説明

車載用無線受信装置

【課題】内蔵するアンテナを確実に保持して、装置の薄型化を図ると共に高いアンテナ利得を確保しながら、組立性の優れた無線受信装置を得る。
【解決手段】プリント基板2の上面に空隙を空けて配置されるアンテナ3は、プリント基板2に略平行に配線されると共に配線経路の途中にプリント基板側へ屈曲した複数の突起部3cが形成された水平面部3aと、水平面部3aに連続しプリント基板2に向けて略垂直に折曲げて形成された少なくとも1個の垂直面部3bとを有し、垂直面部3bの1箇所はプリント基板2上で給電パターン6と接合されており、カバー部材10の内面側に一体的に形成されたアンテナ支持部11により、アンテナ3の突起部3cが支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車載用無線受信装置に関し、詳しくは、プリント基板上に取り付ける平板状金属アンテナの保持部の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の高機能化および低燃費化が強く求められており、車両軽量化に伴う実装スペースの確保から高いレイアウト性を実現するため、自動車に搭載する車載用の無線受信装置も小型化、薄型化が必要となっている。
車載用の無線受信装置は、小型化、回路モジュールの組み込み易さ、接続ケーブル削除の観点から、プリント基板にアンテナを設け、プリント基板上に形成される無線受信回路と接続して、ケースに収容されて一体化されている。
プリント基板に設けるアンテナの形態については種々提案されており、プリント基板の印刷導体からなるパターンアンテナや、プリント基板に突設した金属線状または金属平板状のアンテナ等が知られている。このうち金属平板状アンテナは、薄型化ができると同時に順送プレス型にて生産できることから、加工精度が高く、安定した品質の製品を低コストで大量生産でき、また、プリント基板上に形成するパターンおよび実装される電子部品との干渉を避けられる等の利点を有する。しかし、より高いアンテナ利得を確保するためにはプリント基板面より高く配置することが求められ、このため、車両の振動等の影響を排除する必要があり、十分なアンテナの保持構造が求められている。
【0003】
車載用無線受信装置におけるアンテナの保持構造も種々提案されている。例えば、図6に示すように、受信回路が形成されている回路基板31に、回路基板31とは別体の合成樹脂からなるアンテナホルダ32を固定し、このアンテナホルダ32に線状のアンテナ33を巻回して保持した受信機が開示されている。アンテナホルダ32には略全周に沿って平行に支持溝32aが形成され、この支持溝32aにアンテナ33が挿入固定されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、別の例では、図7に示すように、上ケース34と下ケース35の内部にプリント基板36が収容され、上ケース34の内壁面にアンテナ37が一体的に形成され、そのアンテナ37の端部がプリント基板36に圧接されるように構成された受信機が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
更に、別の例では、図8に示すように、プリント基板38上に無線受信回路と給電パターン39が形成され、給電パターン39を介して金属線状のアンテナ40が接続され、アンテナ40の水平部がプリント基板38と空隙をあけて配線されており、プリント基板38及びアンテナ40を収容するカバー部材41の内面に突設されたアンテナ支持部42によって、アンテナ40の水平部が保持されるように構成された車載用無線受信装置が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−145121号公報(第3頁、図2)
【特許文献2】特開2005−45625号公報(第6−7頁、図1)
【特許文献3】特開2007−81529号公報(第5頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1の構成では、アンテナを保持するアンテナホルダを回路基板に後付けするため、部品点数が増加すると共に作業工数が増加し、コストアップにつながる。また、アンテナホルダを回路基板に取付けるスペースが必要となるため、回路基板が大きくなるという問題点があった。
これに対して、上記の特許文献2の構成とすれば、アンテナは上ケースに形成されているため、回路基板上に保持機構を設ける必要はないが、上ケースにアンテナを一体的に形成するために、めっき,蒸着等の工程が必要となり、作業工程が増加しコストアップにつながるという問題点があった。
更に、上記特許文献3の構成とすると、アンテナが線状であり、曲げ加工によって形成されるため加工精度が低く、また、装置の薄型化は困難であるという問題点があった。
【0008】
