説明

軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物及び軋み音低減構造体

【課題】部品同士が擦れ合うときに発生する軋み音が著しく低減され、かつ高温下に長時間置かれた場合でも軋み音低減効果が維持され、更に、耐衝撃性及び成形外観に優れた構造体を与え得る熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】Tm(融点)が0℃以上のエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の存在下にビニル系単量体〔b1〕を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂〔A〕を含有してなる熱可塑性樹脂組成物〔X〕であって、
前記熱可塑性樹脂組成物〔X〕中のケイ素含有量が、該熱可塑性樹脂組成物〔X〕100質量%に対して0.15質量%以下であることを特徴とする軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は軋み音の発生を低減する熱可塑性樹脂組成物及び該組成物からなる軋み音を低減した構造体に関し、さらに詳しくは、少なくとも2個の部品同士が接触して擦れ合うことにより発生する軋み音を大幅に低減させることのできる熱可塑性樹脂組成物及び該組成物からなる軋み音低減構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ABS樹脂に代表されるスチレン系樹脂は、その優れた成形性、機械的特性、耐薬品性、二次加工性により、自動車、家電、OA機器等において広範囲に使用されている。
【0003】
しかし、ABS樹脂に代表されるスチレン系樹脂からなる部品をポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の他の樹脂からなる部材や、クロロプレンゴム、天然ゴム、ポリエステル、ポリエチレン等の内張りシートやフォームなどの他の部材と接触して擦れ合うような部位に用いると、軋み音(擦れ音)が発生することがある。たとえばABS樹脂製の車両用ベンチレータには、風量を調整するためにクロロプレンゴム製フォームなどをシール材として使用したバルブシャッターが内部に装着されており、風量調整のためにバルブシャッターを回転させるとシール材とベンチレータのケースとが互いに擦れ合い、軋み音が発生する場合がある。
【0004】
さらに、スチレン系樹脂からなる部品同士を擦り合わせると、軋み音が発生しやすいことが知られている。そのため、例えば振動、回転等により、互いに接触する部品同士が擦り合わされる部位には、スチレン系樹脂からなる部品同士を組み合わせて使用することが忌避されている。
【0005】
ABS樹脂、ASA樹脂等のスチレン系樹脂は非晶性樹脂であるため、結晶性樹脂であるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタールなどの樹脂と比較すると摩擦係数が高く、自動車内のエアコン吹き出し口やカーステレオのボタン等のように、他樹脂からなる部材と嵌合する場合に、摩擦係数が大きいために図1に示されるようなスティックスリップ現象が発生し、異音(軋み音)が発生する場合がある。スティックスリップ現象とは、2つの物体が擦れ合う時に発生するもので、図2(a)のモデルで示されるように駆動速度Vで動く駆動台の上にバネでつながれた物体Mが置かれた場合、物体Mは先ず静摩擦力の作用により駆動速度Vで移動する台とともに図2(b)のように右方向に移動する。そしてバネによって元に戻されようとする力が、この静摩擦力と等しくなったとき、物体Mは駆動速度Vと逆の方向に滑り出す。このときに、物体Mは動摩擦力を受けることになるので、バネの力とこの動摩擦力が等しくなった図2(c)の時点で滑りが止まり、すなわち駆動台に付着することになり、再び駆動速度Vと同じ方向に移動することになる(図2(d))。これをスティックスリップ現象といい、図1に示されるように、ノコギリ波形上端の静摩擦係数μsと、ノコギリ波形下端の摩擦係数μlの差のΔμが大きいと、軋み音が発生しやすくなるといわれている。尚、動摩擦係数はμsとμlの中間の値になる。
これらの軋み音は、例えば自動車内装等に用いた場合、乗車時の快適性、静粛性を損ねる大きな原因となるため、軋み音の低減が強く要求されている。
【0006】
一方、アモントン・クーロンの法則により求めた摩擦係数の摩擦速度依存性が負の値をとると、スティックスリップ現象が顕著に現れることが知られている(非特許文献1参照)。そこで、上記摩擦係数の摩擦速度依存性をゼロに近づけるか、若しくはゼロ以上の正の値とすることで、スティックスリップ現象の発生を抑制し、軋み音の発生を低減させることが可能である。
【0007】
これらの軋み音の発生を防止するため、部材表面にテフロン(登録商標)コーティングを施す方法、テフロン(登録商標)テープを装着する方法、シリコーンオイルを塗布する方法などが行なわれてきたが、装着、塗布といった工程は非常に煩雑で手間がかかるばかりでなく、高温下に長時間置かれた場合は効果が持続しないという問題があった。
【0008】
また、軋み音の発生を低減させる為に材料自体を改質する方法として、ABS樹脂にシリコーンオイルを配合する方法、ABS樹脂にエポキシ含有オレフィン共重合体を配合する方法などが提案されている。たとえば、PC/ABS樹脂に有機ケイ素化合物を配合する技術(特許文献1参照)が、またABS樹脂に難燃剤、難燃助剤およびシリコーンオイルを配合する技術(特許文献2参照)が、またゴム変性ポリスチレン樹脂にシリコーンオイルを配合する技術(特許文献3参照)が、またABS樹脂にアルカンスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩を配合する技術(特許文献4参照)が、さらにはABS樹脂にエポキシ基、カルボキシル基および酸無水物基から選ばれる少なくとも1種の反応基を含有する変性ポリオルガノシロキサンを配合する技術(特許文献5参照)が開示されている。
【0009】
しかしながら、これらの方法による軋み音の低減効果は十分とはいえず、成形直後にはある程度の軋み音防止効果を示しても効果の持続性が乏しく、特に、高温下に長時間置かれた場合にはその効果が大幅に低下するという問題があった。
さらに、ABS樹脂に代表されるスチレン系樹脂からなる部品同士を組み合わせて用いる場合には、これら方法を用いても、軋み音の低減効果が十分に得られず、その使用範囲が制限される問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公昭63−56267号公報
【特許文献2】特許第2798396号公報
【特許文献3】特許第2688619号公報
【特許文献4】特許第2659467号公報
【特許文献5】特開平10−316833号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】表面科学Vol.24, No.6, PP 328-333, 2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、かかる実情に鑑み、スチレン系樹脂からなる部材同士を互いに擦れ合う部位に用いても、軋み音の発生が著しく低減され、かつ高温下に長時間置かれた場合においても軋み音低減効果が低下せずに維持され、さらには耐衝撃性および成形外観に優れたスチレン系樹脂製の部品を含む構造体を提供することが可能な樹脂組成物及び該組成物からなる軋み音低減構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ところで、シリコーンオイルは、成形品の摺動性を向上させるなどの改質目的で樹脂組成物中に配合される他、ゴム強化ビニル系樹脂を押出機で溶融混練したり脱揮する際において、押出機中で剪断力により樹脂温度が上昇してゴム強化ビニル系樹脂が劣化変色するのを防止する等の目的で添加される場合がある。また、ゴム質重合体を重合する段階においても、上記と同じ目的で、シリコーンオイルが添加される場合がある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定のゴム強化ビニル系樹脂を含有してなる熱可塑性樹脂組成物〔X〕中に含まれるケイ素含有量を特定の範囲にすることで、上記成分〔X〕からなる部品を含む部品同士を擦れあわせても、軋み音の発生が著しく低減され、かつ高温下に長時間置かれた場合においても軋み音低減効果が低下せずに維持され、さらには耐衝撃性および成形外観に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
本発明によれば、下記の軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物及び軋み音低減構造体が提供される。
1. Tm(融点)が0℃以上のエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の存在下にビニル系単量体〔b1〕を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂〔A〕を含有してなる熱可塑性樹脂組成物〔X〕であって、
前記熱可塑性樹脂組成物〔X〕中のケイ素含有量が、該熱可塑性樹脂組成物〔X〕100質量%に対して0.15質量%以下であることを特徴とする軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物。
2. エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の含有量が、熱可塑性樹脂組成物〔X〕100質量%に対して5〜30質量%であることを特徴とする上記1に記載の軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物。
3. ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕が、Tm(融点)が0℃以上のエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の存在下にビニル系単量体〔b1〕を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕と、ビニル系単量体〔b2〕の(共)重合体〔B〕とを含有してなることを特徴とする上記1又は2に記載の軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物。
4. エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕が、エチレン5〜95質量%及びα−オレフィン95〜5質量%(ただし、エチレン及びα−オレフィンの合計で100質量%)からなることを特徴とする上記1乃至3の何れかに記載の軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物。
5. ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕のグラフト率が10〜150質量%であり、アセトン可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)が0.1〜1.5dl/gであることを特徴とする上記1乃至4の何れかに記載の軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物。
6. 熱可塑性樹脂組成物〔X〕のアセトン可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)が0.1〜1.5dl/gであることを特徴とする上記1乃至5の何れかに記載の軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物。
7. エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕が、エチレン・プロピレン共重合体であることを特徴とする上記1乃至6の何れかに記載の軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物。
8. 熱可塑性樹脂組成物〔X〕中のケイ素含有量が、該熱可塑性樹脂組成物〔X〕100質量%に対して0.1質量%以下であることを特徴とする上記1乃至7の何れかに記載の軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物。
9. 熱可塑性樹脂組成物〔X〕中のケイ素含有量が、該熱可塑性樹脂組成物〔X〕100質量%に対して0.07質量%以下であることを特徴とする上記1乃至7の何れかに記載の軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物。
10. 熱可塑性樹脂組成物〔X〕中のケイ素含有量が、該熱可塑性樹脂組成物〔X〕100質量%に対して0.03質量%以下であることを特徴とする上記1乃至7の何れかに記載の軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物。
11. 少なくとも2個の接触用部品を含む構造体であって、前記接触用部品が上記1乃至10の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物〔X〕からなる接触用部品を含むことを特徴とする軋み音低減構造体。
12. 接触用部品の2個以上が、請求項1乃至10の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物〔X〕からなることを特徴とする上記11に記載の軋み音低減構造体。
13. ジグラー(ZIEGLER)社製のスティック&スリップ測定装置SSP−02を使用して測定される異音リスク値が、以下の全ての測定条件において3以下であることを特徴とする上記12に記載の軋み音低減低減構造体。
測定条件
荷重:5N、40N
速度:1mm/秒、10mm/秒
14. 接触用部品が自動車内装用部品、スイッチ部品、事務機器用部品、家電用部品、デスク用ロック部品、住宅用内装部品、又は室内扉の開閉ダンパー部品であることを特徴とする上記11乃至13の何れかに記載の軋み音低減構造体。
15. 請求項1乃至10の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物〔X〕からなる接触用部品を含むことを特徴とする自動車内装用メーターバイザー。
16. 請求項1乃至10の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物〔X〕からなる接触用部品を含むことを特徴とする自動車内装用センターパネル。
17. 請求項1乃至10の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物〔X〕からなる接触用部品を含むことを特徴とする自動車内装用コンソールボックス。
18. 請求項1乃至10の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物〔X〕からなる接触用部品を含むことを特徴とする自動車内装用スイッチベゼル。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、特定のゴム強化ビニル系樹脂を含有してなる熱可塑性樹脂組成物〔X〕のケイ素含有量を特定の範囲にすることで、上記成分〔X〕からなる部品を含む部品同士を擦れあわせても、軋み音の発生が著しく低減され、かつ高温下に長時間置かれた場合においても軋み音低減効果が低下せずに維持され、さらには耐衝撃性および成形外観に優れた軋み音低減構造体を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1はスティックスリップ現象の説明図である。
【図2】図2(a)、(b)、(c)、(d)はスティックスリップのモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物は、Tm(融点)が0℃以上のエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の存在下にビニル系単量体〔b1〕を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂〔A〕を含有してなる熱可塑性樹脂組成物〔X〕であって、前記熱可塑性樹脂組成物〔X〕中のケイ素含有量が、該熱可塑性樹脂組成物〔X〕100質量%に対して0.15質量%以下であることを特徴とする。
【0018】
尚、本明細書において、「(共)重合」とは、単独重合および共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
【0019】
1.ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕(以下、「以下、成分〔A〕」ともいう。):
本発明で使用する成分〔A〕は、Tm(融点)が0℃以上のエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の存在下にビニル系単量体〔b1〕を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕単独、及び/または、ビニル系単量体〔b2〕の(共)重合体〔B〕との混合物からなるゴム強化ビニル系樹脂である。(共)重合体〔B〕は、ゴム質重合体の非存在下にビニル系単量体〔b2〕を重合して得られる。
【0020】
1−1.エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕(以下「成分〔a1〕ともいう。):
本発明に用いられるエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕は、Tm(融点)が0℃以上であることの他は特に制限はない。ここで、Tmは、DSC(示差走査熱量計)を用い、1分間に20℃の一定昇温速度で吸熱変化を測定し、得られた吸熱パターンのピーク温度を読みとった値であり、詳細は、JIS K7121−1987に記載されている。上記Tmは、好ましくは0〜120℃、より好ましくは10〜100℃、特に好ましくは20〜80℃であり、Tmが0℃未満では、部品が使用されることの多い室温付近でゴムが結晶性を持たないため、軋み音の低減効果に劣る。尚、DSCの測定において、吸熱変化のピークを明瞭に示さないものは、実質的にゴム質重合体に結晶性がないものであり、Tmを持たないものと判断し、上記Tmが0℃以上のゴム質重合体には含まれないものとする。Tmが存在しないものは、軋み音の低減効果に劣る。
ゴム質重合体に融点(Tm)があることは、該ゴム質重合体が結晶性部分を有することを意味している。ゴム質重合体中に結晶性部分が存在すると、上記スリップスティック現象の発生を抑制する為、軋み音の発生が抑制されるものと考えられる。
また、ゴム質重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは、−20℃以下であり、より好ましくは、−30℃以下であり、特に好ましくは、−40℃以下である。ガラス転移温度が、−20℃を超えると、耐衝撃性が不十分になる場合がある。尚、上記ガラス転移温度は、Tm(融点)の測定と同様に、DSC(示差走査熱量計)を用い、JIS K7121−1987に準拠して求めることができる。
【0021】
