載置部材とこの載置部材を用いた冷暖房ユニット
【課題】 冷暖房ユニットにおいて生じる温度ムラをなくすための部材を提供する。また、温度ムラが生じない冷暖房ユニットを提供する。
【解決手段】 一対のメインパイプSP,BPと、これら一対のメインパイプSP,BPを連結する複数の熱交換パイプRPと、上記一対のメインパイプSP,BPのいずれか一方または双方を載置する載置部材Sとを備え、上記載置部材Sの本体には、上記メインパイプSP,BPをはめ込むはめ込み溝11と、このはめ込み溝11に連続するとともに、上記熱交換パイプRPを載置する傾斜面12とを備えた。
【解決手段】 一対のメインパイプSP,BPと、これら一対のメインパイプSP,BPを連結する複数の熱交換パイプRPと、上記一対のメインパイプSP,BPのいずれか一方または双方を載置する載置部材Sとを備え、上記載置部材Sの本体には、上記メインパイプSP,BPをはめ込むはめ込み溝11と、このはめ込み溝11に連続するとともに、上記熱交換パイプRPを載置する傾斜面12とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱交換パイプに流通させた流体の輻射熱を利用して冷暖房を行う冷暖房ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
冷暖房ユニットとして、図6〜図11に示すものが従来知られているが、この冷暖房ユニットは、図6または図7に示すパイプマットを備えている。この図6に示した冷暖用のパイプマットm1は、合成樹脂製の供給用メインパイプSPと戻り用メインパイプBPとを平行に配置するとともに、これら両メインパイプSP、BP間を、可撓性を有する合成樹脂製の多数の熱交換パイプRPで連結している。
【0003】
そして、上記供給用メインパイプSPおよび戻り用メインパイプBPのそれぞれの一端には、コネクター1、2を設け、これらコネクター1、2を図示していない給排システムに接続している。したがって、この給排システムからの温水または冷水(以下「冷暖流体」という)が供給用メインパイプSPに供給されると、この冷暖流体は、熱交換パイプRPを経由して戻り用メインパイプBPから給排システムに戻される。そして、この熱交換パイプRPを経由する過程で、冷暖流体の熱が放出されるとともに、その輻射熱で所望の冷暖房効果を発揮する。
【0004】
また、図7に示したパイプマットm2は、供給用メインパイプSPと戻り用メインパイプBPとの間を多数の熱交換パイプRPで連結するとともに、これら熱交換パイプRPをU字状に曲げたU字状部3を設けて、供給用メインパイプSPと戻り用メインパイプBPとを同軸上に配置している。
そして、このパイプマットm2の供給用メインパイプSPと戻り用メインパイプBPのそれぞれにも、コネクター1、2を設け、これらコネクター1、2を図示していない給排システムに接続するようにしている。
なお、パイプマットm2において、熱交換パイプRPをU字状にわざわざ曲げたのは、供給用メインパイプSPと戻り用メインパイプBPとを同軸上に設けて、給排システムを一方の側に集約化させるためである。
【0005】
上記の構成からなるパイプマットm1,m2は、天井パネルに載置して室内冷暖房システムに利用したり、あるいは床下に設置して床暖房システムに利用したりする。例えば、室内冷暖房システムに用いる場合には、天井パネルにパイプマットm1,m2を載置する。そして、このパイプマットm1,m2に冷暖流体を流通させれば、熱交換パイプRPを通過する際に、冷暖流体の熱が天井パネルに伝達するとともに、この天井パネルの輻射熱によって室内を冷暖房することができる。
【0006】
また、上記パイプマットm1,m2を床暖房システムに利用する場合には、図8〜10に示すようにパネル本体4に載置される。
すなわち、パネル本体4は、その長手方向両端に段差部5、6を形成し、この段差部5、6とこの段差部よりも高くした平坦面7とを設けている。そして、この平坦面7には、熱交換パイプRPと同数のガイド溝8を形成しているが、このガイド溝8は、熱交換パイプRPがぴったりとはまる溝幅と深さとを保っている。
【0007】
また、上記平坦面7と段差部5、6との高低差は、パイプマットm1,m2の供給用メインパイプSPおよび戻り用メインパイプBPの外径とほぼ同じにしている。
したがって、図9に示すように、段差部5、6に供給用メインパイプSPと戻り用メインパイプBPとを載せるとともに、それら両パイプ間の熱交換パイプRPをガイド溝8にはめれば、それら全ての熱交換パイプRPをパネル本体4にぴったりと密着させることができる。また、パイプマットm2においては、図10に示すように、一方の段差部5に両メインパイプSP,BPを載せて、他方の段差部6にU字状部3を載せればよい。
【0008】
上記の構成からなる床暖房システムは、供給用メインパイプSPに冷暖流体を供給すると、この冷暖流体が熱交換パイプRPを流通する過程において、冷暖流体の熱がパネル本体4に伝達する。そして、このパネル本体4を介して室内を冷暖房することができる。
このように、パイプマットm1,m2を天井パネルに載置したり、あるいはパネル本体4に載置して床下に設置したりすれば、熱交換パイプRPからパネル本体4に伝達した熱によって、室内を冷暖房することができる。
【特許文献1】特開2000−213781号公報
【特許文献2】特開平11−241834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の構成からなるパイプマットm1,m2を天井パネルに載置して利用する際には、図11に示すように、熱交換パイプRP上に断熱プレート9を載せて、熱交換パイプRPが天井パネルにしっかりと密着するようにしている。このように、熱交換パイプRPが天井パネルに密着するようにするのは、熱伝達率を高めるためである。
