説明

車輌用前照灯

【課題】 ランプハウジングに対する各部品の組付作業における作業性の向上を図る。
【解決手段】 開口2aを有するランプハウジング2とランプハウジングの開口を閉塞するカバー3とによって構成された灯具外筐4と、灯具外筐の内部に配置され光源33dと該光源から出射された光を反射するリフレクター33aとを有すると共にランプハウジングに対して少なくとも一つの傾動支点を基準として所定の方向へ傾動可能とされたランプユニット33とを設け、ランプハウジングの少なくとも傾動支点の上方に開口を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車輌用前照灯に関する。詳しくは、ランプハウジングの上方の少なくとも一部に開口を形成してランプハウジングの内部への各部品の組付作業における作業性の向上を図る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用前照灯には、例えば、カバーとランプハウジングによって構成された灯具外筐の内部に、光源や該光源から出射された光を反射するリフレクターを有するランプユニットが配置されたものがある。
【0003】
このような車輌用前照灯には、ランプユニットが光軸調整用スクリューとして機能するエイミングスクリューやレベリング駆動部等の光軸調整機構によってランプハウジングの後面部に傾動可能に支持されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載された車輌用前照灯にあっては、ランプハウジングが前方に開口された箱状に形成され、ランプハウジングの後面部に二つのエイミングスクリューとレベリング駆動部がそれぞれ挿通されて取り付けられている。二つのエイミングスクリューは前端側に形成された螺軸部がそれぞれ軸受部材を介してランプユニットに螺合されて連結され、レベリング駆動部は前端部に設けられた球状の連結部が軸受部材を介してランプユニットに連結されている。
【0005】
特許文献1に記載された車輌用前照灯において、一方のエイミングスクリューが回転されると、エイミングスクリューの回転方向に応じてランプユニットがランプハウジングに対して前後方向又は左右方向へ傾動され、光軸の向きの初期調整である所謂エイミング調整が行われる。また、レベリング駆動部の駆動により球状の連結部が前後方向へ移動されると、連結部の移動方向に応じてランプユニットがランプハウジングに対して上下方向へ傾動され、車載物の重量によって変化する光軸の向きを調整する所謂レベリング調整が行われる。
【0006】
【特許文献1】特開2007−55600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に記載された車輌用前照灯にあっては、ランプハウジングが前方に開口された箱状に形成されており、ランプハウジングの内部にランプユニットを組み付ける組付作業や軸受部材の組付作業を前後方向において行う必要があり、組付作業が困難である場合も多く、組付に要する作業時間が長くなり、製造コストが高いと言う問題もある。
【0008】
特に、ランプユニット等の組付を前後方向において行う場合には、手作業によるところが多く、ロボット等による組付の自動化を図ることが困難である。
【0009】
そこで、本発明車輌用前照灯は、上記した問題点を克服し、ランプハウジングに対する各部品の組付作業における作業性の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
車輌用前照灯は、上記した課題を解決するために、開口を有するランプハウジングと該ランプハウジングの前記開口を閉塞するカバーとによって構成された灯具外筐と、前記灯具外筐の内部に配置され光源と該光源から出射された光を反射するリフレクターとを有すると共に前記ランプハウジングに対して少なくとも一つの傾動支点を基準として所定の方向へ傾動可能とされたランプユニットとを備え、前記ランプハウジングは少なくとも前記傾動支点の上方に前記開口が形成されたものである。
【0011】
従って、車輌用前照灯にあっては、ランプハウジングの上方の開口からランプハウジングの内部への部品の挿入が可能とされる。
【発明の効果】
【0012】
本発明車輌用前照灯は、開口を有するランプハウジングと該ランプハウジングの前記開口を閉塞するカバーとによって構成された灯具外筐と、前記灯具外筐の内部に配置され光源と該光源から出射された光を反射するリフレクターとを有すると共に前記ランプハウジングに対して少なくとも一つの傾動支点を基準として所定の方向へ傾動可能とされたランプユニットとを備え、前記ランプハウジングは少なくとも前記傾動支点の上方に前記開口が形成されたことを特徴とする。
【0013】
従って、ランプユニットの傾動支点として機能する部品を組み付ける組付作業を容易に行うことができ、組付に要する作業時間の短縮化を図ることができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0014】
請求項2に記載した発明にあっては、前記ランプユニットの光軸の向きを調整する光軸調整用スクリューと、前記灯具外筐の内部に配置されると共に前記ランプユニットを保持するブラケットとを設け、前記ブラケットを前記ランプハウジングに前記所定の方向へ傾動可能に連結し、前記ブラケットと前記ランプハウジングの連結部を前記傾動支点とし、前記ランプユニットを前記ランプハウジングに対して光軸調整用スクリューによって傾動させて光軸の向きを調整するようにしている。
【0015】
従って、光軸調整用スクリューにブラケット及びランプユニットの重量が付与されないため、車輌の走行時における耐振動性の向上を図ることができる。
【0016】
請求項3に記載した発明にあっては、前記光軸調整用スクリューに回転操作される被操作部とネジ溝が形成された螺軸部とを設け、前記光軸調整用スクリューを前記ランプハウジングに軸回り方向へ回転自在に支持し、前記ブラケットの所定の面に前記光軸調整用スクリューの螺軸部が螺合される螺溝部を一体に形成している。
【0017】
従って、光軸調整用スクリューに螺合するナット部材やギヤ部材等の必要がなく、部品点数の削減を図ることができる。
【0018】
