説明

軟質コンタクトレンズ用シリコンヒドロゲル組成物およびその組成物により製造された軟質コンタクトレンズ

本発明は、軟質コンタクトレンズ用シリコンヒドロゲル組成物およびその組成物により製造された軟質コンタクトレンズに関するものであり、親水性を向上させるための水溶性N−ビニル−2−ピロリドンまたはN,N−ジメチルアクリルアミド単量体、および、親水性を提供するエチレングリコールジメタクリレートまたはジビニルベンゼンのような架橋剤が添加された、シリコン N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド単量体と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとを含み、高含水力、高酸素透過率、良い弾性力および優れた光透過度を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンヒドロゲル(Silicone−Hydrogel)材質の軟質コンタクトレンズであって、より詳細には、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−Hydroxyethyle methacrylate)と、シリコン系単量体であるN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド(N,O−Bis(trimethylsilyl)acrylamide)とを含む軟質コンタクトレンズ用シリコンヒドロゲル組成物およびその組成物により製造された軟質コンタクトレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、コンタクトレンズは、メチルメタクリレート(Methyl methacrylate:MMA)を基本物質とするハードレンズと、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−Hydroxyethyl methacrylate:HEMA)を基本物質とするソフトレンズに大別されるが、酸素透過度、含水率など一般的なレンズの特性が相対的に優れるソフトレンズの使用が広がっている。これは、HEMAには、MMAと異なり、単量体内に代表的な親水性分子構造であるヒドロキシ基が存在し、含水率が高いためである(非特許文献1を参照。)。
【0003】
一方、ヒドロゲルは、平衡状態で多量の水分を含む架橋型高分子を意味するが、コンタクトレンズの医療用の高分子など生医学的に多くの応用を有する物質である(特許文献1を参照。)。
【0004】
現在、レンズに使用するヒドロゲルは、ほとんど2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−Hydroxyethyl methacrylate:HEMA)を単量体とし、少量の架橋剤と混用した後、ラジカル系の熱重合反応により製造されている。このような材料からなるレンズは、材料の特性上、含水率が約40%と親水性であり、軟らかいため、角膜に付着されて着用する際に異物感が少なく、角膜に対する圧迫が少なくて楽である。しかしながら、機械的強度が弱く、酸素透過性も約10Dk[10−11cm/sec)(mlOmmHg)]と限られており、着用感に制限があって、長時間着用する際は、たんぱく質が付着するなどの問題点がある(非特許文献2および特許文献2を参照。)。
【0005】
公知のように、レンズの着用感は、含水率と密接な関係にあるため、含水率を高めようとする様々な開発が試みられ、一部は常用化されている。特に、N−ビニル−2−ピロリドン(N−vinyl−2−pyrrolidone:NVP)、N,N−ジメチルアクリルアミド(N,N−Dimethylacrylamide:DMA)などのような水溶性単量体を利用して、含水率が80%、酸素透過率が約40Dk[10−11cm/sec)(mlOmmHg)]と、改善された高含水性製品が開発された。しかしながら、高含水性の軟質レンズは乾燥感が強く、材質が弱くて光学的校正能が劣り、レンズの挿入と取り外しの過程が不便である短所があって、使い捨てレンズとしてのみ主に使用され、長期間の使用には適していない(非特許文献3を参照。)。
【0006】
一方、RGPコンタクトレンズ(Rigid Gas Permeable Contact Lens)の製造に用いられるシロキサンまたはフッ素を含むメタクリル系高分子は、硬質材料でありながら、着用感に優れ、特に酸素透過性が高く、角膜に影響が少なく、安定性があり、従来のポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate(PMMA))に比して角膜浮腫のような副作用が少ない。しかしながら、シロキサンまたはフッ素系高分子は、代表的な疎水性高分子であるため、コンタクトレンズに適用する際は、涙にぬれないという短所がある。また、RGPコンタクトレンズは、硬く、また、固有の形状を有しているため、角膜の歪み(distortion)や涙循環の障害により様々な副作用や合併症を起こす可能性がある。また、RGPコンタクトレンズは、強度が低く、製造が困難であり、コスト面で高く、着用の際には汚れや傷がつきやすいといった短所を有している。
【0007】
したがって、現在広く使用されているコンタクトレンズの問題点を解決するために、シリコン系を含有して酸素透過性に優れたヒドロゲルを素材とした軟質レンズ(シリコンヒドロゲル軟質レンズ)の開発が始まった。1998年に初めて製品化され、このシリコンヒドロゲル軟質レンズは、市場占有率が急激に増加し、2003年に約150百万ドルに至った(非特許文献4を参照。)。
【0008】
シリコンヒドロゲルは、HEMAなどのような親水性単量体とシリコン含有単量体との共重合により製造される。一般のシリコン単量体は、疎水性が極めて高く、HEMAのような親水性単量体と共重合するとき、相分離現象により、鮮明度の保持に困難性がある。したがって、これを克服するために、親水性と疎水性の相容性を向上させるための相容化剤を開発して使用しなければならない。相容化剤としては、PBVC(poly[dimethylsiloxy]di[silybutanol]bis[vinyl carbamate),silicon macromerが用いられるが、開発費用が多くかかり、分子量が大きく、粘度が高く、レンズ製造時に不便であるという問題点がある。
【0009】
一般的にシリコン系樹脂は、疎水性でヒドロゲル形のレンズにはむしろ含水率を低下させるために使用が制限されており、レンズの表面が疎水性であるため、後加工を通じて表面を酸素プラズマ処理して親水化しないと、レンズ着用性において問題が起こり、レンズ表面にたんぱく質が吸着されるという問題点がある。
【0010】
