説明

転写装置及び画像形成装置

【課題】 記録媒体と感光体ベルトとの間に生じるエアギャップを抑制し、転写不良の発生を抑制する。
【解決手段】 転写装置10では、転写コロトロン42の搬送方向上流側から転写コロトロン42の電界範囲Aまで延びた弾性ブレード58が記録媒体Pを感光体ベルト16に押付ける。弾性ブレード58の転写コロトロン42の電界範囲Aと重なった部分に、転写コロトロン42からの放電を通過可能な開口70が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体に担持されたトナー像に重ねられた記録媒体の裏面に向けて放電し、像担持体から記録媒体の表面へトナー像を転写する転写装置、及び、この転写装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置における転写方法として、感光体ベルトや感光体ドラム、または中間転写ベルト等の像担持体上に担持されたトナー像に記録媒体を重ね、転写コロトロンによって記録媒体の裏面に向けて放電し、記録媒体の裏面にトナー電荷と逆極性の電荷を与えて、トナー像を記録媒体に転写するコロナ転写法が知られている。このコロナ転写法を用いた転写装置では、転写コロトロンと記録媒体が非接触であり、ローラ転写法のように記録媒体が像担持体に加圧されないため、周囲環境に置かれた紙や表面にトナー像が定着された紙等の平坦ではない記録媒体と像担持体との間に空間(エアギャップ)が生じ易い。そして、記録媒体と像担持体との間にエアギャップが生じると、転写効率が変動し、極端な箇所ではトナーが僅かにしか転写されなかったり、全く転写されずに白抜けが発生したりする。特に、両面印刷を行う場合には、記録媒体が、表面の定着工程で定着装置のヒートロールに沿って湾曲されることによって、裏面の転写工程では像担持体から離れる側へ反るので、記録媒体と像担持体との間にエアギャップが生じ易い。
【0003】
このため、コロナ転写法を用いる転写装置において、記録媒体と像担持体との密着性を向上させるための構成が、これまで種々考案されている(例えば、特許文献1乃至4参照)。特許文献1乃至4では、ブレードやガイドを記録媒体の裏面に当接させて記録媒体を感光体や中間転写体等の像担持体に押付けることで、記録媒体Pと像担持体との密着性を向上させようとしている。
【0004】
しかし、この構成では、転写コロトロンの電界範囲で、記録媒体が像担持体に押付けられていないので、記録媒体が平坦ではない場合、実際にトナー像の転写が行われる範囲において、記録媒体と像担持体との間にエアギャップが生じてしまう。従って、転写効率が変動し、白抜け等の転写不良が発生するという問題がある。
【特許文献1】特開2000−242092号公報
【特許文献2】特開平8−220896号公報
【特許文献3】特開2003−307947号公報
【特許文献4】特開2004−77868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事実を考慮してなされたものであり、転写工程において、記録媒体と像担持体との間に生じるエアギャップを抑制し、転写不良の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の転写装置は、像担持体に担持されたトナー像に重ねられた記録媒体の裏面に向けて放電し、前記像担持体から記録媒体の表面へトナー像を転写する転写手段と、記録媒体の裏面に当接して記録媒体を前記像担持体に押付ける弾性ブレードと、を備える転写装置であって、前記弾性ブレードが前記転写手段の電界範囲まで延ばされ、前記弾性ブレードの前記転写手段の電界範囲と重なった部分に、記録媒体の裏面全体へ前記転写手段からの放電を通過可能な複数の開口が形成されたことを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の転写装置では、トナー像が像担持体に担持され、このトナー像に重ねられた記録媒体の裏面に向けて転写手段から放電されて、像担持体から記録媒体へトナー像が転写される。なお、記録媒体は、裏面に当接した弾性ブレードによって像担持体に押付けられており、像担持体との密着性を高められている。
【0008】
ここで、弾性ブレードは転写手段の電界範囲まで延ばされ、弾性ブレードの転写手段の電界範囲と重なった部分に開口が形成されている。この開口は、記録媒体の裏面全体へ転写手段からの放電を通過可能である。即ち、記録媒体は、転写手段の電界範囲を通過する際、弾性ブレードによって像担持体に押付けられながら転写手段からの放電を受ける。このため、トナー像の転写が実際に行われる範囲において、記録媒体と像担持体との間に生じるエアギャップを抑制でき、白抜け等の転写不良の発生を抑制できる。
