説明

軸力センサ付ボルト締付工具

【課題】軸力測定に要するコストを低減するとともに、軸力測定の手間を減らし、測定精度を向上させる軸力センサ付ボルト締付工具を提供する。
【解決手段】ボルト1の軸力を測定する軸力測定装置部12とボルト1と嵌合する脱着可能なソケット部13とからなる軸力センサ付ボルト締付工具10であって、軸力測定装置部12は、軸力測定装置本体部12bの一端に形成され、ボルト1と嵌合するソケット部13を取付ける取付部分を有するソケット嵌合部12cと、軸力測定装置本体部12bの内部に収容される軸力センサ11とを備え、ソケット部13は、ソケット本体部13の一端に形成され、軸力測定装置部12のソケット取付部12cと嵌合するための工具嵌合部13aと、ソケット本体部13の他端に形成され、ボルト1と嵌合させるためのボルト嵌合部13bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸力センサ付ボルト締付工具に関する。
【背景技術】
【0002】
各種機器や構造物の連結には、ボルトが多用されている。このボルトは、ボルト軸力、すなわち締付けた際のボルトに作用する引張力を管理する必要がある。このボルト軸力が過大の場合はボルトが折損し、ボルト軸力が過小の場合はボルトが緩む。
【0003】
このボルトの締め付け力を管理する方法の一つに超音波式軸力管理方法がある。この超音波式軸力管理方法は、軸力がボルトに作用して、ボルト全長が伸びることにともなって超音波の伝播時間が長くなることを利用している。
【0004】
しかしながら、軸力計を使用する場合、初期値計測工程、締付け工程、軸力測定工程の3工程を経てボルトの軸力を測定することになる。この方法によると、センサの着脱を伴うため、ボルトの頭部との接触状態が変化して測定精度が低下するといった不具合が生じていた。
【0005】
そこで、ボルト軸力を超音波を利用して測定する超音波センサをボルト締め付け工具に一体化させた軸力センサ付ボルト締付工具が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平04−348878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の軸力センサ付ボルト締付工具は、締付工具とセンサが完全に一体化されてしまっているため、ボルト頭部のサイズ毎に軸力センサ付ボルト締付工具を必要としていた。したがって、センサ自体が高価なため、ボルト種類が多くなればなるほどコストが増加してしまう問題点があった。また、軸力センサ間にばらつきがあるため、そのばらつきの較正の回数も工具サイズ毎に実施する必要があり測定に手間がかかった。さらに、熱膨張による軸力の測定誤差を補正するために、ボルトの温度を別体の温度センサで測定し、その数値をインプットしているため、測定時に手間がかかり、温度の読み違いや測定装置への入力ミスなどの人為的な測定ミスが発生しやすかった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、軸力測定に要するコストを低減するとともに、軸力測定の手間を減らし、測定精度を向上させる軸力センサ付ボルト締付工具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
【0009】
本発明は、ボルト(1)の軸力を測定する軸力測定装置部(12)とボルト(1)と嵌合する脱着可能なソケット部(13)とからなる軸力センサ付ボルト締付工具(10)であって、前記軸力測定装置部(12)は、軸力測定装置本体部(12b)の一端に形成され、ボルト(1)と嵌合する前記ソケット部(13)を取付ける取付部分を有するソケット嵌合部(12c)と、前記軸力測定装置本体部(12b)の内部に収容される軸力センサ(11)とを備え、前記ソケット部(13)は、ソケット本体部(13)の一端に形成され、前記軸力測定装置部(12)の前記ソケット取付部(12c)と嵌合するための工具嵌合部(13a)と、前記ソケット本体部(13)の他端に形成され、ボルト(1)と嵌合させるためのボルト嵌合部(13b)とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、異なるボルトのサイズを測定する場合であっても、ボルトと嵌合するソケット部のみを交換することにより軸力測定装置部を共有することができる。