説明

車載映像通信システム

【課題】複数の撮像装置及び映像処理装置間の配線を簡素化し、ケーブル長を減少させ、更に各装置の小型化を図ることができる車載映像通信システムを提供する。
【解決手段】車両に搭載されており、撮像して得た映像データを送信する複数の撮像装置1,2,3と、デジタルの映像データを処理する映像処理装置21と、複数の撮像装置1,2,3及び前記映像処理装置21がケーブルを介して夫々接続されており、撮像装置1,2,3から送信された映像データを前記映像処理装置21に送信する車載映像中継器とを備える車載映像通信システムであって、一又は複数の前記撮像装置2,3はアナログの映像データを送信するようにしてあり、車載映像中継器50は、撮像装置2,3から送信されたアナログの映像データをデジタルの映像データに変換する変換手段と、デジタルの映像データを選択的に又は多重化して映像処理装置21に送信する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された撮像装置が撮像して得た映像データを通信線を通じて映像処理装置に送信する車載映像通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通事故を防止すべく、車両に搭載された複数の撮像装置で車両周辺を撮像し、撮像された映像を表示装置、例えばヘッドアップディスプレイ、カーナビゲーション用のディスプレイ等に表示することが行われている。
【0003】
図6は、従来の車載映像通信システムの一例を示すブロック図である。車載映像通信システムは、車両に搭載された複数の第1乃至第3撮像装置1,2,3を備えており、第1乃至第3撮像装置1,2,3には、夫々第1乃至第3映像処理装置21,22,23がケーブルを介して1対1接続されている。第1乃至第3映像処理装置21,22,23は、映像データを処理することによって、車両の走行位置の検出、歩行者検知、警告等の処理を行う。
【特許文献1】特開2006−25188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、映像処理装置の処理能力向上、多機能化、車両に搭載する撮像装置の増加に伴い、1台の映像処理装置に複数の撮像装置をケーブル接続する必要が生じている。映像処理装置に複数の接続端子を設けて、撮像装置をケーブル接続した場合、撮像装置及び映像処理装置間の配線が複雑化及び肥大化するという問題が生ずる。また、接続端子の増加に伴い各装置が大形化するという問題が生ずる。
【0005】
図7は、上述の接続方法における問題点の一例を模式的に示すブロック図である。1台の第2映像処理装置32に3台の第1乃至第3撮像装置1,2,3をケーブル接続し、第3映像処理装置33に2台の第1及び第3撮像装置21,23を接続したような場合、第2映像処理装置32に3個の接続端子、第3映像処理装置33に2個の接続端子を設ける必要がある。このため、第2及び第3映像処理装置32,33は大形化する。また、ケーブルの配線状態も図7に示すように複雑化する。更に、第1撮像装置21を3台の第1乃至第3映像処理装置21,22,23にケーブル接続する場合、第1撮像装置21にも3個の接続端子を設ける必要があり、第1撮像装置21も大形化する。
【0006】
また、アナログの映像データを送信する撮像装置と、デジタルの映像データを送信する撮像装置が混在しているような場合、映像処理装置にアナログ用の接続端子、デジタル用の接続端子、及びAD変換器を備える必要があり、映像処理装置が大型化するという問題があった。
特に、自動車分野ではエレクトロニクス化が進む一方で車両の小型化、車内空間の拡大が求められている。このため、各種車載装置及びケーブル部分にも省スペース化が要求されており、上述の問題は深刻化している。