説明

軒樋の梱包構造

【課題】
軒樋が収納される箱体への衝撃に対して、軒樋の変形、破損、擦傷等を防止することができる軒樋の梱包構造を提供する。
【解決手段】
底壁の両側縁から立設した側壁の上端に耳部61を有する軒樋6が箱体7内に積層収納されてなる軒樋の梱包構造1において、最上位の軒樋5内には上部緩衝部材3が配置され、最下位の軒樋4下方には軒樋4の底壁41および両側壁42にそれぞれ当接する底板21および側板22からなる下部緩衝部材2が配置され、上部緩衝部材3はその上面が箱体7の天板71に当接して最上位の軒樋5の上端と箱体7の天板71との間に衝撃吸収空間Aを形成し、下部緩衝部材2の少なくとも底板21が衝撃吸収空間Aを内在する緩衝質材からなり、側板22の上端は耳部43に当接しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軒樋の梱包構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上方に開口する角型の軒樋を上下方向に複数積み重ねて、ダンボールなどの箱体に収納する際に、箱体内部の最上位の軒樋の上方の空間を発泡スチロール樹脂製の上緩衝材で埋めるとともに、箱体内部の最下位の軒樋の下方の空間を古紙を再生して抄造プレスして形成されてなる下緩衝材で埋めるようにした軒樋の梱包構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平5−62487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この特許文献1に記載されるような軒樋の梱包構造は、例えば、軒樋を収納した箱体の輸送中の荷扱い時において外部から衝撃を受けた場合、箱体内部の空間を隙間無く埋めた緩衝部材で衝撃を受けることにより、箱体自体の変形や破損あるいは収納されている軒樋の変形、破損または積み重ねた軒樋同士が接触して軒樋表面に擦傷が生じないようにしている。
【0004】
しかしながら、上記の軒樋の梱包構造において箱体自体が変形してしまうような強い衝撃が加わった場合、もはや緩衝部材で十分に衝撃を緩和することができず、軒樋の変形、破損、擦傷等を十分に防止することができない場合があった。このため、収納された軒樋への衝撃ができるだけ緩和されるような軒樋の梱包構造が望まれているのが実情である。
【0005】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、軒樋が収納される箱体への衝撃に対して、軒樋の変形、破損、擦傷等を防止することができる軒樋の梱包構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、第1に、底壁の両側縁から立設した側壁の上端に耳部を有する軒樋が箱体内に積層収納されてなる軒樋の梱包構造において、最上位の軒樋内には上部緩衝部材が配置され、最下位の軒樋下方には軒樋の底壁および両側壁にそれぞれ当接する底板および側板からなる下部緩衝部材が配置され、上部緩衝部材はその上面が箱体天板に当接して最上位の軒樋の上端と箱体天板との間に衝撃吸収空間を形成し、下部緩衝部材の少なくとも底板が衝撃吸収空間を内在する緩衝質材からなり、側板の上端は耳部に当接しないことを特徴としている。
【0007】
第2には、上記の特徴に加え、衝撃吸収空間を内在する緩衝質材がダンボール材であることを特徴としている。
【0008】
第3には、上記の特徴に加え、上部緩衝部材が、軒樋内に嵌合する角型筒体であることを特徴としている。
【0009】
第4には、上記の特徴に加え、上部緩衝部材が、ダンボール材であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
上記第1の発明によれば、下部緩衝部材の底板が衝撃吸収空間を内在する緩衝質材であるため、箱体下方からの衝撃を底板が吸収し、最下位の軒樋の底壁及び底角部の軒樋の変形、破損、擦傷を回避することができる。
【0011】
また、下部緩衝部材の底板および両側板が、最下位の軒樋の底壁および両側壁にそれぞれ当接することによって、縦または横方向の揺れで軒樋と箱体とのずれやがたつきが生じた場合にも、軒樋と下部緩衝部材が一体となって動くことができ、最下位の軒樋の底壁や底角部にかかる摩擦、衝撃を軽減して、擦傷や破損を回避することができる。
【0012】
さらに、上部緩衝部材の上面が箱体天板に当接して最上位の軒樋の上端と箱体天板との間に衝撃吸収空間が形成することによって、箱体上方からの衝撃を吸収するとともに、最上位の軒樋の耳部に直接衝撃が加わらないため、耳部の変形、破損、擦傷を回避することができる。
【0013】
上記第2の発明によれば、上記の発明の効果に加え、衝撃吸収空間を内在する緩衝質材がダンボール材とすることによって、軽量化できるとともにコストも削減できる。
【0014】
上記第3の発明によれば、上記の発明の効果に加え、上部緩衝部材が、軒樋内に嵌合する角型筒体であることによって、軒樋との接面に衝撃を分散することができ、さらに耐衝撃性が増すとともに、軽量化できてコストも削減できる。
【0015】
上記第4の発明によれば、上記の発明の効果に加え、上部緩衝部材をダンボール材とすることによって、さらに軽量化できてコストも削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の軒樋の梱包構造の実施形態を示した断面図である。
【0017】
複数の軒樋6を梱包する際には、例えば、図1の梱包構造1のように、下部緩衝部材2と上部緩衝部材3を用いて梱包することができる。以下、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0018】
