軸心位置補正装置及びローラ組付装置
【課題】製品(トリポード部材)にセンター穴を必要とせず、かつセンター出し冶具が不要となる軸心位置補正装置、軸心位置補正方法、トリポード部材、及びトリポード型等速自在継手を提案する。
【解決手段】ボス2と、ボス2の円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸3とを有するトリポード部材1の軸心位置補正するものである。ボス2の軸線が鉛直線上に配置されるトリポード部材1に対してその脚軸3の胴部3aの高さ位置を検出する。その高さ位置のピーク値と製品寸法データとに基づいて、脚軸3の軸心位置決めを行う。
【解決手段】ボス2と、ボス2の円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸3とを有するトリポード部材1の軸心位置補正するものである。ボス2の軸線が鉛直線上に配置されるトリポード部材1に対してその脚軸3の胴部3aの高さ位置を検出する。その高さ位置のピーク値と製品寸法データとに基づいて、脚軸3の軸心位置決めを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸心位置補正装置、軸心位置補正方法、トリポード部材、トリポード型等速自在継手、ローラ組付装置、及びローラ組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
等速自在継手には、その内側継手部材としてトリポード部材を用いたトリポード型等速自在継手がある。図17に示すように、トリポード型等速自在継手は、一般には、内周面101に軸方向に延びる三本のトラック溝102が形成され、各トラック溝102の両側でそれぞれ軸方向に延びるローラ案内面102aを有する外側継手部材103と、半径方向に突出した三本の脚軸104を有するトリポード部材105と、前記トリポード部材105の脚軸104に回転自在に支持されると共に前記外側継手部材のトラック溝102に転動自在に挿入されたローラ106とを備える。
【0003】
この図例では、トルク伝達部材として、前記ローラ106と、脚軸104とローラ106との間に介在される針状ころ107とで構成される。また、脚軸104の先端側にはアウタワッシャ110が配設され、さらに、脚軸104の先端側(アウタワッシャ110よりも先端側)には周方向溝111が形成され、この周方向溝111にサークリップ(止め輪)112が装着されている。アウタワッシャ110はサークリップ112によって軸方向移動が規制され、その結果、針状ころ107の軸方向の外方への移動(抜け)が規制される。また、アウタワッシャ110と反対側にはインナワッシャ113が配設される。なお、トリポード部材105は、ボス部115と、このボス部115から突設される前記脚軸104とからなる。
【0004】
このように、トリポード部材105は、その脚軸104には針状ころ(ニードルローラ)107を介してローラ106が外嵌される。このため、脚軸104の胴部は、研磨仕上げされる。そして、この研磨仕上げを行う際には、特許文献1等に記載のチャック装置が用いられる。
【0005】
特許文献1に記載のチャック装置は、一つの脚軸(トラニオン軸)の先端面に形成されたセンター穴に係合する心押台センターと、他の2つの脚軸を保持するチャックとを備えたものである。この場合のチャックは、一対のV溝ストッパを有し、各V溝ストッパにそれぞれの脚軸を挟持するものである。
【0006】
ところで、図17に示すようなトリポード型等速自在継手では、ローラ、針状ころ、アウタワッシャ110、サークリップ112、インナワッシャ113等の複数の部品を必要としていた。このため、図18に示すようなトリポード型等速自在継手を構成すれば、多くの部品を省略できる。すなわち、脚軸104の先端に外鍔部120を設ければ、針状ころの抜け止めが形成され、図17に示すトリポード型等速自在継手において必要としたアウタワッシャ110、サークリップ112、インナワッシャ113等を省略することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭58−126004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1に記載のものでは、チャックにてトリポード部材をチャックして、チャックの回転中心と心押台センターの軸心とを一致させるものである。このため、このような装置を用いる場合、脚軸(トラニオン軸)の先端面にセンター穴を設ける必要があり、生産性に劣ることになっていた。また、生産型番の段取り部品によるセンター出し冶具を必要としていた。
【0009】
図18に示すように、部品点数を減少させるために、脚軸104の先端に外鍔部120を設ければ、図19に示すように、周方向に配設された針状ころ107にて形成される短円筒状体108の内径φAが外鍔部120の外径φBよりも小さい。このため、脚軸104の軸方向から針状ころ107を組み付けることができず、脚軸104に外鍔部120を有するものに対しては軸方向から針状ころ107を組み付け方法を採用することができない。
【0010】
しかも、このようなトリポード部材においては、脚軸(トラニオン軸)の先端面にセンター穴を有さないものであっては、組み付けができなかった。
【0011】
そこで、本発明は斯かる実情に鑑み、製品(トリポード部材)にセンター穴を必要とせず、かつセンター出し冶具が不要となる軸心位置補正装置、軸心位置補正方法、トリポード部材、及びトリポード型等速自在継手を提供することにあり、さらには、部品点数を減少させることができるトリポード型等速自在継手を組み立てることが可能なローラ組立装置及びローラ組立方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の軸心位置補正装置は、ボスと、このボスの円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸とを有するトリポード部材の軸心位置補正装置であって、前記トリポード部材をそのボスの軸線が鉛直線上に配置されるようにボスを支持するチャック手段と、チャック手段にて支持されているトリポード部材を前記軸線廻りに回転させる回転駆動手段と、チャック手段にて支持されているトリポード部材を上下動させる上下動手段と、チャック手段にて支持されているトリポード部材の脚軸の胴部の高さ位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段にて検出された脚軸の胴部の高さ位置のピーク値に基づいて前記脚軸の軸心位置決めを行う制御手段とを備えたものである。
【0013】
本発明の軸心位置補正装置によれば、チャック手段にて、トリポード部材をそのボスの軸線が鉛直線上に配置されるように支持することができる。この支持状態で、位置検出手段にてトリポード部材の脚軸の胴部の高さ位置を検出することができる。この高さ検出は、回転駆動手段にてトリポード部材を軸線廻りに回転させつつ行っても、トリポード部材を停止させて位置検出手段をトリポード部材の軸線廻りに回転させつつ行ってもよい。
【0014】
制御手段では、位置検出手段にて検出された脚軸の胴部の高さ位置のピーク値に基づいて、脚軸の軸心位置決めを行うことができる。すなわち、上下動手段にて上下方向高さを調整し、回転駆動手段にて周方向位置を調整することになる。この場合、上下方向高さにおいては、一致して調整する必要がない場合がある。
【0015】
チャック手段は、トリポード部材のボスを支持するものである。このため、トリポード部材の脚軸の先端面にセンター穴を設ける必要がなく、しかも、センター出し冶具が不要となる。
【0016】
製品寸法データを記憶する記憶手段を備え、制御手段は、位置検出手段にて検出された脚軸の胴部の高さ位置のピーク値と前記記憶手段のデータとを比較して補正値を演算するようにできる。また、記憶手段は、複数の製品寸法データを記憶しているものが好ましい。
【0017】
前記位置検出手段は、非接触型センサにて構成されるものであっても、接触型センサにて構成されるものであってもよい。
【0018】
また、前記位置検出手段は、ボス部の軸線廻りに回転しているトリポード部材における脚軸の胴部の高さ位置を検出するものであっても、停止しているトリポード部材における脚軸の胴部の高さ位置を検出するものであってもよい。
【0019】
本発明の軸心位置補正方法は、ボスと、このボスの円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸とを有するトリポード部材の軸心位置補正方法であって、トリポード部材をそのボスの軸心孔を用いて支持して、ボスの軸線が鉛直線上に配置される状態とした後、この状態におけるトリポード部材に対してその脚軸の胴部の高さ位置を検出して、その高さ位置のピーク値と製品寸法データとに基づいて、脚軸の軸心を補正するものである。この際、トリポード部材を回転及び/又は上下動させて補正する。
【0020】
本発明のトリポード部材は、前記軸心位置補正方法にて脚軸の軸心が補正された状態で、この脚軸の胴部の仕上加工を行われて完成されたものである。
【0021】
本発明のトリポード型等速自在継手は、前記トリポード部材を内側継手部材として用いたものである。
【0022】
本発明の第1のローラ組付装置は、ボスとこのボスの円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸とを有するトリポード部材の脚軸にニードルローラを介してローラを外嵌するローラ組付装置であって、ローラとトリポード部材の脚軸とを同一軸心上に保持した状態でチャックする組付用チャック手段と、組付用チャック手段にてチャックしているトリポード部材に対して脚軸胴部の外周側からニードルローラを脚軸の軸心と平行状態を維持しつつ供給して組み付けるニードルローラ供給手段と、前記ニードルローラ供給手段側とトリポード部材側との相対的な回転によって他のニードルローラの組み付けを許容する回転駆動手段と、全周に複数のニードルローラが組み付けられた脚軸に対してその軸心方向に沿って前記ローラを嵌入してローラを装着する装着手段とを備えたものである。
【0023】
本発明の第2のローラ組付装置は、ボスとこのボスの円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸とを有するトリポード部材の脚軸にニードルローラを介してローラを外嵌するローラ組付装置であって、ローラとトリポード部材の脚軸とを同一軸心上に保持した状態でチャックする組付用チャック手段と、チャック手段にてチャックしているトリポード部材に対して脚軸胴部の外周側からニードルローラを脚軸の軸心と平行状態を維持しつつ供給して組み付けるニードルローラ供給手段と、前記ニードルローラ供給手段側とトリポード部材側との相対的な所定角度範囲内の回動である揺動によって他のニードルローラの組み付けを許容する揺動手段と、全周に複数のニードルローラが組み付けられた脚軸に対してその軸心方向に沿って前記ローラを嵌入してローラを装着する装着手段とを備えたものである。
【0024】
本発明の第1または第2のローラ組付装置によれば、組付用チャック手段にて、ローラとトリポード部材の脚軸とを同一軸心上に保持した状態でチャックすることができる。この組付用チャック手段にてローラとトリポード部材をチャックしている状態において、ニードルローラ供給手段からニードルローラを脚軸の軸心と平行状態を維持しつつ供給して脚軸に組み付けることができる。ニードルローラ供給手段側とトリポード部材側との相対的な回転または揺動によって、順次複数のニードルローラを脚軸に組み付けることができる。このニードルローラの組み付け終了後、装着手段にて、脚軸にその軸心方向に沿ってローラを嵌入することができ、これによって、ローラの組み付けが完了する。
【0025】
このように、ニードルローラが脚軸の軸心と平行状態を維持しつつ供給されるものであり、ニードルローラを軸方向に沿って組み付けるものではない。このため、脚軸の先端に外鍔部が設けられていても、この外鍔部に妨げられることなく、ニードルローラを組み付けることができる。また、組付用チャック手段はトリポード部材のボスを支持するものである。このため、トリポード部材の脚軸の先端面にセンター穴を設ける必要がなく、しかも、センター出し冶具が不要となる。
【0026】
本発明の第1または第2ローラ組付装置において、前記軸心位置補正装置を備え、この軸心位置補正装置を用いて軸心位置が補正されたトリポード部材の脚軸に対して、ニードルローラ及びローラを組み付けるようにするのが好ましい。
【0027】
前記回転駆動手段は、トリポード部材側を回転(または揺動)させも、ニードルローラ供給側を回転(揺動)させてもよい。
【0028】
ニードルローラ供給手段は、シリンダ機構の押圧力にてニードルローラを組み付けるものであっても、エアーブロー機構を備え、このエアーブロー機構のエアーブロー力にてニードルローラを組み付けるものであってもよい。
【0029】
本発明のローラ組付方法は、ボスとこのボスの円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸とを有するトリポード部材の脚軸にニードルローラを介してローラを外嵌するローラ組付方法であって、トリポード部材の脚軸の外周側から複数のニードルローラを脚軸の軸心と平行状態を維持しつつ順次供給して組み付けた後、脚軸に対してその軸心方向に沿ってローラを嵌入してローラを脚軸に装着するものである。
【0030】