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、複数の撮像装置が撮像して得た映像データを収集及びAD変換処理し、AD変換されたデジタルの映像データを1本の通信線、例えばケーブルを通じて選択的に又は多重化して映像処理装置に送信する車載映像中継器を備えることにより、複数の撮像装置及び映像処理装置間の配線を簡素化し、総ケーブル長を減少させ、更にアナログ映像データ受信用の接続端子及びA/D変換部を備えない小型の映像処理装置で構成することができる車載映像通信システムを提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、撮像装置が撮像して得たアナログの映像データをAD変換処理し、AD変換されたデジタルの映像データを複数の映像処理装置に分配する分岐器を備えることにより、撮像装置及び複数の映像処理装置間の配線を簡素化し、総ケーブル長を減少させ、更にアナログ映像データ受信用の接続端子及びA/D変換部を備えない小型の映像処理装置で構成することができる車載映像通信システムを提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、前記車載映像中継器及び前記分岐器を備えることにより、複数の撮像装置及び複数の映像処理装置間の配線を簡素化し、総ケーブル長を減少させ、更にアナログ映像データ受信用の接続端子及びA/D変換部を備えない小型の映像処理装置で構成することができる車載映像通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明に係る車載映像通信システムは、車両に搭載されており、撮像して得た映像データを送信する複数の撮像装置と、デジタルの映像データを処理する映像処理装置と、前記複数の撮像装置から送信された映像データを選択的に又は多重化して前記映像処理装置に送信する車載映像中継器とを備える車載映像通信システムであって、一又は複数の前記撮像装置はアナログの映像データを送信するようにしてあり、前記車載映像中継器は、前記複数の撮像装置及び前記映像処理装置が接続される接続部と、前記撮像装置から送信されたアナログの映像データをデジタルの映像データに変換するA/D変換部とを備え、デジタルの映像データを前記映像処理装置に送信するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
第1発明にあっては、複数の撮像装置及び映像処理装置は車載映像中継器の接続部に接続されており、各撮像装置が撮像して得た映像データは選択的に又は多重化されて映像処理装置に送信される。つまり、映像処理装置には、該映像処理装置に接続された1本の通信線、例えばケーブルを通じて、複数の撮像装置が撮像して得た映像データが送信される。
従って、映像処理装置に接続すべき撮像装置が増加しても、インタフェースが増加し、映像処理装置が大形化することはない。また、通信線が複雑化及び肥大化することもない。
一方、一又は複数の撮像装置はアナログの映像データを車載映像中継器に送信するように構成してあるところ、車載映像中継器はアナログの映像データをデジタルの映像データに変換して映像処理装置に送信する。従って、映像処理装置にアナログ映像データ受信用の接続端子、ADコンバータを備える必要がなく、該映像処理装置を小型化することができる。
なお、撮像装置、車載映像中継器及び映像処理装置を接続する手段は、映像データを伝達できるのであれば、ケーブルに限定されず、コード、導線、光ファイバ等で構成しても良い。
【0012】
第2発明に係る車載映像通信システムは、車両に搭載されており、撮像して得たアナログの映像データを送信する撮像装置と、デジタルの映像データを処理する複数の映像処理装置と、前記撮像装置から送信された映像データを分配する分岐器とを備える車載映像通信システムであって、前記分岐器は、前記撮像装置及び前記複数の映像処理装置が接続される接続部と、前記撮像装置から送信されたアナログの映像データをデジタルの映像データに変換するA/D変換部とを備え、デジタルの映像データを前記複数の映像処理装置に送信するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
第2発明にあっては、撮像装置及び複数の映像処理装置は分岐器に接続されており、撮像装置が撮像して得た映像データは各映像処理装置に分配される。
従って、映像処理装置に接続すべき撮像装置が増加しても、インタフェースが増加し、映像処理装置が大形化することはない。また、通信線が複雑化及び肥大化することもない。
一方、撮像装置はアナログの映像データを車載映像中継器に送信するように構成してあるところ、車載映像中継器はアナログの映像データをデジタルの映像データに変換して映像処理装置に送信する。従って、映像処理装置にアナログ映像データ受信用の接続端子、ADコンバータを備える必要がなく、該映像処理装置を小型化することができる。
【0014】