これにより、軸力測定に使用する軸力センサを減らすことができるため、軸力センサ間のばらつきがなくなり、軸力センサ毎の較正が不要となる。したがって、軸力測定に要するコストを低減するとともに測定精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下では図面等を参照して本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明による軸力センサ付ボルト締付工具の第1実施形態を示す図である。
【0012】
本実施形態の軸力センサ付ボルト締付工具10は、ボルト1の軸力を測定する軸力センサ11と、ボルト1と嵌合する交換可能なソケット13と、軸力センサ11を保持してソケット13と嵌合してボルト1を締め付けるトルクを伝達する締付けトルク伝達部12から構成されている。
【0013】
軸力センサ11は円柱状に形成され、ボルト1と接触して軸力を測定する先端部11aと、その反対側にT字形のセンサ受部11bを備える。軸力センサ11の内部には、ボルト1の軸力を測定する超音波センサが内蔵され、ボルト1の全長を測定して軸力を算出可能とする。センサ受部11bは、締付けトルク伝達部12の貫通孔12eの径よりも大きくなるように形成され、軸力センサ11が締付けトルク伝達部12から脱落するのを防ぐ。また、軸力センサ11は、センサ受部11b側に図示しない軸力計に接続するためのリード線14を備える。センサ受部11bには、後述する引張りバネ17の一端と止着させるための止着部11cを備える。
【0014】
締付けトルク伝達部12は、図示しないトルクレンチからの締付けトルクを伝達するためのトルクレンチ嵌着部12aと、胴部12bと、ソケット13と嵌合するためのソケット嵌合部12cから構成される。締付けトルク伝達部12は、略円柱状に形成される。
【0015】
トルクレンチ嵌着部12aには、トルクレンチと係合する方形凹部12hを形成する。トルクレンチ嵌着部12aは、内部にさらに凹孔を有し、後述する軸力センサ収容部12dとして底部12iまで連続的に形成される。トルクレンチ嵌着部12aにトルクレンチを嵌着させて締付けることによりトルクをソケット13に伝達する。
【0016】
胴部12bは、トルクレンチ嵌着部12aから軸方向底部に向けて円柱状に形成される。胴部12bの外径は、トルクレンチ嵌着部12aよりもやや小さいため、トルクレンチ嵌着部12aから胴部12bに向けて外周面において傾斜面を形成する。胴部12bの側面には、軸力センサ11に接続するリード線14を挿通するためのリード線挿通口12fを有する。
【0017】
軸力センサ収容部12dには、底部12iからソケット嵌合部12cに向けて貫通する貫通孔12eが形成されている。軸力センサ収容部12dは、軸力センサ11を同軸的に収容する。
【0018】
軸力センサ収容部12dの内周面には、貫通孔12eと同心状にとなる挿通孔15aを有する円環状のストッパー15が配置されている。ストッパー15は、底部12iと平行に底部12iから間隔を開けて配置されている。
【0019】
軸力センサ収容部12dは、中心に摺動孔16aを有する円板状の摺動部16を備える。摺動部16は、底部12iとストッパー15の間に傾動可能に配置される。摺動孔16aには、摺動自在に軸力センサ11が挿通する。摺動部16は、後述する引張りバネ17を止着するための止着部16bを有する。
【0020】
軸力センサ収容部12dは、同軸的に引張りバネ17を収容する。引張りバネ17は、ストッパー15の挿通孔15aに遊挿される。引張りバネ17は、軸力センサ11を往復移動自在に挿通する。引張りバネ17は、軸力センサ11のセンサ受部11bに備えられた止着部11cと摺動部16に備えられた止着部16bにそれぞれ両端を止着し、軸力センサ11を貫通孔12eの方向に付勢する。
【0021】
ソケット嵌合部12cは、軸線方向に出張る方形断面の凸形状に形成される。ソケット嵌合部12cは、ソケット13の同形状に形成した工具嵌合部13aと嵌合し、トルクレンチ嵌着部12aにかかる締付けトルクを伝達する。
【0022】