本発明のローラ組付方法によれば、ニードルローラが脚軸の軸心と平行状態を維持しつつ供給されるものであり、ニードルローラを軸方向に沿って組み付けるものではない。このため、脚軸の先端に外鍔部が設けられていても、この外鍔部に妨げられることなく、ニードルローラを組み付けることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の軸心位置補正装置及び軸心位置補正方法では、トリポード部材の脚軸の先端面にセンター穴を設ける必要がなく、しかも、センター出し冶具が不要となる。このため、センター穴が無い製品(トリポード部材)に対応することができ、生産性の向上及び低コスト化を図ることができる。
【0032】
記憶手段を備えたものでは、高さ位置のピーク値と製品寸法データとを比較することで、最適な補正量を算出することができ、製品公差によらない高精度な補正(芯位置補正)を行うことができる。記憶手段が、複数の製品寸法データを記憶したものであれば、製品毎に高精度な補正を行うことができるとともに、複数種のトリポード部材に対応でき、汎用性に優れる。
【0033】
本発明のトリポード部材では、高品質の製品を提供でき、本発明のトリポード型等速自在継手では、高精度のトルク伝達機能を発揮できる。
【0034】
本発明のローラ組付装置では、脚軸の先端に外鍔部が設けられていても、この外鍔部に妨げられることなく、ニードルローラを組み付けることができる。このため、従来におけるワッシャやサークリップ等を省略することができ、部品点数の減少を図って、組立性の向上及び低コスト化を図ることができる。しかも、トリポード部材の脚軸の先端面にセンター穴を設ける必要がなく、センター出し冶具が不要となる。このため、センター穴が無い製品(トリポード部材)に対応することができ、一層、生産性の向上及び低コスト化を図ることができる。
【0035】
軸心位置補正装置を備えたローラ組付装置では、高品質の製品を提供でき、高精度のトルク伝達機能を発揮できるトリポード型等速自在継手を提供できる。
【0036】
回転駆動手段は、トリポード部材側を回転(または揺動)させても、ニードルローラ供給側を回転(揺動)させてもよく、さらには、ニードルローラ供給手段は、シリンダ機構を備えたものであっても、エアーブロー機構を備えたものであってもよく、装置の設計自由度が広がる。
【0037】
本発明のローラ組付方法では、外鍔部に妨げられることなく、ニードルローラを組み付けることができ、部品点数の減少を図って、組立性の向上及び低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態を示す軸心位置補正装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】前記軸心位置補正装置の側面図である。
【図3】前記軸心位置補正装置の正面図である。
【図4】前記軸心位置補正装置の平面図である。
【図5】前記軸心位置補正装置の要部断面図である。
【図6】前記軸心位置補正装置の上下動手段の説明図である。
【図7】前記軸心位置補正装置を用いた軸心位置補正方法のフローチャート図である。
【図8】本発明のローラ組付装置にて組み付けられたトリポード型等速自在継手の要部断面図である。
【図9】前記トリポード型等速自在継手のトルク伝達部材とトリポード部材との分解斜視図である。
【図10】本発明のローラ組付装置の要部簡略図である。
【図11】前記図10に示すローラ組付装置を用いたローラ組付方法を示す要部簡略図である。
【図12】前記図10に示すローラ組付装置を用いたローラ組付方法を示す要部簡略図である。
【図13】前記図10に示すローラ組付装置を用いたローラ組付方法を示す要部簡略図である。
【図14】前記図10に示すローラ組付装置を用いたローラ組付方法を示す要部簡略図である。
【図15】前記図10に示すローラ組付装置を用いたローラ組付方法を示す要部簡略図である。
【図16】前記図10に示すローラ組付装置のニードルローラ供給手段の簡略図である。
【図17】従来のトリポード型等速自在継手の断面図である。
【図18】従来のトリポード型等速自在継手のトリポード部材にトルク伝達部材が組付けられた状態を示す要部断面図である。
【図19】従来のトリポード型等速自在継手のトリポード部材とトルク伝達部材との関係を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
【0040】
図1は本発明の軸心位置補正装置の全体構成を示すブロック図を示し、この軸心位置補正装置は、トリポード部材1(図4等参照)の軸心位置補正装置である。ここで、トリポード部材1は、図4に示すように、ボス2と、このボス2の円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸3とを有するものであり、トリポード型等速自在継手の内側継手部材を構成する。また、トリポード型等速自在継手は、図8に示すように、内周面に軸方向に延びる三本のトラック溝71が形成され、各トラック溝71の両側でそれぞれ軸方向に延びるローラ案内面71a,71aを有する外側継手部材72と、半径方向に突出した三本の脚軸3を有するトリポード部材1と、前記トリポード部材1の脚軸3に回転自在に支持されると共に前記外側継手部材のトラック溝に転動自在に挿入されたローラ73とを備える。
【0041】
トルク伝達部材として、前記ローラ73と、脚軸3とローラ73との間に介在される針状ころ(ニードルローラ)74とで構成される。また、トリポード部材1の脚軸3は、ローラ73が外嵌される胴部3aと、その胴部3aの先端部に周溝5を介して連設される鍔部6とを備える。また、ボス2には軸心孔2aが形成されている。なお、図9に示すように、ローラ73の内径寸法は脚軸3の鍔部6の外径寸法よりも大きく設定される。
【0042】
軸心位置補正装置は、図2と図3に示すように、トリポード部材1をそのボス2の軸線L1が鉛直線上に配置されるように支持するチャック手段10と、チャック手段10にて支持されているトリポード部材1を前記軸線L1廻りに回転させる回転駆動手段11と、チャック手段10にて支持されているトリポード部材1を上下動させる上下動手段12と、チャック手段10にて支持されているトリポード部材1の脚軸3の胴部3aの高さ位置を検出する位置検出手段13と、位置検出手段13にて検出された脚軸3の胴部3aの高さ位置のピーク値に基づいて前記脚軸3の軸心位置決めを行う制御手段14とを備える。また、記憶手段15から制御手段14に複数種類の製品寸法データが入力される。なお、軸心位置決めを行う場合、前記回転駆動手段11及び上下動手段12を制御して行うことになるが、上下方向高さを補正する必要が無い場合がある。このような場合には、回転駆動手段11のみを制御して位置決めを行うことになる。
【0043】
制御手段14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を中心としてROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等がバスを介して相互に接続されたマイクロコンピューターである。記憶手段15としての記憶装置は、HDD(Hard Disc Drive)やDVD(Digital Versatile Disk)ドライブ、CD−R(Compact Disc-Recordable)ドライブ、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)等のからなる。なお、ROMには、CPUが実行するプログラムやデータが格納されている。
【0044】
チャック手段10は、トリポード部材1のボス2の軸心孔2aを用いるものであって、図5に示すように、周方向に沿って配設される複数個のセグメント20と、このセグメント20にて構成される筒状体19に嵌入される拡径用ロッド22とを備える。セグメント20は、その内面が下方から上方に向かって外径側へ傾斜するテーパ面21aとされた本体部21と、この本体部21の下方側に連設される下部係合部23と、本体部21の上方側に連設される上部薄肉部24とからなる。下部係合部23には係合用溝23aが形成されている。複数のセグメント20を周方向に沿って配設することによって、トリポード部材1のボス2が外嵌される筒状体19が形成される。
【0045】
また、拡径用ロッド22は中空軸25に挿通され、その先端部に下方から上方に向かって拡径する拡径部26が形成されている。そして、中空軸25の上方開口部には前記下部係合部23の係合用溝23aが係合する内鍔部27が設けられている。すなわち、中空軸25の上方開口部に大径部25aが形成され、この大径部25aの開口端に前記内鍔部27が形成される。この際、中空軸25の内鍔部27が拡径用ロッド22の下部係合部23の係合用溝23aに嵌合(係合)する。
【0046】
このチャック手段10にてトリポード部材1をチャックするには、まず、複数個のセグメント20をリング状に配設して中空軸25上に立設する。すなわち、中空軸25の内鍔部27をセグメント20の下部係合部23の係合用溝23aに嵌合(係合)させる。これによって、セグメント20の本体部21の下面が中空軸25の上面30に載置され、この本体部21乃至上部薄肉部24が中空軸25の上面30から上方へ突設される。
【0047】
この状態で、トリポード部材1のボス2をリング状に配設されたセグメント20に嵌入させて、ボス2の一方の端面を中空軸25の上面30に載置させる。この状態では、拡径用ロッド22を図5の図面左側のように、上昇させておく。このため、セグメント20のテーパ面21aと拡径用ロッド22の拡径部26の外径面との間に隙間が設けられる。
【0048】
その後、拡径用ロッド22を図5の図面右側のように、下降させる。この下降によって、拡径用ロッド22の拡径部26の外径面がセグメント20のテーパ面21aに圧接することになる。このため、各セグメント20が外径方向にスライドして、各セグメント20の外面がボス2の軸心孔の内径面に圧接する。これによって、トリポード部材1は、中空軸25の上面30に載置された状態で、この中空軸25に固定される。この状態では、ボス2の軸線L1が鉛直軸上に配置されている。
【0049】
ところで、拡径用ロッド22は、装置本体枠35に付設された鉛直方向往復動機構36によって行われる。鉛直方向往復動機構36は、例えば、モータ(例えば、サーボモータ)等の駆動機構と、この駆動機構の駆動力を拡径用ロッド22に伝達する伝達機構等で構成することができる。また、シリンダ機構、ボールねじ機構等にて構成することもできる。
【0050】
回転駆動手段11は、図2と図4に示すように、モータ(例えば、サーボモータ)等の駆動機構40と、この駆動機構40の駆動力(回転力)を、中空軸25に伝達する駆動力伝達機構41とを備える。駆動力伝達機構41は、ベルト機構にて構成される。すなわち、駆動機構40の出力軸に外嵌固定されるプーリ42と、鉛直方向往復動機構36よりも下方へ突出する中空軸25の下部に外嵌固定されるプーリ43と、これらのプーリ42、43に掛け回されるベルト44とを備える。なお、中空軸25は、鉛直方向往復動機構36内を挿通され、この鉛直方向往復動機構36内に介在される軸受機構にてその軸心廻に回転自在に支持されている。このため、駆動機構40が駆動すると、その回転駆動力が駆動力伝達機構41を介して中空軸25に伝達され、この中空軸25が回転する。すなわち、図4に示すように、トリポード部材1を、そのボス2の軸心廻りに任意の角度例えばθだけ回転させることができる。
【0051】
上下動手段12は、モータ(例えば、サーボモータ)等の駆動機構50と、この駆動機構50の駆動力(回転力)を中空軸25に伝達する駆動力伝達機構51とを備える。駆動力伝達機構51は、カム機構52と、このカム機構を駆動するために往復機構53とを備える。往復機構53はボールねじ機構にて構成している。すなわち、往復機構53は、前記駆動機構50の駆動力にてその軸心廻りに回転するねじ軸55と、このねじ軸55に螺合しているナット部材を有する往復動体56とを備える。ねじ軸55は支持体65にて回転自在に水平状に支持されている。そして、駆動機構50からの駆動力の伝達によって、ねじ軸55がその軸心廻りに回転して、往復動体(スライダ)56が支持体65のガイド部にガイドされてねじ軸55の軸心に沿って往復動する。
【0052】
往復動体56は、基部57と、この基部57に付設される支持部58とを有し、また、支持部58は、基部57上に配置される水平片58aと、この水平片58aから立設される立ち上がり片58bとからなる。そして、この支持部58の立ち上がり片58bには、回転自在なころ60が付設されて、このころ60の上方には、このころ60が転動するカム板61が配置されている。
【0053】
このカム板61は、図6に示すように、その下面がテーパ面からなるカム面61aが形成されている。このため、図6(b)に示すように、カム板61のカム面61aの長手方向(転動方向)中央部がころ60に接触している状態において、図6(a)に示すように、前記駆動機構50の駆動によって往復動体56が矢印Aのようにスライドすれば、ころ60がカム板61のカム面61aを転動することになる。この際、カム面61aはテーパ面であるので、往復動体56が図6(a)の状態となれば、カム板61は所定量A1だけ上昇することになる。また、図6(b)に示す状態から図6(c)に示すように、駆動機構50の駆動によって往復動体56が矢印Bのようにスライドすれば、ころ60がカム板61のカム面61aを転動して、カム板61は所定量A2だけ下降することになる。
【0054】
そして、カム板61には連結部材62が連結され、カム板61の上下動が中空軸25に連動され、中空軸25の上面に載置固定されているトリポード部材1は、ボス2の軸心に沿って上下動する。