【0009】
請求項2に記載の転写装置は、請求項1に記載の転写装置であって、前記弾性ブレードは、前記開口を複数に仕切る仕切り片が記録媒体の搬送方向に対して傾斜されたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の転写装置では、弾性ブレードの転写手段の電界範囲と重なった部分に形成された開口が、仕切り片によって複数に仕切られている。このため、弾性ブレードの転写手段の電界範囲と重なった部分に大きな開口を1つ形成した場合と比して、弾性ブレードの強度が高くなり、弾性ブレードが記録媒体を像担持体に押付ける力が強くなる。
【0011】
ここで、仕切り片は、記録媒体の裏面に被さって転写手段から記録媒体の裏面への放電を遮るが、記録媒体の搬送方向に対して傾斜されているので、記録媒体が転写手段の電界範囲を通過する間に、記録媒体の裏面で絶えず仕切り片が被せられている範囲は無い。
【0012】
従って、転写手段の電界範囲において、弾性ブレードによって、転写手段からの放電を記録媒体の裏面全体へ通過させながら、記録媒体を像担持体に十分な力で押付けることができる。
【0013】
請求項3に記載の転写装置は、請求項2に記載の転写装置であって、前記弾性ブレードは、記録媒体の搬送方向に沿った断面での前記開口の長さが均一であることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の転写装置では、弾性ブレードの転写手段の電界範囲と重なった部分に形成された開口が、記録媒体の搬送方向に対して傾斜した仕切り片によって複数に仕切られている。ここで、弾性ブレードの記録媒体の搬送方向に沿った断面での開口の長さは、記録媒体の搬送方向と直交する方向(幅方向)の何処を取っても均一である。
【0015】
このため、記録媒体が転写手段に電界範囲を通過する間に、記録媒体の裏面が転写手段からの放電を照射される時間が、記録媒体の幅方向の全域で均一になるので、転写手段から記録媒体の裏面に与えられる電荷量の、記録媒体の幅方向へのバラツキを抑制でき、記録媒体の幅方向への転写効率のバラツキを抑制できる。
【0016】
請求項4に記載の転写装置は、請求項1に記載の転写装置であって、前記弾性ブレードは、前記転写手段の電界が強い範囲から弱い範囲にかけて大きくなる大小の前記開口を形成され、大きい前記開口と小さい前記開口が記録媒体の搬送方向に沿って千鳥状に、且つ、オーバーラップされて配列されたことを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の転写装置では、弾性ブレードに、転写手段の電界が強い範囲から弱い範囲にかけて大きくなる大小の開口が形成され、この大きい開口と小さい開口が記録媒体の搬送方向に沿って千鳥状に配列され、且つ、記録媒体の搬送方向に沿ってオーバーラップされて配列されている。これによって、記録媒体が転写手段の電界範囲を通過する間に、記録媒体の裏面全体に転写手段からの放電を照射させることができる。
【0018】
なお、弾性ブレードでは、記録媒体の幅方向に沿って、小さい開口が形成されている箇所と大きい開口が形成されている箇所が交互に繰り返され、記録媒体が転写手段からの放電を照射される時間に、バラツキがある。また、転写手段の電界は、記録媒体の搬送方向に沿って強弱する。
【0019】
このため、小さい開口を転写手段の電界が強い範囲に配置し、大きい開口を転写手段の電界が弱い範囲に配置することで、転写手段の電界が弱い範囲では、記録媒体が転写手段から放電を照射される時間を長く、転写手段の電界が強い範囲では、記録媒体が転写手段から放電を照射される時間を短くしている。これによって、転写手段から記録媒体の裏面に与える電荷量の、記録媒体の幅方向へのバラツキを抑制できる。
【0020】
請求項5に記載の転写装置は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の転写装置であって、 前記弾性ブレードは、複数枚の弾性シートが重なって形成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項5に記載の転写装置では、弾性ブレードが複数枚の弾性シートを重ねて形成されているので、弾性ブレードの強度が高くなり、記録媒体を像担持体に押付ける力が強くなる。
【0022】
請求項6に記載の転写装置は、請求項5に記載の転写装置であって、複数の前記開口が最も記録媒体側の前記弾性シートに形成され、当該弾性シートのみ前記転写手段の電界範囲まで延ばされたことを特徴とする。