ソケット13は円柱状に形成される。ソケット13は工具嵌合部13aを備え、工具嵌合部13aと軸方向反対側にボルト嵌合部13bを備える。ソケット13は、工具嵌合部13aからボルト嵌合部13bに貫通する挿通孔13cを備え、軸力センサ11を遊挿する。ボルト嵌合部13bは、ボルト1と嵌合するために六角形などの方形の凹部に形成される。なお、ボルト嵌合部13bはボルト1の大きさ、形状に合わせて複数種のものが備えられる。
【0023】
次に、上記軸力センサ付ボルト締付工具の作用について説明する。
【0024】
上記軸力センサ付ボルト締付工具を使用するには、まず、軸力測定の対象となるボルト1の頭部に合わせたソケット13を選択する。次に、ソケット13の挿通孔13cに締付けトルク伝達部12から突出する軸力センサ11を挿入し、締付けトルク伝達部12のソケット嵌合部12cにソケット13の工具嵌合部13aを差し込んで固定する。工具嵌合部13aとソケット嵌合部12cの固定方法は、扱いやすさを重視して差込型としているが、ネジ式、スプライン溝とリング溝としてもよい。さらに、測定対象のボルトヘッドにソケット13のボルト嵌合部13bを嵌合させ、締付けトルク伝達部12のトルクレンチ嵌着部12aにトルクレンチを嵌着する。このとき軸力センサ11が引張りバネ17の付勢力でボルト1の頭部に密着する。その後、軸力測定機器のスイッチを入れ、上記トルクレンチによりボルト1を締付ける。その間、ボルト1の軸力は継続的に計測されて測定機器に表示されるため、所望の軸力となるまでボルト1を締付ければよい。また、サイズの異なるボルトを計測する場合は、ソケット13と交換して作業を継続すればよい。
【0025】
引張りバネ17は、軸力センサ11をソケット13側に、また、摺動部16をトルクレンチ嵌着部12a側に付勢する。摺動部16は、ストッパー15によって移動が規制されるため、結果として、軸力センサ11はソケット13側に付勢される。
【0026】
さらに、軸力センサ11は、摺動部16の摺動孔16aと締付けトルク伝達部12の貫通孔12eとソケット13の挿通孔13cを連通し、締付けトルク伝達部12の貫通孔12eとソケット13の挿通孔13c遊挿されている。したがって、軸力センサ11は、摺動部16が傾動可能な量だけ傾動可能であり、軸力センサ収容部12dに備えられるストッパー15と軸力センサ収容部12dの底部12iによって摺動部16の傾動の規制と、締付けトルク伝達部12の貫通孔12eとソケット13の挿通孔13cの形状と内径とによって決定される。
【0027】
本実施形態によれば、ボルト1の頭部が異なる場合であってもソケット13を交換することにより、共通の軸力センサ11を使用することができる。したがって、ボルト径ごとに高価な軸力センサ付測定工具を必要としないため、軸力測定に要するコストを削減することができる。さらに、軸力センサ11を共通化することによってセンサ間のばらつきを考慮する必要がなくなるため、較正の手間を削減でき、軸力測定に要する手間を軽減することができる。
【0028】
さらに、上述の作用によって引張りバネ17は、ソケット13方向に軸力センサ11を付勢するため、確実に軸力センサ11をボルト1の頭部に密着させることができる。また、押しバネを採用した場合には押しバネを固定するための部材を必要とするが、本実施形態では引張りバネ17を採用しているため、そのような部材を必要とすることなく、構造を簡素化することができる。したがって、軸力センサ付ボルト締付工具10の部品点数を減らすことにより製造コストを低減することができる。
【0029】
軸力センサ11は傾動可能であるため、ボルト1の表面が水平でなくても軸力センサ11の先端部11aをボルト1の頭部に直角に密着させることが可能である。したがって、ボルト1を締付ける際に工具が傾いた場合であっても、軸力センサ11に対する引張りバネ17の付勢と軸力センサ11の傾動によって、先端部11aのボルト1の頭部への密着を維持し、工具の倒れによる影響を緩和する構造となっている。
【0030】
(第2実施形態)
図2は、本発明による軸力センサ付ボルト締付工具の第2実施形態を示す図である。図2(A)は、軸力センサ111の平面図、図2(B)は、軸力センサ111の底面図、図2(C)は、軸力センサ111の先端部の拡大図である。
【0031】
