携帯通信端末から受信した情報を前記情報提供装置に送信する通信システム。
(付記7)
付記4〜6のいずれか一つに記載の通信システムにおいて、
前記第1通信手段は、前記情報提供装置との間で第1情報を通信し、
前記第2通信手段は、前記携帯通信端末を介して前記情報提供装置との間で第2情報を通信し、
前記第1情報は、前記第2情報よりも秘匿性が要求される情報である通信システム。
(付記8)
直接又は公衆通信網を介して情報提供装置に接続する携帯通信端末と、
車載型通信装置と、
を備え、
前記車載型通信装置は、
DSRC(Dedicated Short Range Communication)方式で前記情報提供装置と無線通信を行う第1通信手段と、
前記携帯通信端末と通信を行う第2通信手段と、
を備え、
前記携帯通信端末は、前記DSRC方式の通信に必要な設定情報を受信し、
前記車載型通信装置の前記第2通信手段は、前記設定情報を前記携帯通信端末から取得し、
前記車載型通信装置の前記第1通信手段は、前記第2通信手段が受信した前記設定情報を用いて前記情報提供装置と通信する通信システム。
(付記9)
DSRC(Dedicated Short Range Communication)方式で情報提供装置と無線通信を行う第1通信手段と、
携帯通信端末と通信を行う第2通信手段と、
を備える車載型通信装置を用いた通信方法であって、
前記携帯通信端末は、直接又は公衆通信網を介して前記情報提供装置に接続し、
前記車載型通信装置は、前記第1通信手段を介して受信する情報に基づいて、前記第1通信手段のみで前記情報提供装置と通信を行うか、前記第1通信手段及び前記第2通信手段を併用して前記情報提供装置と通信を行うかを決定する通信方法。
(付記10)
付記9に記載の通信方法において、
前記車載型通信装置は、前記第1通信手段及び前記第2通信手段を併用して前記情報提供装置と通信を行うように決定するとき、前記第1通信手段を介して、前記携帯通信端末と前記情報提供装置とを通信させるための設定情報を受信し、
前記第2通信手段は、前記設定情報を前記携帯通信端末に送信する通信方法。
(付記11)
付記9又は10に記載の通信方法において、
前記第1通信手段は、前記情報提供装置との間で第1情報を通信し、
前記第2通信手段は、前記携帯通信端末を介して前記情報提供装置との間で第2情報を通信し、
前記第1情報は、前記第2情報よりも秘匿性が要求される情報である通信方法。
(付記12)
車載型通信装置に用いられるプログラムであって、
前記車載型通信装置は、
DSRC(Dedicated Short Range Communication)方式で情報提供装置と無線通信を行う第1通信手段と、
携帯通信端末と通信を行う第2通信手段と、
を備えており、
前記車載型通信装置に、前記第1通信手段を介して受信する情報に基づいて、前記第1通信手段のみで前記情報提供装置と通信を行うか、前記第1通信手段及び前記第2通信手段を併用して前記情報提供装置と通信を行うかを決定する機能を持たせるプログラム。
(付記13)
付記12に記載のプログラムであって、
前記第1通信手段に、前記第1通信手段及び前記第2通信手段を併用して前記情報提供装置と通信を行うように決定するとき、前記第1通信手段を介して、前記携帯通信端末と前記情報提供装置とを通信させるための設定情報を受信させ、
前記第2通信手段に、前記設定情報を前記携帯通信端末に送信させるプログラム。
(付記14)
付記12又は13に記載のプログラムにおいて、
前記第1通信手段に、前記情報提供装置との間で第1情報を通信させ、
前記第2通信手段に、前記携帯通信端末を介して前記情報提供装置との間で第2情報を通信させ、
前記第1情報は、前記第2情報よりも秘匿性が要求される情報であるプログラム。
【0057】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0058】
10 通信網
50 車両
100 情報提供装置
110 第1通信部
120 第2通信部
130 処理部
200 車載型通信装置
210 第1通信部
220 第2通信部
230 通信制御部
240 カードリーダ
300 無線通信端末
310 第1通信部
320 第2通信部
330 表示部
340 入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DSRC(Dedicated Short Range Communication)方式で情報提供装置と無線通信を行う第1通信手段と、
携帯通信端末と通信を行う第2通信手段と、
を備え、
前記携帯通信端末は、直接又は公衆通信網を介して前記情報提供装置に接続し、
さらに、
