説明

軟水装置

【課題】水路における水流を利用して発電を行う発電手段と蓄電手段とを備えた軟水装置において、前記水路への通水時に、前記蓄電手段の蓄電量が十分であるとき、前記発電手段による発電を抑制する。
【解決手段】原水に含まれる硬度分を除去する軟水生成部2とともに、水路5における水流を利用して発電を行う発電手段7と、この発電手段7で発電した電力を被給電部であるバルブ駆動装置22へ供給する電力として蓄える蓄電手段19とを備える軟水装置1であって、前記発電手段7をバイパスするバイパスライン9を前記水路5と接続し、この水路5への通水時に、前記蓄電手段19が所定の蓄電量まで蓄電されたとき、または前記水路5への通水を行っている時間が所定時間継続したとき、前記バイパスライン9への通水を行うバイパス通水手段20を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原水に含まれる硬度分を除去する軟水装置に関し、とくに一般家庭用および病院用など、工業用以外の民生用の軟水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
軟水装置は、軟水生成部として、ナトリウム型またはカリウム型のイオン交換樹脂を収容した樹脂収容部を備える。そして、この樹脂収容部へ原水ラインから原水を供給し、この原水中に含まれる硬度分,すなわちカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンをナトリウムイオンまたはカリウムイオンと置換させることにより軟水を生成し、この軟水を軟水ラインから供給するようになっている。
【0003】
ところで、たとえば前記軟水装置を浴室に設置する場合、装置で使用する電力を装置外部から供給しようとすると、漏電遮断の対策などの煩雑な工事を伴う。そこで、このように装置で使用する電力を装置外部から供給することが困難な場所に設置する軟水装置として、装置の使用時,すなわち原水ラインを介して前記軟水生成部へ原水を供給して軟水を生成し、この軟水を前記軟水生成部から軟水ラインを介して供給するときに、前記原水ライン,前記軟水生成部および前記軟水ラインからなる水路に設けた羽根車をこの水路における水流によって回転させて発電を行う発電手段と、この発電手段で発電した電力を蓄える蓄電手段とを備え、この蓄電手段から装置内の被給電部へ電力を供給する軟水装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−51854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記軟水装置では、使用時,すなわち前記水路を水が流れている間は、常に前記羽根車が回転して発電が行われる。しかし、前記蓄電手段における蓄電量が充満状態にあるときにまで、前記発電手段による発電を行う必要はなく、むしろこのような状態で発電を行うことは、前記羽根車の軸受部の磨耗が進行したり、水路を流れてきたゴミなどが前記羽根車に引っかかる可能性が増えたりするなどといった問題がある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、水路における水流を利用して発電を行う発電手段と蓄電手段とを備えた軟水装置において、前記水路への通水時に、前記蓄電手段の蓄電量が十分であるとき、前記発電手段による発電を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、原水に含まれる硬度分を除去する軟水生成部とともに、水路における水流を利用して発電を行う発電手段と、この発電手段で発電した電力を被給電部へ供給する電力として蓄える蓄電手段とを備える軟水装置であって、前記発電手段をバイパスするバイパスラインを前記水路と接続し、この水路への通水時に、前記蓄電手段が所定の蓄電量まで蓄電されたとき、または前記水路への通水を行っている時間が所定時間継続したとき、前記バイパスラインへの通水を行うバイパス通水手段を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の前記バイパス通水手段にあっては、前記水路への通水時に、前記蓄電手段が所定の蓄電量まで蓄電されたとき、または前記水路への通水を行っている時間が所定時間継続したとき、前記水路における前記発電手段が設けられた部分を通水停止状態にするとともに、前記バイパスラインを通水状態にする切替バルブを、前記バイパスラインの一端側または他端側と前記水路との接続部分に備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の前記バイパス通水手段にあっては、前記水路への通水時に、前記蓄電手段が所定の蓄電量まで蓄電されたとき、または前記水路への通水を行っている時間が所定時間継続したとき、開状態にするバイパスバルブを前記バイパスラインに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、前記水路への通水時に、前記蓄電手段が所定の蓄電量まで蓄電されたとき、または前記水路への通水を行っている時間が所定時間継続したとき、前記バイパス通水手段により、前記バイパスラインへの通水を行うと、前記水路における前記発電手段が設けられた部分の流量を減少させることができる。これにより、前記蓄電手段の蓄電量が十分であるとき、前記発電手段による発電を抑制することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、前記水路への通水時に、前記蓄電手段が所定の蓄電量まで蓄電されたとき、または前記水路への通水を行っている時間が所定時間継続したとき、前記切替バルブによって前記バイパスラインを通水状態にする一方で、前記水路における前記発電手段が設けられた部分を通水停止状態にすることにより、この部分の水流がなくなる。したがって、前記蓄電手段が所定の蓄電量まで蓄電されたとき、または前記水路への通水を行っている時間が所定時間継続したとき、前記発電手段による発電は行われないことになり、前記蓄電手段の蓄電量が十分であるとき、前記発電手段による発電を抑制することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、前記水路への通水時に、前記蓄電手段が所定の蓄電量まで蓄電されたとき、または前記水路への通水を行っている時間が所定時間継続したとき、前記バイパスバルブを開状態にすることにより、前記バイパスラインへの通水が行われ、前記水路における前記発電手段が設けられた部分の流量を減少させることができる。これにより、前記蓄電手段の蓄電量が十分であるとき、前記発電手段の発電を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
つぎに、この発明の実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(第一実施形態)
まず、この発明の第一実施形態について説明する。図1は、この発明に係る軟水装置の第一実施形態の構成を示す概略的な説明図である。
【0013】
この第一実施形態で示す軟水装置1は、一般家庭の浴室(図示省略)で使用される湯水に含まれる硬度分を除去する浴室用の軟水装置であり、この軟水装置1は、軟水生成部2と、この軟水生成部2と接続された原水ライン3および軟水ライン4とを備えている。そして、前記原水ライン3,前記軟水生成部2および前記軟水ライン4からなる水路5へ通水することにより、前記軟水生成部2で生成された軟水が前記浴室内へ供給されるようになっている。
【0014】
前記軟水生成部2は、イオン交換樹脂(図示省略)により、原水中に含まれる硬度分を吸着除去して軟水を生成するようになっている。
【0015】
前記原水ライン3は、前記浴室内の湯水混合栓(図示省略)と接続されている。また、前記原水ライン3には、原水中のごみなどを捕捉可能なフィルター(図示省略)を備えたフィルター部6,発電手段7および原水バルブ8が上流側からこの順で設けられている。さらに、前記原水ライン3には、前記フィルター部6および前記発電手段7をバイパスするバイパスライン9が接続されている。このバイパスライン9は、前記フィルター部6の上流側の前記原水ライン3と接続された一端側および前記発電手段7と前記原水バルブ8との間の前記原水ライン3と接続された他端側のうち、一端側において三方弁10を介して前記原水ライン3と接続されている。
【0016】
前記フィルター部6には、排水バルブ11が設けられた排水ライン12が接続されており、この排水ライン12から、前記原水ライン3を流れる原水を前記フィルター部6を介して装置外へ排出することができるようになっている。
【0017】
