説明

転削工具とそれを用いた工作機械

【課題】転削工具について、カッタボディの外周を覆うケーシングを設けずに加工で発生した切り屑の効率的な回収を可能となすことを課題としている。
【解決手段】カッタボディ2の内部に一端が切り屑ポケット8に、他端がカッタボディの背面2cにそれぞれ開放する切り屑排出穴9を設け、さらに、カッタボディ2に固定されて切り屑ポケットの開口を塞ぐカバー6を設け、そのカバー6と切削インサート4の切れ刃4aとの間に切り屑導入用の隙間14を設け、その隙間14から切り屑ポケット8に流入する切り屑を切り屑排出穴9経由で吸引回収可能となした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カッタボディの外周を覆うケーシングを使用せずに切り屑の吸引回収を可能にした、正面フライスカッタや隅削りフライスカッタなどの転削工具とそれを用いた工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
フライスカッタなどの転削工具によって生成された切り屑を円滑に回収処理するために、工具の外周をケーシングで覆い、そのケーシングの内部に搬送気流を生じさせ、切り屑をその気流に乗せてケーシング側部の排出口に案内し、ダクト経由で回収する切り屑回収装置が、下記特許文献1などで提案されている。
【0003】
また、工具を工具ホルダで把持し、工具ホルダのシャンクを主軸に貫通させたドローバで工作機械の主軸に引き込んで使用する切削工具については、工具本体の軸心部に切り屑の導出通路を設け、その導出通路と前記工具ホルダとドローバ内部の吸引穴経由で吸引回収するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−126976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、ドローバで工具ホルダを工作機械の主軸に引き込み、その工具ホルダでシャンクを掴むタイプの切削工具は、工具本体の軸心部に切り屑の導出通路を設け、その導出通路を工具ホルダとドローバと主軸に設けた吸引穴に連通させて切り屑を吸引回収することができる。
【0006】
ところが、工作機械の主軸にカッタアーバなどを用いて装着する転削工具は、カッタボディの中心の取り付け穴に嵌合軸を挿入し、その嵌合軸に工具固定用のセンターボルト(締付ボルト)をねじ込むため、取り付け穴を切り屑の導出通路として使用することができない。
【0007】
そのために、前掲の特許文献1などが提案しているように、カッタボディの外周をケーシングで覆って切り屑を回収しているが、この構造では、ケーシングがあるために装置が大型化する。
【0008】
また、ケーシングが障害物となって加工規制を受けることがあり、隅削り加工では、その加工規制を回避するために加工に支障のない位置までケーシングを開口させることになるため、切り屑の回収効率が低下するという問題がある。
【0009】
この発明は、装置の大型化の回避や加工規制の緩和などを図るために、転削工具とそれを用いる工作機械について、カッタボディの外周を覆うケーシングを設けずにミーリング加工で発生した切り屑の効率的な回収を可能となすことを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、この発明においては、軸方向に貫通した取り付け穴を中心部に備えるカッタボディと、そのカッタボディの先端外周にカッタボディの前面と外周面の2面に開放して設けた切り屑ポケットと、その切り屑ポケットに対面するインサート座を有し、前記インサート座に切削インサートが装着された転削工具において、
一端が前記切り屑ポケットに、他端が前記カッタボディの背面にそれぞれ開放する切り屑排出穴を前記カッタボディの内部に設け、さらに、前記カッタボディに固定されて前記切り屑ポケットの開口を塞ぐカバーを設け、そのカバーと前記切削インサートの実質的切れ刃部との間に切り屑導入用隙間を設け、その切り屑導入用隙間から切り屑ポケットに流入する切り屑を前記切り屑排出穴経由で吸引回収可能となした。
【0011】
ここで言う切削インサートの実質的切れ刃部とは、切削インサートの切れ刃稜線のうち、実際に切削に関与する領域を指す。
【0012】
この転削工具の好ましい形態を以下に列挙する。
(1)前記カバーと切削インサートとの間に形成される前記隙間の入口面積を、前記切り屑排出穴の穴軸と直角な断面における断面積の2倍以下に設定したもの。
(2)前記切り屑排出穴を、その穴の前記切り屑ポケットへの開放口がカッタボディの背面への開放口よりも工具の正転方向前方にある向きに傾斜させたもの。