また自動車の振動を考慮した場合、上ケース(またはカバー)内面でアンテナを支持する構造では、振動によって上ケース(またはカバー)からアンテナが外れないようにアンテナ支持部に強固に保持しておく必要がある。この支持部をカバー部材と一体に、成形金型の開き方向のみで成形した場合、線状アンテナでは断面円形のため、アンテナをアンテナ支持部に挿入した際に線接触となり、接触面積が小さく、アンテナ保持のための十分な摩擦力を得ることが難しい。
この対策として、アンテナとアンテナ支持部との接触圧を大きくすれば、アンテナをアンテナ支持部に挿入する際にアンテナ水平部を強く押さえることになり、アンテナが変形し、アンテナ利得性能及び基板への組立性能が劣化するという問題点があった。
【0009】
上記特許文献3では、アンテナ支持部は、線状をしたアンテナの下面部を支えるようにし、アンテナ支持部をアンテナ断面部の半円下部側まで延ばしている。これにより保持は確実になるが、カバー部材を成形金型の開き方向のみで成形することができず、アンダーカット部を設ける必要があり、金型構造が複雑になり設備費アップにつながるという問題点があった。
また、アンテナ支持部は、アンテナ水平部のみを保持しているため、アンテナ垂直部の垂直度が悪い場合は、基板組立時の作業性が良くないという問題点があった。
更に、アンテナは円筒形状の金属線材を切断して製作されているため、アンテナ端部を切りっぱなしにすれば端部がエッジ状もしくはバリ状となり、基板の穴に挿入する際に穴に引っ掛りやすく、基板組立時の作業性が悪くなる。そのため、アンテナの端面に面取りを施すと、その加工が必要となり、コストアップに繋がるという問題点があった。
【0010】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、内蔵するアンテナを確実に保持でき、高いアンテナ利得を確保しながら、部品点数を増やすことなく、製作が容易で組立性の優れたアンテナ及びアンテナ支持部を備えた無線受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る車載用無線受信装置は、プリント基板上に無線受信回路が形成され、無線受信回路に給電パターンを介して平板状金属からなるアンテナが接続され、アンテナを含むプリント基板の上面が樹脂製のカバー部材で覆われた車載用無線受信装置であって、アンテナは、プリント基板の上面に空隙を空けてプリント基板に略平行に配線された水平面部と、水平面部に連続しプリント基板に向けて略垂直に折曲げて形成された少なくとも1個の垂直面部とを有し、水平面部の配線経路の途中にはプリント基板側へ屈曲した複数の突起部が形成され、垂直面部の1箇所はプリント基板上で給電パターンと接合されており、カバー部材の内面側に一体的に形成されたアンテナ支持部により、アンテナの水平面部の突起部が支持されているものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明の車載用無線受信装置によれば、平板状金属からなるアンテナの水平面部に突起部を設け、その突起部をカバー部材の内面側に一体的に形成したアンテナ支持部で支持するようにしたので、アンテナ支持部をカバー部材と一体的に形成することで、部品点数を削減できるとともに作業工数を削減でき、またアンテナを平板状金属で構成することで、精度良く加工できるため高いアンテナ利得を確保でき、更に、アンテナの突起部をアンテナ支持部に十分な摩擦力で支持できるため、装置の薄型化を図りながら振動に強い車載用無線受信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1による車載用無線受信装置を示す分解斜視図である。
【図2】図1の車載用無線受信装置の組立状態を示し、(a)は概略斜視図、(b)は(A)の矢印ア方向から見た断面図である。
【図3】(a)は図2の矢印A方向から見た要部拡大図であり、(b)は(a)のC−Cから見た断面図である。また(c)は図2の矢印B方向から見た要部拡大図であり、(d)は(c)のD−Dから見た断面図である。
【図4】この発明の実施の形態2による車載用無線受信装置のアンテナ支持部の断面図であり、(b)は(a)のE−Eから見た断面図である。
【図5】この発明の実施の形態3による車載用無線受信装置を示す斜視図である。
【図6】従来の無線受信機の斜視図である。
【図7】従来の他の無線受信機の分解斜視図である。
【図8】従来の別の無線受信装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
以下、実施の形態1による車載用無線受信装置を図に基づいて説明する。
図1の分解斜視図に示すように、実施の形態1の車載用無線受信装置1は、プリント基板2上に平板状金属からなるアンテナ3が取付けられた構造である。プリント基板2の上面には、無線受信回路を備えた無線IC4が搭載され、無線IC4とパターンを介して接続されるコネクタ5が実装されている。このコネクタ5は、ワイヤーハーネス21を介して外部機器22に接続される。
また、プリント基板2上には、無線IC4に一端が接続された給電パターン6と、給電パターン6に一端が接続されたパターンアンテナ7が形成され、給電パターン6の途中には整合回路8が設けられている。