前記軟水ライン4は、前記軟水装置1に設けられている吐水部13およびシャワー部14と接続されており、前記吐水部13と接続されている吐水ライン15と、前記シャワー部14と接続されているシャワーライン16とに分岐している。前記吐水ライン15には吐水バルブ17が設けられ、前記シャワーライン16にはシャワーバルブ18が設けられている。
【0018】
前記発電手段7は、前記原水ライン3に設けた羽根車(図示省略)を、この原水ライン3における水流によって回転させて発電を行う発電機(図示省略)を備えて構成されている。前記発電手段7で発電された電力は、蓄電手段19に蓄えられるようになっている。そして、前記蓄電手段19に蓄えられた電力は、前記軟水装置1内に備えられた後述するバルブ駆動装置22(たとえば、モータや電磁コイル)などの被給電部へ供給されるようになっている。
【0019】
前記蓄電手段19としては、たとえばコンデンサや蓄電池などが用いられる。ここで、前記蓄電手段19としてコンデンサを用いれば、後述するように前記バルブ駆動装置22によって前記原水バルブ8,前記三方弁10,前記排水バルブ11,前記吐水バルブ17および前記シャワーバルブ18を駆動させるために必要な電圧を低コストで確保することができる。
【0020】
前記軟水装置1は、前記水路5への通水時に、前記蓄電手段19が所定の蓄電量まで蓄電されたとき、具体的には前記蓄電手段19の蓄電容量が充満されたとき、前記バイパスライン9への通水を行うバイパス通水手段20を備えている。このバイパス通水手段20としては、前記水路5への通水時に、前記蓄電手段19が所定の蓄電量まで蓄電されたとき,すなわち前記蓄電手段19の蓄電容量が充満されたとき、前記原水ライン3における前記発電手段7が設けられた部分を通水停止状態にするとともに、前記バイパスライン9への通水を行う切替バルブとして、前記三方弁10を備えている。さらに、前記バイパス通水手段20としては、前記蓄電手段19と接続された制御部21と、この制御部21と接続され、前記蓄電手段19から給電されて前記三方弁10を駆動させる前記バルブ駆動装置22とを備えている。そして、前記制御部21は、前記原水バルブ8と前記吐水バルブ17および/または前記シャワーバルブ18とを開状態にして、前記水路5への通水を行っているときに、前記蓄電手段19が所定の蓄電量まで蓄電されたとき、前記蓄電手段19から前記バルブ駆動装置22へ給電させてこれを駆動させ、前記切替バルブとしての前記三方弁10によって通水路を切り替え、前記原水ライン3における前記発電手段7が設けられた部分を通水停止状態にするとともに、前記バイパスライン9を通水状態とさせるようになっている。
【0021】
また、前記制御部22は、前記蓄電手段19から前記バルブ駆動装置22へ給電させてこれを駆動させることにより、前記三方弁10の他、前記原水バルブ8,前記排水バルブ11,前記吐水バルブ17および前記シャワーバルブ18を開状態または閉状態にするようになっている。
【0022】
また、前記制御部21は、前記軟水装置1を使用するとき、使用者が装置筐体(図示省略)に設けられた操作ボタン(図示省略)を操作することにより、前記蓄電手段19から前記バルブ駆動装置22へ給電させてこれを駆動させ、前記原水バルブ8と、前記吐水バルブ17および/または前記シャワーバルブ18とを開状態にするようになっている。これにより、前記水路5へ通水され、前記軟水生成部2において軟水が生成されるようになっている。また、このときの前記原水ライン3における水流を利用して前記発電手段7による発電が行われるようになっている。
【0023】
さらに、前記軟水生成部2への通水を停止して、前記原水ライン3における前記発電手段7が設けられた部分に、軟水生成時とは逆方向へ原水を流すようにすることによって、前記羽根車を軟水生成時とは逆方向へ回転させ、この羽根車の軸受部(図示省略)に詰まったごみなどを押し流すため、前記制御部21は次のような制御を行うようになっていてもよい。すなわち、前記制御部21は、前記原水ライン3または前記軟水ライン4に設けた流量センサ(図示省略)によって検知される前記水路5の積算通水量が所定量となったとき、前記原水バルブ8を閉状態とし、また前記三方弁10により、前記原水ライン3における前記発電手段7が設けられた部分を通水停止状態にするとともに、前記バイパスライン9を通水状態にするようになっている。また、このとき前記制御部21は、前記排水バルブ11を開状態にするようになっている。
