説明

車載用ディスクプレーヤ及び車載用ディスクプレーヤの制御方法

【課題】車両事故の発生或いは事故の発生を予測した場合に、ディスクや表示パネル等の突出を防止した車載用ディスクプレーヤを提供する。
【解決手段】ディスクプレーヤの本体内に設けられディスク媒体を回転するターンテーブル及びディスク媒体に記録された情報を読み取り可能なピックアップを含むドライブユニットと、ドライブユニットに対してディスク媒体を挿入・排出するための搬送機構と、ディスクプレーヤを搭載した車両が障害物に衝突した場合又は障害物への衝突を予測した場合に発生される危険信号に応答して搬送機構を制御し、ディスク媒体がイジェクト保持状態にある場合にディスク媒体をドライブユニット内に引き込む制御部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)等のディスク媒体に記録された情報を再生可能な車載用ディスクプレーヤに係り、特に、車両事故の発生或いは事故の発生を予測した場合に、突出しているディスクや表示パネルにユーザが衝突して怪我をしたり、ディスクが破損することを低減した車載用ディスクプレーヤ及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスクプレーヤでは、光ピックアップからディスク媒体(以下、ディスクと称す)に対してレーザ光を照射し、ディスクからの情報を読み取って再生するようにしている。また、車載用のディスクプレーヤも普及している。
【0003】
従来の車載用のディスクプレーヤでは、車内のダッシュボード等にプレーヤを取り付け、プレーヤに対してディスクを挿入・排出可能にしている。また、ディスクプレーヤに近接して表示パネルを取り付けている。一般に、表示パネルは、チルト機構によって所定の角度だけ傾斜させることができ、ユーザ(運転手や助手席の人)が見やすい角度に調整可能になっている。
【0004】
ところで、車載用のディスクプレーヤでは、車両の衝突事故や、横滑り等の衝撃によってユーザの体がダッシュボードにぶつかることが想定される。この際に、ディスクプレーヤからディスクがイジェクト保持状態であったり、表示パネルが傾斜していた場合、突出したディスクや傾斜した表示パネルの角にユーザがぶつかって怪我をすることがある。
【0005】
また事故時にユーザが避難する際に、突出したディスクや傾斜した表示パネルは避難の邪魔になってしまう。また、ディスクが空中に飛び出すと凶器にもなり得るし、ディスク自体が破損する可能性もある。
【0006】
特許文献1には、車載用の表示装置について記載されている。この例では車両事故の際に、表示装置(CRT)がユーザに対して危険を及ぼすのを避けるため、表示装置に所定量以上の衝撃が加わった場合に、CRT内を通常気圧状態にする真空解除機構を設けている。しかしながら、特許文献1の例は、表示装置やディスクの突出に対する対策は述べられておらず、さらなる安全策が求められている。
【特許文献1】特開平6−191353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の車載用ディスクプレーヤでは、車両の衝突事故等によって衝撃を受けた場合、突出したディスクや傾斜した表示パネルがユーザがぶつかって怪我をしたり、また避難の邪魔になってしまうという欠点があった。また、ディスク自体が破損する可能性もある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、車両事故の発生或いは事故の発生を予測した場合に、ディスクや表示パネル等の突出を防止し、安全性を向上したディスクプレーヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の本発明の車載用ディスクプレーヤは、ディスクプレーヤの本体内に設けられ、ディスク媒体を回転するターンテーブル及び前記ディスク媒体に記録された情報を読み取り可能なピックアップを含むドライブユニットと、前記本体に形成された挿入口を介して、前記ドライブユニットに対して前記ディスク媒体を挿入・排出するための搬送機構と、前記ディスクプレーヤを搭載した車両が、障害物に衝突した場合又は障害物への衝突を予測した場合に発生される危険信号に応答して前記搬送機構を制御し、前記ディスク媒体の一部が前記挿入口から突出した状態にある場合に前記ディスク媒体を前記ドライブユニット内に引き込む制御部と、を具備したことを特徴とする。
【0010】