また、シリコンヒドロゲルは、材質の特性上、弾性率が低いためにコンタクトレンズの形態の復元力が低く、シリコン含有によるレンズ表面の疎水性の増加により、角膜の上皮組織とレンズとが互いに適合してしまい、レンズが角膜に付着してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4300820号明細書
【特許文献2】米国特許第6096138号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Refojo et al.,J.Appl.Poly.Sci.,9:2425(1965)
【非特許文献2】Wilson et al.,Encyclo.of Chem.Tech.,7:192(1976)
【非特許文献3】Refojo et al.,Cont.&Intracular Lens Med.J.,1:36(1975)
【非特許文献4】Optician 2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためのものであって、疎水性のシリコン系単量体を親水化させるために、親水性を有する単量体と重合させることで、レンズの酸素透過度を向上させることを目的とする。
【0014】
また、本発明の他の目的は、N−ビニル−2−ピロリドン(N−Vinyl−2−pyrrolidone(NVP>99%:aldrich社))またはN,N−ジメチルアクリルアミド(N,N−Dimethylacrylamide(DMA: Aldrich社))を加えて、水を適宜に含有させることにより、相容化剤を用いなくとも光透過性に優れるようにすることができ、別途の表面処理を行わなくとも着用に問題が生じない軟質コンタクトレンズ用シリコンヒドロゲル組成物およびその組成物により製造された軟質コンタクトレンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の前述の及び/又は他の観点は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−Hydroxyethyl methacrylate)および下記の化学式(1)で表されるシリコン N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド(silicone N,O−bis(trimethylsilyl)acrylamide)単量体を含む軟質(soft)コンタクトレンズ用シリコンヒドロゲル組成物を提供することによって達成される。
【0016】
【化1】

【0017】
また、本発明の他の観点によれば、上記組成物中のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドの含量は、10重量%以下である。
【0018】
また、本発明の他の観点によれば、上記組成物は、エチレングリコールジメタクリレート(Ethylene glycol dimethacrylate)を含む。
【0019】
また、本発明の他の観点によれば、上記組成物中、N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドの含量は10重量%以下であり、エチレングリコールジメタクリレートの含量は0.5重量%以下である。
【0020】
また、本発明の他の観点によれば、上記組成物は、ジビニルベンゼン(Divinyl benzen)を含む。
【0021】
また、本発明の他の観点によれば、上記組成物中、N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドの含量は10重量%以下であり、ジビニルベンゼンの含量は0.4重量%以下である。
【0022】
また、本発明の他の観点によれば、上記組成物は、N−ビニル−2−ピロリドン(N−Vinyl−2−pyrrolidone)と、N,N−ジメチルアクリルアミド(N,N−dimethylacrylamide)とを含む。
【0023】
また、本発明の他の観点によれば、上記組成物中、N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドの含量は5重量%以下であり、エチレングリコールジメタクリレートの含量は0.4〜0.7重量%以下であり、N−ビニル−2−ピロリドンの含量は45重量%以下である。
【0024】
また、本発明の他の観点によれば、上記組成物は、N−ビニル−2−ピロリドン(N−Vinyl−2−pyrrolidone)を含む。
【0025】
また、本発明の他の観点によれば、上記組成物中、N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドの含量は5重量%以下であり、ジビニルベンゼンの含量は0.3〜0.5重量%以下であり、N−ビニル−2−ピロリドンの含量は35重量%以下である。
【0026】
また、本発明の他の観点によれば、上記組成物は、N,N−ジメチルアクリルアミド(N,N−Dimethylacrylamide)を含む。
【0027】
また、本発明の他の観点によれば、上記組成物中、N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドの含量は5重量%以下であり、エチレングリコールジメタクリレートの含量は0.4重量%以下であり、N,N−ジメチルアクリルアミドの含量は40重量%以下である。
【0028】
また、本発明の他の観点によれば、上記組成物は、N,N−ジメチルアクリルアミド(N,N−Dimethylacrylamide)を含む。
【0029】
また、本発明の他の観点によれば、上記組成物中、N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドの含量は5重量%以下であり、ジビニルベンゼンの含量は0.4重量%以下であり、N,N−ジメチルアクリルアミドの含量は30重量%以上である。
【0030】
また、本発明の前述の及び/又は他の観点は、上記の組成物により製造された軟質コンタクトレンズを提供することで達成される。
【発明の効果】
【0031】
上述のように、本発明の軟質コンタクトレンズ用シリコンヒドロゲル組成物およびその組成物により製造された軟質コンタクトレンズによれば、眼球に直接接触して、近視、遠視、乱視などの校正のために使用される視力を補正することのできる、親水性を有するコンタクトレンズであって、40〜70%の高含水力、高酸素透過率(50〜100Dk)、200〜400%の良い弾性力(Elongation)および優れた光透過度を有し、長時間コンタクトレンズを着用する着用者に目の健康と、異物感、乾燥感、角膜の圧迫などを最小化して快適さを提供し、角膜浮腫や他の疾病の発生率を低減できる。
【0032】
また、本発明によるシリコンヒドロゲル軟質コンタクトレンズは、酸素透過性に優れた酸素透過性ハードレンズ(RGPレンズ)のメリットとやわらかい着用感の軟質レンズのメリットをともに有しており、このレンズは、約2週間から1か月間連続して着用することが可能であり、毎日着用および脱付着をしなければならない従来のレンズの不便さを解決できる。
