説明

転圧機械の走行距離監視装置

【課題】適切な走行距離で転圧作業を行い、転圧対象となる路体について均一且つ充分な締固め度を得ることを可能ならしめる転圧機械の走行距離監視装置の提供。
【解決手段】転圧機械(200)の走行距離を管理するのに必要な情報(設定進入走行距離Lf、Lfと設定後退走行距離Lrの差ΔL、操作員に対して終点位置が近いことを報知する位置Y、Xと終点までの距離lf、lr等)を入力する入力装置(1)と、操作員に対して進入或いは後退の終点に到達したこと及び終点が近いことを報知する警報装置(11)と、入力装置(1)で入力された情報や転圧機械の走行距離を表示する表示装置(ディスプレイ10)と、制御装置(コントロールユニット50)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路を前後進して締固めをする転圧機械の走行距離監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路土工及び道路舗装において、路体の密度を確保するための方法として、鉄輪ローラ、タイヤローラ、振動ローラ等の転圧機械(転圧ローラ)により締固めを行う方法が一般的である。
路体を構成する材料がどの程度締固まっているかは、締固め度(基準密度に対する百分率)で表されるが、所定の締固め度を得るために必要な転圧回数(転圧機械の通過回数)を事前に確認しておき、作業現場においては転圧回数によって管理している場合が多い。
【0003】
ここで、転圧機械の運転は運転操作員によりなされる。そのため、転圧回数のカウントは、運転操作員の記憶に依存して行なわれる。
道路土工の場合等では、転圧回数は10回以上にも及ぶことがあり、その様な場合では、運転操作員は、転圧機械の運転操作と共に、転圧回数をカウントする作業に神経を集中しなければならない。
【0004】
しかし、長時間に亘る転圧作業においては、転圧機械を操作する運転操作員の意識の集中が途切れずに、確実にカウント数を確保出来ているのか否かについては、疑問が残る。
それと共に、転圧機械の走行距離(転圧距離)の設定についても、機械操作員の感覚(勘)によりなされるため、適切な走行距離で転圧作業が行われているか否かという点についても、確実ではない。
上述した様に、機械操作員の感覚(或いは「勘」)に頼った転圧作業では、転圧対象となる路体について、均一且つ充分な締固め度を得ることが困難である。そして、均一且つ充分な締固め度を得ることが困難であるため、道路としての品質確保の点が問題となっていた。
【0005】
その他の従来技術として、前輪駆動、前輪操舵のタイヤローラを前進させて舗装作業を行うことにより、良好な舗装面を形成する転圧機械が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献1)は、適切な走行距離で転圧作業が行うことを目的とはしておらず、上述した問題を解消するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−336880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、適切な走行距離で転圧作業を行い、転圧対象となる路体について均一且つ充分な締固め度を得ることを可能ならしめる転圧機械の走行距離監視装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の転圧機械の走行距離監視装置(100)は、転圧機械(200)の走行距離を管理するのに必要な情報(設定走行距離、操作員に対して終点位置が近いことを報知する位置Y、Xと終点までの距離lf、lr等)を入力する入力装置(1)と、操作員に対して進入或いは後退の終点に到達したこと及び終点が近いことを報知する警報装置(11)と、入力装置(1)で入力された情報や転圧機械(200)の走行距離を表示する表示装置(ディスプレイ10)を有し、且つ、制御装置(コントロールユニット50)を備え、当該制御装置(50)は、
全地球航法衛星システム(300)からの情報により転圧機械(200)の現在位置を特定する現在位置特定ブロック(2)と、
転圧機械(200)の移動開始地点(進入或いは後退の起点)の位置と転圧機械(200)の現在位置から転圧機械(200)の走行距離を演算する走行距離演算ブロック(3)と、
演算された走行距離と入力装置により入力された情報とを比較する比較ブロック(4)と、
演算された走行距離と転圧機械が走行するべき距離(設定進入走行距離Lf或いは設定後退走行距離Lr)の差異が、予め入力装置で入力された距離(操作員に対して終点位置が近いことを報知する位置Y、Xと終点までの距離lf、lr)以下になった場合と、転圧機械(200)の走行距離が入力装置(1)により入力された走行するべき距離(設定進入走行距離Lf或いは設定後退走行距離Lr)になった場合に、警報を発生する旨の制御信号を警報装置(11)に対して出力する警報決定ブロック(8)を備えることを特徴としている。
【0009】
本発明において、前記制御装置(50)は、転圧機械(200)が進入或いは後退の終点を通過した場合に、通過した終点と転圧機械(200)が反転した位置との距離(オーバーランした距離)を演算するオーバーラン距離演算ブロック(7)を備えているのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
