説明

車輌用灯具

【課題】2種類の光源による発光視認領域の被視認性を高めることを課題とする。
【解決手段】灯具光軸に対してほぼ垂直な方向に光を出射する第1の発光ダイオード(以下、「LED」という)9と、前記第1のLEDの光をほぼ前方へと反射するリフレクタ23と、ほぼ灯具光軸mx方向に光を出射する第2のLED10と、灯具光軸方向に延び、前記第2のLEDの光を後端から前端へと導光する透明材料から成る導光体5a、5bとを備え、前記導光体のほぼ前後方向に延びる幅広の主平面52は前記第1のLEDの出射方向x9に対してほぼ垂直な角度を成し、前記第1のLEDの光の一部は前記導光体の主平面を透過して前記リフレクタに到達する車輌用灯具1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な車輌用灯具に関する。詳しくは、点灯により表示する機能が異なる2種類の光源を備えた車輌用灯具において、2種類の光源による発光視認領域の被視認性を高める技術に関する。
【背景技術】
【0002】
点灯により表示する機能が異なる2種類の光源を備えた車輌用灯具に、例えば、特許文献1に示されたものがある。
【0003】
特許文献1に示された車輌用灯具にあっては、第1の光源の光が導光板の後面で反射して前方へ照射され、第2の光源の光が前記導光板を透過して前方へ照射される。従って、第1の光源と第2の光源とを各別に点灯することによって、それぞれ異なる機能を表示することが出来る。
【0004】
【特許文献1】特開2003−141909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した特許文献1に示された車輌用灯具にあっては、第2の光源の光の一部が導光板内で乱反射して広い面積で発光してしまうため、第1の光源と第2の光源とを同時に点灯すると、2つの光源光が入り交じって発光してしまうため、如何なる機能の表示が為されているか判然としないと言う問題がある。
【0006】
本発明は、上記した問題に鑑みて、2種類の光源による発光視認領域の被視認性を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明車輌用灯具は、上記した課題を解決するために、灯具光軸に対してほぼ垂直な方向に光を出射する第1の発光ダイオード(以下、「LED」という)と、前記第1のLEDの光をほぼ前方へと反射するリフレクタと、ほぼ灯具光軸方向に光を出射する第2のLEDと、灯具光軸方向に延び、前記第2のLEDの光を後端から前端へと導光する透明材料から成る導光体とを備え、前記導光体のほぼ前後方向に延びる幅広の主平面は前記第1のLEDの出射方向に対してほぼ垂直な角度を成し、前記第1のLEDの光の一部は前記導光体の主平面を透過して前記リフレクタに到達する。
【0008】
従って、本発明車輌用灯具にあっては、第1のLEDの光はリフレクタで反射されて前方へと照射され、第2のLEDの光は導光体の前端から前方へ出射される。そのため、第1のLEDと第2のLEDによって光る領域が判然と区別される。
【発明の効果】
【0009】
本発明車輌用灯具は、灯具光軸に対してほぼ垂直な方向に光を出射する第1のLEDと、前記第1のLEDの光をほぼ前方へと反射するリフレクタと、ほぼ灯具光軸方向に光を出射する第2のLEDと、灯具光軸方向に延び、前記第2のLEDの光を後端から前端へと導光する透明材料から成る導光体とを備え、前記導光体のほぼ前後方向に延びる幅広の主平面は前記第1のLEDの出射方向に対してほぼ垂直な角度を成し、前記第1のLEDの光の一部は前記導光体の主平面を透過して前記リフレクタに到達することを特徴とする。
【0010】
従って、本発明車輌用灯具にあっては、第1のLEDの光はリフレクタで反射されて前方へと照射され、第2のLEDの光は導光体の前端から前方へ出射される。そのため、第1のLEDによってリフレクタの前面が明るく視認され、第2のLEDによっては導光体の前端が明るく視認される。そのため、第1のLEDと第2のLEDによって光る領域が判然と区別され、第1のLEDと第2のLEDを同時に点灯した場合でも、それぞれのLEDの点灯色が各別であれば、第1のLEDと第2のLEDが同時に点灯していると視認される。
【0011】
請求項2に記載した発明にあっては、前記第2のLED及び該第2のLEDの光が入射する前記導光体の入射部は前記リフレクタの背面側に位置したので、第2のLEDから出射されたが、導光体には入射しなかった光は、リフレクタによって前方へ照射されることが阻止される。従って、第2のLEDの光のうち導光体に入射しなかった光が、制御されない光として前方へ出射されることを防止することが出来る。
