説明

輪転式エンボスユニットを用いて製品をエンボス加工する方法

【課題】比較的高い生産能力および精度が得られるエンボス方法を提供する。
【解決手段】輪転式エンボスユニット10を用いて製品2をエンボス加工する方法であって、少なくとも1つのエンボスローラ13の回転を、センサによる製品2上のマーク26の検出に応じて制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輪転式エンボスユニットを用いて製品をエンボス加工する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
折畳み箱は、厚紙または段ボール、小規模ではプラスチックから成るパッケージであり、折畳み箱に、その構造に応じて折畳みプロセスの間に1箇所または複数個所で接着剤が付けられる。折畳み箱は、通常、断裁片から生産される。断裁片は、通常、シート打抜き機で打ち抜かれる。断裁片は、少なくとも1つの縁に沿って接着する必要がある。折り畳まれた箱は、平らに寝かされた状態で折畳み箱接着機から搬送されてくる。箱の起立および詰込みは、機械でまたは手動で行うことができる。
【0003】
折畳み箱を製造するために必要な折畳みの他に、後続の生産ステップのための準備として、折畳み箱接着機において折畳み箱の別の筋線が前折りされる(前折畳み)。これにより箱の起立およびあとの詰込みが簡単になる。
【0004】
折畳み箱が医薬品包装用に使用される場合、盲人用の文字(いわゆる点字)で医薬品の名称を折畳み箱に付与する(例えばエンボス加工による)ことが法律で規定されている。
【0005】
背景技術に従って点字のエンボス加工は、断裁片を製造する際にシート打抜き機において打抜きプロセスの間に行われる。しかし、1枚の打抜きシートに複数の断裁片が含まれていて、各断裁片のために、それぞれ雄型と雌型とから成る工具対を用意する必要があるので、エンボス加工は面倒である。あるいは、2つの回転するエンボス工具を備えた輪転式エンボスユニットが使用され、輪転式エンボスユニットは、米国特許7794379号明細書に記載されているように、例えば折畳み箱接着機の一部であってよい。折畳み箱断裁片上の正しい位置にエンボスを施与するために、回転工具は、折畳み箱断裁片に対して同期化する必要がある。特に折畳み箱断裁片に点字を導入する際に、同期化は、極めて正確に行う必要がある。雌型、雄型および回転駆動装置の慣性質量モーメントに基づいて、同期化の要求精度の達成は極めて困難であるか全く不可能である。さらに生産能力は、加工したい製品のサイズに対する輪転式エンボスユニットの適合が不可能であることにより制限される。
【0006】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007060581号明細書において、輪転式エンボスユニットが記載されており、そこではいわゆる非同期段階の長さが、形成しようとするエンボスの延伸長さと、雄型および雌型の速度とにより決定されている。非同期段階における雌型と折畳み箱断裁片との間の距離により、折畳み箱断裁片の、エンボスを施与したい面の位置に対する雄型のエンボスポンチの位置決め、ひいては同期化が許容される。
【0007】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007060613号明細書において、輪転式エンボスユニットが記載されており、そこでは雄型が、エンボス加工動作の間だけエンボスセグメントの領域で折畳み箱断裁片に沿って転動して、エンボス加工を行う。エンボス加工動作の前後には、雄型は、折畳み箱断裁片に接触しない。非同期段階とも呼ばれるその時間窓で、雄型は、加速されかつ再び制動され、そうしてエンボスポンチを備えたエンボスセグメントは、折畳み箱断裁片の、エンボスを施与したい面の位置に対して同期化することができ、つまり位置調整することができる。
【0008】
背景技術における簡単なスタート・ストップ・運転方式で運転されるエンボスユニットでは、十分に高い生産能力および精度は得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許7794379号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007060581号明細書
【特許文献3】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007060613号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって本発明の課題は、比較的高い生産能力および精度が得られるエンボス方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題を解決するための本発明によれば、輪転式エンボスユニットを用いて製品をエンボス加工する方法であって、少なくとも1つのエンボスローラの回転を、センサによる製品上のマークの検出に応じて制御する。
