説明

転写箔製品及び転写箔製品の製造方法

【課題】低コストで高効率の転写箔製品及び転写箔製品の製造方法を提供すること。
【解決手段】貼合装置30においてベース基材1と被転写箔材2とを貼合する前に、被転写箔材2の上面にポリエチレン樹脂21aを塗布する。このポリエチレン樹脂21aを塗布した被転写箔材2とベース基材1とを貼合装置30にて貼合する構成としていることで、貼合装置30における速度は、毎分200メートルでベース基材1と被転写箔材2とを貼合することができた。これにより、転写箔製品5の製造効率を飛躍的に向上させることができ、また、低コストな転写箔製品5を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙などのベース基材の一方の面にアルミ箔などの被転写箔を転写した転写箔製品及び転写箔製品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、紙などの基材ベースの一方の面にアルミ箔などの被転写箔を転写した転写箔製品及び転写箔製品の製造方法に関しては種々のものが提供されてきている。例えば、下記に示す特許文献1、2が挙げられる。
【0003】
【特許文献1】特開2006−9198号公報
【特許文献2】特開平5−44196号公報
【0004】
上記特許文献1では、紙材の表面にアルミ箔を貼合した熱加圧する熱加圧装置を加圧ローラと受けローラとで構成し、加圧ローラは鏡面無地ローラとし、アルミ箔の面を加圧ローラで熱加圧して表面を強光沢として強光沢箔を製造するようにしている。これにより、紙とアルミ箔を貼合した低コストな貼合紙でも強光沢で仕上げることができる、としている。
【0005】
また、上記特許文献2では、原紙の一方の面に顔料および接着剤を主成分とする第1の水性塗工液を塗工し、原紙の他方の面に顔料および接着剤を主成分とする第2の水性塗工液を絶感重量で1〜10g/m2 塗工し、さらにその上に表面サイズ剤を絶感重量で0.5〜5g/m2 塗工している。
そして、表面サイズ剤塗工面の上にアルミ箔を貼り合わせることにより、アルミ箔表面に微細な凹凸もなく平坦な外観を有し、アルミ箔と塗工紙との間の接着性も優れたアルミ箔貼合塗工紙が得られる、としている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1によれば、貼合紙の加工条件の1つである速度が毎分5〜10メートルであり、加工速度が非常に遅いという問題がある。
また、上記特許文献2では、原紙の一方の面に第1の水性塗工液を塗工し、さらに原紙の他方の面に第2の水性塗工液を塗工すると共に、さらにその上に表面サイズ剤を塗工し、その表面サイズ剤の塗工面にアルミ箔を貼り合わせるという工程のため、アルミ箔貼合塗工紙の製造工程が複雑で、且つ製造速度が遅いという問題がある。
【0007】
なお、特許文献1は、アルミ箔貼合紙自体を製造するものではないものの、特許文献1にも記載されているように、アルミ箔貼合紙は、(1)紙とアルミ箔を貼合したもの、(2)紙に直接アルミを真空蒸着したもの、(3)紙にアルミ蒸着転写箔を使って転写したものがある。
【0008】
このように、現在パッケージ基材として又ラベル用製袋用として、使用されている金銀紙は、アルミ箔と紙との貼合品・直接アルミ蒸着品・転写箔を使った転写品があるものの、それぞれコスト面や物性に問題がある。
すなわち、、アルミ箔と紙との貼合品では、環境問題に難があり、アルミを直接蒸着したものでは、コストが高く、また乾燥程度が高いため、紙がカールし易いという問題がある。さらには、転写箔を使った転写品では、コストが高く、また結着強度が弱いため、厚紙の場合では折り曲げが不可能で、無理に折り曲げると、割れが生じてしまう。
【0009】
このように従来の転写箔製品は、上述したように種々の問題があり、特に、加工速度が非常に遅いのが難であり、製造効率が悪かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述の問題点に鑑みて提供したものであって、低コストで高効率の転写箔製品及び転写箔製品の製造方法を提供することを目的としているものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明の請求項1に記載の転写箔製品では、ベース基材1と、
フィルム4の一方の面に被転写箔層3を設けた被転写箔材2と、
前記ベース基材1と被転写箔材2との間に介装されているポリエチレンフィルム層21とからなり、
前記被転写箔材2の被転写箔層3の上面の全面にわたって塗布されたポリエチレン樹脂21aにて前記ベース基材1と被転写箔材2を貼合させることで前記ポリエチレンフィルム層21が形成されていることを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の転写箔製品では、前記ベース基材1は、紙材、布、フィルム、不織布などのいずれかとしていることを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の転写箔製品では、前記被転写箔材2の被転写箔層3は、アルミ箔、金箔、銀箔、すず箔などのいいずれかとしていることを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の転写箔製品の製造方法では、ベース基材1と、フィルム4の一方の面に被転写箔層3を設けた被転写箔材2とからなり、
