説明

車載用ディスクプレーヤ

【課題】無理に挿入されたディスクを確実に取り出すことができる「車載用ディスクプレーヤ」を提供すること。
【解決手段】ローラブラケット7の揺動支点である軸部7aをシャーシ3のガイド孔3aに前後方向へ移動可能に支持すると共に、スライド部材9のカム溝10の上段部分に前下がりに傾斜するガイド部10aを形成し、2枚重ねられたディスクDをディスク挿入口10aからシャーシ3の内部に無理に挿入したとき、ディスクDの下面に当接して下降するローラ6の押圧力により、ローラブラケット7の後端部に設けた駆動ピン7bをカム溝10のガイド部10aに沿って斜め前方へ移動させると共に、ローラブラケット7の軸部7aをガイド孔3aに沿ってシャーシ3の前方へ移行させ、これによりローラ6を2枚のディスクDの厚み相当分だけガイド部材4の下面から離反させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDやDVD等のディスクに情報を記録および/または再生する車載用ディスクプレーヤに係り、特に、ディスク挿入口とプレイ位置との間でディスクを自動搬送するスロットイン方式の車載用ディスクプレーヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に車載用ディスクプレーヤでは、ディスク挿入口を有する枠体の内部に配設されたシャーシと、このシャーシの上端部に配設されたガイド部材と、このガイド部材の下方に揺動可能に配設されたローラブラケットと、このローラブラケットに回転可能に支持されたゴム製のローラとを備え、モータを駆動源としてローラを正逆両方向へ回転駆動することにより、ガイド部材とローラとの間に挟持されたディスクをイジェクト位置とプレイ位置との間で自動搬送するようにしたスロットインタイプのディスク搬送機構が広く採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7はこのようなディスク搬送機構を有する従来の車載用ディスクプレーヤの要部説明図である。同図において符号100はローラブラケットを示し、このローラブラケット100にはゴム製のローラ101が回転可能に支持されている。ローラブラケット100の上端手前側に設けられた軸部100aは図示せぬシャーシに回転可能に支持されており、ローラブラケット100の後端部両側には外方へ突出する駆動ピン100bが設けられている。前記シャーシの上端部にはガイド部材102が固定されており、ローラブラケット100は図示せぬばね部材の弾発力を受けてガイド部材102の下面に近接する方向へ付勢されている。また、シャーシの両側にはスライド部材103が配設されており、これらスライド部材103は図示せぬモータを駆動源としてシャーシの前後方向(矢印X1−X2方向)へ往復移動するようになっている。スライド部材103には上方直線部104aと下方直線部104bとの間を傾斜部104cで繋いだ形状のカム溝104が形成されており、このカム溝104内にローラブラケット100の駆動ピン100bが挿入されている。
【0004】
このように概略構成された車載用ディスクプレーヤにおいて、ディスクが装填されていないイジェクト状態(待機状態)にあるとき、スライド部材103は矢印X1方向へ移動して前進位置にあり、ローラブラケット100の駆動ピン100bはカム溝104の上方直線部104aの真上に位置している。この場合、ローラブラケット100は図示せぬばね部材からガイド部材102の下面に近接する方向への付勢力を受けているため、ローラブラケット100に支持されたローラ101はガイド部材102の下面に接触し、または僅かな隙間を介して対向している。かかるイジェクト状態において、ユーザが1枚のディスクDをディスク挿入口からシャーシ内に挿入すると、図示せぬ検知センサがディスクDの挿入を検知してモータを始動させ、このモータを駆動源としてローラ101が順方向へ回転駆動する。ディスクDをさらにシャーシの内部に挿入すると、ディスクDの挿入方向の先端部分がガイド部材102とローラ101との間に入り込んで挟持され、ディスクDはローラ101の回転駆動を受けてイジェクト位置からプレイ位置へと自動搬送される。その際、ローラ101は挿入された1枚のディスクDの厚み相当分だけガイド部材102の下面から離れ、それに伴ってローラブラケット100が軸部100aを揺動支点として図7の反時計回りに回転するため、駆動ピン100bはカム溝104の上方直線部104aに近接する位置まで下降する。
