説明

軟膏チューブ用台紙

【課題】軟膏に関する情報が読み取り易く、軟膏チューブを使用するときのハンドリングを容易にする軟膏チューブ用台紙を提供する。
【解決手段】互いに対向する2つの矩形側面の3辺が閉じられ、残る一辺が開口し、チューブ本体14を開口端から出し入れ可能に収容する収容部32を有する。矩形側面の内の少なくとも一方の矩形側面が、側方に延設されて成る延設シート部22bを備える。収容部32にチューブ本体14が収容された状態で、チューブ本体14の注出口16が、収容部32の開口端から外に突出する。収容部32は、矩形側面がチューブ本体14の左右側面に各々当接し、矩形側面の撓みによる弾性力によってチューブ本体を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、皮膚等に塗布する外用剤等の軟膏が収容された軟膏チューブを包装する軟膏チューブ用台紙に関する。
【背景技術】
【0002】
外用剤等の軟膏は、柔軟な側面であるチューブ本体と、チューブ本体の一端に設けられた注出口と、注出口を塞ぐキャップとを備えた軟膏チューブに収容して取り扱われる場合が多い。そして、患者は、病院や薬局で処方などされた軟膏を使用する前に、軟膏チューブが包装された箱体や袋、あるいはチューブ本体に表示されている注意書きを読んで使用する。
【0003】
軟膏や飲み薬その他の薬剤を包装する包装形態として、例えば特許文献1に示すように、内部に収容された薬剤そのものの外観を示すカラー写真や、その他薬剤の情報及び薬剤の処方の情報が表裏に印刷された薬袋を用い、薬剤全体を当該薬袋内に収容する包装形態があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3068718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
軟膏は、患者の症状によって使用量が異なり、また、軟膏の種類によって品質保証期間も異なるため、軟膏チューブの大きさは、例えば、15cm程度の大型のものや、5cm以下の小型のものまで様々である。例えば、小型や中型の軟膏チューブ自体に軟膏に関する情報を表示する場合、情報の表示可能エリアが狭いので、情報の量が多いと文字が小さくなって読み取り難いという問題があった。
【0006】
また、表示する情報をチューブ本体と包装用の箱体や袋に分けて表示し、文字サイズを大きくして読み取り易くしたものもある。しかし、従来の包装用の箱体等は、中から軟膏チューブを取り出して軟膏チューブと分離して取り扱われるため、包装用の箱体等の方だけ紛失してしまうことがあり、患者が次回使用するときに軟膏の使用方法等が分からなくなるという問題が生じていた。特許文献1の薬袋においても同様の問題があった。
【0007】
また、軟膏チューブは、外形が小さいと、手や指による取り扱いが容易ではなく、特に、高齢者や子供等が使用するのに不便があった。
【0008】
この発明は、上記背景技術に鑑みて成されたもので、軟膏に関する情報が読み取り易く、軟膏チューブを使用するときのハンドリングを容易にする軟膏チューブ用台紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、内部に軟膏が収容された細長のチューブ本体と、前記チューブ本体の一端に設けられた注出口と、前記注出口を塞ぐキャップとを備えた軟膏チューブを包装する軟膏チューブ用台紙であって、互いに対向する2つの矩形側面の3辺が閉じられ、残る一辺が開口した袋体であって、前記チューブ本体を開口端から出し入れ可能に収容する収容部と、前記2つの矩形側面の内の少なくとも一方の矩形側面が側方に延設されて成る延設シート部とを備え、前記収容部に前記チューブ本体が収容された状態で、前記チューブ本体の前記注出口は、前記収容部の前記開口端から外に突出する軟膏チューブ用台紙である。
【0010】
また、前記収容部に前記チューブ本体が収容された状態で、前記収容部は、前記2つの矩形側面が前記チューブ本体の左右側面に各々当接し、当該矩形側面の撓みによる弾性力によって前記チューブ本体に保持される構造を備えた軟膏チューブ用台紙である。
