車載通信装置
【課題】盗難防止性を高めることにより、自動二輪車に容易に取付可能な車載通信装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ETC車載器10aは、内部に認証メモリカード40が収容される本体部42と、アンテナ44とを備える。本体部42は、認証メモリカード40に電気的に接続されるコネクタ89が配設された電子回路91を収納したケース88と、前記ケース88に認証メモリカード40を着脱する際に開閉される蓋体90と、前記蓋体90の閉じ位置で該蓋体90と前記ケース88との間の防水を確保するシール部材95と、前記蓋体90の閉じ位置で該蓋体90と前記ケース88とを密着保持させるバックル94と、前記蓋体90を閉じ位置でロックするロック機構130とを備える。
【解決手段】ETC車載器10aは、内部に認証メモリカード40が収容される本体部42と、アンテナ44とを備える。本体部42は、認証メモリカード40に電気的に接続されるコネクタ89が配設された電子回路91を収納したケース88と、前記ケース88に認証メモリカード40を着脱する際に開閉される蓋体90と、前記蓋体90の閉じ位置で該蓋体90と前記ケース88との間の防水を確保するシール部材95と、前記蓋体90の閉じ位置で該蓋体90と前記ケース88とを密着保持させるバックル94と、前記蓋体90を閉じ位置でロックするロック機構130とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両と外部の通信局とで無線による交信を行うシステムにおいて車両側に搭載される車載通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路等での料金の自動収受を目的とした自動料金収受システム(ETCシステム:Electronic Toll Collection System)は、従来から主に四輪自動車用として利用拡大が図られてきた。このようなETCシステムに対応するためには、車両側にアンテナ等を備えるETC車載器(車載通信装置)を搭載する必要がある。
【0003】
このようなETC車載器では、認証メモリカード(ETCカード)が収納されるケースのカード挿入口を開閉する蓋体をロックするためのロック機構が設けられていないため、ロック可能な収納スペースに当該ETC車載器を配置する必要があった。
【0004】
例えば、特許文献1には、ETC車載器の本体部とアンテナとを別体に構成し、認証メモリカードが収容される前記本体部をシート下の収納スペース(ヘルメットケース)内に配置する技術的思想が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−92672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、自動二輪車の場合、車種によっては前記のヘルメットケースのような本体部を収納できるスペースがほとんどない場合があり、特にスポーツ型の車種等では顕著である。
【0007】
従って、このような収納スペースの限られた車種では、例えば、ロック機構付きの収納ボックス等を車両の外部に固定して、その中にETC車載器を収容することが考えられるが、料金所等で通信エラー等を生じた際の認証メモリカードの取出性等を考慮した場合には、ETC車載器自体の盗難防止性を高めることにより、当該ETC車載器を車両の外部に露出させた状態でも設置できることが望ましい。
【0008】
本発明は上記従来の課題を考慮してなされたものであり、装置自体の盗難防止性を高めることにより、自動二輪車等の車両の外部に露出させた状態でも取付できる車載通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る車載通信装置は、内部にメモリカードが収容される本体部と、アンテナとを備え、外部の通信局と交信するために車両に固定される車載通信装置であって、前記本体部は、前記メモリカードに電気的に接続されるコネクタが配設された電子回路を収納したケースと、前記ケースに前記メモリカードを着脱する際に開閉される蓋体と、前記蓋体の閉じ位置で該蓋体と前記ケースとの間の防水を確保するシール部材と、前記蓋体の閉じ位置で該蓋体と前記ケースとを密着保持する保持体と、前記蓋体を閉じ位置でロックするロック機構とを備え、前記ロック機構は、前記ケースに設けられたナット又はボルトと、前記蓋体又は前記保持体に設けられ、前記ケースに設けられたナット又はボルトと螺合すると共に、所定のキー形状を有する解除キーにより回転可能に形成されたロックボルト又はロックナットとを有することを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、メモリカードの着脱用の蓋体をロックするロック機構を設けたことにより、当該車載通信装置を、例えば、自動二輪車の外部に露出させた状態で設置することが可能となる。このため、メモリカードの着脱等の取扱容易性を向上させることができ、また、解除キーを用いた簡単な操作で容易に且つ確実に蓋体のロック・アンロックを行うことができるため、メモリカードの盗難防止性を高めることができる。
【0011】
また、前記ロックボルト又は前記ロックナットの頭部の周囲が、前記蓋体又は前記保持体に設けられ且つ前記頭部の側面より高い壁部により囲繞されていると、前記解除キー以外の工具によってロックボルトやロックナットの頭部を直接的に把持して操作することを防止することができ、蓋体を一層確実に且つ強固にロックすることが可能となる。
【0012】
さらに、前記蓋体又は前記保持体の前記ロックボルト又は前記ロックナットを支持する部位の強度が、前記蓋体又は前記保持体の他の部位の強度よりも低いと、ケースに比べて交換が容易な蓋体又は保持体を壊れ易く構成することができ、例えば、不正な操作によってロック機構が破壊された場合であっても、ケースの破損を回避することができ、保持体等の交換のみで簡単に修理を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、メモリカードの着脱用の蓋体をロックするロック機構を設けたことにより、当該車載通信装置を、例えば、自動二輪車の外部に露出させた状態で設置することが可能となる。このため、メモリカードの着脱等の取扱容易性を向上させることができ、また、解除キーを用いた簡単な操作で容易に且つ確実に蓋体のロック・アンロックを行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る車載通信装置について、この車載通信装置の自動二輪車への取付構造を例示して好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車載通信装置としてのETC車載器10aを適用した自動二輪車12aの車体前方部を拡大した一部省略概略斜視図である。また、図2は、図1に示す自動二輪車12aの一部省略概略側面図であり、図3は、図1に示す自動二輪車12aの斜め上方からの一部省略概略正面図である。
【0016】
本第1の実施形態では、いわゆるネイキッドタイプの鞍乗型車両である自動二輪車12aを例示して本発明に係る車載通信装置を説明する。なお、自動二輪車12aにおいて、車体の左右に1つずつ対称的に設けられる機構や構成要素については、左のものの参照符号に「L」を付し、右のものの参照符号に「R」を付すものとする。また、理解を容易にするために、各図面において、着座した運転者から見た方向に従って、車体の左側を示す矢印に「L」、車体の右側を示す矢印に「R」を付すと共に、車体の前方側を示す矢印に「Fr」、車体の後方側を示す矢印に「Rr」を付して説明し、以下同様とする。
【0017】
図1〜図3に示すように、自動二輪車12aには、車体を構成する車体フレーム13の前方に軸支されたヘッドパイプ14を介して一対のフロントフォーク16L、16Rが支承され、該フロントフォーク16L、16Rの下端側で操舵輪である前輪18が支承されている。すなわち、フロントフォーク16L及び16Rは、ヘッドパイプ14の上端側に対応する位置がトップブリッジ20により連結されると共に、ヘッドパイプ14の下端側に対応する位置がアンダーブリッジ22により連結されており、これにより、左右のフロントフォーク16L及び16Rが一体的にヘッドパイプ14により軸支されている。
【0018】
前輪18を操舵するハンドル24は、前記トップブリッジ20の上面側に固定されることにより、フロントフォーク16L、16Rを介して前輪18を操舵可能である。該ハンドル24には、ヘッドパイプ14の前方にステー25L、25Rを介して配設されたヘッドライト26や、該ヘッドライト26の下方に配設されたウインカ28L、28R等の操作を行うためのスイッチ部30L、30Rが設けられている。前記ステー25L、25Rは、フロントフォーク16L、16Rに固定されている。また、ヘッドライト26の上方には各種メータ類が配置されたメータセット31が配設されると共に、前記ハンドル24の両端側のグリップ内側には、それぞれサイドミラー32L、32Rが取り付けられている。なお、図1中の参照符号33は、燃料タンクを示しており、自動二輪車12aにおいて、該燃料タンク33の下方から後方にかけて、図示しないエンジンやシート、後輪等が設けられていることは言うまでもない。
【0019】
このような自動二輪車12aでは、本第1の実施形態に係る車載通信装置としてのETC車載器10aを搭載しており、これにより、該ETC車載器10aを介して外部の通信局、例えば、有料道路の料金所に設けられたETCゲート36の送受信装置38と自動的に交信することができる(図1参照)。
【0020】
そこで、次に、本第1の実施形態に係るETC車載器10a及びその取付構造について説明する。なお、図5等では、自動二輪車12aを図示していないが、車体の左側を示す矢印L等は、ETC車載器10aが自動二輪車12aに取り付けられた状態での方向を示すものであり、以下同様とする。
【0021】
ETC車載器10aは、各種情報が記録された認証メモリカード(ETCカード、メモリカード)40(以下、カード40ともいう)が収容されるカードリーダ部である本体部42と、ETCゲート36の送受信装置38と情報の送受信を行うアンテナ44と、ETC車載器10aの動作状態をランプの点灯等により表示するインジケータ部46とから構成されている。本体部42と、アンテナ44及びインジケータ部46とは、それぞれ信号ケーブル48及び50を介して電気的に接続され、さらに、本体部42は電源ケーブル52を介して自動二輪車12aに搭載された図示しないバッテリに電気的に接続されている。この場合、カード40は、例えば、記録された使用者の各種情報等を読み出し可能である一方、ETC車載器10aを介してETCゲート36の送受信装置38から受信した料金所通過情報等の書き込みが可能なICチップを搭載した、いわゆるICカードで構成される。インジケータ部46は、例えば、赤色LEDランプ及び緑色LEDランプの点灯、消灯及び点滅により、ETC車載器10aの動作状態を運転者に通知するものである(図33参照)。
【0022】
図1〜図3から諒解されるように、本第1の実施形態に係るETC車載器10aでは、本体部42が、フロントフォーク16Rの外側(車幅方向外側)であり且つハンドル24の下方である位置、より具体的には、車体上下方向においてトップブリッジ20(ハンドル24)とアンダーブリッジ22との間となる位置で、前記フロントフォーク16Rに沿って車体に固定された取付機構54を介して設置されている。この場合、本体部42(取付機構54)の少なくとも一部は、図4に示す平面視で前記ハンドル24の回転軌跡範囲内に含まれる位置に設定されている。すなわち、本体部42(取付機構54)は、シートに着座した運転者の手が容易に届く範囲内に設置されていることになる。
【0023】
また、本体部42(取付機構54)がトップブリッジ20とアンダーブリッジ22との間でフロントフォーク16Rに沿って車体に固定されていることから、ウインカ28Rの照射方向と当該本体部42とが、図2に示す側面視で交差せず、これにより、ウインカ28Rの外部からの視認が本体部42により妨害されることを有効に回避している。
【0024】
前記信号ケーブル48、50及び電源ケーブル52は、いずれも取付機構54の下面側から下向きに延びた後、所定の箇所まで引き回されている(図2参照)。この場合、本体部42とアンテナ44とを繋ぐ信号ケーブル48は、ETC車載器10aの設置自由度を確保するために、通常、車体前方部から車体後方部まで届く程度の十分な長さで構成されている一方、過度の屈曲等を与えることは通信の安定性確保等の観点から困難なものとなっている。そこで、図3に示すように、本第1の実施形態の場合、信号ケーブル48を本体部42から下方に引き出し、ヘッドライト26の下側から反対側(車体左側)を通って上部へと引き回した後、屈曲を生じない所定の径で周回させた状態で、途中に設けられた図示しないコネクタと共にヘッドライト26とメータセット31との間に形成されている間隙55内に収納固定し、当該信号ケーブル48の保護及び外観の向上を図っている。
【0025】
なお、前記アンテナ44は、ETCゲート36の送受信装置38との交信の安定性を確保するため、メータセット31の外面上部の略中央部(2つのメータの間)に設置されている。一方、前記インジケータ部46は、運転者からの視認性を確保するため、ハンドル24とメータセット31との間であって当該メータセット31の一端側(車幅方向右側)寄りの下部に設置されている。
【0026】
図5は、本実施形態に係るETC車載器10aの本体部42と取付機構54とを示す分解斜視図である。
【0027】
取付機構54は、車体に固定されるベースブラケット56と、該ベースブラケット56に着脱自在に取り付けられるカバー部材58とを有し、ベースブラケット56の表面にETC車載器10aを構成する本体部42が固定されることにより、ベースブラケット56とカバー部材58との間に本体部42を収納することができる。
【0028】
ベースブラケット56は、例えば、アルミニウム製からなる略矩形平板状のブラケットであり、車体後方側に突出した取付部60に形成された2つの取付孔62にボルト64が挿通されることで、例えば、フロントフォーク16Rに固定されたヘッドライト26固定用のステー25Rと一緒に共締めされ、その薄い板厚方向が車体幅方向に沿った状態で車体に取り付けられる。また、ベースブラケット56の前記取付部60側と直交する上端縁には、カバー部材58の係合孔部66と係合するフック68が設けられている。該フック68は、車体外側方向(車幅方向右側)に屈曲した後、上方に向けて突出した引っ掛け部である。
【0029】
さらに、ベースブラケット56の車体前方側となる端縁において、その上部には車体内側方向(車幅方向左側)に突出した正面視で略三角形状のリブ70が設けられている(図3及び図5参照)。リブ70は、図3に示す正面視でヘッドライト26のレンズの曲面形状に対応する形状であり、これにより、当該ベースブラケット56とヘッドライト26の外表面との間の間隙を有効に塞ぐことができ、走行中、該間隙に流れる空気量を減少させて防風及び防音作用を向上させている。
【0030】
カバー部材58は、例えば、樹脂製材料で構成され、前記ベースブラケット56側の一面が開口すると共に中央部がやや膨出した箱状であり、その上面には前記フック68に係合する係合孔部66を有する着脱部78が膨出形成される一方、下面側には、ベースブラケット56側に突出したフック部材77が設けられている。このようなカバー部材58は、フック部材77がベースブラケット56の下端縁に係合され、係合孔部66がフック68に係合されることによりベースブラケット56に固定される。さらに、カバー部材58には、当該カバー部材58がベースブラケット56に固定された状態で、前記取付部60を覆い外部から隠すボルトカバー部80が、車体後方側に突出して形成されている(図5及び図6A参照)。
【0031】
従って、このような取付機構54では、取付部60により車体に固定されたベースブラケット56の表面に、例えば、弾性を有する両面テープ85(図5参照)や図示しないボルトにより本体部42が固定された状態で、カバー部材58を当該ベースブラケット56に対して着脱することができる。この場合、図2及び図5から諒解されるように、本体部42の蓋体90の開閉方向と、カバー部材58のベースブラケット56に対する取付方向とが略90°異なる向きに設定されている。
【0032】
図7は、ETC車載器10aを構成する本体部42の概略斜視図であり、図8は、図7に示す本体部42の蓋体90を開いた状態での概略平面図である。ETC車載器10aを構成する本体部42は、カード40を内部に防水状態で保持することができる有底状の内面形状を有したケース88と、該ケース88を開閉する蓋体90とからなる。すなわち、ケース88と蓋体90は、ヒンジ92により開閉可能であると共に、ヒンジ92とは反対側の面に設けられたバックル(保持体、リッド)94により閉じ位置で密着保持可能であり、これらケース88と蓋体90との間には防水用のシール部材95が介在される。
【0033】
ケース88には、カード40に設けられたICチップ(図示せず)に電気的に接続可能なコネクタ(ばね接点)89が配設された電子回路91が内装され、コネクタ89はケース88と蓋体90とで挟まれるカード保持部(カード保持空間)88aに臨んでいる(図8)。コネクタ89のケース88内部側は防水構造とされ、雨天時等でのカード40の着脱時、カード保持部88aに入った雨水等がケース88内に浸入することを確実に防止している。
【0034】
バックル94は、ケース88に対してヒンジ93を介して開閉自在に設けられ、爪部94aが蓋体90側の突起部90aに係合することで、蓋体90をケース88に対して閉塞状態で保持することができる(図8及び図9参照)。図9に示すように、ヒンジ93は、ケース88側に設けられ、一部が開口したロール状の受け部93aと、バックル94側に設けられ、受け部93aに対応するピン部93bとから構成され、受け部93aの前記開口にピン部93bが圧入されることで、バックル94を開閉自在に且つ着脱自在に支承している。
【0035】
このようなETC車載器10aを構成する本体部42では、蓋体90を閉塞状態で保持固定する保持体(保持機構)として機能するバックル94と共に、さらに、蓋体90を閉塞状態でロックするロック機構130を備えている。
【0036】
図7〜図9に示すように、ロック機構130は、ケース88のバックル94に対向する面に埋設されたナット(インサートナット)132と、バックル94に設けられ、ナット132に螺合可能なロックボルト134とを備え、ケース88と蓋体90とを連結するヒンジ92とは反対側の面に設けられている。従って、ケース88に対して蓋体90が閉じ位置とされ、バックル94が閉じ位置とされた状態でロックボルト134がナット132に締結されることにより、バックル94の開閉がロックされ、蓋体90の開閉もロックされる。
【0037】
図10Aは、図7中のX−X線に沿う一部省略概略断面図であり、ロック機構130の要部を拡大した断面図であって、図10Bは、図10Aに示す状態からバックル94を開いた状態での一部省略概略断面図である。
【0038】
図10Aに示すように、ロック機構130において、ナット132は、ケース88に収納された電子回路91等が配設される空間を区切るバックル94側の壁面に形成された段付きの孔部136内に嵌め込まれ、その後端側となるケース88内部側がシールキャップ138によりシールされている。これにより、孔部136及びナット132の孔部から雨水等がケース88内に浸入し、電子回路91や他の電子部品等が故障することを有効に回避することができる。この場合、ナット132はロックボルト134とは異なりロック機構130の使用時に、動きが求められることはないため、当該ナット132をケース88側に設けたことにより、その防水構造を極めて簡単に行うことができる。
【0039】
図8から諒解されるように、ケース88のカード40の保持空間(カード保持部88a)において、コネクタ89は平面視で一端側(図8では上端側)にオフセットして配置され、ナット132はコネクタ89と反対の他端側にオフセットして配置されている。ケース88内において、コネクタ89の近傍には前記電子回路91等の電子部品類が比較的集中して配置されているのに対し、その他端側では電子部品類が比較的少ないため、ナット132を設置するスペースの確保が容易であるためである。
【0040】
一方、ロックボルト134は、バックル94においてナット132に対応する位置の外面から突出する円筒状の壁部140の孔部140a内に挿通されることで支持されている。孔部140aの奥部(底部)には、該孔部140aより小径の孔部142aを有するフランジ142が設けられている。従って、ロックボルト134は、フランジ142の外側に頭部134aが配置され、内側(ケース88側)に先端のねじ部134bが配置され、ねじ部134bの頭部134a側に抜け止めリング144が介在されることにより、回転自在な状態でバックル94に保持されている。
【0041】