下部緩衝部材2は、底板21の両側縁に側板22が立設されていて、これら底板21および側板22は、最下位の軒樋4の底壁41及び側壁42の外側に当接している。加えて、下部緩衝部材2の側板22の上端は、最下位の軒樋4の耳部43の下方に位置し、耳部43とは当接していない。
【0019】
下部緩衝部材2の底板21は、衝撃吸収空間Aを内在する緩衝質材からなる。例えば、図1のように、緩衝質材はダンボール材としてもよいし、その他一般的なスポンジ、綿等のクッション材としてもよい。また、下部緩衝部材2の底板21以外の材質については特に制限されないが、コスト、軽量性を考慮すれば、ダンボール材を好適に用いることができ、また、下部緩衝部材2の底板21と同様の素材を用いて一体化した方がコストを軽減できる。
【0020】
通常は、運搬の最中に箱体7を床に置いた時など箱体7の下方からの衝撃を受け、その衝撃は最初に最下位の軒樋4の底壁41に加わり、変形、破損、擦傷を招く。このような場合、本発明においては下部緩衝部材2の底板21が衝撃吸収空間Aを内在する緩衝質材からなるため、衝撃は直接に最下位の軒樋4の底壁41に加わらず、底壁41及び底角部44の擦傷や破損を回避することができる。
【0021】
また、運搬中の車などでは縦または横方向の揺れも発生し、軒樋6(特に最下位の軒樋4)と箱体7とのずれやがたつきが生じて、底壁41や底角部44の擦傷や破損が多々見られる。このような場合、本発明においては、底板21及び両側板22が底壁41及び両側壁42に当接しているので、下部緩衝部材2が最下位の軒樋4と一体となって動くことができ、最下位の軒樋4の底壁41や底角部44にかかる摩擦、衝撃を軽減して、擦傷や破損を回避することができる。
【0022】
一方、上部緩衝部材3は、最上位の軒樋5内に配置され、その上面31が箱体7の天板71に当接している。この構成によって、最上位の軒樋5の上端と天板71との間に衝撃吸収空間Aを形成させている。
【0023】
つまり、上部緩衝部材3の上面31は最上位の軒樋5の耳部53よりも相対位置として上方に位置し、衝撃吸収空間Aを形成できる形状であれば、その他細部の形状および材質等は特に制限はない。重量、コスト等も考慮して適宜選択することが望ましく、例えば、図1のように、最上位の軒樋5の底壁51及び側壁52の内側に当接するように上面31、下面32、両側面33の4面で形成され、角型筒体としたダンボール材が選択される。
【0024】
通常は、箱体7を保管する時には、箱体7を上に積載して保管するため、箱体7の上に別体の箱体を置いた瞬間の衝撃や積載状態の重みによって、箱体7内部に積層された軒樋6、特に密に積層している耳部61に負担がかかり、変形や破損を招く。このような場合、本発明においては、最上位の軒樋5の上端と天板71との間の衝撃吸収空間Aによって、上からの衝撃あるいは重みが直接耳部53に加わらないため、耳部61の変形や破損を回避することができる。
【0025】
例えば、梱包手順としては、
(A)まず、箱体7の底に、下部緩衝部材2を置き、
(B)次いで、下部緩衝部材2の上に、軒樋6を嵌挿し、
(C)そして、最上位の軒樋5の上に、上部緩衝部材3を嵌挿し、
(D)最後に、箱体7の天板71を閉めて、
梱包することができる。ここで、軒樋6は複数嵌挿するが、一つずつ嵌挿してもよいし、軒樋6を重ね合わせたものを嵌挿してもよい。あるいは、箱体7は、箱に組み立てられる前の展開体として箱体7の底にあたる面に下部緩衝部材2を置き、軒樋6及び上部緩衝部材3を嵌挿した後に組み立ててもよい。ただし、後で箱を組み立てる場合は、嵌挿作業が簡便であるが、軒樋6を積み上げた際の安定性に欠けるため、軒樋6の個数が少ない場合に好適に用いることができる。
【0026】
もちろん本発明は以上の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の軒樋の梱包構造の実施形態を示した断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 梱包構造
2 下部緩衝部材
21 底板
22 側板
3 上部緩衝部材
31 上面
32 下面
33 側面
4 最下位の軒樋
41 最下位の軒樋の底壁
42 最下位の軒樋の側壁
43 最下位の軒樋の耳部
44 最下位の軒樋の底角部
5 最上位の軒樋
51 最上位の軒樋の底壁
52 最上位の軒樋の側壁
53 最上位の軒樋の耳部
6 軒樋
61 耳部
7 箱体
71 箱体の天板
A 衝撃吸収空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁の両側縁から立設した側壁の上端に耳部を有する軒樋が箱体内に積層収納されてなる軒樋の梱包構造において、最上位の軒樋内には上部緩衝部材が配置され、最下位の軒樋下方には軒樋の底壁および両側壁にそれぞれ当接する底板および側板からなる下部緩衝部材が配置され、上部緩衝部材はその上面が箱体天板に当接して最上位の軒樋の上端と箱体天板との間に衝撃吸収空間を形成し、下部緩衝部材の少なくとも底板が衝撃吸収空間を内在する緩衝質材からなり、側板の上端は耳部に当接しないことを特徴とする軒樋の梱包構造。
【請求項2】
衝撃吸収空間を内在する緩衝質材がダンボール材である請求項1に記載の軒樋の梱包構造。
【請求項3】
上部緩衝部材が、軒樋内に嵌合する角型筒体である請求項1に記載の軒樋の梱包構造。
【請求項4】
上部緩衝部材が、ダンボール材であることを特徴とする請求項1または3に記載の軒樋の梱包構造。

【図1】
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【公開番号】特開2008−81138(P2008−81138A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−260986(P2006−260986)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】