すなわち、熱交換パイプRPは合成樹脂製で可撓性を有するため、熱交換パイプRPを天井パネル上に載置するだけでは、パイプが天井パネルから浮いてしまうことがある。このように、熱交換パイプRPが天井パネルから浮いてしまうと、その部分における熱伝達率が悪くなってしまい、天井パネルに温度ムラが生じてしまう。
そこで、パイプマットm1,m2を天井パネルに載置して利用する場合には、断熱プレート9を載せて、熱交換パイプRPが天井パネルから浮いてしまわないようにするのである。
【0010】
ところが、パイプマットm1,m2においては、両メインパイプSP,BPの直径が熱交換パイプRPの直径に比べてかなり大きいのが通常である。そのため、両メインパイプSP,BPと熱交換パイプRPとの連結部分、つまり熱交換パイプRPにおける図中xの範囲が、どうしても天井パネルから浮いてしまう。
また、天井パネルから浮いてしまう部分を小さくするために、熱交換パイプRPの連結部分ぎりぎりまで断熱プレート9を載置して、xの範囲にある熱交換パイプRPを天井パネルに押し付けて固定することも考えられる。しかし、熱交換パイプRPにおけるxの部分を天井パネルに押し付けると、連結部分に荷重が作用してしまい、連結部分が損傷するとともに熱交換パイプRPが折れてしまう。そのため、両メインパイプSP,BPからある程度の範囲においては、熱交換パイプRPを天井パネルに接触させることができない。
このように、パイプマットm1,m2を天井パネルに載置した場合には、熱交換パイプRPの両端部近傍(連結部分近傍)の熱伝達率が低下して、天井パネルに温度ムラが生じてしまうという問題があった。
【0011】
これに対して、図8〜10に示すパネル本体4を用いれば、段差部5,6を設けた分、両メインパイプSP,BPと熱交換パイプRPとの直径差を吸収することができる。したがって、熱交換パイプRPの連結部分近傍をパネル本体4にしっかりと接触させることができ、熱交換パイプRPに対応するパネル本体4の部分に、温度ムラが生じないようにすることができる。
ところが、パネル本体4は、その両側に段差部5,6を設けるとともに、この段差部5,6に両メインパイプSP,BPを載置している。そのため、段差部5,6には、熱交換パイプRPを介して熱伝達することができない。また、両メインパイプSP,BPも、段差部5,6に線接触するのみであり、両メインパイプSP,BPを介して段差部5,6に熱伝達することもできない。
【0012】
したがって、パネル本体4の段差部5,6に対応する部分にはほとんど熱伝達がされず、両メインパイプSP,BPを載置する段差部5,6と、熱交換パイプRPを載置する平坦面7とで温度ムラが生じてしまうという問題があった。
なお、冷暖房ユニットにおいて温度ムラを解消するための開発が日々なされているが、メインパイプの載置部分と熱交換パイプの載置部分との間に生じる温度ムラを解消した冷暖房ユニットは、未だ開発されていない。
【0013】
この発明の目的は、冷暖房ユニットにおいて生じる温度ムラをなくすための部材を提供すること、および、温度ムラが生じない冷暖房ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の発明は、一対のメインパイプを複数の熱交換パイプで連結してなるパイプマットを載置する冷暖房ユニット用の載置部材において、上記載置部材の本体には、上記一対のメインパイプのいずれか一方または双方をはめ込むはめ込み溝と、このはめ込み溝に連続するとともに、上記熱交換パイプを載置する傾斜面とを備えた点に特徴を有する。
第2の発明は、上記傾斜面が、熱交換パイプをはめ込む整列溝の底面からなる点に特徴を有する。
第3の発明は、はめ込み溝の開口径をメインパイプの直径よりも小さくするとともに、上記メインパイプの外周面の半分以上をはめ込み溝の内面に接触させた点に特徴を有する。
【0015】
第4の発明は、冷暖房ユニットにおいて、一対のメインパイプと、これら一対のメインパイプを連結する複数の熱交換パイプと、上記一対のメインパイプのいずれか一方または双方を載置する載置部材とを備え、上記載置部材の本体には、上記メインパイプをはめ込むはめ込み溝と、このはめ込み溝に連続するとともに、上記熱交換パイプを載置する傾斜面とを備えた点に特徴を有する。
第5の発明は、上記傾斜面が、熱交換パイプをはめ込む整列溝の底面からなる点に特徴を有する。
第6の発明は、はめ込み溝の開口径をメインパイプの直径よりも小さくするとともに、上記メインパイプの半分以上の外周面がはめ込み溝の内面に接触する点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0016】
第1,4の発明によれば、載置部材にメインパイプをはめ込むはめ込み溝を形成したので、このはめ込み溝にメインパイプをはめ込めば、メインパイプと載置部材とが密着して、メインパイプを介して熱伝達することができる。
また、熱交換パイプを載置する傾斜面を、はめ込み溝に連続して設けたので、熱交換パイプとメインパイプとの連結部分においても、熱伝達を確実にすることができる。
このように、メインパイプの載置部分および熱交換パイプの連結部分においても、確実に熱伝達がされるので、冷暖房ユニット全体を通じて温度ムラが生じないようにすることができる。
しかも、熱交換パイプが、連結部分から載置面まで傾斜面に沿って緩やかに傾斜するので、冷暖房ユニットに荷重が作用しても、連結部分に負担がかからず、熱交換パイプが折れてしまうことがない。
【0017】
第2,5の発明によれば、熱交換パイプをはめ込む整列溝の底面を傾斜面としたので、最も熱伝達させるのが難しい熱交換パイプの連結部分においても、確実に熱伝達させることができる。
第3,6の発明によれば、はめ込み溝の開口径をメインパイプの直径よりも小さくしたので、メインパイプをはめ込み溝にしっかりと保持させることができ、メインパイプから確実に熱伝達させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1〜3を用いて、この発明の第1実施形態について説明する。