ロックボルト134の頭部134aとフランジ142との間には、該ロックボルト134を外側方向(頭部134a側)に付勢するスプリング146が配設されている。従って、ロックボルト134がナット132に締結されていない状態では、スプリング146の付勢力により当該ロックボルト134がナット132側から離間する側に移動しているため(図10B参照)、ロックボルト134の先端(ねじ部134b側)がバックル94の背面側から大きく突出することを防止することができる。このため、図10Bに示すように、バックル94の開閉時、ロックボルト134の先端が孔部136の縁部等に当接することを防止でき、当該ロックボルト134をナット132に対して確実に位置決めしながら、バックル94を容易に閉じ位置とすることができる。さらに、ロックボルト134は、スプリング146の付勢作用下に、孔部142aや孔部140aの内側で多少の自由度を有して揺動可能に且つ大きくがたつくことなく弾性的に支持されているため、バックル94を閉じる際のロックボルト134の位置決めが一層容易になされ、しかも、ロックボルト134のがたつきによる異音の発生等を効果的に防止することができる。
【0042】
この場合、ロックボルト134のねじ部134bとナット132との噛合量は、スプリング146のストローク量(ロックボルト134の移動幅)より小さく設定されている。これにより、スプリング146によりロックボルト134の螺回量が制限されることを防止して、ロックボルト134をナット132に対して確実に緊締することができる。
【0043】
このようなロックボルト134は、所定の特殊なキー形状を配した解除キー148のみで回転可能に構成されており(図7参照)、頭部134aの頂面に設けられた工具を係合するための操作用溝部134cは、前記解除キー148に対応した特殊な形状とされている。図11に示すように、解除キー148及びこれに対応する操作用溝部134cに形成されたキー形状は、汎用の工具(ドライバやレンチ等)には対応しない特殊な形状であり、例えば、ETC車載器10aに対して20種類以上準備される。このため、通常の使用状態では、同一のキー形状を持つユーザ同士が誤って又は故意により他人のロックボルト134を解除することを有効に阻止することができ、カード40の盗難防止性を向上させることができる。
【0044】
解除キー148は、図7に示すように、ロックボルト134の操作用溝部134cに係合する突出部148aが形成された操作部148bが、基端部148cに対して回転自在に連結されて構成されている。従って、解除キー148の基端部148cを自動二輪車12aのイグニッションキーと一体にするか又は該イグニッションキーと連結器により連結保持しておくことにより、該解除キー148の紛失を防止しながら、前記操作部148bを回転操作して容易にロックボルト134を操作することができるため、ロック機構130の取扱容易性を大幅に向上させることが可能となる。
【0045】
ところで、このような特殊なキー形状からなるロックボルト134では、その頭部134aが直接的にプライヤー等の工具により狭持され強制的に回転されてロック機構130が不正に解除される懸念がる。そこで、ロック機構130では、図7及び図10A等に示すように、壁部140によりロックボルト134の頭部134aの周囲を囲繞すると共に、該壁部140の高さ(突出長)hを十分に高く設定している。すなわち、ロックボルト134がスプリング146により付勢されて最も外側(車体後方側)に寄った状態(図10B参照)であっても、壁部140の上端面が頭部134aの頂面以上の高さとなるように設定している。これにより、頭部134aの側面が直接的にプライヤー等の工具で把持されることを阻止し、ロック機構130の不正な解除を一層困難なものとしている。
【0046】
さらに、図11に示すように、ロックボルト134の頭部134aと壁部140の内壁面との間の隙間Gは、他の工具等を挿入できないよう十分に小さく(ほとんどなく)設定されている。該隙間Gは、例えば、頭部134aに設けられた操作用溝部134cにおいて、該頭部134aの中心点Oに最も近い位置(円C1)と、最も遠い位置(円C2)との間の変化幅(円C2の半径から円C1の半径を引いた距離)よりも小さく設定されると共に、操作用溝部134cの溝幅よりも小さく設定されている。この操作用溝部134cは、頭部134aの中心点Oを囲む曲線状に蛇行した円であり、その溝幅は該操作用溝部134cの中心線C3の中心点Oに対する変化量(中心線C3の最大径から最小径を引いた距離)より小さく設定されている。また、図10A〜図11から諒解されるように、ロックボルト134の頭部134aは、その外周面(側面)が頂部に向かって縮径する曲面で形成され、平面視でその形状は実質的に真円とされている。これにより、壁部140内において前記のプライヤー等の工具により頭部134aが把持されることを一層確実に防止している。
【0047】
また、ロック機構130では、フランジ142の強度をバックル94の他の部位の強度よりも弱く壊れ易いように設定している。従って、仮にプライヤー等の工具によって壁部140やバックル94自体に大きな力が加えられ、バックル94がその開放方向に強く引っ張られた場合であっても、ロックボルト134のねじ部134bがナット132に締結されている状態では、該ロックボルト134がナット132に締結されたままフランジ142が最初に壊れることになる。すなわち、ロックボルト134をケース88側に残したままバックル94が開かれる。そこで、ロック機構130では、バックル94側の構成要素である壁部140、スプリング146、ロックボルト134及び抜け止めリング144がバックル94と一体のユニットとして形成されている。このため、前記のようにフランジ142が壊れされた場合であっても、ケース88や蓋体90が破損することはなく、その修理はバックル94を交換するだけでよい。
【0048】
さらに、バックル94は着脱可能なヒンジ93によりケース88に取り付けられているため、修理及び交換が極めて容易である。しかし、このようにフランジ142が壊されたとしても、ロック機構130の使用は不可となるが、バックル94を用いて本体部42のケース88と蓋体90とを密着保持することは可能であるため、運転者は、蓋体90を確実に閉じた状態で修理工場や用具販売店等まで走行することができる。なお、ヒンジ93についても、前記フランジ142の場合と同様に、ケース88側の受け部93aよりもバックル94側のピン部93bを壊れ易く構成しておくことも可能である。そうすると、受け部93aよりピン部93bが先に壊れるため、ケース88の破損を一層確実に回避することができる。さらに、図10B中に破線で示すように、壁部140をバックル94とは別体の円筒状の部品として形成し、これをバックル94の壁面に設けた孔部に圧入するように構成することもできる。この場合には、フランジ142が破損した場合に、ロックボルト134等を支持したユニットである壁部140やロックボルト134等だけを交換すればよく、バックル94の交換が不要となる。
【0049】
また、図10Aに示すように、ロックボルト134をナット132に締結した状態では、ロックボルト134の頭部134aの頂面の位置が壁部140の上端面(先端面)より下側(奥)にあるように設定されると共に、壁部140の高さhの半分以下とされることが好ましい。そうすると、外部から解除キ−148以外の工具を用いて不正にロックボルト134を操作することを一層確実に防止することができる。
【0050】
以上のように構成されるバックル94(保持体)とロック機構130を備えたETC車載器10aの本体部42を自動二輪車12aに固定する取付機構54は、図2及び図5に示すように、車体側にベースブラケット56の底部が向き、その長手方向(フック68側からフック部材77側に向かう方向)がフロントフォーク16Rに沿った方向で固定される。また、図5及び図12Bから諒解されるように、ロック機構130を構成するロックボルト134の頭部134aが、シートに着座した運転者側(運転者から見える側)に向いた状態で設置される。
【0051】
さらに、図6Bに示すように、取付機構54を構成するカバー部材58の内側には、スポンジやゴム等からなる弾性部材96が貼り付けられている。これにより、ベースブラケット56にカバー部材58が取り付けられると、前記弾性部材96により本体部42の蓋体90が閉じ方向に押圧されるため、取付機構54内での蓋体90の誤開放を確実に防止することができる。
【0052】
以上のように、本第1の実施形態によれば、ETC車載器10aを構成する本体部42(取付機構54)が、フロントフォーク16Rの外側であり(当然、フロントフォーク16Rの外側でもよい)且つハンドル24の下方位置(ハンドル24とアンダーブリッジ22との間)で車体に固定されており(図2及び図3参照)、さらに、本体部42の少なくとも一部が、平面視で前記ハンドル24の回転軌跡範囲内に属している(図4参照)。また、ロック機構130を構成するロックボルト134の頭部134aが、シートに着座した運転者側に向いた状態で設置されている。
【0053】
このため、例えば、ETCゲート36を通過する際、該ETCゲート36の送受信装置38と、自動二輪車12aのETC車載器10aとの間で通信エラーを生じた場合であっても、運転者は、シートに着座した状態のまま、容易に取付機構54のカバー部材58を開いた後、ロック機構130を解除して蓋体90を開き、本体部42からカード40を取り外すことができる。すなわち、本第1の実施形態では、取付機構54(本体部42)が設置された位置が、シートに着座した運転者の手が容易に届く範囲に設定されると共に、ロックボルト134を運転者が容易に操作できる方向に設置しているため、本体部42の取扱容易性を大幅に向上させることができる。
【0054】
この場合、ETC車載器10aを構成する本体部42では、蓋体90を閉じ位置に保持する保持体であるバックル94と、蓋体90を閉じ位置でロックするロック機構130とを備え、カード40の盗難防止性を確保している。このため、本体部42を自動二輪車12aの外部に露出した状態で設置することが可能であり、前記のカバー部材58を設けることなく、ベースブラケット56を介して直接的に車体に設置することも当然可能である。従って、ETC車載器10aでは、車体への取付容易性及び取扱容易性を向上させることが可能である。なお、カバー部材58を設けることにより、本体部42の防水性能や防塵性能を向上させることができることは言うまでもない。
【0055】
取付機構54は、車体側にベースブラケット56の底部が向き、その長手方向がフロントフォーク16Rに沿った方向で固定されるため、取付機構54の扁平で薄い厚さ方向が自動二輪車12aの車幅方向に対応することになり、当該取付機構54、すなわち本体部42は車幅方向にほとんど突出することがない。このため、取付機構54(本体部42)は、自動二輪車12aの外観上目立つことがなく、その外観を損なうこともない反面、当該取付機構54(本体部42)が外部から完全に見えなくなることもないため、運転者は周囲に対してETC車載器10aを搭載していることをアピールすることができる。
【0056】
この場合、図7中に破線で示すように、例えば、蓋体90の上面に、カード保持部88aを外部から視認できる窓部90bを設けると、本体部42にカード40が搭載されているか否かを外部から容易に視認可能となり、運転者はカード40の挿入忘れを一層確実に回避できるようになる。また、自動二輪車12aの停車時等において、カード40が本体部42内にないことを周囲に対して知らせることができるため、カード40の盗難を目的とした本体部42の不正な破壊を未然に防止できるという効果も得られる。
【0057】
また、本体部42がフロントフォーク16Rに固定されていることから、ハンドル24の周囲のスペースが塞がれず、当該スペースに他の電子機器等、例えば、ナビゲーションシステムやオーディオのスピーカを装着することができる。一方、本体部42に比べて十分に小さいアンテナ44は、メータセット31の上部に設けられていることから、通信の安定性の確保が可能となる。同様に、本体部42に比べて十分に小さいインジケータ部46は、メータセット31とハンドル24との間のスペースに設けられているため、運転者からの視認性の確保が可能となり、しかも、上記したハンドル24の周囲のスペースを塞いでしまうこともない。
【0058】
この場合、ETC車載器10aの本体部42、アンテナ44及びインジケータ部46は、いずれもハンドル24と共に回動するため、ハンドル24の操舵等によって信号ケーブル48、50が屈曲されて破損し、通信不良等を生じることを有効に回避することができる。
【0059】
さらに、前記アンテナ44が、トップブリッジ20やハンドル24よりも上方であり、また、前方である位置に設置されていることから、当該アンテナ44とETCゲート36の送受信装置38との間の障害物をなくすことができ、交信の安定性を一層確実に確保することができる。
【0060】
なお、ETC車載器10aでは、蓋体90を閉じ位置でロックするロック機構130を備えていることから、本体部42を自動二輪車12aの外観上で比較的自由な位置に取付可能であり、例えば、図13に示すように、ハンドル24を固定する固定部材24a及び24bの間のスペースに対して、図示しないハンドル24に周回固定されるブラケットを介して固定することも可能である。これにより、ETC車載器10aの取扱容易性を一層向上させることができる。
【0061】
また、ETC車載器10aのロック機構130を構成するロックボルト134(ナット132)の位置は、ケース88以外にも、例えば、図14Aに示すように、蓋体90側に対応する位置や、図14Bに示すように、蓋体90の上面側に対応する位置に配設することも可能である。さらには、図14Cに示すように、ロックボルト134を、バックル94ではなく蓋体90に対して直接的に配設することも可能である。
【0062】
ETC車載器10aの蓋体90を閉じ位置で保持する保持体としては、上記したバックル94以外にも、図15に示すように、略コ字状に形成されたクリップタイプのバックル150や、スライドタイプのバックル(図示せず)とすることもできる。
【0063】
また、ロック機構130を解除する解除キー148及びこれに対応する操作用溝部134cを有するロックボルト134は、例えば、図16及び図17に示される解除キー152及びロックボルト154に変更することもできる。
【0064】
図16は、解除キー152及びこれに対応するロックボルト154を示す概略分解斜視図であり、図17は、図16に示す解除キー152及びロックボルト154を組み立てた状態での概略斜視図である。解除キー152は、ロックボルト154に係合する突出部152aと、該突出部152aが先端に固定される操作部152bと、操作部152b(突出部152a)を回転自在に支持する基端部152cとから構成されている。基端部152cは、例えば、自動二輪車12aのイグニッションキーと一体に構成されるか又は連結器を介して連結される部分であり、操作部152bは、運転者が突出部152aを回転させてロック機構130の解除を行うための部分である。
【0065】
この場合、突出部152aは、操作部152bの先端面から突出したローレット156に順に噛合する第1カム158と、該第1カム158より小径の第2カム160とを有する。すなわち、第1カム158及び第2カム160は、それぞれの中央部に形成され、前記ローレット156に噛合するローレット孔部158a及び160aによってローレット156に所望の角度で噛合可能であり、これら第1カム158及び第2カム160は、ローレット156に設けられた雌ねじ部に螺着されるボルト162によって固定される。第1カム158及び第2カム160には、それぞれ外周側に突出する凸部158b及び凸部160bが設けられている。
【0066】
従って、ローレット156との噛合作用下に、第1カム158及び第2カム160の凸部158b及び凸部160bをそれぞれ所望の位置に設定することにより、突出部152aは、極めて多種類の形状からなるキーとして機能する。
【0067】
一方、ロックボルト154は、頭部154aが有底円筒状に形成されると共に、その内周面にローレット164が形成され、ここに該ローレット164に噛合可能なローレット面166a及び168aを外周面に設けた第1カム受けリング166及び第2カム受けリング168が収納される。すなわち、第1カム受けリング166には、凸部158bを含む第1カム158を挿入可能な凹部166bが形成された孔部166cが設けられ、第2カム受けリング168には、凸部160bを含む第2カム160を挿入可能な凹部168bが形成された孔部168cが設けられる。
【0068】
第1カム受けリング166及び第2カム受けリング168が収納される頭部154aは、その外周面にねじ部170が形成されており、該ねじ部170に対して、内周面にねじ部172が形成されたカバー部材174が螺着されることにより、第1カム受けリング166及び第2カム受けリング168が抜け止め保持される。なお、参照符号176は、キャップであり、ロックボルト154の非操作時等においてカバー部材174の開口174aを塞ぐものである。
【0069】
従って、ロックボルト154についても解除キー152と同様に、ローレット164との噛合作用下に、第1カム受けリング166及び第2カム受けリング168の凹部166b及び凹部168bをそれぞれ所望の位置に設定することができ、これにより、解除キー152の突出部152aのキー形状に対応可能である。
【0070】
このように、解除キー152及びロックボルト154によれば、上記した解除キー148及びロックボルト134に比べ、キー形状を極めて多種類に設定することが可能でありながら、基本的に同一部品を用いて製造することができ、必要に応じて運転者(ユーザ)が所望のキー形状に設定変更することもできる。このため、ロック機構130を構成するキー形状のバリエーションを極めて多種類に増やすことができ、ロック機構130を一層確実にロックすることができるため、カード40の盗難防止性を一層向上させることができる。
【0071】
さらに、解除キー152及びロックボルト154では、第1カム158と第2カム160、及び、これに対応する第1カム受けリング166と第2カム受けリング168の形状を数種類準備すると、前記したキー形状のバリエーションを一層増加させることができる。例えば、解除キー152を構成する第1カム158の凸部158bの形状を、略半円状からなる180a(図18A参照)、略扇形状からなる180b(図18B参照)、略矩形状からなる180c(図18C参照)、角部に丸みを帯びた略矩形状からなる180d(図18D参照)等、適宜変更することができ、また、その板厚も変更可能である。
【0072】
次に、本第1の実施形態に係るETC車載器10aの他の取付構造について、図19〜図22を参照して説明する。
【0073】
図19は、ETC車載器10aの他の取付構造を適用した自動二輪車12bの車体前方部を拡大した一部省略概略側面図であり、図20は、図19に示す自動二輪車12bの一部省略概略平面図である。また、図21Aは、図19に示す自動二輪車12bの一部省略概略斜視図であり、図21Bは、図21Aに示す状態から取付機構100のカバー部材102を開いた状態を示す一部省略概略斜視図である。なお、図19〜図22において、図1〜図18に示される参照符号と同一の参照符号は、同一又は同様な構成を示し、このため同一又は同様な機能及び効果を奏するものとして詳細な説明を省略し、以下同様とする。
【0074】
この場合のETC車載器10aの取付構造は、いわゆるフルカウリングタイプの鞍乗型車両である自動二輪車12bを例示して説明する。この自動二輪車12bでは、上記した自動二輪車12aの場合と比べて、取付機構54の代わりに取付機構100を用い、該取付機構100(本体部42)を車体を覆うフロントカウルの面上に固定する点が相違する。
【0075】
図19及び図20に示すように、自動二輪車12bは、車体前後方向にかけてカウルで覆われることでフルカウリングタイプとして構成されている。該カウルは、ヘッドパイプ14の前部から上部までを覆うと共に、ハンドル24の下方から燃料タンク33の下側へと延在するフロントカウル106と、該フロントカウル106から車体後方側へと延在する図示しないロアカウルやリアカウル等とから構成されている。フロントカウル106の前方側にはヘッドライト108L、108Rが配置され、その下方にウインカ28L、28Rが配置されている。また、ヘッドライト108L、108Rの上部にはウインドスクリーン110が設けられ、該ウインドスクリーン110の左右両側にはサイドミラー32L、32Rが配置されている。
【0076】
このような自動二輪車12bでは、図20及び図21Aに示すように、逆L字状、すなわち、ハンドル24の下方にて車幅方向内側から外側に延在した後、車体下方に向けて屈曲されたフロントカウル106の上面106aに対してETC車載器10aの本体部42を収納する取付機構100が設置される。また、アンテナ44は、メータセット31の前方にあるウインドスクリーン110や、その背面に設けられたグリル111に設置されている。一方、インジケータ部46は、前記グリル111の上面に取り付けられる。
【0077】
図22は、本実施形態に係るETC車載器10aの本体部42と取付機構100とを示す分解斜視図である。
【0078】
