説明

輪郭に合致した複合スチフナーを作製するための方法と装置

【課題】ツールの操作を減らし且つチャージの位置合わせを容易にしてツールの輪郭との合致度を高めると共に、部品成形後にツーエウのクリーンアップの必要性を排除する。
【解決手段】事前選択した輪郭に沿って複数のプライを位置合わせすることを含むプリフォームチャージを組立てる工程により、輪郭に合致した複合部品が作製される。位置合わせして組立てたプリフォームチャージは、次いで成形ツール内に配置され、そこで成形及び硬化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して複合部品の製造に関し、具体的には輪郭に合致した複合スチフナーを作製するための方法と装置を扱う。
【背景技術】
【0002】
スチフナーのような複合構造部材は、様々な用途において、組立品の強度及び/又は剛性を増大させるために使用される。例えば、航空産業では、縦通材のような構造的スチフナーを使用して胴体を補強することができる。縦通材は、長さ方向に沿って胴体の曲率と一致する輪郭を有することができる。胴体の一部の領域では、縦通材は長さ方向に沿って複合的な輪郭を有することができる。
【0003】
上述の種類の複合的輪郭を有する複合縦通材は、完成部品の輪郭とほぼ一致する複合的輪郭を有するツールの上に、複合プリプレグの複数のプライを積み上げることにより製造される。このような積層は、真空バッグ及びオートクレーブ処理を用いて成形及び硬化される。プリプレグを使用した製造技術は、一部の用途において欠点を有しうる。例えば、縦通材に所望の輪郭を達成するためには、プリプレグプライの一又は複数の切断、ダーティング、及び/又はスプライシングが必要で、これらは胴体の重量及び/又はコストを増大させうる。
【0004】
輪郭に合致した縦通材を製造するために、乾燥繊維プリフォームの樹脂注入といった他の技術を使用することができる。しかしながら、樹脂注入は密閉型を必要とし、これには準備と、部品を成形した後のクリーンアップとを要する。更に、スティッチング及び/又は粘着付与剤を使用せずに、プリフォームと、樹脂分配媒体及び透明な分離膜との位置合わせを行うことは難しい。また、既知の樹脂注入技術を用いて繊維プリフォーム中の繊維の角度を制御することは困難である。繊維角度のばらつきにより、完成部品が望ましくない性能特性を持つ可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、ツールの操作を減らし、且つ複合チャージの位置合わせを容易にしてツールの輪郭との合致度を高める、複合的な輪郭を有する複合構造部材を製造するための方法と装置が求められている。また、部品成形後にツールのクリーンアップの必要性をほぼ排除し、且つ開放型を使用した樹脂注入処理に適した上述のような方法及び装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示される実施形態により、縦通材のような複合的な輪郭を有する複合構造部材を製造するための方法と装置が提供される。開放バッグ状ツーリングを編みこんだ輪郭プリフォームを使用することにより、連続繊維を含む硬化された縦通材を製造するための樹脂注入硬化に、均一な硬化圧力が提供される。一実施形態では、二重真空バッグを使用して、縦通材のフランジ全体に圧力を供給することにより、それらフランジを型の表面と密接に接した状態で保持することができると同時に、バッグの漏れの可能性が低減される。スティッチング、粘着付与剤、及びツール操作の必要なく、縦通材のニアネット成形が達成される。プリフォーム繊維チャージのコンポーネントを事前位置合わせするために位置合わせツールを使用することにより、プリフォーム操作の必要性が低下し、これにより完成部品の繊維の角度及び/又は厚みに対する制御が向上する。2軸及び3軸の編組を含む繊維編み込みプリフォームを使用することにより、プリフォームは、積層の間に変化する様々な三次元的輪郭及び半径に更に合致し、且つそのような輪郭及び半径を提供することができる。
【0007】
本装置は、プリフォームチャージ組立てツールと、プリフォーム成形ツールとを含んでいる。輪郭に合致した繊維編み込みプリフォームは、組立てツール内において、樹脂分配媒体及び透明な分離膜を用いて組立てられる。組立てツールは、所望の部品のために、半径が変動する所望の輪郭を規定する。組立てられて事前位置合わせされたプリフォームチャージは、組立てツールから、成形ツール内に保持されたエンベロープ真空バッグ内に移送され、そこでブラダー作動式のマンドレルによりプリフォームのウェブ又はブレード部分がクランプされ、その後プリフォームの一又は複数のフランジが折り畳まれて縦通材のフランジが形成される。ラジアスフィラー及びキャッププライが必要に応じて添加され、エンベロープ真空バッグはシールされ、第2の真空バッグが取り付けられる。次いで、チャージに樹脂が注入される。樹脂の注入及び硬化後、部品は開放型から取り外されて、所望の断面及び長さにトリミングされる。