なお、この第1実施形態は、上記従来と同様のパイプマットm1,m2を用いるが、ここではパイプマットm1を用いる場合について説明する。したがって、パイプマットm1については同様の符号を付するとともに、その詳細な説明は省略することとする。
【0019】
図1に示す載置部材Sは、アルミ等の金属またはパイプマットm1と同様の合成樹脂等、熱伝達率の高い部材で構成している。この載置部材Sは、その長さ(図中x方向長さ)を、パイプマットm1におけるコネクター1,2を除く両メインパイプSP,BPの長さとほぼ等しくしている。
また、上記載置部材Sは、本体の幅方向(図中y方向)の一端側に円弧状のはめ込み溝11を形成するとともに、このはめ込み溝11から他端側に向かって本体を傾斜させている。そして、このはめ込み溝11から連続して傾斜する本体の表面を傾斜面12としている。
【0020】
上記載置部材Sは、それを天井パネル等に整列させた状態で、はめ込み溝11にパイプマットm1のメインパイプSP,BPをはめ込む。このとき、はめ込み溝11は、図2に示すように、パイプマットm1のメインパイプSP,BPの外周がちょうど密着する寸法関係を維持している。
また、上記のように両メインパイプSP,BPをはめ込み溝11に載置した状態では、多数の熱交換パイプRPが、傾斜面12上に接触して位置する。つまり、熱交換パイプRPは、両メインパイプSP,BPから傾斜面12上を沿うようにして、載置部材Sの載置面(天井パネル等)に連続することとなる。
【0021】
なお、図1〜図3に示すように、はめ込み溝11と傾斜面12との間には、切り欠き状の段差部13を、はめ込み溝11に沿って形成している。これは、両メインパイプSP,BPと熱交換パイプRPとを溶着する際に生じるビードを吸収するためのものである。
すなわち、パイプマットm1の製造過程においては、両メインパイプSP,BPと熱交換パイプRPとを溶着する際に、当該溶着部分において円周上に波形の膨らみ(ビード)が生じてしまう。
そこで、はめ込み溝11と傾斜面12との連続過程に段差部13を設けるとともに、この段差部13に上記膨らみを位置させることで、溶着部分に生じる膨らみを吸収するようにしている。つまり、段差部13を設けることによって、メインパイプSP,BPと熱交換パイプRPとの連結部分が、載置部材Sから浮き上がらないようにしたのである。
【0022】
このように、メインパイプSP,BPが、はめ込み溝11に密着するとともに、熱交換パイプRPの連結部分も、傾斜面12にしっかりと接触して載置部材S上に載置される。上記したように、載置部材Sは、熱伝達率の高い部材で構成しているので、メインパイプSP,BPおよび熱交換パイプRPが、載置部材Sに密着すれば、冷暖流体の熱を載置部材Sを介して、天井パネル等にしっかりと伝達させることができる。
しかも、熱交換パイプRPが、連結部分から載置面まで傾斜面12に沿って緩やかに傾斜するので、冷暖房ユニットに荷重が作用しても、連結部分に負担がかからず、熱交換パイプRPが折れてしまうことがない。
【0023】
なお、この載置部材Sは、両メインパイプSP,BPおよび熱交換パイプRPの端部近傍の熱伝達を行うものであり、その他の部分においては、従来と同様、熱交換パイプRPが直接天井パネル等に接触して熱伝達が行われる。
そして、パイプマットm1を用いる冷暖房ユニットにおいては、供給用メインパイプSPと戻り用メインパイプBPとが対向して位置している(図6参照)ので、一対の載置部材Sも対向して位置させて用いればよい。
一方、パイプマットm2を用いる冷暖房ユニットにおいては、供給用メインパイプSPと戻り用メインパイプBPとが直線上に位置している(図7参照)ので、一対の載置部材Sも直線上に位置させて用いる。
【0024】
ただし、上記載置部材Sは、必ずしも両メインパイプSP,BPに用いなければならないものではなく、両メインパイプSP,BPのいずれか一方に設けてもよい。
いずれにしても、載置部材Sは、パイプマットの構造に左右されることなく、メインパイプと熱交換パイプRPとを備えた冷暖房ユニットに広く用いることができる。
また、上記の載置部材Sは、天井パネルに限らず壁や床等に広く用いることができる。そして、この載置部材Sを用いれば、メインパイプSP,BPの載置部分および熱交換パイプRPの連結部分においても、確実に熱伝達がされるので、全体的に温度ムラのない冷暖房を実現することができる。
【0025】
図4を用いて、この発明の第2実施形態について説明する。
なお、この第2実施形態においては、上記載置部材Sに整列溝を形成した点のみ上記第1実施形態と異なり、その他の構成は上記第1実施形態と同様である。したがって、ここでは、上記第1実施形態と異なる点のみ説明することとする。
図4に示す第2実施形態の冷暖房ユニットは、載置部材S1を備えてなる。この載置部材S1は、本体の幅方向(図中y方向)の一端側に円弧状のはめ込み溝11を形成するとともに、このはめ込み溝11から他端側に向かって本体を傾斜させている。そして、このはめ込み溝11から連続して傾斜する本体表面には、パイプマットm1,m2の熱交換パイプRPと同じピッチで、しかも熱交換パイプRPと同数の整列溝14を形成している。
【0026】
この整列溝14は、パイプマットm1,m2の熱交換パイプRPに対応する溝であり、その溝幅を熱交換パイプRPの外径とほぼ等しくしている。また、整列溝14は、熱交換パイプRPが本体表面から突出しない程度の深さを有するとともに、この整列溝14の底面を傾斜面15としている。
したがって、はめ込み溝11に両メインパイプSP,BPを載置すると、これら両メインパイプSP,BPに連結した熱交換パイプRPの全てが、整列溝14内に収容されるとともに、熱交換パイプRPと傾斜面15とが接触する。
【0027】