第3発明に係る車載映像通信システムは、車両に搭載されており、撮像して得たアナログの映像データを送信する第1撮像装置及び第2撮像装置と、デジタルの映像データを処理する第1映像処理装置及び第2映像処理装置と、前記第1撮像装置から送信された映像データを分配する分岐器と、前記第1及び第2撮像装置から送信された映像データを選択的に又は多重化して前記第2映像処理装置に送信する車載映像中継器とを備える車載映像通信システムであって、前記分岐器は、前記第1撮像装置、前記第1映像処理装置及び前記車載映像中継器が接続される接続部と、前記第1撮像装置から送信された映像データをデジタルの映像データに変換するA/D変換部とを備え、デジタルの映像データを前記第1映像処理装置及び前記車載映像中継器に送信するようにしてあり、前記車載映像中継器は、前記分岐器、前記第2撮像装置及び前記第2映像処理装置が接続される接続部と、前記第2撮像装置から送信された映像データをデジタルの映像データに変換するA/D変換部とを備え、デジタルの映像データを前記第2映像処理装置に送信するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
第3発明にあっては、第1撮像装置は分岐器を介して第1映像処理装置に接続されている。分岐器は、第1撮像装置が撮像して得たアナログの映像データをA/D変換部によってデジタルの映像データにAD変換し、AD変換されたデジタルの映像データを第1映像処理装置に分配する。また、分岐器は、車載映像中継器に接続されており、前記デジタルの映像データは該車載映像中継器にも分配される。
第2撮像装置は車載映像中継器に接続されている。車載映像中継器は、第2撮像装置が撮像して得たアナログの映像データをA/D変換部によってデジタルの映像データにAD変換する。車載映像中継器は、AD変換された第1撮像装置及び第2撮像装置の映像データを選択的に又は多重化して第2映像処理装置に中継する。
従って、第1撮像装置を第1及び第2映像処理装置に1対2接続し、第2撮像装置を第2映像処理装置に1対2接続する場合に比べて、インタフェースの増加による映像処理装置の大形化を抑えることができる。また、ケーブルの複雑化及び肥大化を抑えることができる。
従って、映像処理装置に接続すべき撮像装置が増加しても、インタフェースが増加し、映像処理装置が大形化することはない。また、通信線が複雑化及び肥大化することもない。
更に、各映像処理装置にアナログ映像データ受信用の接続端子、ADコンバータを備える必要がなく、映像処理装置を小型化することができる。
【発明の効果】
【0016】
第1発明によれば、複数の撮像装置及び映像処理装置間の配線を簡素化し、総ケーブル長を減少させ、更にアナログ映像データ受信用の接続端子及びA/D変換部を備えない小型の映像処理装置で構成することができる。特に近年、車両の小型化、車内空間の拡大が求められているため、車載用の本発明は特に有効である。
【0017】
第2発明によれば、撮像装置及び複数の映像処理装置間の配線を簡素化し、総ケーブル長を減少させ、更にアナログ映像データ受信用の接続端子及びA/D変換部を備えない小型の映像処理装置で構成することができる。
【0018】
第3発明によれば、複数の撮像装置及び複数の映像処理装置間の配線を簡素化し、総ケーブル長を減少させ、更にアナログ映像データ受信用の接続端子及びA/D変換部を備えない小型の映像処理装置で構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明の実施の形態に係る車載映像通信システムを示すブロック図、図2は車両に搭載された状態における車載映像通信システムの構成を示す模式図である。車載映像通信システムは、配線を簡素化し、かつ各種装置を小型化したネットワーク部分A,Bを備えている。
【0020】
ネットワーク部分Aは、デジタルの映像データ又はアナログの映像データのいずれかを送信する第1乃至第4撮像装置1,2,3,4、デジタルの映像データを処理する第1乃至第3映像処理装置21,22,23、AD変換機能を有する車載映像中継器50並びに第1及び第2分岐器41,42を備えている。第1及び第2撮像装置1,2、並びに第4撮像装置4は撮像して得たアナログの映像データを送信し、第3撮像装置3は撮像して得たデジタルの映像データを送信する。
【0021】