取付機構100は、車体(フロントカウル106の上面106a)に固定されるベースブラケット112と、該ベースブラケット112に着脱自在に取り付けられるカバー部材102とを有し、ETC車載器10aを構成する本体部42の収納構造等については取付機構54と略同様である。
【0079】
ベースブラケット112は、それぞれ車体前方側、車体後方側及び車体左側に突出する3つの取付部116a〜116cを有し、これら取付部116a〜116cには、ボルト64が挿通される取付孔118a〜118cが形成されている。そこで、このようなベースブラケット112に着脱されるカバー部材102には、前記取付部116a〜116cを覆うことで外部から隠すボルトカバー部120a〜120cが形成されている。なお、本実施形態の場合、ボルトカバー部120a〜120cは、各取付部116a〜116cに対応してそれぞれ個別に形成されているが、例えば、各取付部116a〜116cをまとめて覆う大きな形状とすることもできる。
【0080】
取付機構100は、図21Aに示すように、フロントカウル106の上面106aにベースブラケット112の底部が載置され、その長手方向(フック68側からフック部材77側に向かう方向)が車体前後方向に沿うように、さらに、フック部材77がフロントカウル106の上面106aから、例えば、車体内側方向(車体右側方向)に外れるように固定される。また、図21A及び図21Bから諒解されるように、本体部42の蓋体90の開閉方向と、カバー部材102のベースブラケット112に対する取付方向とが略90°異なる向きに設定されている。なお、信号ケーブル48、50及び電源ケーブル52は、いずれも取付機構100の車体後方側の面から後方に延びた後、フロントカウル106の内側に引き込まれ、所定の箇所まで引き回されている(図21B参照)。
【0081】
さらに、図19及び図20から諒解されるように、ETC車載器10aを構成する本体部42が収容される取付機構100は、フロントフォーク16Lの外側であり(当然、フロントフォーク16Rの外側でもよい)且つハンドル24の下方である位置で車体に固定されており、さらに、本体部42の少なくとも一部が、平面視で前記ハンドル24の回転軌跡範囲内に属している。
【0082】
従って、例えば、ETCゲート36を通過する際、該ETCゲート36の送受信装置38と、自動二輪車12bのETC車載器10aとの間で通信エラーを生じた場合であっても、運転者は、シートに着座した状態のまま、容易に取付機構100のカバー部材102を開いた後、ロック機構130を解除して蓋体90を開き、本体部42からカード40を取り外すことができる。すなわち、取付機構100(本体部42)が設置された位置が、シートに着座した運転者の手が容易に届く範囲に設定されると共に、ロックボルト134を運転者が容易に操作できる方向に設置しているため、本体部42の取扱容易性を大幅に向上させることができる。なお、自動二輪車12bでは、例えば、本体部42のバックル94側がシートに着座する運転者側となるように、図21B等の設置状態から略90°回転させて設置すると、バックル94及びロックボルト134が運転者側を向くことになるため、本体部42の取扱容易性を一層向上させることが可能となる。
【0083】
また、取付機構100は、車体前後方向に延在したフロントカウル106の上面106aに対して、その長手方向が沿った状態で固定されている一方、カバー部材102の開閉方向が車幅方向外側(車体左側方向)を指向している。このため、カバー部材102をベースブラケット112から開いた後、本体部42を開閉する際には、ハンドル24の下方外側スペースから容易に手を入れることができ、当該本体部42の取扱容易性を一層向上させることができる。この場合、本体部42を収容した取付機構100は、自動二輪車12bのウインドスクリーン110の後部でありハンドル24の下方に設置されることから、特に走行中の防水効果を向上させることができる。さらに、自動二輪車12aの場合と同様に、この自動二輪車12bの場合であっても、ETC車載器10aを構成する本体部42を当該自動二輪車12bの外部に露出した状態で設置することはもちろん可能である。
【0084】
また、取付機構100が、フロントカウル106の上面106aに対して、その長手方向が沿った状態で固定されていることから、該ETC車載器10a(取付機構100)は、自動二輪車12bの車幅方向に突出することがなく、しかも、その扁平な形状のため、上面106aから上方に向けてもほとんど突出することがない。このため、取付機構100(本体部42)が外観上目立つことがなく、自動二輪車12bの外観を損なうことがない反面、当該取付機構100(本体部42)が外部から完全に見えなくなることもないため、運転者は周囲に対してETC車載器10aを搭載していることをアピールすることができる。
【0085】
当然、この場合の自動二輪車12bにおいても、本体部42がハンドル24の周囲のスペースを塞ぐことがないため、他の電子機器等、例えば、ナビゲーションシステムやオーディオのスピーカの装着を阻害することがない。
【0086】
次に、本発明の第2の実施形態に係る車載通信装置としてのETC車載器10bについて説明する。図23は、本第2の実施形態に係るETC車載器10bを搭載した自動二輪車12cの車両前方部を拡大した一部省略概略斜視図であり、図24は、図23に示す自動二輪車12cの一部省略概略側面図である。
【0087】
図23及び図24に示すように、自動二輪車12cには、車体を構成する図示しない車体フレームの前方に軸支されたヘッドパイプ214を介して一対のフロントフォーク216L、216Rが支承され、その上部にはハンドル218が操舵可能に支承されており、該ハンドル218にはスイッチ部219が設けられている。前記ヘッドパイプ214の前方には、ヘッドライト220が配設され、該ヘッドライト220の上方には各種メータ類が配置されたメータセット222が配設されている。また、前記ハンドル218の両端側のグリップの内側には、それぞれバックミラー224L、224Rが取り付けられている。
【0088】
前記ハンドル218において、車幅方向中心軸に対して車体右側であり且つバックミラー224Rよりも前記中心軸側には、本実施形態に係るETC車載器10bがブラケット226を介して固定されている。該ブラケット226は、例えば、その取付部226aが、ハンドル218のパイプ部に周回されてボルト等により固定されている。なお、図23中の参照符号227は、燃料タンクを示している。
【0089】
従って、自動二輪車12cは、ETC車載器10bを介して外部の通信局、例えば、有料道路の料金所を通過する際に該料金所に設けられたETCゲート36の送受信装置38と自動的に交信することができる。
【0090】
図25は、本第2の実施形態に係るETC車載器10bの概略斜視図であり、図26は、図25に示すETC車載器10bの蓋体238を開いた状態での概略斜視図である。また、図27は、図25に示すETC車載器10bを底面側から見た概略斜視図であり、図28は、図25に示すETC車載器10bのカード挿入方向(車体前後方向)に沿う概略断面図である。
【0091】
図25及び図26に示すように、本実施形態に係るETC車載器10bは、その外観を構成する中空箱状のケース230を有し、該ケース230の車体後方側の側面である前面230aには、カード40の短尺方向(幅方向)の形状に対応すると共に、中央部に略楕円状の拡幅部が形成されたカード挿入口234が開口している。ケース230及びその内部空間の形状は、縦長の矩形状であり、その長手方向が車体前後方向に沿うように構成されており、当然、カード40も長手方向が車体前後方向に沿うようにカード挿入口234からケース230内部へと挿入される。
【0092】
ケース230の前面230a(カード挿入口234)は、一対のヒンジ236、236を介してケース230に揺動自在に設けられた蓋体238により開閉される。ヒンジ236は、蓋体238側からケース230側に突出した凸部236aが、ケース230の側面に設けられた浅い凹部236bに係合することで蓋体238を揺動自在に支承している(図26参照)。
【0093】
蓋体238は、該蓋体238側に設けられたフック部材237と、ケース230の裏面側に設けられた略半円柱状の突起部239との係合作用によって、閉じ位置で固定され(図27参照)、ケース230に密着保持される。すなわち、フック部材237と突起部239とは、蓋体238を閉塞状態に固定する保持体(保持機構)として機能する。このような保持体としては、蓋体238を開閉可能であり且つ閉じ位置で固定可能なものであればよく、例えば、突起部239の代わりにマグネットを用い、フック部材237の代わりに金属製のフック部材を用いた構成等が例示できる。また、前記保持体は、蓋体238の両側部とケース230の車体幅方向両側面とを固定する構造とすることもできる。
【0094】
さらに、蓋体238とケース230との間には、蓋体238を閉じ位置でロックするロック機構130が設けられている。図25及び図26から諒解されるように、本実施形態に係るETC車載器10bでは、ロック機構130を構成するロックボルト134が蓋体238側に設けられる一方、ナット132がケース230内に設けられることにより、蓋体238をロック可能である。
【0095】
図27に示すように、ケース230の裏面(底面)には当該ETC車載器10bをブラケット226に固定するためのボルトが締結されるインサートナット240が対角線上に2個埋設されている。
【0096】
このようなETC車載器10bでは、図28に示すように、ケース230の内部空間が、その高さ(厚さ)方向の略中央位置に設けられた仕切り板(仕切り部材)242により上下2段に仕切られている。
【0097】
前記仕切り板242で仕切られた上段側は、実質的に外部から遮断され防水された密閉空間243として構成されており、該密閉空間243には、CPU244、アンテナ246及びコネクタ248等が配設された電子回路(プリント基板、回路基板)250が配置されている。なお、図32に示すように、電子回路250は、ブッシュ249a、249bを介して、ボルト250a及びナット250bにより前記仕切り板242上に固定されている。前記ブッシュ249a、249bは、例えば、ゲル材料やゴム材料からなる緩衝部材(弾性部材)であり、ケース230(仕切り板242)を介して電子回路250へと伝達される自動二輪車12cからの振動を減衰する機能を有する。また、電子回路250の図示しないコンデンサやコイル等は、例えば、ボンディングにより補強すれば、ETC車載器10bの耐振動性を一層向上させることができる。
【0098】
前記CPU244は、ETC車載器10bの各種制御を行う演算指令部である。前記アンテナ246は、ETC車載器10bとETCゲート36の送受信装置38との間での情報の送受信を行う通信アンテナである。アンテナ246は、例えば、電子回路250上にエッチングで形成されたパターンアンテナであって、ETC車載器10bが水平方向に配置された際、車体前方上方斜め方向(図28中の矢印A方向)への指向性が電気的又は物理的に付与されており、その放射角θは20°程度とされている。前記コネクタ248は、電子回路250と、カード40の端子であるICチップ40aとを電気的に接続するための接点として機能するものであり、電子回路250の裏面側から突出するばね接点248aが、仕切り板242に形成された孔部を介して下段側へと突出している。この場合、カード40は、記録された使用者の各種情報等を読み出し可能である一方、ETC車載器10bを介してETCゲート36の送受信装置38から受信した料金所通過情報等の書き込みが可能なICチップ40aを搭載した、いわゆるICカードである(図26参照)。
【0099】
この場合、ロック機構130を構成するナット132も密閉空間243内に配置されており、従って、ナット132の後端側はシールキャップ138によって防水状態で封止されている。
【0100】
一方、図28に示すように、ケース230内において、仕切り板242にて仕切られた下段側は、前記カード挿入口234を介して外部に連通する一部開放空間(開放空間、半密閉空間)252として構成されている。換言すれば、一部開放空間252は、カード40が挿脱されるカード挿脱空間であり、当該一部開放空間252内に配置される各種部品は、前記カード挿入口234から雨水等が浸入することを想定して防水仕様とされている。
【0101】
このような一部開放空間252には、カード40が挿入された際に該カード40をケース230内(一部開放空間252内)で保持すると共に、イジェクトボタン256の操作に連動して当該カード40をカード挿入口234から突出させるカード保持取出機構258と、カード挿入口234を介して挿入又は排出されるカード40の移動(スライド)動作を案内するカードガイド260が設けられている。このカードガイド260は、仕切り板242の下面側に固定され、カード40の幅方向寸法に対応して対向配置された一対のL字状部材により構成されている(図29参照)。
【0102】
さらに、一部開放空間252には、ETCゲート36の通過情報や通過履歴等を運転者に対してアナウンスする防水スピーカ262と、カード挿入口234から浸入した雨水等を当該一部開放空間252内からケース230外部へと排出する排水口(水抜部)264とが設けられている。
【0103】
前記防水スピーカ262は、一部開放空間252内に設置されることから防水仕様とされており、仕切り板242に形成された図示しない孔部を介して図示しないスピーカケーブルにより電子回路250に接続されている。前記スピーカケーブルが通過する仕切り板242の前記孔部の周縁部も防水構造とされており、上段側の密閉空間243内への浸水を防止している。同様に、コネクタ248から一部開放空間252内に突出するばね接点248aもその通過する仕切り板242に設けた孔部を含めて該一部開放空間252側は全て防水構造とされている。また、図27に示すように、防水スピーカ262に対応したケース230の底面には複数の小孔266が設けられている。なお、防水スピーカ262の設置位置によっては、前記小孔266の代わりに、ケース230の車体幅方向の側面に小孔266a(図25中の破線参照)を形成することもできる。この場合、防水スピーカ262はケース230の車体幅方向の側面内壁に固定されるため、一部開放空間252内が浸水した際にも、防水スピーカ262が完全に水没することを有効に回避することができる。
【0104】
なお、蓋体238やケース230の前面230aの形状によっては、ロック機構130を構成するナット132を一部開放空間252内に配置することも可能である。この場合には、ナット132の後端側にシールキャップ138を特別に配設する必要がないため、ロック機構130の構造を簡素化することができる。
【0105】
図27及び図28に示すように、排水口264は、例えば、ケース230の車体前方側の両端部に2個設けられ、ケース230の底面に開口している。このような排水口264は、ケース230の底面に突設されて車体前方側が閉塞される一方、車体後方側にのみ開口した排水カバー268により覆われており、これにより、排水口264からケース230内への雨水等の逆流を防止している。
【0106】
さらに、ケース230の底面には、ETC車載器10bの電源ケーブル269をケース230外に引き出すための開口270が設けられている。すなわち、電源ケーブル269は、電子回路250から仕切り板242に形成された図示しない孔部を介して一部開放空間252内を通過した後、開口270からケース230外部へと引き出されている。この場合、開口270からは、ケース230の複数の側面側へと連なる複数の溝部272a〜272cが連続して形成されている。すなわち、自動二輪車12cにおけるETC車載器10bの取付位置等に応じて、溝部272a〜272cのいずれかを選択することで、電源ケーブル269の引き出し位置を適宜変更することができ、ETC車載器10bの設置自由度が向上する。
【0107】
図26に戻り、ケース230の前面230aにおいて、カード挿入口234の上段側である密閉空間243に対応する位置の両端側には、電子回路250に配設された一対のLEDランプ274L、274R(図28及び図29参照)の光をケース230外に透過するための一対の窓部276L、276Rが設けられている。LEDランプ274L、274Rは、例えば、一方(図29で左側)のLEDランプ274Lが赤色、他方(図29で右側)のLEDランプ274Rが緑色に発光するものであり、ETC車載器10bの動作状態を運転者に通知するものである。
【0108】
一対の窓部276L及び276Rの間には、例えば、ゴムボタンで形成された音量ボタン278及び履歴ボタン280が設けられている。これら音量ボタン278及び履歴ボタン280は、電子回路250に設けられた音量スイッチ279及び履歴スイッチ281に連結されており(図29参照)、密閉空間243の気密状態を保持した状態で音量スイッチ279及び履歴スイッチ281をケース230の外部から操作するものである。
【0109】
さらに、自動二輪車12cの走行中等において、蓋体238を閉じた状態であってもLEDランプ274L、274Rの点灯状態を運転者が確実に視認できるよう、蓋体238の窓部276L及び276Rに対応する位置には、蓋側窓部282L、282Rが設けられている。この場合、ETC車載器10bでは、運転者の体格や着座姿勢等に依存することなく、運転者がLEDランプ274L及び274Rの点灯状態を常時確実に視認可能とするため、窓部276L、276R、及び、蓋側窓部282L、282Rの少なくとも一方は、凸状又は凹状な曲面を有する無指向性のレンズとされている。
【0110】
図26に示すように、蓋体238の裏面(前面230a側)には、カード挿入口234の周囲を縁取る横長矩形の枠状からなるパッキン284が固着されている。パッキン284は、蓋体238が閉じられた際に、カード挿入口234への雨水等の浸入を防止するためのシール部材であり、前記拡幅部を含むカード挿入口234と後述するイジェクトボタン256を囲繞するようにして前面230aに密着する。なお、パッキン284は、ケース230の前面230a側に設けてもよく、また、イジェクトボタン256を囲繞せず、前記拡幅部を含むカード挿入口234の外縁を縁取る形状としてもよい。
【0111】
次に、本実施形態に係るETC車載器10bのカード保持取出機構258について説明する。
【0112】
図28〜図31に示すように、カード保持取出機構258は、カード40の挿入方向で後端側(車体後方側)においてカード挿入口234に近接配置されたカードロック機構286と、カード40の挿入方向で先端側(車体前方側)においてばね接点248aに近接配置されたカード圧着機構288とを備える。
【0113】
カードロック機構286は、支持部材290により両端側を支持された回転軸292と、略L字状に形成され、回転軸292を介して図28中の矢印B方向に揺動自在な爪部材294と、該爪部材294の下端側の一面側(車体前方側)に連結されたスプリング296と、該スプリング296の他端側が固着されたスプリング支持部材298とから構成される。
【0114】
前記爪部材294において、スプリング296の他面側にはイジェクトボタン256が連結される。さらに、爪部材294の上端側にはカード40の挿入方向で後端側(車体後方側)に湾曲し且つ傾斜した湾曲傾斜面294aと、該湾曲傾斜面294aから車体後方側に連続した切欠状のロック面294bとが設けられる。
【0115】
前記スプリング296は、爪部材294の下端側をカード40の挿入方向で後端側(車体後方側)に付勢するものであり、すなわち、爪部材294は、スプリング296の付勢力によって回転軸292を中心として、矢印B方向で上向きに付勢されている。
【0116】
一方、カード圧着機構288は、支持部材300により両端側を支持された回転軸302と、前記爪部材294よりも幅広に形成され(図29及び図30参照)、該回転軸302を介して図28中の矢印C方向に揺動自在なカム部材304と、該カム部材304の一端面(車体前方側)に連結されたスプリング306と、ケース230の前面230aと対向した裏面側(車体前方側)に設けられ、スプリング306の他端側が固着されたスプリング支持部材308とから構成される。前記支持部材300には、スプリング306が通過する孔部300aが形成されている。
【0117】
前記カム部材304において、スプリング306が連結された一面側と反対側のカード挿入方向で後端側(車体後方側)の上面(仕切り板242側)には、当該カム部材304が矢印C方向で上向きに揺動した際、ケース230内に挿入されたカード40に対して平行な面で当接する圧着面304aが形成されている(図30及び図31参照)。該圧着面304aにはクッション部材310が固着されている(図30参照)。さらに、カム部材304のスプリング306が連結された面の反対側には、カード40の先端部が当接する停止面304bが形成されている。該停止面304bと前記ロック面294bとの間は、車体前後方向に沿う方向の直線距離で、カード40の長手方向長さと同一若しくは多少長く設定される。
【0118】
前記スプリング306は、カム部材304をカード40の挿入方向で後端側(車体後方側)に付勢するものであり、すなわち、カム部材304は、スプリング306の付勢力によって回転軸302を中心として、矢印C方向で下向きに付勢される。