【0005】
そして、ディスクDがプレイ位置まで自動搬送されて図示せぬターンテーブル上にチャッキングされると、スライド部材103が前進位置から矢印X2方向へ後退移動することにより、駆動ピン100bがカム溝104の上方直線部104aから傾斜部104cを経て下方直線部104bに至り、それに伴ってローラブラケット100が軸部100aを中心に図7の反時計方向へ大きく回転する。その結果、ローラ101がガイド部材102の下面から大きく離反し、ローラ101とガイド部材102との間にディスクDの回転を妨げない程度の空間が確保されるため、この状態でディスクDを回転駆動すれば、図示せぬ光ピックアップによってディスクDに対する情報の記録および/または再生を行うことができる。なお、再生等のプレイ動作が終了したディスクDをイジェクトする場合は、スライド部材103を矢印X1方向へ前進させると共に、ローラ101を上記と逆方向へ回転駆動させれば、ディスクDをプレイ位置からイジェクト位置へ自動搬送することができる。
【特許文献1】特開2003−296993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来の車載用ディスクプレーヤでは、ユーザが誤って2枚重ねられたディスクDをディスク挿入口からシャーシ内に挿入しようとすると、ローラ101が2枚のディスクDの厚み相当分だけガイド部材102の下面から離れようとする前に、駆動ピン100bがカム溝104の上方直線部104aに当接してローラブラケット100のそれ以上の回転を阻止するため、2枚重ねられたディスクDが誤挿入されてしまうことを未然に防止できる。しかしながら、ユーザが2枚重ねられたディスクDをディスク挿入口からシャーシ内に無理に押し込むと、ゴム製のローラ101自体またはローラ101を支持しているローラシャフトが変形することで、2枚重ねられたディスクDがガイド部材102とローラ101との間で大きな力で挟持された拘束状態になってしまう。この場合、駆動ピン100bがカム溝104の上方直線部104aに突き当て状態となっているため、ディスクDの下面に圧接したローラ101の回転が拘束されてしまい、ローラ101の回転駆動力によってディスクDをイジェクト方向へ搬送することはできず、ユーザが引っ張ってもディスクDを取り出せなくなるという致命的な問題が発生する。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、無理に挿入されたディスクを確実に取り出すことができる車載用ディスクプレーヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ローラを支持するローラブラケットの駆動ピンをスライド部材に形成したカム溝に挿入し、このスライド部材の前後進移動に伴ってローラブラケットを揺動させるディスク搬送機構において、ローラブラケットの揺動支点をシャーシに前後方向へ移動可能に支持すると共に、カム溝の上段部分に前下がりに傾斜するガイド部を形成し、ディスク挿入口からシャーシ内に挿入されたディスクをガイド部材の下面とローラとの間に挟持した状態でローラの回転駆動力で自動搬送するディスク搬送時に、駆動ピンがガイド部に対向するように構成した。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車載用ディスクプレーヤは、ユーザが2枚重ねられたディスクをディスク挿入口からシャーシ内に無理に押し込んだ場合、ローラブラケットの揺動支点をシャーシの前方へ移行させながら、ローラブラケットの駆動ピンがスライド部材に形成されたカム溝のガイド部に沿って斜め前方へ移動するため、ローラブラケットに支持されたローラを2枚のディスクの厚み相当分だけガイド部材の下面から離反させることができ、それゆえ、シャーシの内部に無理に挿入された2枚のディスクを確実に取