請求項4に記載した発明にあっては、回転操作される被操作部とネジ溝が形成された螺軸部とを有すると共に前記ランプハウジングに軸回り方向へ回転自在に支持され前記ランプユニットを前記ランプハウジングに対して傾動させて光軸の向きを調整する光軸調整用スクリューを設け、前記光軸調整用スクリューの取付方向における異なる位置に螺軸部としてネジ溝の向きが異なる第1の螺軸部と第2の螺軸部を形成し、前記ブラケットに前記第1の螺軸部に螺合する第1の螺溝部と前記第2の螺軸部に螺合する第2の螺溝部を形成している。
【0019】
従って、一つの光軸調整用スクリューによって二方向におけるエイミング調整を行うことができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0020】
請求項5に記載した発明にあっては、前記ランプユニットをベアリングに支持された回動軸を支点として前記ランプハウジングに対して水平方向へ回動可能とし、前記ベアリングが、外レースと、該外レースの内周面と前記回動軸の外周面との間で転動される複数のボールとを有し、前記回動軸と前記外レースと前記複数のボールを何れも樹脂材料によって形成している。
【0021】
従って、製造コストの低減を図ることができる。
【0022】
請求項6に記載した発明にあっては、前記ランプユニットをベアリングに支持された回動軸を支点として前記ランプハウジングに対して水平方向へ回動可能とし、前記ベアリングが、外レースと、該外レースの内周面と前記回動軸の外周面との間で転動される複数のボールとを有し、前記ランプハウジングの下端部に配置孔を形成し、上方に開口された配置凹部を有し前記ランプハウジングの配置孔を閉塞するボトムカバーを設け、前記ボトムカバーの配置凹部に前記ベアリングと前記回動軸を配置し、前記ベアリングの外レースを前記ボトムカバーの配置凹部に圧入し、又は、前記ベアリングの外レースを前記ボトムカバーと一体に形成している。
【0023】
従って、ボトムカバーに外レースを固定するためのネジや接着剤等を必要とせず、組付工数の削減及び部品点数の削減による製造コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明車輌用前照灯を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する(図1乃至図10参照)。
【0025】
先ず、第1の実施の形態に係る車輌用前照灯1について説明する(図1及び図2参照)。
【0026】
車輌用前照灯1は、車体の前端部における左右両端部に取り付けられて配置されている。
【0027】
車輌用前照灯1は、図1及び図2に示すように、前方及び上方に開放された開口2aを有するランプハウジング2と該ランプハウジング2の開口2aを閉塞するカバー3とを備えている。ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成され、該灯具外筐4の内部空間が灯室5として形成されている。
【0028】
ランプハウジング2の後面部には孔2b、2bが左右に離隔して形成されている。ランプハウジング2の後面部には図示しないバックカバーが取り付けられて孔2b、2bが閉塞される。ランプハウジング2の後面部には孔2b、2bの間の位置に挿通孔2c、2cが左右に離隔して形成されている。
【0029】
ランプハウジング2には内部に上方を向く取付面部6、6が左右に離隔して設けられている。取付面部6、6にはそれぞれ取付孔6a、6aが形成されている。
【0030】
ランプハウジング2には内部に上方を向くボス形成部7が設けられ、該ボス形成部7に取付ボス7a、7a、7aが設けられている。
【0031】
取付面部6、6の取付孔6a、6aにはそれぞれピボット8、8が上方から取り付けられる。ピボット8は上下に延びる形状に形成され、上端部に球状部8aを有し、上下方向における略中央部にフランジ状の挿入規制部8bを有している。ピボット8は挿入規制部8bより下側の部分が取付孔6aに挿入されて取付面部6に取り付けられる。
【0032】
ピボット8、8にはそれぞれ取付部材9、9が上方から連結される。取付部材9には、下端部に下方に開口された略球状の図示しない嵌合凹部が形成され、外周部に弾性変形可能な係合突部9a、9aが設けられている。取付部材9の係合突部9a、9aの下側には外方へ張り出されたフランジ状の係合部9bが設けられている。
【0033】
取付部材9は嵌合凹部に球状部8aが下方から挿入されて嵌合されることによりピボット8に連結される。ピボット8に取付部材9が連結された状態においては、取付部材9が球状部8aを支点としてピボット8に対して任意の方向へ回動可能とされる。
【0034】
取付部材9、9には第1のブラケット10が上方から取り付けられる。第1のブラケット10は上下方向を向くベース面部11と該ベース面部11の左右両側縁からそれぞれ上方へ突出された側面部12、12と該側面部12、12の上縁からそれぞれ外方へ突出された被取付面部13、13とが一体に形成されて成る。
【0035】
ベース面部11には、左半部にそれぞれ上方へ突出された取付突部11a、11a、11aが設けられ、後端部に連結孔11bが形成され、右端寄りの位置に支持孔11cが形成され、略中央部に前後に離隔してストッパー突部11d、11dが設けられている。
【0036】
被取付面部13、13にはそれぞれ被支持孔13a、13aが形成されている。
【0037】
第1のブラケット10は被取付面部13、13の被支持孔13a、13aにそれぞれ取付部材9、9が下方から挿入され、係合突部9a、9a、・・・と係合部9b、9bがそれぞれ被支持孔13a、13aの上側開口縁と下側開口縁に係合されることにより取付部材9、9に取り付けられる。
【0038】
第1のブラケット10は、取付部材9、9がそれぞれ球状部8a、8aを支点としてピボット8、8に対して任意の方向へ回動可能とされているため、前縁及び後縁が略上下に移動する方向へランプハウジング2に対して傾動可能とされる。
【0039】
第1のブラケット10には第2のブラケット14が回動自在に支持される。第2のブラケット14は上下方向を向く基面部15と該基面部15の側方における一端部から上方へ突出された支持突部16とが一体に形成されて成る。
【0040】
基面部15には下方へ突出され弾性変形可能な被支持突部15a、15a、・・・が周方向に離隔して設けられている。基面部15には上方へ突出された取付軸15b、15b、15bが設けられている。
【0041】
支持突部16には前後方向に貫通された枠取付孔が形成されている。枠取付孔には矩形状の枠部材17が取り付けられている。
【0042】