(3)前記切り屑排出穴を、その穴の前記切り屑ポケットへの開放口がカッタボディの背面への開放口よりも工具の正転方向後方にある向きに傾斜させ、その切り屑排出穴の前記切り屑ポケットへの開放口の少なくも一部を前記切削インサートのすくい面と対面する位置に配置したもの。
(4)前記カバーをカッタボディに対して着脱可能となしたもの。
(5)前記切り屑排出穴を、周方向に間隔をあけて複数設けられた切り屑ポケットの各々に対応させて切り屑ポケット数と同数設けたもの。
【0013】
この発明の転削工具は、その工具を保持するアダプタと、そのアダプタのシャンクを主軸に引き込むドローバを使用して工作機械の主軸に装着する。主軸を貫通させて設ける前記ドローバは、軸方向に貫通した吸引穴を内部に有するものを使用する。
【0014】
また、アダプタは、ドローバ内部の吸引穴に連通する吸引通路を内部に有し、その吸引通路が前記本体部の前面に開口したものを使用する。
【0015】
そして、そのアダプタの本体部前面に形成された吸引通路の開口を、前記切り屑排出穴のカッタボディ背面への開放口に突き合わせて前記切り屑排出穴をドローバ内の吸引穴に連通させ、吸引穴の吸引口を集塵機につないで切り屑回収装置を構成する。この発明は、その切り屑回収装置を附属させた工作機械も併せて提供する。
【発明の効果】
【0016】
この発明の転削工具は、カバーで囲った切り屑ポケットからカッタボディの内部に設けた切り屑排出穴を経由してカッタボディの背面に切り屑を誘導する。従って、カッタボディの外周をケーシングで覆う必要がなく、ケーシング設置に起因した装置の大型化が回避される。
【0017】
また、ケーシングが無いので、隅削り加工においてケーシングを大きく開口させることに起因した切り屑回収効率の低下の問題が起こらず、加工規制も緩和される。
【0018】
なお、カッタボディの背面に誘導した切り屑は、アダプタに形成された吸引通路と、アダプタ引き込み用のドローバに設けた吸引穴を経由して集塵部に排出する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の転削工具の第1形態を示す側面図
【図2】図1の転削工具の正面図
【図3】図1のX−X線に沿った断面図
【図4】図1の転削工具の背面図
【図5】図1の転削工具の斜視図
【図6】図1の転削工具を、カバーとロケータと切削インサートを一箇所で外した状態にして示す斜視図
【図7】(a)カバーの隙間形成部の縁の一部を示す斜視図、(b)図7(a)のY−Y線に沿った断面図
【図8】この発明の切削工具と組み合わせて使用するアダプタの一例を示す側面図
【図9】図8のアダプタの正面図
【図10】この発明の転削工具を使用した工作機械の主軸装置を示す断面図
【図11】この発明の転削工具の第2形態を示す側面図
【図12】図11の転削工具の正面図
【図13】図11のZ−Z線に沿った断面図
【図14】図11の転削工具の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面の図1〜図14に基づいて、この発明の転削工具の実施の形態を説明する。
【0021】
図1〜図7は、この発明を隅削りフライスカッタに適用した例(第1形態)を示している。この第1形態の転削工具1は、カッタボディ2と、そのカッタボディ2に着脱自在に取り付けたロケータ3と、そのロケータで保持した切削インサート4と、その切削インサート4の切れ刃4aの軸方向位置を調整する刃振れ調整機構5と、カバー6を組み合わせて構成されている。
【0022】
カッタボディ2は、軸方向に貫通した取り付け穴7(図2〜図6参照)を中心部に有している。また、先端外周に、そのボディの前面2aと外周面2bの2面に開放する切り屑ポケット8(図6参照)を有している。さらに、図1、図6に示した一端9aが切り屑ポケット8に、他端9bが背面2cにそれぞれ開放する切り屑排出穴9がこのカッタボディ2の内部に設けられている。
【0023】
ロケータ3は、ロケータ取り付けボルト10を用いてカッタボディ2の外周に設けた保持溝2eの中に組み付けられている。また、図示の工具は、ロケータ3にインサート座11を設けており、そのインサート座11に、切削インサート4が、そのインサートの中央の取付け孔に通されるクランプねじ12(図3参照)を用いて固定されている。
【0024】
インサート座11は、ロケータ3を省いてカッタボディ2に直接設けることも考えられるが、損傷したインサート座の交換再生などを可能となすために、ここではロケータ3を用いてそのロケータ3に設けている。
【0025】
切削インサート4は、刃先交換式のチップを例示したが、これに限定されない。切れ刃を1つ以上備える刃具であればよい。
【0026】
切り屑ポケット8は周方向に間隔をあけて複数設けられており、その切り屑ポケット8に対面して各切り屑ポケット8のカッタ回転方向後方にそれぞれインサート座11が設けられ、各インサート座11に切削インサート4がそれぞれ装着されている。また、上記切り屑排出穴9は、各切り屑ポケット8に対応させて、それぞれの切り屑ポケットに個別に設けられている。