給電パターン6とパターンアンテナ7の接続部に、次に説明する平板状金属のアンテナ3の一端を接続させて、給電パターン6からアンテナ3とパターンアンテナ7を分岐させることでダイポールアンテナが形成されている。
【0015】
平板状金属からなるアンテナ3は、プリント基板2の面に略平行な同一面上で渦巻状に形成された水平面部3aと、その水平面部3aの一端側で、水平面部3aからプリント基板2に向けて略垂直に折曲げて形成された垂直面部3bとを有している。そして、水平面部3aには、その配線経路の途中に、プリント基板2側へ向けて90°屈曲させた突起部3cが複数箇所形成されており、この突起部3cはアンテナ3の水平面部3aの支持部となる部分である。また、垂直面部3bには、その先端部近傍に、幅方向を広げた幅広部3dが形成され、更にその先端側には誘い込み部3eが形成されている。
誘い込み部3eに対向する給電パターン6とパターンアンテナ7との接続部には、貫通穴9が設けられており、この貫通穴9に誘い込み部3eが挿入され、半田付けによって接続固定されるようになっている。
なお、アンテナ3は、順送プレス型にて容易に製造することができる。
【0016】
プリント基板2の搭載部品とアンテナ3とを覆うように、誘電体からなる樹脂で成形されたカバー部材10が被せられてプリント基板2に固定される。図1ではカバー部材10の内側が分かるようにカバー部材10の輪郭のみを破線で示している。カバー部材10の上壁内面には、アンテナ3の水平面部3aを支持するアンテナ支持部11と垂直面部3bを保持する垂直保持部12が一体的に成形されて下向きに垂設されている。
【0017】
図2及び図3により、アンテナ支持部11と垂直保持部12を更に詳しく説明する。図2(a)はプリント基板2にカバー部材10を取り付けた状態の斜視図であり、(b)は、(a)の矢印ア方向から見た断面図を示している。但し、図2(a)でも内部の状態が分かるように、カバー部材10は破線で示している。
また、図3(a)は、図2(b)の矢印A方向から見たアンテナ支持部11の裏面図、図3(b)は(a)のC−Cから見た断面図であり、図3(c)は図2(b)の矢印B方向から見た垂直保持部12の裏面図、(d)は(c)のD−Dから見た断面図である。
【0018】
図2(a)及び(b)に示すように、カバー部材10の上部内面に垂設されてアンテナ3の水平面部3aを支持するアンテナ支持部11は、水平面部3aに形成した突起部3cに対応する位置に、水平面部3aの配線経路に沿って突起部3cと同数だけ設けられている。また、アンテナ3の垂直面部3bを保持する垂直保持部12は、垂直面部3bに対応した位置に設けられている。
【0019】
アンテナ支持部11の形状は、図3(a)に示すように、アンテナ3の水平面部3aから両側に屈曲した突起部3cのそれぞれに対応し、突起部3cの幅方向両側部が嵌合する断面コの字状の嵌合溝11aを有している。端面形状は、ひしゃげたC字状になっており、開口側を対向させて一組の突起部3cのそれぞれの外面を囲むように、カバー部材10の裏面に垂設されている。側面視では、図3(b)に示すように、突起部3cの幅面全体が覆われた形になっており、溝部の内の特に嵌合溝11aの底面と突起部3cの幅方向両側部の面とが面接触して、十分な摩擦力で保持されるようになっている。アンテナ支持部11の長さは、少なくとも突起部3cの両側部と嵌合する長さがあればよい。
【0020】
一方、垂直保持部12の形状は、(c)に示すように、アンテナ3の垂直面部3bの一方の側壁を覆う面と、幅広部3dの両側部が嵌合する断面コの字状の嵌合溝12aとを有し、カバー部材10の内面に垂設されている。側面視は(d)に示ようになっており、垂直面部3bの先端部近傍に形成された幅広部3dに対応して形成された嵌合溝12aの底面と幅広部3dの両側部とが面接触して、十分な摩擦力で保持されるようになっている。すなわち、形状的にはアンテナ支持部11の片側と同様であり、長さが垂直面部3bの長さと略同じとなっている。但し、長さは、少なくとも幅広部3dの両側部と嵌合する長さがあればよい。
上記の嵌合溝11a,12aともストレートな溝形状なので、アンテナ支持部11,垂直保持部12は、カバー部材10を成形する際に、射出成形金型の開き方向のみでカバー部材10と一体に成形可能な形状としている。
【0021】
なお、アンテナ3の突起部3c又は広幅部3dと、アンテナ支持部11又は垂直保持部12との嵌合部の形状は、嵌合溝11a又は嵌合溝12aとして説明したが、必ずしも嵌合溝でなくても良い。例えば、突起部3cまたは幅広部3dの、幅面と両側面の3面を囲むような形状でも良い。また、アンテナ支持部11は、1対の突起部3cの外側2面のみを挟み込むようにしても良い。本願発明では、これらを含めて「嵌合部」と称する。
【0022】
