説明

軸受け金、および、この軸受け金を製造するための方法

【課題】 本発明は、2つの外周方向内において延在するオイル溝を有する、軸受け金のための製造方法であって、その際、帯状材料10から矩形のプレート12が切断され、且つこのプレート12が、軸受け金1へと変形される様式の上記製造方法に関する。
【解決手段】 幅狭側面13a、13bからこのプレート12の長手方向に、60°に至るまでの角度範囲にわたって延在する、2つの切欠き部4a、4bが打ち抜かれるというやり方で、オイル溝がこのプレート12内へと形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの外周方向内において延在するオイル溝を有する、軸受け金のための製造方法に関し、その際、帯状材料から矩形のプレートが切断され、且つこのプレートが、軸受け金へと変形される。
【背景技術】
【0002】
この様式の軸受け金は、例えば、下側シェルとしてクランクシャフト軸受内へと組み込まれる。例えば、米国特許第4,017,127号明細書(特許文献1)、および、米国特許第4,714,356号明細書(特許文献2)から見て取れるように、オイル溝は、これらの場合、製造方法によって制限されている、単に限定された角度範囲にわたってだけ延在する。これらオイル溝は、即ち、フライス加工工程によって、既に出来上がった軸受け金内へと形成され、このことは、ただある溝長さだけ、最大45°の角度範囲にわたって許容する。
【0003】
頭頂部領域内における、比較的に良好な潤滑オイル供給を達成するために、潤滑オイル溝の延長が望まれている。ドイツ連邦共和国特許出願公開第26 17 843号明細書(特許文献3)から、上記のことに関連して、3つの外周方向において相前後して設けられたオイル溝を有する軸受け金が公知であり、これらオイル溝は、ディスクフライス加工機を用いて、スリットの形状において、出来上がった軸受け金内へと突切り加工される。これらオイル溝は、外周方向において、両側で、それぞれに、シリンダー外套面の形状において延びており、従って、これらオイル溝の間、および、この軸受け金の部材面の領域内において、ウェブが残る。これらウェブは、同時にしかもまた、潤滑オイル供給を遮断する。
【0004】
同時に、流動断面積の拡大も達成しようとされ、このことは、溝底部を有するオイル溝の場合、この溝底部内における材料減少を誘起する。このことによって、無論のこと、この軸受け金の安定性が損なわれる。このオイル溝の拡幅は、ただ制限された状態でのみ可能である。何故ならば、これに伴って、支持面割合の低下が現れるからである。
【特許文献1】米国特許第4,017,127号明細書
【特許文献2】米国特許第4,714,356号明細書
【特許文献3】ドイツ連邦共和国特許出願公開第26 17 843号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、上記の欠点を回避する、製造方法を提供することである。適当な製造方法を提示することは、同様に本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を有する製造方法によって解決される。
【発明の効果】
【0007】
公知の軸受け金の場合にオイル溝が設けられているその場所に、スリット形状の切欠き部が設けられる場合、軸受け金の安定性が阻害されないことが予想外に判明した。これら切欠き部は、有利には中央に設けられており、従って、両側に、2つの同じ大きさの、指状の領域が残る。これら切欠き部の断面積は、溝底部を形成する材料の脱落によって明確に拡大され、このことによって、オイル通路が形成される。これらオイル通路の奥行きのために、この軸受け金の全厚さが使用に供せられる。
【0008】
その際、帯状材料から、矩形のプレートが切断され、且つ、このプレートが軸受け金へと変形される、このような軸受け金を製造するための方法は、幅狭側面からこのプレートの長手方向に、60°に至るまでの角度範囲αにわたって延在する、スリット形状の切欠き部が打ち抜かれるというやり方で、オイル溝がこのプレート内へと形成される。
【0009】
出来上がった軸受け金内における、オイル溝の製造のための手間暇がかかるフライス加工工程は行う必要がない。何故ならば、既にプレート製造の際に、切欠き部は設けられているからである。
【0010】
上記のことによって、出来上がった軸受け金の、45°よりも大きな角度範囲にわたって延在する切欠き部を製造することも可能である。
【0011】
この打ち抜き工程は、帯状材料からのプレートの切断の間に実施され得る。有利には、この切断および打ち抜きは、1つの作業工程内において実施され、従って、これらプレートの製造の際に、如何なる時間の損失も生じない。
【0012】
スロープ状の部分を、これら切欠き部の内側の端部において設けるために、適当な作業工程が、このプレートまたは出来上がった軸受け金において行われる。
【0013】
有利には、このスロープ状の部分は、内側へフライス加工され、このことは、場合によっては、出来上がった軸受け金においても実施され得る。