第2のブラケット14は被支持突部15a、15a、・・・がベース面部11の支持孔11cに上方から挿入されて摺動自在に係合され、第1のブラケット10に支持孔11cを支点として水平方向へ回動自在に支持される。
【0043】
支持突部16の枠取付孔に取り付けられた枠部材17には第1のナット部材18が取り付けられて保持される。第1のナット部材18には、前端部に弾性係合部18a、18aが設けられ、該弾性係合部18a、18aの後側に外方へ張り出されたフランジ状の張出部18bが設けられ、内部に前後に貫通された図示しない螺溝部が形成されている。第1のナット部材18はそれぞれ弾性係合部18a、18aと張出部18bが枠部材17の前側開口縁と後側開口縁に係合されて取り付けられる。
【0044】
ランプハウジング2の一方の挿通孔2cには光軸調整用スクリューとして機能するエイミングスクリュー19が軸回り方向へ回転自在に支持される。エイミングスクリュー19は前後方向に長い軸部20と該軸部20の後端に連続されギヤ歯を有する被操作部21とが設けられ、軸部20の前端部に螺軸部20aが形成されている。
【0045】
エイミングスクリュー19は軸部20がランプハウジング2の一方の挿通孔2cに軸方向へ移動不能かつ軸回り方向へ回転可能な状態で挿通され螺軸部20aが第1のナット部材18に挿通されて螺溝部に螺合される。従って、被操作部21が操作されてエイミングスクリュー19が回転されると第1のナット部材18の螺溝部がエイミングスクリュー19の回転方向に応じて前後方向へ送られ、第2のブラケット14が第1のブラケット10に対してエイミングスクリュー19の回転方向に応じた方向へ支持孔11cに支持された被支持突部15a、15a、15aを支点として回動される。
【0046】
ランプハウジング2のボス形成部7に設けられた取付ボス7a、7a、7aには上下方向を向くプレート22が、例えば、上方からネジ止めによって取り付けられる。
【0047】
プレート22には挿入取付孔22aが形成されている。プレート22には上方からレベリングアクチュエーター23が取り付けられる。
【0048】
レベリングアクチュエーター23は図示しないモーターを有する駆動体24と該駆動体24に回転自在に支持されたギヤ体25とを有している。ギヤ体25はクラウンギヤ部26と該クラウンギヤ部26から下方へ突出された軸部27とから成り、軸部27の下端部に螺軸部27aを有している。
【0049】
レベリングアクチュエーター23は駆動体24の下端部がプレート22の挿入取付孔22aに上方から挿入されて取り付けられ、螺軸部27aが挿入取付孔22aから下方へ突出される。
【0050】
第1のブラケット10の連結孔11bには第2のナット部材28が上方から取り付けられて保持される。第2のナット部材28には、下端部に弾性係合部28a、28aが設けられ、該弾性係合部28a、28aの上側に外方へ張り出されたフランジ状の張出部28bが設けられ、内部に上下に貫通された図示しない螺溝部が形成されている。第2のナット部材28はそれぞれ弾性係合部28a、28aと張出部28bが連結孔11bの下側開口縁と上側開口縁に係合されて取り付けられる。
【0051】
第2のナット部材28には螺軸部にレベリングアクチュエーター23のギヤ体25の軸部27が上方から挿通され、ギヤ体25は螺軸部27aが第2のナット部材28の螺溝部に螺合される。従って、駆動体24の駆動力によってギヤ体25が回転されると第2のナット部材28の螺溝部がギヤ体25の回転方向に応じて上下方向へ送られ、第1のブラケット10と第2のブラケット14が一体となってランプハウジング2に対してギヤ体25の回転方向に応じた方向へピボット8、8の球状部8a、8aを支点として前後に傾く方向へ回動される。
【0052】
ランプハウジング2の他方の挿通孔2cには光軸調整用スクリューとして機能するエイミングギヤ29が軸回り方向へ回転自在に支持される。エイミングギヤ29は前後方向に長い軸部30と該軸部30の後端に連続されギヤ歯を有する被操作部31とが設けられ、軸部30の前端部にギヤ部30aが形成されている。
【0053】
エイミングギヤ29は軸部30がランプハウジング2の他方の挿通孔2cに軸方向へ移動不能かつ軸回り方向へ回転可能な状態で挿通されギヤ部30aがギヤ体25のクラウンギヤ部26に螺合される。従って、被操作部31が操作されてエイミングギヤ29が回転されるとレベリングアクチュエーター23のギヤ体25がエイミングギヤ29の回転方向に応じた方向へ回転され、第1のブラケット10と第2のブラケット14が一体となってランプハウジング2に対してギヤ体25の回転方向に応じた方向へピボット8、8の球状部8a、8aを支点として前後に傾く方向へ回動される。
【0054】
第1のブラケット10の取付突部11a、11a、11aには、例えば、ネジ止めによって上方から第1のランプユニット32が取り付けられる。第1のランプユニット32は、例えば、遠距離を照射するハイビーム用のランプユニットであり、リフレクター32aと該リフレクター32aの前端部に取り付けられたレンズホルダー32bと該レンズホルダー32bに保持された投影レンズ32cとリフレクター32aの後端部に取り付けられた光源32dとを有している。
【0055】
第2のブラケット14の取付軸15b、15b、15bには、例えば、ネジ止めによって上方から第2のランプユニット33が取り付けられる。第2のランプユニット33は、例えば、近距離を照射するロービーム用のランプユニットであり、リフレクター33aと該リフレクター33aの前端部に取り付けられたレンズホルダー33bと該レンズホルダー33bに保持された投影レンズ33cとリフレクター33aの後端部に取り付けられた光源33dとを有している。
【0056】
以上のように構成された車輌用前照灯1において、エイミングスクリュー19が回転されると、上記したように、第2のブラケット14が第1のブラケット10に対してエイミングスクリュー19の回転方向に応じた方向へ被支持突部15a、15a、15aを支点として回動され、第2のブラケット14に取り付けられた第2のランプユニット33が第2のブラケット14の回動に伴って回動される。従って、第2のランプユニット33の光軸の向きが左右方向へ変化され、水平方向におけるエイミング調整が行われる。上記のように被支持突部15a、15a、15aは第2のランプユニット33の水平方向におけるエイミング調整が行われるときの回動支点(傾動支点)とされる。
【0057】