【0119】
次に、基本的には以上のように構成される本実施形態に係るETC車載器10bの動作について説明する。
【0120】
先ず、自動二輪車12cが停車した状態で、運転者が解除キー148を用いてロック機構130を解除すると共に、蓋体238を開き、カード40を所定の向きでカード挿入口234からケース230内へと挿入する(図28中の矢印D参照)。そうすると、カード40はカードガイド260にガイドされながら、次第にケース230の奥部まで挿入されることになるが、この際、カードロック機構286では、カード40が爪部材294の湾曲傾斜面294aに沿って挿入されることから、該湾曲傾斜面294aが矢印B方向で下向きに押圧される。これにより、爪部材294は、スプリング296の付勢力に抗して回転軸292を中心として矢印B方向で下向きに揺動される。このため、カード40は、爪部材294によりその挿入が規制されることがなく、ケース230内へと円滑に挿入される。この際、カード挿入口234の中央部には前記拡幅部が形成されているため、運転者は一層容易にカード40をケース230内へと押し込むことができる。
【0121】
そして、図31に示すように、カード40がケース230内に完全に挿入されると、カード40の先端部が、カード圧着機構288を構成するカム部材304の停止面304bを押圧する。これにより、カム部材304が、回転軸302を中心としてスプリング306の付勢力に抗して矢印C方向で上向きに揺動される。このため、カード40の裏面側(下面側)が、前記揺動したカム部材304の圧着面304aにより上方に向けて押圧され、表面側(上面側)に設けられたICチップ40aがコネクタ248のばね接点248aに圧着される。
【0122】
同時に、カード40が爪部材294の湾曲傾斜面294aを乗り越えるため、該カード40の後端部が、爪部材294のロック面294bに当接する。換言すれば、爪部材294のロック面294bが、カード40の後端部に係合する。
【0123】
従って、カード40は、爪部材294のロック面294bとカム部材304の停止面304bとの間に確実に保持される。この際、ロック面294b及び停止面304bは、それぞれスプリング296及びスプリング306によって、互いにカード40をその前後側から挟み込む方向に付勢されている。これにより、カード40を、その挿入方向における前後方向端部で弾性的に把持することができ、自動二輪車12cの走行中の振動等でのずれを防止して、ケース230内にて確実に且つ安定して保持しておくことができる。
【0124】
しかも、このような状態では、カム部材304は、圧着面304aがクッション部材310を介してカード40のICチップ40a部分を裏面側からばね接点248aに対して圧着する姿勢に保持されている。このため、カード40は、ICチップ40a部分を中心としてばね接点248a側に確実に圧着されるため、自動二輪車12cの振動等で、これらICチップ40aとばね接点248aとが接触不良を生じて、カード40の読み取り不良を生じることも確実に防止することができる。
【0125】
ところで、このようなICチップ40aとばね接点248aとの接触性を一層向上させるため、ETC車載器10bでは、ケース230やカードガイド260を、図28中の矢印F方向や図29中の矢印G方向に、意図的に多少撓ませておくこともできる。そうすると、ケース230やカードガイド260の前記した撓み形状により、ケース230内に挿入されたカード40も同様に撓むことになり、結果として、ICチップ40aが配設された表面側(上面側)が上方のばね接点248a側に突出する。これにより、ICチップ40aとばね接点248aとの接触性を一層向上させることができる。なお、図28及び図29では、理解の容易のため、カードガイド260の撓み量を強調して図示している。
【0126】
なお、ETC車載器10bでは、図33の(1)に示すように、カード40がケース230内に正常に挿入された状態では、赤色のLEDランプ274Lが消灯すると共に、緑色のLEDランプ274Rが点灯する。また、図33の(2)に示すように、カード40が未挿入の状態では、赤色のLEDランプ274Lが点灯すると共に、緑色のLEDランプ274Rが消灯する。さらに、図33の(3)に示すように、ETC車載器10b自体の異常等、機器異常を生じている場合には、赤色のLEDランプ274Lが点滅すると共に、緑色のLEDランプ274Rが消灯する。これにより、運転者はカード40の正常な挿入やETC車載器10bの動作状態等を確実に把握することができる。
【0127】
そこで、ケース230内にカード40が正常に挿入された後、先ず、蓋体238を該蓋体238の保持体であるフック部材237と突起部239との係合作用によってケース230の前面230aに対して密着保持させる。次いで、例えば、イグニッションキーに連結された解除キー148によりロックボルト134を回転させることにより、蓋体238をケース230に対して確実にロックする。その後、自動二輪車12cがETCゲート36を通過する際には、ETC車載器10bは、カード40に記録された情報を読み出し、例えば、走行した有料道路の区間に関する情報、車種及びカード会社等の情報と共にこれらの情報をETCゲート36の送受信装置38にアンテナ246を介して通知する。これにより、送受信装置38では当該自動二輪車12cの通行料金を判断し、所定のカード会社に走行料金の請求を行うための所定の処理を行うことになる。この際、ETC車載器10bは、例えば、ヘルメットを着用した状態であっても十分に聞き取り可能な程度の大音量で、防水スピーカ262を介して通知音(ビープ音等)を発生させる。このため、運転者は車両の運転に集中した状態で、ETCゲート36の正常な通過を認識することができる。
【0128】
さらに、ETCゲート36の手前や道路途中に、ETCゲート36の設置を通知する予告ゲート(予告アンテナ)が設置されている場合には、当該予告ゲート通過時にも、例えば、カード40が未挿入である旨の警告音等が防水スピーカ262を介して運転者に通知される。なお、従来、自動二輪車に対応するETC車載器では、その動作状態を音声等で通知又は警告する機能を有していなかったが、本実施形態に係るETC車載器10bではケース230内に防水スピーカ262を設けたことにより、運転者は一層容易に当該ETC車載器10bの動作状態を把握することが可能となっている。
【0129】
次いで、ETCゲート36を通過して有料道路外に出た自動二輪車12cを停車させて、解除キー148によりロック機構130を解除して蓋体238を開き、例えば、過去の有料道路の走行履歴を確認する際には、ケース230の前面230aに設けられた履歴ボタン280を押す。すなわち、履歴ボタン280を押す毎に、その走行履歴や料金等が防水スピーカ262を介して音声によって通知される。このような音声の音量は、音量ボタン278を押すことにより容易に変更可能である。本実施形態に係るETC車載器10bの場合、音量ボタン278を押すごとに、音量が5段階にシーケンシャル制御され所望の音量に設定可能である。なお、上記したETCゲート36を通過した際の通知音は、走行中の運転者が確実に聞き取れた方が好ましいことから、例えば、音量ボタン278により防水スピーカ262の音量が小音に設定されている状態であっても、この通知音だけは、最大音量で通知するような制御を行うことも可能である。
【0130】
ETC車載器10bの使用が終了し、カード40をケース230内から抜き取る際には、ロック機構130を解除して蓋体238を開き、イジェクトボタン256を押す。そうすると、カードロック機構286を構成する爪部材294が、スプリング296の付勢力に抗して回転軸292を中心として矢印B方向で下向きに揺動されるため、ロック面294bによるカード40のロックが解除される(図28参照)。これにより、カード圧着機構288を構成するカム部材304が、スプリング306の付勢力によって回転軸302を中心として矢印C方向で下向きに反射的に揺動する。従って、カード40は、カム部材304の圧着面304aによる圧着作用が解除されると同時に、当該カム部材304の停止面304bからの反動により、カード挿入口234側(図28の矢印E方向)に所定距離排出(突出)される。従って、運転者はカード40をETC車載器10bから容易に抜き取ることができる。
【0131】
以上のように、本実施形態に係るETC車載器10bによれば、ケース230内に挿脱されるカード40のICチップ40aと電気的に接続されるばね接点248aを有するコネクタ248やCPU244等が配設された電子回路250と、外部の通信局、例えば、ETCゲート36の送受信装置38と交信を行うアンテナ246とをケース230内に一体的に内蔵している。すなわち、ETC車載器10bでは、本体部とアンテナ部とを繋ぐ通信ケーブルを特別に設ける必要がない。従って、ハンドル操舵等によって前記通信ケーブルが繰り返しの屈曲を受けて破損し、通信不良や機能停止、エラー発生等を生じることを有効に回避することができる。
【0132】
さらに、カード40が挿脱されるカード挿入口234は、蓋体238により開閉可能とされ、当該蓋体238が閉じ位置とされた際には、パッキン284によりカード挿入口234の防水性が確保される。しかも、当該蓋体238は、保持体として機能するフック部材237と突起部239との係合作用によってケース230の前面230aに対して密着保持させることができ、さらに、ロック機構130によって確実にロックすることができる。このようなケース230の前面230a及びカード挿入口234は、自動二輪車12cの走行方向後方側(シートに着座した運転者側)を指向しており、また、ロック機構130を構成するロックボルト134もその頭部134aが運転者側に向いた状態とされている。このため、ロック機構130のロック・アンロックや蓋体238の開閉及びカード40の挿脱等の各操作が容易であり、走行中の雨水の浸水を一層確実に防止することができるという効果も得られる。
【0133】
さらに、ETC車載器10bにおいても、ETC車載器10aと同様なロック機構130を設けているため、仮にETC車載器10bの壁部140内に設けられたフランジ142が破壊された場合等であっても、フック部材237と突起部239との係合作用によって蓋体238を閉じ位置で保持することが可能であり、また、蓋体238をヒンジ236から取り外して交換するだけで容易に修理・交換を行うことができる。当然、図10Bに破線で示される壁部140と同様に、壁部140やロックボルト134のみを蓋体238に形成した孔部に圧入した構成とし、当該壁部140等のみを取り外し・交換可能に構成してもよい。
【0134】
また、ETC車載器10bでは、ケース230内が仕切り板242により、電子回路250等が配置される密閉空間243と、カード挿入口234に連通しカード40が挿脱される一部開放空間252とに仕切られている。このため、雨天時等において、カード40を挿脱する際にカード挿入口234から雨水等がケース230内に浸入したとしても、その雨水は上段側の密閉空間243に流入することはなく、当該一部開放空間252から排水口264を介してケース230外へと排出することができる。このため、CPU244等が配設された電子回路250が雨水により故障することを防止することができる。
【0135】
さらに、ETC車載器10bでは、上記のように、カード40が挿脱される本体部と、外部と交信するアンテナ246とを一体にケース230内に収納すると共に、蓋体238や仕切り板242により、電子回路250等の防水性を確保している。このため、ETC車載器10bは、自動二輪車12cの外部、例えば、ハンドル218等に容易に固定することができ、収納スペースの小さな車両等であっても容易に取り付け可能である。そこで、例えば、図34に示すように、ブラケット312を用いることにより、自動二輪車12cのフロントフォーク216R又は216Lの側部に固定することもでき、この場合には、蓋体238が車体後方側となるようにすればよく、アンテナ246の指向性に合わせて先端側を上方内側に向けてもよい。このように、ETC車載器10bは、ブラケットのみを交換することで、車両各部、さらには、タイプの異なるほとんどの車種に対しても容易に取り付け可能であり、高い汎用性を得ることができる。
【0136】
なお、自動二輪車12cは、図23に示すように、メータセット222の前方にウインドシールドが設けられていない車種である。このため、図24に示すように、ETC車載器10bは、その長手方向が略水平となるように設置されると、走行中の雨水等のカード挿入口234等からのケース230内への浸入を有効に防止することができるため好ましい。
【0137】
一方、図35に示すように、メータセット222の前方にウインドシールド311が設けられた自動二輪車12dにおいては、該ウインドシールド311によってある程度の雨水等のケース230内への浸入が防止できるため、ブラケット226の角度を調整し、ETC車載器10bに内蔵されたアンテナ246がETCゲート36の送受信装置38側をより良好に指向するように設置することもできる。
【0138】
なお、ETC車載器10bでは、蓋体238をヒンジ236により開閉するように構成したが、例えば、図36に示すように、ケース230の上面側に略一体となる、ポリプロピレン(PP)等の樹脂材料によるヒンジ314を用いた蓋体238aを備えたETC車載器10cとすることもできる。
【0139】
また、ETC車載器10b及び10cにおいても、ロック機構130の構成部品として、解除キー148及びロックボルト134に代えて、解除キー152及びロックボルト154(図16参照)を用いることができることは言うまでもない。
【0140】
以上、上記各実施形態により本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは当然可能である。
【0141】
上記各実施形態では、ケース88、230側にナット132を設け、蓋体90、238側にロックボルト134(154)を設けるものとしたが、これに限らず、ケース88、230側に設けられる構成要素がロック機構130の使用時に回転動作せず、揺動体側、すなわち、蓋体90、238側に設けられる構成要素が回転動作してロック・アンロックを行う構造であればよく相互の雄雌の関係を逆にすることもでき、例えば、ナット132とロックボルト134(154)の配置関係を逆にすることもできる。なお、このような場合には、例えば、ナット132に代えて、頭部を有するいわゆる袋ナットを用い、該頭部に操作用溝部134cを形成したロックナットとする一方、ロックボルト134に代えて、通常のボルトをケース側に埋設することも可能である。
【0142】
また、上記各実施形態では、いわゆるネイキッドタイプやフルカウリングタイプの自動二輪車を例示して本発明を説明したが、本発明に係る車載通信装置は、他の種別の自動二輪車(スクータタイプやオフロードタイプ等)にも搭載可能であることは勿論である。
【0143】
さらに、上記第1の実施形態に係るETC車載器10aは、アンテナ44を本体部42に一体に構成した、いわゆるアンテナ一体型としてもよく、同様に、ETC車載器10b、10cについても、アンテナをケース230から別体として構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車載通信装置としてのETC車載器を適用した自動二輪車の車体前方部を拡大した一部省略概略斜視図である。
【図2】図1に示す自動二輪車の一部省略概略側面図である。
【図3】図1に示す自動二輪車の斜め上方からの一部省略概略正面図である。
【図4】ハンドルとETC車載器の本体部との位置関係を説明するための模式平面図である。
【図5】第1の実施形態に係るETC車載器の本体部と取付機構とを示す分解斜視図である。
【図6】図6Aは、図5に示すカバー部材の平面図であり、図6Bは、図5に示すカバー部材の底面図である。
【図7】第1の実施形態に係るETC車載器を構成する本体部の概略斜視図である。
【図8】図7に示す本体部の蓋体を開いた状態での概略平面図である。
【図9】図7に示すETC車載器のバックルを取り外した状態を示す一部分解概略斜視図である。
【図10】図10Aは、図7中のX−X線に沿う一部省略概略断面図であり、図10Bは、図10Aに示す状態からバックルを開いた状態での一部省略概略断面図である。
【図11】図10中のXI矢視方向からのロックボルト及び壁部を示す概略正面図である。
【図12】図12Aは、図1に示す自動二輪車に固定されたETC車載器を示す一部省略概略側面図であり、図12Bは、図12Aに示す状態からETC車載器の本体部の蓋体を開いた状態を示す一部省略概略側面図である。
【図13】第1の実施形態に係るETC車載器の取付構造の変形例を示す模式平面図である。
【図14】図14Aは、ロック機構の取付位置の第1の変形例を示す概略斜視図であり、図14Bは、ロック機構の取付位置の第2の変形例を示す概略斜視図であり、図14Cは、ロック機構の取付位置の第3の変形例を示す概略斜視図である。
【図15】図7に示すETC車載器のバックルの他の構造を示す一部分解概略斜視図である。
【図16】解除キー及びこれに対応するロックボルトの変形例を示す概略分解斜視図である。
【図17】図16に示す解除キー及びロックボルトを組み立てた状態での概略斜視図である。
【図18】図18Aは、図16に示す解除キーを構成する第1カムの凸部の第1の変形例を示す一部省略平面図であり、図18Bは、図16に示す解除キーを構成する第1カムの凸部の第2の変形例を示す一部省略平面図であり、図18Cは、図16に示す解除キーを構成する第1カムの凸部の第3の変形例を示す一部省略平面図であり、図18Dは、図16に示す解除キーを構成する第1カムの凸部の第4の変形例を示す一部省略平面図である。
【図19】第1の実施形態に係るETC車載器の他の取付構造を適用した自動二輪車の車体前方部を拡大した一部省略概略側面図である。
【図20】図19に示す自動二輪車の一部省略概略平面図である。
【図21】図21Aは、図19に示す自動二輪車の一部省略概略斜視図であり、図21Bは、図21Aに示す状態から取付機構のカバー部材を開いた状態を示す一部省略概略斜視図である。
【図22】図19に示すETC車載器の本体部と取付機構とを示す分解斜視図である。
【図23】本発明の第2の実施形態に係る車載通信装置としてのETC車載器を搭載した自動二輪車の車両前方部を拡大した一部省略概略斜視図である。
【図24】図23に示す自動二輪車の一部省略概略側面図である。
【図25】第2の実施形態に係るETC車載器の概略斜視図である。
【図26】図25に示すETC車載器の蓋体を開いた状態での概略斜視図である。
【図27】図25に示すETC車載器を底面側から見た概略斜視図である。
【図28】図25に示すETC車載器のカード挿入方向に沿う概略断面図である。
【図29】図28中のXXIX−XXIX線に沿う一部省略概略断面図である。
【図30】図25に示すETC車載器に備えられるカード保持取出機構を説明するための一部省略斜視図である。
【図31】図28に示す状態からカードをケース内へと完全に挿入した状態を示す概略断面図である。
【図32】図25に示すETC車載器に備えられる電子回路の固定構造を説明するための一部省略概略断面図である。
【図33】図25に示すETC車載器に備えられるLEDランプの動作状態を説明するための説明図である。
【図34】第2の実施形態に係るETC車載器の他の取付例を示す一部省略概略側面図である。
【図35】第2の実施形態に係るETC車載器の他の車両への搭載例を示す一部省略概略側面図である。
【図36】第2の実施形態に係るETC車載器の変形例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0145】
10a〜10c…ETC車載器 12a〜12d…自動二輪車
40…認証メモリカード 42…本体部
88、230…ケース 90、238…蓋体
94、150…バックル 130…ロック機構
132…ナット 134、154…ロックボルト
140…壁部 148、152…解除キー
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両と外部の通信局とで無線による交信を行うシステムにおいて車両側に搭載される車載通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路等での料金の自動収受を目的とした自動料金収受システム(ETCシステム:Electronic Toll Collection System)は、従来から主に四輪自動車用として利用拡大が図られてきた。このようなETCシステムに対応するためには、車両側にアンテナ等を備えるETC車載器(車載通信装置)を搭載する必要がある。
【0003】
このようなETC車載器では、認証メモリカード(ETCカード)が収納されるケースのカード挿入口を開閉する蓋体をロックするためのロック機構が設けられていないため、ロック可能な収納スペースに当該ETC車載器を配置する必要があった。
【0004】