上記成分〔a1〕を構成するα−オレフィンとしては、例えば、炭素数3〜20のα−オレフィンが挙げられ、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。α−オレフィンの炭素数は、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜12、さらに好ましくは3〜8である。炭素数が20を超えると共重合性が低下し、成形品の表面外観が十分でなくなる場合がある。エチレン:α−オレフィンの質量比は、通常5〜95:95〜5、好ましくは50〜95:50〜5、より好ましくは60〜95:40〜5、特に好ましくは70〜90:30〜10である。
α−オレフィンの重量比が95を超えると、得られるゴム強化ビニル系樹脂の耐衝撃性が不十分となり好ましくない。また、5未満でも、ゴム質重合体〔a1〕のゴム弾性が十分でなくなるため、樹脂組成物の耐衝撃性が十分でなくなる。
【0022】
また、成分〔a1〕のムーニー粘度(ML1+4、100℃;JIS K6300に準拠)は、通常5〜80、好ましくは10〜65、より好ましくは10〜45である。ムーニー粘度が80を超えると、得られるゴム強化ビニル系樹脂の流動性が不十分になる場合があり、またムーニー粘度が5未満になると、得られる成形品の耐衝撃性が不十分となる場合がある。
【0023】
上記エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕は、軋み音低減の観点から、通常、非共役ジエン成分を含有しないエチレン・α−オレフィン共重合体が用いられる。非共役ジエン成分としては、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。上記成分〔a1〕が非共役ジエン成分を含有する場合、その配合量は、エチレン及びα−オレフィンを100質量%として、3質量%以下が好ましい。非共役ジエン成分の配合量が3質量%を超えると、ゴムの結晶性が低下し、軋み音の低減効果が十分でなくなる可能性がある。上記成分〔a1〕は、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体がさらに好ましく、エチレン・プロピレン共重合体が特に好ましい。
【0024】
1−2.ビニル系単量体〔b1〕、〔b2〕:
上記ビニル系単量体〔b1〕及び〔b2〕は、いずれも、不飽和結合を有する重合性化合物であれば、特に限定されない。
上記ビニル系単量体〔b1〕及び〔b2〕は、通常、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む。その他、必要に応じて、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド化合物等の他の共重合可能なビニル系単量体、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、オキサゾリン基等の官能基を1種以上有する共重合可能な官能基含有ビニル系単量体を併用してもよい。
また、(共)重合体〔B〕の形成に用いるビニル系単量体〔b2〕は、上記ビニル系単量体〔b1〕と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0025】
上記芳香族ビニル化合物としては、少なくとも1つのビニル結合と、少なくとも1つの芳香族環とを有する化合物であれば、特に限定されることなく用いることができる。その例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、β−メチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。
【0026】
上記シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。
【0027】
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステルが挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、メタクリル酸メチルが好ましい。
【0028】
上記マレイミド化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、N−シクロヘキシルマレイミド及びN−フェニルマレイミドが好ましい。
尚、このマレイミド化合物からなる単量体単位を重合体に導入する方法としては、予め、無水マレイン酸を共重合させ、その後、イミド化する方法がある。
【0029】
上記の官能基含有ビニル系単量体のうち、カルボキシル基を有する不飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
酸無水物基を有する不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ヒドロキシル基を有する不飽和化合物としては、ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
アミノ基を有する不飽和化合物としては、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノメチル、アクリル酸ジエチルアミノメチル、アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジエチルアミノメチル、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、p−アミノスチレン、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アクリルアミン、メタクリルアミン、N−メチルアクリルアミン等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アミド基を有する不飽和化合物としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
エポキシ基を有する不飽和化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
オキサゾリン基を有する不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
上記ビニル系単量体〔b1〕及び〔b2〕は、目的、用途等に応じてその種類及び使用量が選択されるが、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の合計量は、ビニル系単量体全量100質量%に対して、通常30〜100質量%、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%である。上記他の共重合可能なビニル系単量体の含有量は、ビニル系単量体全体100質量%に対して通常0〜70質量%、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜30質量%である。上記官能基含有ビニル系単量体の含有量は、ビニル系単量体全量100質量%に対して、通常0〜40質量%、好ましくは、0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%である。また、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の使用比率(芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物)は、これらの合計を100質量%とした場合、通常40〜85質量%/15〜60質量%、好ましくは45〜85質量%/15〜55質量%、特に好ましくは60〜85質量%/15〜40質量%である。
【0035】
1−3.上記ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕の製造方法:
上記ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕は、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕を含有する重合体成分であるが、その含有形態は特に限定されない。
上記ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕には、通常、ビニル系単量体の(共)重合体がゴム質重合体にグラフトしているグラフト共重合体と、ゴム質重合体にグラフトしていないビニル系単量体の(共)重合体が含まれる。ただし、このグラフト共重合体に、ビニル系単量体の(共)重合体がグラフトしていない、ゴム質重合体が含まれていてもよい。
また、上記のエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の含有態様は、以下に例示される。
(1)エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕が、グラフト共重合体として含有される場合。
(2)エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕が、未グラフトのゴム質重合体として含有される場合。
これらのうち、(1)が特に好ましい。
【0036】
上記態様(1)のゴム強化ビニル系樹脂〔A〕としては、以下に例示される。
[i]上記エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の存在下に、ビニル系単量体〔b1〕を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕。
[ii]上記[i]と、ビニル系単量体〔b2〕の(共)重合体〔B〕(以下、「(共)重合体〔B〕」ともいう。)とからなる混合物。
これらのうち、ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕中のエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の量を自由に調整できる点で[ii]が特に好ましい。