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、ディスク挿入口に対向する開口が形成されたシャーシと、このシャーシ内に設けられたガイド部材の下面に対向配置されたローラと、このローラを回転可能に支持するローラブラケットと、このローラブラケットを前記ガイド部材に近接する方向へ付勢するばね部材と、前記シャーシの両側に前後進可能に配設された一対のスライド部材とを備え、前記ローラブラケットは前端部に揺動支点を有すると共に後端部両側に外方へ突出する駆動ピンを有し、これら駆動ピンを前記両スライド部材に形成したカム溝にそれぞれ挿入することにより、ディスクの搬送時は前記ローラを上昇させて前記ガイド部材との間で該ディスクを挟持し、ディスクのプレイ時は前記ローラを下降させて該ディスクから離反させるようにした車載用ディスクプレーヤにおいて、前記ローラブラケットの前記揺動支点を前記シャーシに前後方向へ移動可能に支持すると共に、前記カム溝の上段部分に前下がりに傾斜するガイド部を形成し、ディスクの搬送時に前記駆動ピンを前記ガイド部に対向させる構成した。
【0011】
このように構成された車載用ディスクプレーヤでは、ディスク挿入口からシャーシ内に1枚のディスクが挿入された通常の搬送時において、ローラブラケットの揺動支点がばね部材の付勢力を受けて後方位置に保持されると共に、ローラブラケットの駆動ピンがスライド部材に形成されたカム溝内の上段側でガイド部に対向しているが、2枚重ねられたディスクをディスク挿入口からシャーシ内に無理に押し込むと、ローラブラケットは揺動支点をシャーシの前方へ移行させながら駆動ピンをガイド部に沿って斜め前方へ移動させるため、ローラブラケットに支持されたローラを2枚のディスクの厚み相当分だけガイド部材の下面から離反させることができ、それゆえ、シャーシの内部に無理に挿入された2枚のディスクを確実に取り出すことができる。
【0012】
上記の構成において、ガイド部材とローラとの間にディスクを挿入したとき、駆動ピンをガイド部に当接させることによってローラブラケットの揺動角度が規制されるように構成すると、わざわざディスクの2重挿入防止機構を別途付設しなくても、ユーザが2枚重ねられたディスクを誤挿入してしまうことを未然に防止できて好ましい。
【実施例】
【0013】
実施例について図面を参照して説明すると、図1は実施例に係る車載用ディスクプレーヤのイジェクト状態を示す斜視図、図2は該ディスクプレーヤのプレイ状態を示す斜視図、図3は該ディスクプレーヤのディスク搬送状態を示す要部側面図、図4は該ディスクプレーヤに2枚重ねられたディスクを挿入した直後の状態を示す要部側面図、図5は2枚重ねられたディスクを無理に挿入した状態を示す要部側面図、図6は無理に挿入された2枚のディスクの排出動作を示す要部側面図である。
【0014】
図1と図2に示すように、本実施例に係る車載用ディスクプレーヤは、光ピックアップやターンテーブル(いずれも不図示)等が搭載されたドライブユニット1を備えており、このドライブユニット1は箱状の枠体2の内部に図示せぬ複数のダンパによって弾性支持されている(図3参照)。枠体2の前面には横長形状のディスク挿入口2aが形成されており、このディスク挿入口2aを介してディスクがドライブユニット1に挿入/排出されるようになっている。
【0015】
ドライブユニット1はシャーシ3を有しており、このシャーシ3の手前側上面には合成樹脂製のガイド部材4を一体化した支持板5が固定されている。ガイド部材4とシャーシ3の内底面との間にはディスク搬送空間が画成されており、このディスク搬送空間の手前側の開口Sはディスク挿入口2aに対向している。また、ディスク搬送空間の内部にはゴム製のローラ6が配設されており、このローラ6は図示せぬモータを駆動源として正逆両方向へ回転駆動されるようになっている。ローラ6はローラブラケット7の後端部近傍に回転可能に支持されており、ローラブラケット7の前端部に設けられた軸部7aはシャーシ3の左右両側壁の上端部に形成されたガイド孔3aに挿入されている。このガイド孔3aはシャーシ3の前後方向(矢印X1−X2方向)へ延びる長孔であり、軸部7aはガイド孔3aに沿ってシャーシ3の前後方向へ移動可能となっている。ローラブラケット7は後述するスライド部材の前後進移動に伴って軸部7aを支点に回動(揺動)されるようになっており、シャーシ3との間に張架されたスプリング8の弾性力によってその後端側がガイド部材4の下面に近接する方向へ付勢されている。