【0014】
次に、本発明の例示的な実施形態を、以下で、図に基づいて詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1内において、部分面2a、2bを有する、軸受け金1が図示されている。これら部分面2a、2bから、外周方向において、頭頂部7の方向に、スリット形状の切欠き部4a、4bが延在している。これらスリット形状の切欠き部は、有利には、この軸受け金の両方の端側面の間で中央に設けられており、従って、両側で同じ幅広の指状部5a、5b、もしくは5c、5dが残っている。組み込まれた状態において、これらスリット形状の切欠き部4a、4bは、オイル通路3a、3bとして使用され、且つ、従来のオイル溝の代用をする。
【0016】
図2内において、図1内において示された軸受け金1の、線II−IIに沿っての断面図が図示されている。その角度範囲にわたって両方の切欠き部4a、4bが延在する該角度範囲αは、参照符号αでもって指示されている。ここで描かれた範囲は、約60°にわたって延在している。
【0017】
図3内において、更に別の実施形態が図示されており、この実施形態の場合、これら切欠き部4a、4bの内側の端部8a、8bにおいて、それぞれに、スロープ状の部分6a、6bが設けられている。これらスロープ状の部分は、そこで所望される潤滑作用を得るために、頭頂部7の方向に流動するオイルを、軸受け金の内側面上へと運ぶことのために使用される。
【0018】
図4内において、帯状材料10が図示されており、この帯状材料から、切断線11に沿って、プレート12が切断される。このプレート12の幅狭側面13a、13bにおいて、切欠き部4a、4bが打ち抜かれる。この打ち抜きは、適当な切断刃が使用される場合、このプレート12の切断と組み合わされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】透視図における軸受け金の図である。
【図2】図1内において示された軸受け金の、線II−IIに沿っての断面図である。
【図3】更に別の実施形態に従う軸受け金の、図2による断面図である。
【図4】軸受け金を製造するためのプレートの製造方法の、概略的な図である。
【符号の説明】
【0020】
1 軸受け金
2a、b 部分面
3a、b オイル通路
4a、b 切欠き部
5a、b、c、d 指状部
6a、b スロープ状の部分
7 頭頂部
8a、b 内側の端部
10 帯状材料
11 切断線
12 プレート
13a、b プレートの幅狭側面
α 角度範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの外周方向内において延在するオイル溝を有する、軸受け金のための製造方法であって、
その際、帯状材料(10)から矩形のプレート(12)が切断され、且つこのプレート(12)が、軸受け金(1)へと変形される様式の上記製造方法において、
幅狭側面(13a、13b)からこのプレート(12)の長手方向に、60°に至るまでの角度範囲にわたって延在する、2つの切欠き部(4a、4b)が打ち抜かれるというやり方で、オイル溝がこのプレート(12)内へと形成されることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
切欠き部(4a、4b)は、帯状材料(10)からのプレート(12)の切断の間に打ち抜かれることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
切断および打ち抜きは、1つの作業工程内において行われることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
プレート(12)、または軸受け金(1)内へと、切欠き部(4a、4b)の内側の端部(8a、8b)において、それぞれに1つのスロープ状の部分(6a、6b)が形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項5】
スロープ状の部分(6a、6b)はフライス加工されることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−500582(P2009−500582A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520710(P2008−520710)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【国際出願番号】PCT/DE2006/001206
【国際公開番号】WO2007/006291
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(501014452)フエデラル―モーグル・ウイースバーデン・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシユレンクテル・ハフツング (21)
【Fターム(参考)】