【0055】
位置検出手段13は、軸合わせされるトリポード部材1の上方に配置されたセンサ(ビームセンサ)にて構成される。センサ(ビームセンサ)としては、例えば、距離設定反射型センサを用いることができる。距離設定反射型センサは、投光レンズと受光レンズを持ち、図2に示すように、投光レンズから出た光Laが検出物体(トリポード部材1の脚軸3の胴部3a)に当たり反射した光Lbを受光レンズが受け2分割フォトダイオードに導く。ここで、上下2分割のフォトダイオードに発生する出力電圧の比が等しくなる位置をもとに距離判断を行なうものである。
【0056】
次に、前記のように構成された装置にて、トリポード部材1の軸心合わせを行う方法を説明する。まず、記憶手段15に、軸心合わせを行うトリポード部材1の製品寸法データを記憶させる。そして、トリポード部材1を図2と図3に示すように、セットする。すなわち、複数のセグメント20を周方向に沿って配設して、このセグメント20からなる筒状体19を中空軸25に対して立設させる。また、この状態では、拡径用ロッド22を延ばした状態(上昇させた状態)としておく。この状態で、トリポード部材1のボス2を筒状体19に挿通させて、中空軸25の上面に載置する。次に、拡径用ロッド22を引っ込めた状態として、各セグメント20を外径方向(径方向外側)に押し広げる。これによって、トリポード部材1をそのボス2の軸線L1が鉛直線上に配置されるようにボス2の軸心孔2aを用いて支持することになる。
【0057】
その後は図7に示すフローチャートに従って、軸心補正が行われる。ステップS1のように、トリポード部材1の脚軸3の胴部3aの高さ位置を、位置検出手段13にて検出する。この際、回転駆動手段11にてトリポード部材1をそのボス2の軸線廻りに回転させる。すなわち、中空軸25をその軸心廻りに回転させる。これによって、位置検出手段13では、脚軸3の胴部3aの高さのピーク値を検出する。なお、このピーク値は、軸心から外径方向に所定寸だけ離れた位置のピーク値である。
【0058】
次に、ステップS2へ移行して、位置検出手段13の検出データ(ピーク値)を製品寸法データと比較する。すなわち、製品寸法データにおける軸心から外径方向に所定寸だけ離れた位置でのデータと検出データとを比較して、検出データと製品寸法データとから軸心位置(脚軸3の軸心位置)を演算する。
【0059】
その後は、ステップS3へ移行してこの演算値に従って、上下方向高さ及び周方向位置の位置決めを行う。すなわち、上下動手段12にて上下方向高さを調整し、回転駆動手段11にて周方向位置を調整することになる。この場合、上下方向高さにおいては、一致して調整する必要がない場合がある。これらによって、脚軸3に対する軸心補正動作が終了する。
【0060】
このように、脚軸3に対する軸心補正動作が終了すれば、この脚軸3の胴部3aの研磨仕上げを行うことになる。そして、他の2つの脚軸3についても同様の軸心補正動作を行って胴部3aの研磨仕上げを行うことになる。そして、このように成形されたトリポード部材1は、トリポード型等速自在継手の内側継手部材としてのトリポード部材として用いられ、トリポード型等速自在継手が組立てられる。
【0061】
ところで、前記実施形態では、位置検出手段13にて高さ位置(ピーク値)を検出する場合、位置検出手段13側を固定して、トリポード部材1側を回転させていたが、逆に、トリポード部材1側を固定して、位置検出手段13側を回転させるようにしてもよい。すなわち、位置検出手段13を構成するセンサをボス2の軸心廻りに回転させればよい。
【0062】
位置検出手段13を構成するセンサとして、前記実施形態では非接触式変位センサを用いたが、接触式変位センサを用いてもよい。接触式変位センサは、一般的に、差動トランスは3つのコイルと可動鉄心で構成される。1次コイルを交流(一定周波数電圧)で励磁すると被測定物体に連動して動く可動鉄心により2次コイルに誘起電圧が発生する。これを差動結合し、電圧差として取り出し、変位出力とする。可動鉄心が左右対称の位置すなわち中央に位置している時は、左右に誘起される交流電圧は等しくなり、電圧差が0となり出力は0となる。可動鉄心の位置が中央からずれると、左右コイルの誘起電圧に差が生じ、その差に比例した交流電圧が現れる。この交流電圧を1次コイルに流した交流電圧とくらべると可動鉄心が右にある場合と左にある場合とでは波形(位相)が逆になる。この現象を利用して可動鉄心の左右の変位の大きさを正負の直流電圧の大きさに変換し、可動鉄心の変位を測定する。
【0063】
このように、位置検出手段13に接触式変位センサを用いて高さ位置を検出する場合においても、接触式変位センサ側を固定してトリポード部材1側を回転させるようにしても、トリポード部材1側を固定しても、接触式変位センサ側を回転させるようにしてもよい。
【0064】
本発明によれば、軸心位置補正装置によれば、チャック手段10にて、トリポード部材1をそのボス2の軸線L1が鉛直線上に配置されるように支持することができる。このため、トリポード部材1の脚軸3の先端面にセンター穴を設ける必要がなく、センター出し冶具が不要となる。従って、センター穴が無い製品(トリポード部材)に対応することができ、生産性の向上及び低コスト化を図ることができる。
【0065】
製品寸法データが入力された記憶手段15を備えているので、高さ位置のピーク値と製品寸法データとを比較することで、最適な補正量を算出することができ、製品公差によらない高精度な補正を行うことができる。ところで、記憶手段15が、複数の製品寸法データを記憶するものであってもよい。このように、複数の製品寸法データを記憶するものであれば、製品公差によらない高精度な補正(芯位置補正)を行うことができる。記憶手段が、複数の製品寸法データを記憶したものであれば、製品毎に高精度な補正を行うことができるとともに、複数種のトリポード部材に対応でき、汎用性に優れる。
【0066】
位置検出手段13としては、非接触型センサであっても、接触型センサであってもよく、種々のタイプのセンサを用いることができ、装置として設計自由度が大となる。
【0067】
前記のように形成されたトリポード部材では、高品質の製品を提供でき、このようなトリポード部材を用いたトリポード型等速自在継手では、高精度のトルク伝達機能を発揮できる。
【0068】
次に、図10〜15は本発明に係るローラ組付装置を示す。このローラ組付装置は、ローラ73とトリポード部材1の脚軸3とを同一軸心上に保持した状態でチャックする組付用チャック手段81と、チャック手段81にてチャックしているトリポード部材1に対して脚軸胴部3aの外周側からニードルローラ74を脚軸3の軸心と平行状態を維持しつつ供給して組み付けるニードルローラ供給手段80(図16参照)と、前記ニードルローラ供給手段80側と脚軸3側との相対的な回転によって他のニードルローラ74の組み付けを許容する回転駆動手段82と、全周に複数のニードルローラ74が組み付けられた脚軸3に対してその軸心方向に沿って前記ニードルローラ74を嵌入してローラ73を装着する装着手段83とを備える。
【0069】
組付用チャック手段81は、上チャック部81aと下チャック部81bとを備え、各チャック部81a、81bには、図12等に示すように、協働してローラ73を挟むローラ用挟持部85,85と、協働して脚軸3の付け根部3bを挟む脚軸用挟持部86,86とが形成されている。
【0070】
また、ローラ用挟持部85,85と脚軸用挟持部86,86との間において、ニードルローラ供給手段80からニードルローラ74が供給される。ニードルローラ供給手段80
は、図16に示すように、上チャック部81aに形成されるニードルローラ収容溝88と、このニードルローラ収容溝88内に収容されたニードルローラ74を脚軸3に供給する押圧機構(図示省略)等で構成される。
【0071】
上チャック部81aの下面と下チャック部81bの上面とを突き合わされた状態で、図11等に示すように、ニードルローラ74が供給される空間90が形成される。このため、この空間90が形成された状態において、図示省略の押圧機構を介してニードルローラ収容溝88内のニードルローラ74を押圧することによって、空間90に1個のニードルローラ74が供給される。
【0072】
この場合、ローラ73とトリポード部材1の一つの脚軸3の軸心とが同一軸心上に配設され、この軸心と平行状態を維持しつつ供給して組み付けることができる。ここで、押圧機構としては、シリンダ機構を備えたものであっても、エアーブロー機構を備えたものであってもよい。シリンダ機構では、このシリンダ機構の押圧力でもってニードルローラ74を空間90側に押圧することができる。また、エアーブロー機構では、エアーブロー力にてニードルローラ74を空間90側に押圧することができる。なお、シリンダ機構としては、油圧式であってもエア圧式であってもよい。
【0073】
上チャック部81aと下チャック部81bとは、相互に接近・離間させる必要があるが、この接近・離間させるための駆動手段としては、シリンダ機構、ボールねじ機構等の公知公用の往復動機構によって構成することができる。また、上チャック部81aと下チャック部81bとが連動する(つまり、上チャック部81aが下チャック部81bに接近する場合に、下チャック部81bは同時に上チャック部81aに接近し、また、上チャック部81aが下チャック部81bから離間する場合に、下チャック部81bは同時に上チャック部81aから離間する)のが好ましい。このため、上チャック部81aと下チャック部81bとが連動機構(例えば、ピニオン・ラック機構等)にて連結するのが好ましい。なお、このような連動機構を設けることなく、各上チャック部81aと下チャック部81bとが独立に駆動するものであってもよい。
【0074】
ところで、組付用チャック手段81にてチャックされるトリポード部材1は、チャック手段91にて、そのボス2がチャックされている。このチャック手段91はトリポード部材1にボス2を着脱自在にチャックするチャック部92を有し、このチャック部92がそのモータ等の駆動機構と駆動力伝達機構とを備えた回転駆動手段82にてその軸心廻りに回転する。さらには、このチャック部92は、その軸心方向に沿って往復動する。この往復動手段は、モータ(例えば、サーボモータ)等の駆動機構と、この駆動機構の駆動力(回転力)をチャック部に伝達する駆動力伝達機構等で構成できる。
【0075】
この場合、チャック部92は水平軸心に沿って配設されているが、図1に示す軸心位置補正装置と同様の軸心位置補正装置が使用される。すなわち、このローラ組付装置における軸心位置補正装置であっても、チャック手段にて支持されているトリポード部材を上下動させる上下動手段と、チャック手段にて支持されているトリポード部材の脚軸の胴部の高さ位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段にて検出された脚軸の胴部の高さ位置のピーク値に基づいて前記脚軸の軸心位置決めを行う制御手段とを備え、さらには、トリポード部材の脚軸の胴部のピーク値を検出するために、トリポード部材の回転が可能となっている。
【0076】
このため、このローラ組付装置における軸心位置補正装置によって、前記図1に示す軸心位置補正装置を用いた脚軸3の軸心位置補正と同様の軸心位置補正を行うことができ、製品公差によらない高精度な補正を行うことができる。
【0077】
装着手段83は、ローラ73が外嵌されるローラ保持部94と、このローラ保持部94に保持されているローラ73を前方(トリポード側)へ押し出す押出機構95とを備える。押出機構95は、外装体95aと、この外装体95a内に挿入される挿入体95bとを備える。図10等に示す状態から図14に示すように挿入体95bに対して外装体95aをトリポード部材1側へ押圧することができる。これによって、ローラ保持部94に保持されているローラ73を外装体95aの先端がトリポード部材1側へ押し出すことができる。また、ローラ保持部94の先端面には、凹部94aが形成され、後述するように、図11や図12等に示す状態において、この凹部が脚軸2の外鍔部6の逃げとなる。なお、押出機構95としてはシリンダ機構、ボールねじ機構等の公知公用の往復動機構によって構成することができる。
【0078】
次に前記のように構成されたローラ組付装置を用いたローラ組み付け方法を説明する。まず、このローラ組付装置における軸心位置補正装置によって、前記図1に示す軸心位置補正装置を用いた脚軸3の軸心位置補正と同様の軸心位置補正を行う。そして、図10に示すように、装着手段83のローラ保持部94にローラ73を保持した状態とする。この場合、装着手段83の軸心と、軸心位置補正装置のチャック部92の軸心とを一致させる。
【0079】
また、装着手段83に保持されているローラ73が、相互に離間している上チャック部81aと下チャック部81bのローラ用挟持部85,85に対応する状態とする。その後、図11に示すように、トリポード部材1を保持しているチャック部92を前進(装着手段83側)へ移動させて、トリポード部材1の脚軸3の胴部3aがローラ用挟持部85、85に対応する状態とする。
【0080】
次に、チャック部81aと下チャック部81bを相互に接近させて、ローラ用挟持部85,85にて挟持する状態とするとともに、脚軸用挟持部86,86にて脚軸3の付け根部3bを挟持する状態とする。これによって、図11に示すように、ローラ用挟持部85,85と脚軸用挟持部86,86との間に空間90を形成する。
【0081】