また、請求項6記載の本発明の車載用ディスクプレーヤは、ディスクプレーヤの本体内に設けられ、ディスク媒体を回転するターンテーブル及び前記ディスク媒体に記録された情報を読み取り可能なピックアップを含むドライブユニットと、前記ディスクプレーヤによって再生された映像を表示可能な表示パネルと、前記表示パネルを、前記ディスクプレーヤの本体の前面部に対してフラットになる第1の状態、及び前記前面部に対して所定の角度だけ傾斜した第2の状態に調整可能なチルト機構と、前記ディスクプレーヤを搭載した車両が、障害物に衝突した場合又は障害物への衝突を予測した場合に発生される危険信号に応答して前記チルト機構を制御し、前記表示パネルが前記第2の状態にあるときに前記第1の状態に移行させる制御部と、を具備したことを特徴とする。
【0011】
また請求項12記載の本発明の車載用ディスクプレーヤの制御方法は、ディスクプレーヤの本体内にディスク媒体を回転するターンテーブル及び前記ディスク媒体に記録された情報を読み取り可能なピックアップを含むドライブユニットを設け、前記本体に形成された挿入口を介して、前記ドライブユニットに対して前記ディスク媒体を挿入・排出するための搬送機構を備え、前記ディスクプレーヤを搭載した車両が、障害物に衝突した場合又は障害物への衝突を予測した場合に、前記ディスク媒体の状態を判断し、前記ディスク媒体の一部が前記挿入口から突出した状態にある場合に、前記ディスク媒体を前記ドライブユニット内に引き込むことを特徴とする。
【0012】
さらに請求項13記載の本発明の車載用ディスクプレーヤの制御方法は、ディスクプレーヤの本体内にディスク媒体を回転するターンテーブル及び前記ディスク媒体に記録された情報を読み取り可能なピックアップを含むドライブユニットを設け、前記ディスクプレーヤによって再生された映像を表示可能な表示パネルを前記ディスクプレーヤの本体の前面部に対してフラットになる第1の状態、及び前記前面部に対して所定の角度だけ傾斜した第2の状態に調整可能なチルト機構を備え、前記ディスクプレーヤを搭載した車両が、障害物に衝突した場合又は障害物への衝突を予測した場合に前記表示パネルの状態を判断し、前記表示パネルが前記第2の状態にあるときは前記第1の状態に移行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のディスクプレーヤでは、車両の衝突、或いは衝突が予測される場合に、ディスクや表示パネルが突出するのを避けることができ、ユーザが突出したディスクや、表示パネルの角にぶつかって怪我をしたり、避難の邪魔になるのを防ぐことができる。またディスク自体の破損を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の車載用ディスクプレーヤの一実施形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明の一実施形態に係る車載用ディスクプレーヤの概略構成を示すブロック図である。図1において、100はディスクプレーヤ(例えばCDプレーヤ)である。ディスクプレーヤ100は、光ピックアップ11を有し、スピンドルモータ12によって一定の線速度で回転するターンテーブル13に載置されたディスクD(例えばCD)に記録された情報を、光ピックアップ11を用いて再生する。光ピックアップ11、スピンドルモータ12、ターンテーブル13は、ドライブユニット14を構成する。またドライブユニット14に対してディスクDを挿入・排出するために、搬送機構15を設けている。
【0016】
搬送機構15は、ガイド部材16とローラ17によってディスクDを挟み、ローラ17の回転によって、ディスクDをドライブユニット14に挿入したり、ドライブユニット14からディスクDを排出するものである。ローラ17の駆動源としてモータ18が使用される。
【0017】
モータ18は、ディスクDの挿入を検知する検知部(図示せず)によって、第1の方向(図1では時計回り)に回転し、ディスクDをドライブユニット14のターンテーブル13上に導く。ディスクプレーヤ100がプレイ中は、ガイド部材16とローラ17は離反し、ディスクDはターンテーブル13上に載置される。
【0018】
プレイ状態でスピンドルモータ12が回転駆動されると、ターンテーブル13によってディスクDは回転し、光ピックアップ11によってディスクDに記録された情報の読み取りが可能となる。
【0019】
また、プレイ終了後、ユーザのイジェクト操作に応答してディスクDは、ターンテーブル13から離れる。またガイド部材16とローラ17は互いに接近して再びディスクDを挟み、ローラ17の第2の方向への回転(図1では反時計方向の回転)により、ディスクDはドライブユニット14から排出される。ディスクDが挿入口(後述)から所定量だけ突出した時点でモータ18は停止し、ディスクDは、ユーザによって引き抜かれるのを待つ。以下、ディスクDの一部が挿入口から突出した状態をイジェクト保持状態と呼ぶ。