【0027】
刃振れ調整機構5は、アジャストボルト5aをカッタボディ2にねじ込んでそのアジャストボルト5aの頭部にロケータ3を突き当てて切削インサート4の刃先の軸方向位置を調整する周知の機構であり、必要に応じて設けられる。
【0028】
カバー6は、切り屑ポケット8のボディ外周側と前面側の双方の開口を塞ぐ目的で設けたものであって、端面視がL字状をなしている。このカバー6は、カッタボディ2にねじ13を用いて着脱自在に固定される。そのカバー6と切削インサート4の切れ刃(切れ刃稜の中の実質的に切れ刃として機能する部分)との間には、切り屑導入用の隙間14(図1、図5参照)が設けられている。
【0029】
その隙間14は、生成される切り屑を通過させ得る大きさに設定される。試作工具については、その隙間14は、5mm程度が好ましかった。フライス加工での一般的な加工条件、例えば、切り込み:6mm以下、送り:0.5mm/min以下の条件では、通常、最大で長さが4.5mm程度、幅が0.2mm程度の切り屑が生成される。好ましいとした上記の寸法は、その最大サイズの切り屑よりも一回り大きく、生成された切り屑を支障なく通すことができる。
【0030】
なお、前記隙間14の入口の総面積は、切り屑排出穴9の穴軸と直角な断面における断面積の2倍以下が好ましい。その隙間14の入口の総面積が必要以上に大きいと、隙間14の位置での吸引力が低下する。その隙間の大きさを切り屑排出穴9の断面積と対比したのは、この切り屑排出穴9の断面積は切り屑ポケット8の断面積よりも小さく、その切り屑排出穴9の断面積によって吸引する気流の通過量が左右されるからである。
【0031】
カバー6は、隙間14を形成する箇所の縁に、図7に示す面取り部6cを形成すると、切り屑が引っ掛かり難くなって好ましい。
【0032】
切り屑排出穴9は、図1に示すように、切り屑ポケット8への開放口がカッタボディの背面2cへの開放口よりも工具の正転方向前方にある向き(ここではこれをポジティブ方向と言う)に傾斜させたものや、それとは反対向き{切り屑ポケット8への開放口がカッタボディの背面2cへの開放口よりも工具の正転方向後方にある向き(これをネガティブ方向と言う)}に傾斜させたものなどが考えられる。
【0033】
ポジティブ方向に傾斜した切り屑排出穴9は、切り屑の排出が工具の回転によって助勢されるため、切り屑の流れが円滑になる。また、ネガティブ方向に傾斜した切り屑排出穴9は、切り屑ポケット8への開放口の少なくも一部を切削インサート4のすくい面と対面する位置(切削インサート4に吸入口が近づいた位置)に配置して切削部に作用する吸引力を高めることができ、これも、切り屑の回収効率向上につながる。
【0034】
この切り屑排出穴9は、ストレート穴である必要はない。制限途中で屈曲した穴でもよく、設置スペースや加工性の面から屈曲穴にせざるを得ない場合もありうる。
【0035】
カバー6は、着脱自在であることが好ましい。切削インサート4の着脱は、ロケータ3をカッタボディ2から外して行うこともできるが、カバー6を外せば、ロケータ3を取り外さずに切削インサート4を着脱することができるので、切削インサート4を交換する度にロケータ3を着脱するときに必要な刃振れの再調整の手間が省ける。
【0036】
また、カバー6の隙間14を形成する箇所の縁に、図7に示す面取り部6cを形成すると、切り屑が引っ掛かり難くなって好ましい。
【0037】
以上の如く構成した転削工具1は、図8、図9に示すアダプタ15を使用して工作機械の主軸に装着する。
【0038】
図示したアダプタ15は、本体部15aの先端中心に嵌合軸15bを備え、さらに、切削工具にトルクを伝達するキー15cを嵌合軸15bの周囲に備えている。その嵌合軸15bをカッタボディ中心の取り付け穴7に挿入し、さらに、キー15cをカッタボディの背面に形成されたキー溝2d(図3、図4参照)に係合させ、カッタボディ2の前面を嵌合軸15bにねじ込む図10のセンターボルト16で締め付けて転削工具1を固定する。
【0039】
このアダプタ15は、本体部15aの前面に開口した吸引通路17を内部に有している。吸引通路17の本体部前面における開口は、転削工具1に設けられた切り屑排出穴9のカッタボディ背面2cへの開放口と位置を対応させており、アダプタ15に転削工具1を装着したときに吸引通路17の開口と切り屑排出穴9のカッタボディ背面への開放口が互いに突き合わされて切り屑排出穴9が吸引通路17に接続される。
【0040】
アダプタ15は、図10に示すようなドローバ23を使用して工作機械の主軸21に装着される。図10の20は、工作機械の主軸装置を示している。主軸21は、主軸ヘッド22に回転可能に支持されており、駆動源(図示せず)によって回転駆動される。