次に、アンテナ3のカバー部材10及びプリント基板2への組付けについて説明する。図2(a)に示すように、まず、アンテナ3をカバー部材10へ取り付ける。取付は、アンテナ3の水平面部3aの突起部3cを、カバー部材10に形成したアンテナ支持部11の嵌合溝11aに挿入し、同時に、垂直面部3bの幅広部3dを垂直保持部12に形成した嵌合溝12aに挿入する。
次に、図2(b)に示すように、アンテナ3を組み込んだカバー部材10をプリント基板2にかぶせ、アンテナ3の幅広部3dの端面に形成した誘い込み部3eを、プリント基板2に形成した貫通穴9に合わせて挿入し、半田付けによって接続固定すると共に、カバー部材10をプリント基板2に固定する。
【0023】
組付完了状態で、平板状金属のアンテナ3の水平面部3aは、プリント基板2の外周に沿うように配線されると共に、プリント基板2と所要の空隙をあけて略並行に配置され、プリント基板2に実装する無線IC4等の電子部品と干渉することなく、且つ、アンテナ3の長さを所要の長さとしている。
【0024】
以上までの説明において、アンテナ3の水平面部3aの形状は渦巻き形状としたが、これに限定するものではなく、所定の長さが確保できれば渦巻き形状でなくてもよい。
また、アンテナ3とパターンアンテナ7とを給電パターン6の先端で分岐接続するとしたが、パターンアンテナ7に替えて、コネクタ5に取付けられる端子のうち1つを長尺な端子とし、その端子をアンテナとして利用して端子状アンテナとしてもよい。この場合には、その端子状アンテナとアンテナ3とを給電パターン6の先端に分岐接続させることで、ダイポールアンテナが形成される。
【0025】
また、上記ではアンテナ3の水平面部3aの一端部にプリント基板2に対して垂直に屈折された垂直面部3bを設け、給電パターン6の先端分岐位置に接続固定したもので説明したが、垂直面部は1個に限定するものではなく複数個あっても良い。例えば、他端側または配線経路の途中にも設けても良い。その内の1つを給電パターン6に接続固定し、その他は電気的導通をせずに、プリント基板2側に支持固定するようにすれば、アンテナ3をより強固に支持することができる。
【0026】
以上のように、実施の形態1による車載用無線受信装置によれば、プリント基板上に無線受信回路が形成され、無線受信回路に給電パターンを介して平板状金属からなるアンテナが接続され、アンテナを含むプリント基板の上面が樹脂製のカバー部材で覆われた車載用無線受信装置であって、アンテナは、プリント基板の上面に空隙を空けてプリント基板に略平行に配線された水平面部と、水平面部に連続しプリント基板に向けて略垂直に折曲げて形成された少なくとも1個の垂直面部とを有し、水平面部の配線経路の途中にはプリント基板側へ屈曲した複数の突起部が形成され、垂直面部の1箇所はプリント基板上で給電パターンと接合されており、カバー部材の内面側に一体的に形成されたアンテナ支持部により、アンテナの水平面部の突起部が支持されているので、アンテナを平板状金属とし、アンテナ支持部をカバー部材に一体的に成形したことにより、プリント基板からアンテナまでの距離を十分にとれ、アンテナの水平面部に設けた突起部とアンテナ支持部との接触部を多くしながら装置の薄型化を図ることができる。
また、アンテナを精度よく加工でき、高品質を維持して高いアンテナ利得を確保しながら、部品点数及び作業工数を削減できるため、コストダウンを図ることができる。
【0027】
また、アンテナの垂直面部を、水平面部の配線経路の両端、又は両端と中間とに形成し、プリント基板上で給電パターンと接合される1箇所以外の垂直面部の先端側を、プリント基板に固定したものでは、アンテナを強固に保持でき、耐振動性に優れた車載用無線受信装置を提供できる。
【0028】
また、カバー部材に形成されるアンテナ支持部は、アンテナの水平面部に形成された突起部に対応する位置に垂設され、突起部と嵌合する嵌合部を有しているので、突起部をアンテナ支持部に十分な摩擦力を保って支持できるため、アンテナの支持の信頼性が向上する。
【0029】
また、アンテナの垂直面部には幅方向を広げた幅広部が形成され、垂直面部に対応するカバー部材の内面側の位置に、幅広部と嵌合する嵌合部を有する垂直保持部が、カバー部材に一体的に垂設されているので、カバー部材にアンテナを固定した後、カバー部材をプリント基板に被せて組み合わせるとき、アンテナの垂直面部が垂直保持されるため、組立時の作業性が向上すると共に、カバー部材込みのアンテナ単体検査を容易に行うことができ、作業者の負担を軽減することができる。
【0030】
また、カバー部材に一体的に形成されたアンテナ支持部又は垂直保持部は、カバー部材を成形する際に、射出成形金型の開き方向のみで成形可能な形状としたので、金型構造が簡素化でき、製造コストを低減することができる。
【0031】
また、プリント基板の給電パターンと接合されるアンテナの垂直面部の先端に、給電パターン側に設けた貫通穴と係合する誘い込み部が形成されているので、カバー部材に装着したアンテナを、プリント基板と組み合わせるとき容易に接続できるため、組立時の作業性が向上すると共に、コスト低減できる。
【0032】
実施の形態2.