【0020】
なお、ガイド部材16とローラ17を、ディスクDの挿入/排出時に接近させ、プレイ時に離反させるための機構が設けられるが、図示は省略する。
【0021】
またディスクプレーヤ100は、制御部101を有する。制御部101はCPU102を含み、モータ18を制御する。
【0022】
一方、200は車両に設けられた車両制御部であり、車両制御部200には、ショックセンサ201、重力センサ202等の衝撃センサが接続されている。また、車両制御部200には、プリクラッシュ信号や横滑り信号等を生成する信号生成部203を有している。
【0023】
ショックセンサ201や重力センサ202は、例えば急ブレーキ等によりショック値や重力が所定値以上になったときに車両制御部200に検知出力を供給する。またプリクラッシュ信号は、運転時の車両の衝突を事前に予測し、安全装置を作動させる際のトリガー信号である。例えば、車両に超音波発信器と受信器を取り付け、車両と前方の障害物との距離を測定し、車両速度と、障害物との距離の情報をもとに、衝突が予測される場合に発生する信号である。また横滑り信号は、車両が急ハンドル等により横滑りした際に、所定の距離以上の横滑りを生じたときに発生する信号である。
【0024】
車両制御部200は、ショックセンサ201や重力センサ202の検知出力、及びプリクラッシュ信号や横滑り信号等に基づいて、安全装置、例えばエアバッグシステムや、アンチロック・ブレーキシステム(ABS)を作動させる。
【0025】
また、車両制御部200は、ショックセンサ201や重力センサ202による検知出力を受けて車両の衝突時に危険信号を発生する。また信号生成部203で発生したプリクラッシュ信号、横滑り信号等を基に車両の衝突を予測して危険信号を発生する。つまり車両制御部200は信号発生部を構成し、ディスクプレーヤ100の制御部101にBUS204を介して危険信号を伝送する。
【0026】
ディスクプレーヤ100の制御部101はCPU102を含み、車両制御部200から危険信号を受信した際に、CPU102は、ディスクDの状態を判断し、ディスクDがイジェクト保持状態にある場合にモータ18を制御し、モータを第1の方向に回転させてディスクプレーヤ100内にディスクDを引き込む。
【0027】
したがって、ドライブユニット14は、車両の衝突、或いは衝突が予測される場合には、ディスクプレーヤ100からディスクDが突出するのを避けることができる。また、車両の衝突時にはドライブユニット14内にディスクDが収容されるため、ディスクの飛び出しを防ぎ、かつディスクD自体の破損を低減することができる。
【0028】
次に図2〜図4を参照して、図1のディスクプレーヤ100の動作を説明する。
【0029】
図2は、ディスクプレーヤ100が搭載された車両の内部を示したものであり、例えば車両のダッシュボード205の運転席からやや離れた位置206にディスクプレーヤ100が取り付けられる。
【0030】
図3は、ダッシュボード205の取付位置206に取り付けられたディスクプレーヤ100を示す斜視図である。ディスクプレーヤ100は、図3(a)で示すように、プレーヤ本体20内にドライブユニット14(図3では図示を省略)を有し、本体20の前面部に設けた挿入口21からディスクDを挿入したり、挿入口21からディスクDを取り出すことができる。
【0031】
挿入口21を介してディスクDが挿入されると、図1で示した搬送機構15によってディスクDはターンテーブル13へと導かれる。ディスクDがターンテーブル上に載置された状態を点線D1で示している。ターンテーブル13に載置されたディスクDは、スピンドルモータ12によって一定の線速度で回転し、ディスクDに記録された情報は、光ピックアップ11を用いて再生される。
【0032】
また、本体20には操作ボタン22やディスプレイ23が設けられている。操作ボタン22の中のイジェクトボタン221が操作されると、ディスクDはターンテーブル13上から離れ、搬送機構15のガイド部材16とローラ17に挟まれ、ローラ17(モータ18)の回転によって排出される。ディスクDが挿入口21から所定量だけ突出した時点でモータ18は停止し、ディスクDはイジェクト保持状態となる。
【0033】
図3(a)は、ディスクDがイジェクト保持状態にあるときを示している。例えば、この状態で車両が障害物に衝突した場合、又は衝突が予測された場合、車両制御部200からディスクプレーヤ100に対して危険信号が送られる。これにより、制御部101は、ディスクDがイジェクト保持状態にあることを判断してモータ18を制御し、モータ18をディスクDの排出時と逆方向に回転させて本体20内にディスクDを引き込んで収容する。