【0033】
一般的な発明の概念の追加的な観点および有利な点は、部分的には以下に記載されている通りであり、部分的には以下の記載から明らかであり、または、この一般的な発明の概念を実施すれば把握できることである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、主原料である親水性単量体の2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−Hydroxyethyl methacrylate(BISOMER HEMA ULTRA:Cognis社))、酸素透過度を向上させるためのシリコン系単量体のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド(N,O−Bis(trimethylsilyl)acrylamide、自家合成)、親水性を高めるためのN−ビニル−2−ピロリドン(N−Vinyl−2−pyrrolidone(NVP>99%:Aldrich社))またはN,N−ジメチルアクリルアミド(N,N−Dimethylacrylamide(DMA:Aldrich社))水溶性単量体と、少量の架橋剤のエチレングリコールジメタクリレート(Ethylene glycol dimethacrylate(EGDMA>98%:Aldrich社))またはジビニルベンゼン(Divinyl benzen(DVB>80%:Aldrich社))単量体と、を混用した後、ラジカル系開始剤の2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン(2,5−Dimethyl−2,5−di(2−ethylhexanoyl peroxy)hexaneの熱重合反応により製造される共重合体である。共重合体は、単量体と呼ばれる小さい単位が反復的に連結された非常に長い分子構造であって、これらの単量体の化学的連結形態(3次元構造)になっている。
【0035】
コンタクトレンズは、含水率が40〜70%で親水性が非常によいため、特別な表面処理を行わず、相容化剤も使用しなかった。コンタクトレンズは、高い含水率にもかかわらず、材質が弱くないため、2週間着用できる。
【0036】
酸素透過度は50〜100Dk[10−11cm/sec)(mlOmmHg)]と高く、多くの臨床テストを通じて副作用がなく、目に楽で、長時間着用しても問題が発生しない。
【0037】
シリコンヒドロゲルコンタクトレンズが有する脆弱な材質の物性が改善され、その数値は次のとおりである。
【0038】
弾性率(Elongation)200〜400%、ヤング率(Young Modulus)50〜65g/mm、引っ張り強度(Tensile strength)80〜110g/mm、靭性(Toughness)120〜145g/mmと、コンタクトレンズとして非常によい物性を有している。
【実施例】
【0039】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明する。これら実施例は、発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨により、本発明の範囲がこれら実施例により制限されないことは、本発明の属する技術分野における通常の知識を有するものにおいて明らかである。
【0040】
(実施例1)
N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドと2−ヒドロキシエチルメタクリレートの重合
【0041】
N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドの量を10gから90gまで10gの単位で増加させ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−hydroxyethyl methacrylate)の量を90gから10gまで10gの単位で減少させながら混合溶液を製造した。開始剤の2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン(2,5−Dimethyl−2,5−di(2−ethylhexanoyl peroxy)hexane)を0.1g〜1g溶解して、110℃で30分間重合させた。
【0042】
その結果、0.2g(0.2wt%)以上の開始剤の使用時、その量に関わらず重合されるが、透明度(相容性)には関与しなかった。10g(10wt%)以上のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドで硬化されるが、相容性が劣り、不透明な牛乳色になる。N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドの使用量が増加するほど、硬化性は劣り重合物は軟らかくなる。
【0043】
本重合では、0.2g(0.2wt%)の開始剤の使用が好ましく、N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドが高い架橋度を有するため、架橋剤がなくても硬化が起こり、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド単量体10g(10wt%)以下では相容性(透明度)がよいことがわかった。
【0044】
(実施例2)
N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドとN−ビニル−2−ピロリドンとの重合
【0045】
N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドの量を10gから90gまで10gの単位で増加させ、N−ビニル−2−ピロリドンの量を90gから10gまで10gの単位で減少させながら混合溶液を製造した。開始剤の2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサンを0.1g〜1g溶解して、110℃で30分間重合させた。
【0046】
その結果、開始剤の使用量にかかわらず、硬化されず、N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドの含量が増加するほど、硬化性が劣り、重合しても硬化されずに接着剤のように粘つくようになった。
【0047】
本重合では、N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドと水溶性単量体のN−ビニル−2−ピロリドンとを重合しても硬化されないため、レンズへの適用が不可能であり、硬化されるために架橋剤が必要であることがわかった。
【0048】
(実施例3)