なお以下に示す各実施形態では前述した実施形態と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付して重複する説明を適宜省略する。
【0032】
軸力センサ111は、図2(C)に示すように、ケーシング111cと、超音波センサ111aと、温度センサ120と、温度センサ120をボルトに付勢する弾性体121からなる。他の構成については、第1実施形態と同様である。
【0033】
軸力センサ111は、ケーシング111cの内部にボルト1の軸力を測定する超音波センサ111aとボルト1の温度を測定する温度センサ120が並行して収容される。超音波センサ111aは、円柱状であり、軸力センサ111と同軸上に収容されている。温度センサ120は、軸力センサ111の内部に超音波センサ111aと平行に収容される。軸力センサ111は、第1実施形態と同様に締付けトルク伝達部12から突出する構造となっている。さらに、本実施形態では、温度センサ120も締付けトルク伝達部12から突出する方向に付勢する弾性体121を設ける。弾性体121は、引張りバネであり、温度センサ120を遊挿する。温度センサ120の側面には、弾性体121との止着部121bを設ける。軸力センサ111の底部111bにも、弾性体121との止着部111cが設けられており、温度センサ側面部に設けられた止着部121bとともに弾性体121を固定する。
【0034】
超音波センサ111aは、ボルト1の全長を測定して軸力を算出しているため、ボルトの温度による熱膨張の影響で算出される軸力値に差が出てしまう。そこで、ボルト1の温度を測定し、熱膨張による軸力測定の誤差を補正する必要がある。本実施形態では、軸力センサ111の内部に、温度センサ120によってボルト1の温度を測定する。
【0035】
本実施形態によれば、軸力センサ111に温度センサ120が内蔵されているため、軸力測定と同時にボルト1の熱膨張の影響による測定誤差を補正することができる。したがって、温度を測定機器に入力するなどの手間を減少させることで、読み違いや入力間違いによる人為的な測定ミスの発生を未然に防ぎ、正確な軸力測定を行うことを可能とすることができる。また、温度センサ120は、軸力センサ111と同様に、締付けトルク伝達部12から突出する方向に付勢されているため、ボルト1への確実に密着させることができる。
【0036】
(第3実施形態)
図3は、本発明による軸力センサ付ボルト締付工具の第3実施形態を示す図である。
【0037】
本実施形態では、図3に示すように、ソケット113の挿通孔113cは、工具嵌合部113aの径と挿通孔113cの工具嵌合部113a側の径を略等しく形成し、ボルト嵌合部113bに向けて径が徐々に小さくなるように形成される。挿通孔113cのボルト嵌合部113b側の開口部の内径は、第1実施形態と同様に軸力センサ11よりもやや広く形成される。したがって、工具嵌合部113aと挿通孔113cに明確な境界は存在せず、工具嵌合部113aの底面は存在しなくなる。
【0038】
ソケット113の工具嵌合部113aに底部が存在する場合、挿通孔113cの縁に軸力センサ11の先端部11aが接触し、損傷を受けるおそれがある。本実施形態によれば、工具嵌合部113aに底部が存在しないため、図3の破線部で示すように、挿通孔113cの縁に軸力センサ11の先端部11aが接触して損傷を受けることはなくなる。また、ボルト嵌合部113b側に挿通孔113cの開口部を狭くすることで軸力センサ11を支持し、ソケット113の強度を維持することができる。
【0039】
したがって、本実施形態によれば、軸力センサ11の先端部11aがソケット113内部の端面に直接接触しないため、軸力センサ11の損傷を防ぐことができる。
【0040】
(第4実施形態)
図4は、本発明による軸力センサ付ボルト締付工具の第4実施形態を示す図である。
【0041】
ソケット213の工具嵌合部213aは、工具嵌合部213aの開口部からの深さを締付けトルク伝達部12から突出する軸力センサ11よりも長くなるように形成する。また、締付けトルク伝達部12とソケット313が嵌合する前は、図4の破線部で示すように、軸力センサ11の先端部11aと内部壁面の間に隙間を有するように内部壁面を形成する。
【0042】