【0034】
イジェクト保持状態では、ディスクDの一部がガイド部材16とローラ17に挟まれているため、モータ18の回転によりディスクDを本体20内に収容することができる。図3(b)は、ディスクDが本体20内に引き込まれた状態を示している。
【0035】
したがって、車両の衝突、或いは衝突が予測される場合には、本体20からディスクDが突出するのを避けることができ、ユーザが車両から避難する際に突出したディスクDにぶつかるのを防ぐことができる。また、車両の衝突時には本体20内にディスクDが収容されるため、ディスクの飛び出しを防ぎ、かつディスクD自体の破損を低減することができる。
【実施例2】
【0036】
次に本発明の第2の実施形態に係る車載用ディスクプレーヤについて説明する。第2の実施形態では、ディスクに記録された映像情報を再生して表示パネルに表示するとともに、表示パネルの角度を調整可能にしたチルト機構を備えている。
【0037】
図4は本発明の第2の実施形態に係る車載用ディスクプレーヤの概略構成を示すブロック図である。尚、図4ではディスク媒体としてDVDの再生を行う場合を例に説明する。
【0038】
図4において、300はディスクプレーヤ(例えばDVDプレーヤ)である。ディスクプレーヤ300は、ピックアップ11を有し、スピンドルモータ12によって一定の線速度で回転するターンテーブル13に載置されたディスクD(例えばDVD)に記録された情報を、光ピックアップ11を用いて再生する。光ピックアップ11、スピンドルモータ12、ターンテーブル13は、ドライブユニット14を構成する。またドライブユニット14に対してディスクDを挿入・排出するために、搬送機構15を設けている。
【0039】
搬送機構15は、図1と同様にガイド部材16とローラ17を含み、ローラ17の駆動源としてモータ18が使用される。モータ18は、ディスクDの挿入を検知する検知部(図示せず)によって、第1の方向(図4では時計回り)に回転し、ディスクDをドライブユニット14のターンテーブル13上に導く。ディスクプレーヤ300がプレイ中は、ガイド部材16とローラ17は離反し、ディスクDはターンテーブル13上に載置される。
【0040】
プレイ状態でスピンドルモータ12が回転駆動されると、ターンテーブル13によってディスクDは回転し、光ピックアップ11によってディスクDに記録された情報の読み取りが可能となる。
【0041】
また、プレイ終了後、ユーザのイジェクト操作に応答してディスクDは、ターンテーブル13から離れる。またガイド部材16とローラ17は互いに接近して再びディスクDを挟み、ローラ17の第2の方向への回転(図1では反時計方向の回転)により、ディスクDはドライブユニット14から排出される。ディスクDが挿入口(後述)から所定量だけ突出した時点でモータ18は停止し、ディスクDは、イジェクト保持状態となる。
【0042】
ここまでは、図1と同様の構成であるが、図4のディスクプレーヤ300では、ドライブユニット14や搬送機構15が本体30内に設けられ、本体30の前面部に表示パネル32が設けられている。
【0043】
表示パネル32は、チルト機構33によって角度を調節可能であり、角度調節のためにモータ34が利用されている。またディスクプレーヤ300は、制御部101を有する。制御部101はCPU102を含み、モータ16及びモータ34を制御する。
【0044】
一方、200は車両に設けられた車両制御部である。車両制御部200は図1と同様の構成であるため、詳細な説明は割愛するが、車両が障害物に衝突したとき、又は衝突を予測したときに危険信号を発生し、BUS204を介して危険信号を制御部101に伝送する。
【0045】
ディスクプレーヤ300の制御部101は、車両制御部200から危険信号を受信した際に、ディスクDの状態及び表示パネル32の状態を判断し、ディスクDがイジェクト保持状態にある場合にモータ18を制御し、モータを第1の方向に回転させてディスクプレーヤ300内にディスクD内に引き込む。また表示パネル32が開いて傾斜している状態にあるときは、モータ33を制御して表示パネル32を閉じた状態に移行する。
【0046】
したがって、車両の衝突、或いは衝突が予測される場合には、ディスクプレーヤ300からディスクDが突出するのを避けることができる。また、表示パネル32が開いている場合には、閉じた位置に移行するため、表示パネル32の角が突出するのを防ぐことができる。
【0047】
次に図5を参照して、図4のディスクプレーヤ300の動作を説明する。
【0048】
