説明

軟骨修復

本発明は、軟骨修復用の組成物、並びに該組成物の調製法および使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟骨修復用の組成物、並びに該組成物の調製法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
軟骨損傷はヒトによく見られる。治療しないと、損傷は漸進的に悪化し、変形性関節症のような慢性症状をもたらし得る。損傷した軟骨を修復するために、現在、多くの様々な治療方法が用いられている。例示的な方法としては、軟骨細胞または間葉系幹細胞の直接的または細胞送達ビヒクル(cell delivery vehicle)を介した骨軟骨欠損部への移植、または修復プロセスを促進する成長因子の使用が挙げられる(非特許文献1)。修復組織の耐久性、初期の最適な成長因子の投与量の確実性、または多数の生物学的要因間の相互作用についての知見は重要であり、時には問題となる(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】ガオ(Gao)ら、Clinical Orthopaedics and Related Research 2004、S62〜66
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、軟骨を修復するための特定の組成物および方法を発見した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、本発明は、約25重量%〜約40重量%の脱灰骨基質(DBM)と、約3.5重量%〜約25重量%のヒアルロン酸塩と、約40重量%〜約72重量%の生体適合性液体(biologically compatible liquid)とを含有する成形可能な(formable)組成物を特徴とする。
【0006】
いくつかの実施形態において、同ヒアルロン酸塩は、ヒアルロン酸のナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩であり得る。
いくつかの実施形態において、同成形可能な組成物は生体適合性液体を含有することができ、同液体は、PBS、水、食塩水(saline)またはLRSであり得、例えばPBSであり得る。
【0007】
同成形可能な組成物は、レオロジー改質剤、例えばグリセロール、またはカルボキシメチルセルロースをさらに含むことができる。
いくつかの実施形態において、同成形可能な組成物は、35重量%未満の脱灰骨基質を含有することができ、例えば約25重量%〜約35重量%の脱灰骨基質を含有し得る。
【0008】
いくつかの実施形態において、同成形可能な組成物は少なくとも約6重量%のヒアルロン酸塩を含有し得る。特定の実施形態において、同成形可能な組成物は、約6重量%〜約15重量%のヒアルロン酸塩を含有し得る。他の実施形態では、同成形可能な組成物は、約6重量%〜約9重量%のヒアルロン酸塩を含有し得る。
【0009】
いくつかの実施形態において、同ヒアルロン酸塩は少なくとも約500,000ダルトンの平均分子量を有し得る。
いくつかの実施形態において、同成形可能な組成物は、少なくとも2種のヒアルロン酸塩の混合物を含有し得る。他の実施形態では、同成形可能な組成物は、2種のヒアルロン酸塩の混合物、例えば、約0.05〜約1.0百万ダルトンの範囲にある第1平均分子量のヒアルロン酸塩と、約1.0〜5.0百万ダルトンの範囲にある第2平均分子量のヒアルロン酸塩とを含有し得る。第1平均分子量のヒアルロン酸塩の第2平均分子量のヒアルロン酸塩に対する平均分子量比は、1:5〜5:1に及び得る。
【0010】
いくつかの実施形態において、第1平均分子量のヒアルロン酸塩と第2平均分子量のヒアルロン酸塩との間の平均分子量の差は、少なくとも約0.5百万ダルトンであり得る。
いくつかの実施形態において、同成形可能な組成物は、試験においてさらに特徴付けることができる。例えば、インストロンシリンジ押出力(ISEF)試験を受ける場合、同組成物は約12.0ニュートン〜約30.0ニュートンの押出力を示し得る。いくつかの実施形態において、同押出力は約18.0ニュートン〜約26.0ニュートンであり得る。実施形態において、同押出力は、8.6mmの直径および15ゲージの1・1/1針を備えた3mLの注射器において測定される。
【0011】
同成形可能な組成物はさらに医薬活性成分を含有することができる。同医薬活性成分は、骨形態形成タンパク質、組織成長因子、インスリン成長因子、抗酸化剤、抗生物質または成長因子の組み合わせであり得る。実施形態において、同医薬活性成分は、BMP−2、BMP−4、BMP−6、BMP−7、TGF−B、IGF−1、アスコルベート、ピルベート、BHT、ゲンタマイシン、バンコマイシン、TGF−βおよびBMP−2の組み合わせ、並びにTGF−βおよびIGF−1の組み合わせのうちから選択することができる。
【0012】
いくつかの実施形態において、同医薬活性成分はヒアルロン酸塩と結合(conjugated)され得る。
別の態様において、本発明は、約60重量%〜約92重量%の脱灰骨基質と、約3.5重量%〜約38重量%のヒアルロン酸塩と、約3重量%〜約10重量%の生体適合性液体とを含有する乾式混合(dry blend)組成物を特徴とする。いくつかの実施形態において、同ヒアルロン酸塩は少なくとも約200,000ダルトンの平均分子量を有する。
【0013】
さらに別の態様において、本発明は、約25重量%〜約88重量%の脱灰骨基質と、約3.5重量%〜約38重量%のヒアルロン酸塩と、約3重量%〜約20重量%の生体適合性液体とを含有するプラグを特徴とする。いくつかの実施形態において、同組成物は、約5重量%〜約10重量%の生体適合性液体を含有する。いくつかの実施形態において、同ヒアルロン酸塩は少なくとも約200,000ダルトンの平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、同プラグは約10重量%未満の生体液体を含有する。特定の実施形態において、同プラグは、約5重量%以下の生体液体を含有する。いくつかの実施形態において、同生体適合性液体は水であり得る。例えば、生体適合性液体は、乾燥減量によって測定することができる残留水分である。いくつかの実施形態において、同プラグは、少なくとも約1.55MPa(例えば少なくとも約1.60MPa、少なくとも約1.65MPa、または少なくとも約1.70MPa)の一軸圧縮強度を示す。特定の実施形態において、同プラグは、約1.55MPa〜約1.70MPaの一軸圧縮強度を示す。
【0014】
一態様において、本発明は、有効量の組成物を対象に対して軟骨組織の損傷部位に投与することを含む対象の軟骨を修復する方法を特徴とし、同組成物は脱灰骨基質とヒアルロン酸塩とを含有する。同組成物は、成形可能な組成物、乾式混合組成物またはプラグであり得る。
【0015】
他の態様において、本発明は、成形可能な組成物を調製する方法を特徴とする。同組成物は、約25重量%〜約40重量%の脱灰骨基質と、約3.5重量%〜約25重量%のヒアルロン酸塩と、約40重量%〜約72重量%の生体適合性液体とを含有し、同方法は、固形成分を混合し、続いて液体成分を添加することを含む。同固形成分は脱灰骨基質およびヒアルロン酸塩を含有し得る。同ヒアルロン酸塩は少なくとも約200,000ダルトンの平均分子量を有し得る。いくつかの実施形態において、同液体成分は目的とする使用の前に添加され得る。いくつかの実施形態において、同液体成分は水である。同組成物が医薬活性成分を含有する場合、同医薬活性成分はヒアルロン酸塩とコンジュゲートされ得る。他の実施形態では、同医薬活性成分は、脱灰骨基質およびヒアルロン酸塩のような固形成分と混合され得る。特定の実施形態において、同医薬活性成分は、液体成分と混合され得る。
【0016】
さらに別の態様において、本発明はプラグを形成する方法を特徴とし、該方法は、
a)脱灰骨基質およびヒアルロン酸塩の粉末を提供することと、
b)同粉末を混合することと、
c)液体成分を添加して、パテ状材料を形成することと、
d)そのパテを型内に配置することと、
e)成形されたパテを乾燥させてプラグを形成することと、を含む。
【0017】
概して、「パテ」は堅固であるが柔軟である。同パテは崩壊しない。同パテは、手で成形したり、または指圧によって骨の空隙または多孔質組織の間隙に押し込んだりすることができる展性に富んだコンシステンシー(粘稠性)を有する。
【0018】
いくつかの実施形態において、同粉末は、グリセロールまたはPEGのような可塑剤をさらに含有することができる。
いくつかの実施形態において、同乾燥は、凍結乾燥、風乾、またはオーブン乾燥もしくは真空乾燥であり得る。
【0019】
特定の実施形態において、同プラグは、約3重量%〜20重量%(例えば少なくとも5重量%)の含水率に達するように、さらに調整され得る。いくつかの実施形態において、同含水率は約5重量%〜約10重量%である。他の実施形態では、同含水率は約5重量%〜約15重量%である。
【0020】
本願では「成形可能な組成物」とは、外科医によって、実質的に手袋に付着することなく所望形状に操ることができ、良好な外科技術に合致するものである。例えば、同成形可能な組成物は、外科的損傷の輪郭に一致するように成形され得る。パテは成形可能な組成物の一種であり、患者に用いられ得る。より典型的には、本発明者らは、本願の他の箇所では、同用語を、プラグに乾燥させる中間材料を記述するために用いている。
【0021】
本願では「平均分子量」とは、下記式によって計算され得る重量平均分子量(Mv)を指す。
Mw=ΣNi Mi/ΣNi Mi
同式中、Niは、分子量Miの分子の数である。
【0022】