このとき第2のブラケット14の回動が第1のブラケット10に設けられたストッパー突部11d、11dによって規制される。
【0058】
また、エイミングギヤ29が回転されると、上記したように、第1のブラケット10と第2のブラケット14が一体となってランプハウジング2に対してエイミングギヤ29の回転方向に応じた方向へピボット8、8の球状部8a、8aを支点として回動され、第1のブラケット10と第2のブラケット14にそれぞれ取り付けられた第1のランプユニット32と第2のランプユニット33が第1のブラケット10と第2のブラケット14の回動に伴って回動される。従って、第1のランプユニット32と第2のランプユニット33の光軸の向きが上下方向へ変化され、垂直方向におけるエイミング調整が行われる。上記のように球状部8a、8aは第1のランプユニット32と第2のランプユニット33の垂直方向におけるエイミング調整が行われるときの回動支点(傾動支点)とされる。
【0059】
さらに、レベリングアクチュエーター23の駆動体24によってギヤ体25が回転されると、上記したように、第1のブラケット10と第2のブラケット14が一体となってランプハウジング2に対してギヤ体25の回転方向に応じた方向へピボット8、8の球状部8a、8aを支点として回動され、第1のブラケット10に取り付けられた第1のランプユニット32と第2のブラケット14に取り付けられた第2のランプユニット33がそれぞれ第1のブラケット10と第2のブラケット14の回動に伴って回動される。従って、第1のランプユニット32と第2のランプユニット33の光軸の向きが上下方向へ変化され、レベリング調整が行われる。上記のように球状部8a、8aは第1のランプユニット32と第2のランプユニット33のレベリング調整が行われるときの回動支点(傾動支点)とされる。
【0060】
以上に記載した通り、車輌用前照灯1にあっては、ランプハウジング2が前方及び上方に開口された箱状に形成されており、ランプハウジング2の内部に第1のランプユニット32や第2のランプユニット33等の所要の各部を上方から組み付けることができる。従って、第1のランプユニット32や第2のランプユニット33等を組み付ける組付作業を容易に行うことができ、組付に要する作業時間の短縮化を図ることができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0061】
特に、第1のランプユニット32や第2のランプユニット33等の組付を上方から行うことができるため、ロボット等による組付の自動化を図ることが可能である。
【0062】
尚、上記には、ランプハウジング2の上方の全体が開口されている例を示したが、ランプハウジングは必ずしも上方の全体が開口されている必要はなく、ランプハウジングは上方からの組付を行おうとする部品の上方のみが開口されていればよく、例えば、少なくとも傾動支点の上方が開口されていてもよい。
【0063】
次に、第2の実施の形態に係る車輌用前照灯1Aについて説明する(図3及び図4参照)。
【0064】
車輌用前照灯1Aは、車体の前端部における左右両端部に取り付けられて配置されている。
【0065】
車輌用前照灯1Aは、図3及び図4に示すように、前方及び上方に開放された開口2dを有するランプハウジング2Aと該ランプハウジング2Aの開口2dを閉塞するカバー3Aとを備えている。ランプハウジング2Aとカバー3Aによって灯具外筐4Aが構成され、該灯具外筐4Aの内部空間が灯室5Aとして形成されている。
【0066】
ランプハウジング2Aの後面部には孔2eが形成されている。ランプハウジング2Aの後面部には図示しないバックカバーが取り付けられて孔2eが閉塞される。
【0067】
ランプハウジング2Aの内部には下面部から上方へ突出された取付突部34、34が左右に離隔して設けられている。ランプハウジング2Aの内部には下面部から上方へ突出された支持突部35、35が左右に離隔して設けられ、該支持突部35、35はそれぞれ取付突部34、34の前方に位置されている。一方の支持突部35の内側の側面には略球状の支持凹部35aが形成され、他方の支持突部35の上端部には側方及び上方に開口された受け凹部35bが形成されている。
【0068】
取付突部34、34にはそれぞれ第1のエイミングスクリュー36と第2のエイミングスクリュー37が支持部材38、38を介して上方から取り付けられる。第1のエイミングスクリュー36と第2のエイミングスクリュー37はそれぞれ支持部材38、38に軸回り方向へ回動自在に支持され、略前半部にそれぞれ螺軸部36a、37aを有している。
【0069】
第1のエイミングスクリュー36は、例えば、前下がりに傾斜された向きで取付突部34に取り付けられ、第2のエイミングスクリュー37は、例えば、前後方向に延びる向きで取付突部34に取り付けられている。
【0070】
支持突部35、35にはブラケット39が上方から支持される。ブラケット39は上下方向を向くベース面部40と該ベース面部40の左右両側縁からそれぞれ上方へ突出された側面部41、41とが一体に形成されて成る。
【0071】
側面部41、41の後端部にはそれぞれ外方へ突出されたギヤ保持部41a、41aが設けられている。一方の側面部41には外方へ突出された被支持軸42が設けられ、該被支持軸42の先端部に球状部42aが設けられている。他方の側面部41には外方へ突出された被支持軸43が設けられている。
【0072】
側面部41、41のギヤ保持部41a、41aにはそれぞれ扇形状に形成された第1のギヤ44と第2のギヤ45が保持されている。
【0073】
ブラケット39は、被支持軸42の球状部42aが一方の支持突部35に形成された支持凹部35aに挿入されて支持され、被支持軸43が他方の支持突部35に形成された受け凹部35bに載置されて支持される。
【0074】
ブラケット39が支持突部35、35に支持された状態において、第1のエイミングスクリュー36の螺軸部36aが第1のギヤ44に螺合され、第2のエイミングスクリュー37の螺軸部37aが第2のギヤ45に螺合される。従って、第1のエイミングスクリュー36が回転されると該第1のエイミングスクリュー36に螺合された第1のギヤ44が第1のエイミングスクリュー36の回転方向に応じた方向へ送られ、ブラケット39が被支持軸42の球状部42aを支点として水平方向へ回動される。また、第2のエイミングスクリュー37が回転されると該第2のエイミングスクリュー37に螺合された第2のギヤ45が第2のエイミングスクリュー37の回転方向に応じた方向へ送られ、ブラケット39が被支持軸42の球状部42aを支点として上下に傾く方向へ回動される。