【0023】
請求項6に記載の転写装置では、複数枚重ねられた弾性シートのうち、最も記録媒体側の弾性シートに複数の開口が形成され、当該弾性シートのみ転写手段の電界範囲まで延ばされている。
【0024】
請求項7に記載の画像形成装置は、請求項1乃至6の何れか1項に記載の転写装置を備えることを特徴とする。
【0025】
請求項7に記載の画像形成装置では、上述した請求項1乃至6の何れか1項の転写装置が備えられており、トナー像の転写工程において、記録媒体と像担持体との間に生じるエアギャップが抑制されている。このため、白抜け等の転写不良の発生を抑制でき、良好な画像を形成できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は上記構成にしたので、転写工程において、記録媒体と像担持体との間に生じるエアギャップを抑制でき、転写不良の発生を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に図面を参照しながら本発明の第1実施形態について説明する。
【0028】
図1に示すように、本発明の転写装置10を備える画像形成装置1は、電子写真方式を用いたカラーレーザプリンタで、画像形成部14で感光体ベルト16上にトナー像が形成され、このトナー像が、搬送ロール18によって給紙カセット20から転写部22へ搬送された記録媒体Pに転写される。そして、トナー像が転写された記録媒体Pが、転写部22の搬送方向下流側で定着装置12によって加圧、加熱されてトナー像が記録媒体Pに定着され、排紙ロール24によってスタッカ26へ排紙される。また、記録媒体Pの表裏両面に画像を形成する場合には、定着装置12の搬送方向下流側の搬送経路が切替えられて、表面にトナー像が定着された記録媒体Pが、表裏を反転するための裏面搬送路28へ搬送される。そして、表裏を反転された記録媒体Pは、搬送ベルト29によって転写部22の搬送方向上流側へ搬送され、搬送ロール18によって再び転写部22へ搬送されて感光体ベルト16から裏面にトナー像を転写される。そして、記録媒体Pは、定着装置12を通過して裏面にトナー像を定着され、排紙ロール24によってスタッカ26へ排紙される。
【0029】
画像形成部14には、感光体ベルト16が設けられている。この感光体ベルト16は、上下方向に延出する搬送経路30に沿って配設された2本のロール31、32、ロール31、32の水平方向に配設された2本のロール34によって回転可能に張架され、上下左右に平坦面16A、16B、16C、16Dを形成されている。なお、上下の平坦面16A、16Bの方が左右の平坦面16C、16Dよりも長くなっている。
【0030】
また、それぞれ赤や黒等、異なる色のトナー像を感光体ベルト16の表面に形成する複数のプリントエンジン36が、下側の平坦面16Bに沿って配列されている。各プリントエンジン36は、感光体ベルト16の回転方向(図中矢印A方向)に順に配設された帯電器37、露光ヘッド38、現像器39を備える。帯電器37は、帯電コロトロンや帯電ロール等で、感光体ベルト16を一様に帯電する。また、露光ヘッド38は、LEDアレイや光走査装置(Raster Optical Scanner)等で、感光体ベルト16の帯電面を露光して感光体ベルト16上に画像データに基づいた静電潜像を形成する。また、現像器39は、トナーからなる1成分現像剤、或いはトナーやキャリアからなる2成分現像剤を収容しており、現像器39内で現像剤を攪拌しながら現像ロール39Aに搬送する。そして、現像器39は、現像ロール39Aに現像バイアスを印加されて現像ロール39Aから感光体ベルト16の静電潜像上へトナーを移動させる。これによって、感光体ベルト16上の静電潜像がトナーで可視化される。
【0031】
そして、感光体ベルト16の転写部22に面した平坦面16Dに面して転写装置10が配設されている。この転写装置10は、搬送経路を挟んで平坦面16Dに面した転写コロトロン42を備える。この転写コロトロン42は、記録媒体Pの裏面に向けて放電し、記録媒体Pの裏面にトナー電荷と逆極性の電荷を与えて、感光体ベルト16上のトナー像を記録媒体Pへ転写する。
【0032】
また、感光体ベルト16の平坦面16Cに面して、クリーナブレードやクリーナロール等のクリーニング機構44(クリーナブレードを図示)が配設されている。このクリーニング機構44は、転写部22で記録媒体Pに転写されずに感光体ベルト16上に残留した未転写残留トナーを感光体ベルト16から除去する。
【0033】