N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよびエチレングリコールジメタクリレートの重合
【0049】
N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドの量を10gから90gまで5gの単位で増加させ、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの量を90gから10gまで5gの単位で減少させながら、0.1g〜1gの架橋剤のエチレングリコールジメタクリレートの混合溶液を製造した。開始剤の2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン0.2gを溶解させて、110℃で30分間重合させた。
【0050】
その結果、エチレングリコールジメタクリレートの使用量の増加は、透明性(相容性)、硬化性を良くするが、弾性力を弱化させ、0.5g(0.5wt%)以下のエチレングリコールジメタクリレートでレンズに適用できるほどの重合物ができた。20wt%以下のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドで硬化されて透明になるが、10wt%〜20wt%以下では、水和後水の吸収程度がよくなかった。10wt%以下では水和状態が良かった。20wt%以上では透明に硬化されるが、水和後、不透明に変わり、壊れやすくなる現象が出た。
【0051】
本重合では、架橋剤のエチレングリコールジメタクリレートの使用は、架橋度を高めて透明性(相容性)を向上させ、重合物の硬化性を高めて強度を上げる。0.5wt%以下のエチレングリコールジメタクリレートの使用がレンズの適用に適することがわかった。
【0052】
10wt%以下のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、90wt%以上の2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび0.5wt%以下の架橋剤のエチレングリコールジメタクリレートの重合時、相容性が良くて透明な硬化状態が見られ、水和状態もよい重合物であって、ある程度弾力性を有するレンズに適用できることがわかった。
【0053】
(実施例4)
N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよびジビニルベンゼンの重合
【0054】
N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドの量を10gから90gまで5gの単位で増加させ、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの量を90gから5gまで5gの単位で減少させながら、0.1g〜1gの架橋剤のジビニルベンゼン(Divinyl benzen)の混合溶液を製造した。開始剤の2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン0.2gを溶解させて、110℃で30分間重合させた。
【0055】
その結果、ジビニルベンゼンの使用量の増加は、透明性(相容性)、硬化性をよくするが、弾性力を弱化させ、0.4g(0.4wt%)以下のジビニルベンゼンでレンズに適用できるほどの重合物ができた。20wt%以下のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドで硬化され透明になるが、10wt%〜20wt%以下では、水和後、水の吸収程度がよくなかった。10wt%以下では、水和状態が良かった。20wt%以上では、透明に硬化されるが、水和後、不透明に変わり、壊れやすくなる現象が出た。
【0056】
本重合では、架橋剤のジビニルベンゼンの使用は、架橋度を高めて透明性(相容性)を向上させ、重合物の硬化性を高めて強度を上げる。0.4wt%以下のジビニルベンゼンの使用がレンズの適用に適することがわかった。
【0057】
10wt%以下のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、90wt%以上の2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび0.4wt%以下の架橋剤のジビニルベンゼンの重合時、相容性が良くて透明度および水吸収度がよく、弾力のある重合物が製造できることがわかった。
【0058】
実施例3と比較すると、ジビニルベンゼンの使用が、エチレングリコールジメタクリレートの相容性(透明度)により良いことがわかる。
【0059】
(実施例5)
N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニル−2−ピロリドンおよびエチレングリコールジメタクリレートの重合
【0060】
実施例3で重合物の含水率を調整して親水性を向上し、物質間の重合の程度を確認するために、水溶性単量体であるN−ビニル−2−ピロリドンを添加して実施した。
【0061】
N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドを5wt%〜50wt%まで5wt%の単位で増加させ、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの量を90wt%から10wt%まで5wt%の単位で減少させ、N−ビニル−2−ピロリドンを5wt%から5wt%の単位で増加させながら、0.1wt%〜1wt%の架橋剤のエチレングリコールジメタクリレートの混合溶液を製造した。開始剤の2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン0.2wt%を溶解させて、110℃で30分間重合させた。
【0062】
その結果、架橋剤のエチレングリコールジメタクリレート1wt%では、5wt%〜10wt%のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、50wt%以下の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、40wt%以上のN−ビニル−2−ピロリドンの重合で透明に硬化された。しかし、重合物は脆く、水和後、弾力がなく、壊れやすくなった。0.4wt〜0.9wt%の架橋剤では、5wt%以下のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、5wt%〜90wt%以下の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、5wt%〜40wt%以下のN−ビニル−2−ピロリドンの重合で透明に硬化された。特に、0.4wt%〜0.7wt%の架橋剤を使用した重合物は、水和後、水の吸収および弾力性が良かった。
【0063】