【0012】
好適には、エンボスローラを、揺動運動に従って、交互に第1および第2の方向に回転させ、エンボスローラは、揺動運動に際して、完全な1回転を行わず、エンボスローラを、その都度のエンボス加工動作に際して第1の方向に回転させ、各エンボス加工動作の間に第2の方向に回転させる。
【0013】
好適には、製品を、順次エンボスローラの傍らに通して搬送し、その際、製品に、エンボスローラにより、エンボス区分の内側でエンボスを施与し、エンボスローラを、各エンボス区分の通過時に、第1の方向に回転させ、先行する製品のエンボス区分と後行する製品のエンボス区分との間に、それぞれエンボス間隙を形成し、エンボスローラを、各エンボス間隙の通過時に、第2の方向に回転させる。
【0014】
好適には、エンボスローラは、第1の周区分と第2の周区分とを有する周方向全長を備え、エンボスローラの全てのエンボス工具は、専ら第1の周区分に位置し、第2の方向へのエンボスローラのその都度の回転を、最大で、第2の周区分の周区分長さの半分に相当する限界角度まで行う。
【0015】
好適には、複数の製品を、各製品間に様々な大きさの製品間隙を置いて一列に並べて前記エンボスローラの傍らに通して搬送する。
【0016】
好適には、エンボスローラの回転を、製品間隙毎に互いに異なる運動関数に従って制御する。
【0017】
好適には、各製品間隙に対して、各製品間隙に適合する運動関数を自動的に選択する。
【0018】
好適には、運動関数は、様々な次数の多項式関数であり、エンボスローラの回転を、所定の製品間隙が通過する際に比較的低い次数の多項式関数に従って制御し、別の製品間隙が通過する際に比較的高い次数の多項式関数に従って制御する。
【0019】
好適には、エンボス加工に際して、別のエンボスローラをエンボスローラと協働させ、両方のエンボスローラは、雌型ローラおよび雄型ローラであり、エンボスローラの回転と別のエンボスローラの回転との同期化を、各製品の搬送運動と別のエンボスローラの回転との同期化より優先的に行う。
【0020】
本発明による方法に従って輪転式エンボスユニットを制御するプログラムを有するプログラミング可能な制御装置と輪転式エンボスユニットとを備えた折畳み箱接着機が好適である。
【発明の効果】
【0021】
本発明による、輪転式エンボスユニットを用いて製品をエンボス加工する方法では、少なくとも1つのセンサを用いてマークを検出する。これらのマークのうちのそれぞれ少なくとも1つのマークが、エンボス加工したい各製品に配置されている。センサの信号から出発して少なくとも1つのエンボスローラの回転が制御される。
【0022】
本発明による方法により、エンボス加工したい製品を極めて高速に順次エンボスユニットを通して搬送することが実現され、したがって比較的高い生産能力が実現される。高い速度にもかかわらず、エンボスは、極めて正確に製品上に位置決めすることができる。
【0023】
センサとして、非接触式に作動するセンサ例えば光学センサを用いることができる。マークは、製品上に印刷するか、または製品にもともと存在するマーク例えば製品縁部例えば製品前縁であってよい。
【0024】
製品は、印刷シート例えば厚紙シートまたは折畳み箱断裁片であってよい。エンボス加工に際して、製品に盲人用文字例えば点字を施与することができる。エンボスローラの回転は、エンボスローラが不規則に回転するように制御可能である。エンボスローラは、雄型または雌型を装着することができる。
【0025】
従属請求項には、別の態様が記載されている。
【0026】
1態様によれば、エンボスローラの回転は、エンボスローラが交互に第1の方向例えば時計回り方向と第2の方向例えば反時計回り方向とに回転するように、制御される。その際、エンボスローラは、360°の回転角度に達する回転を行わない。つまりエンボスローラは揺動運動を行い、その際、エンボスローラは、エンボス加工動作毎に、第1の方向に回転し、そして各エンボス加工動作の間に第2の方向に回転する。
【0027】
別の態様によれば、製品は、連鎖としてまたは一列に並べて相前後してエンボスローラの傍らに通して搬送され、その際、各製品に、エンボスローラにより少なくとも1つのエンボスが施与される。エンボスは、製品の全長にわたって延在するのではなく、専らエンボス区分にわたって延在する。エンボス区分がエンボスローラに対向する位置にあるか、またはエンボスローラの傍を通過する際に、エンボスローラは第1の方向に回転する。製品のエンボス加工しない区分および/または連続的に順次搬送される製品の間で開いている製品間隙がエンボスローラの傍を通過する際に、エンボスローラは、第2の方向に回転する。エンボス加工しない区分は、製品間隙と相俟っていわゆるエンボス間隙を形成する。