【0016】
シャーシ3の左右両側壁の外側には前述したスライド部材9が配設されており、これら両スライド部材9は図示せぬモータを駆動源としてシャーシ3の前後方向へ往復移動するようになっている。両スライド部材9にはそれぞれカム溝10が形成されており、これらカム溝10内にローラブラケット7の後端部に設けられた駆動ピン7bが挿入されている。カム溝10の上段後端部には前下がりに傾斜するガイド部10aが形成されており、カム溝10はガイド部10aから上方直線部10bおよび傾斜部10cを介して下方直線部10dに至る形状に形成されている。なお、両スライド部材9にはカム溝10の他にもロック溝11や図示せぬ突部が形成されており、ロック溝11は枠体2の内側面に設けられた図示せぬロックピンと係脱可能であって、突部はクランパ12を回転可能に支持するクランパ支持体13のカム部と係脱可能となっている。これにより、両スライド部材9の前後進に伴ってローラブラケット7が揺動動作されるだけでなく、ドライブユニット1が枠体2に対してロック/ロック解除されたり、クランパ支持体13を回動させてクランパ12が前記ターンテーブルに対して昇降動作される。
【0017】
次に、上述の如く概略構成された車載用ディスクプレーヤの動作について説明する。
【0018】
ディスクが装填されていないイジェクト状態(待機状態)にあるとき、図1に示すように両スライド部材9は矢印X1方向へ移動して前進位置にあり、両スライド部材9のロック溝11が図示せぬロックピンに係止しているため、メカニズム全体を搭載したドライブユニット1は枠体2に対して固定的に支持されたロック状態となっている。また、両スライド部材9の突部がクランパ支持体13のカム部に当接しているため、クランパ支持体13は上方へ回動してクランパ12がターンテーブルから離反しており、クランパ12とターンテーブルとの間にディスクDを挿入可能な空間が確保されている。さらに、ローラブラケット7の駆動ピン7bはカム溝10のガイド部10aの真上に位置し、ローラブラケット7に支持されたローラ6はガイド部材4の下面に接触し、または僅かな隙間を介して対向している。この場合、ローラブラケット7はばね部材であるスプリング8から矢印X2方向の付勢力を受けているため、ローラブラケット7の軸部7aはガイド孔3aの矢印X2方向の後端部と当接している。
【0019】
かかるイジェクト状態において、ユーザが1枚のディスクDをディスク挿入口2aからシャーシ3の手前側の開口S内に挿入すると、図示せぬ検知センサがディスクDの挿入を検知してモータを始動させ、このモータを駆動源としてローラ6が順方向へ回転駆動する。図3に示すように、ディスクDをさらにシャーシ3の内部に挿入すると、ディスクDの挿入方向の先端部分がガイド部材4とローラ6との間に入り込んで挟持され、ディスクDはローラ6の回転駆動を受けてイジェクト位置からプレイ位置へ矢印X2方向に自動搬送される。その際、ローラ6は挿入された1枚のディスクDの厚み相当分だけガイド部材4の下面から離れ、それに伴ってローラブラケット7が前端側の軸部7aを揺動支点として回動(揺動)するため、後端側の駆動ピン7bはカム溝10のガイド部10aに近接する位置まで下降する。
【0020】
このようにしてディスクDがプレイ位置まで自動搬送されると、ディスクDの縁部によって図示せぬ動力切換機構が動作され、この動力切換機構によって前記モータの駆動力がローラ6からスライド部材9へ切り換えられるため、両スライド部材9が該モータを駆動源として前進位置から後退位置に向けて矢印X2方向へ移動する。そして、両スライド部材9が後退方向の末端位置まで移動する間に、スライド部材9のロック溝11が枠体2のロックピンから離れるため、ドライブユニット1は枠体2に弾性的に支持されたアンロック状態となる。また、駆動ピン7bがカム溝10のガイド部10aと上方直線部10bの上方空間から傾斜部10cを経て下方直線部10dへと移行するため、ローラブラケット7がスプリング8の弾性力に抗して軸部7aを中心に下方へ回動する。