そして、この図12に示すように、ニードルローラ供給手段80を介してニードルローラ74を前記空間90に供給する。この際、ニードルローラ74を脚軸3の軸心と平行状態を維持しつつ供給することになる。1本のニードルローラ74を空間90に供給した後、製品側(トリポード部材側)を回転、つまり、チャック部92をその軸心廻りに回転させる。この場合、ニードルローラ74が脚軸3の胴部3aに接触した状態で配置されている。このため、チャック部92を回転させることによって、脚軸3をその軸心廻りに回転させれば、この脚軸3とともにニードルローラ74も回転することになり、空間90にニードルローラ供給手段80のニードルローラ収容溝88からのニードルローラ供給口(図示省略)が開設される。
【0082】
そこで、ニードルローラ供給手段80から次のニードルローラ74を空間90に供給する。この動作を順次繰り返すことによって、図13に示すように、脚軸3の胴部3aの周方向全周にニードルローラ74を配設することができる。この場合、トリポード部材1をその脚軸3の軸心廻りに所定角(一つのニードルローラ分)ずつ同一方向に順次回転させることになる。
【0083】
次に、図14に示すように、上チャック部81aと、下チャック部81bとを相互に離間した状態として、装着手段83によって、ローラ73を、脚軸3の胴部3aの外径面全周にわたって配設されたニードルローラ74に外嵌する。すなわち、外装体95aをトリポード部材1側へ押圧する。これによって、ローラ73が脚軸3の胴部3aに外嵌するように押し込まれ、ローラ73がこのトリポード部材1に組み込まれる。
【0084】
その後、図15に示すように、トリポード部材1をチャックしているチャック部92を装着手段83側から離間させれば、このローラ組付装置によるローラ組み付け作業が終了する。
【0085】
組付用チャック手段81にて、ローラ73とトリポード部材1の脚軸3とを同一軸心上に保持した状態でチャックすることができる。そして、この組付用チャック手段81にてローラ73とトリポード部材1をチャックしている状態において、ニードルローラ供給手段80からニードルローラ74を脚軸3の軸心と平行状態を維持しつつ供給して脚軸3に組み付けることができる。トリポード部材1側の回転によって、順次ニードルローラ74を脚軸に組み付けることができる。このニードルローラ74の組み付け終了後、装着手段83にて、脚軸3にその軸心方向に沿ってローラ73を嵌入することができ、これによって、ローラ73の組み付けが完了する。
【0086】
このように、ニードルローラ74が脚軸3の軸心と平行状態を維持しつつ供給されるものであり、ニードルローラ74を軸方向に沿って組み付けるものではない。このため、脚軸3の先端に外鍔部6が設けられていても、この外鍔部6に妨げられることなく、ニードルローラ74を組み付けることができる。このため、従来におけるワッシャやサークリップ等を省略することができ、部品点数の減少を図って、組立性の向上及び低コスト化を図ることができる。また、組付用チャック手段81はトリポード部材1のボス2を支持するものである。このため、トリポード部材1の脚軸3の先端面にセンター穴を設ける必要がなく、しかも、センター出し冶具が不要となる。従って、センター穴が無い製品(トリポード部材)に対応することができ、一層、生産性の向上及び低コスト化を図ることができる。
【0087】
しかも、軸心位置補正装置を備えたローラ組付装置では、高品質の製品を提供でき、高精度のトルク伝達機能を発揮できるトリポード型等速自在継手を提供できる。
【0088】
ところで、前記実施形態では、トリポード部材1をその脚軸3の軸心廻りに所定角(一つのニードルローラ分)ずつ同一方向に順次回転させていた。これに対して、トリポード部材1側を固定して、ニードルローラ供給手段側、つまり、組付用チャック手段81側を回転させるものであってもよい。また、トリポード部材1を、前記ニードルローラ供給手段側とトリポード部材側との相対的な所定角度範囲内の回動である揺動によってもよい。すなわち、トリポード部材1側を所定角度範囲内において回動させる揺動であっても、ニードルローラ供給手段80側を所定角度範囲内において回動させる揺動であってもよい。また、回転と揺動との組み合わせでもよい。なお、トリポード部材1を揺動させる場合でも回転駆動手段82を用いることができ、ニードルローラ供給手段側を揺動させる場合でもニードルローラ供給手段側を回転させる回転駆動手段を用いることができる。また、前記所定角度範囲は、任意に設定でき、2つのニードルローラ分以上90度以下である。
【0089】
このように、回転駆動手段82は、トリポード部材1側を回転(または揺動)させても、ニードルローラ供給80側を回転(揺動)させてもよく、さらには、ニードルローラ供給手段80は、シリンダ機構を備えたものであっても、エアーブロー機構を備えたものであってもよく、装置の設計自由度が広がる。
【0090】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、チャック手段10として、前記実施形態では、複数のセグメント20と、セグメント20にて構成される筒状体19に嵌入される拡径用ロッド22等で構成し、拡径用ロッド22が上昇している状態ではトリポード部材1が支持状態とならず、拡径用ロッド22が下降した状態でトリポード部材1が支持状態となるものであったが、逆に、拡径用ロッド22が下降している状態ではトリポード部材1が支持状態とならず、拡径用ロッド22が上昇した状態でトリポード部材1が支持状態となるようなものであってもよい。上下動手段12として、前記実施形態では、サーボモータを用いたが、シリンダ機構等の往復動機構を用いてもよい。また、シリンダ機構等を用いた場合、カム板等を用いることなく、このシリンダ機構の直線往復動を直接中空軸25等に伝達するようなものであってもよい。
【0091】
用いられるニードルローラ74の数は、脚軸3の胴部3aの外径およびニードルローラ74の外径等に応じて種々変更することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 トリポード部材
2 ボス
2a 軸心孔
3 脚軸
3a 胴部
10 チャック手段
11 回転駆動手段
12 上下動手段
13 位置検出手段
14 制御手段
15 記憶手段
73 ローラ
74 ニードルローラ
80 ニードルローラ供給手段
81 組付用チャック手段
82 回転駆動手段
83 装着手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸心位置補正装置、軸心位置補正方法、トリポード部材、トリポード型等速自在継手、ローラ組付装置、及びローラ組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
等速自在継手には、その内側継手部材としてトリポード部材を用いたトリポード型等速自在継手がある。図17に示すように、トリポード型等速自在継手は、一般には、内周面101に軸方向に延びる三本のトラック溝102が形成され、各トラック溝102の両側でそれぞれ軸方向に延びるローラ案内面102aを有する外側継手部材103と、半径方向に突出した三本の脚軸104を有するトリポード部材105と、前記トリポード部材105の脚軸104に回転自在に支持されると共に前記外側継手部材のトラック溝102に転動自在に挿入されたローラ106とを備える。
【0003】
この図例では、トルク伝達部材として、前記ローラ106と、脚軸104とローラ106との間に介在される針状ころ107とで構成される。また、脚軸104の先端側にはアウタワッシャ110が配設され、さらに、脚軸104の先端側(アウタワッシャ110よりも先端側)には周方向溝111が形成され、この周方向溝111にサークリップ(止め輪)112が装着されている。アウタワッシャ110はサークリップ112によって軸方向移動が規制され、その結果、針状ころ107の軸方向の外方への移動(抜け)が規制される。また、アウタワッシャ110と反対側にはインナワッシャ113が配設される。なお、トリポード部材105は、ボス部115と、このボス部115から突設される前記脚軸104とからなる。
【0004】
このように、トリポード部材105は、その脚軸104には針状ころ(ニードルローラ)107を介してローラ106が外嵌される。このため、脚軸104の胴部は、研磨仕上げされる。そして、この研磨仕上げを行う際には、特許文献1等に記載のチャック装置が用いられる。
【0005】
特許文献1に記載のチャック装置は、一つの脚軸(トラニオン軸)の先端面に形成されたセンター穴に係合する心押台センターと、他の2つの脚軸を保持するチャックとを備えたものである。この場合のチャックは、一対のV溝ストッパを有し、各V溝ストッパにそれぞれの脚軸を挟持するものである。
【0006】
ところで、図17に示すようなトリポード型等速自在継手では、ローラ、針状ころ、アウタワッシャ110、サークリップ112、インナワッシャ113等の複数の部品を必要としていた。このため、図18に示すようなトリポード型等速自在継手を構成すれば、多くの部品を省略できる。すなわち、脚軸104の先端に外鍔部120を設ければ、針状ころの抜け止めが形成され、図17に示すトリポード型等速自在継手において必要としたアウタワッシャ110、サークリップ112、インナワッシャ113等を省略することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭58−126004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1に記載のものでは、チャックにてトリポード部材をチャックして、チャックの回転中心と心押台センターの軸心とを一致させるものである。このため、このような装置を用いる場合、脚軸(トラニオン軸)の先端面にセンター穴を設ける必要があり、生産性に劣ることになっていた。また、生産型番の段取り部品によるセンター出し冶具を必要としていた。
【0009】
図18に示すように、部品点数を減少させるために、脚軸104の先端に外鍔部120を設ければ、図19に示すように、周方向に配設された針状ころ107にて形成される短円筒状体108の内径φAが外鍔部120の外径φBよりも小さい。このため、脚軸104の軸方向から針状ころ107を組み付けることができず、脚軸104に外鍔部120を有するものに対しては軸方向から針状ころ107を組み付け方法を採用することができない。
【0010】
しかも、このようなトリポード部材においては、脚軸(トラニオン軸)の先端面にセンター穴を有さないものであっては、組み付けができなかった。
【0011】
そこで、本発明は斯かる実情に鑑み、製品(トリポード部材)にセンター穴を必要とせず、かつセンター出し冶具が不要となる軸心位置補正装置、軸心位置補正方法、トリポード部材、及びトリポード型等速自在継手を提供することにあり、さらには、部品点数を減少させることができるトリポード型等速自在継手を組み立てることが可能なローラ組立装置及びローラ組立方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の軸心位置補正装置は、ボスと、このボスの円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸とを有するトリポード部材の軸心位置補正装置であって、前記トリポード部材をそのボスの軸線が鉛直線上に配置されるようにボスを支持するチャック手段と、チャック手段にて支持されているトリポード部材を前記軸線廻りに回転させる回転駆動手段と、チャック手段にて支持されているトリポード部材を上下動させる上下動手段と、チャック手段にて支持されているトリポード部材の脚軸の胴部の高さ位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段にて検出された脚軸の胴部の高さ位置のピーク値に基づいて前記脚軸の軸心位置決めを行う制御手段とを備えたものである。
【0013】
本発明の軸心位置補正装置によれば、チャック手段にて、トリポード部材をそのボスの軸線が鉛直線上に配置されるように支持することができる。この支持状態で、位置検出手段にてトリポード部材の脚軸の胴部の高さ位置を検出することができる。この高さ検出は、回転駆動手段にてトリポード部材を軸線廻りに回転させつつ行っても、トリポード部材を停止させて位置検出手段をトリポード部材の軸線廻りに回転させつつ行ってもよい。
【0014】
制御手段では、位置検出手段にて検出された脚軸の胴部の高さ位置のピーク値に基づいて、脚軸の軸心位置決めを行うことができる。すなわち、上下動手段にて上下方向高さを調整し、回転駆動手段にて周方向位置を調整することになる。この場合、上下方向高さにおいては、一致して調整する必要がない場合がある。
【0015】
チャック手段は、トリポード部材のボスを支持するものである。このため、トリポード部材の脚軸の先端面にセンター穴を設ける必要がなく、しかも、センター出し冶具が不要となる。
【0016】
製品寸法データを記憶する記憶手段を備え、制御手段は、位置検出手段にて検出された脚軸の胴部の高さ位置のピーク値と前記記憶手段のデータとを比較して補正値を演算するようにできる。また、記憶手段は、複数の製品寸法データを記憶しているものが好ましい。
【0017】
前記位置検出手段は、非接触型センサにて構成されるものであっても、接触型センサにて構成されるものであってもよい。
【0018】
また、前記位置検出手段は、ボス部の軸線廻りに回転しているトリポード部材における脚軸の胴部の高さ位置を検出するものであっても、停止しているトリポード部材における脚軸の胴部の高さ位置を検出するものであってもよい。
【0019】