【0075】
ブラケット39が球状部42aを支点として水平方向へ回動されるときには被支持軸43が受け凹部35aに摺動され、ブラケット39が球状部42aを支点として上下に傾く方向へ回動されるときには被支持軸43が軸回り方向へ回転される。
【0076】
ブラケット39のベース面部40には、例えば、ネジ止めによって上方からアクチュエーター46が取り付けられる。
【0077】
アクチュエーター46はモーター等の図示しない駆動体によって動作され上方へ突出された連結軸46aを有している。連結軸46aは駆動体の駆動力によって軸回り方向へ回転可能とされると共に垂直面内において略前後方向へ移動するように緩やかな円弧状の軌跡を描くようにスライド可能とされている。
【0078】
アクチュエーター46の連結軸46aにはランプユニット47が取り付けられる。ランプユニット47は、例えば、近距離を照射するロービーム用のランプユニットであり、リフレクター47aと該リフレクター47aの前端部に取り付けられたレンズホルダー47bと該レンズホルダー47bに保持された投影レンズ47cとリフレクター47aの後端部に取り付けられた光源47fとを有している。レンズホルダー47bの上端部には上下に延びる回動支持軸47dが設けられている。回動支持軸47dの上端部には球状部47eが設けられている。
【0079】
ランプユニット47は回動支持軸47dの球状部47eが灯室5の内部に配置された図示しない支持部材に任意の方向へ回動可能に連結されている。
【0080】
以上のように構成された車輌用前照灯1Aにおいて、第1のエイミングスクリュー36が回転されると、上記したように、ブラケット39が球状部42aを支点として水平方向へ回動され、ブラケット39の回動に伴ってランプユニット47が水平方向へ傾動される。従って、ランプユニット47の光軸の向きが左右方向へ変化され、水平方向におけるエイミング調整が行われる。上記のように被支持軸42の球状部42aはランプユニット47の水平方向におけるエイミング調整が行われるときの回動支点(傾動支点)とされる。
【0081】
また、第2のエイミングスクリュー37が回転されると、上記したように、ブラケット39が球状部42aを支点として上下に傾く方向へ回動され、ブラケット39の回動に伴ってランプユニット47が上下に傾動される。従って、ランプユニット47の光軸の向きが上下方向へ変化され、垂直方向におけるエイミング調整が行われる。上記のように被支持軸42の球状部42aはランプユニット47の垂直方向におけるエイミング調整が行われるときの回動支点(傾動支点)とされる。
【0082】
さらに、アクチュエーター46の駆動により連結軸46aが略前後方向へ移動するように緩やかな円弧状の軌跡を描くようにスライドされると、ランプユニット47が回動支持軸47dの球状部47eを支点とされ略前後方向へ移動するように傾動され、光軸の向きが上下方向へ変化されてレベリング調整が行われる。上記のように回動支持軸47dの球状部47eはランプユニット47のレベリング調整が行われるときの回動支点(傾動支点)とされる。
【0083】
尚、アクチュエーター46の駆動により連結軸46aが軸回り方向へ回転されると、ランプユニット47が水平方向へ回動されて車輌の進行方向に追従させるように光軸の向きを変更する所謂スイブル機能が実行される。
【0084】
以上に記載した通り、車輌用前照灯1Aにあっては、ランプハウジング2Aが前方及び上方に開口された箱状に形成されており、ランプハウジング2Aの内部にランプユニット47等の所要の各部を上方から組み付けることができる。従って、ランプユニット47等を組み付ける組付作業を容易に行うことができ、組付に要する作業時間の短縮化を図ることができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0085】
特に、ランプユニット47等の組付を上方から行うことができるため、ロボット等による組付の自動化を図ることが可能である。
【0086】
尚、上記には、ランプハウジング2Aの上方の全体が開口されている例を示したが、ランプハウジングは必ずしも上方の全体が開口されている必要はなく、ランプハウジングは上方からの組付を行おうとする部品の上方のみが開口されていればよく、例えば、少なくとも傾動支点の上方が開口されていてもよい。
【0087】
また、車輌用前照灯1Aにあっては、ランプユニット47を保持するブラケット39をランプハウジング2Aに傾動可能に連結する構成とされているため、第1のエイミングスクリュー36と第2のエイミングスクリュー37がブラケット39及びランプユニット47を支える構造とされておらず、第1のエイミングスクリュー36、第2のエイミングスクリュー37にブラケット39及びランプユニット47の重量が付与されることがなく、車輌の走行時における耐振動性の向上を図ることができる。
【0088】
尚、第2の実施の形態に係る車輌用前照灯1Aにあっても、第1の実施の形態に係る車輌用前照灯1と同様に、ランプユニット47とは異なるランプユニットを、例えば、遠距離を照射するハイビーム用のランプユニットを配置することも可能である。この場合には、ハイビーム用のランプユニットを保持するブラケットや光軸調整を行うエイミングスクリュー等の各部を追加して配置すればよい。
【0089】
次に、各変形例について説明する(図5乃至図11参照)。
【0090】
先ず、第1の変形例について説明する。第1の変形例は、ブラケットに、二つのエイミングスクリューがそれぞれ螺合する二つの螺溝部を形成した例である(図5参照)。
【0091】
ブラケット50は上下方向を向くベース部51と該ベース部51の後端部から上方へ突出された連結面部52とを有している。
【0092】
ベース部51の前端部には下方へ突出された連結軸51aが設けられ、該連結軸51aの下端部が球状部51bとして設けられている。
【0093】
連結面部52の後面には左右に離隔して第1の螺溝部52aと第2の螺溝部52bが形成されている。第1の螺溝部52aと第2の螺溝部52bはネジ溝の向きが、例えば、直交する向きとされている。
【0094】
ブラケット50には図示しないランプユニットが保持されている。
【0095】
ブラケット50は、例えば、ランプハウジング53に形成された図示しない支持部に球状部51bが挿入され、該球状部51bを支点として任意の方向へランプハウジング53に対して回動可能とされる。