その結果、ローラブラケット7に支持されたローラ6がディスクDの下面から離れ、ディスクDの中心孔がターンテーブルの突堤部に入り込んでセンタリングされる。さらに、このタイミングで両スライド部材9の突部がクランパ支持体13のカム部から離れるため、クランパ12を支持するクランパ支持体13が下方へ回動し、ディスクDの中心孔近傍の内周部がターンテーブルとクランパ12との間にチャッキングされてプレイ状態となる(図2参照)。そして、このプレイ状態において、図示せぬスピンドルモータを駆動してターンテーブルとディスクDおよびクランパ12を一体的に回転駆動すると共に、図示せぬ光ピックアップをディスクDの径方向へ移動することにより、ディスクDに対する情報の再生動作等が行われる。
【0021】
また、再生等が終了したディスクDを排出(イジェクト)する場合は、図示せぬイジェクト釦を投入して前記モータを他方向へ回転させることにより、上記と逆の動作が行われる。この場合、両スライド部材9が後退位置から前進位置に向けて矢印X1方向へ移動する間に、まず下降位置にあるクランパ支持体13が上方へ回動してクランパ12とターンテーブルによるディスクDのチャッキング動作が解除された後、駆動ピン7bがカム溝10の下方直線部10dからガイド部10aの真上まで移行してローラブラケット7を上方へ回動させることにより、ディスクDがガイド部材4とローラ6間に挟持されたイジェクト開始状態となり、しかる後、ローラ6の他方向の回転駆動力によってディスクDがプレイ位置からディスク挿入口2aに向けて排出方向(矢印X1方向)へ自動搬送される。
【0022】
次に、図4〜図6に基づいて、ユーザが誤って2枚のディスクDをディスク挿入口2aからシャーシ3の内部に挿入した場合について説明する。
【0023】
まず、図4に示すように、ユーザが誤って2枚重ねられたディスクDをディスク挿入口2aからシャーシ3の手前側の開口S内に挿入すると、両ディスクDの挿入方向の先端部分がガイド部材4とローラ6との間に入り始めることにより、ローラ6は2枚のディスクDの厚み相当分だけガイド部材4の下面から離れようとするが、その前に駆動ピン7bがカム溝10のガイド部10aに当接してローラブラケット7のそれ以上の回動を阻止するため、ユーザはディスクDの2重挿入を挿入力の極端な増加によって知ることができる。したがって、ディスクDの挿入力が極端に増加した時点で挿入動作を中止し、ディスクDを排出方向に引いてディスク挿入口2aから取り出せば、2枚重ねられたディスクDがシャーシ3の内部に誤挿入されてしまうことを未然に防止できる。
【0024】
また、ディスクDの2重挿入によって挿入力が極端に増加したのにも拘わらず、ユーザがそのままディスクDをシャーシ3の内部に無理に押し込むと、図5に示すように、ローラ6が下方へ移動しようとする力を受けて駆動ピン7bがカム溝10のガイド部10aに沿って斜め前方へ移動し、それに伴ってローラブラケット7の軸部7aがシャーシ3のガイド孔3a内を前方(矢印X1方向)へ移動するため、ローラ6は2枚のディスクDの厚み相当分だけガイド部材4の下面から離反する。したがって、この状態でディスク挿入口2aから突出する両ディスクDを排出方向へ引っ張ると、両ディスクDをガイド部材4とローラ6間に拘束されることなくディスク挿入口2aから取り出すことができ、その際にディスクDとローラ6間の摩擦力によってローラブラケット7に矢印X1方向の引張力が作用するため、図6に示すように、軸部7aがガイド孔3aの前端部まで移動すると共に駆動ピン7bがガイド部10aから離れる。
【0025】
このように本実施例に係る車載用ディスクプレーヤでは、ディスク挿入口2aからシャーシ3内に1枚のディスクDが挿入された通常の搬送時において、ローラブラケット7の軸部7aがスプリング8の弾性力を受けてガイド孔3aの後端部に当接していると共に、ローラブラケット7の駆動ピン7bがスライド部材9に形成されたカム溝10内の上段側でガイド部10aに対向しているが、2枚重ねられたディスクDをディスク挿入口10aからシャーシ3内に無理に押し込んだ場合、ローラブラケット7は揺動支点である軸部7aをガイド孔3aに沿ってシャーシ3の前方へ移行させながら、駆動ピン7bをカム溝10のガイド部10aに沿って斜め前方へ移動させるため、ローラブラケット7に支持されたローラ6を2枚のディスクDの厚み相当分だけガイド部材4の下面から離反させることができる。したがって、ユーザが2枚重ねられたディスクDをディスク挿入口10a3シャーシ内に無理に押し込んでしまったとしても、これらディスクDをガイド部材4とローラ6間に拘束されることなく確実に取り出すことができる。