尚、上記ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕としては、上記[i]及び[ii]の組み合わせであってもよい。
【0037】
次に、上記のゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕の製造方法について、説明する。
重合方法としては、乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等の公知の重合方法が挙げられる。いずれにおいても、ゴム質重合体の存在下に、ビニル系単量体を一括投入して反応させてもよいし、分割又は連続添加して反応させてもよい。また、ゴム質重合体は、全量又は一部を、ビニル系単量体との重合の途中で添加して反応させてもよい。
尚、ゴム質重合体の使用量は、ゴム質重合体とビニル系単量体の合計を100質量%とした場合、通常5〜80質量%、好ましくは10〜70質量%である。
【0038】
上記のゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕の製造方法は、溶液重合及び塊状重合が好ましく、更に好ましくは溶液重合であり、これらの方法を組み合わせたものであってもよい。
【0039】
上記のゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕を乳化重合で製造する場合には、通常、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、水等が用いられる。尚、上記ゴム質重合体がラテックス状でなく、固形状である場合には、再乳化によりラテックス状として使用することができる。
重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物と、含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方等で代表される還元剤との組み合わせによるレドックス系重合開始剤;過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレイト、tert−ブチルパーオキシモノカーボネート等の過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)等のアゾ系重合開始剤等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記重合開始剤の使用量は、上記ビニル系単量体〔b1〕に対し、通常、0.05〜5質量%、好ましくは0.1〜1質量%である。
上記重合開始剤は、通常、反応系に一括添加又は連続添加される。
【0040】
連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、tert−テトラデシルメルカプタン等のメルカプタン類;ターピノーレン類、α−メチルスチレンのダイマー、テトラエチルチウラムスルフィド、アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコール等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記連鎖移動剤の使用量は、上記ビニル系単量体〔b1〕に対し、通常、0.05〜2質量%である。
【0041】
乳化剤としては、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩;ロジン酸塩、リン酸塩等が挙げられる。また、ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型化合物、アルキルエーテル型化合物等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記乳化剤の使用量は、上記ビニル系単量体〔b1〕に対し、通常、0.3〜5質量%である。
【0042】
乳化重合は、用いるビニル系単量体〔b1〕、重合開始剤等の種類、量に応じ、公知の条件で行うことができる。上記乳化重合により得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、重合体成分を粉末状とし、その後、これを水洗、乾燥することによって精製される。この凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩;硫酸、塩酸等の無機酸;酢酸、乳酸、クエン酸等の有機酸等が用いられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、要求される性能に応じて、凝固後にアルカリ成分又は酸成分を添加し中和処理した後、洗浄してもよい。
【0043】
上記のゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕を溶液重合により製造する場合には、通常、溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤等が用いられる。
溶媒としては、公知のラジカル重合で使用される不活性重合溶媒、例えば、エチルベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類;ジクロルメチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等を用いることができる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
連鎖移動剤としては、メルカプタン類、ターピノーレン類、α−メチルスチレンのダイマー等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
溶液重合は、用いるビニル系単量体〔b1〕、重合開始剤等の種類に応じ、公知の条件で行うことができる。重合温度は、通常80〜140℃の範囲である。尚、溶液重合に際し、重合開始剤を使用せずに製造することもできる。
【0046】
塊状重合及び懸濁重合による場合も、公知の方法を適用することができる。これらの方法において用いる重合開始剤、連鎖移動剤等は特に制限はないが、乳化重合、溶液重合において例示した化合物と同じものを用いることができる。
【0047】
1−5.ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕の物性:
上記のようにして得られた、ゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕のグラフト率は、通常10〜150質量%、好ましくは20〜120質量%、特に好ましくは30〜70質量%である。このグラフト率が10質量%未満では、ゴム質重合体表面にグラフト重合したビニル系単量体〔b1〕の(共)重合体の密度が低くなったり、グラフト鎖長が短くなったりするため、耐衝撃性が十分でない場合がある。一方、150質量%を超えると、ゴム質重合体表面におけるビニル系単量体〔b1〕の(共)重合体からなる層が厚くなり、また、ゴム質重合体の内部にグラフトした上記(共)重合体からなる層が発達するため、ゴム弾性が低下し、その結果、耐衝撃性が低下する場合がある。
【0048】
上記グラフト率は、下記式により求めることができる。
【0049】
グラフト率(質量%)={(S−T)/T}×100
【0050】
上記式中、Sはゴム強化ビニル系樹脂1グラムをアセトン20mlに投入し、25℃の温度条件下で、振とう機により2時間振とうした後、5℃の温度条件下で、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Tはゴム強化ビニル系樹脂1グラムに含まれるゴム質重合体の質量(g)である。このゴム質重合体の質量は、重合処方及び重合転化率から算出する方法、赤外線吸収スペクトル(IR)により求める方法等により得ることができる。
【0051】
また、上記ゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕のアセトン可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、いずれも、通常0.1〜1.5dl/g、好ましくは0.2〜0.8dl/gである。極限粘度[η]が上記範囲内にあれば、成形加工性及び耐衝撃性の物性バランスに優れる。
【0052】
なお、上記極限粘度[η]の測定は下記方法で行った。まず、上記ゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕のアセトン(ゴム質重合体がアクリル系ゴムの場合はアセトニトリル)可溶分をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度の異なるものを5点作った。ウベローデ粘度管を用い、30℃で各濃度の還元粘度を測定した結果から、極限粘度[η]を求めた。単位は、dl/gである。
上記極限粘度は、製造時に用いる連鎖移動剤の種類及び使用量、重合開始剤の種類及び使用量、重合温度等を適宜選択することにより調整することができる。
【0053】
2.(共)重合体〔B〕(以下、「成分〔B〕」ともいう。):
2−1.(共)重合体〔B〕の製造方法:
上記(共)重合体〔B〕は、ゴム質重合体の非存在下、ビニル系単量体〔b2〕を、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等の公知の方法で重合することにより製造することができる。上記重合は、重合開始剤を用いない熱重合であってもよいし、重合開始剤を用いる触媒重合であってもよい。
【0054】
2−2.(共)重合体〔B〕の物性:
上記重合体〔B〕の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、通常0.1〜1.5dl/g、好ましくは0.2〜1.0dl/gである。極限粘度[η]が上記範囲内にあれば、成形加工性と耐衝撃性の物性バランスに優れる。
