説明

軒下付きシート式屋根の構造

【課題】外気が軒裏を通じて建物の屋内に侵入するのを防ぐことができ、しかも、それを施工容易に実現することができる軒下付きシート式屋根の構造を提供する。
【解決手段】軒下の備えられた側の外壁と屋根用シート11との間の開口部が、屋根用シート11に備えられたエプロン部16でカバーされ、エプロン部16の下端部は、面ファスナー17a,17bで外壁の側であるマグサ8に止め付けられている。また、屋根用シート11の勾配は、小屋梁7…と屋根用シート11との間に介設されたジャッキ15,15によってつけられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軒下付きシート式屋根の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
屋根面をシートで形成すると共に、軒先部を外壁よりも外方に張り出させて軒下を形成し、屋根用シートに前記軒先部に向けて斜め下方に傾斜する勾配をつけた軒下付きシート式屋根では、軒下の備えられた側の外壁と屋根用シートとの間に開口部を生じてしまい、外気が、軒裏と前記開口部とを通じて建物の屋内に侵入してしまうという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、外気が軒裏を通じて建物の屋内に侵入するのを防ぐことができ、しかも、それを施工容易に実現することができる軒下付きシート式屋根の構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題は、屋根面がシートで形成されると共に、軒先部が外壁よりも外方に張り出して軒下が備えられ、屋根用シートに前記軒先部に向けて斜め下方に傾斜する勾配がつけられた、軒下付きシート式屋根の構造であって、
前記軒下の備えられた側の外壁と屋根用シートとの間の開口部が、屋根用シートに備えられて該屋根用シートから垂れ下げられたエプロン部でカバーされていることを特徴とする軒下付きシート式屋根の構造によって解決される。
【0005】
この構造では、軒下の備えられた側の外壁と屋根用シートとの間の開口部が、屋根用シートから垂れ下げられたエプロン部でカバーされているので、外気が軒裏を通じて建物の屋内に侵入するのを防ぐことができる。
【0006】
しかも、エプロン部は、屋根用シートに備えられて屋根用シートから垂れ下げられているので、屋根用シートを屋根に取り付け、エプロン部を垂れ下がり状態にすれば開口部がカバーされ、該開口部を施工容易にカバーすることができる。
【0007】
前記エプロン部の下端部が、面ファスナーで外壁の側に止め付けられている場合は、エプロン部が風で煽られることがなく、開口部をしっかりとカバーすることができ、しかも、エプロン部の下端部を外壁の側に重ねれば面ファスナーで接合されて止め付けられ、エプロン部の下端部の止付けを施工容易に行うことができる。
【0008】
また、屋根用シートが、小屋梁と屋根用シートとの間に介設されたジャッキによって勾配をつけられている場合は、屋根用シートの勾配付けのために建物屋内のスペースを擬制にする必要がなくて屋内空間を広く使用することができると共に、屋根用シートをジャッキで適正な張り状態に調整することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以上のとおりのものであるから、外気が軒裏を通じて建物の屋内に侵入するのを防ぐことができ、しかも、それを施工容易に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の実施最良形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
本実施形態の軒下付きシート式屋根の構造は、図2〜図4に示すように、角形のログ材1…を井桁状に組み、上下のログ材1,1間を遮蔽部2及び/又は透光部3で塞いだ外壁構造の組立て家屋4の屋根に適用した場合のもので、図2(イ)に示すように、同様のログ材からなる左右の軒桁5,5が、それらの両端部をそれぞれ家屋の外壁よりも外方に突出させるようにして備えられると共に、同様のログ材からなる多数本の小屋梁7…が、図4(ロ)に示すように、上記の軒桁5,5にわたすようにして所定間隔おきに平行に備えられ、また、小屋梁7…と並ぶようにして、外壁対応位置に横架材、例えばマグサ8,8が備えられている。
【0012】
一方、屋根用シート11は、図1(イ)に示すように、例えばポリエチレンを独立気泡構造にした低発泡ポリエチレン断熱シート12の両面を膜材13,14でカバーしたものなどからなっていて、平面視方形状をしており、図1(ロ)に示すように、各辺の先端部が、添え材9…によって、軒先部に取り付けられると共に、図2に示すように、小屋梁7…と屋根用シート11との間にジャッキ15,15が介設され、該ジャッキ15,15を伸長することで、屋根用シート11に寄せ棟形状の勾配が付けられ、軒桁5,5の両端部の側で軒先が外壁よりも外方に張り出して軒下が形成されている。
【0013】