【0028】
別の態様によれば、エンボスローラの周は、第1の周区分と第2の周区分とに分けられる。専ら第1の周区分が工具を装着していて、つまり、エンボス加工のためのポンチまたは凹所を備える。第1の周区分は、同期領域または同期部分とも呼ばれる。第2の周区分は、工具を装着しておらず、非同期領域と呼ばれる。第1の周区分が120°にわたって延在する場合、第2の周区分は、残りの240°にわたって延在する。エンボス間隙が通過する毎に、エンボスローラは、最大で限界角度まで第2の方向に回転する。限界角度は、第2の周区分の周区分長さの半分に相当する。第2の周区分の周区分長さが上述のように例えば240°である場合、限界角度は120°である。合計で360°になる複数の同期領域と複数の非同期領域とを周長さ全体にわたって分配してもよい。
【0029】
別の態様によれば、それぞれ先行する製品の後縁とその直後に後行する製品の前縁との間に、連鎖としてまたは一列に並べて製品の製品間隙が存在する。その距離の大きさつまり製品間隙は、一列に並べて製品間隙毎に変化する。
【0030】
別の態様によれば、エンボスローラの回転は、制御装置により制御され、運動カーブまたは運動関数に記憶されているかまたは計算される。運動関数は、それぞれ異なっている。運動関数は、例えば関数の種類に関してそれぞれ異なっている。
【0031】
自動化に関して好適な態様によれば、各製品間隙に対して制御装置内で進行するプログラムにより、各製品間隙に適合する運動関数が選択され、例えば計算される。センサの信号に応じて、制御装置、または後続の製品間隙に対して制御装置内で進行するプログラムは、先行する製品間隙の運動関数とは別の運動関数を選択する。
【0032】
選択された運動関数に従って、制御装置は、所定の運動関数に応じた先行する製品間隙の通過の間、および別の運動関数に応じた後行する製品間隙の通過の間に、エンボスローラの回転を制御する。
【0033】
調和運動に関して好適な態様によれば、運動関数は、様々な次数の多項式関数であり、比較的低い次数の多項式関数に応じた所定の製品間隙の通過に際して、かつ比較的高い次数の多項式関数に応じた別の製品間隙の通過に際して、エンボスローラの回転が制御される。例えば5次の多項式関数に応じた先行する製品間隙の通過に際して、かつ7次の多項式関数に応じた後行する製品間隙の通過に際して、エンボスローラの回転が制御される。
【0034】
別の態様によれば、製品のエンボス加工に際して、前述のエンボスローラは、別のエンボスローラと協働する。その際、1態様によれば、一方のエンボスローラは雄型ローラであってよく、他方のエンボスローラは雌型ローラであってよく、別の態様によれば、一方のエンボスローラは雌型ローラであってよく、他方のエンボスローラは雄型ローラであってよい。両方のエンボスローラの回転の同期化は、各製品の搬送運動に対するエンボスローラの回転の同期に対して優先的に行われる。エンボスローラの回転を制御する際に、制御装置は、各エンボスローラの相互に同期的な運動が製品または製品搬送装置の搬送運動に対して同期的なエンボスローラの運動よりも重要であることを考慮する。要するに、例えば同期化に際して、その都度エンボス加工したい製品の前縁に対する雄型ローラのポンチおよび/または雌型ローラの凹所の位置の差が、凹所へのポンチの満足できる程度の位置正確な進入または係入を確保するために必要である場合、許容される。
【0035】
本発明には、本発明による方法またはその改良形を実施するプログラムを有する電子制御装置を備えた輪転式エンボスユニットならびにそのような輪転式エンボスユニットを装着した折畳み箱接着機が含まれる。
【0036】
本発明による別の構成および機能的に好適な改良形は、以下の発明を実施するための形態の説明および付属の図面の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】折畳み箱接着機を示す図である。
【図2】図1の折畳み箱接着機の輪転式エンボスユニットを示す図である。
【図3】aおよびbは、図2の輪転式エンボスユニットを制御するための異なる運動関数の線図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
次に、図示の態様に基づいて本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0039】