【0012】
請求項3に記載した発明にあっては、前記第1のLEDと前記リフレクタとの間には第1のLEDの光をリフレクタに向けて集光するレンズ部が配置されたので、第1のLEDの光を有効にリフレクタへと導くことができ、有効に使用することが出来る。
【0013】
請求項4に記載した発明にあっては、前記第1のLEDと前記第2のLEDとは点灯又は消灯のタイミングが異なるので、点灯により表示する機能が異なる2種類の光源を備えた車輌用灯具を小型に構成することが出来ると共に、第2のLEDによる発光領域を明確に視認することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明車輌用灯具を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図示した車輌用灯具1は、自動車の前面又は後面の両側部に配置される標識灯であり、ランプボディ2の前面が透明な前面カバー3によって覆われている。
【0016】
前記ランプボディ2は上側に位置した上ボディ21と該上ボディ21の下側に位置した下ボディ22とから成る。そして、前記上ボディ21の後側にはバックカバー4が配置されている。
【0017】
前記上ボディ21には、上下に離間した位置に、前後方向に貫通し、且つ、左右方向に長い貫通孔21a、21bが形成されている。また、上ボディ21の前面にはリフレクタ23が形成されている。該リフレクタ23は上下方向に階段状に配列された複数の反射セグメント23aによって構成されており、該反射セグメント23aは下方に位置したものほど後方に位置するように前後に位置をずらされて形成されている。
【0018】
上ボディ21の前記貫通孔21a、21bには、例えば、アクリル樹脂やポリカーボネート等の透明材料で形成され、左右方向に長い板状をした導光体5a、5bが配置され、これら導光体5a、5bは前記リフレクタ23より前方へ突出し、その前端面は前記前面カバー3の内面近くまで延びている。そして、導光体5a、5bの前端面には、例えば、魚眼ステップ状の多数の拡散素子6が形成されている。また、前記導光体5a、5bの後端には左右方向へ階段状に位置した複数の入射端面51が形成されており、これら入射端面51は前記上ボディ21の後面とほぼ同じ位置に位置し、例えば、フレネルステップ状の集光素子7が形成されている。
【0019】
下ボディ22には上面に開口した複数の配置凹部22a(図2に1個のみ示す)が形成されており、該配置凹部22a内に第1のLED9が配置されている。前記配置凹部22aの開口部には、例えば、フレネルレンズ状の集光レンズ8が配置されている。そして、前記第1のLED9の光軸x9は上下方向に延びるように、すなわち、灯具光軸mxに対してほぼ垂直な方向に延びるように位置され、前記各導光体5a、5bの主平面52は第1のLED9の光軸x9に対してほぼ垂直を成すように位置されている。
【0020】
前記バックカバー4には前記導光体5a、5bの各入射端面51に対向するように複数の第2のLED10が配置されている。そして、該第2のLED10の光軸x10はほぼ前後方向に延びるように位置されている。
【0021】
第1のLED9が点灯すると、その光は集光レンズ8によって光軸x9に沿うように集光され、リフレクタ23に向かい、該リフレクタ23によって反射されて前面カバー3を透過して前方へ灯具光軸mxに沿って照射される。このとき、2つの導光体5a、5bはその主平面52が第1のLED9の光軸x9に対してほぼ垂直を成すように位置されているので、第1のLED9の光は導光体5a、5bを透過してリフレクタ23に到達する。従って、第1のLED9の光は導光体5a、5bを介して前端面からは前方へ照射されず、そのため、前方から見ると、図4に示すように、リフレクタ23に対応した部分(図4に梨地模様を付して示す)のみが光って見える。
【0022】