そして、転写部22の搬送方向下流側に配設された定着装置12は、記録媒体Pの転写面に接触して回転するヒートロール46、記録媒体Pを間においてヒートロール46に圧接され、記録媒体Pの裏面に接触して回転する加圧ロール48を備え、ヒートロール46と加圧ロール48とで定着ニップNが形成されている。ヒートロール46の内部にはハロゲンランプ等のヒーターランプ50が配設されており、ヒートロール46の表面が加熱されている。このため、トナー像が転写された記録媒体Pが定着ニップNを通過する際に、記録媒体Pが加熱、加圧され、記録媒体上のトナーが溶融して記録媒体Pに定着される。
【0034】
ここで、定着装置12には、離型剤供給装置13が備えられている。この離型剤供給装置13は、ヒートロール46の表面に接触したドナーロール52、シリコンオイル等の離型剤を貯留したタンク54、ドナーロール52、タンク54内の離型剤にスポンジ等の吸収体を介して接触したメタリングロール56を備える。
【0035】
メタリングロール56の表面には、メタリングブレード(図示省略)が接触している。このメタリングブレードは、所定の圧力でメタリングロール56の表面に接触し、メタリングロール56の表面上の離型剤をミクロンオーダーの精度で所定の厚みに規制(計量)している。
【0036】
そして、メタリングロール56の表面上で所定の厚みとされた離型剤がドナーロール52によってヒートロール46の表面へ搬送され、ヒートロール46の表面上に、所定の厚みの離型剤の層が形成される。これによって、定着ニップNにおいて、記録媒体P上のトナーのヒートロール46の表面からの剥離性が向上されるので、定着不良やトナーの定着オフセットを防止できる。
【0037】
ここで、転写装置10について説明する。
【0038】
図2、図3に示すように、転写装置10では、感光体ベルト16の平坦面16Dに面して転写コロトロン42が配設されており、放電ワイヤ42Aから搬送方向の両側に電界範囲Aが広がっている。この転写コロトロン42の搬送方向上流側の側壁には、弾性ブレード58が支持されている。この弾性ブレード58は、感光体ベルト16の幅方向へ延在している。また、転写コロトロン42の搬送方向上流側には、ブレード押えアーム60が配設されている。さらに、ソレノイド62が、転写コロトロン42を間に置いて平坦面16Dに面して配設されている。ブレード押えアーム60は、転写コロトロン42の搬送方向上流側で中央部を回転可能に支持され、一端部をソレノイド62の可動鉄芯62Aに連結されている。また、ブレード押えアーム60の他端部は、弾性ブレード58と感光体ベルト16の表面の近傍で、搬送方向下流側へ屈曲し、弾性ブレード58を搬送方向下流側へ弾性変形させている。
【0039】
図2に示すように、ソレノイド62が非励磁になり、可動鉄心62Aがコイル側に戻ると、ブレード押えアーム60の他端部が搬送方向下流側へ揺動して弾性ブレード58を感光体ベルト16の表面から離間させる。また、図3に示すように、ソレノイド62が励磁され、可動鉄芯62Aがコイル側から押出されると、ブレード押えアーム60の他端部が搬送方向上流側へ揺動して弾性ブレード58を感光体ベルト16の表面に面接触させる。これによって、記録媒体Pが感光体ベルト16の表面に押付けられる。なお、記録媒体Pが転写部22へ搬送されてきたところで、ソレノイド62が励磁されて弾性ブレード58が記録媒体Pに接触する。
【0040】
ここで、弾性ブレード58の形状について説明する。
【0041】
図4、図5に示すように、弾性ブレード58は、3枚の弾性シート58A、58B、58Cが重ね合わされて形成されている。最も記録媒体P側の弾性シート58Aは、他の2枚の弾性シート58B、58Cよりも短手方向(記録媒体Pの搬送方向)の長さが長くなっており、他の2枚の弾性シート58B、58Cから短手方向へ食み出している。
【0042】
また、弾性シート58A〜Cには、3本のスリット64が短手方向へ沿って入っている。各スリット64は、転写部22で搬送される各サイズの記録媒体Pの幅方向端部と重なるように配置されており、弾性ブレード58の各サイズの記録媒体Pの幅方向端部と重なる部分に、自由端部が形成されている。これによって、各サイズの記録媒体Pの幅方向端部と弾性ブレード58との密着性が高まり、各サイズの記録媒体Pの全幅を感光体ベルト16に密着させることができる。
【0043】
また、弾性シート58B、58Cには2本のスリット66が短手方向へ沿って入っている。この2本のスリット66によって、弾性シート58B、58Cの波打ちが抑制されている。
【0044】