N−ビニル−2−ピロリドンの使用量の増加は、含水率を増加し、物質間の相容化を向上させて透明度を良くした。45wt%以下のN−ビニル−2−ピロリドンで相容性はよく、硬化されて透明な重合物ができ、含水率は38%〜55%の測定値が出た。45wt%以上のN−ビニル−2−ピロリドンでは、55wt%以上の高い含水率を有する重合物ができた。
【0064】
本重合では、5%以下のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドの使用が、透明性、弾性力および水の吸収力の良い重合物であって、レンズの適用に適することがわかった。
【0065】
架橋剤のエチレングリコールジメタクリレートの使用は、架橋度を上げ、透明性(相容性)を向上させ、重合物の硬化性を高めて強度を上げ、水和後、レンズの弾性力を弱化させた。0.4wt%〜0.7wt%のエチレングリコールジメタクリレートの使用が、レンズの適用に適することがわかった。
【0066】
N−ビニル−2−ピロリドンの使用量の増加は、物質間の相容化を向上させて透明性を良くするが、含水率の増加をもたらして重合物の弾性力および引っ張り強度の弱化をもたらした。45wt%以下のN−ビニル−2−ピロリドンの使用が、38%〜55%の含水率を有する重合物であって、弾力性がよく、かつ濡れ性が良いため、レンズの適用において適することがわかった。
【0067】
(実施例6)
N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニル−2−ピロリドンおよびジビニルベンゼンの重合
【0068】
実施例4で重合物の含水率を調整して親水性を向上し、物質間の重合の程度を確認するために、水溶性単量体であるN−ビニル−2−ピロリドンを添加し、実施例5の架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートと比較するために、ジビニルベンゼンを使用して行う。
【0069】
N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドを5wt%〜50wt%まで5wt%の単位で増加させ、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの量を90wt%から5wt%の単位で減少させ、N−ビニル−2−ピロリドンを5wt%から5wt%の単位で増加させながら、0.1wt%〜1wt%の架橋剤のジビニルベンゼンの混合溶液を製造した。開始剤の2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン0.2wt%を溶解させて、110℃で30分間重合させた。
【0070】
その結果、架橋剤のジビニルベンゼン1wt%では、5wt%〜10wt%のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、50wt%〜90wt%以下の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、10wt%以上のN−ビニル−2−ピロリドンの重合で透明に硬化された。しかし、重合物は脆く、水和後、弾力がなく、壊れやすくなった。架橋剤が0.4wt〜0.9wt%では、5wt%以下のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、5wt%〜90wt%以下の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、5wt%〜40wt%以下のN−ビニル−2−ピロリドンの重合で透明に硬化された。特に、0.4wt%〜0.7wt%の架橋剤を使用した重合物は、水和後、水の吸収および弾力性が良かった。
【0071】
N−ビニル−2−ピロリドンの使用量の増加は、含水率を増加し、物質間の相容化を向上させて透明度を良くした。35wt%以下のN−ビニル−2−ピロリドンで相容性はよく、硬化されて透明な重合物ができ、含水率は38%〜55%の測定値が出た。35wt%以上のN−ビニル−2−ピロリドンでは、55wt%以上の高い含水率を有する重合物ができた。
【0072】
本重合では、5%以下のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドの使用が、透明性、弾性力および水の吸収力の良い重合物であって、レンズの適用に適することがわかった。
【0073】
架橋剤のジビニルベンゼンの使用は、実施例5のエチレングリコールジメタクリレートより高い架橋度で透明性(相容性)をさらに向上させ、重合物の硬化性を高めて強度を上げ、水和後、レンズの弾性力を弱化させ、大きさにおいては、エチレングリコールジメタクリレートの使用よりさらに小さくできた。0.3wt%〜0.5wt%のジビニルベンゼンの使用が、透明性もよく、かつ弾性力のよいため、レンズの適用に適することがわかった。
【0074】
N−ビニル−2−ピロリドンの使用量の増加は、物質間の相容化を向上させて透明性を良くするが、含水率の増加をもたらして重合物の弾性力および引っ張り強度の弱化をもたらした。35wt%以下のN−ビニル−2−ピロリドンの使用が、38%〜55%の含水率を有する重合物であって、弾力性がよく、かつ弾性力が良いため、レンズの適用において適するものである。
【0075】
(実施例7)
N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミドおよびエチレングリコールジメタクリレートの重合
【0076】
実施例3で重合物の含水率を調整して親水性を向上し、物質間の重合程度を確認するため、他の水溶性単量体のN,N−ジメチルアクリルアミドを加えて行った。
【0077】
実施例5で得た結果を通じて、5wt%以下のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドと2−ヒドロキシエチルメタクリレートを90wt%から5wt%の単位で減少させ、N,N−ジメチルアクリルアミドを5wt%から5wt%の単位で増加させながら、0.4wt%の架橋剤のエチレングリコールジメタクリレート混合溶液を製造した。開始剤の2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン0.2wt%を溶解して、110℃で30分間重合させた。
【0078】
その結果、5wt%のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドで40wt%以上のN,N−ジメチルアクリルアミドが相容性が良くて、硬化されて透明な重合物ができ、含水率は55%以上と膨張率は非常に大きかった。N,N−ジメチルアクリルアミドの使用量の増加は、含水率を増加させて膨張率を大きくし、物質間の相容化をあげて透明度を良くした。
【0079】