本願において「生体適合性液体」とは、生理学的に許容可能であり、許容できない細胞の損傷をもたらさないものである。そのような液体の例は、水、緩衝液、食塩水、タンパク質溶液および糖液である。
【0023】
本願において、区別なく用いられる「対象」または「患者」という用語は、哺乳動物、好ましくはマウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマまたは霊長類、最も好ましくはヒトを含む任意の動物を指す。
【0024】
本願では「有効量」という語句は、研究者、獣医、医師または他の臨床医によって組織、系、動物、個体またはヒトにおいて求められている生物学的応答または薬剤応答を誘発する活性化合物または医薬品の量を指す。
【0025】
本願では「修復」という用語は、制限なく、組織の修復、再生、再建、再形成または増量を意味するように意図される。
本発明の1つ以上の実施形態の詳細について以下の記載において述べる。本発明の他の特徴、目的および効果は、同記載および特許請求の範囲から明白になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、軟骨を修復するために特定の組成物を用いることができるという予期しない発見に少なくとも部分的に基づく。
組成物
軟骨を修復するために用いることができる組成物としては、成形可能な組成物、乾式混合組成物、およびプラグが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
成形可能な組成物は、約20重量%〜約40重量%、好ましくは約25重量%〜約40重量%、または約25重量%〜約35重量%、より好ましくは約30重量%〜約40重量%、最も好ましくは約30重量%〜約35重量%の脱灰骨基質(DBM)を含有し得る。DBMとヒアルロン酸塩との間の重量比は、約1:1〜約25:1、または約2:1〜約20:1、または約2:1〜約15:1、または約2.5:1〜約7.5:1に及び得る。
【0028】
成形可能な組成物はまた、水または食塩水のような生体適合性液体成分も含有する。いくつかの実施形態において、同液体成分は乳酸加リンゲル溶液(LRS)であり得る。他の実施形態では、同液体成分として、リン酸緩衝食塩水溶液(PBS)のような生理学的に許容可能な緩衝食塩水が挙げられる。
【0029】
いくつかの実施形態において、本発明の成形可能な組成物は、約40重量%〜約72重量%(例えば、約45重量%〜約66重量%、または約50重量%〜約66重量%、または約60重量%〜約66重量%、または約62重量%〜約65重量%)の液体成分を含有し得る。いくつかの実施形態において、同液体成分は、実質的に有機溶媒を含まない。同有機溶媒の例としては、エタノール、イソプロパノール、N−メチルピロリドン、プロピレングリコール、グリセロール、低分子量ポリエチレングリコールおよびDMSOが挙げられる。
【0030】
成形可能な組成物は、少なくとも約3.5重量%、例えば少なくとも約5重量%、少なくとも約6重量%、少なくとも約9重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%のヒアルロン酸塩を含むことができる。いくつかの実施形態において、同成形可能な組成物は少なくとも約6重量%のヒアルロン酸塩を含有し得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、同成形可能な組成物は、約3.5重量%〜約25重量%(例えば、約5重量%〜約25重量%、約6重量%〜約25重量%、約9重量%〜約25重量%)のヒアルロン酸塩を含有し得る。いくつかの実施形態において、同成形可能な組成物は、約3.5重量%〜約20重量%(例えば、約5重量%〜約20重量%、約6重量%〜約20重量%、約9重量%〜約20重量%)のヒアルロン酸塩を含有し得る。いくつかの実施形態において、同成形可能な組成物は、約3.5重量%〜約15重量%(例えば、約5重量%〜約15重量%、約6重量%〜約15重量%、または約9重量%〜約15重量%)のヒアルロン酸塩を含有する。いくつかの実施形態において、同組成物は、約3.5重量%〜約10重量%(例えば、約5重量%〜約10重量%、約6重量%〜約10重量%、または約9重量%〜約10重量%)のヒアルロン酸塩を含有する。特定の実施形態において、同成形可能な組成物は、約3.5重量%〜約9重量%(例えば、約5重量%〜約9重量%、または約6重量%〜約9重量%)のヒアルロン酸塩を含有する。
【0032】
いくつかの実施形態において、同成形可能な組成物は、インストロン注射器押出力(ISEF)試験を受けると、約12.0〜約30.0ニュートンの押出力を示す。例えば、同成形可能な組成物は、約14.0〜約26.0ニュートン(例えば、約14.0〜約23.0ニュートン、または約14.0〜約21.0ニュートン、または約14.0〜約19.0ニュートン、または約14.0〜約16.0ニュートン)の押出力を示す。他の実施形態では、同成形可能な組成物は、約16.0〜約26.0ニュートン(例えば、約18.0〜約26.0ニュートン、または約20.0〜約26.0ニュートン、または約22.0〜約26.0ニュートン)の押出力を示し得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、同成形可能な組成物は、レオロジー改質剤、例えばグリセロール、カルボキシメチルセルロースをさらに含有することができる。
いくつかの実施形態において、同ヒアルロン酸塩は少なくとも約500,000ダルトン(Da)(例えば少なくとも約0.8MDa、少なくとも約1.0MDa、少なくとも約1.2MDa、少なくとも約1.5MDa、少なくとも約1.8MDa、または少なくとも約2.0MDa)の平均分子量を有する。
【0034】
同組成物が乾式混合組成物である場合、乾式混合組成物は、約60重量%〜約92重量%(例えば、約70重量%〜約92重量%、約80重量%〜約92重量%、85重量%〜約92重量%、または約90重量%〜約92重量%)のDBMを含有し得る。いくつかの実施形態において、乾式混合組成物は、約3.5重量%〜約38重量%(例えば、約4重量%〜約38重量%、約6重量%〜約38%重量、約9重量%〜約38重量%、約9重量%〜約30重量%、約9重量%〜約25重量%、約9重量%〜約20重量%)のヒアルロン酸塩を含有することができる。実施形態において、同乾式混合組成物は、約3重量%〜約10重量%(例えば、約3重量%〜約9重量%、約3重量%〜約7重量%、約3重量%〜約5重量%)のDMBおよびヒアルロン酸塩の双方に由来する残留水分を含有し得る。
【0035】
同組成物がプラグとして調製される場合、プラグ中のDBMの量は、全組成物の25重量%〜約88重量%(例えば、約35重量%〜約88重量%、約55重量%〜約88重量%、約60重量%〜約88重量%、約65重量%〜約88重量%、約75重量%〜約88重量%、または約85重量%〜約88重量%)にわたり得る。
【0036】
プラグ中のヒアルロン酸塩の量は、全組成物の約3.5%重量〜約38重量%(例えば、約5重量%〜約38重量%、または約6重量%〜約38重量%、約6重量%〜約28重量%、約6重量%〜約24重量%、約6重量%〜約18重量%、または約6重量%〜約15重量%、または約7重量%〜約15重量%)にわたり得る。いくつかの実施形態において、ヒアルロン酸塩の重量は、全組成物の少なくとも約6重量%(例えば少なくとも約7重量%、少なくとも約15重量%、または少なくとも約20重量%)である。いくつかの実施形態において、同プラグは、約3重量%〜約20重量%、例えば10重量%未満の生体適合性液体を含有する。いくつかの実施形態において、同生体適合性液体は水であり得る。例えば、同生体適合性液体は、約3重量%〜約20重量%(例えば約5重量%〜約10重量%、約5重量%〜約15重量%)であり得る残留水分である。同残留水分または他の低揮発性溶媒は乾燥減量法によって測定され得る。特定の実施形態において、同乾燥減量は、約3%〜約20%(例えば約3%〜約17%、約5%〜約12%、約5%〜約10%)である。
【0037】
成形可能な組成物、乾式混合組成物およびプラグ中におけるDBMの適当な粒子サイズは、約70ミクロン〜約850ミクロン、例えば、約150ミクロン〜約800ミクロン、または200ミクロン〜約800ミクロンにわたり得る。ヒアルロン酸塩の適当な粒子サイズは、約600ミクロン、約500ミクロン、または約400ミクロンである。
【0038】
いくつかの実施形態において、成形可能な組成物中の同ヒアルロン酸塩は少なくとも約500,000ダルトン(例えば、少なくとも約0.8MDa少なくとも約1.0MDa、少なくとも約1.2MDa、少なくとも約1.5MDa、少なくとも約1.8MDa、または少なくとも約2.0MDa)の平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、乾燥組成物またはプラグ中のヒアルロン酸塩は、少なくとも約200,000ダルトン(例えば少なくとも約0.4MDa、少なくとも約0.6MDa、少なくとも約0.8MDa、少なくとも約1.0MDa、または少なくとも約1.2MDa)の平均分子量を有し得る。
【0039】
本発明の組成物は、成形可能な組成物、乾式混合組成物、またはプラグであり得る。
同組成物は、少なくとも2種のヒアルロン酸塩の混合物、例えば2種のヒアルロン酸塩の混合物、または3種以上(例えば3種または4種)のヒアルロン酸塩の混合物を含有し得る。いくつかの実施形態において、同組成物は、第1平均分子量のヒアルロン酸塩と、第2平均分子量のヒアルロン酸塩とを含む、2種のヒアルロン酸塩の混合物を含有することができる。いくつかの実施形態において、第1平均分子量のヒアルロン酸塩は、約0.05〜1.0百万ダルトン(MDa)(例えば約0.05MDa、約0.1MDa、約0.3MDa、約0.6MDa、約0.8MDa、または約1.0MDa)である。