例えば、特許文献1には、ETC車載器の本体部とアンテナとを別体に構成し、認証メモリカードが収容される前記本体部をシート下の収納スペース(ヘルメットケース)内に配置する技術的思想が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−92672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、自動二輪車の場合、車種によっては前記のヘルメットケースのような本体部を収納できるスペースがほとんどない場合があり、特にスポーツ型の車種等では顕著である。
【0007】
従って、このような収納スペースの限られた車種では、例えば、ロック機構付きの収納ボックス等を車両の外部に固定して、その中にETC車載器を収容することが考えられるが、料金所等で通信エラー等を生じた際の認証メモリカードの取出性等を考慮した場合には、ETC車載器自体の盗難防止性を高めることにより、当該ETC車載器を車両の外部に露出させた状態でも設置できることが望ましい。
【0008】
本発明は上記従来の課題を考慮してなされたものであり、装置自体の盗難防止性を高めることにより、自動二輪車等の車両の外部に露出させた状態でも取付できる車載通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る車載通信装置は、内部にメモリカードが収容される本体部と、アンテナとを備え、外部の通信局と交信するために車両に固定される車載通信装置であって、前記本体部は、前記メモリカードに電気的に接続されるコネクタが配設された電子回路を収納したケースと、前記ケースに前記メモリカードを着脱する際に開閉される蓋体と、前記蓋体の閉じ位置で該蓋体と前記ケースとの間の防水を確保するシール部材と、前記蓋体の閉じ位置で該蓋体と前記ケースとを密着保持する保持体と、前記蓋体を閉じ位置でロックするロック機構とを備え、前記ロック機構は、前記ケースに設けられたナット又はボルトと、前記蓋体又は前記保持体に設けられ、前記ケースに設けられたナット又はボルトと螺合すると共に、所定のキー形状を有する解除キーにより回転可能に形成されたロックボルト又はロックナットとを有することを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、メモリカードの着脱用の蓋体をロックするロック機構を設けたことにより、当該車載通信装置を、例えば、自動二輪車の外部に露出させた状態で設置することが可能となる。このため、メモリカードの着脱等の取扱容易性を向上させることができ、また、解除キーを用いた簡単な操作で容易に且つ確実に蓋体のロック・アンロックを行うことができるため、メモリカードの盗難防止性を高めることができる。
【0011】
また、前記ロックボルト又は前記ロックナットの頭部の周囲が、前記蓋体又は前記保持体に設けられ且つ前記頭部の側面より高い壁部により囲繞されていると、前記解除キー以外の工具によってロックボルトやロックナットの頭部を直接的に把持して操作することを防止することができ、蓋体を一層確実に且つ強固にロックすることが可能となる。
【0012】
さらに、前記蓋体又は前記保持体の前記ロックボルト又は前記ロックナットを支持する部位の強度が、前記蓋体又は前記保持体の他の部位の強度よりも低いと、ケースに比べて交換が容易な蓋体又は保持体を壊れ易く構成することができ、例えば、不正な操作によってロック機構が破壊された場合であっても、ケースの破損を回避することができ、保持体等の交換のみで簡単に修理を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、メモリカードの着脱用の蓋体をロックするロック機構を設けたことにより、当該車載通信装置を、例えば、自動二輪車の外部に露出させた状態で設置することが可能となる。このため、メモリカードの着脱等の取扱容易性を向上させることができ、また、解除キーを用いた簡単な操作で容易に且つ確実に蓋体のロック・アンロックを行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る車載通信装置について、この車載通信装置の自動二輪車への取付構造を例示して好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車載通信装置としてのETC車載器10aを適用した自動二輪車12aの車体前方部を拡大した一部省略概略斜視図である。また、図2は、図1に示す自動二輪車12aの一部省略概略側面図であり、図3は、図1に示す自動二輪車12aの斜め上方からの一部省略概略正面図である。
【0016】
本第1の実施形態では、いわゆるネイキッドタイプの鞍乗型車両である自動二輪車12aを例示して本発明に係る車載通信装置を説明する。なお、自動二輪車12aにおいて、車体の左右に1つずつ対称的に設けられる機構や構成要素については、左のものの参照符号に「L」を付し、右のものの参照符号に「R」を付すものとする。また、理解を容易にするために、各図面において、着座した運転者から見た方向に従って、車体の左側を示す矢印に「L」、車体の右側を示す矢印に「R」を付すと共に、車体の前方側を示す矢印に「Fr」、車体の後方側を示す矢印に「Rr」を付して説明し、以下同様とする。
【0017】
図1〜図3に示すように、自動二輪車12aには、車体を構成する車体フレーム13の前方に軸支されたヘッドパイプ14を介して一対のフロントフォーク16L、16Rが支承され、該フロントフォーク16L、16Rの下端側で操舵輪である前輪18が支承されている。すなわち、フロントフォーク16L及び16Rは、ヘッドパイプ14の上端側に対応する位置がトップブリッジ20により連結されると共に、ヘッドパイプ14の下端側に対応する位置がアンダーブリッジ22により連結されており、これにより、左右のフロントフォーク16L及び16Rが一体的にヘッドパイプ14により軸支されている。
【0018】
前輪18を操舵するハンドル24は、前記トップブリッジ20の上面側に固定されることにより、フロントフォーク16L、16Rを介して前輪18を操舵可能である。該ハンドル24には、ヘッドパイプ14の前方にステー25L、25Rを介して配設されたヘッドライト26や、該ヘッドライト26の下方に配設されたウインカ28L、28R等の操作を行うためのスイッチ部30L、30Rが設けられている。前記ステー25L、25Rは、フロントフォーク16L、16Rに固定されている。また、ヘッドライト26の上方には各種メータ類が配置されたメータセット31が配設されると共に、前記ハンドル24の両端側のグリップ内側には、それぞれサイドミラー32L、32Rが取り付けられている。なお、図1中の参照符号33は、燃料タンクを示しており、自動二輪車12aにおいて、該燃料タンク33の下方から後方にかけて、図示しないエンジンやシート、後輪等が設けられていることは言うまでもない。
【0019】
このような自動二輪車12aでは、本第1の実施形態に係る車載通信装置としてのETC車載器10aを搭載しており、これにより、該ETC車載器10aを介して外部の通信局、例えば、有料道路の料金所に設けられたETCゲート36の送受信装置38と自動的に交信することができる(図1参照)。
【0020】
そこで、次に、本第1の実施形態に係るETC車載器10a及びその取付構造について説明する。なお、図5等では、自動二輪車12aを図示していないが、車体の左側を示す矢印L等は、ETC車載器10aが自動二輪車12aに取り付けられた状態での方向を示すものであり、以下同様とする。
【0021】
ETC車載器10aは、各種情報が記録された認証メモリカード(ETCカード、メモリカード)40(以下、カード40ともいう)が収容されるカードリーダ部である本体部42と、ETCゲート36の送受信装置38と情報の送受信を行うアンテナ44と、ETC車載器10aの動作状態をランプの点灯等により表示するインジケータ部46とから構成されている。本体部42と、アンテナ44及びインジケータ部46とは、それぞれ信号ケーブル48及び50を介して電気的に接続され、さらに、本体部42は電源ケーブル52を介して自動二輪車12aに搭載された図示しないバッテリに電気的に接続されている。この場合、カード40は、例えば、記録された使用者の各種情報等を読み出し可能である一方、ETC車載器10aを介してETCゲート36の送受信装置38から受信した料金所通過情報等の書き込みが可能なICチップを搭載した、いわゆるICカードで構成される。インジケータ部46は、例えば、赤色LEDランプ及び緑色LEDランプの点灯、消灯及び点滅により、ETC車載器10aの動作状態を運転者に通知するものである(図33参照)。
【0022】
図1〜図3から諒解されるように、本第1の実施形態に係るETC車載器10aでは、本体部42が、フロントフォーク16Rの外側(車幅方向外側)であり且つハンドル24の下方である位置、より具体的には、車体上下方向においてトップブリッジ20(ハンドル24)とアンダーブリッジ22との間となる位置で、前記フロントフォーク16Rに沿って車体に固定された取付機構54を介して設置されている。この場合、本体部42(取付機構54)の少なくとも一部は、図4に示す平面視で前記ハンドル24の回転軌跡範囲内に含まれる位置に設定されている。すなわち、本体部42(取付機構54)は、シートに着座した運転者の手が容易に届く範囲内に設置されていることになる。
【0023】
また、本体部42(取付機構54)がトップブリッジ20とアンダーブリッジ22との間でフロントフォーク16Rに沿って車体に固定されていることから、ウインカ28Rの照射方向と当該本体部42とが、図2に示す側面視で交差せず、これにより、ウインカ28Rの外部からの視認が本体部42により妨害されることを有効に回避している。
【0024】
前記信号ケーブル48、50及び電源ケーブル52は、いずれも取付機構54の下面側から下向きに延びた後、所定の箇所まで引き回されている(図2参照)。この場合、本体部42とアンテナ44とを繋ぐ信号ケーブル48は、ETC車載器10aの設置自由度を確保するために、通常、車体前方部から車体後方部まで届く程度の十分な長さで構成されている一方、過度の屈曲等を与えることは通信の安定性確保等の観点から困難なものとなっている。そこで、図3に示すように、本第1の実施形態の場合、信号ケーブル48を本体部42から下方に引き出し、ヘッドライト26の下側から反対側(車体左側)を通って上部へと引き回した後、屈曲を生じない所定の径で周回させた状態で、途中に設けられた図示しないコネクタと共にヘッドライト26とメータセット31との間に形成されている間隙55内に収納固定し、当該信号ケーブル48の保護及び外観の向上を図っている。
【0025】
なお、前記アンテナ44は、ETCゲート36の送受信装置38との交信の安定性を確保するため、メータセット31の外面上部の略中央部(2つのメータの間)に設置されている。一方、前記インジケータ部46は、運転者からの視認性を確保するため、ハンドル24とメータセット31との間であって当該メータセット31の一端側(車幅方向右側)寄りの下部に設置されている。
【0026】
図5は、本実施形態に係るETC車載器10aの本体部42と取付機構54とを示す分解斜視図である。
【0027】
取付機構54は、車体に固定されるベースブラケット56と、該ベースブラケット56に着脱自在に取り付けられるカバー部材58とを有し、ベースブラケット56の表面にETC車載器10aを構成する本体部42が固定されることにより、ベースブラケット56とカバー部材58との間に本体部42を収納することができる。
【0028】
ベースブラケット56は、例えば、アルミニウム製からなる略矩形平板状のブラケットであり、車体後方側に突出した取付部60に形成された2つの取付孔62にボルト64が挿通されることで、例えば、フロントフォーク16Rに固定されたヘッドライト26固定用のステー25Rと一緒に共締めされ、その薄い板厚方向が車体幅方向に沿った状態で車体に取り付けられる。また、ベースブラケット56の前記取付部60側と直交する上端縁には、カバー部材58の係合孔部66と係合するフック68が設けられている。該フック68は、車体外側方向(車幅方向右側)に屈曲した後、上方に向けて突出した引っ掛け部である。
【0029】
さらに、ベースブラケット56の車体前方側となる端縁において、その上部には車体内側方向(車幅方向左側)に突出した正面視で略三角形状のリブ70が設けられている(図3及び図5参照)。リブ70は、図3に示す正面視でヘッドライト26のレンズの曲面形状に対応する形状であり、これにより、当該ベースブラケット56とヘッドライト26の外表面との間の間隙を有効に塞ぐことができ、走行中、該間隙に流れる空気量を減少させて防風及び防音作用を向上させている。
【0030】
カバー部材58は、例えば、樹脂製材料で構成され、前記ベースブラケット56側の一面が開口すると共に中央部がやや膨出した箱状であり、その上面には前記フック68に係合する係合孔部66を有する着脱部78が膨出形成される一方、下面側には、ベースブラケット56側に突出したフック部材77が設けられている。このようなカバー部材58は、フック部材77がベースブラケット56の下端縁に係合され、係合孔部66がフック68に係合されることによりベースブラケット56に固定される。さらに、カバー部材58には、当該カバー部材58がベースブラケット56に固定された状態で、前記取付部60を覆い外部から隠すボルトカバー部80が、車体後方側に突出して形成されている(図5及び図6A参照)。
【0031】
従って、このような取付機構54では、取付部60により車体に固定されたベースブラケット56の表面に、例えば、弾性を有する両面テープ85(図5参照)や図示しないボルトにより本体部42が固定された状態で、カバー部材58を当該ベースブラケット56に対して着脱することができる。この場合、図2及び図5から諒解されるように、本体部42の蓋体90の開閉方向と、カバー部材58のベースブラケット56に対する取付方向とが略90°異なる向きに設定されている。
【0032】
図7は、ETC車載器10aを構成する本体部42の概略斜視図であり、図8は、図7に示す本体部42の蓋体90を開いた状態での概略平面図である。ETC車載器10aを構成する本体部42は、カード40を内部に防水状態で保持することができる有底状の内面形状を有したケース88と、該ケース88を開閉する蓋体90とからなる。すなわち、ケース88と蓋体90は、ヒンジ92により開閉可能であると共に、ヒンジ92とは反対側の面に設けられたバックル(保持体、リッド)94により閉じ位置で密着保持可能であり、これらケース88と蓋体90との間には防水用のシール部材95が介在される。
【0033】
ケース88には、カード40に設けられたICチップ(図示せず)に電気的に接続可能なコネクタ(ばね接点)89が配設された電子回路91が内装され、コネクタ89はケース88と蓋体90とで挟まれるカード保持部(カード保持空間)88aに臨んでいる(図8)。コネクタ89のケース88内部側は防水構造とされ、雨天時等でのカード40の着脱時、カード保持部88aに入った雨水等がケース88内に浸入することを確実に防止している。
【0034】
バックル94は、ケース88に対してヒンジ93を介して開閉自在に設けられ、爪部94aが蓋体90側の突起部90aに係合することで、蓋体90をケース88に対して閉塞状態で保持することができる(図8及び図9参照)。図9に示すように、ヒンジ93は、ケース88側に設けられ、一部が開口したロール状の受け部93aと、バックル94側に設けられ、受け部93aに対応するピン部93bとから構成され、受け部93aの前記開口にピン部93bが圧入されることで、バックル94を開閉自在に且つ着脱自在に支承している。
【0035】
このようなETC車載器10aを構成する本体部42では、蓋体90を閉塞状態で保持固定する保持体(保持機構)として機能するバックル94と共に、さらに、蓋体90を閉塞状態でロックするロック機構130を備えている。
【0036】
図7〜図9に示すように、ロック機構130は、ケース88のバックル94に対向する面に埋設されたナット(インサートナット)132と、バックル94に設けられ、ナット132に螺合可能なロックボルト134とを備え、ケース88と蓋体90とを連結するヒンジ92とは反対側の面に設けられている。従って、ケース88に対して蓋体90が閉じ位置とされ、バックル94が閉じ位置とされた状態でロックボルト134がナット132に締結されることにより、バックル94の開閉がロックされ、蓋体90の開閉もロックされる。
【0037】
図10Aは、図7中のX−X線に沿う一部省略概略断面図であり、ロック機構130の要部を拡大した断面図であって、図10Bは、図10Aに示す状態からバックル94を開いた状態での一部省略概略断面図である。
【0038】
図10Aに示すように、ロック機構130において、ナット132は、ケース88に収納された電子回路91等が配設される空間を区切るバックル94側の壁面に形成された段付きの孔部136内に嵌め込まれ、その後端側となるケース88内部側がシールキャップ138によりシールされている。これにより、孔部136及びナット132の孔部から雨水等がケース88内に浸入し、電子回路91や他の電子部品等が故障することを有効に回避することができる。この場合、ナット132はロックボルト134とは異なりロック機構130の使用時に、動きが求められることはないため、当該ナット132をケース88側に設けたことにより、その防水構造を極めて簡単に行うことができる。
【0039】
図8から諒解されるように、ケース88のカード40の保持空間(カード保持部88a)において、コネクタ89は平面視で一端側(図8では上端側)にオフセットして配置され、ナット132はコネクタ89と反対の他端側にオフセットして配置されている。ケース88内において、コネクタ89の近傍には前記電子回路91等の電子部品類が比較的集中して配置されているのに対し、その他端側では電子部品類が比較的少ないため、ナット132を設置するスペースの確保が容易であるためである。
【0040】
一方、ロックボルト134は、バックル94においてナット132に対応する位置の外面から突出する円筒状の壁部140の孔部140a内に挿通されることで支持されている。孔部140aの奥部(底部)には、該孔部140aより小径の孔部142aを有するフランジ142が設けられている。従って、ロックボルト134は、フランジ142の外側に頭部134aが配置され、内側(ケース88側)に先端のねじ部134bが配置され、ねじ部134bの頭部134a側に抜け止めリング144が介在されることにより、回転自在な状態でバックル94に保持されている。
【0041】
ロックボルト134の頭部134aとフランジ142との間には、該ロックボルト134を外側方向(頭部134a側)に付勢するスプリング146が配設されている。従って、ロックボルト134がナット132に締結されていない状態では、スプリング146の付勢力により当該ロックボルト134がナット132側から離間する側に移動しているため(図10B参照)、ロックボルト134の先端(ねじ部134b側)がバックル94の背面側から大きく突出することを防止することができる。このため、図10Bに示すように、バックル94の開閉時、ロックボルト134の先端が孔部136の縁部等に当接することを防止でき、当該ロックボルト134をナット132に対して確実に位置決めしながら、バックル94を容易に閉じ位置とすることができる。さらに、ロックボルト134は、スプリング146の付勢作用下に、孔部142aや孔部140aの内側で多少の自由度を有して揺動可能に且つ大きくがたつくことなく弾性的に支持されているため、バックル94を閉じる際のロックボルト134の位置決めが一層容易になされ、しかも、ロックボルト134のがたつきによる異音の発生等を効果的に防止することができる。
【0042】
この場合、ロックボルト134のねじ部134bとナット132との噛合量は、スプリング146のストローク量(ロックボルト134の移動幅)より小さく設定されている。これにより、スプリング146によりロックボルト134の螺回量が制限されることを防止して、ロックボルト134をナット132に対して確実に緊締することができる。
【0043】
このようなロックボルト134は、所定の特殊なキー形状を配した解除キー148のみで回転可能に構成されており(図7参照)、頭部134aの頂面に設けられた工具を係合するための操作用溝部134cは、前記解除キー148に対応した特殊な形状とされている。図11に示すように、解除キー148及びこれに対応する操作用溝部134cに形成されたキー形状は、汎用の工具(ドライバやレンチ等)には対応しない特殊な形状であり、例えば、ETC車載器10aに対して20種類以上準備される。このため、通常の使用状態では、同一のキー形状を持つユーザ同士が誤って又は故意により他人のロックボルト134を解除することを有効に阻止することができ、カード40の盗難防止性を向上させることができる。
【0044】
解除キー148は、図7に示すように、ロックボルト134の操作用溝部134cに係合する突出部148aが形成された操作部148bが、基端部148cに対して回転自在に連結されて構成されている。従って、解除キー148の基端部148cを自動二輪車12aのイグニッションキーと一体にするか又は該イグニッションキーと連結器により連結保持しておくことにより、該解除キー148の紛失を防止しながら、前記操作部148bを回転操作して容易にロックボルト134を操作することができるため、ロック機構130の取扱容易性を大幅に向上させることが可能となる。