このように、第2実施形態の冷暖房ユニットにおいても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
しかも、この第2実施形態においては、載置部材S1の本体に整列溝14を形成するとともに、この整列溝14の底面を傾斜面15としたので、この整列溝14に熱交換パイプRPをはめ込めば、熱交換パイプRPが整列溝14の側壁に密着して、側壁を介しても熱伝達させることができる。
したがって、最も熱伝達させるのが難しい熱交換パイプRPの連結部分においても、確実に熱伝達させることができる。
【0028】
図5を用いて、この発明の第3実施形態について説明する。
なお、この第3実施形態においては、上記第1実施形態における載置部材Sのはめ込み溝11の構造のみ異なり、その他の構成は上記第1実施形態と同様である。したがって、ここでは、上記第1実施形態と異なる点のみ説明することとする。
図5に示す第3実施形態の冷暖房ユニットは、載置部材S2を備えてなる。この載置部材S2は、本体の幅方向(図中y方向)の一端側に円弧状のはめ込み溝16を形成するとともに、このはめ込み溝16から他端側に向かって本体を傾斜させている。そして、このはめ込み溝16から連続して傾斜する本体の表面を傾斜面12としている。
【0029】
そして、この載置部材S2においては、はめ込み溝16を形成した本体の幅方向一端側の厚さ(図中z方向の厚さ)を、上記第1実施形態における載置部材Sよりも高くして押さえ部17を形成している。
この押さえ部17は、はめ込み溝16の開口側上方に向かって本体を延長させた部分であり、はめ込み溝16の開口径Lが、メインパイプSP,BPの直径よりも小さくなるまで内周面を延長させている。
【0030】
両メインパイプSP,BPは合成樹脂製であるため、可撓性を多少有している。したがって、上記のはめ込み溝16にメインパイプSP,BPを押し込むと、これらが弾性変形しながらはめ込み溝16内に載置される。はめ込み溝16内に載置されると、メインパイプSP,BPがはめ込み溝16の内周面に密着するとともに、押さえ部17がメインパイプSP,BPを抱えるように保持する。
このように、この第3実施形態によれば、メインパイプSP,BPをはめ込み溝16にしっかりと保持させることができるので、メインパイプSP,BPからの熱伝達を一層確実にすることができる。
【0031】
なお、メインパイプSP,BPの外周面の半分以上が、はめ込み溝16の内面に接触していれば、はめ込み溝16の開口径LをメインパイプSP,BPの直径よりも小さくすることで、メインパイプSP,BPをはめ込み溝16にしっかりと保持することができる。
また、上記押さえ部17を肉薄に形成すれば、メインパイプSP,BPをはめ込み溝16にはめ込む際に、押さえ部17も弾性変形するので、メインパイプSP,BPをはめ込み溝16にはめ込みやすくなる。
また、上記第3実施形態における載置部材S2の押さえ部17は、第2実施形態における載置部材S1に形成してもよいこと当然である。
なお、上記各実施形態においては、載置部材のはめ込み溝を円弧状に形成しているが、これは、パイプマットm1,m2におけるメインパイプSP,BPを、断面円形にしているためである。したがって、メインパイプSP,BPが、断面楕円や矩形であれば、はめ込み溝を断面楕円や矩形にすること当然である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施形態の載置部材を示す図である。
【図2】載置部材にパイプマットを載置した状態を示す図である。
【図3】載置部材にパイプマットを載置した状態の断面図である。
【図4】第2実施形態の載置部材を示す図である。
【図5】第3実施形態の載置部材を示す図である。
【図6】パイプマットの一例を示す図である。
【図7】パイプマットの他の例を示す図である。
【図8】従来の冷暖房ユニットにおけるパネルを示す図である。
【図9】パネル本体にパイプマットを載置した状態の一例を示す図である。
【図10】パネル本体にパイプマットを載置した状態の他の例を示す図である。
【図11】パイプマットを天井パネルに載置した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
11,16 はめ込み溝
12,15 傾斜面
14 整列溝
m1,m2 パイプマット
L はめ込み溝の開口径
S,S1,S2 載置部材
BP 戻り用メインパイプ
RP 熱交換パイプ
SP 供給用メインパイプ
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱交換パイプに流通させた流体の輻射熱を利用して冷暖房を行う冷暖房ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
冷暖房ユニットとして、図6〜図11に示すものが従来知られているが、この冷暖房ユニットは、図6または図7に示すパイプマットを備えている。この図6に示した冷暖用のパイプマットm1は、合成樹脂製の供給用メインパイプSPと戻り用メインパイプBPとを平行に配置するとともに、これら両メインパイプSP、BP間を、可撓性を有する合成樹脂製の多数の熱交換パイプRPで連結している。
【0003】
そして、上記供給用メインパイプSPおよび戻り用メインパイプBPのそれぞれの一端には、コネクター1、2を設け、これらコネクター1、2を図示していない給排システムに接続している。したがって、この給排システムからの温水または冷水(以下「冷暖流体」という)が供給用メインパイプSPに供給されると、この冷暖流体は、熱交換パイプRPを経由して戻り用メインパイプBPから給排システムに戻される。そして、この熱交換パイプRPを経由する過程で、冷暖流体の熱が放出されるとともに、その輻射熱で所望の冷暖房効果を発揮する。
【0004】