ところで、弾性シート58Aは、図2乃至図4に示すように、転写コロトロン42の電界範囲Aまで延びて記録媒体Pに被さっており、記録媒体Pを感光体ベルト16の表面に押付けている。また、弾性シート58Aの電界範囲Aと重なった部分には、仕切り片68A、68B、68C、68Dによって仕切られた矩形状或いは三角形状の複数の開口70が形成されている。仕切り片68Aは、弾性シート58Aの長手方向の一端側(図4中の奥側)から1本目のスリット64まで略平行に配列され、搬送方向に対して傾斜している。また、仕切り片68Bは、2本目のスリット64から3本目のスリット64まで略平行に配列され、搬送方向に対して傾斜している。また、仕切り片68C、68Dも搬送方向に対して傾斜され、それぞれ、3本目のスリット64から4本目のスリット64まで、4本目のスリット64から弾性シート58Aの長手方向の他端側(図4中の手前側)まで、略平行に配列されている。
【0045】
即ち、搬送方向に対して傾斜した平行四辺形状の開口70が弾性シート58Aの長手方向に沿って配列され、三角形状の開口70が弾性シート58Aの長手方向の両端部に配設されている。
【0046】
ここで、仕切り片68A〜Dは、記録媒体Pの裏面に被さって転写コロトロン42から記録媒体Pの裏面への放電を遮るが、記録媒体Pの搬送方向に対して傾斜されているので、記録媒体Pが電界範囲Aを通過する間に、記録媒体Pの裏面で絶えず仕切り片68A〜Dが被せられている範囲は無い。
【0047】
このため、電界範囲Aにおいて、弾性ブレード58によって、転写コロトロン42からの放電を記録媒体Pの裏面全体へ通過させながら、記録媒体Pを感光体ベルト16の表面に押付けることができる。
【0048】
なお、開口70の間に仕切り片68A〜Dを設けたことによって、弾性シート58Aの電界範囲Aと重なった部分に大きな開口を1つ形成した場合と比して、弾性シート58Aの強度が高くなる。また、弾性ブレード58は、3枚の弾性シート58A〜Cが重なって形成されており、強度が高くなっている。このため、弾性ブレード58が記録媒体Pを感光体ベルト16の表面に押付ける力が強くなり、十分な力で記録媒体Pを感光体ベルト16の表面に押付けることができる。
【0049】
従って、トナー像の転写が実際に行われる範囲において、記録媒体Pと感光体ベルト16との間に生じるエアギャップを抑制でき、白抜け等の転写不良の発生を抑制できる。
【0050】
ここで、図6に示すように、隣合った仕切り片68A〜Dの記録媒体Pの搬送方向の上流側端部と下流側端部が、搬送方向に沿ってオーバーラップされている。このため、弾性ブレード58の搬送方向に沿った断面での開口70の長さは、弾性ブレード58の長手方向の何処を取っても均一になる。
【0051】
これによって、記録媒体Pが電界範囲Aを通過する間に、記録媒体Pの裏面が転写コロトロン42からの放電を照射される時間が、記録媒体Pの幅方向の全域で均一になるので、転写コロトロン42から記録媒体Pの裏面に与えられる電荷量の、記録媒体Pの幅方向へのバラツキを抑制でき、記録媒体Pの幅方向への転写効率のバラツキを抑制できる。
【0052】
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
【0053】
図7に示すように、弾性ブレード80は、3枚の弾性シート80A、80B、80Cが重なって形成されており、最も記録媒体P側の弾性シート80Aは、他の2枚の弾性シート80B、80Cよりも短手方向(記録媒体Pの搬送方向)へ長くなっており、他の2枚の弾性シート80B、80Cから搬送方向へ食み出している。この弾性シート80Aの弾性シート80B、80Cから食み出した部分が、転写コロトロン42の電界範囲Aで記録媒体Pを感光体ベルト16の表面に押付ける。また、弾性ブレード80には、第1実施形態の弾性ブレード58と同様に、スリット64、66が入れられている。
【0054】
また、弾性シート80Aの弾性シート80B、80Cから食み出した部分には、大小の丸穴82A、82Bが多数形成されている。大きい丸穴82Aは、弾性シート80Aの長手方向に沿って2列配列され、小さい丸穴82Bは、大きい丸穴82Aの列の間に、弾性シート80Aの長手方向に沿って1列配列されている。また、丸穴82A、82Bは、搬送方向に沿って千鳥状に配列されると共に、搬送方向に沿ってオーバーラップされて配列されている。このため、記録媒体Pが電界範囲Aを通過する間に、記録媒体Pの裏面で絶えず弾性シート80Aが被せられている範囲は無いので、記録媒体Pの裏面全体に電荷を与えることができる。
【0055】