上述する構成を具備する本発明によれば、全地球航法衛星システム(300)からの情報により転圧機械(200)の現在位置を特定し、転圧機械(200)の移動開始地点(進入或いは後退の起点)の位置と転圧機械(200)の現在位置から転圧機械(200)の走行距離を演算することが出来るので、常に転圧機械(200)を適切な距離だけ走行させて、転圧作業を行うことが出来る。
また本発明によれば、転圧機械(200)が操作員に対して終点位置が近いことを報知する位置(Y、X)に到達した場合に警報を発生し、その後、転圧機械(200)が走行するべき距離(設定進入走行距離Lf或いは設定後退走行距離Lr)だけ走行した場合(終点に到達した場合)に警報を発生することにより、操作員は転圧機械(200)が走行するべき距離だけ走行したことを正確に把握することが出来る。そのため、進入時或いは後退時における転圧機械(200)の走行距離を適切に管理して、操作員の勘に頼ることなく、精度よく転圧機械(200)を停止、反転させることができる。ここで、反転とは、進入から後退に進行方向を切り替えること、或いは、後退から進入に進行方向を切り替えることを意味している。
【0011】
さらに本発明によれば、演算された走行距離と転圧機械(200)が走行するべき距離(設定進入走行距離Lf或いは設定後退走行距離Lr)の差異が、操作員に対して終点位置が近いことを報知する位置(Y、X)と終点までの距離(lf、lr)以下になった場合に警報(通過点警報)を発生して、進入或いは後退の終点に至る前の段階で、操作員に、終点が近いことを報知することが出来る。
そのため、操作員は、終点における反転操作のタイミングを失することなく、転圧機械(200)を反転させることが出来る。或いは、後退時においては、適当なタイミングで走行レーンを変更することが出来る。
そして、所定のタイミングで転圧機械(200)を反転し、適当なタイミングで走行レーンを変更することが出来るので、所定の締固め度を得るために必要な転圧回数(転圧機械200の通過回数)の管理を正確に行うことが出来る。
【0012】
本発明において、転圧機械(200)が進入或いは後退の終点を通過した場合に、通過した終点と転圧機械(200)が反転した位置との距離(オーバーランした距離)を演算するオーバーラン距離演算ブロック(7)を設ければ、進入時或いは後退時に、転圧機械(200)が終点を通り越してしまったとしても、終点位置から通り過ぎた距離を計測することにより、反転した箇所からその通り過ぎた距離を減算することが出来る。
そして、終点に相当する位置に到達した際に、転圧機械(200)は、当初に設定した終点位置に到達する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図示の実施形態に係る転圧機械の走行距離監視装置を含む走行距離監視システムの概略構成を示す構成図である。
【図2】図示の実施形態に係る転圧機械による道路の転圧パターンの一例を示す平面図である。
【図3】図示の実施形態における走行距離監視装置の要部を示すブロック図である。
【図4】進入時の制御を示すフローチャートである。
【図5】図4のステップS3、S4の詳細を示すフロートチャートである。
【図6】図4のステップS6、S7の詳細を示すフロートチャートである。
【図7】後退時の制御を示すフローチャートである。
【図8】図7のステップS22、S23の詳細を示すフロートチャートである。
【図9】図7のステップS25、S26の詳細を示すフロートチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る走行距離監視システムの概要を示しており、走行距離監視装置100を備えた転圧機械200と、全地球航法衛星システム(GNSS)300を示している。
走行距離監視装置100の詳細については、図3を参照して後述する。
【0015】
最初に、図示の実施形態で用いられる転圧機械200による道路の締固めの手順について、図2を参照して説明する。
図2において、設定進入走行距離は符号Lf、設定後退走行距離は符号Lr、進入走行距離と後退走行距離の差は符号ΔL(=Lf−Lr:但し、Lf>Lr)、全道路幅員は符号B、転圧機械200の転圧幅員は符号W、転圧のラップ幅(先行して転圧された領域と重複する部分の幅寸法)は符号ΔW、横方向(進入方向或いは後退方向と直交する方向)の移動距離は符号Dで示されている。
【0016】
図2における点Yは、進入途中で警報を発生する位置を示しており、点Xは後退途中で警報を発生する位置を示している。
図2では、路面幅Bが横方向移動距離Dによって等分された3つの走行レーンに区分されている。そして、幅寸法(転圧幅員)Wの転圧車輪を有する転圧機械200(図1参照)が、各走行レーンの中心線(図2における1点鎖線)に沿って走行することにより、転圧作業を行う。
【0017】
図2において、転圧機械200は、符号aで示す平行四辺形の領域(転圧ブロック)を転圧する。そして、符号aで示す平行四辺形の領域(転圧ブロック)を転圧する。ここで、符号aで示す三角形の領域については、重複(オーバーラップ)して転圧されている。
以下、同様に、一部を重複して転圧しつつ、転圧ブロックaを順次転圧していく。