第1撮像装置1は、例えば車両後部の横方向略中央部に設けられており、可視光、赤外線又は遠赤外線等にて撮像して得たアナログの映像データをケーブルを通じて外部送信するように構成されている。第2撮像装置2及び第4撮像装置4は第1撮像装置1と同一構成であり、第3撮像装置3はデジタルの映像データを送信する点のみが異なる同様の構成であるため、以下では第1撮像装置1の構成について説明する。なお、第2撮像装置2は車両後部の横方向略中央部、第3撮像装置3は車両の側部に設けられている。また第4撮像装置4は車両の略中央部に設けられている。
【0022】
第1撮像装置1は、自動車の周辺を撮像するためのレンズ、撮像素子、信号処理回路、送信回路等を備えている。
撮像素子は、例えば可視光にて撮像するCCD(Charge Coupled Devices)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等で構成されており、レンズにて結像した像をアナログの電気信号に変換する。
信号処理回路は、相関二重サンプリング回路、オートゲインコントロール回路、映像処理用マイクロプロセッサ等を備えている。信号処理回路は、撮像素子にて変換された電気信号に対してノイズ低減処理、ゲイン調整等の処理を実行して送信回路に与える。映像データは、映像を構成する各フレームの画素の輝度値を示すデータと、ヘッダ部分とを有している。ヘッダ部分には、第1乃至第4撮像装置1,2,3,4を識別するためのID情報、例えばMACアドレスが含まれている。なお、ID情報は図示しない不揮発性メモリが記憶しており、信号処理回路は該不揮発性メモリが記憶しているID情報を映像データのヘッダ部分に付加するように構成されている。
送信回路は、アナログの映像データ、例えばNTSC(National Television System Committee Standard)又はPAL(Phase Alternating Line)形式に準拠したコンポジット信号、S映像信号、YCbCr信号、RGB信号等の映像データをケーブル及び第1分岐器41を介して車載映像中継器50に送信する。
なお、第3撮像装置3の送信回路はデジタルの映像データを送信するように構成されている。
【0023】
図3は、第1分岐器41の構成を示すブロック図である。第1分岐器41は、第1乃至第3接続端子41a,41b,41c、A/D変換部41d、及び増幅器41eを備えており、第1撮像装置1から送信された映像データを車載映像中継器50及び第1映像処理装置21に分配して送信するように構成されている。
【0024】
第1接続端子41aは、アナログ用のケーブルを介して第1撮像装置1と第1分岐器41とを接続するための端子である。第1接続端子41aにはA/D変換部41dを介して第2接続端子41b及び増幅器41eが夫々接続されている。
【0025】
A/D変換部41dは、第1撮像装置1から送信されたアナログの映像データをデジタルの映像データにAD変換する。例えば、A/D変換部41dは、LVDS(Low-Voltage Differential Signaling )に準拠したデジタル信号を出力する。具体的には、振幅が数百mVの差動信号に変調して送信する。第2接続端子41bには、デジタル用のケーブル、例えばLVDSに適合したツイストペアケーブルを介して第1映像処理装置21が接続されており、A/D変換部41dはAD変換されたデジタルの映像データを第2接続端子41b及びケーブルを通じて車載映像中継器50に送信するように構成されている。
【0026】
増幅器41eは、A/D変換部41dでAD変換されたデジタルの映像データを増幅する。増幅器41eにはデジタル用のケーブルを介して第1映像処理装置21が接続される第3接続端子41cが接続されており、増幅器41eは増幅されたデジタルの映像データを第3接続端子41c及びケーブルを通じて第1映像処理装置21に送信するように構成されている。
【0027】
第2分岐器42は、第1分岐器41と同様の構成であり、第4撮像装置4から送信されたアナログの映像データをデジタルの映像データにAD変換し、AD変換された映像データを車載映像中継器50及び第3映像処理装置23に送信するように構成されている。
【0028】
図4は、車載映像中継器50の構成を示すブロック図である。車載映像中継器50は、切替制御部50a、映像処理部56、第1乃至第5接続端子51a,52a,53a,54a,55a、第1乃至第5通信部51b,52b,・・・,55bを備えており、第1乃至第4撮像装置1,2,3,4から送信された映像データを選択的に又は多重化して第2映像処理装置22に送信するように構成されている。