本重合では、5%以下のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドの使用が、透明性、弾性力および水の吸収力の良い重合物であって、レンズの適用に適することがわかった。
【0080】
N,N−ジメチルアクリルアミドの使用量の増加は、物質間の相容化を向上させて透明性をよくするが、含水率の増加により非常に大きい膨張率をもたらし、重合物の弾性力および引き張り強度の弱化をもたらした。40wt%以上70wt%以下のN,N−ジメチルアクリルアミドを使用した重合物で透明性と水の吸収度がよく、弾力性もよいため、レンズに適用できることがわかった。
【0081】
(実施例8)
N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミドおよびジビニルベンゼンの重合
【0082】
実施例4で重合物の含水率を調整して親水性を向上し、物質間の重合の適合性の確認および実施例7の架橋剤のエチレングリコールジメタクリレートとの比較のために行った。
【0083】
実施例5で得た結果を通じて、5wt%以下のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドと2−ヒドロキシエチルメタクリレートを90wt%から5wt%の単位で減少させ、N,N−ジメチルアクリルアミドを5wt%から5wt%の単位で増加させながら、0.4wt%の架橋剤のジビニルベンゼンの混合溶液を製造した。開始剤の2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン0.2wt%を溶解させて、110℃で30分間重合させた。
【0084】
その結果、5wt%のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドで30wt%以上のN,N−ジメチルアクリルアミドが相容性がよくて、硬化されて透明な重合物ができ、含水率は55%以上と膨張率は非常に大きかった。N,N−ジメチルアクリルアミドの使用量の増加は、含水率を増加させて膨張率を大きくし、物質間の相容化をあげて透明度を良くした。
【0085】
本重合では、5%以下のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドの使用が、透明性、弾性力および水の吸収力の良い重合物であって、レンズの適用に適することがわかった。
【0086】
N,N−ジメチルアクリルアミドの使用量の増加は、物質間の相容化を向上させて透明性をよくするが、含水率の増加により非常に大きい膨張率をもたらし、重合物の弾性力および引き張り強度の弱化をもたらした。30wt%以上70wt%以下のN,N−ジメチルアクリルアミドを使用した重合物で、透明性と水の吸収度がよく、弾力性もよいため、レンズに適用できることがわかった。
【0087】
実施例7と比較すると、架橋剤のエチレングリコールジメタクリレートよりジビニルベンゼンの使用が、相容性(透明度)をさらに向上させるが、弾力性の面では多少劣り、直径(diameter)を小さくすることがわかった。
【0088】
(実施例9)
N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンおよびエチレングリコールジメタクリレートの重合
【0089】
実施例4で重合物の含水率を調整して親水性を向上し、水溶性単量体のN,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンの両単量体物質間の重合適合性の確認のために行った。
【0090】
実施例7で得た結果を通じて、5wt%以下のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、60wt%の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミドとN−ビニル−2−ピロリドンの量を40wt%以内で適当に互いの量を変化させながら、0.4wt%の架橋剤のエチレングリコールジメタクリレートの混合溶液を製造した。開始剤の2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン0.2wt%を溶解させて、110℃で30分間重合させた。
【0091】
その結果、N,N−ジメチルアクリルアミドとN−ビニル−2−ピロリドンの変化にかかわらず、硬化状態では相容性がよくて透明な重合物が生じたが、水を吸収しながら重合物は牛乳色と変わった。
【0092】
本重合では、N,N−ジメチルアクリルアミドとN−ビニル−2−ピロリドンの変化にかかわらず、硬化状態では相容性がよくて透明な重合物を製造することはできるが、水和されながら牛乳色に変わるため、レンズに適用して使用することはできず、レンズに適用するためには、N,N−ジメチルアクリルアミドとN−ビニル−2−ピロリドンのいずれかを選択して使用すべきであることがわかった。
【0093】
(実施例10)
N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミドおよびジビニルベンゼンの重合
【0094】
実施例5で重合物の含水率の調整およびN,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンの物質間の重合適合性の確認および実施例9との比較のために行った。
【0095】
実施例8で得た結果を通じて、5wt%以下のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、60wt%の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミドとN−ビニル−2−ピロリドンの量を40wt%以内で適当に互いの量を変化させながら、0.4wt%の架橋剤のジビニルベンゼンの混合溶液を製造した。開始剤の2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン0.2wt%を溶解させて、110℃で30分間重合させた。
【0096】
その結果、N,N−ジメチルアクリルアミドとN−ビニル−2−ピロリドンの変化にかかわらず、硬化状態では相容性がよくて透明な重合物が生じたが、水を吸収しながら重合物は牛乳色と変わった。
【0097】
本重合では、実施例9と比較しても同じ結果が得られることがわかった。N,N−ジメチルアクリルアミドとN−ビニル−2−ピロリドンの変化にかかわらず、硬化状態では相容性がよくて透明な重合物を製造することはできるが、水和されながら牛乳色に変わるので、レンズに適用して使用することはできず、レンズに適用するためにはN,N−ジメチルアクリルアミドとN−ビニル−2−ピロリドンのいずれかを選択して使用すべきであることがわかった。
【0098】
実施例9と比較しても同じ結果が得られることがわかる。
【0099】
(実施例11〜16および比較例1)