図1には、輪転式エンボスユニット10を備えた折畳み箱接着機1を示している。エンボス加工したい製品を成す折畳み箱断裁片2は、フィーダから搬送方向Tに折畳み箱接着機1と輪転式エンボスユニット10とを通ってデリバリに搬送される。輪転式エンボスユニット10は、折畳み箱断裁片2にエンボスを導入するための、雄型11を備えた第1のエンボスローラ13と雌型12を備えた第2のエンボスローラ14とを有する。折畳み箱断裁片2は、速度VFで搬送される。
【0040】
エンボス加工動作の間における雄型11と折畳み箱断裁片2との接触ライン上で、雄型11は、速度VPを有する。エンボス加工動作の間の雌型12と折畳み箱断裁片2との接触ライン上で、雌型12は、速度VMを有する。エンボス加工動作の間、雌型の速度VM、雄型の速度VPおよび折畳み箱断裁片の速度VFは同一の値を占めるので、工具11,12と折畳み箱断裁片2との間に相対運動が生じず、したがって折畳み箱断裁片の不都合な印付けが回避される。そのために雄型11と雌型12とは、それぞれの速度に関して相互に同期化する必要がある。さらに両方のエンボス工具(雄型11および雌型12)は、それぞれの角度位置に関して相互に同期化する必要があり、つまり、雄型11のポンチ18(図2参照)が雌型12の凹所19(図2参照)に進入できるよう保証する必要がある。雄型11および雌型12は、それぞれ独自のエンボス工具駆動装置20,21を備え、したがって同期化は電子式に行われる。
【0041】
図2に示すように、輪転式エンボスユニット10は、電子制御装置28を備え、電子制御装置28は、第1のエンボス工具駆動装置20と第2のエンボス工具駆動装置21とを操作する。各折畳み箱断裁片2にマーク26例えばトンボが印刷されており、マーク26は、制御装置28のセンサ27により検出可能である。検出されるマーク26に基づいて、制御装置28は、各折畳み箱断裁片2の間の製品間隙22の大きさを求めることができる。第1のエンボスローラ13は、第1の周区分29と第2の周区分30とを備える。第1のエンボスローラ13のエンボス工具は、ポンチ18であり、専ら第1の周区分29の内側に配置されている。第1の周区分29を展開は、各折畳み箱断裁片2のエンボス区分16と合致する。エンボス区分16の長さは搬送方向Tにみて測定され、専らエンボス区分16の内側に1つまたは複数のエンボス23が導入される。各折畳み箱断裁片2のエンボス区分16の間に、エンボス間隙17が位置する。各エンボス間隙17は、後行する折畳み箱断裁片2のエンボス区分16の前端までの先行する折畳み箱断裁片2のエンボス区分16の後端の距離である。システムに応じて、製品間隙22の大きさは、ある製品間隙22から後続の製品間隙22にかけて、つまり製品間隙22毎に変化する。例えば図2において、左側の折畳み箱断裁片2と中央の折畳み箱断裁片2との間の製品間隙22は、中央の折畳み箱断裁片2と右側の折畳み箱断裁片2との間の製品間隙22よりも大きい。製品間隙22の大きさのシステムに応じた変化に基づいて、エンボス間隙17の大きさも変化する。このような状況、つまりエンボス間隙の変化を考慮して、ポンチ18が第2のエンボスローラ14の凹所19と正確な角度位置で協働するよう保証するために、制御装置28は、第1のエンボス工具駆動装置20を操作し、第1のエンボス工具駆動装置20は、特定の状況で第2の周区分30の運動とエンボス間隔17の運動との間で調整する際に、第1のエンボスローラ13を、揺動運動15に従って往復運動させる。第2のエンボス工具駆動装置21も相応に操作されるので、第2のエンボスローラ14も揺動運動を行う。制御装置28内でプログラムPが行われる。プログラムPは、それぞれ異なる運動関数24,25(図3のaおよびb参照)を含み、運動関数24,25により揺動運動15が実現される。
【0042】
図3のaおよびbに示す線図は、折畳み箱接着機1のいわゆる機械角度または折畳み箱断裁片2を搬送する搬送装置(図示していない)の搬送運動Tに関する第1のエンボスローラ13の回転角度を示している。大幅に簡略化して示している両方の運動関数24,25は、多項式関数であり、その際、多項式関数24は、多項式関数25とは異なる次数を有する。多項式関数24は、5次の多項式関数であってよく、多項式関数25は、7次の多項式関数であってよい。
【0043】
図示の輪転式エンボスユニット10は、以下のように機能する:
機械を調整する際に、エンボス位置およびエンボス長さは製品固有に設定される。各折畳み箱断裁片2の前縁とエンボス区分16の前端との間の間隔をどのような大きさにすればよいか、また、エンボス区分16をどのような長さにすればよいのか調節される。運転中、マーク26により行われる制御により、エンボス位置が、±1ミリメートルの精度で維持される。製品(折畳み箱断裁片2)は、制御技術的な意味でいわゆる「マスタ」を形成し、エンボスローラ13,14は、いわゆる「スレイブ」を形成する。通走する製品(マスタ)に対して、制御装置28により、マスタ・スレイブ技術に応じて、エンボスローラ13,14(スレイブ)が、マークに基づく制御により正確な位置に同期化される。その都度のエンボス加工段階のあとで、スレイブは、時間に関してではなく好適にはマスタ延伸長さに関して待機位置に移動するかまたは回転する。高速で連続的に順次搬送される製品に基づいて、後続の製品の到着までに待機位置が得られない場合、エンボスローラ13,14は、運動中に、後続の製品に対して新たに同期化される。製品搬送流れは可変であり、その際、製品長さは一定である。したがって、製品間隙22の大きさは可変である。機械は、高い生産性で稼動し、1ミリ秒あたり5ミリメートルの最大製品速度の場合に1時間あたり100000個の折畳み箱断裁片の生産能力において、36ミリ秒のサイクルタイムが得られる。このサイクルタイムは、専ら非同期段階に対する同期段階の所定の比で達成され、この場合、スレイブは停止せず、各同期段階後に直ちに新たな同期化のために増速される。同期化は、同期的な等速運動の開始時点で瞬発的な運動を要することなく行われる。エンボス加工したい最後の製品の同期段階後におけるスレイブの制御技術的な分離は、エンボス加工したい最初の製品におけるマスタに対するスレイブの、スレイブの停止状態から行われる連結と同一の運動法則に従って行われる。分離に際して、マスタ延伸長さを過ぎて待機位置に移動するための運動経過は、多項式計算により規定され、その際、多項式計算は、制御装置28によりプログラムPに従って実行される。運動関数24,25として多項式計算が用いられる場合、特に大きな製品間隙22では、問題となる長さからエンボスローラ13,14の後退回転が生じ、その結果揺動運動15(可逆運転)が生じる。後退回転は、選択可能な制限値または制限角度まで許容される。限界値は、各エンボスローラ13,14の周の長さとエンボス区分16の長さとの差の半分である。後退回転により、好適には、本来の方向へのエンボスローラ13,14の後続の運動のための距離延長がもたらされる。また、問題となる長さに該当する製品間隙22の発生時に、各エンボスローラ13,14は一時的に待機位置で止めることができる。
【0044】
マスタに対するスレイブの同期化ひいては各折畳み箱断裁片2上のエンボス23の配置よりも、両方のスレイブの相互の同期化が重要である。例えば両方のエンボスローラ13,14は、それぞれ直径が130ミリメートルである場合、相互に±0.2ミリメートルで同期化され、その際、その値は、ローラの周に沿って測定可能なものである。両方のエンボスローラ13,14のそれぞれ異なる動的な力の遊びに基づいて、両方のスレイブまたはそのエンボス工具駆動装置20,21の制御技術的な交差結合(クロスカップリング)が必要である。マスタに対するスレイブの同期運動差は、制御装置28により、別のスレイブに伝達されるので、別のスレイブは、前述の同期運動差に追従する。例えば、制御装置28により、他方のエンボス工具駆動装置20,21に対する一方のエンボス駆動装置21,20が、極端な場合、一方のエンボスローラの回転が停止すると、他方のエンボスローラの回転も同期運動で同様に停止されるように、制御される。
【0045】
本発明の利点は、測定された製品間隔にオンラインで適合される非同期段階に基づく調和運動にある。高い次数の多項式に基づく曲線(運動関数24,25)の、製品毎に行われる新たな計算は、好適には実時間で行うことができる。可変の揺動角度でエンボスローラ13,14の揺動運動が行われ、これにより別の動的な運動が減少する。
【符号の説明】
【0046】
1 折畳み箱接着機、 2 折畳み箱断裁片、 10 輪転式エンボスユニット、 11 雄型、 12 雌型、 13 第1のエンボスローラ、 14 第2のエンボスローラ、 15 揺動運動、 16 エンボス区分、 17 エンボス間隙、 18 ポンチ、 19 凹所、 20 第1のエンボス工具駆動装置、 21 第2のエンボス工具駆動装置、 22 製品間隙、 23 エンボス、 24 運動関数、 25 運動関数、 26 マーク、 27 センサ、 28 制御装置、 29 第1の周区分、 30 第2の周区分、 VP 雄型の速度、 VM 雌型の速度、 VF 折畳み箱断裁片の速度、 T 搬送方向および搬送運動、 P プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪転式エンボスユニット(10)を用いて製品(2)をエンボス加工する方法であって、