【0045】
ところで、このような特殊なキー形状からなるロックボルト134では、その頭部134aが直接的にプライヤー等の工具により狭持され強制的に回転されてロック機構130が不正に解除される懸念がる。そこで、ロック機構130では、図7及び図10A等に示すように、壁部140によりロックボルト134の頭部134aの周囲を囲繞すると共に、該壁部140の高さ(突出長)hを十分に高く設定している。すなわち、ロックボルト134がスプリング146により付勢されて最も外側(車体後方側)に寄った状態(図10B参照)であっても、壁部140の上端面が頭部134aの頂面以上の高さとなるように設定している。これにより、頭部134aの側面が直接的にプライヤー等の工具で把持されることを阻止し、ロック機構130の不正な解除を一層困難なものとしている。
【0046】
さらに、図11に示すように、ロックボルト134の頭部134aと壁部140の内壁面との間の隙間Gは、他の工具等を挿入できないよう十分に小さく(ほとんどなく)設定されている。該隙間Gは、例えば、頭部134aに設けられた操作用溝部134cにおいて、該頭部134aの中心点Oに最も近い位置(円C1)と、最も遠い位置(円C2)との間の変化幅(円C2の半径から円C1の半径を引いた距離)よりも小さく設定されると共に、操作用溝部134cの溝幅よりも小さく設定されている。この操作用溝部134cは、頭部134aの中心点Oを囲む曲線状に蛇行した円であり、その溝幅は該操作用溝部134cの中心線C3の中心点Oに対する変化量(中心線C3の最大径から最小径を引いた距離)より小さく設定されている。また、図10A〜図11から諒解されるように、ロックボルト134の頭部134aは、その外周面(側面)が頂部に向かって縮径する曲面で形成され、平面視でその形状は実質的に真円とされている。これにより、壁部140内において前記のプライヤー等の工具により頭部134aが把持されることを一層確実に防止している。
【0047】
また、ロック機構130では、フランジ142の強度をバックル94の他の部位の強度よりも弱く壊れ易いように設定している。従って、仮にプライヤー等の工具によって壁部140やバックル94自体に大きな力が加えられ、バックル94がその開放方向に強く引っ張られた場合であっても、ロックボルト134のねじ部134bがナット132に締結されている状態では、該ロックボルト134がナット132に締結されたままフランジ142が最初に壊れることになる。すなわち、ロックボルト134をケース88側に残したままバックル94が開かれる。そこで、ロック機構130では、バックル94側の構成要素である壁部140、スプリング146、ロックボルト134及び抜け止めリング144がバックル94と一体のユニットとして形成されている。このため、前記のようにフランジ142が壊れされた場合であっても、ケース88や蓋体90が破損することはなく、その修理はバックル94を交換するだけでよい。
【0048】
さらに、バックル94は着脱可能なヒンジ93によりケース88に取り付けられているため、修理及び交換が極めて容易である。しかし、このようにフランジ142が壊されたとしても、ロック機構130の使用は不可となるが、バックル94を用いて本体部42のケース88と蓋体90とを密着保持することは可能であるため、運転者は、蓋体90を確実に閉じた状態で修理工場や用具販売店等まで走行することができる。なお、ヒンジ93についても、前記フランジ142の場合と同様に、ケース88側の受け部93aよりもバックル94側のピン部93bを壊れ易く構成しておくことも可能である。そうすると、受け部93aよりピン部93bが先に壊れるため、ケース88の破損を一層確実に回避することができる。さらに、図10B中に破線で示すように、壁部140をバックル94とは別体の円筒状の部品として形成し、これをバックル94の壁面に設けた孔部に圧入するように構成することもできる。この場合には、フランジ142が破損した場合に、ロックボルト134等を支持したユニットである壁部140やロックボルト134等だけを交換すればよく、バックル94の交換が不要となる。
【0049】
また、図10Aに示すように、ロックボルト134をナット132に締結した状態では、ロックボルト134の頭部134aの頂面の位置が壁部140の上端面(先端面)より下側(奥)にあるように設定されると共に、壁部140の高さhの半分以下とされることが好ましい。そうすると、外部から解除キ−148以外の工具を用いて不正にロックボルト134を操作することを一層確実に防止することができる。
【0050】
以上のように構成されるバックル94(保持体)とロック機構130を備えたETC車載器10aの本体部42を自動二輪車12aに固定する取付機構54は、図2及び図5に示すように、車体側にベースブラケット56の底部が向き、その長手方向(フック68側からフック部材77側に向かう方向)がフロントフォーク16Rに沿った方向で固定される。また、図5及び図12Bから諒解されるように、ロック機構130を構成するロックボルト134の頭部134aが、シートに着座した運転者側(運転者から見える側)に向いた状態で設置される。
【0051】
さらに、図6Bに示すように、取付機構54を構成するカバー部材58の内側には、スポンジやゴム等からなる弾性部材96が貼り付けられている。これにより、ベースブラケット56にカバー部材58が取り付けられると、前記弾性部材96により本体部42の蓋体90が閉じ方向に押圧されるため、取付機構54内での蓋体90の誤開放を確実に防止することができる。
【0052】
以上のように、本第1の実施形態によれば、ETC車載器10aを構成する本体部42(取付機構54)が、フロントフォーク16Rの外側であり(当然、フロントフォーク16Rの外側でもよい)且つハンドル24の下方位置(ハンドル24とアンダーブリッジ22との間)で車体に固定されており(図2及び図3参照)、さらに、本体部42の少なくとも一部が、平面視で前記ハンドル24の回転軌跡範囲内に属している(図4参照)。また、ロック機構130を構成するロックボルト134の頭部134aが、シートに着座した運転者側に向いた状態で設置されている。
【0053】
このため、例えば、ETCゲート36を通過する際、該ETCゲート36の送受信装置38と、自動二輪車12aのETC車載器10aとの間で通信エラーを生じた場合であっても、運転者は、シートに着座した状態のまま、容易に取付機構54のカバー部材58を開いた後、ロック機構130を解除して蓋体90を開き、本体部42からカード40を取り外すことができる。すなわち、本第1の実施形態では、取付機構54(本体部42)が設置された位置が、シートに着座した運転者の手が容易に届く範囲に設定されると共に、ロックボルト134を運転者が容易に操作できる方向に設置しているため、本体部42の取扱容易性を大幅に向上させることができる。
【0054】
この場合、ETC車載器10aを構成する本体部42では、蓋体90を閉じ位置に保持する保持体であるバックル94と、蓋体90を閉じ位置でロックするロック機構130とを備え、カード40の盗難防止性を確保している。このため、本体部42を自動二輪車12aの外部に露出した状態で設置することが可能であり、前記のカバー部材58を設けることなく、ベースブラケット56を介して直接的に車体に設置することも当然可能である。従って、ETC車載器10aでは、車体への取付容易性及び取扱容易性を向上させることが可能である。なお、カバー部材58を設けることにより、本体部42の防水性能や防塵性能を向上させることができることは言うまでもない。
【0055】
取付機構54は、車体側にベースブラケット56の底部が向き、その長手方向がフロントフォーク16Rに沿った方向で固定されるため、取付機構54の扁平で薄い厚さ方向が自動二輪車12aの車幅方向に対応することになり、当該取付機構54、すなわち本体部42は車幅方向にほとんど突出することがない。このため、取付機構54(本体部42)は、自動二輪車12aの外観上目立つことがなく、その外観を損なうこともない反面、当該取付機構54(本体部42)が外部から完全に見えなくなることもないため、運転者は周囲に対してETC車載器10aを搭載していることをアピールすることができる。
【0056】
この場合、図7中に破線で示すように、例えば、蓋体90の上面に、カード保持部88aを外部から視認できる窓部90bを設けると、本体部42にカード40が搭載されているか否かを外部から容易に視認可能となり、運転者はカード40の挿入忘れを一層確実に回避できるようになる。また、自動二輪車12aの停車時等において、カード40が本体部42内にないことを周囲に対して知らせることができるため、カード40の盗難を目的とした本体部42の不正な破壊を未然に防止できるという効果も得られる。
【0057】
また、本体部42がフロントフォーク16Rに固定されていることから、ハンドル24の周囲のスペースが塞がれず、当該スペースに他の電子機器等、例えば、ナビゲーションシステムやオーディオのスピーカを装着することができる。一方、本体部42に比べて十分に小さいアンテナ44は、メータセット31の上部に設けられていることから、通信の安定性の確保が可能となる。同様に、本体部42に比べて十分に小さいインジケータ部46は、メータセット31とハンドル24との間のスペースに設けられているため、運転者からの視認性の確保が可能となり、しかも、上記したハンドル24の周囲のスペースを塞いでしまうこともない。
【0058】
この場合、ETC車載器10aの本体部42、アンテナ44及びインジケータ部46は、いずれもハンドル24と共に回動するため、ハンドル24の操舵等によって信号ケーブル48、50が屈曲されて破損し、通信不良等を生じることを有効に回避することができる。
【0059】
さらに、前記アンテナ44が、トップブリッジ20やハンドル24よりも上方であり、また、前方である位置に設置されていることから、当該アンテナ44とETCゲート36の送受信装置38との間の障害物をなくすことができ、交信の安定性を一層確実に確保することができる。
【0060】
なお、ETC車載器10aでは、蓋体90を閉じ位置でロックするロック機構130を備えていることから、本体部42を自動二輪車12aの外観上で比較的自由な位置に取付可能であり、例えば、図13に示すように、ハンドル24を固定する固定部材24a及び24bの間のスペースに対して、図示しないハンドル24に周回固定されるブラケットを介して固定することも可能である。これにより、ETC車載器10aの取扱容易性を一層向上させることができる。
【0061】
また、ETC車載器10aのロック機構130を構成するロックボルト134(ナット132)の位置は、ケース88以外にも、例えば、図14Aに示すように、蓋体90側に対応する位置や、図14Bに示すように、蓋体90の上面側に対応する位置に配設することも可能である。さらには、図14Cに示すように、ロックボルト134を、バックル94ではなく蓋体90に対して直接的に配設することも可能である。
【0062】
ETC車載器10aの蓋体90を閉じ位置で保持する保持体としては、上記したバックル94以外にも、図15に示すように、略コ字状に形成されたクリップタイプのバックル150や、スライドタイプのバックル(図示せず)とすることもできる。
【0063】
また、ロック機構130を解除する解除キー148及びこれに対応する操作用溝部134cを有するロックボルト134は、例えば、図16及び図17に示される解除キー152及びロックボルト154に変更することもできる。
【0064】
図16は、解除キー152及びこれに対応するロックボルト154を示す概略分解斜視図であり、図17は、図16に示す解除キー152及びロックボルト154を組み立てた状態での概略斜視図である。解除キー152は、ロックボルト154に係合する突出部152aと、該突出部152aが先端に固定される操作部152bと、操作部152b(突出部152a)を回転自在に支持する基端部152cとから構成されている。基端部152cは、例えば、自動二輪車12aのイグニッションキーと一体に構成されるか又は連結器を介して連結される部分であり、操作部152bは、運転者が突出部152aを回転させてロック機構130の解除を行うための部分である。
【0065】
この場合、突出部152aは、操作部152bの先端面から突出したローレット156に順に噛合する第1カム158と、該第1カム158より小径の第2カム160とを有する。すなわち、第1カム158及び第2カム160は、それぞれの中央部に形成され、前記ローレット156に噛合するローレット孔部158a及び160aによってローレット156に所望の角度で噛合可能であり、これら第1カム158及び第2カム160は、ローレット156に設けられた雌ねじ部に螺着されるボルト162によって固定される。第1カム158及び第2カム160には、それぞれ外周側に突出する凸部158b及び凸部160bが設けられている。
【0066】
従って、ローレット156との噛合作用下に、第1カム158及び第2カム160の凸部158b及び凸部160bをそれぞれ所望の位置に設定することにより、突出部152aは、極めて多種類の形状からなるキーとして機能する。
【0067】
一方、ロックボルト154は、頭部154aが有底円筒状に形成されると共に、その内周面にローレット164が形成され、ここに該ローレット164に噛合可能なローレット面166a及び168aを外周面に設けた第1カム受けリング166及び第2カム受けリング168が収納される。すなわち、第1カム受けリング166には、凸部158bを含む第1カム158を挿入可能な凹部166bが形成された孔部166cが設けられ、第2カム受けリング168には、凸部160bを含む第2カム160を挿入可能な凹部168bが形成された孔部168cが設けられる。
【0068】
第1カム受けリング166及び第2カム受けリング168が収納される頭部154aは、その外周面にねじ部170が形成されており、該ねじ部170に対して、内周面にねじ部172が形成されたカバー部材174が螺着されることにより、第1カム受けリング166及び第2カム受けリング168が抜け止め保持される。なお、参照符号176は、キャップであり、ロックボルト154の非操作時等においてカバー部材174の開口174aを塞ぐものである。
【0069】
従って、ロックボルト154についても解除キー152と同様に、ローレット164との噛合作用下に、第1カム受けリング166及び第2カム受けリング168の凹部166b及び凹部168bをそれぞれ所望の位置に設定することができ、これにより、解除キー152の突出部152aのキー形状に対応可能である。
【0070】
このように、解除キー152及びロックボルト154によれば、上記した解除キー148及びロックボルト134に比べ、キー形状を極めて多種類に設定することが可能でありながら、基本的に同一部品を用いて製造することができ、必要に応じて運転者(ユーザ)が所望のキー形状に設定変更することもできる。このため、ロック機構130を構成するキー形状のバリエーションを極めて多種類に増やすことができ、ロック機構130を一層確実にロックすることができるため、カード40の盗難防止性を一層向上させることができる。
【0071】
さらに、解除キー152及びロックボルト154では、第1カム158と第2カム160、及び、これに対応する第1カム受けリング166と第2カム受けリング168の形状を数種類準備すると、前記したキー形状のバリエーションを一層増加させることができる。例えば、解除キー152を構成する第1カム158の凸部158bの形状を、略半円状からなる180a(図18A参照)、略扇形状からなる180b(図18B参照)、略矩形状からなる180c(図18C参照)、角部に丸みを帯びた略矩形状からなる180d(図18D参照)等、適宜変更することができ、また、その板厚も変更可能である。
【0072】
次に、本第1の実施形態に係るETC車載器10aの他の取付構造について、図19〜図22を参照して説明する。
【0073】
図19は、ETC車載器10aの他の取付構造を適用した自動二輪車12bの車体前方部を拡大した一部省略概略側面図であり、図20は、図19に示す自動二輪車12bの一部省略概略平面図である。また、図21Aは、図19に示す自動二輪車12bの一部省略概略斜視図であり、図21Bは、図21Aに示す状態から取付機構100のカバー部材102を開いた状態を示す一部省略概略斜視図である。なお、図19〜図22において、図1〜図18に示される参照符号と同一の参照符号は、同一又は同様な構成を示し、このため同一又は同様な機能及び効果を奏するものとして詳細な説明を省略し、以下同様とする。
【0074】
この場合のETC車載器10aの取付構造は、いわゆるフルカウリングタイプの鞍乗型車両である自動二輪車12bを例示して説明する。この自動二輪車12bでは、上記した自動二輪車12aの場合と比べて、取付機構54の代わりに取付機構100を用い、該取付機構100(本体部42)を車体を覆うフロントカウルの面上に固定する点が相違する。
【0075】
図19及び図20に示すように、自動二輪車12bは、車体前後方向にかけてカウルで覆われることでフルカウリングタイプとして構成されている。該カウルは、ヘッドパイプ14の前部から上部までを覆うと共に、ハンドル24の下方から燃料タンク33の下側へと延在するフロントカウル106と、該フロントカウル106から車体後方側へと延在する図示しないロアカウルやリアカウル等とから構成されている。フロントカウル106の前方側にはヘッドライト108L、108Rが配置され、その下方にウインカ28L、28Rが配置されている。また、ヘッドライト108L、108Rの上部にはウインドスクリーン110が設けられ、該ウインドスクリーン110の左右両側にはサイドミラー32L、32Rが配置されている。
【0076】
このような自動二輪車12bでは、図20及び図21Aに示すように、逆L字状、すなわち、ハンドル24の下方にて車幅方向内側から外側に延在した後、車体下方に向けて屈曲されたフロントカウル106の上面106aに対してETC車載器10aの本体部42を収納する取付機構100が設置される。また、アンテナ44は、メータセット31の前方にあるウインドスクリーン110や、その背面に設けられたグリル111に設置されている。一方、インジケータ部46は、前記グリル111の上面に取り付けられる。
【0077】
図22は、本実施形態に係るETC車載器10aの本体部42と取付機構100とを示す分解斜視図である。
【0078】
取付機構100は、車体(フロントカウル106の上面106a)に固定されるベースブラケット112と、該ベースブラケット112に着脱自在に取り付けられるカバー部材102とを有し、ETC車載器10aを構成する本体部42の収納構造等については取付機構54と略同様である。
【0079】
ベースブラケット112は、それぞれ車体前方側、車体後方側及び車体左側に突出する3つの取付部116a〜116cを有し、これら取付部116a〜116cには、ボルト64が挿通される取付孔118a〜118cが形成されている。そこで、このようなベースブラケット112に着脱されるカバー部材102には、前記取付部116a〜116cを覆うことで外部から隠すボルトカバー部120a〜120cが形成されている。なお、本実施形態の場合、ボルトカバー部120a〜120cは、各取付部116a〜116cに対応してそれぞれ個別に形成されているが、例えば、各取付部116a〜116cをまとめて覆う大きな形状とすることもできる。
【0080】
取付機構100は、図21Aに示すように、フロントカウル106の上面106aにベースブラケット112の底部が載置され、その長手方向(フック68側からフック部材77側に向かう方向)が車体前後方向に沿うように、さらに、フック部材77がフロントカウル106の上面106aから、例えば、車体内側方向(車体右側方向)に外れるように固定される。また、図21A及び図21Bから諒解されるように、本体部42の蓋体90の開閉方向と、カバー部材102のベースブラケット112に対する取付方向とが略90°異なる向きに設定されている。なお、信号ケーブル48、50及び電源ケーブル52は、いずれも取付機構100の車体後方側の面から後方に延びた後、フロントカウル106の内側に引き込まれ、所定の箇所まで引き回されている(図21B参照)。
【0081】
さらに、図19及び図20から諒解されるように、ETC車載器10aを構成する本体部42が収容される取付機構100は、フロントフォーク16Lの外側であり(当然、フロントフォーク16Rの外側でもよい)且つハンドル24の下方である位置で車体に固定されており、さらに、本体部42の少なくとも一部が、平面視で前記ハンドル24の回転軌跡範囲内に属している。
【0082】