【0040】
いくつかの実施形態において、第1平均分子量のヒアルロン酸塩は、約0.1〜1.0百万ダルトンである。いくつかの実施形態において、第1平均分子量のヒアルロン酸塩は、約0.3〜1.0百万ダルトンである。特定の実施形態において、第1平均分子量のヒアルロン酸塩は、約0.3〜0.8百万ダルトン、例えば約0.3〜0.6百万ダルトンである。
【0041】
いくつかの実施形態において、第2平均分子量のヒアルロン酸塩は、約1.0〜5.0百万ダルトン(MDa)(例えば約1.0MDa、約1.4MDa、約2.0MDa、約2.5MDa、約3.0MDa、約4.0MDaまたは約5.0MDa)である。
【0042】
いくつかの実施形態において、第2平均分子量のヒアルロン酸塩は、約1.2〜4.0百万ダルトンである。特定の実施形態において、第2平均分子量のヒアルロン酸塩は約1.0〜3.0百万ダルトンである。例えば、第2平均分子量のヒアルロン酸塩は約1.0〜2.0百万ダルトンであり、例えば約1.0〜1.4百万ダルトンであり得る。
【0043】
本発明の組成物は、第1平均分子量のヒアルロン酸塩と第2平均分子量のヒアルロン酸塩とを含む、2種のヒアルロン酸塩の混合物を含有することができる。本発明の一態様は、同組成物中の2種のヒアルロン酸塩が同組成物のレオロジー特性の操作を可能にするということである。
【0044】
いくつかの実施形態において、第1平均分子量のヒアルロン酸塩は約0.05〜1.0百万ダルトンであり、かつ第2平均分子量のヒアルロン酸塩は約1.0〜5.0百万ダルトンであり得る。例えば、第1平均分子量のヒアルロン酸塩は約0.1〜1.0百万ダルトンであり、かつ第2平均分子量のヒアルロン酸塩は約1.0〜3.0百万ダルトンであり得る。特定の実施形態において、第1平均分子量のヒアルロン酸塩は0.3〜0.8百万ダルトンであり、かつ第2平均分子量のヒアルロン酸塩は1.0〜2.0百万ダルトンであり得る。他の実施形態において、第1平均分子量のヒアルロン酸塩は0.3〜0.6百万ダルトンであり、かつ第2平均分子量のヒアルロン酸塩は約1.0〜1.6百万ダルトンであり得る。例えば、第1平均分子量のヒアルロン酸塩は0.4〜0.6百万ダルトンであり、かつ第2平均分子量のヒアルロン酸塩は約1.1〜1.6百万ダルトンであり得る。
【0045】
第1平均分子量のヒアルロン酸塩の第2平均分子量のヒアルロン酸塩に対する重量比は、約1:5〜約5:1(例えば、約1:5、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、または約5:1)であり得る。いくつかの実施形態では、第1平均分子量のヒアルロン酸塩の第2平均分子量のヒアルロン酸塩に対する重量比は、約1:4〜約4:1(例えば、約1:3〜約1:1、または約1:1〜約3:1)であり得る。特定の実施形態では、第1平均分子量のヒアルロン酸塩の第2平均分子量のヒアルロン酸塩に対する重量比は、約1:3〜約1:1であり得る。
【0046】
いくつかの実施形態において、第1平均分子量のヒアルロン酸塩と第2平均分子量のヒアルロン酸塩との間の平均分子量の差は、少なくとも約0.5百万ダルトン(MDa)(例えば、少なくとも約0.5MDa、少なくとも約0.7MDa、少なくとも約0.9MDa、または少なくとも約1.2MDa)であり得る。
【0047】
同組成物はさらに医薬活性成分を含有することができる。同医薬活性成分は、骨形態形成タンパク質、組織成長因子、インスリン成長因子、抗酸化剤、抗生物質、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0048】
同組成物は、骨および軟骨の形成を誘発し得るタンパク質を含有し得る。例えば、BMP−2、BMP−4、BMP−6およびBMP−7のような骨形態形成タンパク質である。
【0049】
同組成物はまた、有効量(自然に存在するか、または故意に添加されたかのいずれか)の組織成長因子、例えばTGF−Bを含有し得る。いくつかの実施形態において、同組成物はインスリン成長因子、例えばIGF−1を有し得る。特定の実施形態において、同組成物は抗酸化剤を有し得る。例示的な抗酸化剤としては、アスコルベート、ピルベートおよびBHTが挙げられる。他の実施形態では、同組成物は、ゲンタマイシンおよびバンコマイシンのような抗生物質を含有することができる。
【0050】
同組成物は、2種以上の医薬活性成分の混合物を組織の成長の促進に有効な量で含有することができる。例えば、骨形態形成タンパク質および組織成長因子の混合物、例えばTGF−βおよびBMP−2の混合物、またはインスリン成長因子および組織成長因子の混合物、例えばTGF−βおよびIGF−1の混合物である。
【0051】
同組成物はまた、本願に記載する疾患または他の疾患に対する他の治療剤、例えば鎮痛剤も含有することができる。
これらの例は例示を目的としているに過ぎず、文献に記載されたいかなる他の薬剤を用いてもよい。
【0052】
同組成物中に医薬活性成分が用いられる場合、それらの医薬活性成分は、粉末形態でヒアルロン酸塩および脱灰骨基質(DBM)と単純に混合することもできるし、または液体成分と混ぜ合わせることもできる。これに代わって、医薬活性成分はヒアルロン酸塩とコンジュゲートされ得る。
【0053】
本願では、脱灰骨基質(DBM)は、当業者に周知の方法を用いて調製され得る。一般的な合成法は文献に見られる。イー(Yee)ら、Spine(2003年)、28(21)およびコルノット(Colnot)ら、Clinical Orthopaedics and Related Research(2005年)、(435)、69〜78頁を参照されたい。例えば、脱灰骨基質(DBM)は、大部分の石灰化成分(mineralized component)の喪失を生じるが、成長因子を含むコラーゲンおよび非コラーゲンタンパク質は保持される移植用骨(allograft bone)の酸抽出によって調製することができる。DBMは、破砕粒、粉末またはチップとして加工され得る。DBMは、粒剤、ゲル、スポンジ材料またはパテとして使用するために調剤され得、保存のために凍結乾燥することができる。加えて、DBMは、カリフォルニア州サンラファエルのティシュー バンクス インターナショナル(Tissue Banks International(TBI))、またはフロリダ州ゲインズヴィルのエグザクテック(Exactech)のような商業的供給源から入手することができる。
【0054】
ヒアルロン酸は、D−グロクロン酸とN−アセチルグルコサミンとの二糖単位の繰り返しからなる直鎖長鎖多糖類である。ヒアルロン酸は、例えば、鶏冠および臍帯のような動物組織からの抽出(クライン、ジェイ.(Klein,J.)およびメイヤー、エフ.エイ.(Meyer,F.A.)、1983年、Biochem.&Biophys.Acta、755(3)、400〜411頁)、またはバクテリア種、例えば連鎖球菌からのヒアルロン酸莢膜物質の除去(ヴァン ブラント、ジェイ.(Van Brunt,J)、1986年、Biotechnology、4、780〜782頁)のいずれかによって得ることができる。
【0055】
ヒアルロン酸は、所望の分子量の低減が生じるのを可能にするためにガンマ線照射にさらに供され得る(ミラー、アール.(Miller,R.)およびシードリン、エイ.(Shiedlin,A.)、米国特許第6,383,344号)。いくつかの実施形態において、ヒアルロン酸は本質的に水溶性である。
【0056】
ヒアルロン酸は修飾ヒアルロン酸であり得る。例えば、ヒアルロン酸のグルクロン酸部分におけるカルボキシル基は、置換アミド基に変えることができる。上記の置換アミド基の適当な置換基としては、アミノアルキル基(それらのアルキレン鎖は、1つ以上、すなわち、例えば1〜8個、好ましくは1〜3個のヒドロキシル基によって置換されていてもよい);アミノ(ポリアルキレンオキシ)アルキル基;アミノ(ポリアルキレンアミノ)アルキル基;メルカプト(ポリアルキレンアミノ)アルキル基;アクリロイルオキシアルキル基;アクリロイルアミノアルキル基;およびアクリロイルアミノ(ポリアルキレンオキシ)アルキル基が挙げられ得る。
【0057】
さらに、修飾ヒアルロン酸はまた、通常はより高い分子量を有する架橋ヒアルロン酸であることもできる。より高分子量のヒアルロン酸は、その高い粘弾性により、より効果的であり得る。
【0058】
同ヒアルロン酸は、生理的pHにおいて塩であってもよい。ヒアルロン酸塩がアルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウムもしくはカリウム)またはアルカリ土類金属(マグネシウムもしくはカルシウム)のような無機塩基を有する塩である場合、そのような塩は、例えば、ヒアルロン酸をアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含有する塩基と反応させることによって容易に得られる。ヒアルロン酸塩(例えば銀塩)はまた、米国特許第4,784,991号および同第5,472,950号に開示されるような方法によって調製することもできる。さらに、ヒアルロン酸塩はまた様々な商業的供給源から購入することもできる。
【0059】
同組成物は、キトサン、キチン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリンおよびヘパリン硫酸(heparin sulfate)のような修飾多糖類または天然多糖類をさらに含有することができる。
【0060】
同組成物は、可溶性コラーゲンもしくは可溶性ゼラチンのような天然タンパク質、組み換えタンパク質、もしくは合成タンパク質、またはポリリシンのようなポリアミノ酸を含有してもよい。
【0061】
