説明

車間距離自動可変システム及びその方法

【課題】道路が乾いた状態か、雨や雪に濡れた状態かを判断し、道路の状態に従い前車との距離を自動可変することができる車間距離自動可変システム及びその方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、車両前方の道路を撮影するカメラと、前記カメラを介し撮影された原本映像データに対し、予め定められた映像処理を行った標準映像データを利用して道路状態を判断した後、その判断結果に対応して車間距離を制御する制御部とを含み、 前記制御部は、前記標準映像データから雨水の帯又は白色成分が検出される場合、濡れた状態の道路と判断し、濡れた状態における車間距離を、前記乾いた状態における車間距離より長く設定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車間距離自動可変システム及びその方法に係り、より 詳しく は、道路状態と連動して車間距離を自動可変する車間距離自動可変システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車間距離制御システムは、前方車両との間隔を適正間隔に維持させるように制御するシステムである。
従来の車間距離維持システムは、レーダーセンサーを利用して前方車両との距離を随時測定し、自車が前方車両との距離を設定された値に維持されるように制御するものである。
しかし、道路が乾いた状態の場合より道路が濡れた状態の場合、タイヤと道路との間の摩擦力が低いので車両の制動距離が長くなる。
従来の車間距離維持システムは、道路の状態とかかわりなく乾いた状態を基準に制動距離を予測し、一定の車間距離を維持するようになっている。
道路が乾いた状態を基準に設定された車間距離で走行中急制動する場合、自車が前方車両と衝突する可能性が高く危険度が高い問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−331297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、道路が乾いた状態か、雨や雪に濡れた状態かを判断し、道路の状態に従い前車との距離を自動可変することができる車間距離自動可変システム及びその方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る車間距離自動可変システムは、車両前方の道路を撮影するカメラと、前記カメラを介し撮影された原本映像データに対し、予め定められた映像処理を行った標準映像データを利用して道路状態を判断した後、その判断結果に対応して車間距離を制御する制御部とを含む。
【0006】
前記制御部は、前記標準映像データから雨水の帯又は白色成分が検出される場合、濡れた状態の道路と判断することを特徴とする。
【0007】
前記カメラはレーン離脱警報システム(LDWSLane Departure Warning System)に内蔵されていることを特徴とする。
【0008】
前記制御部は、前記道路状態を濡れた状態と乾いた状態の何れかに判断し、前記濡れた状態における車間距離を、前記乾いた状態における車間距離より長く設定することを特徴とする。
【0009】
前記予め定められた映像処理は、前記原本映像データを変換及びフィルタリングすることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る車間距離自動可変方法は、走行中に車両前方の道路を撮影する過程と、前記撮影された原本映像データに対し、予め定められた映像処理を行った標準映像データを利用して道路状態を断する過程と、前記判断結果に従い車間距離を調整する過程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、道路状態と連動して車間距離を自動可変させることにより、運転者の利便性を向上させ、車両事故の危険性を最小にすることができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る車間距離自動可変システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車間距離自動可変方法を表すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係る乾いた状態の道路映像をフィルタリングして表す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る雨により濡れた状態の道路映像をフィルタリングして表す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る雪により濡れた状態の道路映像をフィルタリングして表す図である。
【図6】(a)は乾いた状態モード時の車間距離を表す図である。 (b)は濡れた状態モード時の車間距離を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る車間距離自動可変システム及びその方法について図1〜図6を参照しながら詳しく説明する。
本明細書で開示された交通手段は、スポーツ機能車両(SUV)、バス、トラック、多様な商業車両を含む乗用自動車、多様なボートと船舶を含むウォータークラフト(watercraft)、エアクラフト(aircraft)等々のようなモーター車両、ハイブリッド(hybrid)車両、電気車両、プラグインハイブリッド電気車両、水素(hydrogen−powered)車両、その外の他の燃料を利用する車両(例えば、石油外の燃料を利用する車両)などを含む。特に、前述したハイブリッド車両は、二つ又はそれ以上の資源(例えば、ガソリンと電気エネルギーを二つとも利用する車両)を利用した車両である。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る車間距離自動可変システムの構成を示す図であり、カメラ110、制御部120、エンジン130及びブレーキ140を備える。