以下、転圧ブロックaと、転圧ブロックaについて、転圧パターンを説明する。
【0018】
転圧機械200は、第1の走行レーンの起点p1から矢印A方向に進入する。そして、転圧機械200が位置Yを通過したときに、後述する警報装置11(図3参照)の通過点警報により進入終点位置が近いことが、操作員に対して報知(喚起)される。ここで、位置Yは、警報装置11を作動させる位置として、転圧作業の前段階で、予備信号発信距離設定入力コマンドにより入力される。
転圧機械が終点p11に到達した時には、警報装置11が終点警報を発生し、操作員に対して進入の終点に至ったことを報知する。設定進入走行距離Lfは、転圧作業の前段階で、設定進入走行距離入力コマンドにより、その数値が入力される。
なお、位置Yに到達した時の警報と、終点p11に到達した時の終点警報は、例えば、断続音と連続音の様な音声の種類や、音声の内容等が相違しており、位置Yを通過した時の通過警報であるか、或いは、終点p11に到達した時の終点警報であるかが、操作員に判別可能である様に、適宜選択される。
【0019】
進入の終点p11において、操作員は転圧機械200を反転させて、矢印B方向に後退させる。
ここで、設定後退走行距離Lrは、設定進入走行距離Lfに対して、距離ΔLだけ短く設定されている。従って、設定後退走行距離Lrは、「Lr=Lf−ΔL」という計算で求まる。
ただし、設定後退走行距離Lrを、その他の方法で求めることも可能である。例えば、転圧回数が4の倍数である場合には、走行レーンの数をN(図示の実施形態であればN=3)、転圧回数をPn(4の倍数)とすれば、設定後退走行距離Lrは、次式で求めることが出来る。
Lr={1−(2/Pn・N)}・Lf
【0020】
進入のときと同様に、転圧機械200の後退時において、途中の位置Xを通過した時に、警報装置11を作動させて通過点警報を発生し、以って、操作員に対して後退終点位置が近いことを報知する。位置Xも警報装置11を作動させる位置として、転圧作業の前段階で、予備信号発信距離設定入力コマンドにより入力される。
後退の際に、転圧機械200は、後退途中の所定の箇所で、走行レーンの路線移動を行い、第2の走行レーンに入る。図2の例では、位置Xで走行レーンの路線移動を開始している。転圧機械200は、第2の走行レーンを、後退の開始点p11(進入の終点)から設定後退走行距離Lrだけ後退すると、後退の終点p2に到達する。
転圧機械200が後退の終点p2に到達した時に、進入の終点p11に到達した時と同様に、警報装置11が作動して終点警報を発する。この終点警報により、操作員に後退終点p2に到達したことを報知する。
【0021】
進入の終点p11と同様に、後退終点p2においても、転圧機械200は反転して矢印C方向に進入する。そして、設定進入走行距離Lfだけ進み、第2の走行レーンにおける進入の終点p21に到達する。
第1レーンを進入したときと同様に、第2レーンを進入する転圧機械200が、第1レーンにおける位置Yに相当する箇所に到達して通過する際に、通過点警報が発せられる。
【0022】
以下、同様の手順を繰り返し、転圧機械200は第3の走行レーンの終点p31に到達する。
転圧が進み、終点p31から後退した転圧機械は、位置p4で停止する。そして、転圧機械200は位置p4で反転し、位置p41まで進入し、位置p41からは上述したのとは逆に、第3の走行レーンから第2の走行レーン(の位置p5)に向かって後退する。そして、終点p5で反転して進入し、走行レーンの路線移動を繰り返す。
そして、第1の走行レーンの起点p7に到達する。
【0023】
上述した様な手順により、転圧ブロックa及び転圧ブロックaが転圧される。
その際に、符号aの三角形の領域は、二重に転圧されることになる。
図2において、符号p11、p2、p21、p3、p31、p4、p41、p5、p51、p6、p61、p7、p71は、各レーンにおける折り返し点を示している。
【0024】
図2を参照して説明した手順によれば、路面の(進入方向或いは後退方向)の両端部における三角形の領域を除き、路面は全て、均一に4回ずつ転圧される。換言すれば、路面の(進入方向或いは後退方向)の両端部における三角形の領域(最初と最後の三角形の領域)を別途転圧することにより、全ての路面が均一に転圧されるのである。
転圧回数が4回では不足の場合には、上述の手順を繰り返すことにより、所定の転圧回数にて全ての路面が均一に転圧され、充分な締固めが行われる(十分な締固め度が得られる)。
【0025】
次に、主として図3を参照して、図1で示す転圧機械200における走行距離監視装置100の構成を説明する。
図3において、転圧機械200の走行距離監視装置100には、GNSS受信機20と、前進・後進レバー30と、進入・後退信号発生ブロック40と、コントロールユニット50と、警報装置(ブザー、ランプ等)11が配置されている。
【0026】
GNSS受信機20は、測位衛星(GNSS)300(図1参照)からの情報によって転圧機械200の位置を求め、コントロールユニット50に転圧機械200の位置に関する情報を記録させる。
ここで、GNSS(Global Navigation Satellite Systems)は、全地球航法衛星システムを意味しており、アメリカ合衆国が運営しているGPS、ヨーロッパが進めているGALILEO、ロシアが再構築しているGLONASS、我国が打ち上げようとしている準天頂衛星等測位衛星の総称である。