いくつかの実施形態において、同組成物はいかなる脂質も含有しない。他の実施形態において、同組成物は12重量%未満(例えば10%未満、または8%未満、または5%未満、または3%未満)の脂質を含有する。
【0062】
使用の方法
本発明の組成物は対象の軟骨を修復するために用いられ得る。同組成物は、対象に対して、軟骨組織の損傷または骨軟骨欠損におけるような骨および軟骨の損傷の組み合わせの部位に投与され得る。本発明の組成物はまた、骨または半月板、靭帯、腱および椎間板輪(intervertebral disc annulus)のような他の組織の損傷を修復するために用いることもできる。有効投与量は、治療中の病状に依存するだけでなく、疾患の重症度、患者の年齢、体重および全身状態などのような要因に応じた担当臨床医の判断にもよるであろう。
【0063】
患者に投与される組成物は、本願に記載する医薬組成物(例えば、成形可能な組成物、乾式混合組成物、またはプラグ)の形態にあり得る。従って、同乾燥混合およびプラグは使用前に生体液で水和されてもよい。水和された組成物のpHは、好ましくは6.5〜7.8、または好ましくは6.8〜7.4である。同組成物は従来の殺菌技術によって殺菌することができ、またはろ過滅菌( sterile filtered)されてもよい。同組成物は、そのまま使用のために梱包することができ、または凍結乾燥させることができる。凍結乾燥させた組成物は投与前に滅菌液体成分と合わせられる。
【0064】
本発明の組成物は、軟骨修復を必要とする組織および/または部位に直接適用されてもよい。いくつかの実施形態において、体内の治療の部位は、異常な組織を除去し、続いて本発明の組成物を損傷領域に配置するために、外科的に準備され得る。これに代わって、外科的準備は、細胞または骨髄に対してプラグまたはパテ内に移動するための通路を形成するために、隣接する組織領域または血管新生領域(vascularized regions)に穿刺する、アブレートする、または穿孔することを含む。本発明の組成物は、骨軟骨欠損、または微小骨折を含む損傷、または軟骨欠損を充填するために用いることができる。
【0065】
組成物の調製
同組成物を調製する際、DBMおよびヒアルロン酸塩の双方は、他の成分と組み合わせる前に、例えば600ミクロン未満または850ミクロン未満の適当な粒子サイズを提供するように粉砕され得る。
【0066】
DBMおよびヒアルロン酸塩は、パテまたはプラグおよび他の調合物のタイプに適当な粒子サイズを得るために、乾式粉砕または湿式粉砕のような既知の粉砕方法を用いて粉砕され得る。本発明の化合物の微粉調製物は当業において既知のプロセスによって調製することができ、例えば、国際特許公報第WO2002/000196号を参照されたい。
【0067】
本発明の成形可能な組成物は、ヒアルロン酸塩および脱灰骨基質(DBM)の乾式混合物を液体成分(例えばPBS)と混合することによって調製することができる。本発明の重要な態様は、ヒアルロン酸塩およびDBMを含むすべての固体粉末成分を、例えばPBSなどの液体成分に添加する前に予め混合することである。
【0068】
ヒアルロン酸塩および脱灰骨基質(DBM)は約10〜24時間(例えば約10時間、約12時間、約18時間、約20時間、または約24時間)にわたって予め混合されて、DBMおよびヒアルロン酸塩の均質混合物を含有する固形組成物を形成し得る。同組成物を均質であると称する場合、その成分は典型的には同組成物の全体にわたって均一に分散されており、その結果、該組成物は容易に有効な単位剤形に等しく細分され得る。少なくとも2種のヒアルロン酸塩の混合物が組成物中に用いられる場合、すべてのヒアルロン酸塩はDBMと予め混合されるであろうことが理解され得る。同混合は、均質な粉末混合物が形成するまで(例えばターブラ T2F(Turbula T2F)のような高速振盪器において)機械的に行われ得る。PBSのような液体成分を同均質な粉末混合物に添加することができる。結果として生じる混合物は、高速振盪器中などで、さらに約12〜36時間(例えば約12時間、約20時間、約24時間、約30時間、約36時間)にわたって混合され得る。いくつかの実施形態において、DBMとヒアルロン酸塩とを混合した直後に液体成分を添加することができる。他の実施形態では、液体成分は目的とする使用の直前に添加することができる。
【0069】
本発明の別の重要な態様は、異なる分子量の2種のヒアルロン酸塩を用いて、向上され制御された流動特性および生物学的特性を備えたペースト/パテを形成することができることである。本発明の教示を用いることにより、混合過程中の組成物に、または最終組成に直接、物質を添加することによって、多数の医学的に有用な物質を調製することができる。DBMとヒアルロン酸塩との混合物をインサイチュー薬剤送達のビヒクルとして用いるためには、薬剤をDBMおよびヒアルロン酸塩の粉末と混合し、次いで、その組成物を水和させることができる。これに代わって、薬剤をPBSのような液体成分と混合し、次いで、予め混合した粉末組成物に添加することができる。更に、薬剤をヒアルロン酸塩とコンジュゲートさせ、次いで、組成物に添加することができる。
【0070】
本発明の方法は、組成物中少なくとも約3.5%のヒアルロン酸塩の濃度を有する使用可能な骨パテまたはペーストの調製を可能にする。より高濃度のヒアルロン酸塩を用いる効果としては、ペーストの粘弾性特性の向上が挙げられる。さらに、本発明の方法によって調製されるパテまたはペーストは、良好な凝集性と、最小限の付着性とを示す。例えば、同パテは、取り扱い工程の全体にわたって、ゴム手袋には付着せず、凝集(coherence)を維持し、崩壊したり、「玉」ができたりしない。さらに、良好な展性も観察された。例えば、同パテは様々な形状(例えば球体)に形成することができ、また目的とする形状を保持することができる。いくつかの実施形態において、同パテは、移植の前に、幹細胞または骨髄細胞と予め混合される。いくつかの実施形態において、同組成物は、パテのその部位への操作によって損傷部に埋め込まれる。他の実施形態において、同組成物は、注射器から針を介した注射によって損傷部に埋め込まれる。
【0071】
本発明の組成物はまたプラグとして調製することもできる。同プラグは、骨または軟骨の修復および置換のために特殊設計された生体吸収性足場(bioresorbable scaffold)である。本発明によるHAおよびDBMの組み合わせを用いて、この材料は、骨/軟骨の結合および再建を支持する高度に多孔性の足場となるように設計されている。同材料は、流体および栄養を吸収することにより生物学的に親和性(biologically friendly)であり、骨髄を足場内に浸透(wick)させるように特殊設計されている。
【0072】
プラグは、湿式関節鏡視下膝手術(wet arthroscopic knee surgery)中における足場の送達のより好都合な手段を提供することができる。脱灰骨基質(DBM)およびヒアルロン酸塩を含有する多孔性の骨伝導性構造(osteoconductive structure)を備えたプラグは、HAをDBMと混合し、続いてその粉末混合物を水和させることによって得ることができる。例えば、プラグは、DBMおよびヒアルロン酸塩の混合物から、プラグ性能を最適化し、かつ骨軟骨欠損に適合するように特注設計された型内における凍結乾燥または他の乾燥過程によって調製することができる。プラグはDBMおよびヒアルロン酸塩の乾燥調合物であり、従って、室温において高い安定性を有するであろう。いくつかの実施形態において、プラグは可塑剤を含むことができる。好ましい可塑剤はグリセロールまたはPEGであり得る。同可塑剤は、例えば脱灰骨基質およびヒアルロン酸塩などの粉末混合物と混合することができる。いくつかの実施形態において、プラグは、埋め込み前に幹細胞または骨髄細胞と予め混合される。
【0073】
本願に開示する発明をより効率的に理解するために、下記に実施例を提供する。当然のことながら、これらの実施例は例示を目的としているに過ぎず、いかなる方法においても本発明を限定すると解釈されるものではない。
【実施例】
【0074】
実施例1〜3:骨パテまたはペーストの調製
実施例1
材料
ヒアルロン酸塩(HA)粉末は、ジェンザイムコーポレイション(Genzyme Corporation)におけるストレプトコッカス・ズーエピデミカス(Streptococcus zooepidemicus)の発酵から精製した:MW=1.2MDa。物理的形態(微粉末)の脱灰骨基質(DBM)はカリフォルニア州サンラファエルのティシュー バンクス インターナショナル(TBI)から受領した。
【0075】
方法1:
2.4グラムのHAと、21.4mLの液体成分(PBS)とを、高速振盪器(ターブラ T2F(Turbula T2F)、グレン ミルズ インコーポレテッド(Glen Mills Inc.)、ニュージャージー州クリフトン)中で24時間にわたって予め混合した。24時間の混合後、均質なヒドロゲルが調製された。この時点で、12グラムのDBMを添加した。プロセスの終了時において、組成物はパテ(HA/DBMドウ組成物)を形成せず、むしろDBMのすべてを取り込んでいない不均一な混合物を示した。
【0076】
方法2:
12グラムのDBMと、2.4グラムのHAとを高速振盪器(ターブラ T2F)中で粉末として12時間にわたって予め混合し、均質な粉末混合物を製造した。この時点で、21.4mLの液体成分(PBS)を添加し、容器をさらに24時間にわたって高速振盪器に戻した。プロセスの終了時において、良好な凝集性、およびゴム手袋への最小限の付着性を有する均質なパテ(HA/DBMドウ組成物)が得られた。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】