【0008】
開示される一実施形態によれば、輪郭に合致した複合部品の作製方法が提供される。この方法は、事前選択された輪郭に沿って複数のプライを位置合わせすることを含むチャージを組立てるステップと、位置合わせしたチャージを成形ツールに移送するステップとを含んでいる。この方法は、更に、成形ツールにおいてチャージを成形するステップと、成形されたチャージを硬化させるステップとを含む。チャージを組立てるステップは、組立てツール上に少なくとも一の繊維プリフォームを配置することを含むことができ、プライを位置合わせすることは、組立てツールを使用して、事前選択された輪郭に沿って繊維プリフォームを位置合わせすることを含むことができる。組立てツール上で組立てられた後、チャージの一部はクランプされ、その後チャージのクランプされていない部分が成形ツールに挿入される。この方法は、位置合わせされたチャージが成形ツールに移送された後で繊維プリフォームに樹脂を注入するステップを更に含むことができる。この方法はまた、位置合わせしたチャージを成形ツールへ移送する前に成形ツールの上に第1の真空バッグを配置するステップと、第1の真空バッグ内部に含まれている繊維プリフォームの少なくとも一部分の上に第2の真空バッグを配置するステップと、繊維プリフォームに、第1の真空バッグに導入された樹脂を注入するステップとを含むことができる。この方法は、更に、組立てツール内にある間に、プライをまとめてクランプすることによりチャージ内でプライの位置合わせを維持するステップと、成形ツール内でクランプされるまでそれらプライをクランプされた状態に保つステップとを含むことができる。
【0009】
開示される別の実施形態によれば、ウェブと少なくとも一のフランジとを有する複合構造部材を作製する方法が提供される。この方法は、少なくとも一の繊維補強を有する多プライチャージを組立てるステップと、ツール内において、チャージの第1のウェブ部分をクランプするステップとを含んでいる。この方法は、更に、第1のウェブ部分がツール内にクランプされている間に、チャージの第2のフランジ部分を成形するステップと、成形されたチャージを硬化させるステップとを含む。チャージを組立てるステップは、事前選択された輪郭に沿ってプライを互いに対して位置合わせすることと、位置合わせされたプライをまとめてクランプすることとを含むことができる。
【0010】
別の実施形態によれば、少なくとも一の輪郭を有する複合構造部材を作製するための装置が提供される。この装置は、一のチャージを形成する複数のプライを組立てるための組立てツールと、構造部材を成形するための成形ツールとを備えている。組立てツールは、輪郭に沿ってプライを位置合わせするための、輪郭に合致した位置合わせガイドと、事前位置合わせしたプライをまとめてクランプするためのクランプ機構とを含んでいる。成形ツールは、互いに対して可動な一対のマンドレルであって、その間に組立てたチャージをクランプすることができる一対のマンドレルを含んでいる。成形ツールは基部を含み、この基部上において互いに対して双方向に可動であることにより、マンドレルはその間にチャージをクランプすることができる。マンドレルは、クランプされたチャージの少なくとも一部分がその上で成形されるツール表面を含んでいる。成形ツールは、更に、マンドレルの一方にクランプ圧を印加するための膨張式ブラダーを含むことができる。装置はまた、成形ツールを覆う第1の真空バッグと、成形されたチャージを覆うための第2の真空バッグとを含むことができ、成形されたチャージのウェブは成形ツール上にクランプされる。マンドレルの各々は、チャージの輪郭を形成するための、輪郭に合致したクランプ表面を含む。
【0011】
また別の実施形態によれば、複合的な輪郭を有する一のウェブと少なくとも一のフランジとを有する複合部材を作製するための装置が提供される。この装置は、事前位置合わせしたチャージを第1の輪郭に沿って組立てるための組立てツールと、成形ツールとを含んでいる。成形ツールは、基部と、基部の上の、輪郭に合致した一対のマンドレルであって、その間にチャージのウェブ部分をクランプして第2の輪郭に沿って成形することができる一対のマンドレルとを含む。マンドレルの少なくとも一方は、クランプされたチャージのフランジ部分をその上で成形することができるツール表面を含んでいる。