【0055】
なお、上記極限粘度[η]の測定は下記方法で行った。まず、上記(共)重合体〔B〕をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度の異なるものを5点作った。ウベローデ粘度管を用い、30℃で各濃度の還元粘度を測定した結果から、極限粘度[η]を求めた。単位は、dl/gである。
上記極限粘度は、製造時に用いる連鎖移動剤の種類及び使用量、重合開始剤の種類及び使用量、重合温度等を適宜選択することにより調整することができる。
【0056】
3. シリコーンオイル〔C〕(以下、「成分〔C〕」ともいう。):
本発明で使用する成分〔C〕としてのシリコーンオイルは、主として、ゴム強化ビニル系樹脂を押出機で溶融混練したり脱揮する際において、押出機中で剪断力により樹脂温度が上昇してゴム強化ビニル系樹脂が劣化変色するのを防止するために添加されるもので、ポリオルガノシロキサン構造を持つものであれば公知のものを用いることができる。シリコーンオイル〔C〕は、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等の未変性シリコーンオイルであってもよいし、ポリオルガノシロキサン構造中の側鎖の一部及び/又はポリオルガノシロキサン構造の片末端部分、又は、ポリオルガノシロキサン構造の両末端部分に各種有機基が導入された変性シリコーンオイルであってもよい。上記変性シリコーンオイルとしては、アルキル変性シリコーンオイル、アルキル・アラルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、高級アルコキシ変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、メチル塩素化フェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジエンシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル等を使用することができる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0057】
シリコーンオイル〔C〕の使用量は、熱可塑性樹脂組成物〔X〕中のケイ素含有量が該熱可塑性樹脂組成物100質量%に対して0.15質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.07質量%以下、更に好ましくは0.03質量%以下である。熱可塑性樹脂組成物〔X〕中のケイ素含有量が0.15質量%を超えると、同種材を組み合わせて用いた場合に軋み音が発生する他、ゲート付近にシルバーストリークが発生し成形外観が損なわれる。
熱可塑性樹脂組成物〔X〕中のケイ素含有量は、PANalytial社製、蛍光X線分析装置MagiX PROにより測定した。
【0058】
4.熱可塑性樹脂組成物〔X〕:
本発明における熱可塑性樹脂組成物〔X〕は、上記成分〔A〕、所望により上記成分〔B〕を所定の配合比率で混合し、溶融混練することにより得られる。上記成分〔B〕の配合量は、上記成分〔A〕と上記成分〔B〕の合計100質量%に対して、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは10〜60質量%である。
【0059】
また、上記熱可塑性樹脂組成物〔X〕のアセトン可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、いずれも、通常0.1〜1.5dl/g、好ましくは0.3〜0.7dl/gである。極限粘度[η]が上記範囲内にあれば、成形加工性及び耐衝撃性の物性バランスに優れる。
【0060】
なお、上記極限粘度[η]の測定は下記方法で行った。まず、上記熱可塑性樹脂組成物〔X〕のアセトン(ゴム質重合体がアクリル系ゴムの場合はアセトニトリル)可溶分をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度の異なるものを5点作った。ウベローデ粘度管を用い、30℃で各濃度の還元粘度を測定した結果から、極限粘度[η]を求めた。単位は、dl/gである。
【0061】
上記成分〔A〕中のエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の含有量は、上記熱可塑性樹脂組成物〔X〕を100質量%に対して5〜30質量%であり、好ましくは5〜25質量%、特に好ましくは5〜20質量%である。この合計量が5質量%未満では軋み音の低減効果、成形性に劣り、一方、30質量%を超えると耐熱性が低下する。
【0062】
上記の如く本発明における熱可塑性樹脂組成物〔X〕は、必要に応じて、充填剤、造核剤、滑剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、老化防止剤、可塑剤、抗菌剤、着色剤等の各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で含有することができる。
【0063】
さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物〔X〕は、必要に応じて、他の樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド等を、本発明の目的を損なわない範囲で含有することができる。
【0064】
本発明の熱可塑性樹脂組成物〔X〕は、各成分を所定の配合比で、タンブラーミキサーやヘンシェルミキサーなどで混合した後、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等の混合機を用いて、適当な条件下で溶融混練して製造することができる。好ましい混練機は、二軸押出機である。さらに、それぞれの成分を混練するに際しては、それぞれの成分を一括して混練しても、多段、分割配合して混練してもよい。尚、バンバリーミキサー、ニーダー等で混練した後、押出機によりペレット化することもできる。また、充填材のうち繊維状のものは、混練中での切断を防止するためにサイドフィーダーにより押出機の途中から供給する方が好ましい。溶融混練温度は、通常200〜300℃、好ましくは220〜280℃である。
【0065】
本発明の熱可塑性樹脂組成物〔X〕は、ジグラー(ZIEGLER)社製のスティック&スリップ測定装置SSP−02を用いて後述する実施例に記載の方法で測定されるスティックスリップ試験において、同じ熱可塑性樹脂組成物〔X〕からなる接触用部品同士を用いて測定される異音リスクが、5N、および、40Nの各荷重で、1mm/秒、および、10mm/秒の各速度のいずれにおいても異音レベルが5以下であることが好ましく、3以下であることがさらに好ましい。ドイツ自動車工業会の基準(VDA203−260)によれば、上記異音レベルが3以下なら合格である。
同じ熱可塑性樹脂組成物〔X〕からなる接触用部品同士用いて測定される異音リスク値は、Tm(融点)が0℃以下のエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体を用い、熱可塑性樹脂組成物〔X〕中のケイ素含有量を所定の量にすることで、調整することができる。
【0066】
5. 構造体:
本発明における構造体は、少なくとも2個の接触用部品を接触するように組み付けてなるものである。本発明の構造体は、上記熱可塑性樹脂組成物〔X〕を成形して得られる接触用部品を含むもので、好ましくは、2個以上の接触用部品が上記熱可塑性樹脂組成物〔X〕の成形体からなる。該熱可塑性樹脂組成物〔X〕から接触用部品を製造する方法には何等制限はなく、射出成形、射出圧縮成形、ガスアシスト成形、プレス成形、カレンダー成形、Tダイ押出成形、異形押出成形、フィルム成形等公知の方法により製造することができる。
【0067】
本発明の構造体に含まれる接触用部品が接触する他の部品の素材は特に制限はなく、例えば、熱可塑性樹脂(本発明の熱可塑性樹脂組成物〔X〕も含む)、熱硬化性樹脂、ゴム、有機質材料、無機質材料、金属材料等が挙げられる。熱可塑性樹脂組成物〔X〕からなる接触用部品は、特に、少なくとも2個の接触用部品同士が本発明の熱可塑性樹脂組成物〔X〕からなる場合に効果的であり、更に、接触用部品の全てが本発明の熱可塑性樹脂組成物〔X〕からなる場合に一層効果的である。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、PMMA、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、EVA、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート(PC)、ポリ乳酸、PC/ABS、PC/AES、PA/ABS、PA/AES等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上の組み合わせで使用できる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
ゴムとしては、クロロプレンゴム、ポリブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、SEBS、SBS、SIS等の各種合成ゴム、天然ゴム等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
有機質材料としては、例えば、インシュレーションボード、MDF(中質繊維板)、ハードボード、パーティクルボード、ランバーコア、LVL(単板積層材)、OSB(配向性ボード)、PSL(パララム)、WB(ウェハーボード)、硬質繊維板、軟質繊維板、ランバーコア合板、ボードコア合板、特殊コア−合板、ベニアコア−ベニヤ板、タップ樹脂を含浸させた紙の積層シート・板、(古)紙等を砕いた細かい小片・線状体に接着剤を混合して加熱圧縮したボード、各種の木材等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