【0024】
さて、前記軟水装置1の使用時,すなわち前記浴室(図示省略)内へ軟水を供給するときは、前記水路5への通水を行うため、前記バルブ駆動装置22により、前記原水バルブ8と、前記吐水バルブ17および/または前記シャワーバルブ18とを開状態にするとともに、前記三方弁10により、前記バイパスライン9が通水停止状態となり、前記原水ライン3における前記発電手段7が設けられた部分が通水状態となるようにする。また、前記排水バルブ11は閉状態にする。これにより、前記湯水混合栓(図示省略)から供給された原水が、前記原水ライン3を介して前記樹脂収容部2へ流入し、この原水中に含まれる硬度分が前記イオン交換樹脂(図示省略)によって除去されて軟水が生成され、この軟水が前記軟水ライン4を介して前記浴室(図示省略)内へ供給される。
【0025】
そして、前記浴室内へ軟水を供給するとき、前記原水ライン3を原水が流れると、この水流を利用して前記発電手段7で発電され、発電された電力は、前記蓄電手段19に蓄えられる。この蓄電手段19に蓄えられた電力は、前記被給電部である前記バルブ駆動装置22へ供給される。
【0026】
前記水路5への通水時に、前記蓄電手段19が所定の蓄電量,すなわち充満状態まで蓄電されたとき、前記バイパス通水手段20により、前記バイパスライン9への通水を行う。具体的には、前記制御部21は、前記蓄電手段19が充満状態まで蓄電されたとき、前記蓄電手段19から前記バルブ駆動装置22へ電力を供給させてこれを駆動させ、前記切替バルブとしての前記三方弁10を駆動させて、前記バイパスライン9を通水状態にする一方で、前記原水ライン3における前記発電手段7が設けられた部分を通水停止状態にする。これにより、前記発電手段7を設けた部分における前記原水ライン3の水流がなくなる。したがって、前記軟水装置1によれば、前記蓄電手段19が充満状態まで蓄電されたとき、前記発電手段7による発電は行われないことになり、前記蓄電手段19の蓄電量が十分であるとき、前記発電手段7による発電を抑制することができる。
【0027】
また、前記制御部21は、前記流量センサ(図示省略)によって検知される前記水路5の積算通水量が所定量となったとき、前記原水バルブ8を閉状態にし、また前記三方弁10により、前記原水ライン3における前記発電手段7が設けられた部分を通水停止状態にするとともに、前記バイパスライン9を通水状態にする。また、このとき前記制御部21は、前記排水バルブ11を開状態にする。これにより、前記湯水混合栓からの原水は、前記三方弁10から前記バイパスライン9へ流入し、さらに前記バイパスライン9の他端側(下流側)から前記原水ライン3へ流入してこの原水ライン3を前記発電手段7の方へ向かって下流側から上流側へ向かって流れ、前記排水ライン12から装置外へ排出される。このとき、前記原水ライン3では、原水が軟水生成時とは逆方向へ流れ、前記羽根車が軟水生成時とは逆方向へ回転し、これにより前記羽根車の軸受部(図示省略)に詰まったごみなどを押し流すことができる。そして、押し流されたごみなどは、前記フィルター部6で捕捉される。
【0028】
つぎに、前記第一実施形態の変形例について説明する。前記バイパス通水手段20は、前記水路5への通水を行っている時間が所定時間継続したとき、前記バイパスライン9への通水を行うようになっていてもよい。
【0029】
ここで、前記所定時間とは、前記原水ライン3の水流を利用して前記発電手段7によって発電を行い、この発電された電力を前記蓄電手段19へ蓄電することにより、この蓄電手段19における蓄電量が、ゼロの状態から充満状態になるまでに要する時間である。
【0030】
前記水路5への通水が行われているか否かは、たとえば前記発電手段7による発電時に前記蓄電手段19へ入力されるパルスの有無により判定することができる。また、前記水路5への通水が行われているか否かは、前記原水ライン3または前記軟水ライン4にフロースイッチ(図示省略)または圧力スイッチ(図示省略)を設け、これらフロースイッチまたは圧力スイッチから前記制御部21へ流量検知信号を入力するようにし、この流量検知信号の有無によって判定することもできる。したがって、たとえば前記制御部21は、前記発電手段7から前記蓄電手段19へ前記パルスが入力されている時間が所定時間継続したとき、または前記フロースイッチまたは前記圧力スイッチから前記制御部21へ流量検知信号が入力されている時間が所定時間継続したとき、前記蓄電手段19から前記バルブ駆動装置22へ給電させてこれを駆動させ、前記切替バルブとしての前記三方弁10を駆動させて、前記バイパスライン9を通水状態にする一方で、前記原水ライン3における前記発電手段7を設けた部分を通水停止状態にするようになっていてもよい。