【0027】
前進・後進レバー30は、転圧機械200における走行操作装置であり、転圧機200の前進及び後進を切り替える機能を有している。また、進入・後退信号発生ブロック40は、前進・後進レバー30によって切り替えられた走行方向を、情報信号に変換する機能を有している。
警報装置11は、コントロールユニット50から出力される信号に基づいて作動して、転圧機械操作員に所定の位置(例えば、位置Y、位置X)を通過したこと、目的位置(例えば、終点位置p11、p2)に到達したことを報知する機能を有している。
【0028】
コントロールユニット50は、例えば、走行距離監視ソフトウェア(監視ソフト)をインストールしたパーソナルコンピュータ(PC)により構成されている。
詳細には、コントロールユニット50は、入力装置1と、現在位置特定ブロック2と、走行距離演算ブロック3と、比較ブロック4と、設定後退距離演算ブロック(Lr演算ブロック)5と、記憶装置(データベース)6と、オーバーラン距離演算ブロック7と、警報決定ブロック8と、軌跡作成ブロック9と、ディスプレイ10を備えている。
【0029】
入力装置1は、信号伝達ラインL8を介してLr(設定後退走行距離)演算ブロック5と接続され、信号伝達ラインL12を介して軌跡作成ブロック9と接続されている。なお、以下において、ラインL1、L5、L6、L7は物理的なラインを意味しており、「ライン」と記述されている。一方、その他「信号伝達ライン」と記述されているのは、例えばPC内のパス等であり、模式的に表現された信号伝達経路である。
また、入力装置1は、現在位置特定ブロック2、走行距離演算ブロック3、比較ブロック4、オーバーラン距離演算ブロック7と接続されている。そして、リジュームorリセット回路L16を介して、軌跡作成ブロック9と接続されている。
現在位置特定ブロック2は、ラインL1を介してGNSS受信機20と接続され、信号伝達ラインL2を介して走行距離演算ブロック3及びオーバーラン距離演算ブロック7と接続され、信号伝達ラインL13を介して軌跡作成ブロック9と接続されている。
【0030】
走行距離演算ブロック3は、ラインL7を介して進入・後退信号発生ブロック40と接続され、信号伝達ラインL3を介して比較ブロック4と接続されている。ここで、進入・後退信号発生ブロック40は、ラインL6を介して前進・後進レバー30と接続されている。
比較ブロック4は、信号伝達ラインL11を介して記憶装置6と接続され、双方向ラインである信号伝達ラインL15を介してオーバーラン距離演算ブロック7と接続され、信号伝達ラインL4を介して警報決定ブロック8と接続されている。
【0031】
Lr演算ブロック5は、信号伝達ラインL9及び信号伝達ラインL10を介して記憶装置6と接続されている。ここで、信号伝達ラインL9を介して、Lr演算ブロック5で求めた設定後退走行距離Lrが記憶装置6に伝達され、信号伝達ラインL10を介して、記憶装置6に記憶された各種情報がLr演算ブロック5に伝達される。なお、信号伝達ラインL9及び信号伝達ラインL10を1本の信号伝達ライン(双方向ライン)で構成しても良い。
【0032】
警報決定ブロック8は、ラインL5を介して警報装置11と接続されている。
軌跡作成ブロック9は、信号伝達ラインL14を介してディスプレイ10と接続されている。
図3では、入力装置1及びディスプレイ10がコントロールユニット50の一部を構成しているが、入力装置1及びディスプレイ10の双方、或いは、何れか一方を、コントロールユニット50と別体に構成することも可能である。
【0033】
入力装置1では、設定後退走行距離Lrを設定する(演算する)入力コマンドとして、転圧機械200の設定進入走行距離Lfと設定後退走行距離Lrの差ΔLが入力される。
また、入力装置1では、予告信号発信距離(lf、lr)の設定入力コマンドとして、進入走行或いは後退走行の終点が近いことを操作員に対して報知する位置(例えば点Y、点Xの位置)、進入時における終点が近いことを報知する位置から進入終点までの距離lf(例えば、点Yから進入終点p11までの距離)、後退時における終点が近いことを報知する位置から進入終点までの距離lr(例えば、点Xから後退終点p2までの距離)が入力される。
【0034】
現在位置特定ブロック2では、図3では図示しない測位衛星からの信号を受信したGNSS受信機20からの位置情報に基いて、転圧機械200の現在位置を特定する。
走行距離演算ブロック3では、現在位置特定ブロック2で特定した転圧機械200の現在位置と、進入開始地点(例えばp1)または後退開始地点(例えばp11)との相対距離を演算することにより、転圧機械200の走行距離を演算する。
Lr演算ブロック5では、入力装置1によって入力され記憶装置6に記憶されたΔL(=Lf−Lr)の値から、設定後退走行距離Lrを演算する。
【0035】
オーバーラン距離演算ブロック7では、現在位置特定ブロック2で特定された現在位置と、比較ブロック4からの情報とを比較して、転圧機械200のオーバーラン距離を演算する。