無機質材料としては、例えば、ケイ酸カルシウムボード、フレキシブルボード、ホモセメントボード、石膏ボード、シージング石膏ボード、強化石膏ボード、石膏ラスボード、化粧石膏ボード、複合石膏ボード、各種セラミック、ガラス等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
更に、金属材料としては、鉄、アルミニウム、銅、各種の合金等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0068】
本発明における接触用部品は、部品同士の接触、接合、嵌合する箇所を有する自動車内装用部品、事務用機器、住宅内装用部品、家電用部品等における各種構造体に好適に用いることができる。
自動車内装用部品は、例えば車両走行時の振動により、部品同士が接触し、擦れ合うことにより発生する軋み音を大幅に低減させることが可能ある。さらには、延性破壊することにより、衝突時の安全性に優れる。このような自動車内装用部品としてはドアトリム、ドアライニング、ピラーガーニッシュ、コンソール、コンソールボックス、センターパネル、ドアポケット、ベンチレータ、ダクト、エアコン、メーターバイザー、インパネアッパーガーニッシュ、インパネロアガーニッシュ、A/T インジケーター、オンオフスイッチ類(スライド部、スライドプレート)、スイッチベゼル、グリルフロントデフロスター、グリルサイドデフロスター、リッドクラスター、カバーインストロアー、マスク類(マスクスイッチ、マスクラジオなど)、グローブボックス、ポケット類(ポケットデッキ、ポケットカードなど)、ステアリングホイールホーンパッド、スイッチ部品、カーナビゲーション用外装部品等を挙げることができる。その中でも、自動車用ベンチレータ、自動車用エアコンの板状羽根、バルブシャッター、ルーバー、スイッチ部品、カーナビゲーション用外装部品等として特に好適に用いることができる。
【0069】
事務機器用部品は、例えば機器作動時の振動、デスク引き出しの開閉により、他の部品と接触し、擦れ合うことにより発生する軋み音を大幅に低減させることが可能である。さらには、延性破壊することにより、衝突等の安全性に優れる。このような事務用機器用の接触用部品としては、外装部品、内装部品、スイッチまわりの部品、可動部の部品、デスクロック部品、デスク引き出し等に好適に用いることができる。
【0070】
住宅内装用部品は、例えば扉、引き戸の開閉により、他の部品と接触し、擦れ合うことにより発生する軋み音を大幅に低減させることが可能である。さらには、延性破壊することにより、衝突等の安全性に優れる。このような住宅内装用部品としては、シェルフ扉、チェアダンパー、テーブル折りたたみ脚可動部品、扉開閉ダンパー、引き戸レール、カーテンレール等として好適に用いることができる。
【0071】
家電用部品は、例えば機器作動時の振動により、他の部品と接触し、擦れ合うことにより発生する軋み音を大幅に低減させることが可能である。このような家電用部品としては、ケース、ハウジング等の外装部品、内装部品、スイッチまわりの部品、可動部の部品等に好適に用いることができる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に何等制約されるものではない。尚、実施例中、部および%は特に断らない限り質量基準である。
【0073】
(1)評価方法:
下記の実施例及び比較例における、ケイ素含有量の測定方法及び各種評価項目の測定・評価方法を以下に示す。
【0074】
(1−1)ケイ素含有量の測定方法
表1に記載の熱可塑性樹脂組成物を東芝機械製EC40射出成形機によりシリンダ温度250℃、射出圧力50MPa、金型温度60℃にて射出成形し、縦25mm、横50mm、厚さ2mmの射出成形プレートを試験片とし、PANalytial社製、蛍光X線分析装置 MagiX PRO にて試験片中央部の直径25mmの範囲のケイ素量を測定した。結果を表1に示す。
【0075】
(1−1)軋み音評価I(異音リスク値):
(実施例4〜9、比較例5〜9について)
表2に記載の接触用部品1、2の各熱可塑性樹脂組成物を東芝機械製IS−170FA射出成形機によりシリンダ温度250℃、射出圧力50MPa、金型温度60℃にて射出成形した、縦150mm、横100mm、厚さ4mmの射出成形プレートから、縦60mm、横100mm、厚さ4mm及び縦50mm、横25mm、厚さ4mmの試験片をディスクソーで切り出し、番手#100のサンドペーパーで端部を面取りした後、細かなバリをカッターナイフで除去し、大小2枚のプレートを接触用部品1、2の試験片として用いた。
接触用部品1、2の、2枚の試験片を80℃±5℃に調整したオーブンで300時間エージングし、25℃で24時間冷却後、接触用部品1の大きな試験片と接触用部品2の小さな試験片をジグラ社製スティックスリップ試験機SSP−02に固定し、荷重5N、40N、速度1mm/秒、10mm/秒の条件で、振幅20mmで3回擦り合わせたときの異音リスク値から以下評価基準により軋み音性を判定した。異音リスク値が大きいほど軋み音の発生リスクは高くなる。結果を表2に示す。
○:試験した条件で最も高い異音リスク値 1〜3
△:試験した条件で最も高い異音リスク値 4〜5
×:試験した条件で最も高い異音リスク値 6〜10
【0076】
(実施例10について)
表2に記載の接触用部品1の熱可塑性樹脂組成物を東芝機械製IS−170FA射出成形機によりシリンダ温度250℃、射出圧力50MPa、金型温度60℃にて射出成形した、縦150mm、横100mm、厚さ4mmの射出成形プレートから、縦60mm、横100mm、厚さ4mmの試験片をディスクソーで切り出し、番手#100のサンドペーパーで端部を面取りした後、細かなバリをカッターナイフで除去し、接触用部品1の試験片として用いた。
接触用部品2の熱可塑性樹脂組成物として三菱エンジニアリングプラスチックス社製のポリカーボネート樹脂S−300(商品名)を東芝機械製IS−170FA射出成形機によりシリンダ温度270℃、射出圧力50MPa、金型温度60℃にて射出成形した、縦150mm、横100mm、厚さ4mmの射出成形プレートから、縦50mm、横25mm、厚さ4mmの試験片をディスクソーで切り出し、番手#100のサンドペーパーで端部を面取りした後、細かなバリをカッターナイフで除去し、接触用部品2の試験片として用いた。
接触用部品1、2の、2枚の試験片を80℃±5℃に調整したオーブンで300時間エージングし、25℃で24時間冷却後、接触用部品1の大きな試験片と接触用部品2の小さな試験片をジグラ社製スティックスリップ試験機SSP−02に固定し、荷重5N、40N、速度1mm/秒、10mm/秒の条件で、振幅20mmで3回擦り合わせたときの異音リスク値から上記評価基準により軋み音性を判定した。異音リスク値が大きいほど軋み音の発生リスクは高くなる。結果を表2に示す。
【0077】
(実施例11について)
表2に記載の接触用部品1の熱可塑性樹脂組成物を東芝機械製IS−170FA射出成形機によりシリンダ温度250℃、射出圧力50MPa、金型温度60℃にて射出成形した、縦150mm、横100mm、厚さ4mmの射出成形プレートから、縦60mm、横100mm、厚さ4mmの試験片をディスクソーで切り出し、番手#100のサンドペーパーで端部を面取りした後、細かなバリをカッターナイフで除去し、接触用部品1の試験片として用いた。
縦50mm、横25mm、厚さ4mmのSUS304製の試験片を、番手#100のサンドペーパーで端部を面取りし、接触用部品2の試験片として用いた。
接触用部品1、2の、2枚の試験片を80℃±5℃に調整したオーブンで300時間エージングし、25℃で24時間冷却後、接触用部品1の大きな試験片と接触用部品2の小さな試験片をジグラ社製スティックスリップ試験機SSP−02に固定し、荷重5N、40N、速度1mm/秒、10mm/秒の条件で、振幅20mmで3回擦り合わせたときの異音リスク値から上記評価基準により軋み音性を判定した。異音リスク値が大きいほど軋み音の発生リスクは高くなる。結果を表2に示す。
【0078】
(実施例12について)
表2に記載の接触用部品1の熱可塑性樹脂組成物を東芝機械製IS−170FA射出成形機によりシリンダ温度250℃、射出圧力50MPa、金型温度60℃にて射出成形した、縦150mm、横100mm、厚さ4mmの射出成形プレートから、縦60mm、横100mm、厚さ4mmの試験片をディスクソーで切り出し、番手#100のサンドペーパーで端部を面取りした後、細かなバリをカッターナイフで除去し、接触用部品1の試験片として用いた。
縦50mm、横25mm、厚さ4mmのガラス製の試験片を、番手#100のサンドペーパーで端部を面取りし、接触用部品2の試験片として用いた。
接触用部品1、2の、2枚の試験片を80℃±5℃に調整したオーブンで300時間エージングし、25℃で24時間冷却後、接触用部品1の大きな試験片と接触用部品2の小さな試験片をジグラ社製スティックスリップ試験機SSP−02に固定し、荷重5N、40N、速度1mm/秒、10mm/秒の条件で、振幅20mmで3回擦り合わせたときの異音リスク値から上記評価基準により軋み音性を判定した。異音リスク値が大きいほど軋み音の発生リスクは高くなる。結果を表2に示す。
【0079】
(1−2)軋み音評価II(実用評価):
表2に記載の接触用部品1、2の各熱可塑性樹脂組成物を株式会社日本製鋼所製の射出成形機「J−100E」(型式名)を用い、それぞれISOダンベル試験片5枚を射出成形し、その後、これらの試験片を80℃のギアオーブンに200時間放置した。次に、接触用部品1であるISOダンベル試験片5枚と、接触用部品2であるISOダンベル試験片5枚を交互に重ね合わせて構造体とし、この両端を手でひねって軋み音の発生の状況を評価した。評価は5回行い、下記評価基準に基づき判定を行った。
同様に、ギヤオーブンに400時間放置した条件での評価も行った。結果を表2に示す。