【0096】
ランプハウジング53には、例えば、その後面部54の上端部から前方へ突出された支持突部55が設けられている。支持突部55にはそれぞれ光軸調整用スクリューとして機能する第1のエイミングスクリュー56と第2のエイミングスクリュー57が左右に離隔して軸回り方向へ回転自在に支持されている。第1のエイミングスクリュー56と第2のエイミングスクリュー57はそれぞれ上下に延びる向きで支持突部55に支持されている。
【0097】
第1のエイミングスクリュー56と第2のエイミングスクリュー57にはそれぞれ被操作部56a、57aと螺軸部56b、57bが設けられ、該螺軸部56b、57bのネジ溝の向きが異なるようにされている。
【0098】
第1のエイミングスクリュー56は螺軸部56bがブラケット50に形成された第1の螺溝部52aに螺合され、第2のエイミングスクリュー57は螺軸部57bがブラケット50に形成された第2の螺溝部52bに螺合されている。
【0099】
第1のエイミングスクリュー56が軸回り方向へ回転されると、その回転方向に応じた方向へ第1の螺溝部52aが送られ、ランプユニットとブラケット50が一体となって球状部51bを支点として、例えば、垂直方向へ回動される。従って、ランプユニットの光軸の向きが上下方向へ変化され、垂直方向におけるエイミング調整が行われる。
【0100】
また、第2のエイミングスクリュー57が軸回り方向へ回転されると、その回転方向に応じた方向へ第2の螺溝部52bが送られ、ランプユニットとブラケット50が一体となって球状部51bを支点として、例えば、水平方向へ回動される。従って、ランプユニットの光軸の向きが左右方向へ変化され、水平方向におけるエイミング調整が行われる。
【0101】
上記したように、第1の変形例にあっては、ブラケット50に第1の螺溝部52aと第2の螺溝部52bが一体に形成されているため、第1のエイミングスクリュー56と第2のエイミングスクリュー57にそれぞれ螺合するナット部材やギヤ部材等の必要がなく、部品点数の削減を図ることができる。
【0102】
次に、第2の変形例について説明する。第2の変形例は、一つのエイミングスクリューに、二つの螺溝部とそれぞれ螺合する二つの螺軸部を形成した例である(図6乃至図9参照)。
【0103】
ブラケット60は上下方向を向くベース部61と該ベース部61の後端部から上方へ突出された連結面部62とを有している(図6参照)。
【0104】
ベース部61の前端部には下方へ突出された連結軸61aが設けられ、該連結軸61aの下端部が球状部61bとして設けられている。
【0105】
ベース部61の下面における後端部には下方へ突出された突部63が設けられ、該突部63には、緩やかな円弧状の螺溝形成面64が形成されている。螺溝形成面64には左右に離隔して第1の螺溝部64aと第2の螺溝部64bが形成されている。第1の螺溝部64aと第2の螺溝部64bはネジ溝の向きが、例えば、直交する向きとされている。
【0106】
ブラケット60には図示しないランプユニットが保持されている。
【0107】
ブラケット60は、例えば、ランプハウジング65に形成された図示しない支持部に球状部61bが挿入され、該球状部61bを支点として任意の方向へランプハウジング65に対して回動可能とされる。
【0108】
ランプハウジング65には、例えば、その側面部66に軸支持孔67が形成されている。軸支持孔67は細幅の中間部67aと該中間部67aの両端にそれぞれ連続された大径の保持部67b、67bとから成る。
【0109】
軸支持孔67にはエイミングスクリュー68が軸回り方向へ回転自在に支持されている。エイミングスクリュー68は軸部材69に被操作部材70が軸部材69の軸方向へ移動自在に支持されて成り、軸部材69と被操作部材70の間には付勢バネ71が配置されている(図7参照)。
【0110】
軸部材69の軸方向における一端部には軸方向に離隔して第1の螺軸部69aと第2の螺軸部69bが設けられ、該第1の螺軸部69aと第2の螺軸部69bはネジ溝の向きが異なるようにされている。軸部材69の軸方向における他端部にはフランジ部69cが設けられている。軸部材69の軸方向における他端部には軸方向に開口された案内穴69dが形成されている。案内穴69dには図示しないストッパー部が形成されている。
【0111】
被操作部材70には軸方向に離隔してフランジ部70a、70aが設けられ、該フランジ部70a、70a間に二つの大径部70b、70bと該大径部70b、70b間に位置する小径部70cとが設けられている。被操作部材70には、軸方向における一端部に軸方向に延びる細径の被案内軸70dが設けられ、軸方向における他端部に、例えば、六角柱状の被操作部70eが設けられている。被案内軸70dには図示しない被ストッパー部が設けられている。
【0112】
エイミングスクリュー68は被操作部材70の被案内軸70dが軸部材69の案内穴69dに挿入され、被操作部材70が軸部材69に軸方向へ移動自在に支持される。軸部材69のフランジ部69cと被操作部材70のフランジ部70aとの間に、例えば、圧縮コイルバネである付勢バネ71が支持されている。従って、付勢バネ71には被案内軸70dの一部が挿入されて配置されている。
【0113】
エイミングスクリュー68は付勢バネ71によって被操作部材70が軸部材69に対して軸方向において離隔する方向へ付勢され、案内穴69dに形成されたストッパー部に被案内軸70dに設けられた被ストッパー部が係合することにより被操作部材70が軸部材69に保持されている。
【0114】
エイミングスクリュー68は軸部材69側に位置するフランジ部70aが付勢バネ71の付勢力によって軸支持孔67における何れかの保持部67b、67bの内側開口縁に内側から押し付けられることにより保持される。このとき被操作部材70は大径部70bが保持部67bから外方へ突出されている。
【0115】
エイミングスクリュー68が一方の保持部67bに保持されている状態と他方の保持部67bに保持されている状態とでは、エイミングスクリュー68の延びる向きが異なるようにされている(図8及び図9参照)。
【0116】
エイミングスクリュー68が一方の保持部67bに保持されている状態においては、図8に示すように、第1の螺軸部69aがベース部61の突部63に形成された第1の螺溝部64aに螺合され、エイミングスクリュー68が他方の保持部67bに保持されている状態においては、図9に示すように、第2の螺軸部69bがベース部61の突部63に形成された第2の螺溝部64bに螺合される。