実施例1の方法1では、第1にHAをPBS中に溶解させ、次いで、DBM中に混合してパテを形成することによってパテを調製した。結果は、不均質なパテが形成されたことを示した。DBMの一部は同パテに取り込むことができなかった。さらに、DBMの一部はPBSによって濡らされなかった。これは恐らくHAとDBMとの間に生じる水の競合的な吸収による。実施例1の方法2では、第1にHAおよびDBMの粉末を一様に分散させ、次いでPBSを添加することによって、パテを調製した。これは均一で凝集性の展性に富むパテを生じた。
【0079】
実施例2
材料
ヒアルロン酸塩(HA)粉末は、ジェンザイムコーポレイションでのストレプトコッカス・ズーエピデミカスの発酵から精製した:MW=1.2 MDa、物理的形態(微粉末)。HA粉末はジェンザイムコーポレイションでのストレプトコッカス・ズーエピデミカスの発酵から精製し、次いでガンマ線照射に送って、分子量を500kDa(ミラー、アール.およびシールドリン、エイ.米国特許第6,383,344号)に低減した、物理的形態(微粉末)。脱灰骨基質はカリフォルニア州サンラファエルのティシュー バンクス インターナショナル(TBI)から受領した。
【0080】
方法:
12グラムのDBMと、2グラムの分子量1.2MDaのHAと、1グラムの分子量500kDaのHAとを高速振盪器(ターブラ T2F)において粉末として12時間にわたって予め混合し、均質な粉末混合物を製造した。この時点で、21.4mLの液体成分PBSを添加し、容器をさらに24時間にわたって高速振盪器に戻した。プロセスの終了時において、良好な凝集性、およびゴム手袋への最小限の付着性を有する均質なパテ(HA/DBMドウ組成物)が得られた。
【0081】
【表3】