比較ブロック4では、走行距離演算ブロック3からの情報、オーバーラン距離演算ブロック7からの情報及び記憶装置6からの情報によって、「実走行距離とLf−lfとの比較」、「実走行距離とLfとの比較」、「実走行距離とLr−lrとの比較」、「実走行距離とlrとの比較」を行ない、オーバーランしているか否かを判断する。
【0036】
警報決定ブロック8では、比較ブロック4の比較結果に基づいて、
進入時における終点が近いことを報知する位置(例えば、Y)に到達した場合、
進入時の終点(例えば、p11)に到達した場合、
後退時における終点が近いことを報知する位置(例えば、X)に到達した場合、
進入時の終点(例えば、p2)に到達した場合、
警報を発するに値するオーバーランが生じた場合、
において、警報の種類及び警報を発するタイミングに応じて、制御信号を警報装置11に発信する。
なお、その時の警報の態様としては、ブザー等による警告音(フリッカー音)の発生でも、音声ガイダンスによる音声でも、その他の警報であっても良い。転圧機械200の操作員に報知することが出来れば、警報の種類については限定するものではない。
【0037】
軌跡作成ブロック9では、入力装置で入力された値と、現在位置特定ブロックで特定した現在位置情報から、所定のマップ(例えば、図2で示すようなマップ)における転圧機械200の軌跡を作成する機能を有している。
軌跡作成ブロック9で作成した転圧機械200の軌跡は、ディスプレイ10によって表示される。
【0038】
上述したように、転圧機械200の走行距離監視装置100には、ディスプレイ10が設けられている。
ディスプレイ10は、例えば、PCのディスプレイにより構成されており、進入後退距離設定コマンドとして入力された設定進入走行距離Lf、設定後退走行距離Lr、予備信号発信距離設定入力コマンドとして入力された予備信号発信距離(例えば、進入起点から点Yまでの距離Lf−lf、後退起点から点Xの距離Lr−lr)、GNSS受信機20により求められた転圧機械200の実際の移動距離等が表示される。
【0039】
警報装置11は、コントロールユニット50の警報決定ブロック8からの制御信号(警告信号)を受信した際に作動して、警告音を発生して、操作員に報知或いは注意喚起を行なう。
コントロールユニット50から警告信号が発生する具体的な態様(制御)については、図4〜図9を参照して後述する。
【0040】
進入時或いは後退時に、転圧機械200が終点を通り越してしまったとしても、オーバーラン距離演算ブロック7により、終点位置から通り過ぎた距離を決定することが出来る。
そして、オーバーラン距離演算ブロック7により決定された「終点位置から通り過ぎた距離」の情報を比較ブロック4に入力することにより、転圧機械200が所定の走行距離だけ進入或いは後退したか否かを判断するに際して、転圧機械200が反転した箇所から当該通り過ぎた距離を減算して、比較することが出来る。
これにより、転圧機械200が終点を通り越してしまった(オーバーランをした)としても、反転後、転圧機械200が当初に設定した終点位置に到達したか否かを、正確に判断することが出来る。
【0041】
次に、図4〜図6に基づいて、図2、図3をも参照して、転圧機械200の進入時における制御について、説明する。
図4のステップS1では、入力装置1を介して、設定進入走行距離Lf、進入側の警報地点Yから進入側の終点位置までの距離lf、後退側の警報地点Xから後退側の終点位置までの距離lr、及び設定進入走行距離Lfと設定後退走行距離Lrの差ΔLが入力される。
ステップS2では、転圧機械200の進入(図2の点p1から点p11への移動)を開始する。
ステップS3において、衛星(GNSS)からの信号(GNSS受信機20からの情報)に基き、現在位置特定ブロック2において現在位置を特定する。そして、走行距離演算ブロック3によって、進入開始から走行した距離を演算する。
【0042】
次のステップS4では、比較ブロック4により、転圧機械200が進入側の警報地点Yに達したか否かを判断する。
なお、ステップS3、S4における制御の詳細については、図5を参照して後述する。
転圧機械200が進入側の警報地点Yに達したならば(ステップS4がYES)、ステップS5に進む。一方、進入側の警報地点Yに達していなければ(ステップS4がNO)、ステップS3に戻り、ステップS3以降を繰り返す(ステップS4がNOのループ)。
【0043】
ステップS5において、警報決定ブロック8は、制御信号を警報装置11に発信する。そして、警報装置11は、警告音(フリッカー音)を発生して、進入側の警報地点Yを通過したこと、換言すれば進入の終点p11(折り返し点)が近づいたことを、転圧機械200の操作員に知らせる。
そしてステップS6では、ステップS2で行なったと同様な態様で、転圧機械200の走行距離を演算する。そして、ステップS7に進む。
【0044】
ステップS7では、比較ブロック4は、ステップS6で演算された転圧機械200の進入方向の走行距離と設定進入走行距離Lfを比較して、転圧機械200が進入終点p11(進入から後退への折り返し点)に到達したか否かを判断する。
ステップS6、S7の制御の詳細については、図6を参照して後述する。
転圧機械200が進入終点p11(進入から後退への折り返し点)に到達したならば(ステップS7がYES)、ステップS8に進む。一方、転圧機械200が進入終点p11に到達していないならば(ステップS7がNO)、ステップS6に戻り、ステップS6以降を繰り返す(ステップS7がNOのループ)。