【0029】
切替制御部50aは、例えばCPUを備えたマイクロコンピュータであり、CPUにはバスを介して接続されたROM、RAM、入出力部等を備えている。ROMは、制御用のコンピュータプログラムを記憶したマスクROM、EEPROM、フラッシュメモリ等で構成されている。RAMは、一時記憶用のSRAM又はDRAM等で構成されている。CPUは、該コンピュータプログラムをRAMに展開して実行することによって、車載映像中継器50の各種動作を制御する。
【0030】
第1接続端子51aは、ケーブル及び第1分岐器41を介して第1撮像装置1と車載映像中継器50とを接続するための接続部である。第1接続端子51aには第1通信部51bが接続されており、第1撮像装置1から送信された映像データが第1接続端子51aを通じて第1通信部51bに入力されるように構成されている。なお、第1通信部51bに入力される映像データは第1分岐器41でAD変換されたデジタルの映像データである。
【0031】
同様に第4接続端子54aには、ケーブル及び第2分岐器42を介して第4撮像装置4が接続されており、第4撮像装置4から送信された映像データが第4接続端子54aを通じて第4通信部54bに入力されるように構成されている。
【0032】
第2接続端子52aには、ケーブルを介して第2撮像装置2が接続されており、第2撮像装置2から送信されたアナログの映像データが第2接続端子52aを通じて第2通信部52bに入力されるように構成されている。
【0033】
同様に第3接続部には、ケーブルを介して第3撮像装置3が接続されており、第3接続端子53aから送信されたデジタルの映像データが第3接続端子53aを通じて第3通信部53bに入力されるように構成されている。
【0034】
第1通信部51b、第3通信部53b及び第4通信部54bは、入力されたデジタルの映像データを復調し、復調された映像データを映像処理部56に入力する。
第2通信部52bは、A/D変換部52cを備えている。A/D変換部52cは、第2通信部52bに入力したアナログの映像データをデジタルの映像データに変換する。第2通信部52bは、AD変換されたデジタルの映像データを復調し、復調された映像データを映像処理部56に入力する。
【0035】
映像処理部56は、第1乃至第4撮像装置1,2,3,4から送信された映像データの解像度を変換する解像度変換機能、フレームレートを変換する間引き処理機能、複数の映像データを時分割多重する多重処理機能、いずれか一つの映像データを選択して第1映像処理装置21に送信する切替処理機能等を備えており、切替制御部50aの制御に応じて動作する。映像処理部56は選択された映像データ、又は多重化された映像データを第5通信部55bに与える。
【0036】
第5通信部55bは、映像処理部56から与えられた映像データを変調する。第5通信部55bには第5接続端子55aが接続されており、第5接続端子55aには、ケーブルを介して第2映像処理装置22が接続されている。第5通信部55bは、第5接続端子55a及びケーブルを介して映像データを第2映像処理装置22に送信する。
また、第5通信部55bは切替制御部50aに接続されており、第2映像処理装置22から送信された切替信号を受信及び復調し、復調された切替信号を切替制御部50aに与えるように構成されている。
【0037】
一方、図1に示すネットワーク部分Bは、第5及び第6撮像装置5,6、並びに第3及び第4分岐器43,44、第4乃至第6映像処理装置24,25,26を備えている。第3及び第4分岐器43,44の構成は第1分岐器41と同様である。
【0038】
第5及び第6撮像装置5,6、例えばステレオ視遠赤外線撮像装置は、第3分岐器43に接続されており、分岐した一のケーブルは第6映像処理装置26に接続されている。分岐した他のケーブルは第4分岐器44に接続されている。また第4分岐器44で分岐した一のケーブルは第4映像処理装置24に接続されており、他のケーブルは第5映像処理装置25に接続されている。
【0039】