【0082】
【表4】

実施例2では、良好な凝集性、およびゴム手袋への最小限の付着性を備えたパテは組成物中14%のHAを用いて得られた。さらに、この組成物は、2つのHA分子量、すなわち0.5MDaおよび1.2MDaを用いた。2つの分子量のHA成分の混合は、レオロジー特性の操作を可能にする。
【0083】
実施例3
材料
ヒアルロン酸塩(HA)粉末はジェンザイムコーポレイションでのストレプトコッカス・ズーエピデミカスの発酵から精製した:MW=1.2MDa、物理的形態(微粉末)。HA粉末はジェンザイムコーポレイションでのストレプトコッカス・ズーエピデミカスの発酵から精製し、次いでガンマ線照射に送って、分子量を500kDaに低減した(ミラー、アール.および シールドリン、エイ.米国特許第6,383,344号)、物理的形態(微粉末)。脱灰骨基質はカリフォルニア州サンラファエルのティシュー バンクス インターナショナル(TBI)から受領した。
【0084】
方法:
9グラムのDBMと、1.9グラムの分子量1.2MDaのHAと、0.85グラムの分子量500kDaのHAとを高速振盪器(ターブラ T2F)において粉末として12時間にわたって予め混合し、均質な粉末混合物を製造した。0.9グラム(1.4mL)の混合粉末を秤量皿に入れて、1.5グラムのPBSを添加した。この添加の後、同粉末とPBSとを均質なパテが得られるまで(30秒)スパチュラで混合した。
【0085】
【表5】