また、図7に示したパイプマットm2は、供給用メインパイプSPと戻り用メインパイプBPとの間を多数の熱交換パイプRPで連結するとともに、これら熱交換パイプRPをU字状に曲げたU字状部3を設けて、供給用メインパイプSPと戻り用メインパイプBPとを同軸上に配置している。
そして、このパイプマットm2の供給用メインパイプSPと戻り用メインパイプBPのそれぞれにも、コネクター1、2を設け、これらコネクター1、2を図示していない給排システムに接続するようにしている。
なお、パイプマットm2において、熱交換パイプRPをU字状にわざわざ曲げたのは、供給用メインパイプSPと戻り用メインパイプBPとを同軸上に設けて、給排システムを一方の側に集約化させるためである。
【0005】
上記の構成からなるパイプマットm1,m2は、天井パネルに載置して室内冷暖房システムに利用したり、あるいは床下に設置して床暖房システムに利用したりする。例えば、室内冷暖房システムに用いる場合には、天井パネルにパイプマットm1,m2を載置する。そして、このパイプマットm1,m2に冷暖流体を流通させれば、熱交換パイプRPを通過する際に、冷暖流体の熱が天井パネルに伝達するとともに、この天井パネルの輻射熱によって室内を冷暖房することができる。
【0006】
また、上記パイプマットm1,m2を床暖房システムに利用する場合には、図8〜10に示すようにパネル本体4に載置される。
すなわち、パネル本体4は、その長手方向両端に段差部5、6を形成し、この段差部5、6とこの段差部よりも高くした平坦面7とを設けている。そして、この平坦面7には、熱交換パイプRPと同数のガイド溝8を形成しているが、このガイド溝8は、熱交換パイプRPがぴったりとはまる溝幅と深さとを保っている。
【0007】
また、上記平坦面7と段差部5、6との高低差は、パイプマットm1,m2の供給用メインパイプSPおよび戻り用メインパイプBPの外径とほぼ同じにしている。
したがって、図9に示すように、段差部5、6に供給用メインパイプSPと戻り用メインパイプBPとを載せるとともに、それら両パイプ間の熱交換パイプRPをガイド溝8にはめれば、それら全ての熱交換パイプRPをパネル本体4にぴったりと密着させることができる。また、パイプマットm2においては、図10に示すように、一方の段差部5に両メインパイプSP,BPを載せて、他方の段差部6にU字状部3を載せればよい。
【0008】
上記の構成からなる床暖房システムは、供給用メインパイプSPに冷暖流体を供給すると、この冷暖流体が熱交換パイプRPを流通する過程において、冷暖流体の熱がパネル本体4に伝達する。そして、このパネル本体4を介して室内を冷暖房することができる。
このように、パイプマットm1,m2を天井パネルに載置したり、あるいはパネル本体4に載置して床下に設置したりすれば、熱交換パイプRPからパネル本体4に伝達した熱によって、室内を冷暖房することができる。
【特許文献1】特開2000−213781号公報
【特許文献2】特開平11−241834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の構成からなるパイプマットm1,m2を天井パネルに載置して利用する際には、図11に示すように、熱交換パイプRP上に断熱プレート9を載せて、熱交換パイプRPが天井パネルにしっかりと密着するようにしている。このように、熱交換パイプRPが天井パネルに密着するようにするのは、熱伝達率を高めるためである。
すなわち、熱交換パイプRPは合成樹脂製で可撓性を有するため、熱交換パイプRPを天井パネル上に載置するだけでは、パイプが天井パネルから浮いてしまうことがある。このように、熱交換パイプRPが天井パネルから浮いてしまうと、その部分における熱伝達率が悪くなってしまい、天井パネルに温度ムラが生じてしまう。
そこで、パイプマットm1,m2を天井パネルに載置して利用する場合には、断熱プレート9を載せて、熱交換パイプRPが天井パネルから浮いてしまわないようにするのである。
【0010】
ところが、パイプマットm1,m2においては、両メインパイプSP,BPの直径が熱交換パイプRPの直径に比べてかなり大きいのが通常である。そのため、両メインパイプSP,BPと熱交換パイプRPとの連結部分、つまり熱交換パイプRPにおける図中xの範囲が、どうしても天井パネルから浮いてしまう。
また、天井パネルから浮いてしまう部分を小さくするために、熱交換パイプRPの連結部分ぎりぎりまで断熱プレート9を載置して、xの範囲にある熱交換パイプRPを天井パネルに押し付けて固定することも考えられる。しかし、熱交換パイプRPにおけるxの部分を天井パネルに押し付けると、連結部分に荷重が作用してしまい、連結部分が損傷するとともに熱交換パイプRPが折れてしまう。そのため、両メインパイプSP,BPからある程度の範囲においては、熱交換パイプRPを天井パネルに接触させることができない。
このように、パイプマットm1,m2を天井パネルに載置した場合には、熱交換パイプRPの両端部近傍(連結部分近傍)の熱伝達率が低下して、天井パネルに温度ムラが生じてしまうという問題があった。
【0011】
これに対して、図8〜10に示すパネル本体4を用いれば、段差部5,6を設けた分、両メインパイプSP,BPと熱交換パイプRPとの直径差を吸収することができる。したがって、熱交換パイプRPの連結部分近傍をパネル本体4にしっかりと接触させることができ、熱交換パイプRPに対応するパネル本体4の部分に、温度ムラが生じないようにすることができる。
ところが、パネル本体4は、その両側に段差部5,6を設けるとともに、この段差部5,6に両メインパイプSP,BPを載置している。そのため、段差部5,6には、熱交換パイプRPを介して熱伝達することができない。また、両メインパイプSP,BPも、段差部5,6に線接触するのみであり、両メインパイプSP,BPを介して段差部5,6に熱伝達することもできない。
【0012】