前記被転写箔材2の被転写箔層3の上面の全面にわたってポリエチレン樹脂21aを塗布して該ポリエチレン樹脂21aがベース基材1と被転写箔材2との間に介装された形でベース基材1と被転写箔材2とを貼合して転写箔製品5を製造するようにしていることを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の転写箔製品の製造方法では、前記ベース基材1は、紙材、布、フィルム、不織布などのいずれかとしていることを特徴としている。
【0016】
請求項6に記載の転写箔製品の製造方法では、前記被転写箔材2の被転写箔層3は、アルミ箔、金箔、銀箔、すず箔などのいいずれかとしていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1に記載の転写箔製品によれば、ベース基材1と被転写箔材2とを貼合する前に、被転写箔材2の上面にポリエチレン樹脂21aを塗布し、このポリエチレン樹脂21aを塗布した被転写箔材2とベース基材1とを貼合する構成としていることで、毎分約200メートルの速度でベース基材1と被転写箔材2とを貼合することができた。これにより、転写箔製品5の製造効率を飛躍的に向上させることができ、また、低コストな転写箔製品5を製造することができる。
【0018】
請求項2に記載の転写箔製品によれば、前記ベース基材1は、紙材、布、フィルム、不織布などのいずれかとしていることで、転写箔製品5の用途に応じてベース基材1の種類を変えて転写箔製品5を製造することができ、これにより、用途に応じた転写箔製品5を簡単に製造することができる。
【0019】
請求項3に記載の転写箔製品によれば、前記被転写箔材2の被転写箔層3は、アルミ箔、金箔、銀箔、すず箔などのいいずれかとしていることで、転写箔製品5の用途に応じて被転写箔材2の被転写箔層3の種類を変えて転写箔製品5を製造することができ、これにより、用途に応じた転写箔製品5を簡単に製造することができる。
【0020】
請求項4に記載の転写箔製品の製造方法によれば、ベース基材1と被転写箔材2とを貼合する前に、被転写箔材2の上面にポリエチレン樹脂21aを塗布し、このポリエチレン樹脂21aを塗布した被転写箔材2とベース基材1とを貼合する製造方法としていることで、毎分約200メートルの速度でベース基材1と被転写箔材2とを貼合することができた。これにより、転写箔製品5の製造効率を飛躍的に向上させることができ、また、低コストな転写箔製品5を製造することができる。
【0021】
請求項5に記載の転写箔製品の製造方法によれば、前記ベース基材1は、紙材、布、フィルム、不織布などのいずれかとしていることで、転写箔製品5の用途に応じてベース基材1の種類を変えて転写箔製品5を製造することができ、これにより、用途に応じた転写箔製品5を簡単に製造することができる。
【0022】
請求項6に記載の転写箔製品の製造方法によれば、前記被転写箔材2の被転写箔層3は、アルミ箔、金箔、銀箔、すず箔などのいいずれかとしていることで、転写箔製品5の用途に応じて被転写箔材2の被転写箔層3の種類を変えて転写箔製品5を製造することができ、これにより、用途に応じた転写箔製品5を簡単に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の転写箔製品を製造する工程図を示し、上段側に配置したローラ11には紙材、布、フィルム、不織布などのいずれかのベース基材1が巻回されている。また、下段側に配置したローラ12には、フィルム状の被転写箔材2が巻回されている。さらに、被転写箔材2の上方にはポリエチレン樹脂21aを入れた容器22が配置されている。
【0024】
図2は図1のA部分の拡大断面図を示し、つまり被転写箔材2の拡大断面図を示している。この被転写箔材2は、フィルム4と、このフィルム4の一面の全面にわたって転写されている、アルミ箔、金箔、銀箔、すず箔などのいずれかからなる被転写箔層3から成っている。
なお、この被転写箔材2は、フィルム4に被転写箔層3を転写して製造しても良く、市販の被転写箔材2を用いても良い。
【0025】
被転写箔材2は、その被転写箔層3が上面となるようにローラ12に巻回されており、該ローラ12から送り出されている被転写箔材2の上方にポリエチレン樹脂21aを入れた容器22が配置されている。
そして、容器22の底面には、被転写箔材2の横幅とほぼ同じ長さのスリット(図示せず)が開口されており、このスリットからポリエチレン樹脂21aが被転写箔材2、つまり被転写箔層3の上面にカーテン状に落下して被転写箔層3の上面にポリエチレン樹脂21aを塗布するような形となっている。
【0026】
また、上面にポリエチレン樹脂21aが塗布された被転写箔材2とローラ11からガイドローラ13を介して送給されるベース基材1とを貼合する貼合装置30は、上ローラ31と下ローラ32とで構成されている。なお、この種の貼合装置30自体は周知な構成なので、その詳細な説明は省略する。
【0027】
被転写箔材2の被転写箔層3の上面には、貼合装置30に送給される前に上述したようにポリエチレン樹脂21aが全面にわたって塗布され、ベース基材1はガイドローラ13にガイドされて貼合装置30に送給されるようになっている。
貼合装置30では、ベース基材1と被転写箔材2とがポリエチレン樹脂21aを介して貼り合わされることになり、つまり、ベース基材1と被転写箔材2の被転写箔層3との間にポリエチレン樹脂21aを介在させて、所謂ポリエチレンラミネートすることで、ベース基材1と被転写箔材2とが接着される。そして、このベース基材1と被転写箔材2とが接着(貼合)された転写箔製品5が製造されることになり、この製造された転写箔製品5は、回動自在に軸支されているローラ14に巻き取られていく。