【0117】
エイミングスクリュー68の保持部67b、67b間の移動は、エイミングスクリュー68が保持部67bに保持されている状態において、被操作部材70を付勢バネ71の付勢力に抗して軸部材69に近付ける方向へ押圧し、軸支持孔67の中間部67aに小径部70cを通過させることにより行うことができる。
【0118】
第1の螺軸部69aが第1の螺溝部64aに螺合されている状態において被操作部70eが操作されてエイミングスクリュー68が軸回り方向へ回転されると、その回転方向に応じた方向へ第1の螺溝部64aが送られ、ランプユニットとブラケット60が一体となって球状部61bを支点として、例えば、水平方向へ回動される。従って、ランプユニットの光軸の向きが左右方向へ変化され、水平方向におけるエイミング調整が行われる。
【0119】
また、第2の螺軸部69bが第2の螺溝部64bに螺合されている状態において被操作部70eが操作されてエイミングスクリュー68が軸回り方向へ回転されると、その回転方向に応じた方向へ第2の螺溝部64bが送られ、ランプユニットとブラケット60が一体となって球状部61bを支点として、例えば、垂直方向へ回動される。従って、ランプユニットの光軸の向きが上下方向へ変化され、垂直方向におけるエイミング調整が行われる。
【0120】
上記したように、第2の変形例にあっては、エイミングスクリュー68に第1の螺軸部69aと第2の螺軸部69bが形成されているため、一つのエイミングスクリュー68によって水平方向及び垂直方向の二方向におけるエイミング調整を行うことができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0121】
また、第2の変形例にあっても、第1の変形例と同様に、ブラケット60に第1の螺溝部64aと第2の螺溝部64bが一体に形成されているため、一層の部品点数の削減を図ることができる。
【0122】
さらに、付勢バネ71の付勢力によってエイミングスクリュー68が軸支持孔67の保持部67b、67bに保持されるため、車輌の走行中等の振動や衝撃によってエイミングスクリュー68が軸支持孔67から脱落し難く、耐振動性の向上及び耐衝撃性の向上を図ることができる。
【0123】
次に、第3の変形例について説明する。第3の変形例は、車輌の進行方向に追従させるようにランプユニットを水平方向へ回動させて光軸の向きを変更する所謂スイブル機能を有する車輌用前照灯において、ランプユニットの水平方向における回動支点となる部分の構成に関する例である(図10参照)。
【0124】
回動支点となる回動軸80は樹脂材料によって形成され、ベアリング81に回動自在に支持されている。回動軸80は外周面80aが縦断面形状で円弧状に凹んだ形状に形成されている。
【0125】
ベアリング81はそれぞれ樹脂材料によって形成された外レース82と複数のボール83、83、・・・とを有している。外レース82は内周面82aが縦断面形状で円弧状に凹んだ形状に形成されている。ボール83、83、・・・は回動軸80の外周面80aと外レース82の内周面82aとの間で転動可能とされている。
【0126】
このように回動軸80の外周面80aと外レース82の内周面82aとが何れも縦断面形状で円弧状に凹んだ形状に形成されているため、ランプユニットの水平方向における回動時に、回動軸80のランプユニット等に対する組付誤差を吸収するように外レース82又は回動軸80が中心Pを基準としてS方向へ傾斜する所謂自動調芯が行われる。
【0127】
上記のように、回動軸80、外レース82及びボール83、83、・・・は樹脂材料によって形成されており、これらの樹脂材料としては、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、66ナイロン等のナイロン系の材料が用いられる。
【0128】
上記したように、第3の変形例にあっては、回動軸80、外レース82及びボール83、83、・・・を何れも樹脂材料によって形成しているため、製造コストの低減を図ることができる。
【0129】
次に、第4の変形例について説明する。第4の変形例は、車輌の進行方向に追従させるようにランプユニットを水平方向へ回動させて光軸の向きを変更する所謂スイブル機能を有する車輌用前照灯において、ランプユニットの水平方向における回動支点となる部分の構成に関する例である(図11参照)。
【0130】
回動支点となる回動軸90はベアリング91に回動自在に支持されている。回動軸90は外周面90aが縦断面形状で円弧状に凹んだ形状に形成されている。
【0131】
ベアリング91は外レース92と複数のボール93、93、・・・とを有している。外レース92は内周面92aが縦断面形状で円弧状に凹んだ形状に形成されている。ボール93、93、・・・は回動軸90の外周面90aと外レース92の内周面92aとの間で転動可能とされている。
【0132】
ランプハウジング94の下面部95には配置孔95aが形成され、該配置孔95aはボトムカバー96によって閉塞されている。ボトムカバー96はランプハウジング94に対して着脱可能とされ、ボトムカバー96をランプハウジング94から取り外すことにより、灯室に配置される各部のメンテナンス等を行うことができる。
【0133】
ボトムカバー96には上方に開口された配置凹部96aが形成されている。ボトムカバー96の配置凹部96aには、ベアリング91の外レース92が、例えば、圧入によって固定されて配置される。
【0134】
上記のように回動軸90の外周面90aと外レース92の内周面92aとが何れも縦断面形状で円弧状に凹んだ形状に形成されているため、ランプユニットの水平方向における回動時に、回動軸90のランプユニット等に対する組付誤差を吸収するように外レース92が中心Pを基準としてS方向へ傾斜する所謂自動調芯が行われる。
【0135】
上記したように、第4の変形例にあっては、外レース92がボトムカバー96の配置凹部96aに圧入されて配置されるため、ボトムカバー96に外レース92を固定するためのネジや接着剤等を必要とせず、組付工数の削減及び部品点数の削減による製造コストの低減を図ることができる。
【0136】
尚、上記には、外レース92をボトムカバー96の配置凹部96aに圧入によって配置する例を示したが、例えば、外レース92をボトムカバー96に一体に形成することも可能である。