そして、屋根用シート11の下面側には、マグサ8,8の位置において、図1(イ)に示すように、下面側の膜材14を折り返すようにして形成されたエプロン部16が備えられ、該エプロン部16が、図1(ロ)に示すように、屋根用シート11から垂れ下げられ、エプロン部16の下端部とマグサ8の上面部にそれぞれ取り付けられた面ファスナー17a,17bが接着されて、図2(イ)に示すように、屋根用シート11とマグサ8との間の開口部がカバーされている。
【0014】
施工は、例えば、図1(ロ)に示すように、屋根用シート11の先端部を、面ファスナー18a,18bで添え材9に止め付け、添え材9を回動させて軒先側に固定すると共に、屋内側から屋根用シート11のエプロン部16を面ファスナー17a,17bでマグサ8に止め付け、その状態で、屋根用シート11をジャッキ15,15で上昇させれば、図2(イ)に示すように、屋根用シート11とマグサ8,8との間の開口部は、エプロン部16,16でカバーされた状態となる。なお、屋根用シート11をジャッキ15,15で上昇させた後に、エプロン部16を面ファスナー17a,17bでマグサ8に止め付けるようにしてもよい。
【0015】
このように、上記の軒下付きシート式屋根構造では、軒下の備えられた側のマグサ8と屋根用シート11との間の開口部が、屋根用シート11から垂れ下げられたエプロン部16によってカバーされているので、外気が軒裏を通じて建物4の屋内に侵入するのを防ぐことができ、しかも、エプロン部16は、屋根用シート11に備えられているので、屋根用シート11を屋根に取り付け、エプロン部16を垂れ下げ状態にするだけで開口部をカバーすることができ、該開口部を施工容易にカバーすることができる。特に、本実施形態では、エプロン部16の下端部が、面ファスナー17a,17bでマグサ8に止め付けられているので、エプロン部16が風で煽られることがなく、開口部をしっかりとカバーすることができると共に、エプロン部16の下端部を屋内側からマグサ8の上面部に重ねるようにするだけでエプロン部16の下端部をマグサ8に止め付けることかできてマグサ8へのエプロン部16の下端部の止付けも施工容易に行うことができる。
【0016】
また、屋根用シート11は、小屋梁7…と屋根用シート11との間に介設したジャッキ15,15によって勾配をつけられているので、屋根用シート11の勾配付けのために家屋の屋内居住スペースを擬制にする必要がなくて屋内空間19を広く使用することができると共に、屋根用シート11をジャッキ15,15で適正な張り状態に調整することができる。
【0017】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、開口部をカバーするエプロン部は、屋根用シートに縫い付けられたものであってもよいし、面ファスナーで取り付けられて備えられているものであってもよいし、要は、屋根用シートに予め備えられたものであればよい。また、上記の実施形態では、角形のログ材を井桁状に組み、上下のログ材間を遮蔽部及び/又は透光部で塞いだ外壁構造の組立て家屋の屋根に適用した場合を示したが、本発明は、これに限らず、屋外に設置される各種の建物や構造物の屋根構造として広く用いることができるものである。また、上記の実施形態で、屋根シートが断熱シートからなる場合を示したが、断熱の有無等に制限はなく、各種シートが用いられてよい。また、軒先部への屋根用シート先端部の取付け構造に制限はなく、各種取付け構造が採用されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態を示すもので、図(イ)は屋根用シートにおけるエプロン部の断面図、図(ロ)は屋根用シートの取付け方法を示す断面正面図である。
【図2】屋根部分を示すもので、図(イ)は図3(ロ)のI−I線断面矢視図、図(ロ)は図3(ロ)のII−II線断面矢視図である。
【図3】図(イ)は屋根用シートを取り除いた状態の屋根の平面図、図(ロ)は屋根用シートを取り付けた状態の屋根の平面図である。
【図4】図(イ)は家屋の外壁部分の平面断面図、図(ロ)は小屋梁部分の平面図である。
【符号の説明】
【0019】
7…小屋梁
8…マグサ(横架材、外壁の側)
11…屋根用シート
15…ジャッキ
16…エプロン部
17a,17b…面ファスナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根面がシートで形成されると共に、軒先部が外壁よりも外方に張り出して軒下が備えられ、屋根用シートに前記軒先部に向けて斜め下方に傾斜する勾配がつけられた、軒下付きシート式屋根の構造であって、
前記軒下の備えられた側の外壁と屋根用シートとの間の開口部が、屋根用シートに備えられて該屋根用シートから垂れ下げられたエプロン部でカバーされていることを特徴とする軒下付きシート式屋根の構造。
【請求項2】
前記エプロン部の下端部が、面ファスナーで外壁の側に止め付けられている請求項1に記載の軒下付きシート式屋根の構造。
【請求項3】
前記屋根用シートが、小屋梁と屋根用シートとの間に介設されたジャッキによって勾配をつけられている請求項1又は2に記載の軒下付きシート式屋根の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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