【0031】
(第二実施形態)
つぎに、この発明の第二実施形態について説明する。図2は、この発明に係る軟水装置の第二実施形態の構成を示す概略的な説明図である。図2において、前記第一実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0032】
第二実施形態の軟水装置30では、前記バイパス通水手段20として、前記制御部21および前記バルブ駆動装置22の他、前記水路5への通水時に、前記蓄電手段19が所定の蓄電量まで蓄電されたとき、具体的には前記蓄電手段19の蓄電容量が充満されたとき、前記バルブ駆動装置22によって開状態にされるバイパスバルブ31を前記バイパスライン9に備えている。すなわち、前記軟水装置30は、前記バイパス通水手段20として、前記制御部21,前記バルブ駆動装置22および前記バイパスバルブ31を備え、前記制御部21が、前記原水バルブ8と前記吐水バルブ17および/または前記シャワーバルブ18とを開状態にして、前記水路5への通水を行っているときに、前記蓄電手段19が充満状態まで蓄電されたとき、前記蓄電手段19から前記バルブ駆動装置22へ給電させてこれを駆動させ、前記バイパスバルブ31を開状態にして前記バイパスライン9を通水状態とさせるようになっている。
【0033】
また、この実施形態では、前記原水ライン3に、前記バイパスライン9の一端側(上流側)が接続された部分と、前記フィルター部6との間に、逆止弁32が設けられている。
【0034】
また、前記制御部21は、前記第一実施形態と同様に、前記原水ライン3における前記発電手段7が設けられた部分に、軟水生成時とは逆方向へ原水を流すようにすることによって、前記羽根車(図示省略)の軸受け部に詰まったごみなどを押し流すため、前記流量センサ(図示省略)によって検知される前記水路5の積算通水量が所定量となったとき、前記原水バルブ8を閉状態とするとともに、前記バイパスバルブ31および前記排水バルブ11を開状態にするようになっていてもよい。
【0035】
さて、前記軟水装置30では、前記第一実施形態と同様にして前記水路5へ通水し、軟水の供給を行う。そして、前記水路5への通水時に、前記蓄電手段19が所定の蓄電量,すなわち充満状態まで蓄電されたとき、前記バイパス通水手段20により、前記バイパスライン9への通水を行う。具体的には、前記制御部21は、前記蓄電手段19が充満状態まで蓄電されたとき、前記蓄電手段19から前記バルブ駆動装置22へ電力を供給させてこれを駆動させ、前記バイパスバルブ31を開状態にして前記バイパスライン9を通水状態にする。これにより、前記原水ライン3における前記発電手段7を設けた部分の流量を減少させることができる。したがって、前記軟水装置30によれば、前記蓄電手段19の蓄電量が十分であるとき、前記発電手段7の発電を抑制することができる。
【0036】
また、前記制御部21は、前記流量センサ(図示省略)によって検知される前記水路5の積算通水量が所定量となったとき、前記原水バルブ8を閉状態にするとともに、前記バイパスバルブ31および前記排水バルブ11を開状態にする。これにより、前記第一実施形態と同様に、前記湯水混合栓(図示省略)からの原水は、前記バイパスライン9の他端側(下流側)から前記原水ライン3へ流入してこの原水ライン3を下流側から上流側へ向かって流れる。そして、原水ライン3を下流側から上流側へ向かって流れる原水は、前記原水ライン3における前記フィルター部6の上流側に設けられた前記逆止弁32により、この逆止弁32よりも上流側へは流れず、前記排水ライン12から装置外へ排出される。これにより、前記第一実施形態と同様に、前記原水ライン3では、原水が軟水生成時とは逆方向へ流れ、前記羽根車が軟水生成時とは逆方向へ回転し、これにより前記羽根車の軸受部(図示省略)に詰まったごみなどを押し流すことができる。そして、押し流されたごみなどは、前記フィルター部6で捕捉される。
【0037】
ここで、前記第二実施形態の軟水装置30にあって、前記バイパス通水手段20によって前記バイパスライン9への通水を行うのは、前記第一実施形態の変形例と同様に、前記水路5への通水を行っている時間が所定時間継続したときであってもよい。