【0045】
ステップS8では、警報決定ブロック8が制御信号を警報装置11に発信し、警報装置11は警告音(連続音)を発生して、転圧機械200の停止、転圧機械走行方向の後退方向への切替、後退開始を操作員に報知、勧告する。
ステップS8に次いで、ステップS9では、ステップS2或いはステップS6で行なったと同様の走行距離の演算を行なう。いわゆる「オーバーラン」の有無の判断と、オーバーラン距離の演算のためである。
【0046】
次のステップS10において、コントロールユニット50では、前進・後進レバー30が操作員により操作され、転圧機械200の走行方向が進入から後退へ切り替えたか否かを判断する。
進入から後退へ走行モードを切り替えたならば(ステップS10がYES)、ステップS11に進む。
前進・後進レバー30が操作されておらず、転圧機械200の走行方向が進入から後退へ切り替えていないならば(ステップS10がNO)、ステップS9に戻り、ステップS9以降を繰り返す(ステップS10がNOのループ)。
【0047】
ステップS11では、コントロールユニット50は、警告音を停止し、図7の「R」へ制御を進める。
ここで、転圧機械200がオーバーランしていれば、オーバーラン距離演算ブロック7によってオーバーランした距離を求め、オーバーランした距離を設定後退走行距離Lrに加算して、(設定後退走行距離Lrを)補正する。
【0048】
ここで、上述したステップS3、S4の制御の詳細を、図5に基づいて、図2、図3をも参照して、説明する。
図5では、図4のステップS2の後の段階から制御が開始される。先ず、ステップS31において、GNSS受信機20は衛星(GNSS)からの位置情報を受信する。そしてステップS32に進み、GNSS受信機20からの情報に基いて、現在位置特定ブロック2によって、現在位置を特定する。そして、走行距離演算ブロック3は、特定された現在位置と、進入開始(例えば、点p1)位置から、転圧機械200の走行距離(現走行距離)を演算する。
【0049】
ステップS41では、比較ブロック4は、進入の始点p1から点Yまでの距離Lf−lfと、進入始点p1からの転圧機械200の走行距離(現走行距離)を比較し、進入始点p1からの転圧機械200の走行距離(現走行距離)が進入の始点p1から点Yまでの距離「Lf−lf」以上であるか否かを判断する(ステップS42)。
進入始点p1からの転圧機械200の走行距離(現走行距離)が、進入の始点p1から点Yまでの距離Lf−lf以上であれば(ステップS42がYES)、ステップS43に進む。
一方、進入始点p1からの転圧機械200の走行距離(現走行距離)が、進入の始点p1から点Yまでの距離Lf−lf未満であれば(ステップS42がNO)、ステップS31まで戻り、再びステップS31以降を繰り返す(ステップS42がNOのループ)。
ステップS43では、進入側の終点p11が近づいた旨を操作員に報知するべき状態になったと判断して、「転圧機200がYに到達した」と判定する。そして、図4のステップS5に進む。
【0050】
次に、図4のステップS6、S7における制御の詳細について、主として図6に基づいて、図2、図3をも参照して説明する。
図6では、図4のステップS5の後の段階から制御が開始される。先ず、図6のステップS61において、GNSS受信機20は衛星(GNSS300:図1参照)から情報を受信する。そしてステップS62で、現在位置特定ブロック2により転圧機械200の現在位置を特定し、その特定された転圧機械200の現在位置情報及び進入始点(例えば、p1)の情報から走行距離演算ブロック3により、進入始点p1からの転圧機械200の走行距離(現走行距離)を演算する。
【0051】
次いで、ステップS71では、比較ブロック4は、設定進入走行距離Lfと、進入始点p1からの転圧機械200の走行距離(現走行距離)を比較する。そして、進入始点p1からの転圧機械200の走行距離(現走行距離)が設定進入走行距離Lf以上であるか否かを判断する(ステップS72)。
進入始点p1からの転圧機械200の走行距離(現走行距離)が設定進入走行距離Lf以上であれば(ステップS72がYES)、ステップS73に進む。
一方、進入始点p1からの転圧機械200の走行距離(現走行距離)が設定進入走行距離Lf未満であれば(ステップS72がNO)、ステップS61まで戻り、再びステップS61以降を繰り返す(ステップS72がNOのループ)。
ステップS73では、進入始点p1からの転圧機械200の走行距離(現走行距離)が設定進入走行距離Lf以上なので、「転圧機200が進入終点(例えばp11:折り返し点)に到達した」と判定する。そして、図4のステップS8に進む。
【0052】
次に、主として図7〜図9に基づいて、図2、図3をも参照して、転圧機械200の後退時の制御について、説明する。
図7のステップS21の段階では、転圧機械200の後退を開始しており、後退始点(例えば、点p11:折り返し点)からの転圧機械200の走行距離の演算も開始される。なお、ステップS21の段階では、設定後退走行距離Lr(=Lf-ΔL)の演算は完了している。
ステップS22では、衛星(GNSS)からの情報に基いて現在位置特定ブロック2によって、転圧機械200の現在位置を特定する。そして、走行距離演算ブロック3は、後退始点p11から転圧機械200が走行した距離を演算する。