したがって、パネル本体4の段差部5,6に対応する部分にはほとんど熱伝達がされず、両メインパイプSP,BPを載置する段差部5,6と、熱交換パイプRPを載置する平坦面7とで温度ムラが生じてしまうという問題があった。
なお、冷暖房ユニットにおいて温度ムラを解消するための開発が日々なされているが、メインパイプの載置部分と熱交換パイプの載置部分との間に生じる温度ムラを解消した冷暖房ユニットは、未だ開発されていない。
【0013】
この発明の目的は、冷暖房ユニットにおいて生じる温度ムラをなくすための部材を提供すること、および、温度ムラが生じない冷暖房ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の発明は、一対のメインパイプを複数の熱交換パイプで連結してなるパイプマットを載置する冷暖房ユニット用の載置部材において、上記載置部材の本体には、上記一対のメインパイプのいずれか一方または双方をはめ込むはめ込み溝と、このはめ込み溝に連続するとともに、上記熱交換パイプを載置する傾斜面とを備えた点に特徴を有する。
第2の発明は、上記傾斜面が、熱交換パイプをはめ込む整列溝の底面からなる点に特徴を有する。
第3の発明は、はめ込み溝の開口径をメインパイプの直径よりも小さくするとともに、上記メインパイプの外周面の半分以上をはめ込み溝の内面に接触させた点に特徴を有する。
【0015】
第4の発明は、冷暖房ユニットにおいて、一対のメインパイプと、これら一対のメインパイプを連結する複数の熱交換パイプと、上記一対のメインパイプのいずれか一方または双方を載置する載置部材とを備え、上記載置部材の本体には、上記メインパイプをはめ込むはめ込み溝と、このはめ込み溝に連続するとともに、上記熱交換パイプを載置する傾斜面とを備えた点に特徴を有する。
第5の発明は、上記傾斜面が、熱交換パイプをはめ込む整列溝の底面からなる点に特徴を有する。
第6の発明は、はめ込み溝の開口径をメインパイプの直径よりも小さくするとともに、上記メインパイプの半分以上の外周面がはめ込み溝の内面に接触する点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0016】
第1,4の発明によれば、載置部材にメインパイプをはめ込むはめ込み溝を形成したので、このはめ込み溝にメインパイプをはめ込めば、メインパイプと載置部材とが密着して、メインパイプを介して熱伝達することができる。
また、熱交換パイプを載置する傾斜面を、はめ込み溝に連続して設けたので、熱交換パイプとメインパイプとの連結部分においても、熱伝達を確実にすることができる。
このように、メインパイプの載置部分および熱交換パイプの連結部分においても、確実に熱伝達がされるので、冷暖房ユニット全体を通じて温度ムラが生じないようにすることができる。
しかも、熱交換パイプが、連結部分から載置面まで傾斜面に沿って緩やかに傾斜するので、冷暖房ユニットに荷重が作用しても、連結部分に負担がかからず、熱交換パイプが折れてしまうことがない。
【0017】
第2,5の発明によれば、熱交換パイプをはめ込む整列溝の底面を傾斜面としたので、最も熱伝達させるのが難しい熱交換パイプの連結部分においても、確実に熱伝達させることができる。
第3,6の発明によれば、はめ込み溝の開口径をメインパイプの直径よりも小さくしたので、メインパイプをはめ込み溝にしっかりと保持させることができ、メインパイプから確実に熱伝達させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1〜3を用いて、この発明の第1実施形態について説明する。
なお、この第1実施形態は、上記従来と同様のパイプマットm1,m2を用いるが、ここではパイプマットm1を用いる場合について説明する。したがって、パイプマットm1については同様の符号を付するとともに、その詳細な説明は省略することとする。
【0019】
図1に示す載置部材Sは、アルミ等の金属またはパイプマットm1と同様の合成樹脂等、熱伝達率の高い部材で構成している。この載置部材Sは、その長さ(図中x方向長さ)を、パイプマットm1におけるコネクター1,2を除く両メインパイプSP,BPの長さとほぼ等しくしている。
また、上記載置部材Sは、本体の幅方向(図中y方向)の一端側に円弧状のはめ込み溝11を形成するとともに、このはめ込み溝11から他端側に向かって本体を傾斜させている。そして、このはめ込み溝11から連続して傾斜する本体の表面を傾斜面12としている。
【0020】
上記載置部材Sは、それを天井パネル等に整列させた状態で、はめ込み溝11にパイプマットm1のメインパイプSP,BPをはめ込む。このとき、はめ込み溝11は、図2に示すように、パイプマットm1のメインパイプSP,BPの外周がちょうど密着する寸法関係を維持している。
また、上記のように両メインパイプSP,BPをはめ込み溝11に載置した状態では、多数の熱交換パイプRPが、傾斜面12上に接触して位置する。つまり、熱交換パイプRPは、両メインパイプSP,BPから傾斜面12上を沿うようにして、載置部材Sの載置面(天井パネル等)に連続することとなる。
【0021】
なお、図1〜図3に示すように、はめ込み溝11と傾斜面12との間には、切り欠き状の段差部13を、はめ込み溝11に沿って形成している。これは、両メインパイプSP,BPと熱交換パイプRPとを溶着する際に生じるビードを吸収するためのものである。
すなわち、パイプマットm1の製造過程においては、両メインパイプSP,BPと熱交換パイプRPとを溶着する際に、当該溶着部分において円周上に波形の膨らみ(ビード)が生じてしまう。
そこで、はめ込み溝11と傾斜面12との連続過程に段差部13を設けるとともに、この段差部13に上記膨らみを位置させることで、溶着部分に生じる膨らみを吸収するようにしている。つまり、段差部13を設けることによって、メインパイプSP,BPと熱交換パイプRPとの連結部分が、載置部材Sから浮き上がらないようにしたのである。