【0011】
また、前記2つの矩形側面の内の少なくとも一方に透孔が設けられ、前記収容部に前記チューブ本体が収容された状態で、前記チューブ本体の側面の一部が当該透孔から露出する構造を備えた軟膏チューブ用台紙である。
【0012】
さらに、前記矩形側面及び前記延設シート部に、軟膏の識別情報と使用上の注意事項を含む軟膏に関する情報が表示された軟膏チューブ用台紙である。
【発明の効果】
【0013】
この発明の軟膏チューブ用台紙を軟膏チューブに装着することにより、比較的小型の軟膏チューブであっても、患者が使用する時に大きな外形の軟膏チューブ用台紙を手と指で取り扱うことになり、ハンドリングが容易である。また、延設シート部の大きさを適宜調節すれば、軟膏の識別情報や使用上の注意事項を含む軟膏に関する情報を十分読み取り易い文字サイズで表示することができる。
【0014】
また、軟膏用チューブは、軟膏用チューブ台紙に収容した状態で使用することができ、また、軟膏チューブ台紙の収容部がチューブ本体に所定の圧力で保持される構造にすれば、軟膏チューブ用台紙が軟膏用チューブから分離して紛失してしまうおそれがほとんどない。
【0015】
また、矩形側面に設けた透孔からチューブ本体を露出させることによって、軟膏の残量を目視で容易に把握することができる。また、チューブ本体の注出口から軟膏を絞り出すとき、チューブ本体を指先で触れて感じる弾力感を頼りに押圧の具合を調節することができ、使い勝手がよくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の一実施形態の軟膏チューブ用台紙に一般的な軟膏チューブを収容した状態を示す斜視図である。
【図2】図1の軟膏チューブを示す正面図である。
【図3】この実施形態の軟膏チューブ用台紙を表側から見た斜視図(a)、裏側から見た斜視図(b)である。
【図4】この実施形態の軟膏チューブ用台紙の収容部に軟膏チューブを収容する様子を示す斜視図である。
【図5】この実施形態の軟膏チューブ用台紙に収容された軟膏用チューブを使用する様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の一実施形態の軟膏チューブ用台紙10について、図面に基づいて説明する。軟膏チューブ用台紙10は、図1に示すように、皮膚等に塗布する痒み止め等の外用剤である軟膏が収容された軟膏チューブ12を包装する台紙である。
【0018】
軟膏チューブ12は、粘度が高い不定形材料の内容物を収容する容器として一般的に用いられているもので、柔軟な筒状の側面を有し、側面の終端が折り曲げられて閉鎖されたチューブ本体14を備え、内部に軟膏が収容されている。チューブ本体14の先端には、チューブ本体14よりも小径の円筒形状に延設された注出口16が設けられ、その外周面に雄ネジが形成されている。そして、注出口16には、内周面に上記雄ネジと螺合可能な雌ネジが形成されたキャップ18が取り付けられ、注出口16を気密に塞いでいる。ここでは、チューブ本体14は、長さ寸法が約8cm、幅寸法が約1.5cmの外形である。
【0019】
軟膏用チューブ台紙10は、図1に示すように、略正方形のシート片を中央の折曲線20で折り曲げて成り、折曲線20の両側に表側シート片22と裏側シート片24が連続している。シート片22,24は同一の矩形外形を有し、長辺側の長さ寸法は約9cmで、チューブ本体14の長さ寸法よりも長い。同じく短辺側の長さ寸法は約4.5cmで、チューブ本体14の幅寸法の約3倍の長さである。また、ここでは、素材として、一定の可撓性を備えた厚紙が選択されている。
【0020】