カメラ110は、車両前方の道路面を撮影して映像データを制御部120に伝達する。
制御部120は、カメラ110から受信した映像データを予め定めた映像処理を行い、映像処理を行った標準映像データの画面上の特異点を捜し出して道路の状態を判断し、道路の状態に応じてエンジン130及びブレーキ140を制御し車間距離を調節する。このとき、予め定めた映像処理は原本映像データを変換及びフィルタリングすることであり、以下に変換及びフィルタリングの例を説明する。
【0015】
本発明ではカメラ110及び制御部120の構成を開示しているが、LDWS(Lane Departure Warning System)とSCC(Smart Cruise System)の連動を介して具現されてもよい。
即ち、LDWSが備えるカメラを利用して車両前方の道路を撮影し道路状態を判断した後、その判断結果をSCCに送信すれば、SCCが備えるレーダーセンサーで車間距離を測定し、LDWSから受信した道路状態判断結果に従いエンジン130及びブレーキ140を制御し、車間距離を自動維持させるように具現されてもよい。
【0016】
以下、図2を参照し、本発明の実施形態に係る車間距離自動可変方法を説明する。
先ず、走行中カメラ110を利用して車両の前方道路を撮影する(S101)。
その後、制御部120は撮影された映像データを変換してフィルタリングし(S102)、フィルタリングされた映像データを利用して道路状態を判断する。即ち、フィルタリングされた映像データを利用して道路状態が乾いた状態か濡れた状態かを判断する(S103)。
図3は乾いた状態の道路を撮影したものであって、映像変換及びフィルタリングを行えば特異事項がなく、このように特異事項のない場合、乾いた道路と判断する。
【0017】
図4は雨により濡れた状態の道路を撮影したものであって、映像変換及びフィルタリングを行えばフィルタリングされた映像データに雨水の帯が現われ、雨により濡れた道路と判断することができる。
図5は雪により濡れた状態の道路を撮影したものであって、映像変換及びフィルタリングを行えば道路上に白色成分(積雪)が現われ、雪により濡れた道路と判断することができる。
過程S103の判断結果、道路が濡れた状態と判断されると、制御部120は前方車両との車間距離を濡れた状態モードに設定し(S104)、道路が乾いた状態と判断されると、制御部120は前方車両との車間距離を乾いた状態モードに設定する(S105)。
【0018】
乾いた状態モードでは、図4(a)に示したように、前方車両(A)と自車(B)の車間距離(d1)を一定距離に維持し、濡れた状態モードでは、図4(b)に示したように、前方車両(A)と自車(B)との車間距離(d2)を乾いた状態モードに比べ増加させる。
このように、本発明によれば、道路が乾いた状態か濡れた状態かを感知し、濡れた状態では乾いた状態に比べ車間距離を増加させ、急制動時に発生し得る追突事故の危険性を低くして安定性を増大させることができる。
【符号の説明】
【0019】
110 カメラ
120 制御部
130 エンジン
140 ブレーキ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前方の道路を撮影するカメラと、
前記カメラを介し撮影された原本映像データについて、予め定められた映像処理を行った標準映像データを利用して道路状態を判断した後、その判断結果に応じた車間距離を制御する制御部と、
を含むことを特徴とする車間距離自動可変システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記標準映像データから雨水の帯又は白色成分が検出される場合、濡れた状態の道路と判断することを特徴とする請求項1に記載の車間距離自動可変システム。
【請求項3】
前記カメラは、レーン離脱警報システム(LDWS)に内蔵されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車間距離自動可変システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記道路状態を濡れた状態と乾いた状態の何れかと判断し、前記濡れた状態における車間距離を、前記乾いた状態における車間距離より長く設定することを特徴とする請求項1または2に記載の車間距離自動可変システム。
【請求項5】
前記予め定められた映像処理は、前記原本映像データを変換及びフィルタリングすることを特徴とする請求項1に記載の車間距離自動可変システム。
【請求項6】
走行中に車両前方の道路を撮影する過程と、
前記撮影された原本映像データに対し、予め定められた映像処理を行った標準映像データを利用して道路状態を判断する過程と、
前記判断結果に従い車間距離を調整する過程と
を含むことを特徴とする車間距離自動可変方法。
【請求項7】
前記道路状態を判断する過程は、
前記標準映像データから雨水の帯又は白色成分が検出される場合、濡れた状態と判断し、前記予め定められた映像処理を行った標準映像データ上に特異点がない場合、乾いた状態と判断することを特徴とする請求項6に記載の車間距離自動可変方法。
【請求項8】
前記車間距離を調整する過程は、
前記濡れた状態の道路における車間距離を、前記乾いた状態の道路における車間距離より長く設定することを特徴とする請求項6に記載の車間距離自動可変方法。
【請求項9】
前記予め定められた映像処理は、前記原本映像データを変換及びフィルタリングすることを特徴とする請求項8に記載の車間距離自動可変方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−14311(P2013−14311A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−272023(P2011−272023)
【出願日】平成23年12月13日(2011.12.13)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【Fターム(参考)】