【0053】
次のステップS23では、比較ブロック4は、転圧機械200が後退側の警報地点Xに達したか否かを判断する。
ステップS22、S23における制御の詳細については、図8を参照して後述する。
転圧機械200が点Xに到達したならば(ステップS23がYES)、ステップS24に進む。一方、転圧機械200が点Xに到達していなければ(ステップS23がNO)、ステップS22に戻り、ステップS22以降を繰り返す(ステップS23がNOのループ)。
【0054】
ステップS24では、転圧機械200が点Xに到達しているので、コントロールユニット50は転圧機械200が後退の終点p2に近づいており、走行レーンを移動するべきであると判断する。そして、警報決定ブロック8は、制御信号を警報装置11に発信して、警報装置11は警告音(フリッカー音)を発生し、転圧機械200の操作員に後退の終点p2に近づいていることと、走行レーンを変更するべきことを報知する。
ステップS25では、ステップS21と同様な態様で、転圧機械200の走行距離を演算する。そして、ステップS26に進む。
【0055】
ステップS26では、比較ブロック4は、転圧機械200が後退終点p2(後退から進入への折り返し点)に到達したか否かを判断する。
ステップS25、S26における制御の詳細については、図9を参照して後述する。
転圧機械200が後退終点(後退から進入への折り返し点)p2に到達したならば(ステップS26がYES)、ステップS27に進む。
転圧機械200が後退終点(後退から進入への折り返し点)p2に到達していないならば(ステップS26がNO)、ステップS25に戻り、ステップS25以降を繰り返す(ステップS26がNOのループ)。
【0056】
ステップS27では、転圧機械200が後退終点(後退から進入への折り返し点)p2に到達しているので、コントロールユニット50の警報決定ブロック8は、制御信号を警報装置11に発信する。そして、警報装置11は、警告音(連続音)を発生して、転圧機械200の停止と、走行方向を進入へ切り替えることを、転圧機械200の操作員に勧告する。
ステップS28では、後退方向におけるオーバーランの有無の判断とオーバーラン距離決定に必要な情報を得るために、ステップS21、ステップS25で行なったのと同様な態様で、転圧機械200の走行距離を演算する。
【0057】
次のステップS29では、コントロールユニット50は、転圧機械200の操作員が前進・後進レバー30を操作して、転圧機械200の走行方向を後退から進入へ切り替えたか否かを判断する。
後退から進入へ転圧機械200の走行方向を切り替えたならば(ステップS29がYES)、ステップS30に進む。
後退から進入へ転圧機械200の走行方向を切り替えていない場合には(ステップS29がNO)、ステップS28に戻り、ステップS28以降を繰り返す(ステップS29がNOのループ)。
【0058】
ステップS30では、コントロールユニット50は警告音を停止し、図4のステップS2に制御を進める。それと共に、ステップS28で得た走行距離の演算結果に基いて、転圧機械200が後退終点p2に対してオーバーランしたか否かを判断し、オーバーラン距離を演算し、オーバーランした距離だけ設定進入走行距離Lfに加算して(設定進入走行距離Lfを)補正する。
【0059】
次に、図7のステップS22、S23における制御の詳細について、主として図8に基いて、図2、図3をも参照して説明する。
図8では、図7のステップS21の後の段階から制御が開始される。先ず、図8のステップS221において、GNSS受信機20は衛星(GNSS300:図1参照)からの位置情報を受信する。
ステップS222では、GNSS受信機20が受信した位置情報から、現在位置特定ブロック2により転圧機械200の現在位置を特定する。そして、走行距離演算ブロック3により、特定した転圧機械200の現在位置情報と、後退始点p11の位置情報から、後退始点p11から転圧機械200が走行した距離(現走行距離)を演算する。
【0060】
ステップS231では、コントロールユニット50の比較ブロック4は、後退始点p11から後退側の警報地点Xまでの距離Lr−lrと、ステップS222で演算された後退始点p11から転圧機械200が走行した距離(現走行距離)を比較する。
そして、後退始点p11から転圧機械200が走行した距離(現走行距離)が、後退始点p11から後退側の警報地点Xまでの距離Lr−lr以上であるか否かを判断する(ステップS232)。
後退始点p11から転圧機械200が走行した距離(現走行距離)が、後退始点p11から後退側の警報地点Xまでの距離Lr−lr以上であれば(ステップS232がYES)、ステップS233に進む。
一方、後退始点p11から転圧機械200が走行した距離(現走行距離)が、後退始点p11から後退側の警報地点Xまでの距離Lr−lr未満であれば(ステップS232がNO)、ステップS221まで戻り、再びステップS221以降を繰り返す(ステップS232がNOのループ)。
ステップS233では、後退始点p11から転圧機械200が走行した距離(現走行距離)が、後退始点p11から後退側の警報地点Xまでの距離Lr−lr以上であるため、「転圧機械200が点Xに到達した」と判定する。そして、図7のステップS24に進む。