本発明の軸心位置補正方法は、ボスと、このボスの円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸とを有するトリポード部材の軸心位置補正方法であって、トリポード部材をそのボスの軸心孔を用いて支持して、ボスの軸線が鉛直線上に配置される状態とした後、この状態におけるトリポード部材に対してその脚軸の胴部の高さ位置を検出して、その高さ位置のピーク値と製品寸法データとに基づいて、脚軸の軸心を補正するものである。この際、トリポード部材を回転及び/又は上下動させて補正する。
【0020】
本発明のトリポード部材は、前記軸心位置補正方法にて脚軸の軸心が補正された状態で、この脚軸の胴部の仕上加工を行われて完成されたものである。
【0021】
本発明のトリポード型等速自在継手は、前記トリポード部材を内側継手部材として用いたものである。
【0022】
本発明の第1のローラ組付装置は、ボスとこのボスの円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸とを有するトリポード部材の脚軸にニードルローラを介してローラを外嵌するローラ組付装置であって、ローラとトリポード部材の脚軸とを同一軸心上に保持した状態でチャックする組付用チャック手段と、組付用チャック手段にてチャックしているトリポード部材に対して脚軸胴部の外周側からニードルローラを脚軸の軸心と平行状態を維持しつつ供給して組み付けるニードルローラ供給手段と、前記ニードルローラ供給手段側とトリポード部材側との相対的な回転によって他のニードルローラの組み付けを許容する回転駆動手段と、全周に複数のニードルローラが組み付けられた脚軸に対してその軸心方向に沿って前記ローラを嵌入してローラを装着する装着手段とを備えたものである。
【0023】
本発明の第2のローラ組付装置は、ボスとこのボスの円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸とを有するトリポード部材の脚軸にニードルローラを介してローラを外嵌するローラ組付装置であって、ローラとトリポード部材の脚軸とを同一軸心上に保持した状態でチャックする組付用チャック手段と、チャック手段にてチャックしているトリポード部材に対して脚軸胴部の外周側からニードルローラを脚軸の軸心と平行状態を維持しつつ供給して組み付けるニードルローラ供給手段と、前記ニードルローラ供給手段側とトリポード部材側との相対的な所定角度範囲内の回動である揺動によって他のニードルローラの組み付けを許容する揺動手段と、全周に複数のニードルローラが組み付けられた脚軸に対してその軸心方向に沿って前記ローラを嵌入してローラを装着する装着手段とを備えたものである。
【0024】
本発明の第1または第2のローラ組付装置によれば、組付用チャック手段にて、ローラとトリポード部材の脚軸とを同一軸心上に保持した状態でチャックすることができる。この組付用チャック手段にてローラとトリポード部材をチャックしている状態において、ニードルローラ供給手段からニードルローラを脚軸の軸心と平行状態を維持しつつ供給して脚軸に組み付けることができる。ニードルローラ供給手段側とトリポード部材側との相対的な回転または揺動によって、順次複数のニードルローラを脚軸に組み付けることができる。このニードルローラの組み付け終了後、装着手段にて、脚軸にその軸心方向に沿ってローラを嵌入することができ、これによって、ローラの組み付けが完了する。
【0025】
このように、ニードルローラが脚軸の軸心と平行状態を維持しつつ供給されるものであり、ニードルローラを軸方向に沿って組み付けるものではない。このため、脚軸の先端に外鍔部が設けられていても、この外鍔部に妨げられることなく、ニードルローラを組み付けることができる。また、組付用チャック手段はトリポード部材のボスを支持するものである。このため、トリポード部材の脚軸の先端面にセンター穴を設ける必要がなく、しかも、センター出し冶具が不要となる。
【0026】
本発明の第1または第2ローラ組付装置において、前記軸心位置補正装置を備え、この軸心位置補正装置を用いて軸心位置が補正されたトリポード部材の脚軸に対して、ニードルローラ及びローラを組み付けるようにするのが好ましい。
【0027】
前記回転駆動手段は、トリポード部材側を回転(または揺動)させも、ニードルローラ供給側を回転(揺動)させてもよい。
【0028】
ニードルローラ供給手段は、シリンダ機構の押圧力にてニードルローラを組み付けるものであっても、エアーブロー機構を備え、このエアーブロー機構のエアーブロー力にてニードルローラを組み付けるものであってもよい。
【0029】
本発明のローラ組付方法は、ボスとこのボスの円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸とを有するトリポード部材の脚軸にニードルローラを介してローラを外嵌するローラ組付方法であって、トリポード部材の脚軸の外周側から複数のニードルローラを脚軸の軸心と平行状態を維持しつつ順次供給して組み付けた後、脚軸に対してその軸心方向に沿ってローラを嵌入してローラを脚軸に装着するものである。
【0030】
本発明のローラ組付方法によれば、ニードルローラが脚軸の軸心と平行状態を維持しつつ供給されるものであり、ニードルローラを軸方向に沿って組み付けるものではない。このため、脚軸の先端に外鍔部が設けられていても、この外鍔部に妨げられることなく、ニードルローラを組み付けることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の軸心位置補正装置及び軸心位置補正方法では、トリポード部材の脚軸の先端面にセンター穴を設ける必要がなく、しかも、センター出し冶具が不要となる。このため、センター穴が無い製品(トリポード部材)に対応することができ、生産性の向上及び低コスト化を図ることができる。
【0032】
記憶手段を備えたものでは、高さ位置のピーク値と製品寸法データとを比較することで、最適な補正量を算出することができ、製品公差によらない高精度な補正(芯位置補正)を行うことができる。記憶手段が、複数の製品寸法データを記憶したものであれば、製品毎に高精度な補正を行うことができるとともに、複数種のトリポード部材に対応でき、汎用性に優れる。
【0033】
本発明のトリポード部材では、高品質の製品を提供でき、本発明のトリポード型等速自在継手では、高精度のトルク伝達機能を発揮できる。
【0034】
本発明のローラ組付装置では、脚軸の先端に外鍔部が設けられていても、この外鍔部に妨げられることなく、ニードルローラを組み付けることができる。このため、従来におけるワッシャやサークリップ等を省略することができ、部品点数の減少を図って、組立性の向上及び低コスト化を図ることができる。しかも、トリポード部材の脚軸の先端面にセンター穴を設ける必要がなく、センター出し冶具が不要となる。このため、センター穴が無い製品(トリポード部材)に対応することができ、一層、生産性の向上及び低コスト化を図ることができる。
【0035】
軸心位置補正装置を備えたローラ組付装置では、高品質の製品を提供でき、高精度のトルク伝達機能を発揮できるトリポード型等速自在継手を提供できる。
【0036】
回転駆動手段は、トリポード部材側を回転(または揺動)させても、ニードルローラ供給側を回転(揺動)させてもよく、さらには、ニードルローラ供給手段は、シリンダ機構を備えたものであっても、エアーブロー機構を備えたものであってもよく、装置の設計自由度が広がる。
【0037】
本発明のローラ組付方法では、外鍔部に妨げられることなく、ニードルローラを組み付けることができ、部品点数の減少を図って、組立性の向上及び低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態を示す軸心位置補正装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】前記軸心位置補正装置の側面図である。
【図3】前記軸心位置補正装置の正面図である。
【図4】前記軸心位置補正装置の平面図である。
【図5】前記軸心位置補正装置の要部断面図である。
【図6】前記軸心位置補正装置の上下動手段の説明図である。
【図7】前記軸心位置補正装置を用いた軸心位置補正方法のフローチャート図である。
【図8】本発明のローラ組付装置にて組み付けられたトリポード型等速自在継手の要部断面図である。
【図9】前記トリポード型等速自在継手のトルク伝達部材とトリポード部材との分解斜視図である。
【図10】本発明のローラ組付装置の要部簡略図である。
【図11】前記図10に示すローラ組付装置を用いたローラ組付方法を示す要部簡略図である。
【図12】前記図10に示すローラ組付装置を用いたローラ組付方法を示す要部簡略図である。
【図13】前記図10に示すローラ組付装置を用いたローラ組付方法を示す要部簡略図である。
【図14】前記図10に示すローラ組付装置を用いたローラ組付方法を示す要部簡略図である。
【図15】前記図10に示すローラ組付装置を用いたローラ組付方法を示す要部簡略図である。
【図16】前記図10に示すローラ組付装置のニードルローラ供給手段の簡略図である。
【図17】従来のトリポード型等速自在継手の断面図である。
【図18】従来のトリポード型等速自在継手のトリポード部材にトルク伝達部材が組付けられた状態を示す要部断面図である。
【図19】従来のトリポード型等速自在継手のトリポード部材とトルク伝達部材との関係を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
【0040】
図1は本発明の軸心位置補正装置の全体構成を示すブロック図を示し、この軸心位置補正装置は、トリポード部材1(図4等参照)の軸心位置補正装置である。ここで、トリポード部材1は、図4に示すように、ボス2と、このボス2の円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸3とを有するものであり、トリポード型等速自在継手の内側継手部材を構成する。また、トリポード型等速自在継手は、図8に示すように、内周面に軸方向に延びる三本のトラック溝71が形成され、各トラック溝71の両側でそれぞれ軸方向に延びるローラ案内面71a,71aを有する外側継手部材72と、半径方向に突出した三本の脚軸3を有するトリポード部材1と、前記トリポード部材1の脚軸3に回転自在に支持されると共に前記外側継手部材のトラック溝に転動自在に挿入されたローラ73とを備える。
【0041】
トルク伝達部材として、前記ローラ73と、脚軸3とローラ73との間に介在される針状ころ(ニードルローラ)74とで構成される。また、トリポード部材1の脚軸3は、ローラ73が外嵌される胴部3aと、その胴部3aの先端部に周溝5を介して連設される鍔部6とを備える。また、ボス2には軸心孔2aが形成されている。なお、図9に示すように、ローラ73の内径寸法は脚軸3の鍔部6の外径寸法よりも大きく設定される。
【0042】
軸心位置補正装置は、図2と図3に示すように、トリポード部材1をそのボス2の軸線L1が鉛直線上に配置されるように支持するチャック手段10と、チャック手段10にて支持されているトリポード部材1を前記軸線L1廻りに回転させる回転駆動手段11と、チャック手段10にて支持されているトリポード部材1を上下動させる上下動手段12と、チャック手段10にて支持されているトリポード部材1の脚軸3の胴部3aの高さ位置を検出する位置検出手段13と、位置検出手段13にて検出された脚軸3の胴部3aの高さ位置のピーク値に基づいて前記脚軸3の軸心位置決めを行う制御手段14とを備える。また、記憶手段15から制御手段14に複数種類の製品寸法データが入力される。なお、軸心位置決めを行う場合、前記回転駆動手段11及び上下動手段12を制御して行うことになるが、上下方向高さを補正する必要が無い場合がある。このような場合には、回転駆動手段11のみを制御して位置決めを行うことになる。
【0043】
制御手段14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を中心としてROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等がバスを介して相互に接続されたマイクロコンピューターである。記憶手段15としての記憶装置は、HDD(Hard Disc Drive)やDVD(Digital Versatile Disk)ドライブ、CD−R(Compact Disc-Recordable)ドライブ、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)等のからなる。なお、ROMには、CPUが実行するプログラムやデータが格納されている。
【0044】
チャック手段10は、トリポード部材1のボス2の軸心孔2aを用いるものであって、図5に示すように、周方向に沿って配設される複数個のセグメント20と、このセグメント20にて構成される筒状体19に嵌入される拡径用ロッド22とを備える。セグメント20は、その内面が下方から上方に向かって外径側へ傾斜するテーパ面21aとされた本体部21と、この本体部21の下方側に連設される下部係合部23と、本体部21の上方側に連設される上部薄肉部24とからなる。下部係合部23には係合用溝23aが形成されている。複数のセグメント20を周方向に沿って配設することによって、トリポード部材1のボス2が外嵌される筒状体19が形成される。
【0045】