図1に示す第1乃至第6映像処理装置21,22,・・・,26は、CPUを備えたマイクロコンピュータであり、CPUにはバスを介してROM、RAM、計時部、CAN(Controller Area Network)インタフェース、映像入力端子等を備えており、デジタルの映像データを受信し、受信したデジタルの映像データに所定処理を施すように構成されている。例えば、車両に接触する虞がある歩行者を検出し、該歩行者を検出した場合、警告を発する。なお、各映像データには、第1乃至第6撮像装置1,2,・・・,6のいずれの映像データであるかを識別するためのID情報が付加されているため、第1乃至第6映像処理装置21,22,・・・,26は、該ID情報に基づいて自己の必要な映像データを選択的に受信することができる。
【0040】
他方、図1に示すように、他の撮像装置7,8は映像処理装置27にケーブル接続され、撮像装置9,10は映像処理装置28に接続されている。また、撮像装置11は映像処理装置29に接続され、撮像装置12,13は映像処理装置30に接続される。
【0041】
図5は、本実施の形態及びに係る車載映像通信システム及び従来の車載映像通信システムの比較を示すブロック図である。
図5(a)は本発明の実施の形態に係る車載映像通信システム、図5(b)は図5(a)と等価な従来の車載映像通信システムを示している。
【0042】
ネットワーク部分Aと等価なネットワーク部分Cを比較すると、図5(b)に示すように、第2映像処理装置22に相当する第2映像処理装置122には、第1及び第2撮像装置1,2を接続するためのアナログ用接続端子と、第3撮像装置3を接続するためのデジタル用接続端子と、転送用の2つの接続端子を備える必要があり、第2映像処理装置122は大型化する。同様に第3映像処理装置23に対応する第3映像処理装置123には映像データ受信用の接続端子と、転送用の接続端子を備える必要があり、装置が大型化する。また、第1乃至第3撮像装置1,2,3と、第2映像処理装置122とを1対1接続する必要があるため、ケーブルの配線が肥大化する。更に配線が複雑化している。
これに対して、車載映像中継器50、第1及び第2分岐器41,42を使用して、映像データを分配及び配信するように構成した場合、図5(a)に示すように、各第1乃至第3映像処理装置21,22,23には夫々デジタル用接続端子を一つ備えれば十分であり、各装置を小型化することができる。また、車載映像中継器50が第1乃至第3撮像装置3の映像データを収集して、選択的に又は多重化して配信するように構成してあるため、ケーブルの配線が簡素化する。更に、第1及び第2分岐器41,42でケーブルを分岐するように構成してあるため、転送用の配線及び接続端子が不要になり、配線が簡素化し、各装置は小型化する。更に、第1及び第2分岐器41,42、並びに車載映像中継器50はA/D変換部41d,52cを備えているため、デジタル用接続端子、アナログ映像データ受信用の接続端子を備える映像処理装置を用意する必要がなく、第1乃至第4映像処理装置24を小型化することができる。
【0043】
ネットワーク部分Bと等価なネットワーク部分Dを比較すると、図5(b)に示すように第4映像処理装置24に相当する第4映像処理装置124には、6つの接続端子が設けられており、第5及び第6映像処理装置25,26に相当する第5及び第6映像処理装置125,126には夫々2つの接続端子が設けられている。
これに対して、図5(a)に示すように第3及び第4分岐器43,44を使用して、映像データを分配するように構成した場合、ネットワーク部分Aと同様、ケーブルの配線を簡素化し、各装置を小型化することができる。また、総ケーブル長を短縮することができる。
【0044】
なお、撮像装置、車載映像中継器、分岐器、及び映像処理装置を接続するケーブル及び通信線は、例示であって映像データを送受信できるのであれば、他のケーブル、コード、導線、光ファイバ、電力線等を使用しても良い。
【0045】
また、撮像装置及び映像処理装置の台数は例示であって、1台の撮像装置に複数の映像処理装置を接続するように構成しても良い。また、複数の撮像装置を1台の映像処理装置に接続するように構成しても良い。更に、2台以上の撮像装置及び映像処理装置同士を接続するように構成しても良い。
【0046】
更に、可視光にて車両周辺を撮像する場合を説明したが、赤外線、遠赤外線等にて撮像するように構成しても良い。また、車内を撮像するように構成しても良い。
【0047】