【0026】
また、ユーザが誤って2枚重ねられたディスクDをガイド部材4とローラ6との間に挿入したとき、駆動ピン7bがカム溝10のガイド部10aに当接することにより、ローラブラケット7のそれ以上の回動が規制されるため、わざわざディスクDの2重挿入防止機構を別途付設しなくても、2枚重ねられたディスクDの誤挿入を未然に防止することができる。
【0027】
なお、上記実施例では、シャーシ3内に無理に挿入した2枚のディスクDをユーザが手動で取り出す場合について説明したが、2枚のディスクDが図5に示す状態にあるときにイジェクト釦を投入してモータを他方向へ回転すれば、ローラ6の回転駆動力によって両ディスクDを排出方向(矢印X1方向)へ搬送してディスク挿入口2aから取り出すこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例に係る車載用ディスクプレーヤのイジェクト状態を示す斜視図である。
【図2】該ディスクプレーヤのプレイ状態を示す斜視図である。
【図3】該ディスクプレーヤのディスク搬送状態を示す要部側面図である。
【図4】該ディスクプレーヤに2枚重ねられたディスクを挿入した直後の状態を示す要部側面図である。
【図5】2枚重ねられたディスクを無理に挿入した状態を示す要部側面図である。
【図6】無理に挿入された2枚のディスクの排出動作を示す要部側面図である。
【図7】従来例に係る車載用ディスクプレーヤの要部説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1 ドライブユニット
2 枠体
2a ディスク挿入口
3 シャーシ
3a ガイド孔
4 ガイド部材
6 ローラ
7 ローラブラケット
7a 軸部(揺動支点)
7b 駆動ピン
8 スプリング(ばね部材)
9 スライド部材
10 カム溝
10a ガイド部
10b 上方直線部
10c 傾斜部
10d 下方直線部
D ディスク
S 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク挿入口に対向する開口が形成されたシャーシと、このシャーシ内に設けられたガイド部材の下面に対向配置されたローラと、このローラを回転可能に支持するローラブラケットと、このローラブラケットを前記ガイド部材に近接する方向へ付勢するばね部材と、前記シャーシの両側に前後進可能に配設された一対のスライド部材とを備え、前記ローラブラケットは前端部に揺動支点を有すると共に後端部両側に外方へ突出する駆動ピンを有し、これら駆動ピンを前記両スライド部材に形成したカム溝にそれぞれ挿入することにより、ディスクの搬送時は前記ローラを上昇させて前記ガイド部材との間で該ディスクを挟持し、ディスクのプレイ時は前記ローラを下降させて該ディスクから離反させるようにした車載用ディスクプレーヤにおいて、
前記ローラブラケットの前記揺動支点を前記シャーシに前後方向へ移動可能に支持すると共に、前記カム溝の上段部分に前下がりに傾斜するガイド部を形成し、ディスクの搬送時に前記駆動ピンを前記ガイド部に対向させたことを特徴とする車載用ディスクプレーヤ。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記ガイド部材と前記ローラとの間にディスクを挿入したとき、前記駆動ピンを前記ガイド部に当接させることによって前記ローラブラケットの揺動角度が規制されるように構成したことを特徴とする車載用ディスクプレーヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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