また、拡径用ロッド22は中空軸25に挿通され、その先端部に下方から上方に向かって拡径する拡径部26が形成されている。そして、中空軸25の上方開口部には前記下部係合部23の係合用溝23aが係合する内鍔部27が設けられている。すなわち、中空軸25の上方開口部に大径部25aが形成され、この大径部25aの開口端に前記内鍔部27が形成される。この際、中空軸25の内鍔部27が拡径用ロッド22の下部係合部23の係合用溝23aに嵌合(係合)する。
【0046】
このチャック手段10にてトリポード部材1をチャックするには、まず、複数個のセグメント20をリング状に配設して中空軸25上に立設する。すなわち、中空軸25の内鍔部27をセグメント20の下部係合部23の係合用溝23aに嵌合(係合)させる。これによって、セグメント20の本体部21の下面が中空軸25の上面30に載置され、この本体部21乃至上部薄肉部24が中空軸25の上面30から上方へ突設される。
【0047】
この状態で、トリポード部材1のボス2をリング状に配設されたセグメント20に嵌入させて、ボス2の一方の端面を中空軸25の上面30に載置させる。この状態では、拡径用ロッド22を図5の図面左側のように、上昇させておく。このため、セグメント20のテーパ面21aと拡径用ロッド22の拡径部26の外径面との間に隙間が設けられる。
【0048】
その後、拡径用ロッド22を図5の図面右側のように、下降させる。この下降によって、拡径用ロッド22の拡径部26の外径面がセグメント20のテーパ面21aに圧接することになる。このため、各セグメント20が外径方向にスライドして、各セグメント20の外面がボス2の軸心孔の内径面に圧接する。これによって、トリポード部材1は、中空軸25の上面30に載置された状態で、この中空軸25に固定される。この状態では、ボス2の軸線L1が鉛直軸上に配置されている。
【0049】
ところで、拡径用ロッド22は、装置本体枠35に付設された鉛直方向往復動機構36によって行われる。鉛直方向往復動機構36は、例えば、モータ(例えば、サーボモータ)等の駆動機構と、この駆動機構の駆動力を拡径用ロッド22に伝達する伝達機構等で構成することができる。また、シリンダ機構、ボールねじ機構等にて構成することもできる。
【0050】
回転駆動手段11は、図2と図4に示すように、モータ(例えば、サーボモータ)等の駆動機構40と、この駆動機構40の駆動力(回転力)を、中空軸25に伝達する駆動力伝達機構41とを備える。駆動力伝達機構41は、ベルト機構にて構成される。すなわち、駆動機構40の出力軸に外嵌固定されるプーリ42と、鉛直方向往復動機構36よりも下方へ突出する中空軸25の下部に外嵌固定されるプーリ43と、これらのプーリ42、43に掛け回されるベルト44とを備える。なお、中空軸25は、鉛直方向往復動機構36内を挿通され、この鉛直方向往復動機構36内に介在される軸受機構にてその軸心廻に回転自在に支持されている。このため、駆動機構40が駆動すると、その回転駆動力が駆動力伝達機構41を介して中空軸25に伝達され、この中空軸25が回転する。すなわち、図4に示すように、トリポード部材1を、そのボス2の軸心廻りに任意の角度例えばθだけ回転させることができる。
【0051】
上下動手段12は、モータ(例えば、サーボモータ)等の駆動機構50と、この駆動機構50の駆動力(回転力)を中空軸25に伝達する駆動力伝達機構51とを備える。駆動力伝達機構51は、カム機構52と、このカム機構を駆動するために往復機構53とを備える。往復機構53はボールねじ機構にて構成している。すなわち、往復機構53は、前記駆動機構50の駆動力にてその軸心廻りに回転するねじ軸55と、このねじ軸55に螺合しているナット部材を有する往復動体56とを備える。ねじ軸55は支持体65にて回転自在に水平状に支持されている。そして、駆動機構50からの駆動力の伝達によって、ねじ軸55がその軸心廻りに回転して、往復動体(スライダ)56が支持体65のガイド部にガイドされてねじ軸55の軸心に沿って往復動する。
【0052】
往復動体56は、基部57と、この基部57に付設される支持部58とを有し、また、支持部58は、基部57上に配置される水平片58aと、この水平片58aから立設される立ち上がり片58bとからなる。そして、この支持部58の立ち上がり片58bには、回転自在なころ60が付設されて、このころ60の上方には、このころ60が転動するカム板61が配置されている。
【0053】
このカム板61は、図6に示すように、その下面がテーパ面からなるカム面61aが形成されている。このため、図6(b)に示すように、カム板61のカム面61aの長手方向(転動方向)中央部がころ60に接触している状態において、図6(a)に示すように、前記駆動機構50の駆動によって往復動体56が矢印Aのようにスライドすれば、ころ60がカム板61のカム面61aを転動することになる。この際、カム面61aはテーパ面であるので、往復動体56が図6(a)の状態となれば、カム板61は所定量A1だけ上昇することになる。また、図6(b)に示す状態から図6(c)に示すように、駆動機構50の駆動によって往復動体56が矢印Bのようにスライドすれば、ころ60がカム板61のカム面61aを転動して、カム板61は所定量A2だけ下降することになる。
【0054】
そして、カム板61には連結部材62が連結され、カム板61の上下動が中空軸25に連動され、中空軸25の上面に載置固定されているトリポード部材1は、ボス2の軸心に沿って上下動する。
【0055】
位置検出手段13は、軸合わせされるトリポード部材1の上方に配置されたセンサ(ビームセンサ)にて構成される。センサ(ビームセンサ)としては、例えば、距離設定反射型センサを用いることができる。距離設定反射型センサは、投光レンズと受光レンズを持ち、図2に示すように、投光レンズから出た光Laが検出物体(トリポード部材1の脚軸3の胴部3a)に当たり反射した光Lbを受光レンズが受け2分割フォトダイオードに導く。ここで、上下2分割のフォトダイオードに発生する出力電圧の比が等しくなる位置をもとに距離判断を行なうものである。
【0056】
次に、前記のように構成された装置にて、トリポード部材1の軸心合わせを行う方法を説明する。まず、記憶手段15に、軸心合わせを行うトリポード部材1の製品寸法データを記憶させる。そして、トリポード部材1を図2と図3に示すように、セットする。すなわち、複数のセグメント20を周方向に沿って配設して、このセグメント20からなる筒状体19を中空軸25に対して立設させる。また、この状態では、拡径用ロッド22を延ばした状態(上昇させた状態)としておく。この状態で、トリポード部材1のボス2を筒状体19に挿通させて、中空軸25の上面に載置する。次に、拡径用ロッド22を引っ込めた状態として、各セグメント20を外径方向(径方向外側)に押し広げる。これによって、トリポード部材1をそのボス2の軸線L1が鉛直線上に配置されるようにボス2の軸心孔2aを用いて支持することになる。
【0057】
その後は図7に示すフローチャートに従って、軸心補正が行われる。ステップS1のように、トリポード部材1の脚軸3の胴部3aの高さ位置を、位置検出手段13にて検出する。この際、回転駆動手段11にてトリポード部材1をそのボス2の軸線廻りに回転させる。すなわち、中空軸25をその軸心廻りに回転させる。これによって、位置検出手段13では、脚軸3の胴部3aの高さのピーク値を検出する。なお、このピーク値は、軸心から外径方向に所定寸だけ離れた位置のピーク値である。
【0058】
次に、ステップS2へ移行して、位置検出手段13の検出データ(ピーク値)を製品寸法データと比較する。すなわち、製品寸法データにおける軸心から外径方向に所定寸だけ離れた位置でのデータと検出データとを比較して、検出データと製品寸法データとから軸心位置(脚軸3の軸心位置)を演算する。
【0059】
その後は、ステップS3へ移行してこの演算値に従って、上下方向高さ及び周方向位置の位置決めを行う。すなわち、上下動手段12にて上下方向高さを調整し、回転駆動手段11にて周方向位置を調整することになる。この場合、上下方向高さにおいては、一致して調整する必要がない場合がある。これらによって、脚軸3に対する軸心補正動作が終了する。
【0060】
このように、脚軸3に対する軸心補正動作が終了すれば、この脚軸3の胴部3aの研磨仕上げを行うことになる。そして、他の2つの脚軸3についても同様の軸心補正動作を行って胴部3aの研磨仕上げを行うことになる。そして、このように成形されたトリポード部材1は、トリポード型等速自在継手の内側継手部材としてのトリポード部材として用いられ、トリポード型等速自在継手が組立てられる。
【0061】
ところで、前記実施形態では、位置検出手段13にて高さ位置(ピーク値)を検出する場合、位置検出手段13側を固定して、トリポード部材1側を回転させていたが、逆に、トリポード部材1側を固定して、位置検出手段13側を回転させるようにしてもよい。すなわち、位置検出手段13を構成するセンサをボス2の軸心廻りに回転させればよい。
【0062】
位置検出手段13を構成するセンサとして、前記実施形態では非接触式変位センサを用いたが、接触式変位センサを用いてもよい。接触式変位センサは、一般的に、差動トランスは3つのコイルと可動鉄心で構成される。1次コイルを交流(一定周波数電圧)で励磁すると被測定物体に連動して動く可動鉄心により2次コイルに誘起電圧が発生する。これを差動結合し、電圧差として取り出し、変位出力とする。可動鉄心が左右対称の位置すなわち中央に位置している時は、左右に誘起される交流電圧は等しくなり、電圧差が0となり出力は0となる。可動鉄心の位置が中央からずれると、左右コイルの誘起電圧に差が生じ、その差に比例した交流電圧が現れる。この交流電圧を1次コイルに流した交流電圧とくらべると可動鉄心が右にある場合と左にある場合とでは波形(位相)が逆になる。この現象を利用して可動鉄心の左右の変位の大きさを正負の直流電圧の大きさに変換し、可動鉄心の変位を測定する。
【0063】
このように、位置検出手段13に接触式変位センサを用いて高さ位置を検出する場合においても、接触式変位センサ側を固定してトリポード部材1側を回転させるようにしても、トリポード部材1側を固定しても、接触式変位センサ側を回転させるようにしてもよい。
【0064】
本発明によれば、軸心位置補正装置によれば、チャック手段10にて、トリポード部材1をそのボス2の軸線L1が鉛直線上に配置されるように支持することができる。このため、トリポード部材1の脚軸3の先端面にセンター穴を設ける必要がなく、センター出し冶具が不要となる。従って、センター穴が無い製品(トリポード部材)に対応することができ、生産性の向上及び低コスト化を図ることができる。
【0065】
製品寸法データが入力された記憶手段15を備えているので、高さ位置のピーク値と製品寸法データとを比較することで、最適な補正量を算出することができ、製品公差によらない高精度な補正を行うことができる。ところで、記憶手段15が、複数の製品寸法データを記憶するものであってもよい。このように、複数の製品寸法データを記憶するものであれば、製品公差によらない高精度な補正(芯位置補正)を行うことができる。記憶手段が、複数の製品寸法データを記憶したものであれば、製品毎に高精度な補正を行うことができるとともに、複数種のトリポード部材に対応でき、汎用性に優れる。
【0066】
位置検出手段13としては、非接触型センサであっても、接触型センサであってもよく、種々のタイプのセンサを用いることができ、装置として設計自由度が大となる。
【0067】
前記のように形成されたトリポード部材では、高品質の製品を提供でき、このようなトリポード部材を用いたトリポード型等速自在継手では、高精度のトルク伝達機能を発揮できる。
【0068】
次に、図10〜15は本発明に係るローラ組付装置を示す。このローラ組付装置は、ローラ73とトリポード部材1の脚軸3とを同一軸心上に保持した状態でチャックする組付用チャック手段81と、チャック手段81にてチャックしているトリポード部材1に対して脚軸胴部3aの外周側からニードルローラ74を脚軸3の軸心と平行状態を維持しつつ供給して組み付けるニードルローラ供給手段80(図16参照)と、前記ニードルローラ供給手段80側と脚軸3側との相対的な回転によって他のニードルローラ74の組み付けを許容する回転駆動手段82と、全周に複数のニードルローラ74が組み付けられた脚軸3に対してその軸心方向に沿って前記ニードルローラ74を嵌入してローラ73を装着する装着手段83とを備える。
【0069】
組付用チャック手段81は、上チャック部81aと下チャック部81bとを備え、各チャック部81a、81bには、図12等に示すように、協働してローラ73を挟むローラ用挟持部85,85と、協働して脚軸3の付け根部3bを挟む脚軸用挟持部86,86とが形成されている。
【0070】
また、ローラ用挟持部85,85と脚軸用挟持部86,86との間において、ニードルローラ供給手段80からニードルローラ74が供給される。ニードルローラ供給手段80
は、図16に示すように、上チャック部81aに形成されるニードルローラ収容溝88と、このニードルローラ収容溝88内に収容されたニードルローラ74を脚軸3に供給する押圧機構(図示省略)等で構成される。
【0071】
上チャック部81aの下面と下チャック部81bの上面とを突き合わされた状態で、図11等に示すように、ニードルローラ74が供給される空間90が形成される。このため、この空間90が形成された状態において、図示省略の押圧機構を介してニードルローラ収容溝88内のニードルローラ74を押圧することによって、空間90に1個のニードルローラ74が供給される。
【0072】