前記第1通信手段を介して受信する情報に基づいて、前記第1通信手段のみで前記情報提供装置と通信を行うか、前記第1通信手段及び前記第2通信手段を併用して前記情報提供装置と通信を行うかを決定する通信制御手段と、
を備える車載型通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載型通信装置において、
前記通信制御手段は、前記第1通信手段及び前記第2通信手段を併用して前記情報提供装置と通信を行うように決定するとき、前記第1通信手段を介して、前記携帯通信端末と前記情報提供装置とを通信させるための設定情報を受信し、
前記第2通信手段は、前記設定情報を前記携帯通信端末に送信する車載型通信装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車載型通信装置において、
前記第1通信手段は、前記情報提供装置との間で第1情報を通信し、
前記第2通信手段は、前記携帯通信端末を介して前記情報提供装置との間で第2情報を通信し、
前記第1情報は、前記第2情報よりも秘匿性が要求される情報である車載型通信装置。
【請求項4】
直接又は公衆通信網を介して情報提供装置に接続する携帯通信端末と、
車載型通信装置と、
を備え、
前記車載型通信装置は、
DSRC(Dedicated Short Range Communication)方式で前記情報提供装置と無線通信を行う第1通信手段と、
前記携帯通信端末と通信を行う第2通信手段と、
前記第1通信手段を介して受信する情報に基づいて、前記第1通信手段のみで前記情報提供装置と通信を行うか、前記第1通信手段及び前記第2通信手段を併用して前記情報提供装置と通信を行うかを決定する通信制御手段と、
を備える通信システム。
【請求項5】
請求項4に記載の通信システムにおいて、
前記携帯通信端末は、表示手段を有しており、
前記表示手段は、前記車載型通信装置が前記第1通信手段を用いて前記情報提供装置から受信した情報を表示する通信システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の通信システムにおいて、
前記携帯通信端末は、入力手段を有しており、
前記車載型通信装置の前記第2通信手段は、前記携帯通信端末の前記入力手段によって入力された情報を受信し、
前記車載型通信装置の前記第1通信手段は、前記第2通信手段が前記携帯通信端末から受信した情報を前記情報提供装置に送信する通信システム。
【請求項7】
直接又は公衆通信網を介して情報提供装置に接続する携帯通信端末と、
車載型通信装置と、
を備え、
前記車載型通信装置は、
DSRC(Dedicated Short Range Communication)方式で前記情報提供装置と無線通信を行う第1通信手段と、
前記携帯通信端末と通信を行う第2通信手段と、
を備え、
前記携帯通信端末は、前記DSRC方式の通信に必要な設定情報を受信し、
前記車載型通信装置の前記第2通信手段は、前記設定情報を前記携帯通信端末から取得し、
前記車載型通信装置の前記第1通信手段は、前記第2通信手段が受信した前記設定情報を用いて前記情報提供装置と通信する通信システム。
【請求項8】
DSRC(Dedicated Short Range Communication)方式で情報提供装置と無線通信を行う第1通信手段と、
携帯通信端末と通信を行う第2通信手段と、
を備える車載型通信装置を用いた通信方法であって、
前記携帯通信端末は、直接又は公衆通信網を介して前記情報提供装置に接続し、
前記車載型通信装置は、前記第1通信手段を介して受信する情報に基づいて、前記第1通信手段のみで前記情報提供装置と通信を行うか、前記第1通信手段及び前記第2通信手段を併用して前記情報提供装置と通信を行うかを決定する通信方法。
【請求項9】
車載型通信装置に用いられるプログラムであって、
前記車載型通信装置は、
DSRC(Dedicated Short Range Communication)方式で情報提供装置と無線通信を行う第1通信手段と、
携帯通信端末と通信を行う第2通信手段と、
を備えており、
前記車載型通信装置に、前記第1通信手段を介して受信する情報に基づいて、前記第1通信手段のみで前記情報提供装置と通信を行うか、前記第1通信手段及び前記第2通信手段を併用して前記情報提供装置と通信を行うかを決定する機能を持たせるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−74469(P2013−74469A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212021(P2011−212021)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】