第2のLED10が点灯すると、その光は導光体5a、5bの入射端面51から導光体5a、5b内に入射する。このとき、集光素子7によって第2のLED10の光はその光軸x10に沿うように集光され、導光体5a、5b内を前方へ向かって進む。そして、導光体5a、5bの前端面から前方へ向けて出射する。このとき、導光体5a、5bの前端面に形成された拡散素子によって拡散され、前面カバー3を透過してほぼ前方へ向けて照射される。第2のLED10の光は導光体5a、5bのみによって前方へ照射されるため、前方から見ると、図5に示すように、導光体5a、5bの前端面に対応した部分(図5に梨地模様を付して示す)のみが光って見える。なお、第2のLED10及び該第2のLEDの光が入射する導光体5a、5bの入射端面51はリフレクタ23の背面側に位置しているので、第2のLED10の光のうち導光体5a、5bに入射しなかった光は、リフレクタ23によって前方へ照射されることが阻止される。従って、第2のLED10の光のうち導光体に入射しなかった光が、制御されない光として前方へ出射されることを防止することが出来る。
【0023】
なお、前記車輌用灯具1において、第1のLED9及び第2のLED10の発光色を異ならせておくことによって、それぞれ異なる表示機能を発揮することが出来る。例えば、第1のLED9の発光色を赤色に、また、第2のLEDの発光色をアンバー色に設定しておけば、第1のLED9の点灯によってテールランプ機能を、また、第2のLED10の点灯によってターンシグナルランプ機能を発揮することが出来る。さらに、第1のLED9と第2のLED10との点灯又は消灯のタイミングを異ならせておくことによって、第1のLED9の点灯によってテールランプ機能を、第2のLED10の点灯によってストップランプ機能を発揮するなどのように、点灯により表示する機能が異なる2種類の光源を備えた車輌用灯具を小型に構成することが出来ると共に、第2のLEDによる発光領域を明確に視認することが出来る。
【0024】
なお、上記実施の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化の一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図面は本発明車輌用灯具の実施の形態を示すものであり、本図は正面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】第1のLEDが点灯した状態を模式的に示す概略正面図である。
【図5】第2のLEDが点灯した状態を模式的に示す概略正面図である。
【符号の説明】
【0026】
1…車輌用灯具、23…リフレクタ、5a…導光体、5b…導光体、51…入射端面(入射部)、52…主平面、8…集光レンズ(集光するレンズ部)、9…第1のLED、10…第2のLED、mx…灯具光軸、x9…第1のLEDの光軸(第1のLEDの出射方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯具光軸に対してほぼ垂直な方向に光を出射する第1の発光ダイオード(以下、「LED」という)と、
前記第1のLEDの光をほぼ前方へと反射するリフレクタと、
ほぼ灯具光軸方向に光を出射する第2のLEDと、
灯具光軸方向に延び、前記第2のLEDの光を後端から前端へと導光する透明材料から成る導光体とを備え、
前記導光体のほぼ前後方向に延びる幅広の主平面は前記第1のLEDの出射方向に対してほぼ垂直な角度を成し、
前記第1のLEDの光の一部は前記導光体の主平面を透過して前記リフレクタに到達する
ことを特徴とする車輌用灯具。
【請求項2】
前記第2のLED及び該第2のLEDの光が入射する前記導光体の入射部は前記リフレクタの背面側に位置した
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用灯具。
【請求項3】
前記第1のLEDと前記リフレクタとの間には第1のLEDの光をリフレクタに向けて集光するレンズ部が配置された
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輌用灯具。
【請求項4】
前記第1のLEDと前記第2のLEDとは点灯又は消灯のタイミングが異なる
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車輌用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−276726(P2007−276726A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−108741(P2006−108741)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】