この場合、ローラ73とトリポード部材1の一つの脚軸3の軸心とが同一軸心上に配設され、この軸心と平行状態を維持しつつ供給して組み付けることができる。ここで、押圧機構としては、シリンダ機構を備えたものであっても、エアーブロー機構を備えたものであってもよい。シリンダ機構では、このシリンダ機構の押圧力でもってニードルローラ74を空間90側に押圧することができる。また、エアーブロー機構では、エアーブロー力にてニードルローラ74を空間90側に押圧することができる。なお、シリンダ機構としては、油圧式であってもエア圧式であってもよい。
【0073】
上チャック部81aと下チャック部81bとは、相互に接近・離間させる必要があるが、この接近・離間させるための駆動手段としては、シリンダ機構、ボールねじ機構等の公知公用の往復動機構によって構成することができる。また、上チャック部81aと下チャック部81bとが連動する(つまり、上チャック部81aが下チャック部81bに接近する場合に、下チャック部81bは同時に上チャック部81aに接近し、また、上チャック部81aが下チャック部81bから離間する場合に、下チャック部81bは同時に上チャック部81aから離間する)のが好ましい。このため、上チャック部81aと下チャック部81bとが連動機構(例えば、ピニオン・ラック機構等)にて連結するのが好ましい。なお、このような連動機構を設けることなく、各上チャック部81aと下チャック部81bとが独立に駆動するものであってもよい。
【0074】
ところで、組付用チャック手段81にてチャックされるトリポード部材1は、チャック手段91にて、そのボス2がチャックされている。このチャック手段91はトリポード部材1にボス2を着脱自在にチャックするチャック部92を有し、このチャック部92がそのモータ等の駆動機構と駆動力伝達機構とを備えた回転駆動手段82にてその軸心廻りに回転する。さらには、このチャック部92は、その軸心方向に沿って往復動する。この往復動手段は、モータ(例えば、サーボモータ)等の駆動機構と、この駆動機構の駆動力(回転力)をチャック部に伝達する駆動力伝達機構等で構成できる。
【0075】
この場合、チャック部92は水平軸心に沿って配設されているが、図1に示す軸心位置補正装置と同様の軸心位置補正装置が使用される。すなわち、このローラ組付装置における軸心位置補正装置であっても、チャック手段にて支持されているトリポード部材を上下動させる上下動手段と、チャック手段にて支持されているトリポード部材の脚軸の胴部の高さ位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段にて検出された脚軸の胴部の高さ位置のピーク値に基づいて前記脚軸の軸心位置決めを行う制御手段とを備え、さらには、トリポード部材の脚軸の胴部のピーク値を検出するために、トリポード部材の回転が可能となっている。
【0076】
このため、このローラ組付装置における軸心位置補正装置によって、前記図1に示す軸心位置補正装置を用いた脚軸3の軸心位置補正と同様の軸心位置補正を行うことができ、製品公差によらない高精度な補正を行うことができる。
【0077】
装着手段83は、ローラ73が外嵌されるローラ保持部94と、このローラ保持部94に保持されているローラ73を前方(トリポード側)へ押し出す押出機構95とを備える。押出機構95は、外装体95aと、この外装体95a内に挿入される挿入体95bとを備える。図10等に示す状態から図14に示すように挿入体95bに対して外装体95aをトリポード部材1側へ押圧することができる。これによって、ローラ保持部94に保持されているローラ73を外装体95aの先端がトリポード部材1側へ押し出すことができる。また、ローラ保持部94の先端面には、凹部94aが形成され、後述するように、図11や図12等に示す状態において、この凹部が脚軸2の外鍔部6の逃げとなる。なお、押出機構95としてはシリンダ機構、ボールねじ機構等の公知公用の往復動機構によって構成することができる。
【0078】
次に前記のように構成されたローラ組付装置を用いたローラ組み付け方法を説明する。まず、このローラ組付装置における軸心位置補正装置によって、前記図1に示す軸心位置補正装置を用いた脚軸3の軸心位置補正と同様の軸心位置補正を行う。そして、図10に示すように、装着手段83のローラ保持部94にローラ73を保持した状態とする。この場合、装着手段83の軸心と、軸心位置補正装置のチャック部92の軸心とを一致させる。
【0079】
また、装着手段83に保持されているローラ73が、相互に離間している上チャック部81aと下チャック部81bのローラ用挟持部85,85に対応する状態とする。その後、図11に示すように、トリポード部材1を保持しているチャック部92を前進(装着手段83側)へ移動させて、トリポード部材1の脚軸3の胴部3aがローラ用挟持部85、85に対応する状態とする。
【0080】
次に、チャック部81aと下チャック部81bを相互に接近させて、ローラ用挟持部85,85にて挟持する状態とするとともに、脚軸用挟持部86,86にて脚軸3の付け根部3bを挟持する状態とする。これによって、図11に示すように、ローラ用挟持部85,85と脚軸用挟持部86,86との間に空間90を形成する。
【0081】
そして、この図12に示すように、ニードルローラ供給手段80を介してニードルローラ74を前記空間90に供給する。この際、ニードルローラ74を脚軸3の軸心と平行状態を維持しつつ供給することになる。1本のニードルローラ74を空間90に供給した後、製品側(トリポード部材側)を回転、つまり、チャック部92をその軸心廻りに回転させる。この場合、ニードルローラ74が脚軸3の胴部3aに接触した状態で配置されている。このため、チャック部92を回転させることによって、脚軸3をその軸心廻りに回転させれば、この脚軸3とともにニードルローラ74も回転することになり、空間90にニードルローラ供給手段80のニードルローラ収容溝88からのニードルローラ供給口(図示省略)が開設される。
【0082】
そこで、ニードルローラ供給手段80から次のニードルローラ74を空間90に供給する。この動作を順次繰り返すことによって、図13に示すように、脚軸3の胴部3aの周方向全周にニードルローラ74を配設することができる。この場合、トリポード部材1をその脚軸3の軸心廻りに所定角(一つのニードルローラ分)ずつ同一方向に順次回転させることになる。
【0083】
次に、図14に示すように、上チャック部81aと、下チャック部81bとを相互に離間した状態として、装着手段83によって、ローラ73を、脚軸3の胴部3aの外径面全周にわたって配設されたニードルローラ74に外嵌する。すなわち、外装体95aをトリポード部材1側へ押圧する。これによって、ローラ73が脚軸3の胴部3aに外嵌するように押し込まれ、ローラ73がこのトリポード部材1に組み込まれる。
【0084】
その後、図15に示すように、トリポード部材1をチャックしているチャック部92を装着手段83側から離間させれば、このローラ組付装置によるローラ組み付け作業が終了する。
【0085】
組付用チャック手段81にて、ローラ73とトリポード部材1の脚軸3とを同一軸心上に保持した状態でチャックすることができる。そして、この組付用チャック手段81にてローラ73とトリポード部材1をチャックしている状態において、ニードルローラ供給手段80からニードルローラ74を脚軸3の軸心と平行状態を維持しつつ供給して脚軸3に組み付けることができる。トリポード部材1側の回転によって、順次ニードルローラ74を脚軸に組み付けることができる。このニードルローラ74の組み付け終了後、装着手段83にて、脚軸3にその軸心方向に沿ってローラ73を嵌入することができ、これによって、ローラ73の組み付けが完了する。
【0086】
このように、ニードルローラ74が脚軸3の軸心と平行状態を維持しつつ供給されるものであり、ニードルローラ74を軸方向に沿って組み付けるものではない。このため、脚軸3の先端に外鍔部6が設けられていても、この外鍔部6に妨げられることなく、ニードルローラ74を組み付けることができる。このため、従来におけるワッシャやサークリップ等を省略することができ、部品点数の減少を図って、組立性の向上及び低コスト化を図ることができる。また、組付用チャック手段81はトリポード部材1のボス2を支持するものである。このため、トリポード部材1の脚軸3の先端面にセンター穴を設ける必要がなく、しかも、センター出し冶具が不要となる。従って、センター穴が無い製品(トリポード部材)に対応することができ、一層、生産性の向上及び低コスト化を図ることができる。
【0087】
しかも、軸心位置補正装置を備えたローラ組付装置では、高品質の製品を提供でき、高精度のトルク伝達機能を発揮できるトリポード型等速自在継手を提供できる。
【0088】
ところで、前記実施形態では、トリポード部材1をその脚軸3の軸心廻りに所定角(一つのニードルローラ分)ずつ同一方向に順次回転させていた。これに対して、トリポード部材1側を固定して、ニードルローラ供給手段側、つまり、組付用チャック手段81側を回転させるものであってもよい。また、トリポード部材1を、前記ニードルローラ供給手段側とトリポード部材側との相対的な所定角度範囲内の回動である揺動によってもよい。すなわち、トリポード部材1側を所定角度範囲内において回動させる揺動であっても、ニードルローラ供給手段80側を所定角度範囲内において回動させる揺動であってもよい。また、回転と揺動との組み合わせでもよい。なお、トリポード部材1を揺動させる場合でも回転駆動手段82を用いることができ、ニードルローラ供給手段側を揺動させる場合でもニードルローラ供給手段側を回転させる回転駆動手段を用いることができる。また、前記所定角度範囲は、任意に設定でき、2つのニードルローラ分以上90度以下である。
【0089】
このように、回転駆動手段82は、トリポード部材1側を回転(または揺動)させても、ニードルローラ供給80側を回転(揺動)させてもよく、さらには、ニードルローラ供給手段80は、シリンダ機構を備えたものであっても、エアーブロー機構を備えたものであってもよく、装置の設計自由度が広がる。
【0090】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、チャック手段10として、前記実施形態では、複数のセグメント20と、セグメント20にて構成される筒状体19に嵌入される拡径用ロッド22等で構成し、拡径用ロッド22が上昇している状態ではトリポード部材1が支持状態とならず、拡径用ロッド22が下降した状態でトリポード部材1が支持状態となるものであったが、逆に、拡径用ロッド22が下降している状態ではトリポード部材1が支持状態とならず、拡径用ロッド22が上昇した状態でトリポード部材1が支持状態となるようなものであってもよい。上下動手段12として、前記実施形態では、サーボモータを用いたが、シリンダ機構等の往復動機構を用いてもよい。また、シリンダ機構等を用いた場合、カム板等を用いることなく、このシリンダ機構の直線往復動を直接中空軸25等に伝達するようなものであってもよい。
【0091】
用いられるニードルローラ74の数は、脚軸3の胴部3aの外径およびニードルローラ74の外径等に応じて種々変更することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 トリポード部材
2 ボス
2a 軸心孔
3 脚軸
3a 胴部
10 チャック手段
11 回転駆動手段
12 上下動手段
13 位置検出手段
14 制御手段
15 記憶手段
73 ローラ
74 ニードルローラ
80 ニードルローラ供給手段
81 組付用チャック手段
82 回転駆動手段
83 装着手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボスと、このボスの円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸とを有するトリポード部材の軸心位置補正装置であって、
前記トリポード部材をそのボスの軸線が鉛直線上に配置されるようにボスを支持するチャック手段と、チャック手段にて支持されているトリポード部材を前記軸線廻りに回転させる回転駆動手段と、チャック手段にて支持されているトリポード部材を上下動させる上下動手段と、チャック手段にて支持されているトリポード部材の脚軸の胴部の高さ位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段にて検出された脚軸の胴部の高さ位置のピーク値に基づいて前記脚軸の軸心位置決めを行う制御手段とを備えたことを特徴とする軸心位置補正装置。
【請求項2】
製品寸法データを記憶する記憶手段を備え、制御手段は、位置検出手段にて検出された脚軸の胴部の高さ位置のピーク値と前記記憶手段のデータとを比較して補正値を演算することを特徴とする請求項1に記載の軸心位置補正装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、複数の製品寸法データを記憶していることを特徴とする請求項2に記載の軸心位置補正装置。
【請求項4】
前記位置検出手段は、非接触型センサにて構成されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の軸心位置補正装置。
【請求項5】
前記位置検出手段は、接触型センサにて構成されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の軸心位置補正装置。
【請求項6】
前記位置検出手段は、ボス部の軸線廻りに回転しているトリポード部材における脚軸の胴部の高さ位置を検出することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の軸心位置補正装置。