図5は、車両のダッシュボード205の取付位置206(図2参照)に取り付けられたディスクプレーヤ300を示す斜視図である。ディスクプレーヤ300は、図5(a)で示すように、プレーヤ本体30内にドライブユニット14(図5では図示を省略)を有している。
【0049】
本体30の前面部には、ディスクDの挿入口31が設けられており、表示パネル32を閉じたフラッな状態では挿入口31は閉鎖される。また表示パネル32をチルト機構33によって傾斜させると、ディスクDの挿入口31は解放され、挿入口31からディスクDを挿入したり、挿入口31からディスクDを取り出すことができる。
【0050】
挿入口21を介してディスクDが挿入されると、搬送機構15によってディスクDはターンテーブル13へと導かれる。ディスクDがターンテーブル上に載置された状態を点線D2で示している。ターンテーブル13に載置されたディスクDは、スピンドルモータ12によって一定の線速度で回転し、ディスクDに記録された情報は、光ピックアップ11を用いて再生される。
【0051】
また、表示パネル32には操作ボタン35が設けられている。操作ボタン35の中のイジェクトボタン351が操作されると、ディスクDはターンテーブル13上から離れ、搬送機構15のガイド部材16とローラ17に挟まれ、ローラ17(モータ18)の回転によって排出される。ディスクDが挿入口31から所定量だけ突出した時点でモータ18は停止し、ディスクDは、イジェクト保持状態となる。図5(a)は、ディスクDがイジェクト保持状態にあるときを示している。
【0052】
また、表示パネル32は表示面321にディスクDの再生映像を表示可能であり、さらにユーザに対して見やすい角度に調整可能である。角度調節のためにチルト機構33が設けられている。
【0053】
チルト機構33は、本体30の両側面の内側に垂直方向に形成したガイド用の溝331を有し、この溝331に表示パネル32の両側面の上端部に設けた軸(図示せず)を嵌め込み、表示パネル32の上端部をガイド溝331に沿って上下動できるようにしている。またチルト機構33は、表示パネル32の下端に進退アーム332を取り付けており、表示パネル32の下端部を本体30から突き出す方向及び引き込む方向に進退可能にしている。この進退アーム332を進退させるためにモータ34が使用される。
【0054】
ユーザが、操作ボタン35の中のチルトボタン352を操作すると表示パネル32の下端は本体30側に引き込まれ、チルトボタン353を操作することで表示パネル32の下端は本体30から突き出される。つまりチルトボタン352,353の操作に応答してモータ34が回転し、進退アーム332を本体30から突き出す方向及び本体30側に引き込む方向に移動させることができる。
【0055】
図5(b)は、表示パネル32が本体30から最も飛び出した状態を示している。表示パネル32に隠れていた本体30の前面部には、ディスクDの挿入口31のほかに、MD(Mini disc)の挿入口36や、カード型の記録媒体を挿入可能な挿入口37が設けられており、本体30内には、MDやカードの情報を再生するための再生手段が設けられている。
【0056】
例えば、図5(a),(b)の状態で、車両が障害物に衝突した場合、又は衝突が予測された場合、車両制御部200からディスクプレーヤ300に対して危険信号が送られる。これにより、ディスクプレーヤ300の制御部101は、ディスクDがイジェクト保持状態にある場合は、先ずモータ18を制御し、モータ18をディスクDの排出時と逆方向に回転させて本体20内にディスクDを引き込んで収容する。
【0057】
また、表示パネル32が開いている場合、制御部101は、モータ34を制御して進退アーム332を本体30側に引き込む。これにより、表示パネル32の下端が本体30側に引き込まれ、表示パネル32の上端がガイド溝331に沿って上方に移動して、表示パネル32は閉じた状態に移行する。
【0058】
図5(c)は、表示パネル32を閉じた状態を示している。この状態では、ディスクDは本体30内に収容され、表示パネル32は、本体30の前面部に対してフラットな状態になるため、表示パネル32が本体30から突出するのを防止することができる。
【0059】
例えは、図5(a)のように表示パネル32が傾斜したままであると、ユーザが避難する際に指を挟んだり、表示パネル32の角に体をぶつけて怪我をすることがあるが、図5(c)のように表示パネル32を閉じ、前面部に対してフラットな状態に移行することで不測の事態を少しでも避けることができる。
【0060】
したがって、車両の衝突、或いは衝突が予測される場合には、本体30からディスクDが突出するのを避け、かつ表示パネル32の角が本体30から突出するのを避けることができ、ユーザが車両から避難する際にディスクDや表示パネル32にぶつかって怪我をしたり、避難の邪魔になるのを防ぐことができる。また、車両の衝突時には本体30内にディスクDが収容されるため、ディスクの飛び出しを防ぎ、かつディスクD自体の破損を低減することができる。