更にまた、映像処理装置として歩行者検知等の処理を行う装置を例示したが、映像データを用いて各種判断を行い、映像を表示し、映像を外部出力する等、映像データを利用する処理を実行する装置であれば、他の装置であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態1に係る車載映像通信システムを示すブロック図である。
【図2】車両に搭載された状態における車載映像通信システムの構成を示す模式図である。
【図3】第1分岐器の構成を示すブロック図である。
【図4】車載映像中継器の構成を示すブロック図である。
【図5】本実施の形態及びに係る車載映像通信システム及び従来の車載映像通信システムの比較を示すブロック図である。
【図6】従来の車載映像通信システムの一例を示すブロック図である。
【図7】従来の接続方法における問題点の一例を模式的に示すブロック図である。
【符号の説明】
【0049】
50 車載映像中継器
1 第1撮像装置
2 第2撮像装置
3 第3撮像装置
4 第4撮像装置
5 第5撮像装置
6 第6撮像装置
21 第1映像処理装置
22 第2映像処理装置
23 第3映像処理装置
24 第4映像処理装置
25 第5映像処理装置
26 第6映像処理装置
41 第1分岐器
42 第2分岐器
43 第3分岐器
44 第4分岐器
50a 切替制御部
51a 第1接続端子
52a 第2接続端子
53a 第3接続端子
54a 第4接続端子
55a 第5接続端子
56 映像処理部
41a 第1接続端子
41b 第2接続端子
41c 第3接続端子
41d,52c A/D変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されており、撮像して得た映像データを送信する複数の撮像装置と、デジタルの映像データを処理する映像処理装置と、前記複数の撮像装置から送信された映像データを選択的に又は多重化して前記映像処理装置に送信する車載映像中継器とを備える車載映像通信システムであって、
一又は複数の前記撮像装置はアナログの映像データを送信するようにしてあり、
前記車載映像中継器は、前記複数の撮像装置及び前記映像処理装置が接続される接続部と、前記撮像装置から送信されたアナログの映像データをデジタルの映像データに変換するA/D変換部とを備え、デジタルの映像データを前記映像処理装置に送信するようにしてある
ことを特徴とする車載映像通信システム。
【請求項2】
車両に搭載されており、撮像して得たアナログの映像データを送信する撮像装置と、デジタルの映像データを処理する複数の映像処理装置と、前記撮像装置から送信された映像データを分配する分岐器とを備える車載映像通信システムであって、
前記分岐器は、
前記撮像装置及び前記複数の映像処理装置が接続される接続部と、前記撮像装置から送信されたアナログの映像データをデジタルの映像データに変換するA/D変換部とを備え、デジタルの映像データを前記複数の映像処理装置に送信するようにしてある
ことを特徴とする車載映像通信システム。
【請求項3】
車両に搭載されており、撮像して得たアナログの映像データを送信する第1撮像装置及び第2撮像装置と、デジタルの映像データを処理する第1映像処理装置及び第2映像処理装置と、前記第1撮像装置から送信された映像データを分配する分岐器と、前記第1及び第2撮像装置から送信された映像データを選択的に又は多重化して前記第2映像処理装置に送信する車載映像中継器とを備える車載映像通信システムであって、
前記分岐器は、
前記第1撮像装置、前記第1映像処理装置及び前記車載映像中継器が接続される接続部と、前記第1撮像装置から送信された映像データをデジタルの映像データに変換するA/D変換部とを備え、デジタルの映像データを前記第1映像処理装置及び前記車載映像中継器に送信するようにしてあり、
前記車載映像中継器は、
前記分岐器、前記第2撮像装置及び前記第2映像処理装置が接続される接続部と、前記第2撮像装置から送信された映像データをデジタルの映像データに変換するA/D変換部とを備え、デジタルの映像データを前記第2映像処理装置に送信するようにしてある
ことを特徴とする車載映像通信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−206096(P2008−206096A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−42941(P2007−42941)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】