軋み音低減効果の評価:
○:5回の評価全てにおいて、軋み音の発生は僅かであった。
△:5回の評価において、軋み音の発生が顕著な場合が含まれていた(5回の評価全てにおいて、軋み音の発生が顕著なものは除く)。
×:5回の評価全てにおいて、軋み音の発生が顕著であった。
【0080】
(1−3)成形外観評価(シルバー)
表1の熱可塑性樹脂組成物を東芝機械製EC40射出成形機によりシリンダ温度250℃、射出圧力80MPa、金型温度60℃にて射出成形し、直径1mmのセンターピンゲートの金型にて直径80mm、厚さ2mmの円盤状成形品を各5枚採取した。得られた5枚の試験片を目視観察し、下記評価基準により成形外観の判定を行なった。結果を表1に示す。
○:5枚の試験片全てにおいてゲート付近にシルバーストリークは発生しなかった。
×:5枚の試験片においてゲート付近にシルバーストリークが発生したものが含まれていた。
尚、表2に構造体の成形外観を示したが、これは接触用部品1、2からなる構造体全体についての外観を判定し、○:良好、×:不良の2段階で評価した。
【0081】
成分〔A〕
A−1:AES−1
リボン型攪拌機翼、助剤連続添加装置、温度計などを装備した容積20リットルのステンレス製オートクレーブに、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕として、エチレン・プロピレン共重合体(エチレン/プロピレン=78/22(%)、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)20、融点(Tm)は40℃、ガラス転移温度(Tg)は−50℃)22部、スチレン55部、アクリロニトリル23部、t−ドデシルメルカプタン0.5部、トルエン110部を仕込み、内温を75℃に昇温して、オートクレーブ内容物を1時間攪拌して均一溶液とした。その後、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.45部を添加し、内温を更に昇温して、100℃に達した後は、この温度を保持しながら、攪拌回転数100rpmとして重合反応を行った。重合反応開始後4時間目から、内温を120℃に昇温し、この温度を保持しながら更に2時間反応を行って重合反応を終了した。その後、内温を100℃まで冷却し、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート0.2部、ジメチルシリコーンオイル;KF−96−100cSt(商品名:信越シリコーン株式会社製)0.02部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒を留去し、さらに40mmφベント付き押出機(シリンダー温度220℃、真空度760mmHg)を用いて揮発分を実質的に脱気させ、ペレット化した。得られたエチレン・α−オレフィン系ゴム強化ビニル系樹脂のグラフト率は70%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.47dl/gであった。
【0082】
A−2:AES−2
リボン型攪拌機翼、助剤連続添加装置、温度計などを装備した容積20リットルのステンレス製オートクレーブに、A−1で用いたエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕に代えてエチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体(エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン=63/32/5(%)、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)33、融点(Tm)は無し、ガラス転移温度(Tg)は−52℃)30部、スチレン45部、アクリロニトリル25部、t−ドデシルメルカプタン0.5部、トルエン140部を仕込み、内温を75℃に昇温して、オートクレーブ内容物を1時間攪拌して均一溶液とした。その後、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.45部を添加し、内温を更に昇温して、100℃に達した後は、この温度を保持しながら、攪拌回転数100rpmとして重合反応を行った。重合反応開始後4時間目から、内温を120℃に昇温し、この温度を保持しながら更に2時間反応を行って重合反応を終了した。その後、内温を100℃まで冷却し、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート0.2部、ジメチルシリコーンオイル;KF−96−100cSt(商品名:信越シリコーン株式会社製)0.02部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒とを留去し、さらに40mmφベント付き押出機(シリンダー温度220℃、真空度760mmHg)を用いて揮発分を実質的に脱気させ、ペレット化した。得られたエチレン・α−オレフィン系ゴム強化ビニル系樹脂のグラフト率は60%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.45dl/gであった。
【0083】
A−3:ABS−1
攪拌機付き重合器に、水280部およびジエン系ゴム質重合体〔a2〕として、重量平均粒子径0.26μm、ゲル分率90%のポリブタジエンラテックス60部(固形分換算)、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部を仕込み、脱酸素後、窒素気流中で撹拌しながら60℃に加熱した後、アクリロニトリル10部、スチレン30部、t−ドデシルメルカプタン0.2部、クメンハイドロパーオキサイド0.3部からなる単量体混合物を60℃で5時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合温度を65℃にし、1時間撹拌続けた後、重合を終了させ、グラフト共重合体のラテックスを得た。重合転化率は98%であった。その後、得られたラテックスに、2,2′−メチレン−ビス(4−エチレン−6−t−ブチルフェノール)0.2部を添加し、塩化カルシウムを添加して凝固し、洗浄、濾過および乾燥工程を経てパウダー状の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のグラフト率は40%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.38dl/gであった。
【0084】
B−1:AS−1
リボン翼を備えたジャケット付き重合用反応器を、2基連結した合成装置を用いた。各反応器内に、窒素ガスをパージした後、1基目の反応器に、スチレン75部、アクリロニトリル25部及びトルエン20部からなる混合物と、分子量調節剤であるtert−ドデシルメルカプタン0.15部をトルエン5部に溶解した溶液と、重合開始剤であるジクミルパーオキサイド0.1部をトルエン5部に溶解した溶液とを連続的に供給し、110℃で重合を行った。供給した単量体等の平均滞留時間は2時間であり、2時間後の重合転化率は56%であった。
次いで、得られた重合体溶液を、1基目の反応器の外部に設けられたポンプにより、連続的に取り出して、2基目の反応器に供給した。連続的に取り出す量は、1基目の反応器に供給する量と同じである。尚、2基目の反応器においては、130℃で2時間重合を行い、2時間後の重合転化率は74%であった。
その後、2基目の反応器から、重合体溶液を回収し、これを、2軸3段ベント付き押出機に導入した。そして、直接、未反応単量体及びトルエン(重合用溶媒)を脱揮し、スチレン・アクリロニトリル共重合体を回収した。このスチレン・アクリロニトリル共重合体を、成分〔B−1〕として用いた。
この成分〔B−1〕の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.60dl/gであった。
【0085】
(2−2)成分〔C〕(シリコーンオイル):
C−1:ジメチルシリコーンオイル;KF−96−100cSt(商品名:信越シリコーン株式会社製)、25℃の動粘度は100cStであった。
【0086】
(2−3)成分〔D〕添加剤:
D−1:エチレン・ビスステアリン酸アマイド;カオーワックス EB−P(商品名:花王株式会社製)
D−2:1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン;アデカスタブ AO−20(商品名:株式会社ADEKA製)
D−3:ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト;アデカスタブ PEP−24G(商品名:株式会社ADEKA製)
【0087】
実施例1〜3及び比較例1〜4
表1に記載の配合割合で、上記成分〔A〕〜〔D〕をそれぞれヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX44α、バレル設定温度250℃)で溶融混練し、ペレット化することにより樹脂組成物X、Yを得た。
得られた樹脂組成物X、Yで上記したように評価用の各試験片を成形した。そして得られた試験片を用いて、前記の方法で評価した。評価結果を表1に示した。
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【0090】
実施例4〜12及び比較例5〜9
上記実施例1〜3、比較例1〜4で得られた樹脂組成物を用いて、前記方法で接触用部品1、2を作製し、これを表2に示すように組み合わせて構造体とし、前記方法で軋み音の評価、成形外観及びリサイクル性を評価した。更に、接触用部品2として、ポリカーボネート製(Y3)、金属(ステンレス)製(Y4)、ガラス製(Y5)のものを用い、これらと接触用部品1と組み合わせた構造体についても同様に評価した。評価結果を表2に示す。
【0091】