【0086】
【表6】

実施例3では、HA/BM混合物中23%のHAを用いて、良好な凝集性、およびゴム手袋への最小限の付着性を備えたパテが得られた。粉末を混合した後、PBSを所望のレオロジー特性を有するペーストを形成するために必要に応じて添加した。さらに、この組成物は、2つのHAの分子量、すなわち0.5MDaおよび1.2MDaを用いた。2つの分子量のHA成分の混合は、レオロジー特性の操作を可能にする。
【0087】
実施例4:許容可能なパテの押出力および押出力の測定
HA/DBMの機械的性質を特徴付ける付加的な試験を開発した。インストロン注射器押出力はパテの特性を特徴付けるために用いられる試験である。この試験では、材料を8.6mmの直径および15ゲージの1・1/2針を備えた3mL注射器を介して一定速度で押し出すのに必要とされる力を測定する。押出力は、0.5mm/secの速度で圧縮しながら平坦域に達するまで測定した(図1参照)。5種のHA/DBMの調合物について測定し、DBX(商標)(ペンシルベニア州のシンセス(Synthes)から市販されているDBM)と比較した。
【0088】
【表7】

【0089】
【表8】

実施例5:HA−DBMプラグ調合物の吸収
HA−DBMパテは、実施例2に記載したように、またはルアーロック注射器コネクターを備えた2つの注射器内においてHA−DBM粉末を液体成分PBSと手動で混合することによって、調製した。均質なパテを所望の寸法を有するテフロン(登録商標)型に充填した。成形したパテを型内において−80℃で少なくとも4時間にわたって凍結させ、その後、一晩凍結乾燥させた。結果として生じたHA−DBM乾燥プラグをテフロン(登録商標)型から取り出した。
【0090】
骨髄を足場中に浸透させるプラグの能力を最適化するために、異なるプラグ調合物の吸収について次の方法で試験した。
方法:1ccの注射器の両端を切断し、105〜149μmのポリプロピレンメッシュを同注射器の一端に貼り付けた。各注射器に1つのHA−DBMプラグを入れて、プラグの初期の高さを記録した。同注射器を15mLの円錐管内に配置し、PBSに溶かした染料をちょうど注射器の底部(取り付けられたフィルタを備えた端部)を被覆するように同管内に配置した。試料を37℃に置いた。各プラグ中への染料の移動を7日間にわたって記録した。100%の染料がプラグ中に吸収される時間を用いて、様々な調合物の吸収速度を比較した。
【0091】
【表9】

このデータから、より遅い吸収速度は、より高分子量のHAおよび/またはより高いHAの濃度に起因するようである。
【0092】
実施例6:HA−DBMプラグ調合物の膨潤
DBMの最高濃度をインビボで維持するためには、最小限の膨潤を有するプラグが望ましい。膨潤を測定するために、異なるプラグ調合物を下記方法で試験した。
【0093】
方法:1ccの注射器の両端を切断し、5μmのポリプロピレンメッシュを注射器の一端に貼り付けた。各注射器に1つのHA−DBMプラグを入れて、プラグの初期の高さを記録した。注射器を15mLの円錐管内に配置し、同管内および注射器の内部にPBSを入れた。試料を37℃に置いた。各プラグの高さを72時間にわたって記録した。プラグの高さの差を用いて膨潤率(percent swelling)を計算した。
【0094】
【表10】

このデータから、膨潤の増大はより高分子量のHAに起因するようである。HAの濃度もHA−DBMプラグの膨潤に影響を与え得る。
【0095】
実施例7:HA/DBMプラグ調合物の関節鏡視下送達の評価
プラグが取り扱い中に完全性を保持する能力を以下の方法で試験した。
方法:人工関節の膝関節を用いて関節鏡視下送達条件をシミュレートした。標準的な関節鏡装置を用いて、膝にアクセスポートを形成するとともに、関節包内における処置を視覚化した。標準的な流体管理装置を用いて、関節包内における流量を制御し、必要に応じて関節包を拡張させた。骨軟骨欠損を内側顆および大腿顆上に形成した。HA/DBMプラグをチューブおよびプランジャー装置に充填した。同装置の先端を、カニューレを介して、関節窩に導入し、損傷部と整合させた。この時点において、一定の流体の流れを開始し、同プランジャーを進めることによってHA/DBMプラグを骨軟骨欠損部に移植した。移植の間およびその後(5〜60分)における、流動状態下における完全性および保持特性についてプラグを評価した。
【0096】
試験結果(表10)は、6%のHA濃度および200,000ダルトンの分子量を有するプラグ調合物は、一定流体流動下において適用部位から移動してしまうことを示した。対照的に、6%以上のHA濃度および少なくとも450,000ダルトンの分子量を有するプラグは、一定流体流動下において適用部位に成功裡に保持された。
【0097】
【表11】

【0098】
【表12】

実施例8:HA/DBMプラグ調合物の一軸圧縮試験(Unconfined Compression Testing)
方法:
インストロン機械的試験装置を用いて、乾燥HA/DBMプラグの一軸圧縮特性を測定した。各試験の開始時に、プラグに1mm/分の割合で1Nまで予め負荷を加えた。予め負荷を加えた後に、表11に記載したプラグを1mm/分の割合で13%の圧縮歪みが得られるまで圧縮した。応力−歪み曲線から圧縮応力(10%歪みにおける)および圧縮率(5〜10%歪み)に対する値を計算した。
【0099】
【表13】