【0061】
尚、制御部101は、車両の衝突、或いは衝突の予測によって表示パネル32を閉じる際に、ディスクDがイジェクト保持状態にあるときは、ディスクDの引き込みを先に行い、ディスクDが抜き出された状態、或いはディスクDが本体30内にあるときは、即座に表示パネル32を閉じるように制御する。
【0062】
また図5に示したチルト機構33は、図示した構成に限らず他の構成であっても良い。要は、プレイ時に表示パネル32を本体30に対して傾斜させる構成を有するものであればよい。
【0063】
図6は、本発明のディスクプレーヤ300の信号処理系の構成を示すブロック図である。尚、図6はディスクから再生した映像情報等を表示可能にしたものであり、DVDの再生に適したものであるが、映像処理系を除けば音楽用CDの再生(ディスクプレーヤ100)に適した信号処理系を構成することができる。
【0064】
図6において、Dはターンテーブル13に載置されたディスクであり、スピンドルモータ12によって一定の線速度で回転される。ディスクDに対する情報の記録、再生は、光ピックアップ11によって行われる。
【0065】
光ピックアップ11は、スレッドモータ41を含む移動機構によってディスクDの径方向に駆動され、スレッドモータ41は、スレッドモータ制御回路42により制御される。光ピックアップ11には、対物レンズ111が設けられ、この対物レンズ111は、2軸アクチュエータ112によってフォーカシング方向への移動とトラッキング方向への移動が制御される。
【0066】
ディスクDに記録された情報は、光ピックアップ11によって読み取られ、信号処理回路43に供給される。信号処理回路43は、RFアンプを含み、RFアンプからは、フォーカス制御用の信号、トラッキング制御用の信号、及びデータ再生用の信号が出力される。
【0067】
フォーカス制御用の信号は、フォーカシング制御回路44に供給され、フォーカシング制御回路44の出力信号は、アクチュエータ112に供給される。これにより、光ビームが、ディスクD上に常時ジャストフォーカスとなるように制御される。
【0068】
また、トラッキング制御用の信号はトラッキング制御回路45に供給される。トラッキング制御回路45は、トラック駆動信号を作成してアクチュエータ112に供給する。これにより、光ピックアップ11のトラッキング方向の移動が制御される。また、トラッキング制御回路45からのトラック駆動信号は、スレッドモータ制御回路42にも供給される。 また、スピンドルモータ12はモータ制御回路46によって制御される。
【0069】
光ピックアップ11は、スレッドモータ制御回路42によりスレッドモータ41を制御することで、ディスクの目的アドレスまでサーチ移動するサーチ動作を行うことができる。また、トラッキング補正によってトレース動作を行う。
【0070】
また、信号処理回路43からのデータ再生用の信号は、増幅回路47によって増幅されたあと、イコライザ(図示せず)で波形等化され、さらに2値化回路によって2値化されてデータ再生回路48に供給される。データ再生回路48は、2値化されたデータをPLL回路49からの再生用クロックに基づいて復調する。また、データ再生回路48は、エラー訂正回路を含み、誤り訂正処理を行ってデジタルデータを出力する。
【0071】
スレッドモータ制御回路42、フォーカシング制御回路44、トラッキング制御回路45、モータ制御回路46、データ再生回路48、PLL回路49は、バス50に接続され、これらの回路はバス50を介してコントローラ51によって制御される。
【0072】
コントローラ51は制御部を構成し、CPU52を含み、ROM53に記録されたプログラムに従ってディスクプレーヤ300の動作を制御する。また、バス50には記憶部54が接続され、記憶部54にはプログラムの実行により処理されたデータ等を記憶することができる。
【0073】
またバス50には、映像・音声デコーダ55が接続されている。映像・音声デコーダ55は、データ再生回路48で再生したデータから、映像信号及び音声信号を復号化し、映像信号を表示部56に供給し、音声信号を音声出力部(スピーカ)57に供給する。図5のディスクプレーヤの場合、表示パネル32が図6の表示部56に相当する。
【0074】
さらにバス50には、操作部58が接続されている。操作部58はユーザによって操作され、例えば再生ボタン、停止ボタン、早戻しボタン、早送りボタン、パワーボタン等を有している。映像・音声デコーダ55は、操作部58の操作に応答してコントローラ51の制御のもとに、通常の再生や、早送り再生等のモードで映像、音声信号を生成する。尚、図3、図5のディスクプレーヤの場合、操作部22、35がそれぞれ図6の操作部58に対応する。