本実施形態では、ソケット213と締付けトルク伝達部12が同軸的となって嵌合可能な状態になるまでは、直接軸力センサ11の先端部11aが内部壁面の端面と間に隙間を有し、軸力センサ11の先端部11aが挿通孔213cの縁に接触することもない。さらに、ソケット213に締付けトルク伝達部12のソケット嵌合部を挿入すると、軸力センサ11は確実に挿入孔213bに案内される。
【0043】
本実施形態によれば、締付けトルク伝達部12がソケット213と嵌合する前は軸力センサ11の先端部11aがソケット213の工具嵌合部213aの内部壁面に直接接触する端面が存在しないため、軸力センサ11の破損を防ぐことができる。さらに、本実施形態では、工具嵌合部213aとボルト嵌合部213cの間の距離を十分にとれるため、ソケット213の強度を十分に確保することができる。
【0044】
(第5実施形態)
図5は、本発明による軸力センサ付ボルト締付工具の第5実施形態を示す図である。図5(A)は、締付けトルク伝達部12と嵌合する前のソケット313を示し、図5(B)は、締付けトルク伝達部12とソケット313を嵌合した後の軸力センサ付ボルト締付工具を示す。
【0045】
ソケット313は、工具嵌合部313aに軸力センサ11の板状の挿入ガイド314を備える。挿入ガイド314と挿通孔313cの間には弾性体315を同軸的に備える。挿入ガイド314は、中心に軸力センサ11を挿通するためのガイド挿通孔314aを有する。ガイド挿通孔314aは、挿通孔313cの方向に内径が小さくなる構造となっている。弾性体315は、挿入ガイド314を工具嵌合部313aの方向に付勢する。ソケット313の挿通孔313cは、ボルト嵌合部313bに向けて内径が小さくなるように傾斜している。
【0046】
次に、本実施形態における締付けトルク伝達部12とソケット313に嵌合する手順を説明する。まず、締付けトルク伝達部12から突出する軸力センサ11を挿入ガイド314の挿入孔314aに挿入する。次に、締付けトルク伝達部12をソケット313に押し込む。このとき、挿入ガイド314はソケット313の内部にスライドし、軸力センサ11が、ソケット313の挿入孔313cに誘導される。
【0047】
本実施形態によれば、スライドする挿入ガイド314が、確実に軸力センサ11の先端部11aをソケット313の挿入孔313bに誘導することによって、センサ先端部11aを保護することができる。さらに、挿入ガイド314の挿入孔314aやソケットの挿通孔313cに傾斜を設けているため、軸力センサ11の挿入性を向上させている。
【0048】
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明と均等であることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による軸力センサ付ボルト締付工具の第1実施形態を示す図である。
【図2】本発明による軸力センサ付ボルト締付工具の第2実施形態を示す図である。
【図3】本発明による軸力センサ付ボルト締付工具の第3実施形態を示す図である。
【図4】本発明による軸力センサ付ボルト締付工具の第4実施形態を示す図である。
【図5】本発明による軸力センサ付ボルト締付工具の第5実施形態を示す図であり、(A)は、ソケット単体の状態を示し、(B)は、締付けトルク伝達部とソケットが嵌合した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ボルト
10 軸力センサ付ボルト締付工具
11 軸力センサ
12 締め付けトルク伝達部 (軸力測定装置部)
12a トルクレンチ嵌着部
12b 胴部 (軸力測定装置本体部)
12c ソケット嵌合部
12d 軸力センサ収納部
12e 貫通孔
13 ソケット (ソケット部)
13a 工具嵌合部
13b ボルト嵌合部
13c 挿通孔
14 リード線
15 ストッパー
16 摺動部
17 引張りバネ (弾性体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトの軸力を測定する軸力測定装置部とボルトと嵌合する脱着可能なソケット部とからなる軸力センサ付ボルト締付工具であって、
前記軸力測定装置部は、
軸力測定装置本体部の一端に形成され、ボルトと嵌合する前記ソケット部を取付ける取付部分を有するソケット嵌合部と、