【0041】
この主軸21の内部に、ドローバ23が主軸21を貫通して設けられている。そのドローバ23は引き込み装置24によって押し引きされる。引き込み装置24は、流体圧作動のシリンダアクチュエータを駆動源とする周知の装置である。このドローバ23によってアダプタ15のシャンク15dが主軸21の内部に引き込まれる。
【0042】
ドローバ23は、軸方向に貫通した吸引穴25を内部に有している。アダプタ15に設けられた吸引通路17は、本体部15aの中心の穴に連通しており、アダプタのシャンク15dの内側にドローバ23の先端が挿入されてカッタボディの内部の切り屑排出穴9がドローバ内部の吸引穴25に連通する。
【0043】
主軸ヘッド22の上端に開口した吸引穴25の吸引口25aには、集塵機のダクト(図示せず)が接続される。これにより、カッタボディの内部の切り屑排出穴9とアダプタ内部の吸引通路17と、ドローバ内部の吸引穴25を切り屑排出路とする切り屑回収装置が構成され、カッタボディ2の外周を取り巻くハウジングを使用せずにミーリング加工で発生した切り屑を効率的に回収することが可能になる。
【0044】
図11〜図14は、この発明の転削工具の第2形態を示している。この第2形態は、この発明をリードアングル45°の正面フライスカッタに適用したものである。この第2形態の転削工具1は、カッタボディ2の形状が第1形態と相違する。また、切り屑ポケット8の開口を覆うカバー6を、主カバー6aとリング状の補助カバー6bの2者で構成し、さらに、カッタボディ2の内部に設ける切り屑排出穴9を、先に説明したネガティブ方向傾斜の穴にしており、これらの構成が第1形態と相違する。
【0045】
主カバー6aは、切り屑ポケット8のカッタボディ外周側の開口と、先端外径側斜面の開口を塞ぐ形状にしてある。主カバー6aがその形状では、切り屑ポケット8がカッタボディ前面の凹部に開放する部分の開口を塞ぐことができないので、円盤状の補助カバー6bを追設してその補助カバー6bでカッタボディ2の前面の凹部の開口を塞ぐようにしている。
【0046】
そして、主カバー6aと切削インサート4の切れ刃4a(実質的に切れ刃として機能する部分)との間に、切り屑導入用の隙間14を設けている。
【0047】
この第2形態の転削工具1は、補助カバー6bの設置によって、切り屑ポケット8に対するカッタボディ前面の凹部側からのエアー漏れが抑制される。従って、第1形態ほどではないが第2形態の転削工具1も優れた吸塵機能を発揮する。
【0048】
なお、第2形態のその他の構成とこの工具の使用方法は、第1形態と変わるところが無いので説明を省く。
【実施例】
【0049】
下記発明品1〜3の転削工具を試作した。
・発明品1:図1〜図6に示した6枚刃の外径φ100mm、隙間14の面積が約45mmの隅削りフライスカッタ、アキシャルレーキ:+24°、ラジアルレーキ:+15°20′
・発明品2:図1〜図6に示した6枚刃の外径φ100mm、隙間14の面積が約100mmの隅削りフライスカッタ、アキシャルレーキとラジアルレーキは発明品1に同じ
・発明品3:図11〜図14に示した6枚刃の外径φ100mm、隙間14の面積が約48mm、リードアングル45°の正面フライスカッタ、アキシャルレーキ:+20°、ラジアルレーキ:−15°
【0050】
上記における隙間14の面積は、平面に投影した面積である。
【0051】
発明品1〜3の転削工具に設けたカッタボディ内部の切り屑排出穴は、いずれも直径φ10mmであり、軸直角断面における面積は78.540mmである。
【0052】
次に、発明品1〜3の転削工具を用いて下記の条件でFC250のワークの切削加工を行った。
発明品1,2の切削条件
回転数:250min−1、送り:150mm(0.1mm/min)、切り込み:6mm、切削幅:40mm、ワーク除去量:92cc/min
発明品3の切削条件
回転数:320min−1、送り:576mm(0.3mm/min)、切り込み:3mm、切削幅:80mm、ワーク除去量:138cc/min
【0053】
この加工での切り屑の吸塵率(回収量/除去量)を調べた結果、発明品1,2による回収率は99%、発明品3による回収率は91%であった。
【0054】
この試験結果に、この発明の転削工具の有効性(ケーシングなしで切り屑の効率的な回収が行える)がよく現れている。
【符号の説明】
【0055】
1 転削工具
2 カッタボディ
2a 前面
2b 外周面
2c 背面
2d キー溝
2e 保持溝
3 ロケータ
4 切削インサート
4a 切れ刃
5 刃振れ調整機構
5a アジャストボルト
6 カバー
6a 主カバー
6b 補助カバー
6c 面取り部
7 取り付け穴
8 切り屑ポケット
9 切り屑排出穴
9a 穴の一端
9b 穴の他端
10 ロケータ取り付けボルト