図4は、実施の形態2による車載用無線受信装置のアンテナ支持部を示す断面図である。(a)は実施の形態1で説明した図3(b)に対応する部分であり、(b)は(a)のE−E方向から見た断面図である。
車載用無線受信装置の全体構成と図4に示す部位以外は、実施の形態1と同等なので、同等部分については図示及び説明を省略し、相違点部分のみを説明する。
【0033】
図4(a)に示すように、アンテナ3の水平面部3aからプリント基板2の方向へ屈曲した突起部3cの幅方向両側面に、外側に向かって微少に突起した抜け防止用の係止爪3fが、突起部3cに一体的に形成されている。
一方、カバー部材10の内面側に設けられているアンテナ支持部11は、図3と同様であり嵌合溝11aはストレートである。
このような構成により、アンテナ3の突起部3cをアンテナ支持部11に挿入した際、アンテナ支持部11の嵌合溝11aに係止爪3fが食い込み、強い圧入固定が可能となっている。
【0034】
上記の図4では、アンテナ3の水平面部3aに形成した突起部3cを、アンテナ支持部11に支持する部分について説明したが、アンテナ3の垂直面部3bと垂直保持部12との支持部にも、同様に適用することができる。
すなわち、アンテナ3の垂直面部3bの幅広部3dの幅方向両側面に、図4(a)に示す係止爪3fと同様な係止爪を設けるものである。
このような構成により、アンテナ3の垂直面部3bの幅広部3dの側面が、垂直保持部12の嵌合溝12aに食い込み、強い圧入固定が可能となる。
【0035】
以上のように、実施の形態2による車載用無線受信装置によれば、アンテナの水平面部に設けた突起部には、幅方向側面に係止爪が形成されており、突起部の係止爪がアンテナ支持部の嵌合部に圧入されて支持固定されるように構成したので、実施の形態1の効果に加えて、アンテナの水平面部をアンテナ支持部に強固に固定できるため、耐振動性に優れた車載用無線受信装置を提供できる。
【0036】
また同様に、アンテナの垂直面部の幅広部には、幅方向側面に係止爪が形成されており、幅広部の係止爪が垂直保持部の嵌合部に圧入されて支持固定されるように構成したので、アンテナの垂直面部を垂直保持部に強固に固定できるため、耐振動性に優れた車載用無線受信装置を提供できる。
【0037】
実施の形態3.