少なくとも1つのエンボスローラ(13)の回転を、センサによる製品(2)上のマーク(26)の検出に応じて制御することを特徴とする、輪転式エンボスユニットを用いて製品をエンボス加工する方法。
【請求項2】
前記エンボスローラ(13)を、揺動運動に従って、交互に第1および第2の方向に回転させ、
揺動運動に際して、前記エンボスローラ(13)は、完全な1回転を行わず、
前記エンボスローラ(13)を、その都度のエンボス加工動作に際して第1の方向に回転させ、各エンボス加工動作の間に第2の方向に回転させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
製品(2)を、順次前記エンボスローラ(13)の傍らに通して搬送し、その際、製品(2)に、前記エンボスローラ(13)により、エンボス区分(16)の内側でエンボス(23)を施与し、
前記エンボスローラ(13)を、各エンボス区分(16)の通過時に、第1の方向に回転させ、
先行する製品(2)のエンボス区分(16)と後行する製品(2)のエンボス区分(16)との間に、それぞれエンボス間隙(17)を形成し、
前記エンボスローラ(13)を、各エンボス間隙(17)の通過時に、第2の方向に回転させる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記エンボスローラ(13)は、第1の周区分(29)と第2の周区分(30)とを有する周方向全長を備え、
前記エンボスローラ(13)の全てのエンボス工具(11)は、専ら第1の周区分(29)に位置し、第2の方向への前記エンボスローラ(13)のその都度の回転を、最大で、第2の周区分の周区分長さ(30)の半分に相当する限界角度まで行う、請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
複数の製品(2)を、各製品(2)間に様々な大きさの製品間隙(22)を置いて一列に並べて前記エンボスローラ(13)の傍らに通して搬送する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記エンボスローラ(13)の回転を、製品間隙(22)毎に互いに異なる運動関数(24,25)に従って制御する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
各製品間隙(22)に対して、各製品間隙(22)に適合する運動関数(24,25)を自動的に選択する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
運動関数(24,25)は、様々な次数の多項式関数(24,25)であり、前記エンボスローラ(13)の回転を、所定の製品間隙(22)が通過する際に比較的低い次数の多項式関数(24)に従って制御し、別の製品間隙(22)が通過する際に比較的高い次数の多項式関数(25)に従って制御する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
エンボス加工に際して、別のエンボスローラ(14)を前記エンボスローラ(13)と協働させ、
両方のエンボスローラ(13,14)は、雌型ローラ(14)および雄型ローラ(13)であり、
前記エンボスローラ(13)の回転と前記別のエンボスローラ(14)の回転との同期化を、各製品(2)の搬送運動(T)と前記別のエンボスローラ(14)の回転との同期化より優先的に行う、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載の方法に応じて輪転式エンボスユニット(10)を制御するプログラム(P)を有するプログラミング可能な制御装置(28)と輪転式エンボスユニット(10)とを備えた折畳み箱接着機(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−91315(P2013−91315A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−235610(P2012−235610)
【出願日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【出願人】(390009232)ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト (347)
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten−Anlage 52−60, D−69115 Heidelberg, Germany
【Fターム(参考)】