前記軸力測定装置本体部の内部に収容される軸力センサと、
を備え、
前記ソケット部は、
ソケット本体部の一端に形成され、前記軸力測定装置の前記ソケット取付部と嵌合するための工具嵌合部と、
前記ソケット本体部の他端に形成され、ボルトと嵌合させるためのボルト嵌合部と、
を備える軸力センサ付ボルト締付工具。
【請求項2】
前記軸力測定装置部において、
前記軸力測定装置本体部の内部から前記ソケット嵌合部に貫通する貫通孔を備え、
前記軸力センサは、前記貫通孔を通って前記軸力測定装置本体部の内部から外部に挿通する、
ことを特徴とする請求項1に記載の軸力センサ付ボルト締付工具。
【請求項3】
前記軸力測定装置部において、
前記軸力センサを前記本体部の内部から外部に突出するように付勢する弾性体を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の軸力センサ付ボルト締付工具。
【請求項4】
前記軸力測定装置部において、
前記弾性体は引っ張り加重により前記軸力センサを付勢する、
ことを特徴とする請求項3に記載の軸力センサ付ボルト締付工具。
【請求項5】
前記軸力測定装置部において、
前記軸力センサの傾きを抑える傾き防止部材を備える、
ことを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の軸力センサ付ボルト締付工具。
【請求項6】
前記軸力測定装置部において、
前記傾き防止部材は前記軸力センサを緩挿し、前記軸力測定装置本体部内に固定されるストッパー部材と、
前記軸力センサを摺動自在に挿通する摺動孔を有し、前記ストッパー部材と前記貫通孔との間に位置する摺動部材と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の軸力センサ付ボルト締付工具。
【請求項7】
前記軸力測定装置部において、
前記摺動部材と前記ストッパー部材との間に隙間を有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の軸力センサ付ボルト締付工具。
【請求項8】
前記軸力測定装置部において、
前記軸力センサはボルトの温度を測定する温度センサを有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の軸力センサ付ボルト締付工具。
【請求項9】
前記軸力測定装置部において、
前記温度センサは前記軸力センサから突出するように弾性体に付勢される、
ことを特徴とする請求項8に記載の軸力センサ付ボルト締付工具。
【請求項10】
前記ソケット部において、
前記軸力センサを挿通する前記工具嵌合部から前記ボルト嵌合部に貫通する挿通孔を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の軸力センサ付ボルト締付工具。
【請求項11】
前記ソケット部において、
前記挿通孔は前記工具嵌合部から前記ボルト嵌合部に向けて孔径が小さくなる、
ことを特徴とする請求項10に記載の軸力センサ付ボルト締付工具。
【請求項12】
前記ソケット部において、
前記挿通孔から前記工具嵌合部方向に位置し、前記挿通孔と同心状に形成される挿入孔を設けたセンサガイド部と、
前記センサガイド部と前記挿通孔との間に前記センサガイド部を前記工具嵌合部方向に付勢する弾性体と、
ことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の軸力センサ付ボルト締付工具。
【請求項13】
前記ソケット部において、
前記工具嵌合部の開口部から前記挿通孔までの長さが前記軸力測定装置から軸力センサの長さよりも長い、
ことを特徴とする請求項10から請求項12までのいずれか1項に記載の軸力センサ付ボルト締付工具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−167815(P2006−167815A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−359763(P2004−359763)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】