2つのシート片22,24は、折曲線20から各先端に向かう約3分の2の領域が矩形側面22a,24aであり、先端までの残り約3分の1の領域が延設シート部分22b,24bである。そして、延設シート部分22b,24bは、互いに重ね合わせて糊付けされ、延設シート部26を一体に構成する。さらに、矩形側面22a,24aは、一方の短辺側の端部から内側に向かう約0.5cmの領域が互いに重ね合わせて糊付けした閉鎖部28によって閉じられている。従って、2つのシート片22,24は、折曲線20、延設シート部26、閉鎖部28によって3辺が閉じられ、残る一辺に開口端30を備えた袋体である収容部32を構成している。
【0021】
さらに、矩形側面22a,24aには、図3に示すように、中央部を貫通する楕円形の透孔22c,24cが各々設けられている。透孔22c,24cの短径は、チューブ本体14の幅よりも狭い。また、表側シート片22には、軟膏の名称、使用頻度、使用上の注意事項、製薬会社名、軟膏チューブの開封年月日の記入欄、患者名の記入欄等の軟膏に関する情報と装飾用の模様等が、広く大きく印刷されている。また、裏側シート片24には、装飾用の模様のみが印刷されている。この例では裏側シート片24に余白部分が多いが、例えば、表側シート片22に表示した以外の情報を裏側シート片24に追加表示したり、表側シート片22の情報の一部を裏側シート片24に移して全体的に文字のサイズを大きくしたりする等、自由にレイアウト変更をすることができる。
【0022】
軟膏用チューブ12及び軟膏チューブ用台紙10は以上の構成を備え、この軟膏チューブ12に軟膏用チューブ用台紙10を装着(又は包装)するときは、図4に示すように行う。まず、左手で軟膏チューブ用台紙10を持ち、収容部32の開口端30を広げ、次に、右手に持ったチューブ本体14を、終端側から開口端30に挿入する。開口端30はチューブ本体14の外径に対してゆとりをもって大きく設定されているので、容易に差し入れることができる。そして、チューブ本体14の終端が閉鎖部28に達すると装着が完了し、図1に示した状態になる。
【0023】
図1の状態では、軟膏チューブ12の注出口16とキャップ18は、軟膏用チューブ用台紙10の開口端30から外に突出する。また、収容部32を形成する矩形側面22a,24aは、適度な可撓性を持っているので、チューブ本体14の左右側面に各々当接し、自身が平坦な形状に復帰しようとする撓みによる弾性力によってチューブ本体14を保持している。また、チューブ本体14の左右側面の一部が矩形側面22a,24aの透孔22c,24cから露出している。
【0024】
軟膏チューブ12を使用するとき、図5に示すように、患者は左手で軟膏チューブ用台紙10の収容部32と延設シート部26を包むように握り、親指と人差し指を透孔22c,24cから露出したチューブ本体14に添える。そして、右手でキャップ18を取り外し、左手の親指と人差し指でチューブ本体14を押圧し、注出口16から軟膏を絞り出す。
【0025】
このとき、軟膏チューブ12は比較的小さな外形であるが、軟膏チューブ12よりも大きな外形の軟膏チューブ用台紙10を取り扱うので、使用時にハンドリングが容易である。また、軟膏用チューブ12は、軟膏用チューブ台紙10の収容部32に収容したままの状態で使用することができ、かつ、矩形側面22a,24aがチューブ本体14の側面を挟持して保持される構造を備えているので、軟膏チューブ用台紙10が軟膏用チューブ12と分離して取り扱われることがなくなり、軟膏チューブ用台紙10だけ紛失しまうおそれがない。さらに、矩形側面22a,24aの透孔22c,24cからチューブ本体14の側面が露出しているので、軟膏の残量を目視で容易に把握することができ、また、チューブ本体14の注出口16から所定量の軟膏を絞り出すときに、チューブ本体14を指先で触れて感じる弾力感を頼りに押圧の具合を調節することができるので、使い勝手がよい。
【0026】
また、軟膏の識別情報や使用上の注意事項を含む軟膏に関する情報が、軟膏チューブ用台紙10の2つのシート片22,24に大きな文字で表示されており、患者が使用するときに読み取り易く便利である。
【0027】