上記の実施例の結果に基づいて、実施例11〜16では、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、およびジビニルベンゼン(またはエチレングリコールジメタクリレート)にN−ビニル−2−ピロリドンまたはN,N−ジメチルアクリルアミドを添加してコンタクトレンズを製造し、比較例として2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび架橋剤としてジビニルベンゼンの混合溶液に開始剤の2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサンを用いてコンタクトレンズを製造し、含水率、弾性率、引っ張り強度および酸素透過度などの物性を比較した。
【0100】
酸素透過度は、条件下で単位厚さのコンタクトレンズの材料の単位面積を単位圧力変化によって透過する酸素流速であって、その測定方法は次のとおりである。
【0101】
A.測定しようとする試片とツールを最大限乾燥する。
B.下方のツールにレンズを取り付け、Oリング(O−ring)で固定した後、上方のツールを覆って4つのねじでガスの漏れがないように固定する。
C.約10%の石鹸水で指示部にバブルを生成させる。
D.気体筒と各部分のラインを連結し、気体圧力センサーを稼動する。
E.約2時間測定しようとする気体で各部分をパージ(purge)する。
F.指示部のバブルが動き始めた時間とそのときの環境的な要素を記入し、時間間隔を決めて確認し、記録として残る。
G.計算式を利用して計算する。
【0102】
上記の計算式は次のとおりである。
【0103】
【数1】

【0104】
ここで、P、V、Tは実験が行われる環境の状態をいい、P’、T’はSTP状態をいい、V’をSTP状態に合うように換算した値である。
【0105】
【数2】

【0106】
ここで、lは、試片の平均厚さをいい、Pressureは、圧力センサーで表す値を代入する。(1)式の値を(2)式に代入してPermeability(DK)を求める。
【0107】
含水率は、試料の乾燥重量に対する水分の重量比をパーセントで表す乾重量基準(Dry−weight−basis)を通常使用しているが、水分を含む総重量に対する含有水分比をパーセントで表す湿重量基準(Wet−weight−basis)もおおく使用している。しかし、‘飽和含水率での相対含水率’や‘周囲の空気の相対湿度による平衡含水率’など含水率にかかわる多くの定義がでてきており、最近では試料の総体積に対する含有水分体積比をパーセントで表す体積含水率も一部使用されている。
【0108】
コンタクトレンズの場合、湿重量基準を利用して水分含量を測定する。
【0109】
測定方法は次のとおりである。
【0110】
A.十分にレンズを水和させる(約24時間以上)
B.試料(lens)の水気を鹿の皮で軽く押して除去した後、重量を測定する(M)。
C.試料をオーブンで最小20分以上(その以上の重さの変化がない時点)乾燥する。
D.乾燥した試料の重量を測定する(M
E.AからDまで同じ方法で、最小10個のレンズを測定し、平均値を含水率とする。
【0111】
計算式は次のとおりである。
【0112】
【数3】

【0113】
(実施例11:コンタクトレンズの製造1)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンおよびジビニルベンゼン(またはエチレングリコールジメタクリレート)
【0114】
64.3wt%以上の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、30wt%以下のN−ビニル−2−ピロリドン、5wt%以下のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドおよび架橋剤としては0.5wt%以上のジビニルベンゼン(または0.6wt%以上のエチレングリコールジメタクリレート)の混合溶液に、開始剤の2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン0.2wt以上を溶解させた後、ポリプロピレンからなるモールドに注入して(Casting Mold法)、110℃で30分間重合して硬化させた。次いで、モールドからレンズを分離して相容状態(透明度)を確認した。その結果、透明に製造されており、水和させて含水率およびレンズの状態を測定した。
【0115】
(実施例12:コンタクトレンズの製造2)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンおよびジビニルベンゼン(またはエチレングリコールジメタクリレート)
【0116】
83.5wt%以上の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、15wt%以下のN−ビニル−2−ピロリドン、1wt%以下のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドおよび架橋剤としては0.3wt%以上のジビニルベンゼン(または0.4wt%以上のエチレングリコールジメタクリレート)の混合溶液に、開始剤の2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン0.2wt以上を使用して、実施例11と同様に製造して物性を評価した。
【0117】
(実施例13:コンタクトレンズの製造3)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンおよびジビニルベンゼン(またはエチレングリコールジメタクリレート)
【0118】
71.4wt%以上の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、25wt%以下のN−ビニル−2−ピロリドン、3wt%以下のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドおよび架橋剤としては0.4wt%以上のジビニルベンゼン(または0.5wt%以上のエチレングリコールジメタクリレート)の混合溶液に、開始剤の2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン0.2wt以上を使用して、実施例11と同様に製造して、物性を評価した。
【0119】
(実施例14:コンタクトレンズの製造4)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンおよびジビニルベンゼン(またはエチレングリコールジメタクリレート)
【0120】