従って、例えば、ETCゲート36を通過する際、該ETCゲート36の送受信装置38と、自動二輪車12bのETC車載器10aとの間で通信エラーを生じた場合であっても、運転者は、シートに着座した状態のまま、容易に取付機構100のカバー部材102を開いた後、ロック機構130を解除して蓋体90を開き、本体部42からカード40を取り外すことができる。すなわち、取付機構100(本体部42)が設置された位置が、シートに着座した運転者の手が容易に届く範囲に設定されると共に、ロックボルト134を運転者が容易に操作できる方向に設置しているため、本体部42の取扱容易性を大幅に向上させることができる。なお、自動二輪車12bでは、例えば、本体部42のバックル94側がシートに着座する運転者側となるように、図21B等の設置状態から略90°回転させて設置すると、バックル94及びロックボルト134が運転者側を向くことになるため、本体部42の取扱容易性を一層向上させることが可能となる。
【0083】
また、取付機構100は、車体前後方向に延在したフロントカウル106の上面106aに対して、その長手方向が沿った状態で固定されている一方、カバー部材102の開閉方向が車幅方向外側(車体左側方向)を指向している。このため、カバー部材102をベースブラケット112から開いた後、本体部42を開閉する際には、ハンドル24の下方外側スペースから容易に手を入れることができ、当該本体部42の取扱容易性を一層向上させることができる。この場合、本体部42を収容した取付機構100は、自動二輪車12bのウインドスクリーン110の後部でありハンドル24の下方に設置されることから、特に走行中の防水効果を向上させることができる。さらに、自動二輪車12aの場合と同様に、この自動二輪車12bの場合であっても、ETC車載器10aを構成する本体部42を当該自動二輪車12bの外部に露出した状態で設置することはもちろん可能である。
【0084】
また、取付機構100が、フロントカウル106の上面106aに対して、その長手方向が沿った状態で固定されていることから、該ETC車載器10a(取付機構100)は、自動二輪車12bの車幅方向に突出することがなく、しかも、その扁平な形状のため、上面106aから上方に向けてもほとんど突出することがない。このため、取付機構100(本体部42)が外観上目立つことがなく、自動二輪車12bの外観を損なうことがない反面、当該取付機構100(本体部42)が外部から完全に見えなくなることもないため、運転者は周囲に対してETC車載器10aを搭載していることをアピールすることができる。
【0085】
当然、この場合の自動二輪車12bにおいても、本体部42がハンドル24の周囲のスペースを塞ぐことがないため、他の電子機器等、例えば、ナビゲーションシステムやオーディオのスピーカの装着を阻害することがない。
【0086】
次に、本発明の第2の実施形態に係る車載通信装置としてのETC車載器10bについて説明する。図23は、本第2の実施形態に係るETC車載器10bを搭載した自動二輪車12cの車両前方部を拡大した一部省略概略斜視図であり、図24は、図23に示す自動二輪車12cの一部省略概略側面図である。
【0087】
図23及び図24に示すように、自動二輪車12cには、車体を構成する図示しない車体フレームの前方に軸支されたヘッドパイプ214を介して一対のフロントフォーク216L、216Rが支承され、その上部にはハンドル218が操舵可能に支承されており、該ハンドル218にはスイッチ部219が設けられている。前記ヘッドパイプ214の前方には、ヘッドライト220が配設され、該ヘッドライト220の上方には各種メータ類が配置されたメータセット222が配設されている。また、前記ハンドル218の両端側のグリップの内側には、それぞれバックミラー224L、224Rが取り付けられている。
【0088】
前記ハンドル218において、車幅方向中心軸に対して車体右側であり且つバックミラー224Rよりも前記中心軸側には、本実施形態に係るETC車載器10bがブラケット226を介して固定されている。該ブラケット226は、例えば、その取付部226aが、ハンドル218のパイプ部に周回されてボルト等により固定されている。なお、図23中の参照符号227は、燃料タンクを示している。
【0089】
従って、自動二輪車12cは、ETC車載器10bを介して外部の通信局、例えば、有料道路の料金所を通過する際に該料金所に設けられたETCゲート36の送受信装置38と自動的に交信することができる。
【0090】
図25は、本第2の実施形態に係るETC車載器10bの概略斜視図であり、図26は、図25に示すETC車載器10bの蓋体238を開いた状態での概略斜視図である。また、図27は、図25に示すETC車載器10bを底面側から見た概略斜視図であり、図28は、図25に示すETC車載器10bのカード挿入方向(車体前後方向)に沿う概略断面図である。
【0091】
図25及び図26に示すように、本実施形態に係るETC車載器10bは、その外観を構成する中空箱状のケース230を有し、該ケース230の車体後方側の側面である前面230aには、カード40の短尺方向(幅方向)の形状に対応すると共に、中央部に略楕円状の拡幅部が形成されたカード挿入口234が開口している。ケース230及びその内部空間の形状は、縦長の矩形状であり、その長手方向が車体前後方向に沿うように構成されており、当然、カード40も長手方向が車体前後方向に沿うようにカード挿入口234からケース230内部へと挿入される。
【0092】
ケース230の前面230a(カード挿入口234)は、一対のヒンジ236、236を介してケース230に揺動自在に設けられた蓋体238により開閉される。ヒンジ236は、蓋体238側からケース230側に突出した凸部236aが、ケース230の側面に設けられた浅い凹部236bに係合することで蓋体238を揺動自在に支承している(図26参照)。
【0093】
蓋体238は、該蓋体238側に設けられたフック部材237と、ケース230の裏面側に設けられた略半円柱状の突起部239との係合作用によって、閉じ位置で固定され(図27参照)、ケース230に密着保持される。すなわち、フック部材237と突起部239とは、蓋体238を閉塞状態に固定する保持体(保持機構)として機能する。このような保持体としては、蓋体238を開閉可能であり且つ閉じ位置で固定可能なものであればよく、例えば、突起部239の代わりにマグネットを用い、フック部材237の代わりに金属製のフック部材を用いた構成等が例示できる。また、前記保持体は、蓋体238の両側部とケース230の車体幅方向両側面とを固定する構造とすることもできる。
【0094】
さらに、蓋体238とケース230との間には、蓋体238を閉じ位置でロックするロック機構130が設けられている。図25及び図26から諒解されるように、本実施形態に係るETC車載器10bでは、ロック機構130を構成するロックボルト134が蓋体238側に設けられる一方、ナット132がケース230内に設けられることにより、蓋体238をロック可能である。
【0095】
図27に示すように、ケース230の裏面(底面)には当該ETC車載器10bをブラケット226に固定するためのボルトが締結されるインサートナット240が対角線上に2個埋設されている。
【0096】
このようなETC車載器10bでは、図28に示すように、ケース230の内部空間が、その高さ(厚さ)方向の略中央位置に設けられた仕切り板(仕切り部材)242により上下2段に仕切られている。
【0097】
前記仕切り板242で仕切られた上段側は、実質的に外部から遮断され防水された密閉空間243として構成されており、該密閉空間243には、CPU244、アンテナ246及びコネクタ248等が配設された電子回路(プリント基板、回路基板)250が配置されている。なお、図32に示すように、電子回路250は、ブッシュ249a、249bを介して、ボルト250a及びナット250bにより前記仕切り板242上に固定されている。前記ブッシュ249a、249bは、例えば、ゲル材料やゴム材料からなる緩衝部材(弾性部材)であり、ケース230(仕切り板242)を介して電子回路250へと伝達される自動二輪車12cからの振動を減衰する機能を有する。また、電子回路250の図示しないコンデンサやコイル等は、例えば、ボンディングにより補強すれば、ETC車載器10bの耐振動性を一層向上させることができる。
【0098】
前記CPU244は、ETC車載器10bの各種制御を行う演算指令部である。前記アンテナ246は、ETC車載器10bとETCゲート36の送受信装置38との間での情報の送受信を行う通信アンテナである。アンテナ246は、例えば、電子回路250上にエッチングで形成されたパターンアンテナであって、ETC車載器10bが水平方向に配置された際、車体前方上方斜め方向(図28中の矢印A方向)への指向性が電気的又は物理的に付与されており、その放射角θは20°程度とされている。前記コネクタ248は、電子回路250と、カード40の端子であるICチップ40aとを電気的に接続するための接点として機能するものであり、電子回路250の裏面側から突出するばね接点248aが、仕切り板242に形成された孔部を介して下段側へと突出している。この場合、カード40は、記録された使用者の各種情報等を読み出し可能である一方、ETC車載器10bを介してETCゲート36の送受信装置38から受信した料金所通過情報等の書き込みが可能なICチップ40aを搭載した、いわゆるICカードである(図26参照)。
【0099】
この場合、ロック機構130を構成するナット132も密閉空間243内に配置されており、従って、ナット132の後端側はシールキャップ138によって防水状態で封止されている。
【0100】
一方、図28に示すように、ケース230内において、仕切り板242にて仕切られた下段側は、前記カード挿入口234を介して外部に連通する一部開放空間(開放空間、半密閉空間)252として構成されている。換言すれば、一部開放空間252は、カード40が挿脱されるカード挿脱空間であり、当該一部開放空間252内に配置される各種部品は、前記カード挿入口234から雨水等が浸入することを想定して防水仕様とされている。
【0101】
このような一部開放空間252には、カード40が挿入された際に該カード40をケース230内(一部開放空間252内)で保持すると共に、イジェクトボタン256の操作に連動して当該カード40をカード挿入口234から突出させるカード保持取出機構258と、カード挿入口234を介して挿入又は排出されるカード40の移動(スライド)動作を案内するカードガイド260が設けられている。このカードガイド260は、仕切り板242の下面側に固定され、カード40の幅方向寸法に対応して対向配置された一対のL字状部材により構成されている(図29参照)。
【0102】
さらに、一部開放空間252には、ETCゲート36の通過情報や通過履歴等を運転者に対してアナウンスする防水スピーカ262と、カード挿入口234から浸入した雨水等を当該一部開放空間252内からケース230外部へと排出する排水口(水抜部)264とが設けられている。
【0103】
前記防水スピーカ262は、一部開放空間252内に設置されることから防水仕様とされており、仕切り板242に形成された図示しない孔部を介して図示しないスピーカケーブルにより電子回路250に接続されている。前記スピーカケーブルが通過する仕切り板242の前記孔部の周縁部も防水構造とされており、上段側の密閉空間243内への浸水を防止している。同様に、コネクタ248から一部開放空間252内に突出するばね接点248aもその通過する仕切り板242に設けた孔部を含めて該一部開放空間252側は全て防水構造とされている。また、図27に示すように、防水スピーカ262に対応したケース230の底面には複数の小孔266が設けられている。なお、防水スピーカ262の設置位置によっては、前記小孔266の代わりに、ケース230の車体幅方向の側面に小孔266a(図25中の破線参照)を形成することもできる。この場合、防水スピーカ262はケース230の車体幅方向の側面内壁に固定されるため、一部開放空間252内が浸水した際にも、防水スピーカ262が完全に水没することを有効に回避することができる。
【0104】
なお、蓋体238やケース230の前面230aの形状によっては、ロック機構130を構成するナット132を一部開放空間252内に配置することも可能である。この場合には、ナット132の後端側にシールキャップ138を特別に配設する必要がないため、ロック機構130の構造を簡素化することができる。
【0105】
図27及び図28に示すように、排水口264は、例えば、ケース230の車体前方側の両端部に2個設けられ、ケース230の底面に開口している。このような排水口264は、ケース230の底面に突設されて車体前方側が閉塞される一方、車体後方側にのみ開口した排水カバー268により覆われており、これにより、排水口264からケース230内への雨水等の逆流を防止している。
【0106】
さらに、ケース230の底面には、ETC車載器10bの電源ケーブル269をケース230外に引き出すための開口270が設けられている。すなわち、電源ケーブル269は、電子回路250から仕切り板242に形成された図示しない孔部を介して一部開放空間252内を通過した後、開口270からケース230外部へと引き出されている。この場合、開口270からは、ケース230の複数の側面側へと連なる複数の溝部272a〜272cが連続して形成されている。すなわち、自動二輪車12cにおけるETC車載器10bの取付位置等に応じて、溝部272a〜272cのいずれかを選択することで、電源ケーブル269の引き出し位置を適宜変更することができ、ETC車載器10bの設置自由度が向上する。
【0107】
図26に戻り、ケース230の前面230aにおいて、カード挿入口234の上段側である密閉空間243に対応する位置の両端側には、電子回路250に配設された一対のLEDランプ274L、274R(図28及び図29参照)の光をケース230外に透過するための一対の窓部276L、276Rが設けられている。LEDランプ274L、274Rは、例えば、一方(図29で左側)のLEDランプ274Lが赤色、他方(図29で右側)のLEDランプ274Rが緑色に発光するものであり、ETC車載器10bの動作状態を運転者に通知するものである。
【0108】
一対の窓部276L及び276Rの間には、例えば、ゴムボタンで形成された音量ボタン278及び履歴ボタン280が設けられている。これら音量ボタン278及び履歴ボタン280は、電子回路250に設けられた音量スイッチ279及び履歴スイッチ281に連結されており(図29参照)、密閉空間243の気密状態を保持した状態で音量スイッチ279及び履歴スイッチ281をケース230の外部から操作するものである。
【0109】
さらに、自動二輪車12cの走行中等において、蓋体238を閉じた状態であってもLEDランプ274L、274Rの点灯状態を運転者が確実に視認できるよう、蓋体238の窓部276L及び276Rに対応する位置には、蓋側窓部282L、282Rが設けられている。この場合、ETC車載器10bでは、運転者の体格や着座姿勢等に依存することなく、運転者がLEDランプ274L及び274Rの点灯状態を常時確実に視認可能とするため、窓部276L、276R、及び、蓋側窓部282L、282Rの少なくとも一方は、凸状又は凹状な曲面を有する無指向性のレンズとされている。
【0110】
図26に示すように、蓋体238の裏面(前面230a側)には、カード挿入口234の周囲を縁取る横長矩形の枠状からなるパッキン284が固着されている。パッキン284は、蓋体238が閉じられた際に、カード挿入口234への雨水等の浸入を防止するためのシール部材であり、前記拡幅部を含むカード挿入口234と後述するイジェクトボタン256を囲繞するようにして前面230aに密着する。なお、パッキン284は、ケース230の前面230a側に設けてもよく、また、イジェクトボタン256を囲繞せず、前記拡幅部を含むカード挿入口234の外縁を縁取る形状としてもよい。
【0111】
次に、本実施形態に係るETC車載器10bのカード保持取出機構258について説明する。
【0112】
図28〜図31に示すように、カード保持取出機構258は、カード40の挿入方向で後端側(車体後方側)においてカード挿入口234に近接配置されたカードロック機構286と、カード40の挿入方向で先端側(車体前方側)においてばね接点248aに近接配置されたカード圧着機構288とを備える。
【0113】
カードロック機構286は、支持部材290により両端側を支持された回転軸292と、略L字状に形成され、回転軸292を介して図28中の矢印B方向に揺動自在な爪部材294と、該爪部材294の下端側の一面側(車体前方側)に連結されたスプリング296と、該スプリング296の他端側が固着されたスプリング支持部材298とから構成される。
【0114】
前記爪部材294において、スプリング296の他面側にはイジェクトボタン256が連結される。さらに、爪部材294の上端側にはカード40の挿入方向で後端側(車体後方側)に湾曲し且つ傾斜した湾曲傾斜面294aと、該湾曲傾斜面294aから車体後方側に連続した切欠状のロック面294bとが設けられる。
【0115】
前記スプリング296は、爪部材294の下端側をカード40の挿入方向で後端側(車体後方側)に付勢するものであり、すなわち、爪部材294は、スプリング296の付勢力によって回転軸292を中心として、矢印B方向で上向きに付勢されている。
【0116】
一方、カード圧着機構288は、支持部材300により両端側を支持された回転軸302と、前記爪部材294よりも幅広に形成され(図29及び図30参照)、該回転軸302を介して図28中の矢印C方向に揺動自在なカム部材304と、該カム部材304の一端面(車体前方側)に連結されたスプリング306と、ケース230の前面230aと対向した裏面側(車体前方側)に設けられ、スプリング306の他端側が固着されたスプリング支持部材308とから構成される。前記支持部材300には、スプリング306が通過する孔部300aが形成されている。
【0117】
前記カム部材304において、スプリング306が連結された一面側と反対側のカード挿入方向で後端側(車体後方側)の上面(仕切り板242側)には、当該カム部材304が矢印C方向で上向きに揺動した際、ケース230内に挿入されたカード40に対して平行な面で当接する圧着面304aが形成されている(図30及び図31参照)。該圧着面304aにはクッション部材310が固着されている(図30参照)。さらに、カム部材304のスプリング306が連結された面の反対側には、カード40の先端部が当接する停止面304bが形成されている。該停止面304bと前記ロック面294bとの間は、車体前後方向に沿う方向の直線距離で、カード40の長手方向長さと同一若しくは多少長く設定される。
【0118】
前記スプリング306は、カム部材304をカード40の挿入方向で後端側(車体後方側)に付勢するものであり、すなわち、カム部材304は、スプリング306の付勢力によって回転軸302を中心として、矢印C方向で下向きに付勢される。
【0119】
次に、基本的には以上のように構成される本実施形態に係るETC車載器10bの動作について説明する。
【0120】
先ず、自動二輪車12cが停車した状態で、運転者が解除キー148を用いてロック機構130を解除すると共に、蓋体238を開き、カード40を所定の向きでカード挿入口234からケース230内へと挿入する(図28中の矢印D参照)。そうすると、カード40はカードガイド260にガイドされながら、次第にケース230の奥部まで挿入されることになるが、この際、カードロック機構286では、カード40が爪部材294の湾曲傾斜面294aに沿って挿入されることから、該湾曲傾斜面294aが矢印B方向で下向きに押圧される。これにより、爪部材294は、スプリング296の付勢力に抗して回転軸292を中心として矢印B方向で下向きに揺動される。このため、カード40は、爪部材294によりその挿入が規制されることがなく、ケース230内へと円滑に挿入される。この際、カード挿入口234の中央部には前記拡幅部が形成されているため、運転者は一層容易にカード40をケース230内へと押し込むことができる。
【0121】
そして、図31に示すように、カード40がケース230内に完全に挿入されると、カード40の先端部が、カード圧着機構288を構成するカム部材304の停止面304bを押圧する。これにより、カム部材304が、回転軸302を中心としてスプリング306の付勢力に抗して矢印C方向で上向きに揺動される。このため、カード40の裏面側(下面側)が、前記揺動したカム部材304の圧着面304aにより上方に向けて押圧され、表面側(上面側)に設けられたICチップ40aがコネクタ248のばね接点248aに圧着される。
【0122】
同時に、カード40が爪部材294の湾曲傾斜面294aを乗り越えるため、該カード40の後端部が、爪部材294のロック面294bに当接する。換言すれば、爪部材294のロック面294bが、カード40の後端部に係合する。
【0123】
従って、カード40は、爪部材294のロック面294bとカム部材304の停止面304bとの間に確実に保持される。この際、ロック面294b及び停止面304bは、それぞれスプリング296及びスプリング306によって、互いにカード40をその前後側から挟み込む方向に付勢されている。これにより、カード40を、その挿入方向における前後方向端部で弾性的に把持することができ、自動二輪車12cの走行中の振動等でのずれを防止して、ケース230内にて確実に且つ安定して保持しておくことができる。
【0124】