【0075】
図6の回路において、点線枠60はドライブユニット14内に構成される。尚、図4の制御部101は、図6のコントローラ51で兼用することもできる。その場合、コントローラ51には車両制御部200からの危険情報がBUS204を介して供給される。これにより、コントローラ51はモータ18及びモータ34を制御し、ディスクDを引き込み及び表示パネル32を閉じる制御を行う。
【0076】
尚、以上の説明ではディスク媒体として、DVDや、CDの再生を例に説明したが、ナビゲーション用のディスク、或いはMD(Mini Disk)等のディスク媒体に記録された情報を再生する場合であっても本発明の実施形態を適用することができる。
【0077】
また以上の説明に限定されることなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載用ディスクプレーヤを示す概略構成図。
【図2】同実施形態に係るディスクプレーヤが取り付けられる車両の内部を示す説明図。
【図3】同実施形態における車両用ディスクプレーヤの動作を説明する斜視図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る車載用ディスクプレーヤを示す概略構成図。
【図5】第2の実施形態に係る車載用ディスクプレーヤの動作を説明する斜視図。
【図6】第2の実施形態におけるディスクプレーヤの信号処理系の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0079】
11…光ピックアップ
12…スピンドルモータ
13…ターンテーブル
14…ドライブユニット
15…搬送機構
16…ガイド部材
17…ローラ
18…モータ
20…本体
21…挿入口
22…操作部
221…イジェクトボタン
30…本体
31…挿入口
32…表示パネル
33…チルト機構
34…モータ
35…操作部
351…イジェクトボタン
352,353…チルトボタン
100,300…ディスクプレーヤ
101…制御部
102…CPU
200…車両制御部
201…ショックセンサ
202…重力センサ
203…信号生成部
204…BUS

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクプレーヤの本体内に設けられ、ディスク媒体を回転するターンテーブル及び前記ディスク媒体に記録された情報を読み取り可能なピックアップを含むドライブユニットと、
前記本体に形成された挿入口を介して、前記ドライブユニットに対して前記ディスク媒体を挿入・排出するための搬送機構と、
前記ディスクプレーヤを搭載した車両が、障害物に衝突した場合又は障害物への衝突を予測した場合に発生される危険信号に応答して前記搬送機構を制御し、前記ディスク媒体の一部が前記挿入口から突出した状態にある場合に前記ディスク媒体を前記ドライブユニット内に引き込む制御部と、を具備したことを特徴とする車載用ディスクプレーヤ。
【請求項2】
前記搬送機構は、第1のモータの回転によって前記ディスク媒体を前記挿入方向及び排出方向に搬送するローラと、前記ローラと対向して配置したガイド部材とを含み、
前記制御部は、前記危険信号に応答して前記第1のモータを駆動し、前記ディスク媒体を前記ドライブユニット内に引き込むように前記ローラを回転させることを特徴とする請求項1記載の車載用ディスクプレーヤ。
【請求項3】
さらに前記危険信号を発生する信号発生部を有し、
前記制御部は、前記信号発生部から前記危険信号が発生された場合に、前記第1のモータを駆動して前記ディスク媒体を前記ドライブユニット内に引き込むように制御することを特徴とする請求項2記載の車載用ディスクプレーヤ。
【請求項4】
前記信号発生部は、前記車両に搭載されたショックセンサ又は重力センサを含み、前記ショックセンサ又は重力センサからの検知出力に応じて前記危険信号を発生することを特徴とする請求項3記載の車載用ディスクプレーヤ。
【請求項5】
前記信号発生部は、前記車両と前記障害物との衝突を予測したときに、前記危険信号としてプリクラッシュ信号又は横滑り信号を発生することを特徴とする請求項3記載の車載用ディスクプレーヤ。
【請求項6】
ディスクプレーヤの本体内に設けられ、ディスク媒体を回転するターンテーブル及び前記ディスク媒体に記録された情報を読み取り可能なピックアップを含むドライブユニットと、
前記ディスクプレーヤによって再生された映像を表示可能な表示パネルと、