【請求項7】
前記位置検出手段は、停止しているトリポード部材における脚軸の胴部の高さ位置を検出することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の軸心位置補正装置。
【請求項8】
ボスと、このボスの円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸とを有するトリポード部材の軸心位置補正方法であって、
トリポード部材をそのボスを支持して、ボスの軸線が鉛直線上に配置される状態とした後、この状態におけるトリポード部材に対してその脚軸の胴部の高さ位置を検出して、その高さ位置のピーク値と製品寸法データとに基づいて、脚軸の軸心を補正することを特徴とする軸心位置補正方法。
【請求項9】
トリポード部材を回転及び/又は上下動させて補正することを特徴とする請求項8に記載の軸心位置補正方法。
【請求項10】
前記請求項8又は請求項9に記載の軸心位置補正方法にて脚軸の軸心が補正された状態で、この脚軸の胴部の仕上加工を行われて完成されたことを特徴とするトリポード部材。
【請求項11】
前記請求項10に記載のトリポード部材を内側継手部材として用いたことを特徴とするトリポード型等速自在継手。
【請求項12】
ボスとこのボスの円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸とを有するトリポード部材の脚軸にニードルローラを介してローラを外嵌するローラ組付装置であって、
ローラとトリポード部材の脚軸とを同一軸心上に保持した状態でチャックする組付用チャック手段と、チャック手段にてチャックしているトリポード部材に対して脚軸胴部の外周側からニードルローラを脚軸の軸心と平行状態を維持しつつ供給して組み付けるニードルローラ供給手段と、前記ニードルローラ供給手段側とトリポード部材側との相対的な回転によって他のニードルローラの組み付けを許容する回転駆動手段と、全周に複数のニードルローラが組み付けられた脚軸に対してその軸心方向に沿って前記ローラを嵌入してローラを装着する装着手段とを備えたことを特徴とするローラ組付装置。
【請求項13】
前記請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の軸心位置補正装置を備え、この軸心位置補正装置を用いて軸心位置が補正されたトリポード部材の脚軸に対して、ニードルローラ及びローラを組み付けることを特徴とする請求項12に記載するローラ組付装置。
【請求項14】
前記回転駆動手段は、トリポード部材側を回転させることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載のローラ組付装置。
【請求項15】
前記回転駆動手段は、ニードルローラ供給側を回転させることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載のローラ組付装置。
【請求項16】
ボスとこのボスの円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸とを有するトリポード部材の脚軸にニードルローラを介してローラを外嵌するローラ組付装置であって、
ローラとトリポード部材の脚軸とを同一軸心上に保持した状態でチャックする組付用チャック手段と、組付用チャック手段にてチャックしているトリポード部材に対して脚軸胴部の外周側からニードルローラを脚軸の軸心と平行状態を維持しつつ供給して組み付けるニードルローラ供給手段と、前記ニードルローラ供給手段側とトリポード部材側との相対的な所定角度範囲内の回動である揺動によって他のニードルローラの組み付けを許容する揺動手段と、全周に複数のニードルローラが組み付けられた脚軸に対してその軸心方向に沿って前記ローラを嵌入してローラを装着する装着手段とを備えたことを特徴とするローラ組付装置。
【請求項17】
前記請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の軸心位置補正装置を備え、この軸心位置補正装置を用いて軸心位置が補正されたトリポード部材の脚軸に対して、ニードルローラ及びローラを組み付けることを特徴とする請求項16に記載のローラ組付装置。
【請求項18】
前記揺動手段は、トリポード部材側を揺動させることを特徴とする請求項16又は請求項17に記載のローラ組付装置。
【請求項19】
前記揺動手段は、ニードルローラ供給側を揺動させることを特徴とする請求項16又は請求項17に記載のローラ組付装置。
【請求項20】
ニードルローラ供給手段は、シリンダ機構の押圧力にてニードルローラを組み付けることを特徴とする請求項12〜請求項19のいずれか1項に記載のローラ組付装置。
【請求項21】
ニードルローラ供給手段は、エアーブロー機構を備え、このエアーブロー機構のエアーブロー力にてニードルローラを組み付けることを特徴とする請求項12〜請求項19のいずれか1項に記載のローラ組付装置。
【請求項22】
ボスとこのボスの円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸とを有するトリポード部材の脚軸にニードルローラを介してローラを外嵌するローラ組付方法であって、
トリポード部材の脚軸の外周側から複数のニードルローラを脚軸の軸心と平行状態を維持しつつ順次供給して組み付けた後、脚軸に対してその軸心方向に沿ってローラを嵌入してローラを脚軸に装着することを特徴とするローラ組付方法。
【請求項1】
ボスと、このボスの円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸とを有するトリポード部材の軸心位置補正装置であって、
前記トリポード部材をそのボスの軸線が鉛直線上に配置されるようにボスを支持するチャック手段と、チャック手段にて支持されているトリポード部材を前記軸線廻りに回転させる回転駆動手段と、チャック手段にて支持されているトリポード部材を上下動させる上下動手段と、チャック手段にて支持されているトリポード部材の脚軸の胴部の高さ位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段にて検出された脚軸の胴部の高さ位置のピーク値に基づいて前記脚軸の軸心位置決めを行う制御手段とを備えたことを特徴とする軸心位置補正装置。
【請求項2】
製品寸法データを記憶する記憶手段を備え、制御手段は、位置検出手段にて検出された脚軸の胴部の高さ位置のピーク値と前記記憶手段のデータとを比較して補正値を演算することを特徴とする請求項1に記載の軸心位置補正装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、複数の製品寸法データを記憶していることを特徴とする請求項2に記載の軸心位置補正装置。
【請求項4】
前記位置検出手段は、非接触型センサにて構成されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の軸心位置補正装置。
【請求項5】
前記位置検出手段は、接触型センサにて構成されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の軸心位置補正装置。
【請求項6】
前記位置検出手段は、ボス部の軸線廻りに回転しているトリポード部材における脚軸の胴部の高さ位置を検出することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の軸心位置補正装置。
【請求項7】
前記位置検出手段は、停止しているトリポード部材における脚軸の胴部の高さ位置を検出することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の軸心位置補正装置。
【請求項8】
ボスと、このボスの円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸とを有するトリポード部材の軸心位置補正方法であって、
トリポード部材をそのボスを支持して、ボスの軸線が鉛直線上に配置される状態とした後、この状態におけるトリポード部材に対してその脚軸の胴部の高さ位置を検出して、その高さ位置のピーク値と製品寸法データとに基づいて、脚軸の軸心を補正することを特徴とする軸心位置補正方法。
【請求項9】
トリポード部材を回転及び/又は上下動させて補正することを特徴とする請求項8に記載の軸心位置補正方法。
【請求項10】
前記請求項8又は請求項9に記載の軸心位置補正方法にて脚軸の軸心が補正された状態で、この脚軸の胴部の仕上加工を行われて完成されたことを特徴とするトリポード部材。
【請求項11】
前記請求項10に記載のトリポード部材を内側継手部材として用いたことを特徴とするトリポード型等速自在継手。
【請求項12】
ボスとこのボスの円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸とを有するトリポード部材の脚軸にニードルローラを介してローラを外嵌するローラ組付装置であって、
ローラとトリポード部材の脚軸とを同一軸心上に保持した状態でチャックする組付用チャック手段と、チャック手段にてチャックしているトリポード部材に対して脚軸胴部の外周側からニードルローラを脚軸の軸心と平行状態を維持しつつ供給して組み付けるニードルローラ供給手段と、前記ニードルローラ供給手段側とトリポード部材側との相対的な回転によって他のニードルローラの組み付けを許容する回転駆動手段と、全周に複数のニードルローラが組み付けられた脚軸に対してその軸心方向に沿って前記ローラを嵌入してローラを装着する装着手段とを備えたことを特徴とするローラ組付装置。
【請求項13】
前記請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の軸心位置補正装置を備え、この軸心位置補正装置を用いて軸心位置が補正されたトリポード部材の脚軸に対して、ニードルローラ及びローラを組み付けることを特徴とする請求項12に記載するローラ組付装置。
【請求項14】
前記回転駆動手段は、トリポード部材側を回転させることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載のローラ組付装置。
【請求項15】
前記回転駆動手段は、ニードルローラ供給側を回転させることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載のローラ組付装置。
【請求項16】
ボスとこのボスの円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸とを有するトリポード部材の脚軸にニードルローラを介してローラを外嵌するローラ組付装置であって、
ローラとトリポード部材の脚軸とを同一軸心上に保持した状態でチャックする組付用チャック手段と、組付用チャック手段にてチャックしているトリポード部材に対して脚軸胴部の外周側からニードルローラを脚軸の軸心と平行状態を維持しつつ供給して組み付けるニードルローラ供給手段と、前記ニードルローラ供給手段側とトリポード部材側との相対的な所定角度範囲内の回動である揺動によって他のニードルローラの組み付けを許容する揺動手段と、全周に複数のニードルローラが組み付けられた脚軸に対してその軸心方向に沿って前記ローラを嵌入してローラを装着する装着手段とを備えたことを特徴とするローラ組付装置。
【請求項17】
前記請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の軸心位置補正装置を備え、この軸心位置補正装置を用いて軸心位置が補正されたトリポード部材の脚軸に対して、ニードルローラ及びローラを組み付けることを特徴とする請求項16に記載のローラ組付装置。
【請求項18】
前記揺動手段は、トリポード部材側を揺動させることを特徴とする請求項16又は請求項17に記載のローラ組付装置。
【請求項19】
前記揺動手段は、ニードルローラ供給側を揺動させることを特徴とする請求項16又は請求項17に記載のローラ組付装置。
【請求項20】
ニードルローラ供給手段は、シリンダ機構の押圧力にてニードルローラを組み付けることを特徴とする請求項12〜請求項19のいずれか1項に記載のローラ組付装置。
【請求項21】
ニードルローラ供給手段は、エアーブロー機構を備え、このエアーブロー機構のエアーブロー力にてニードルローラを組み付けることを特徴とする請求項12〜請求項19のいずれか1項に記載のローラ組付装置。
【請求項22】
ボスとこのボスの円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸とを有するトリポード部材の脚軸にニードルローラを介してローラを外嵌するローラ組付方法であって、
トリポード部材の脚軸の外周側から複数のニードルローラを脚軸の軸心と平行状態を維持しつつ順次供給して組み付けた後、脚軸に対してその軸心方向に沿ってローラを嵌入してローラを脚軸に装着することを特徴とするローラ組付方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−171085(P2012−171085A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38594(P2011−38594)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
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