表1に示すように、実施例1〜3に代表される本発明の樹脂組成物X1〜X3は、いずれも成形外観が良好である。
これに対し、比較例2及び比較例4の樹脂組成物X5及びY2はケイ素含有量が多過ぎる例であり成形外観が劣っている。比較例1及び比較例3の樹脂組成物X4及びY1はケイ素含有量が少ないため成形外観が良好である。
【0092】
また、表2に示すように、接触用部品1、2として、実施例4〜6に代表される本発明の樹脂組成物X1〜X3を用いた構造体は、軋み音の評価及び成形外観が良好である。また、これらの樹脂組成物X1、X2、X3同士をそれぞれ用いた構造体は、樹脂組成物ごとでの分別が必要でないためリサイクル性が良好である。
実施例7の構造体は、樹脂組成物X1とX3を組み合わせた例であり、軋み音の評価は優れているものの、リサイクル性が劣っている。
実施例8の構造体は、樹脂組成物X1とケイ素含有量が多過ぎる樹脂組成物X5を組み合わせた例であり、軋み音の評価は優れているものの、成形外観及びリサイクル性が劣っている。
実施例10〜12の構造体は、樹脂組成物X1と異種材料を組み合わせた例であり、軋み音の評価は優れているものの、樹脂組成物と異種材料の分別が必要でリサイクル性が劣っている。
一方、比較例5の構造体は、接触用部品1、2として、融点(Tm)を有しないエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕を用いたゴム強化ビニル系樹脂〔A−2〕を含有する樹脂組成物X4、X4を組み合わせた例であり、軋み音の評価が劣っている。
比較例6の構造体は、接触用部品1、2として、ケイ素含有量が多過ぎる樹脂組成物X5、X5を組み合わせた例であり、軋み音の評価及び成形外観が劣っている。
比較例7の構造体は、接触用部品1、2として、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕に代えてポリブタジエン系ゴム質重合体を用いたゴム強化ビニル系樹脂〔A−3〕を含有する樹脂組成物Y1、Y1を組み合わせた例であり、軋み音の評価が劣っている。
比較例8の構造体は、接触用部品1、2として、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕に代えてポリブタジエン系ゴム質重合体を用いたゴム強化ビニル系樹脂〔A−3〕を含有する樹脂組成物Y2、Y2を組み合わせた例であり、軋み音の評価及び成形外観が劣っている。
比較例9の構造体は、接触用部品1、2として、ポリブタジエン系ゴム質重合体を用いたゴム強化ビニル系樹脂〔A−3〕を含有する樹脂組成物Y1、Y2を組み合わせた例であり、軋み音の評価及び成形外観が劣り、また、樹脂組成物Y1、Y2の分別が必要なためリサイクル性が劣っている。
【0093】
以上から明らかなように、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、組み付け相手である接触用部品の材質を問わず広汎な材質に対して優れた軋み音低減効果を有し、部品同士の接触、接合、嵌合する箇所を有する自動車内装用部品、事務用機器、住宅内装用部品、家電用部品等に好適であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物は、2個以上の部品が擦れ合うときに発生する軋み音が著しく低減され、かつ高温下に長時間置かれた場合においても軋み音低減効果が低下せずに維持され、さらには耐衝撃性に優れた接触用部品からなる構造体を提供することができ、部品同士が接触、接合、嵌合する箇所を有する自動車内装用部品、事務用機器、住宅内装用部品、家電用部品等に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0095】
M 物体
V 駆動速度
μs ノコギリ波形上端の静摩擦係数
μl ノコギリ波形下端の摩擦係数
Δμ μs−μl

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Tm(融点)が0℃以上のエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の存在下にビニル系単量体〔b1〕を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂〔A〕を含有してなる熱可塑性樹脂組成物〔X〕であって、
前記熱可塑性樹脂組成物〔X〕中のケイ素含有量が、該熱可塑性樹脂組成物〔X〕100質量%に対して0.15質量%以下であることを特徴とする軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の含有量が、熱可塑性樹脂組成物〔X〕100質量%に対して5〜30質量%であることを特徴とする請求項1に記載の軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕が、Tm(融点)が0℃以上のエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕の存在下にビニル系単量体〔b1〕を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂〔A1〕と、ビニル系単量体〔b2〕の(共)重合体〔B〕とを含有してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕が、エチレン5〜95質量%及びα−オレフィン95〜5質量%(ただし、エチレン及びα−オレフィンの合計で100質量%)からなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
ゴム強化ビニル系樹脂〔A〕のグラフト率が10〜150質量%であり、アセトン可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)が0.1〜1.5dl/gであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
熱可塑性樹脂組成物〔X〕のアセトン可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)が0.1〜1.5dl/gであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体〔a1〕が、エチレン・プロピレン共重合体であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】
熱可塑性樹脂組成物〔X〕中のケイ素含有量が、該熱可塑性樹脂組成物〔X〕100質量%に対して0.1質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】
熱可塑性樹脂組成物〔X〕中のケイ素含有量が、該熱可塑性樹脂組成物〔X〕100質量%に対して0.07質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】
熱可塑性樹脂組成物〔X〕中のケイ素含有量が、該熱可塑性樹脂組成物〔X〕100質量%に対して0.03質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の軋み音低減用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項11】
少なくとも2個の接触用部品を含む構造体であって、前記接触用部品が請求項1乃至10の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物〔X〕からなる接触用部品を含むことを特徴とする軋み音低減構造体。
【請求項12】
接触用部品の2個以上が、請求項1乃至10の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物〔X〕からなることを特徴とする請求項11に記載の軋み音低減構造体。
【請求項13】
ジグラー(ZIEGLER)社製のスティック&スリップ測定装置SSP−02を使用して測定される異音リスク値が、以下の全ての測定条件において3以下であることを特徴とする請求項12に記載の軋み音低減構造体。
測定条件
荷重:5N、40N
速度:1mm/秒、10mm/秒
【請求項14】
接触用部品が自動車内装用部品、スイッチ部品、事務機器用部品、家電用部品、デスク用ロック部品、住宅用内装部品、又は室内扉の開閉ダンパー部品であることを特徴とする請求項11乃至13の何れか1項に記載の軋み音低減構造体。
【請求項15】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物〔X〕からなる接触用部品を含むことを特徴とする自動車内装用メーターバイザー。
【請求項16】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物〔X〕からなる接触用部品を含むことを特徴とする自動車内装用センターパネル。
【請求項17】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物〔X〕からなる接触用部品を含むことを特徴とする自動車内装用コンソールボックス。
【請求項18】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物〔X〕からなる接触用部品を含むことを特徴とする自動車内装用スイッチベゼル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−64124(P2013−64124A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−191095(P2012−191095)
【出願日】平成24年8月31日(2012.8.31)
【出願人】(396021575)テクノポリマー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】