【0100】
【表14】

試料1〜3は適当な圧縮応力を示している。これらの結果は、12%HA(450kDa)+88%DBMを含有する3つの個々のプラグの試験に基づく。この調合物は、表10の項目Cに示されるように関節鏡評価に合格した。
【0101】
この明細書中に開示した特徴のすべては、任意の組み合わせで組み合わせられ得る。この明細書中で開示した各特徴は、同一の、均等の、または類似した目的を果たす代わりの特徴と置き換えられてもよい。したがって、明示的に別段の定めをした場合を除き、開示した各特徴は、一般的な一連の均等または同様の特徴の例に過ぎない。
【0102】
本願に記載したものに加えて、本発明の様々な変更は、前述の記載からの当業者には明白になるであろう。そのような変更もまた、添付の特許請求項の範囲内に存することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約25重量%〜約40重量%の脱灰骨基質と、約3.5重量%〜約25重量%のヒアルロン酸塩と、約40重量%〜約72重量%の生体適合性液体とを含有する、成形可能な組成物。
【請求項2】
前記ヒアルロン酸塩は、ヒアルロン酸のナトリウム塩、カリウム塩、またはカルシウム塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記生体適合性液体はPBS、水、食塩水、またはLRSである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記生体適合性液体はPBSである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
レオロジー改質剤をさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記レオロジー改質剤はグリセロールまたはカルボキシメチルセルロースである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
約25重量%〜約35重量%の脱灰骨基質を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
約6重量%〜約15重量%のヒアルロン酸塩を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
約6重量%〜約9重量%のヒアルロン酸塩を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記ヒアルロン酸塩は少なくとも約500,000ダルトンの平均分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも2種のヒアルロン酸塩の混合物を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
第1平均分子量のヒアルロン酸塩と、第2平均分子量のヒアルロン酸塩とを含む、2種のヒアルロン酸塩の混合物を含有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
第1平均分子量のヒアルロン酸塩は、約0.05〜1.0百万ダルトンである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
第2平均分子量のヒアルロン酸塩は、約1.0〜5.0百万ダルトンである、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
第1平均分子量のヒアルロン酸塩の、第2平均分子量のヒアルロン酸塩に対する平均分子量比は1:5〜5:1に及ぶ、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
第1平均分子量のヒアルロン酸塩と第2平均分子量のヒアルロン酸塩との間の平均分子量の差は、少なくとも約0.5百万ダルトンである、請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
インストロン注射器押出力(ISEF)試験を受ける場合、前記組成物は約12.0ニュートン〜約30.0ニュートンの押出力を示すことをさらに特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記押出力は約18.0ニュートン〜約26.0ニュートンである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記押出力は、8.6mmの直径および15ゲージの1・1/1針を備えた3mLの注射器において測定される、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
医薬活性成分をさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記医薬活性成分は、骨形態形成タンパク質、組織成長因子、インスリン成長因子、抗酸化剤、抗生物質、または成長因子の組み合わせである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記医薬活性成分は、BMP−2、BMP−4、BMP−6、BMP−7、TGF−B、IGF−1、アスコルベート、ピルベート、BHT、ゲンタマイシン、バンコマイシン、TGF−βおよびBMP−2の組み合わせ、並びにTGF−βおよびIGF−1の組み合わせのうちから選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
前記医薬活性成分はヒアルロン酸塩とコンジュゲートされる、請求項20に記載の組成物。
【請求項24】
対象の軟骨を修復する方法であって、有効量の組成物を、対象に対して、軟骨組織の損傷の部位に投与することを含み、前記組成物は脱灰骨基質とヒアルロン酸塩とを含有する、方法。
【請求項25】
前記ヒアルロン酸塩は、ヒアルロン酸のナトリウム塩、カリウム塩、またはカルシウム塩である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記組成物は生体適合性液体をさらに含有する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記生体適合性液体はPBS、水、食塩水、またはLRSである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記生体適合性液体はPBSである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記生体適合性液体は水である、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記組成物はレオロジー改質剤をさらに含有する、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記レオロジー改質剤はグリセロールまたはカルボキシメチルセルロースである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物は約25重量%〜約40重量%の脱灰骨基質を含有する成形可能な組成物である、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物は、少なくとも約3.5重量%〜約25重量%のヒアルロン酸塩を含有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記組成物は、約6重量%〜約15重量%のヒアルロン酸塩を含有する、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記組成物は、約6重量%〜約9重量%ヒアルロン酸塩を含有する、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記組成物は、約40重量%〜約72重量%の生体適合性液体を含有する、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物は、約60重量%〜約92重量%脱灰骨基質を含有する乾式混合組成物である、請求項24に記載の方法。
【請求項38】
前記組成物は、少なくとも約3.5重量%〜約38重量%のヒアルロン酸塩を含有する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記組成物は、約3重量%〜約10重量%の生体適合性液体を含有する、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記組成物は、約25重量%〜約88重量%の脱灰骨基質を含有するプラグである、請求項24に記載の方法。
【請求項41】
前記組成物は、少なくとも約3.5重量%〜約38重量%のヒアルロン酸塩を含有する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記組成物は約3重量%〜約20重量%の生体適合性液体をさらに含有する、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記組成物は約5重量%〜約10重量%の生体適合性液体をさらに含有する、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記組成物は、少なくとも2種のヒアルロン酸塩の混合物を含有する、請求項24に記載の方法。
【請求項45】
前記組成物は、第1平均分子量のヒアルロン酸塩と、第2平均分子量のヒアルロン酸塩とを含む、2種のヒアルロン酸塩の混合物を含有する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
第1平均分子量のヒアルロン酸塩は、約0.05〜1.0百万ダルトンである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
第2平均分子量のヒアルロン酸塩は約1.0〜5.0百万ダルトンである、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
第1平均分子量のヒアルロン酸塩の第2平均分子量のヒアルロン酸塩に対する平均分子量比は1:5〜5:1に及ぶ、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
第1平均分子量のヒアルロン酸塩と第2平均分子量のヒアルロン酸塩との間の平均分子量の差は、少なくとも約0.5百万ダルトンである、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記組成物は医薬活性成分をさらに含有する、請求項24に記載の方法。
【請求項51】
前記医薬活性成分は、骨形態形成タンパク質、組織成長因子、インスリン成長因子、抗酸化剤、抗生物質または成長因子の組み合わせである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記医薬活性成分は、BMP−2、BMP−4、BMP−6、BMP−7、TGF−B、IGF−1、アスコルベート、ピルベート、BHT、ゲンタマイシン、バンコマイシン、TGF−βおよびBMP−2の組み合わせ、並びにTGF−βおよびIGF−1の組み合わせのうちから選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記医薬活性成分はヒアルロン酸塩とコンジュゲートされる、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
約25重量%〜約40重量%の脱灰骨基質と、約3.5重量%〜約25重量%のヒアルロン酸塩と、約40重量%〜約72重量%の生体適合性液体とを含有する成形可能な組成物を調製する方法であって、該方法は、固形成分を混合し、続いて液体成分を添加することを含む、方法。
【請求項55】
前記固形成分は脱灰骨基質とヒアルロン酸塩とを含有する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記ヒアルロン酸塩は、ヒアルロン酸のナトリウム塩、カリウム塩、またはカルシウム塩である、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記液体成分は生体適合性液体である、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記生体適合性液体はPBS、水、食塩水、またはLRSである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記生体適合性液体は水である、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記液体成分は目的とする使用の前に添加される、請求項54に記載の方法。
【請求項61】
前記組成物はレオロジー改質剤をさらに含有する、請求項54に記載の方法。
【請求項62】
前記レオロジー改質剤はグリセロールまたはカルボキシメチルセルロースである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記ヒアルロン酸塩は少なくとも約200,000ダルトンの平均分子量を有する、請求項54に記載の方法。
【請求項64】
前記組成物は、少なくとも2種のヒアルロン酸塩の混合物を含有する、請求項54に記載の方法。
【請求項65】
前記組成物は、第1平均分子量のヒアルロン酸塩と、第2平均分子量のヒアルロン酸塩とを含む、2種のヒアルロン酸塩の混合物を含有する、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
第1平均分子量のヒアルロン酸塩は、約0.05〜1.0百万ダルトンである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
第2平均分子量のヒアルロン酸塩は約1.0〜5.0百万ダルトンである、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
第1平均分子量のヒアルロン酸塩の第2平均分子量のヒアルロン酸塩に対する平均分子量比は1:5〜5:1に及ぶ、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
第1平均分子量のヒアルロン酸塩と第2平均分子量のヒアルロン酸塩との間の平均分子量の差は、少なくとも約0.5百万ダルトンである、請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記組成物は医薬活性成分をさらに含有する、請求項54に記載の方法。
【請求項71】
前記医薬活性成分は、骨形態形成タンパク質、組織成長因子、インスリン成長因子、抗酸化剤、抗生物質、または成長因子の組み合わせである、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記医薬活性成分は、BMP−2、BMP−4、BMP−6、BMP−7、TGF−B、IGF−1、アスコルベート、ピルベート、BHT、ゲンタマイシン、バンコマイシン、TGF−βおよびBMP−2の組み合わせ、並びにTGF−βおよびIGF−1の組み合わせのうちから選択される、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記医薬活性成分はヒアルロン酸塩とコンジュゲートされる、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
前記医薬活性成分は、脱灰骨基質およびヒアルロン酸塩と混合される、請求項70に記載の方法。
【請求項75】
前記医薬活性成分は液体成分と混合される、請求項70に記載の方法。
【請求項76】
約60重量%〜約92重量%の脱灰骨基質と、約3.5重量%〜約38重量%のヒアルロン酸塩と、約3重量%〜約10重量%の生体適合性液体とを含有する、乾式混合組成物。
【請求項77】
前記ヒアルロン酸塩は、ヒアルロン酸のナトリウム塩、カリウム塩、またはカルシウム塩である、請求項76に記載の組成物。
【請求項78】
前記ヒアルロン酸塩は少なくとも約200,000ダルトンの平均分子量を有する、請求項76に記載の組成物。
【請求項79】
少なくとも2種のヒアルロン酸塩の混合物を含有する、請求項76に記載の組成物。
【請求項80】
第1平均分子量のヒアルロン酸塩と、第2平均分子量のヒアルロン酸塩とを含む、2種のヒアルロン酸塩の混合物を含有する、請求項76に記載の組成物。
【請求項81】
第1平均分子量のヒアルロン酸塩は、約0.05〜1.0百万ダルトンである、請求項80に記載の組成物。
【請求項82】
第2平均分子量のヒアルロン酸塩は約1.0〜5.0百万ダルトンである、請求項80に記載の組成物。
【請求項83】
医薬活性成分をさらに含有する、請求項76に記載の組成物。
【請求項84】
前記医薬活性成分は、骨形態形成タンパク質、組織成長因子、インスリン成長因子、抗酸化剤、抗生物質、または成長因子の組み合わせである、請求項83に記載の組成物。
【請求項85】
前記医薬活性成分は、BMP−2、BMP−4、BMP−6、BMP−7、TGF−B、IGF−1、アスコルベート、ピルベート、BHT、ゲンタマイシン、バンコマイシン、TGF−βおよびBMP−2の組み合わせ、並びにTGF−βおよびIGF−1の組み合わせのうちから選択される、請求項83に記載の組成物。
【請求項86】
前記医薬活性成分はヒアルロン酸塩とコンジュゲートされる、請求項83に記載の組成物。
【請求項87】
約25重量%〜約88重量%の脱灰骨基質と、約3.5重量%〜約38重量%のヒアルロン酸塩と、約3重量%〜約20重量%の生体適合性液体とを含有するプラグ。
【請求項88】
前記生体適合性液体は約5〜10重量%である、請求項87に記載のプラグ。
【請求項89】
前記生体適合性液体は水である、請求項87に記載のプラグ。
【請求項90】
粉末はさらに可塑剤を含有する、請求項87に記載のプラグ。
【請求項91】
前記可塑剤はグリセロールまたはPEGである、請求項90に記載のプラグ。
【請求項92】
前記ヒアルロン酸塩は、ヒアルロン酸塩のナトリウム塩、カリウム塩、またはカルシウム塩である、請求項87に記載のプラグ。
【請求項93】
少なくとも約6重量%のヒアルロン酸塩を含有する、請求項87に記載のプラグ。
【請求項94】
約6重量%〜約24重量%のヒアルロン酸塩を含有する、請求項87に記載のプラグ。
【請求項95】
約6重量%〜約18重量%のヒアルロン酸塩を含有する、請求項87に記載のプラグ。
【請求項96】
前記ヒアルロン酸塩は少なくとも約200,000ダルトンの平均分子量を有する、請求項87に記載のプラグ。
【請求項97】
少なくとも2種のヒアルロン酸塩の混合物を含有する、請求項87に記載のプラグ。
【請求項98】
第1平均分子量のヒアルロン酸塩と、第2平均分子量のヒアルロン酸塩とを含む、2種のヒアルロン酸塩の混合物を含有する、請求項97に記載のプラグ。
【請求項99】
第1平均分子量のヒアルロン酸塩は約0.05〜1.0百万ダルトンである、請求項98に記載のプラグ。
【請求項100】
第2平均分子量のヒアルロン酸塩は約1.0〜5.0百万ダルトンである、請求項98に記載のプラグ。
【請求項101】
第1平均分子量のヒアルロン酸塩の第2平均分子量のヒアルロン酸塩に対する平均分子量比は1:5〜5:1に及ぶ、請求項98に記載のプラグ。
【請求項102】
第1平均分子量のヒアルロン酸塩と第2平均分子量のヒアルロン酸塩との間の平均分子量の差は、少なくとも約0.5百万ダルトンである、請求項98に記載のプラグ。
【請求項103】
粉末は医薬活性成分をさらに含有する、請求項87に記載のプラグ。
【請求項104】
前記医薬活性成分は、骨形態形成タンパク質、組織成長因子、インスリン成長因子、抗酸化剤、抗生物質、または成長因子の組み合わせである、請求項103に記載のプラグ。
【請求項105】
前記医薬活性成分は、BMP−2、BMP−4、BMP−6、BMP−7、TGF−B、IGF−1、アスコルベート、ピルベート、BHT、ゲンタマイシン、バンコマイシン、TGF−βおよびBMP−2の組み合わせ、並びにTGF−βおよびIGF−1の組み合わせのうちから選択される、請求項103に記載のプラグ。
【請求項106】
前記医薬活性成分はヒアルロン酸塩とコンジュゲートされる、請求項103に記載のプラグ。
【請求項107】
前記プラグは少なくとも約1.55MPaの一軸圧縮強さを示す、請求項87に記載のプラグ。
【請求項108】
a)脱灰骨基質およびヒアルロン酸塩の粉末を提供することと、
b)前記粉末を混合することと、
c)液体成分を添加して、パテ状材料を形成することと、
d)そのパテを型内に配置することと、
e)成形されたパテを乾燥させてプラグを形成することと、を含む、プラグを形成する方法。
【請求項109】
前記ヒアルロン酸塩は、ヒアルロン酸塩のナトリウム塩、カリウム塩、またはカルシウム塩である、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記プラグは約20重量%未満の生体適合性液体を含有する、請求項108に記載の方法。
【請求項111】
前記プラグは約10重量%未満の生体適合性液体を含有する、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記生体適合性液体は水である、請求項110に記載の方法。
【請求項113】
前記粉末は可塑剤をさらに含有する、請求項108に記載の方法。
【請求項114】
前記可塑剤はグリセロールまたはPEGである、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記プラグは、少なくとも約6重量%のヒアルロン酸塩を含有する、請求項108に記載の方法。
【請求項116】
前記プラグは、約6重量%〜約24重量%のヒアルロン酸塩を含有する、請求項108に記載の方法。
【請求項117】
前記プラグは、約6重量%〜約18重量%のヒアルロン酸塩を含有する、請求項108に記載の方法。
【請求項118】
前記ヒアルロン酸塩は少なくとも約200,000ダルトンの平均分子量を有する、請求項108に記載の方法。
【請求項119】
前記プラグは、少なくとも2種のヒアルロン酸塩の混合物を含有する、請求項108に記載の方法。
【請求項120】
前記組成物は、第1平均分子量のヒアルロン酸塩と、第2平均分子量のヒアルロン酸塩とを含む、2種のヒアルロン酸塩の混合物を含有する、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
第1平均分子量のヒアルロン酸塩は約0.05〜1.0百万ダルトンである、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
第2平均分子量のヒアルロン酸塩は約1.0〜5.0百万ダルトンである、請求項120に記載の方法。
【請求項123】
第1平均分子量のヒアルロン酸塩の第2平均分子量のヒアルロン酸塩に対する平均分子量比は1:5〜5:1に及ぶ、請求項120に記載の方法。
【請求項124】
第1平均分子量のヒアルロン酸塩と第2平均分子量のヒアルロン酸塩との間の平均分子量の差は、少なくとも約0.5百万ダルトンである、請求項120に記載の方法。
【請求項125】
前記粉末は医薬活性成分をさらに含有する、請求項108に記載の方法。
【請求項126】
前記医薬活性成分は、骨形態形成タンパク質、組織成長因子、インスリン成長因子、抗酸化剤、抗生物質、または成長因子の組み合わせである、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記医薬活性成分は、BMP−2、BMP−4、BMP−6、BMP−7、TGF−B、IGF−1、アスコルベート、ピルベート、BHT、ゲンタマイシン、バンコマイシン、TGF−βおよびBMP−2の組み合わせ、並びにTGF−βおよびIGF−1の組み合わせのうちから選択される、請求項125に記載の方法。
【請求項128】
前記医薬活性成分はヒアルロン酸塩とコンジュゲートされる、請求項125に記載の方法。
【請求項129】
前記乾燥は、凍結乾燥、風乾、またはオーブン乾燥もしくは真空乾燥である、請求項108に記載の方法。
【請求項130】
前記プラグは、約3重量%〜20重量%の含水率に達するようにさらに調整され得る、請求項108に記載の方法。
【請求項131】
前記含水率は約5重量%〜約10重量%である、請求項130に記載の方法。

【公表番号】特表2012−521270(P2012−521270A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502138(P2012−502138)
【出願日】平成22年3月22日(2010.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/028086
【国際公開番号】WO2010/111161
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(500034653)ジェンザイム・コーポレーション (37)
【Fターム(参考)】