【0028】
ここで、ベース基材1と被転写箔材2との間に介装させた透明なポリエチレン樹脂21aは貼合装置30で貼合させた後の乾燥後は、図1のB部分を拡大した図3に示すように、ポリエチレンフィルム層21となる。
なお、このポリエチレンフィルム層21の厚みは、特に限定されるものではなく、転写箔製品5の用途に応じて適宜設定されるものである。また、ベース基材1と被転写箔材2とを接着させるための樹脂の材料としては、ポリエチレン樹脂21aであり、ポリエチレン樹脂21a以外のポリエステル樹脂やポリプロピレン樹脂もあるが、試行錯誤の結果、樹脂としてポリエチレン樹脂21aが良好な結果を得ることができた。
【0029】
このように本実施形態では、貼合装置30においてベース基材1と被転写箔材2とを貼合する前に、被転写箔材2の上面にポリエチレン樹脂21aを塗布し、このポリエチレン樹脂21aを塗布した被転写箔材2とベース基材1とを貼合装置30にて貼合する構成としていることで、貼合装置30における速度は、毎分約200メートルでベース基材1と被転写箔材2とを貼合することができた。
これにより、転写箔製品5の製造効率を飛躍的に向上させることができ、また、低コストな転写箔製品5を製造することができる。
【0030】
図3は、上述したように転写箔製品5の拡大断面図を示し、被転写箔材2はポリエチレンフィルム層21を介してベース基材1の一方の面に貼合されており、ポリエチレンフィルム層21にて水分等が他面へ浸透するのを防いでいる。
なお、転写箔製品5が実際に使用される場合には、転写箔製品5からフィルム4が剥離され、被転写箔層3の面に印刷が施されて、ラベルや箱に使用される。
【0031】
また、転写箔製品5の用途に応じて、ベース基材1が紙材の場合や、紙材以外の布、フィルム、不織布がベース基材1として用いられる。これにより、転写箔製品5の用途に応じてベース基材1の種類を変えて転写箔製品5を製造することで、用途に応じた転写箔製品5を簡単に製造することができる。
また、被転写箔材2の被転写箔層3も、用途に応じてアルミ箔の場合や、金箔、銀箔、すず箔や、これ以外の金属箔が用いられることになる。これにより、転写箔製品5の用途に応じて被転写箔材2の被転写箔層3の種類を変えて転写箔製品5を製造することで、用途に応じた転写箔製品5を簡単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態における転写箔製品を製造する場合の工程図である。
【図2】本発明の実施の形態における図1のA部分の拡大断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における図1のB部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ベース基材
2 被転写箔材
3 被転写箔層
4 フィルム
5 転写箔製品
21 ポリエチレンフィルム層
21a ポリエチレン樹脂
30 貼合装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基材(1)と、
フィルム(4)の一方の面に被転写箔層(3)を設けた被転写箔材(2)と、
前記ベース基材(1)と被転写箔材(2)との間に介装されているポリエチレンフィルム層(21)とからなり、
前記被転写箔材(2)の被転写箔層(3)の上面の全面にわたって塗布されたポリエチレン樹脂(21a)にて前記ベース基材(1)と被転写箔材(2)を貼合させることで前記ポリエチレンフィルム層(21)が形成されていることを特徴とする転写箔製品。
【請求項2】
前記ベース基材(1)は、紙材、布、フィルム、不織布などのいずれかとしていることを特徴とする請求項1に記載の転写箔製品。
【請求項3】
前記被転写箔材(2)の被転写箔層(3)は、アルミ箔、金箔、銀箔、すず箔などのいいずれかとしていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の転写箔製品。
【請求項4】
ベース基材(1)と、フィルム(4)の一方の面に被転写箔層(3)を設けた被転写箔材(2)とからなり、
前記被転写箔材(2)の被転写箔層(3)の上面の全面にわたってポリエチレン樹脂(21a)を塗布して該ポリエチレン樹脂(21a)がベース基材(1)と被転写箔材(2)との間に介装された形でベース基材(1)と被転写箔材(2)とを貼合して転写箔製品(5)を製造するようにしていることを特徴と転写箔製品の製造方法。
【請求項5】
前記ベース基材(1)は、紙材、布、フィルム、不織布などのいずれかとしていることを特徴とする請求項4に記載の転写箔製品の製造方法。
【請求項6】
前記被転写箔材(2)の被転写箔層(3)は、アルミ箔、金箔、銀箔、すず箔などのいいずれかとしていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の転写箔製品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−78360(P2009−78360A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247170(P2007−247170)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(398016980)株式会社いちはら (17)
【Fターム(参考)】