前記表示パネルを、前記ディスクプレーヤの本体の前面部に対してフラットになる第1の状態、及び前記前面部に対して所定の角度だけ傾斜した第2の状態に調整可能なチルト機構と、
前記ディスクプレーヤを搭載した車両が、障害物に衝突した場合又は障害物への衝突を予測した場合に発生される危険信号に応答して前記チルト機構を制御し、前記表示パネルが前記第2の状態にあるときに前記第1の状態に移行させる制御部と、を具備したことを特徴とする車載用ディスクプレーヤ。
【請求項7】
前記チルト機構は、第2のモータの回転によって前記表示パネルの傾斜角度を調整可能であって、
前記制御部は、前記危険信号に応答して前記第2のモータを駆動し、前記表示パネルを前記第2の状態から前記第1の状態に移行するように制御することを特徴とする請求項6記載の車載用ディスクプレーヤ。
【請求項8】
さらに前記危険信号を発生する信号発生部を有し、
前記制御部は、前記信号発生部から前記危険信号が発生された場合に前記第2のモータを駆動して、前記表示パネルを前記第1の状態に移行するように制御することを特徴とする請求項6記載の車載用ディスクプレーヤ。
【請求項9】
前記信号発生部は、前記車両に搭載されたショックセンサ又は重力センサを含み、前記ショックセンサ又は重力センサからの検知出力に応じて前記危険信号を発生することを特徴とする請求項8記載の車載用ディスクプレーヤ。
【請求項10】
前記信号発生部は、前記車両と前記障害物との衝突を予測したときに、前記危険信号としてプリクラッシュ信号又は横滑り信号を発生することを特徴とする請求項8記載の車載用ディスクプレーヤ。
【請求項11】
前記本体に形成された挿入口を介して、前記ドライブユニットに対して前記ディスク媒体を挿入・排出するための搬送機構を有し、
前記表示パネルは、前記第1の状態では前記挿入口を閉鎖し、前記第2の状態では前記挿入口を解放可能であって、
前記制御部は、前記危険信号に応答して前記搬送機構を制御し、前記ディスク媒体の一部が前記挿入口から突出した状態にあるときは前記ディスク媒体を前記ドライブユニット内に引き込み、かつ前記危険信号に応答して前記チルト機構を制御し、前記表示パネルが前記第2の状態にあるときに前記第1の状態に移行させることを特徴とする請求項6記載の車載用ディスクプレーヤ。
【請求項12】
ディスクプレーヤの本体内にディスク媒体を回転するターンテーブル及び前記ディスク媒体に記録された情報を読み取り可能なピックアップを含むドライブユニットを設け、
前記本体に形成された挿入口を介して、前記ドライブユニットに対して前記ディスク媒体を挿入・排出するための搬送機構を備え、
前記ディスクプレーヤを搭載した車両が、障害物に衝突した場合又は障害物への衝突を予測した場合に、前記ディスク媒体の状態を判断し、
前記ディスク媒体の一部が前記挿入口から突出した状態にある場合に、前記ディスク媒体を前記ドライブユニット内に引き込むことを特徴とする車載用ディスクプレーヤの制御方法。
【請求項13】
ディスクプレーヤの本体内にディスク媒体を回転するターンテーブル及び前記ディスク媒体に記録された情報を読み取り可能なピックアップを含むドライブユニットを設け、
前記ディスクプレーヤによって再生された映像を表示可能な表示パネルを、前記ディスクプレーヤの本体の前面部に対してフラットになる第1の状態、及び前記前面部に対して所定の角度だけ傾斜した第2の状態に調整可能なチルト機構を備え、
前記ディスクプレーヤを搭載した車両が、障害物に衝突した場合又は障害物への衝突を予測した場合に前記表示パネルの状態を判断し、
前記表示パネルが前記第2の状態にあるときは前記第1の状態に移行させることを特徴とする車載用ディスクプレーヤの制御方法。
【請求項14】
さらに、前記本体に形成された挿入口を介して、前記ドライブユニットに対して前記ディスク媒体を挿入・排出するための搬送機構を備え、
前記表示パネルは、前記第1の状態では前記挿入口を閉鎖し、前記第2の状態では前記挿入口を解放し、
前記ディスクプレーヤを搭載した車両が障害物に衝突した場合又は障害物への衝突を予測した場合、前記ディスク媒体の状態と前記表示パネルの状態を判断し、
前記ディスク媒体の一部が前記挿入口から突出した状態にあるときは、前記搬送機構を制御して前記ディスク媒体を前記ドライブユニット内に引き込み、
前記表示パネルが前記第2の状態にあるときは、前記チルト機構を制御して前記表示パネルを前記第1の状態に移行させることを特徴とする請求項13記載の車載用ディスクプレーヤの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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