ここで、図8に示すように、転写コロトロン42の放電ワイヤ42Aが小さい丸穴82Bの法線方向に位置するように、丸穴82A、82Bが配置されている。即ち、転写コロトロン42の電界が最も強い範囲に小さい丸穴82Bが配置され、放電ワイヤ42Aから遠く電界が弱い範囲に大きい丸穴42Aが配置されている。
【0056】
このため、転写コロトロン42の電界が弱い範囲では、弾性シート80Aの開口量が大きく、記録媒体Pが転写コロトロン42から放電を照射される時間が長くなり、転写コロトロン42の電界が強い範囲では、弾性シート80Aの開口量が小さく、記録媒体Pが転写コロトロン42から放電を照射される時間が短くなる。
【0057】
従って、転写コロトロン42から記録媒体Pの裏面に与えられる電荷量の、記録媒体Pの幅方向へのバラツキを抑制でき、記録媒体Pの幅方向への転写効率のバラツキを抑制できる。
【0058】
なお、第1、第2実施形態では、感光体ベルト16から記録媒体Pへトナー像を転写する転写装置を例に取って説明したが、これに限らず、感光体ドラムや中間転写ベルト等の他の像担持体から記録媒体へトナー像を転写する転写装置にも本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】第1、第2実施形態の転写装置を備える画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】第1実施形態の転写装置を示す断面図である。
【図3】第1実施形態の転写装置を示す断面図である。
【図4】第1実施形態の転写装置を示す斜視図である。
【図5】第1実施形態の転写装置の弾性ブレードを示す分解斜視図である。
【図6】第1実施形態の転写装置の弾性ブレードを示す平面図である。
【図7】第2実施形態の転写装置の弾性ブレードを示す分解斜視図である。
【図8】第2実施形態の転写装置の弾性ブレードを示す平面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 画像形成装置
10 転写装置
16 感光体ベルト(像担持体)
42 転写コロトロン(転写手段)
58 弾性ブレード
58A 弾性シート
58B 弾性シート
58C 弾性シート
68A 仕切り片
68B 仕切り片
68C 仕切り片
68D 仕切り片
70 開口
80 弾性ブレード
80A 弾性シート
80B 弾性シート
80C 弾性シート
82A 丸穴(開口)
82B 丸穴(開口)
P 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に担持されたトナー像に重ねられた記録媒体の裏面に向けて放電し、前記像担持体から記録媒体の表面へトナー像を転写する転写手段と、
記録媒体の裏面に当接して記録媒体を前記像担持体に押付ける弾性ブレードと、を備える転写装置であって、
前記弾性ブレードが前記転写手段の電界範囲まで延ばされ、前記弾性ブレードの前記転写手段の電界範囲と重なった部分に、記録媒体の裏面全体へ前記転写手段からの放電を通過可能な開口が形成されたことを特徴とする転写装置。
【請求項2】
前記弾性ブレードは、前記開口を複数に仕切る仕切り片が記録媒体の搬送方向に対して傾斜されたことを特徴とする請求項1に記載の転写装置。
【請求項3】
前記弾性ブレードは、記録媒体の搬送方向に沿った断面での前記開口の長さが均一であることを特徴とする請求項2に記載の転写装置。
【請求項4】
前記弾性ブレードは、前記転写手段の電界が強い範囲から弱い範囲にかけて大きくなる大小の前記開口を形成され、大きい前記開口と小さい前記開口が記録媒体の搬送方向に沿って千鳥状に、且つ、オーバーラップされて配列されたことを特徴とする請求項1に記載の転写装置。
【請求項5】
前記弾性ブレードは、複数枚の弾性シートが重なって形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の転写装置。
【請求項6】
複数の前記開口が最も記録媒体側の前記弾性シートに形成され、当該弾性シートのみ前記転写手段の電界範囲まで延ばされたことを特徴とする請求項5に記載の転写装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の転写装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−259099(P2006−259099A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−75010(P2005−75010)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】