【0137】
外レース92をボトムカバー96に一体に形成する場合にも、ボトムカバー96に外レース92を固定するためのネジや接着剤等を必要とせず、組付工数の削減及び部品点数の削減による製造コストの低減を図ることができる。
【0138】
上記した発明を実施するための最良の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】図2乃至図11と共に本発明車輌用前照灯の実施の形態を示すものであり、本図は、第1の実施の形態における分解斜視図である。
【図2】第1の実施の形態における一部を分解して示す斜視図である。
【図3】第2の実施の形態における分解斜視図である。
【図4】第2の実施の形態における斜視図である。
【図5】第1の変形例における拡大斜視図である。
【図6】第2の変形例における拡大斜視図である。
【図7】第2の変形例におけるエイミングスクリューを示す拡大平面図である。
【図8】第2の変形例においてエイミングスクリューが一方の保持部に保持されている状態を一部を断面にして示す拡大平面図である。
【図9】第2の変形例においてエイミングスクリューが他方の保持部に保持されている状態を一部を断面にして示す拡大平面図である。
【図10】第3の変形例における拡大断面図である。
【図11】第4の変形例における拡大断面図である。
【符号の説明】
【0140】
1…車輌用前照灯、2…ランプハウジング、2a…開口、3…カバー、4…灯具外筐、10…第1のブラケット、14…第2のブラケット、32…第1のランプユニット、32a…リフレクター、33…第2のランプユニット、33a…リフレクター、1A…車輌用前照灯、2A…ランプハウジング、2d…開口、3A…カバー、4A…灯具外筐、5A…灯室、47…ランプユニット、47a…リフレクター、50…ブラケット、52a…第1の螺溝部、52b…第2の螺溝部、53…ランプハウジング、56…第1のエイミングスクリュー(光軸調整用スクリュー)、56a…被操作部、56b…螺軸部、57…第2のエイミングスクリュー(光軸調整用スクリュー)、57a…被操作部、57b…螺軸部、60…ブラケット、64a…第1の螺溝部、64b…第2の螺溝部、65…ランプハウジング、68…エイミングスクリュー(光軸調整用スクリュー)、69a…第1の螺軸部、69b…第2の螺軸部、80…回動軸、81…ベアリング、82…外レース、83…ボール、90…回動軸、91…ベアリング、92…外レース、93…ボール、94…ランプハウジング、95a…配置孔、96…ボトムカバー、96a…配置凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するランプハウジングと該ランプハウジングの前記開口を閉塞するカバーとによって構成された灯具外筐と、
前記灯具外筐の内部に配置され光源と該光源から出射された光を反射するリフレクターとを有すると共に前記ランプハウジングに対して少なくとも一つの傾動支点を基準として所定の方向へ傾動可能とされたランプユニットとを備え、
前記ランプハウジングは少なくとも前記傾動支点の上方に前記開口が形成された
ことを特徴とする車輌用前照灯。
【請求項2】
前記ランプユニットの光軸の向きを調整する光軸調整用スクリューと、
前記灯具外筐の内部に配置されると共に前記ランプユニットを保持するブラケットとを設け、
前記ブラケットを前記ランプハウジングに前記所定の方向へ傾動可能に連結し、
前記ブラケットと前記ランプハウジングの連結部を前記傾動支点とし、
前記ランプユニットを前記ランプハウジングに対して光軸調整用スクリューによって傾動させて光軸の向きを調整するようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用前照灯。
【請求項3】
前記光軸調整用スクリューに回転操作される被操作部とネジ溝が形成された螺軸部とを設け、
前記光軸調整用スクリューを前記ランプハウジングに軸回り方向へ回転自在に支持し、
前記ブラケットの所定の面に前記光軸調整用スクリューの螺軸部が螺合される螺溝部を一体に形成した
ことを特徴とする請求項2に記載の車輌用前照灯。
【請求項4】
回転操作される被操作部とネジ溝が形成された螺軸部とを有すると共に前記ランプハウジングに軸回り方向へ回転自在に支持され前記ランプユニットを前記ランプハウジングに対して傾動させて光軸の向きを調整する光軸調整用スクリューを設け、
前記光軸調整用スクリューの取付方向における異なる位置に螺軸部としてネジ溝の向きが異なる第1の螺軸部と第2の螺軸部を形成し、
前記ブラケットに前記第1の螺軸部に螺合する第1の螺溝部と前記第2の螺軸部に螺合する第2の螺溝部を形成した
ことを特徴とする請求項2に記載の車輌用前照灯。
【請求項5】
前記ランプユニットをベアリングに支持された回動軸を支点として前記ランプハウジングに対して水平方向へ回動可能とし、
前記ベアリングが、外レースと、該外レースの内周面と前記回動軸の外周面との間で転動される複数のボールとを有し、
前記回動軸と前記外レースと前記複数のボールを何れも樹脂材料によって形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用前照灯。
【請求項6】
前記ランプユニットをベアリングに支持された回動軸を支点として前記ランプハウジングに対して水平方向へ回動可能とし、
前記ベアリングが、外レースと、該外レースの内周面と前記回動軸の外周面との間で転動される複数のボールとを有し、
前記ランプハウジングの下端部に配置孔を形成し、
上方に開口された配置凹部を有し前記ランプハウジングの配置孔を閉塞するボトムカバーを設け、
前記ボトムカバーの配置凹部に前記ベアリングと前記回動軸を配置し、
前記ベアリングの外レースを前記ボトムカバーの配置凹部に圧入し、又は、前記ベアリングの外レースを前記ボトムカバーと一体に形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用前照灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−51555(P2011−51555A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204619(P2009−204619)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】