64.3wt%以下の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、30wt%以上のN−ビニル−2−ピロリドン、5wt%以下のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドおよび架橋剤としては0.5wt%以上のジビニルベンゼン(または0.6wt%以上のエチレングリコールジメタクリレート)の混合溶液に、開始剤の2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン0.2wt%以上を使用して、実施例11と同様に製造して、物性を評価した。
【0121】
(実施例15:コンタクトレンズの製造5)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンおよびジビニルベンゼン(またはエチレングリコールジメタクリレート)
【0122】
65.4wt%以下の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、30wt%以上のN−ビニル−2−ピロリドン、4wt%以下のN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドおよび架橋剤としては0.4wt%以上のジビニルベンゼン(または0.5wt%以上のエチレングリコールジメタクリレート)の混合溶液に、開始剤の2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン0.2wt%以上を使用して、実施例11と同様に製造して、物性を評価した。
【0123】
(実施例16:コンタクトレンズの製造6)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドおよびジビニルベンゼン(またはエチレングリコールジメタクリレート)
【0124】
66.4wt%以下の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、30wt%以上のN,N−ジメチルアクリルアミド、0.3gのN,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドおよび架橋剤としては0.4wt%以上のジビニルベンゼン(または0.5wt%以上のエチレングリコールジメタクリレート)の混合溶液に、開始剤の2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン0.2wt%以上を使用して、実施例11と同様に製造して、物性を評価した。
【0125】
(比較例1:コンタクトレンズの製造)
従来、多く使用される9gの2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび架橋剤には1gのジビニルベンゼンの混合溶液に、開始剤の2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン0.02gを溶解させた後、ポリプロピレンからなるモールドに注入し(Casting Mold法)、110℃で30分間重合して硬化させた。次いで、モールドからレンズを分離して含水率の測定を行った結果、38%の含水率と酸素透過度10〜20Dk[10−11(cm/sec)mlOmmHg]と低く示された。
【0126】
【表1】

【0127】
上記のような実施例および比較例の含量で製造されたコンタクトレンズの物性は、次のとおりである。
【0128】
【表2】

【0129】
上記表2から見られるように、本発明の実施例は親水性であり、含水率は40〜70%、酸素透過性が50〜90Dk[10−11(cm/sec)mlOmmHg]と非常に高く、比較例と比較してみると、含水率と酸素透過度で格段に高い数値を示すことがわかる。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−Hydroxyethyl methacrylate)および下記の化学式(1)で表われるシリコン N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミド(silicone N,O−Bis(trimethylsilyl)acrylamide)単量体を含む、軟質コンタクトレンズ用シリコンヒドロゲル組成物。
【化1】

【請求項2】
前記組成物のうち、N,O−ビス(トリメチルシリル)アクリルアミドの含量は、10重量%以下である、請求項1に記載の軟質コンタクトレンズ用シリコンヒドロゲル組成物。
【請求項3】
前記組成物は、エチレングリコールジメタクリレート(Ethylene glycol dimethacrylate)を含む、請求項1に記載の軟質コンタクトレンズ用シリコンヒドロゲル組成物。
【請求項4】
前記組成物は、ジビニルベンゼン(Divinyl benzen)を含む、請求項1に記載の軟質コンタクトレンズ用シリコンヒドロゲル組成物。
【請求項5】
前記組成物は、N−ビニル−2−ピロリドン(N−Vinyl−2−pyrrolidone)とN,N−ジメチルアクリルアミド(N,N−Dimethylacrylamide)のいずれかを含む、請求項3に記載の軟質コンタクトレンズ用シリコンヒドロゲル組成物。
【請求項6】
前記組成物は、N−ビニル−2−ピロリドン(N−Vinyl−2−pyrrolidone)とN,N−ジメチルアクリルアミド(N,N−Dimethylacrylamide)のいずれかを含む、請求項4に記載の軟質コンタクトレンズ用シリコンヒドロゲル組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の前記組成物により製造された、軟質コンタクトレンズ。




【公表番号】特表2010−531474(P2010−531474A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514580(P2010−514580)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際出願番号】PCT/KR2007/005098
【国際公開番号】WO2009/001987
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(510000699)ベスコン カンパニーリミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】BESCON.CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】398−4,Doojung−dong,Cheonan−si,Chungcheongnam−do 330−210
【出願人】(510000703)
【氏名又は名称原語表記】NAM,Tack In
【住所又は居所原語表記】105−40,Shindonga Pamillie Apt.,173 Wachon−dong,Cheonan−si,Chungcheongnam−do 330−724
【Fターム(参考)】