【0061】
次に、図7のステップS25、S26における制御の詳細について、主として図9に基づいて、図2、図3をも参照して説明する。
図9では、図7のステップS24の後の段階から制御が開始される。先ず、図9のステップS251において、GNSS受信機20は衛星(GNSS300:図1参照)からの位置情報を受信する。
ステップS252では、GNSS受信機20が受信した位置情報に基いて、現在位置特定ブロック2により転圧機械200の現在位置を特定する。そして、現在位置特定ブロック2により特定した転圧機械200の現在位置情報と、後退始点p11の位置情報に基いて、走行距離演算ブロック3により、後退始点p11からの転圧機械200の走行距離(現走行距離)を演算する。
【0062】
次のステップS261では、比較ブロック4において、設定後退走行距離Lrと、後退始点p11からの転圧機械200の走行距離(現走行距離)を比較する。そして、後退始点p11からの転圧機械200の走行距離(現走行距離)が設定後退走行距離Lr以上であるか否かを判断する(ステップS262)。
後退始点p11からの転圧機械200の走行距離(現走行距離)が、設定後退走行距離Lr以上であれば(ステップS262がYES)、ステップS263に進む。
一方、後退始点p11からの転圧機械200の走行距離(現走行距離)が、設定後退走行距離Lr未満であれば(ステップS262がNO)、ステップS251まで戻り、再びステップS251以降を繰り返す(ステップS262がNOのループ)。
ステップS263では、後退始点p11からの転圧機械200の走行距離(現走行距離)が設定後退走行距離Lr以上であるため、「転圧機200が後退終点p2に到達した」と判定して、図7のステップS27に進む。
【0063】
以上説明したように、図示の実施形態によれば、転圧機械200の進入時、後退時に、設定進入走行距離Lf、設定後退走行距離Lrだけ転圧機械200が走行すると、終点警報を発生して、設定進入走行距離Lf或いは設定後退走行距離Lrだけ走行して、転圧機械200が反転すべき位置に到達したことを、転圧機械200の操作員に報知することが出来る。
そのため、操作員の勘に頼ることなく、精度よく転圧機械200を停止、反転させることができる。
【0064】
また、進入或いは後退の終点に至る前の段階(Y点、X点)で、通過警報を発生することにより、転圧機械200の操作員に進入或いは後退の終点が近いことを報知する。そのため、操作員は、終点における反転操作のタイミングを失することなく、転圧機械200を反転させることが出来る。
【0065】
ここで、進入時或いは後退時に、転圧機械200が終点を通り越してしまった(オーバーランした)としても、終点位置から通り過ぎた距離(オーバーラン距離)を求めることが出来る。そして、反転した際に、当該通り過ぎた距離を設定後退走行距離Lr或いは設定進入走行距離Lfに加算することにより、終点に相当する位置に到達した位置を、当初に設定した終点位置と一致させることが出来る。
【0066】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【符号の説明】
【0067】
1・・・入力装置
2・・・現在位置特定ブロック
3・・・走行距離演算ブロック
4・・・比較ブロック
5・・・Lr演算ブロック
6・・・記憶装置
7・・・オーバーラン距離演算ブロック
8・・・警報決定ブロック
9・・・軌跡作成ブロック
10・・・ディスプレイ
11・・・警報装置
20・・・GNSS受信機
30・・・前進後進レバー
40・・・進入後退信号発生ブロック
50・・・コントロールユニット
100・・・走行距離監視装置
200・・・転圧機械

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転圧機械の走行距離を管理するのに必要な情報を入力する入力装置と、操作員に対して進入或いは後退の終点に到達したこと及び終点が近いことを報知する警報装置と、入力装置で入力された情報や転圧機械の走行距離を表示する表示装置を有し、且つ、制御装置を備え、当該制御装置は、
全地球航法衛星システムからの情報により転圧機械の現在位置を特定する現在位置特定ブロックと、
転圧機械の移動開始地点の位置と転圧機械の現在位置から転圧機械の走行距離を演算する走行距離演算ブロックと、
演算された走行距離と入力装置により入力された情報とを比較する比較ブロックと、
演算された走行距離と転圧機械が走行するべき距離の差異が、予め入力装置で入力された距離以下になった場合と、転圧機械の走行距離が入力装置により入力された走行するべき距離になった場合に、警報を発生する旨の制御信号を警報装置に対して出力する警報決定ブロックを備えることを特徴とする転圧機械の走行距離監視装置。
【請求項2】
前記制御装置は、転圧機械が進入或いは後退の終点を通過した場合に、通過した終点と転圧機械が反転した位置との距離を演算するオーバーラン距離演算ブロックを備えている請求項1の転圧機械の走行距離監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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