しかも、このような状態では、カム部材304は、圧着面304aがクッション部材310を介してカード40のICチップ40a部分を裏面側からばね接点248aに対して圧着する姿勢に保持されている。このため、カード40は、ICチップ40a部分を中心としてばね接点248a側に確実に圧着されるため、自動二輪車12cの振動等で、これらICチップ40aとばね接点248aとが接触不良を生じて、カード40の読み取り不良を生じることも確実に防止することができる。
【0125】
ところで、このようなICチップ40aとばね接点248aとの接触性を一層向上させるため、ETC車載器10bでは、ケース230やカードガイド260を、図28中の矢印F方向や図29中の矢印G方向に、意図的に多少撓ませておくこともできる。そうすると、ケース230やカードガイド260の前記した撓み形状により、ケース230内に挿入されたカード40も同様に撓むことになり、結果として、ICチップ40aが配設された表面側(上面側)が上方のばね接点248a側に突出する。これにより、ICチップ40aとばね接点248aとの接触性を一層向上させることができる。なお、図28及び図29では、理解の容易のため、カードガイド260の撓み量を強調して図示している。
【0126】
なお、ETC車載器10bでは、図33の(1)に示すように、カード40がケース230内に正常に挿入された状態では、赤色のLEDランプ274Lが消灯すると共に、緑色のLEDランプ274Rが点灯する。また、図33の(2)に示すように、カード40が未挿入の状態では、赤色のLEDランプ274Lが点灯すると共に、緑色のLEDランプ274Rが消灯する。さらに、図33の(3)に示すように、ETC車載器10b自体の異常等、機器異常を生じている場合には、赤色のLEDランプ274Lが点滅すると共に、緑色のLEDランプ274Rが消灯する。これにより、運転者はカード40の正常な挿入やETC車載器10bの動作状態等を確実に把握することができる。
【0127】
そこで、ケース230内にカード40が正常に挿入された後、先ず、蓋体238を該蓋体238の保持体であるフック部材237と突起部239との係合作用によってケース230の前面230aに対して密着保持させる。次いで、例えば、イグニッションキーに連結された解除キー148によりロックボルト134を回転させることにより、蓋体238をケース230に対して確実にロックする。その後、自動二輪車12cがETCゲート36を通過する際には、ETC車載器10bは、カード40に記録された情報を読み出し、例えば、走行した有料道路の区間に関する情報、車種及びカード会社等の情報と共にこれらの情報をETCゲート36の送受信装置38にアンテナ246を介して通知する。これにより、送受信装置38では当該自動二輪車12cの通行料金を判断し、所定のカード会社に走行料金の請求を行うための所定の処理を行うことになる。この際、ETC車載器10bは、例えば、ヘルメットを着用した状態であっても十分に聞き取り可能な程度の大音量で、防水スピーカ262を介して通知音(ビープ音等)を発生させる。このため、運転者は車両の運転に集中した状態で、ETCゲート36の正常な通過を認識することができる。
【0128】
さらに、ETCゲート36の手前や道路途中に、ETCゲート36の設置を通知する予告ゲート(予告アンテナ)が設置されている場合には、当該予告ゲート通過時にも、例えば、カード40が未挿入である旨の警告音等が防水スピーカ262を介して運転者に通知される。なお、従来、自動二輪車に対応するETC車載器では、その動作状態を音声等で通知又は警告する機能を有していなかったが、本実施形態に係るETC車載器10bではケース230内に防水スピーカ262を設けたことにより、運転者は一層容易に当該ETC車載器10bの動作状態を把握することが可能となっている。
【0129】
次いで、ETCゲート36を通過して有料道路外に出た自動二輪車12cを停車させて、解除キー148によりロック機構130を解除して蓋体238を開き、例えば、過去の有料道路の走行履歴を確認する際には、ケース230の前面230aに設けられた履歴ボタン280を押す。すなわち、履歴ボタン280を押す毎に、その走行履歴や料金等が防水スピーカ262を介して音声によって通知される。このような音声の音量は、音量ボタン278を押すことにより容易に変更可能である。本実施形態に係るETC車載器10bの場合、音量ボタン278を押すごとに、音量が5段階にシーケンシャル制御され所望の音量に設定可能である。なお、上記したETCゲート36を通過した際の通知音は、走行中の運転者が確実に聞き取れた方が好ましいことから、例えば、音量ボタン278により防水スピーカ262の音量が小音に設定されている状態であっても、この通知音だけは、最大音量で通知するような制御を行うことも可能である。
【0130】
ETC車載器10bの使用が終了し、カード40をケース230内から抜き取る際には、ロック機構130を解除して蓋体238を開き、イジェクトボタン256を押す。そうすると、カードロック機構286を構成する爪部材294が、スプリング296の付勢力に抗して回転軸292を中心として矢印B方向で下向きに揺動されるため、ロック面294bによるカード40のロックが解除される(図28参照)。これにより、カード圧着機構288を構成するカム部材304が、スプリング306の付勢力によって回転軸302を中心として矢印C方向で下向きに反射的に揺動する。従って、カード40は、カム部材304の圧着面304aによる圧着作用が解除されると同時に、当該カム部材304の停止面304bからの反動により、カード挿入口234側(図28の矢印E方向)に所定距離排出(突出)される。従って、運転者はカード40をETC車載器10bから容易に抜き取ることができる。
【0131】
以上のように、本実施形態に係るETC車載器10bによれば、ケース230内に挿脱されるカード40のICチップ40aと電気的に接続されるばね接点248aを有するコネクタ248やCPU244等が配設された電子回路250と、外部の通信局、例えば、ETCゲート36の送受信装置38と交信を行うアンテナ246とをケース230内に一体的に内蔵している。すなわち、ETC車載器10bでは、本体部とアンテナ部とを繋ぐ通信ケーブルを特別に設ける必要がない。従って、ハンドル操舵等によって前記通信ケーブルが繰り返しの屈曲を受けて破損し、通信不良や機能停止、エラー発生等を生じることを有効に回避することができる。
【0132】
さらに、カード40が挿脱されるカード挿入口234は、蓋体238により開閉可能とされ、当該蓋体238が閉じ位置とされた際には、パッキン284によりカード挿入口234の防水性が確保される。しかも、当該蓋体238は、保持体として機能するフック部材237と突起部239との係合作用によってケース230の前面230aに対して密着保持させることができ、さらに、ロック機構130によって確実にロックすることができる。このようなケース230の前面230a及びカード挿入口234は、自動二輪車12cの走行方向後方側(シートに着座した運転者側)を指向しており、また、ロック機構130を構成するロックボルト134もその頭部134aが運転者側に向いた状態とされている。このため、ロック機構130のロック・アンロックや蓋体238の開閉及びカード40の挿脱等の各操作が容易であり、走行中の雨水の浸水を一層確実に防止することができるという効果も得られる。
【0133】
さらに、ETC車載器10bにおいても、ETC車載器10aと同様なロック機構130を設けているため、仮にETC車載器10bの壁部140内に設けられたフランジ142が破壊された場合等であっても、フック部材237と突起部239との係合作用によって蓋体238を閉じ位置で保持することが可能であり、また、蓋体238をヒンジ236から取り外して交換するだけで容易に修理・交換を行うことができる。当然、図10Bに破線で示される壁部140と同様に、壁部140やロックボルト134のみを蓋体238に形成した孔部に圧入した構成とし、当該壁部140等のみを取り外し・交換可能に構成してもよい。
【0134】
また、ETC車載器10bでは、ケース230内が仕切り板242により、電子回路250等が配置される密閉空間243と、カード挿入口234に連通しカード40が挿脱される一部開放空間252とに仕切られている。このため、雨天時等において、カード40を挿脱する際にカード挿入口234から雨水等がケース230内に浸入したとしても、その雨水は上段側の密閉空間243に流入することはなく、当該一部開放空間252から排水口264を介してケース230外へと排出することができる。このため、CPU244等が配設された電子回路250が雨水により故障することを防止することができる。
【0135】
さらに、ETC車載器10bでは、上記のように、カード40が挿脱される本体部と、外部と交信するアンテナ246とを一体にケース230内に収納すると共に、蓋体238や仕切り板242により、電子回路250等の防水性を確保している。このため、ETC車載器10bは、自動二輪車12cの外部、例えば、ハンドル218等に容易に固定することができ、収納スペースの小さな車両等であっても容易に取り付け可能である。そこで、例えば、図34に示すように、ブラケット312を用いることにより、自動二輪車12cのフロントフォーク216R又は216Lの側部に固定することもでき、この場合には、蓋体238が車体後方側となるようにすればよく、アンテナ246の指向性に合わせて先端側を上方内側に向けてもよい。このように、ETC車載器10bは、ブラケットのみを交換することで、車両各部、さらには、タイプの異なるほとんどの車種に対しても容易に取り付け可能であり、高い汎用性を得ることができる。
【0136】
なお、自動二輪車12cは、図23に示すように、メータセット222の前方にウインドシールドが設けられていない車種である。このため、図24に示すように、ETC車載器10bは、その長手方向が略水平となるように設置されると、走行中の雨水等のカード挿入口234等からのケース230内への浸入を有効に防止することができるため好ましい。
【0137】
一方、図35に示すように、メータセット222の前方にウインドシールド311が設けられた自動二輪車12dにおいては、該ウインドシールド311によってある程度の雨水等のケース230内への浸入が防止できるため、ブラケット226の角度を調整し、ETC車載器10bに内蔵されたアンテナ246がETCゲート36の送受信装置38側をより良好に指向するように設置することもできる。
【0138】
なお、ETC車載器10bでは、蓋体238をヒンジ236により開閉するように構成したが、例えば、図36に示すように、ケース230の上面側に略一体となる、ポリプロピレン(PP)等の樹脂材料によるヒンジ314を用いた蓋体238aを備えたETC車載器10cとすることもできる。
【0139】
また、ETC車載器10b及び10cにおいても、ロック機構130の構成部品として、解除キー148及びロックボルト134に代えて、解除キー152及びロックボルト154(図16参照)を用いることができることは言うまでもない。
【0140】
以上、上記各実施形態により本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは当然可能である。
【0141】
上記各実施形態では、ケース88、230側にナット132を設け、蓋体90、238側にロックボルト134(154)を設けるものとしたが、これに限らず、ケース88、230側に設けられる構成要素がロック機構130の使用時に回転動作せず、揺動体側、すなわち、蓋体90、238側に設けられる構成要素が回転動作してロック・アンロックを行う構造であればよく相互の雄雌の関係を逆にすることもでき、例えば、ナット132とロックボルト134(154)の配置関係を逆にすることもできる。なお、このような場合には、例えば、ナット132に代えて、頭部を有するいわゆる袋ナットを用い、該頭部に操作用溝部134cを形成したロックナットとする一方、ロックボルト134に代えて、通常のボルトをケース側に埋設することも可能である。
【0142】
また、上記各実施形態では、いわゆるネイキッドタイプやフルカウリングタイプの自動二輪車を例示して本発明を説明したが、本発明に係る車載通信装置は、他の種別の自動二輪車(スクータタイプやオフロードタイプ等)にも搭載可能であることは勿論である。
【0143】
さらに、上記第1の実施形態に係るETC車載器10aは、アンテナ44を本体部42に一体に構成した、いわゆるアンテナ一体型としてもよく、同様に、ETC車載器10b、10cについても、アンテナをケース230から別体として構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車載通信装置としてのETC車載器を適用した自動二輪車の車体前方部を拡大した一部省略概略斜視図である。
【図2】図1に示す自動二輪車の一部省略概略側面図である。
【図3】図1に示す自動二輪車の斜め上方からの一部省略概略正面図である。
【図4】ハンドルとETC車載器の本体部との位置関係を説明するための模式平面図である。
【図5】第1の実施形態に係るETC車載器の本体部と取付機構とを示す分解斜視図である。
【図6】図6Aは、図5に示すカバー部材の平面図であり、図6Bは、図5に示すカバー部材の底面図である。
【図7】第1の実施形態に係るETC車載器を構成する本体部の概略斜視図である。
【図8】図7に示す本体部の蓋体を開いた状態での概略平面図である。
【図9】図7に示すETC車載器のバックルを取り外した状態を示す一部分解概略斜視図である。
【図10】図10Aは、図7中のX−X線に沿う一部省略概略断面図であり、図10Bは、図10Aに示す状態からバックルを開いた状態での一部省略概略断面図である。
【図11】図10中のXI矢視方向からのロックボルト及び壁部を示す概略正面図である。
【図12】図12Aは、図1に示す自動二輪車に固定されたETC車載器を示す一部省略概略側面図であり、図12Bは、図12Aに示す状態からETC車載器の本体部の蓋体を開いた状態を示す一部省略概略側面図である。
【図13】第1の実施形態に係るETC車載器の取付構造の変形例を示す模式平面図である。
【図14】図14Aは、ロック機構の取付位置の第1の変形例を示す概略斜視図であり、図14Bは、ロック機構の取付位置の第2の変形例を示す概略斜視図であり、図14Cは、ロック機構の取付位置の第3の変形例を示す概略斜視図である。
【図15】図7に示すETC車載器のバックルの他の構造を示す一部分解概略斜視図である。
【図16】解除キー及びこれに対応するロックボルトの変形例を示す概略分解斜視図である。
【図17】図16に示す解除キー及びロックボルトを組み立てた状態での概略斜視図である。
【図18】図18Aは、図16に示す解除キーを構成する第1カムの凸部の第1の変形例を示す一部省略平面図であり、図18Bは、図16に示す解除キーを構成する第1カムの凸部の第2の変形例を示す一部省略平面図であり、図18Cは、図16に示す解除キーを構成する第1カムの凸部の第3の変形例を示す一部省略平面図であり、図18Dは、図16に示す解除キーを構成する第1カムの凸部の第4の変形例を示す一部省略平面図である。
【図19】第1の実施形態に係るETC車載器の他の取付構造を適用した自動二輪車の車体前方部を拡大した一部省略概略側面図である。
【図20】図19に示す自動二輪車の一部省略概略平面図である。
【図21】図21Aは、図19に示す自動二輪車の一部省略概略斜視図であり、図21Bは、図21Aに示す状態から取付機構のカバー部材を開いた状態を示す一部省略概略斜視図である。
【図22】図19に示すETC車載器の本体部と取付機構とを示す分解斜視図である。
【図23】本発明の第2の実施形態に係る車載通信装置としてのETC車載器を搭載した自動二輪車の車両前方部を拡大した一部省略概略斜視図である。
【図24】図23に示す自動二輪車の一部省略概略側面図である。
【図25】第2の実施形態に係るETC車載器の概略斜視図である。
【図26】図25に示すETC車載器の蓋体を開いた状態での概略斜視図である。
【図27】図25に示すETC車載器を底面側から見た概略斜視図である。
【図28】図25に示すETC車載器のカード挿入方向に沿う概略断面図である。
【図29】図28中のXXIX−XXIX線に沿う一部省略概略断面図である。
【図30】図25に示すETC車載器に備えられるカード保持取出機構を説明するための一部省略斜視図である。
【図31】図28に示す状態からカードをケース内へと完全に挿入した状態を示す概略断面図である。
【図32】図25に示すETC車載器に備えられる電子回路の固定構造を説明するための一部省略概略断面図である。
【図33】図25に示すETC車載器に備えられるLEDランプの動作状態を説明するための説明図である。
【図34】第2の実施形態に係るETC車載器の他の取付例を示す一部省略概略側面図である。
【図35】第2の実施形態に係るETC車載器の他の車両への搭載例を示す一部省略概略側面図である。
【図36】第2の実施形態に係るETC車載器の変形例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0145】
10a〜10c…ETC車載器 12a〜12d…自動二輪車
40…認証メモリカード 42…本体部
88、230…ケース 90、238…蓋体
94、150…バックル 130…ロック機構
132…ナット 134、154…ロックボルト
140…壁部 148、152…解除キー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にメモリカードが収容される本体部と、アンテナとを備え、外部の通信局と交信するために車両に固定される車載通信装置であって、
前記本体部は、前記メモリカードに電気的に接続されるコネクタが配設された電子回路を収納したケースと、
前記ケースに前記メモリカードを着脱する際に開閉される蓋体と、
前記蓋体の閉じ位置で該蓋体と前記ケースとの間の防水を確保するシール部材と、
前記蓋体の閉じ位置で該蓋体と前記ケースとを密着保持する保持体と、
前記蓋体を閉じ位置でロックするロック機構と、
を備え、
前記ロック機構は、前記ケースに設けられたナット又はボルトと、
前記蓋体又は前記保持体に設けられ、前記ケースに設けられたナット又はボルトと螺合すると共に、所定のキー形状を有する解除キーにより回転可能に形成されたロックボルト又はロックナットと、
を有することを特徴とする車載通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の車載通信装置において、
前記ロックボルト又は前記ロックナットの頭部の周囲が、前記蓋体又は前記保持体に設けられ且つ前記頭部の側面より高い壁部により囲繞されていることを特徴とする車載通信装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車載通信装置において、
前記蓋体又は前記保持体の前記ロックボルト又は前記ロックナットを支持する部位の強度が、前記蓋体又は前記保持体の他の部位の強度よりも低いことを特徴とする車載通信装置。
【請求項1】
内部にメモリカードが収容される本体部と、アンテナとを備え、外部の通信局と交信するために車両に固定される車載通信装置であって、
前記本体部は、前記メモリカードに電気的に接続されるコネクタが配設された電子回路を収納したケースと、
前記ケースに前記メモリカードを着脱する際に開閉される蓋体と、
前記蓋体の閉じ位置で該蓋体と前記ケースとの間の防水を確保するシール部材と、
前記蓋体の閉じ位置で該蓋体と前記ケースとを密着保持する保持体と、
前記蓋体を閉じ位置でロックするロック機構と、
を備え、
前記ロック機構は、前記ケースに設けられたナット又はボルトと、
前記蓋体又は前記保持体に設けられ、前記ケースに設けられたナット又はボルトと螺合すると共に、所定のキー形状を有する解除キーにより回転可能に形成されたロックボルト又はロックナットと、
を有することを特徴とする車載通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の車載通信装置において、
前記ロックボルト又は前記ロックナットの頭部の周囲が、前記蓋体又は前記保持体に設けられ且つ前記頭部の側面より高い壁部により囲繞されていることを特徴とする車載通信装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車載通信装置において、
前記蓋体又は前記保持体の前記ロックボルト又は前記ロックナットを支持する部位の強度が、前記蓋体又は前記保持体の他の部位の強度よりも低いことを特徴とする車載通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【公開番号】特開2009−37523(P2009−37523A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202989(P2007−202989)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】
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