図5は、実施の形態3による車載用無線受信装置であり、リモートキーレスエントリシステム(RKE)に適用したものである。
実施の形態1又は2で説明した車載用無線受信装置1を、キーレスレシーバユニット13内に収容し、そのキーレスレシーバユニット13を自動車14のインスツルメントパネル内に装着している。(図では、外部から見えるように、キーレスレシーバユニット13を実線で示している。)すなわち、キーレスレシーバユニット13内には、図1,2で説明したような、プリント基板の同一面側に、給電パターンと接続された金属平板状のアンテナとパターンアンテナによりダイポールアンテナが構成された車載用無線受信装置1が収容されている。車載用無線受信装置1の構成は実施の形態1又は2と同等であるため、説明は省略する。
キーレスレシーバユニット13は、ユーザが所持する携帯機15と組み合わされて利用され、携帯機15からの無線信号を、キーレスレシーバユニット13の車載用無線受信装置1のアンテナ3で受信するように構成したものである。
【0038】
以上のように、実施の形態3による車載用無線受信装置によれば、自動車のインスツルメントパネル内に装着され、ユーザが携帯する携帯機からの無線信号を受信するキーレスレシーバユニットの無線受信機として使用したので、振動に強く高いアンテナ利得を有する信頼性の高いリモートキーレスエントリシステムを提供できる。
【符号の説明】
【0039】
1 車載用無線受信装置 2 プリント基板
3 アンテナ 3a 水平面部
3b 垂直面部 3c 突起部
3d 幅広部 3e 誘い込み部
3f 係止爪 4 無線IC
5 コネクタ 6 給電パターン
7 パターンアンテナ 8 整合回路
9 貫通穴 10 カバー部材
11 アンテナ支持部 11a,12a 嵌合溝(嵌合部)
12 垂直保持部 13 キーレスレシーバユニット
14 自動車 15 携帯機
21 ワイヤーハーネス 22 外部機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板上に無線受信回路が形成され、前記無線受信回路に給電パターンを介して平板状金属からなるアンテナが接続され、前記アンテナを含む前記プリント基板の上面が樹脂製のカバー部材で覆われた車載用無線受信装置であって、
前記アンテナは、前記プリント基板の上面に空隙を空けて前記プリント基板に略平行に配線された水平面部と、前記水平面部に連続し前記プリント基板に向けて略垂直に折曲げて形成された少なくとも1個の垂直面部とを有し、前記水平面部の配線経路の途中には前記プリント基板側へ屈曲した複数の突起部が形成され、前記垂直面部の1箇所は前記プリント基板上で前記給電パターンと接合されており、
前記カバー部材の内面側に一体的に形成されたアンテナ支持部により、前記アンテナの前記水平面部の前記突起部が支持されていることを特徴とする車載用無線受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載用無線受信装置において、
前記アンテナの前記垂直面部は、前記水平面部の前記配線経路の両端、又は両端と中間部とに形成されており、前記プリント基板上で前記給電パターンと接合される1箇所以外の前記垂直面部の先端側は、前記プリント基板に固定されていることを特徴とする車載用無線受信装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車載用無線受信装置において、
前記カバー部材の内面側に形成される前記アンテナ支持部は、前記アンテナの前記水平面部に形成された前記突起部に対応する位置に垂設され、前記突起部と嵌合する嵌合部を有していることを特徴とする車載用無線受信装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車載用無線受信装置において、
前記アンテナの前記垂直面部には幅方向を広げた幅広部が形成され、前記垂直面部に対応する前記カバー部材の内面側の位置に、前記幅広部と嵌合する嵌合部を有する垂直保持部が、前記カバー部材に一体的に垂設されていることを特徴とする車載用無線受信装置。
【請求項5】
請求項3に記載の車載用無線受信装置において、
前記アンテナの前記水平面部に設けた前記突起部には、幅方向側面に係止爪が形成されており、前記突起部の前記係止爪が前記アンテナ支持部の前記嵌合部に圧入されて支持固定されるように構成したことを特徴とする車載用無線受信装置。
【請求項6】
請求項4に記載の車載用無線受信装置において、
前記アンテナの前記垂直面部の前記幅広部には、幅方向側面に係止爪が形成されており、前記広幅部の前記係止爪が前記垂直保持部の前記嵌合部に圧入されて支持固定されるように構成したことを特徴とする車載用無線受信装置。
【請求項7】
請求項3〜請求項6のいずれか1項に記載の車載用無線受信装置において、
前記カバー部材に一体的に形成された前記アンテナ支持部又は前記垂直保持部は、前記カバー部材を成形する際に、射出成形金型の開き方向のみで成形可能な形状となっていることを特徴とする車載用無線受信装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の車載用無線受信装置において、
前記プリント基板の前記給電パターンと接合される前記アンテナの前記垂直面部の先端に、前記給電パターン側に設けた貫通穴と係合する誘い込み部が形成されていることを特徴とする車載用無線受信装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の車載用無線受信装置において、
自動車のインスツルメントパネル内に装着され、ユーザが携帯する携帯機からの無線信号を受信するキーレスレシーバユニットの無線受信機として使用されることを特徴とする車載用無線受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−146993(P2011−146993A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7033(P2010−7033)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】