【0038】
以上、この発明を前記各実施形態によって説明したが、この発明は前記各実施形態に限られるものではなく、その主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。たとえば、前記発電手段7は、前記軟水ライン4に設けられていてもよい。この場合、前記フィルター部6は、前記発電手段7の上流側の前記軟水ライン4に設けられ、また前記バイパスライン9は、前記フィルター部6および前記発電手段7をバイパスするようにして前記軟水ライン4と接続される。
【0039】
また、前記第一実施形態において、前記羽根車(図示省略)の軸受け部に詰まったごみを押し流すため、前記原水ライン3における前記発電手段7が設けられた部分に、軟水生成時とは逆方向へ原水を流す制御を行わない場合、図示しないが、前記切替バルブである前記三方弁10は、前記バイパスライン9の下流側と前記原水ライン3との接続部分に設けられていてもよい。
【0040】
さらに、図示しないが、前記三方弁10を、前記バイパスライン9の下流側と前記原水ライン3との接続部分に設けるとともに、前記バイパスライン9の上流側と前記原水ライン3との接続部分に設ければ、前記羽根車(図示省略)の軸受け部に詰まったごみを押し流すため、前記原水ライン3における前記発電手段7が設けられた部分に、軟水生成時とは逆方向へ原水を流す制御を行うことができる。このように前記三方弁10を前記発電手段7の上流側と下流側とに設けた場合、前記制御部21は、前記原水バルブ8を閉状態にするとともに、前記排水バルブ11を開状態にし、さらに前記湯水混合栓からの原水が上流側の前記三方弁10から前記バイパスライン9へ流入し、下流側の前記三方弁10から前記原水ライン3を前記発電手段7の方へ向かって流れるように、前記各三方弁10を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明に係る軟水装置の第一実施形態の構成を示す概略的な説明図である。
【図2】この発明に係る軟水装置の第二実施形態の構成を示す概略的な説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1,30 軟水装置
2 軟水生成部
5 水路
7 発電手段
9 バイパスライン
10 三方弁
19 蓄電手段
20 バイパス通水手段
22 バルブ駆動装置(被給電部)
31 バイパスバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水に含まれる硬度分を除去する軟水生成部とともに、水路における水流を利用して発電を行う発電手段と、この発電手段で発電した電力を被給電部へ供給する電力として蓄える蓄電手段とを備える軟水装置であって、
前記発電手段をバイパスするバイパスラインを前記水路と接続し、この水路への通水時に、前記蓄電手段が所定の蓄電量まで蓄電されたとき、または前記水路への通水を行っている時間が所定時間継続したとき、前記バイパスラインへの通水を行うバイパス通水手段を備えることを特徴とする軟水装置。
【請求項2】
前記バイパス通水手段にあっては、前記水路への通水時に、前記蓄電手段が所定の蓄電量まで蓄電されたとき、または前記水路への通水を行っている時間が所定時間継続したとき、前記水路における前記発電手段が設けられた部分を通水停止状態にするとともに、前記バイパスラインを通水状態にする切替バルブを、前記バイパスラインにおける一端側および他端側のいずれかまたは両方と前記水路との接続部分に備えることを特徴とする請求項1に記載の軟水装置。
【請求項3】
前記バイパス通水手段にあっては、前記水路への通水時に、前記蓄電手段が所定の蓄電量まで蓄電されたとき、または前記水路への通水を行っている時間が所定時間継続したとき、開状態にするバイパスバルブを前記バイパスラインに備えることを特徴とする請求項1に記載の軟水装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−80289(P2008−80289A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−265190(P2006−265190)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】