11 インサート座
12 クランプねじ
13 ねじ
14 隙間
15 アダプタ
15a 本体部
15b 嵌合軸
15c キー
15d シャンク
16 センターボルト
17 吸引通路
20 主軸装置
21 主軸
22 主軸ヘッド
23 ドローバ
24 引き込み装置
25 吸引穴
25a 吸引口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に貫通した取り付け穴(7)を中心部に備えるカッタボディ(2)と、そのカッタボディ(2)の先端外周にカッタボディの前面(2a)と外周面(2b)の2面に開放して設けた切り屑ポケット(8)と、その切り屑ポケットに対面するインサート座(11)を有し、前記インサート座(11)に切削インサート(4)が装着された転削工具において、
一端が前記切り屑ポケット(8)に、他端が前記カッタボディの背面(2c)にそれぞれ開放する切り屑排出穴(9)を前記カッタボディ(2)の内部に設け、さらに、前記カッタボディ(2)に固定されて前記切り屑ポケット(8)の開口を塞ぐカバー(6)を設け、そのカバー(6)と前記切削インサート(4)の実質的切れ刃部との間に切り屑導入用の隙間(14)を設け、その隙間(14)から前記切り屑ポケット(8)に流入する切り屑を前記切り屑排出穴(9)経由で吸引回収可能となしたことを特徴とする転削工具。
【請求項2】
前記カバー(6)と切削インサート(4)との間に形成される前記隙間(14)の入口面積を、前記切り屑排出穴(9)の穴軸と直角な断面における断面積の2倍以下に設定したことを特徴とする請求項1に記載の転削工具。
【請求項3】
前記切り屑排出穴(9)を、その穴の前記切り屑ポケット(8)への開放口がカッタボディの背面(2c)への開放口よりも工具の正転方向前方にある向きに傾斜させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の転削工具。
【請求項4】
前記切り屑排出穴(9)を、前記切り屑ポケット(8)への開放口がカッタボディの背面(2c)への開放口よりも工具の正転方向後方にある向きに傾斜させ、その切り屑排出穴の前記切り屑ポケットへの開放口の少なくも一部を前記切削インサート(4)のすくい面と対面する位置に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の転削工具。
【請求項5】
前記カバー(6)を前記カッタボディ(2)に対して着脱可能となしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の転削工具。
【請求項6】
前記切り屑排出穴(9)を、周方向に間隔をあけて複数設けられた切り屑ポケット(8)の各々に対応させて切り屑ポケット数と同数設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の転削工具。
【請求項7】
駆動源によって回転駆動される主軸(21)と、請求項1〜6のいずれかに記載の転削工具(1)と、本体部(15a)の先端中心に設けた嵌合軸(15b)をカッタボディ中心の取り付け穴(7)に挿入し、その嵌合軸(15b)にセンターボルト(16)をねじ込んで前記転削工具(1)を固定・保持するアダプタ(15)と、前記本体部(15a)と一体のシャンク(15d)を前記主軸(21)に引き込んで前記アダプタ(15)を主軸に固定するドローバ(23)とそのドローバの引き込み装置(24)を具備し、
前記主軸(21)を貫通して設けられた前記ドローバ(23)は、軸方向に貫通した吸引穴(25)を内部に有しており、
前記アダプタ(15)は、ドローバ内部の前記吸引穴(25)に連通する吸引通路(17)を内部に有しており、その吸引通路(17)が前記カッタボディ(2)の背面を密着させる前記本体部(15a)の前面に開口し、その開口を、前記切り屑排出穴(9)のカッタボディ背面(2c)への開放口に突き合わせて前記切り屑排出穴(9)を前記ドローバ内部の吸引穴(25)に連通させ、その吸引穴(25)の吸引口(25a)を集塵機につないで構成される工作機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−86338(P2012−86338A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237393(P2010−237393)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(503212652)住友電工ハードメタル株式会社 (390)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000146847)株式会社森精機製作所 (204)
【Fターム(参考)】