【0022】
このように、メインパイプSP,BPが、はめ込み溝11に密着するとともに、熱交換パイプRPの連結部分も、傾斜面12にしっかりと接触して載置部材S上に載置される。上記したように、載置部材Sは、熱伝達率の高い部材で構成しているので、メインパイプSP,BPおよび熱交換パイプRPが、載置部材Sに密着すれば、冷暖流体の熱を載置部材Sを介して、天井パネル等にしっかりと伝達させることができる。
しかも、熱交換パイプRPが、連結部分から載置面まで傾斜面12に沿って緩やかに傾斜するので、冷暖房ユニットに荷重が作用しても、連結部分に負担がかからず、熱交換パイプRPが折れてしまうことがない。
【0023】
なお、この載置部材Sは、両メインパイプSP,BPおよび熱交換パイプRPの端部近傍の熱伝達を行うものであり、その他の部分においては、従来と同様、熱交換パイプRPが直接天井パネル等に接触して熱伝達が行われる。
そして、パイプマットm1を用いる冷暖房ユニットにおいては、供給用メインパイプSPと戻り用メインパイプBPとが対向して位置している(図6参照)ので、一対の載置部材Sも対向して位置させて用いればよい。
一方、パイプマットm2を用いる冷暖房ユニットにおいては、供給用メインパイプSPと戻り用メインパイプBPとが直線上に位置している(図7参照)ので、一対の載置部材Sも直線上に位置させて用いる。
【0024】
ただし、上記載置部材Sは、必ずしも両メインパイプSP,BPに用いなければならないものではなく、両メインパイプSP,BPのいずれか一方に設けてもよい。
いずれにしても、載置部材Sは、パイプマットの構造に左右されることなく、メインパイプと熱交換パイプRPとを備えた冷暖房ユニットに広く用いることができる。
また、上記の載置部材Sは、天井パネルに限らず壁や床等に広く用いることができる。そして、この載置部材Sを用いれば、メインパイプSP,BPの載置部分および熱交換パイプRPの連結部分においても、確実に熱伝達がされるので、全体的に温度ムラのない冷暖房を実現することができる。
【0025】
図4を用いて、この発明の第2実施形態について説明する。
なお、この第2実施形態においては、上記載置部材Sに整列溝を形成した点のみ上記第1実施形態と異なり、その他の構成は上記第1実施形態と同様である。したがって、ここでは、上記第1実施形態と異なる点のみ説明することとする。
図4に示す第2実施形態の冷暖房ユニットは、載置部材S1を備えてなる。この載置部材S1は、本体の幅方向(図中y方向)の一端側に円弧状のはめ込み溝11を形成するとともに、このはめ込み溝11から他端側に向かって本体を傾斜させている。そして、このはめ込み溝11から連続して傾斜する本体表面には、パイプマットm1,m2の熱交換パイプRPと同じピッチで、しかも熱交換パイプRPと同数の整列溝14を形成している。
【0026】
この整列溝14は、パイプマットm1,m2の熱交換パイプRPに対応する溝であり、その溝幅を熱交換パイプRPの外径とほぼ等しくしている。また、整列溝14は、熱交換パイプRPが本体表面から突出しない程度の深さを有するとともに、この整列溝14の底面を傾斜面15としている。
したがって、はめ込み溝11に両メインパイプSP,BPを載置すると、これら両メインパイプSP,BPに連結した熱交換パイプRPの全てが、整列溝14内に収容されるとともに、熱交換パイプRPと傾斜面15とが接触する。
【0027】
このように、第2実施形態の冷暖房ユニットにおいても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
しかも、この第2実施形態においては、載置部材S1の本体に整列溝14を形成するとともに、この整列溝14の底面を傾斜面15としたので、この整列溝14に熱交換パイプRPをはめ込めば、熱交換パイプRPが整列溝14の側壁に密着して、側壁を介しても熱伝達させることができる。
したがって、最も熱伝達させるのが難しい熱交換パイプRPの連結部分においても、確実に熱伝達させることができる。
【0028】
図5を用いて、この発明の第3実施形態について説明する。
なお、この第3実施形態においては、上記第1実施形態における載置部材Sのはめ込み溝11の構造のみ異なり、その他の構成は上記第1実施形態と同様である。したがって、ここでは、上記第1実施形態と異なる点のみ説明することとする。
図5に示す第3実施形態の冷暖房ユニットは、載置部材S2を備えてなる。この載置部材S2は、本体の幅方向(図中y方向)の一端側に円弧状のはめ込み溝16を形成するとともに、このはめ込み溝16から他端側に向かって本体を傾斜させている。そして、このはめ込み溝16から連続して傾斜する本体の表面を傾斜面12としている。
【0029】
そして、この載置部材S2においては、はめ込み溝16を形成した本体の幅方向一端側の厚さ(図中z方向の厚さ)を、上記第1実施形態における載置部材Sよりも高くして押さえ部17を形成している。
この押さえ部17は、はめ込み溝16の開口側上方に向かって本体を延長させた部分であり、はめ込み溝16の開口径Lが、メインパイプSP,BPの直径よりも小さくなるまで内周面を延長させている。
【0030】
両メインパイプSP,BPは合成樹脂製であるため、可撓性を多少有している。したがって、上記のはめ込み溝16にメインパイプSP,BPを押し込むと、これらが弾性変形しながらはめ込み溝16内に載置される。はめ込み溝16内に載置されると、メインパイプSP,BPがはめ込み溝16の内周面に密着するとともに、押さえ部17がメインパイプSP,BPを抱えるように保持する。
このように、この第3実施形態によれば、メインパイプSP,BPをはめ込み溝16にしっかりと保持させることができるので、メインパイプSP,BPからの熱伝達を一層確実にすることができる。
【0031】