なお、この発明の軟膏チューブ用台紙は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、表側シート片22と裏側シート片24は、独立した2枚の厚紙や樹脂シート等で構成してもよい。その場合、上記実施形態において収容部32の折曲線20で閉じられていた部分を、糊付け等で接合して閉じれば同様の構成になる。また、2つのシート片22,24を接合する方法は、上記のような糊付けに限定されるものではなく、糸や金具を用いて縫合したり、樹脂シートの場合に加熱や超音波で溶着する等の方法を用いてもよい。また、組立作業全体の効率化等考慮し、例えば、2つのシート片22,24を接合する前にチューブ本体14を矩形側面22a,24aの間に配置し、その後、接合作業を行う順番に組み立ててもよい。
【0028】
また、2つのシート片22,24は、外形が異なるものであってもよい。例えば、裏側シート片24を、矩形側面24aを残して延設シート部分24bをなくし、表側シート片22の延設シート部分22bで延設シート部26を構成するようにしてもよい。また、延設シート部26の形状は、矩形の形状に限定されず、患者のハンドリングや装飾性を考慮し、矩形以外の形状にしても差し支えない。
【0029】
また、軟膏用チューブ用台紙10に表示したい軟膏に関する情報が多い場合は、矩形側面22a,24aに設けた透孔22c,24cの内、どちらか一方又は両方を削除し、情報の表示用スペースを優先的に確保してもよい。また、透孔22c,24cをそのまま残して、延設シート部26の面積を大きくすることによって、広い表示スペースを確保してもよい。さらに、軟膏の種類は問わないものであり、薬用や化粧用等、適宜の用途に使用し得るものである。
【符号の説明】
【0030】
10 軟膏チューブ用台紙
12 軟膏チューブ
14 チューブ本体
16 注出口
18 キャップ
20 折曲線
22 表側シート片
22a 矩形側面
22b 延設シート部分
22c 透孔
24 裏側シート片
24a 矩形側面
24b 延設シート部分
24c 透孔
26 延設シート部
28 閉鎖部
30 開口端
32 収容部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に軟膏が収容された細長のチューブ本体と、前記チューブ本体の一端に設けられた注出口と、前記注出口を塞ぐキャップとを備えた軟膏チューブを包装する軟膏チューブ用台紙において、
互いに対向する2つの矩形側面の3辺が閉じられ、残る一辺が開口した袋体であって、前記チューブ本体を開口端から出し入れ可能に収容する収容部と、前記2つの矩形側面の内の少なくとも一方の矩形側面が側方に延設されて成る延設シート部とを備え、
前記収容部に前記チューブ本体が収容された状態で、前記チューブ本体の前記注出口は、前記収容部の前記開口端から外に突出することを特徴とする軟膏チューブ用台紙。
【請求項2】
前記収容部に前記チューブ本体が収容された状態で、前記収容部は、前記2つの矩形側面が前記チューブ本体の左右側面に各々当接し、当該矩形側面の撓みによる弾性力によって前記チューブ本体に保持されることを特徴とする請求項1記載の軟膏チューブ用台紙。
【請求項3】
前記2つの矩形側面の内の少なくとも一方に透孔が設けられ、前記収容部に前記チューブ本体が収容された状態で、前記チューブ本体の側面の一部が当該透孔から露出することを特徴とする請求項1記載の軟膏チューブ用台紙。
【請求項4】
前記矩形側面及び前記延設シート部に、軟膏の識別情報と使用上の注意事項を含む軟膏に関する情報が表示されたことを特徴とする請求項1乃至3記載の軟膏チューブ用台紙。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−275008(P2010−275008A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132159(P2009−132159)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(391019500)朝日印刷株式会社 (70)
【Fターム(参考)】