なお、メインパイプSP,BPの外周面の半分以上が、はめ込み溝16の内面に接触していれば、はめ込み溝16の開口径LをメインパイプSP,BPの直径よりも小さくすることで、メインパイプSP,BPをはめ込み溝16にしっかりと保持することができる。
また、上記押さえ部17を肉薄に形成すれば、メインパイプSP,BPをはめ込み溝16にはめ込む際に、押さえ部17も弾性変形するので、メインパイプSP,BPをはめ込み溝16にはめ込みやすくなる。
また、上記第3実施形態における載置部材S2の押さえ部17は、第2実施形態における載置部材S1に形成してもよいこと当然である。
なお、上記各実施形態においては、載置部材のはめ込み溝を円弧状に形成しているが、これは、パイプマットm1,m2におけるメインパイプSP,BPを、断面円形にしているためである。したがって、メインパイプSP,BPが、断面楕円や矩形であれば、はめ込み溝を断面楕円や矩形にすること当然である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施形態の載置部材を示す図である。
【図2】載置部材にパイプマットを載置した状態を示す図である。
【図3】載置部材にパイプマットを載置した状態の断面図である。
【図4】第2実施形態の載置部材を示す図である。
【図5】第3実施形態の載置部材を示す図である。
【図6】パイプマットの一例を示す図である。
【図7】パイプマットの他の例を示す図である。
【図8】従来の冷暖房ユニットにおけるパネルを示す図である。
【図9】パネル本体にパイプマットを載置した状態の一例を示す図である。
【図10】パネル本体にパイプマットを載置した状態の他の例を示す図である。
【図11】パイプマットを天井パネルに載置した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
11,16 はめ込み溝
12,15 傾斜面
14 整列溝
m1,m2 パイプマット
L はめ込み溝の開口径
S,S1,S2 載置部材
BP 戻り用メインパイプ
RP 熱交換パイプ
SP 供給用メインパイプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のメインパイプを複数の熱交換パイプで連結してなるパイプマットを載置する冷暖房ユニット用の載置部材において、上記載置部材の本体には、上記一対のメインパイプのいずれか一方または双方をはめ込むはめ込み溝と、このはめ込み溝に連続するとともに、上記熱交換パイプを載置する傾斜面とを備えた冷暖房ユニット用の載置部材。
【請求項2】
上記傾斜面は、熱交換パイプをはめ込む整列溝の底面からなる請求項1記載の冷暖房ユニット用の載置部材。
【請求項3】
上記はめ込み溝の開口径をメインパイプの直径よりも小さくするとともに、上記メインパイプの外周面の半分以上をはめ込み溝の内面に接触させた請求項1または2記載の冷暖房ユニット用の載置部材。
【請求項4】
一対のメインパイプと、これら一対のメインパイプを連結する複数の熱交換パイプと、上記一対のメインパイプのいずれか一方または双方を載置する載置部材とを備え、上記載置部材の本体には、上記メインパイプをはめ込むはめ込み溝と、このはめ込み溝に連続するとともに、上記熱交換パイプを載置する傾斜面とを備えた冷暖房ユニット。
【請求項5】
上記傾斜面は、熱交換パイプをはめ込む整列溝の底面からなる請求項4記載の冷暖房ユニット。
【請求項6】
上記はめ込み溝の開口径をメインパイプの直径よりも小さくするとともに、上記メインパイプの半分以上の外周面がはめ込み溝の内面に接触する構成にした請求項5または6記載の冷暖房ユニット。
【請求項1】
一対のメインパイプを複数の熱交換パイプで連結してなるパイプマットを載置する冷暖房ユニット用の載置部材において、上記載置部材の本体には、上記一対のメインパイプのいずれか一方または双方をはめ込むはめ込み溝と、このはめ込み溝に連続するとともに、上記熱交換パイプを載置する傾斜面とを備えた冷暖房ユニット用の載置部材。
【請求項2】
上記傾斜面は、熱交換パイプをはめ込む整列溝の底面からなる請求項1記載の冷暖房ユニット用の載置部材。
【請求項3】
上記はめ込み溝の開口径をメインパイプの直径よりも小さくするとともに、上記メインパイプの外周面の半分以上をはめ込み溝の内面に接触させた請求項1または2記載の冷暖房ユニット用の載置部材。
【請求項4】
一対のメインパイプと、これら一対のメインパイプを連結する複数の熱交換パイプと、上記一対のメインパイプのいずれか一方または双方を載置する載置部材とを備え、上記載置部材の本体には、上記メインパイプをはめ込むはめ込み溝と、このはめ込み溝に連続するとともに、上記熱交換パイプを載置する傾斜面とを備えた冷暖房ユニット。
【請求項5】
上記傾斜面は、熱交換パイプをはめ込む整列溝の底面からなる請求項4記載の冷暖房ユニット。
【請求項6】
上記はめ込み溝の開口径をメインパイプの直径よりも小さくするとともに、上記メインパイプの半分以上の外周面がはめ込み溝の内面に接触する構成にした請求項5または6記載の冷暖房ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−51460(P2008−51460A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−230391(P2006−230391)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(000134534)株式会社トヨックス (122)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(000134534)株式会社トヨックス (122)
【Fターム(参考)】
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