【0012】
輪郭に合致した複合部品を作製する方法が提供され、この方法は、
事前選択された輪郭に沿って複数のプライを位置合わせすることを含む、チャージを組立てるステップと、
位置合わせして組立てたチャージを成形ツールに移送するステップと、
成形ツール上でチャージを成形するステップと、
成形されたチャージを硬化させるステップと
を含む。
【0013】
この方法では、
チャージを組立てるステップが、組立てツール上に少なくとも一の繊維プリフォームを配置することを含み、且つ
プライを位置合わせすることが、組立てツールを使用して、事前選択された輪郭に沿って繊維プリフォームを位置合わせすることを含む。
【0014】
この方法は、更に、
位置合わせして組立てたチャージを成形ツールに移送した後で、繊維プリフォームに樹脂を注入するステップ
を含む。
【0015】
この方法は、更に、
位置合わせして組立てたチャージを成形ツールに移送する前に、形成ツールの上に第1の真空バッグを配置するステップと、
繊維プリフォームの上に第2の真空バッグを配置するステップと、
繊維プリフォームに、第1の真空バッグに導入された樹脂を注入するステップと
を含む。
【0016】
この方法は、更に、
チャージを組立てた後、プライをまとめてクランプすることにより、チャージ内でプライの位置合わせを維持するステップ
を含む。
【0017】
この方法は、更に、
成形ツール内において、位置合わせして組立てたチャージの第1の部分をクランプするステップ
を含み、この方法では、
チャージを成形するステップが、第1の部分をクランプしながら、成形ツール上でチャージの第2の部分を成形することを含む。
【0018】
この方法によって、輪郭に合致した複合部品が作製される。
【0019】
ウェブ及び少なくとも一のフランジを有する複合構造部材を作製する方法が提供され、この方法は、
少なくとも一の繊維補強を有する多プライチャージを組立てるステップと、
ツール内でチャージの第1ウェブ部分をクランプするステップと、
ツール内で第1のウェブ部分をクランプしながら、チャージの第2のフランジ部分を成形するステップと、
成形されたチャージを硬化させるステップと
を含む。
【0020】
この方法では、チャージを組立てるステップが、
事前選択された輪郭に沿ってプライを互いに対して位置合わせすることと、
位置合わせしたプライをまとめてクランプすることと
を含む。
【0021】
この方法では、チャージを組立てるステップが、互いに対してプライを事前に位置合わせすることを含み、本方法は、更に、
事前に位置合わせしたプライを含むチャージを、組立てツールから成形ツールに移送するステップと、
成形ツール内でチャージの一部分をクランプするステップと、
成形ツールを使用してチャージを成形するステップと
を含む。
【0022】
この方法では、成形ツール内でチャージの一部分をクランプするステップが、
チャージの一部分を一対のマンドレル間に配置することと、
ブラダーを膨張させることにより、マンドレルの一方を他方に向かって移動させることと
を含む。
【0023】
この方法は、更に、
ツールの上に第1の真空バッグを配置するステップと、
成形されたチャージの上に第2の真空バッグを配置するステップと、
第2のバッグを真空引きするステップと、
第1の真空バッグに樹脂を導入することにより、チャージに樹脂を注入するステップと
を含む。
【0024】
この方法では、チャージを組立てるステップが、
少なくとも一の編み込み繊維プリフォームを表面上に配置して、この繊維プリフォームを、輪郭に合致したフェンスに沿って位置合わせすることを含む、表面上にプライを積層すること
を含む。
【0025】
この方法によって、複合構造部材が作製される。
【0026】
少なくとも一の輪郭を有する複合構造部材を作製するための装置が提供され、この装置は、
一のチャージを形成する複数のプライを組立てるための組立てツールと、
チャージを成形するための成形ツールであって、互いに対して可動であり、且つ間に組立てたチャージをクランプできる一対のマンドレルを含む成形ツールと
を含んでいる。
【0027】
この装置では、組立てツールが、
輪郭に沿ってプライを位置合わせするための、輪郭に合致した位置合わせガイドと、
位置合わせしたプライをまとめてクランプするためのクランプ機構と
を含んでいる。
【0028】
この装置では、成形ツールが、真空、圧縮空気、及び樹脂供給管を受ける貫通孔を有するほぼ真空の基部を含んでおり、
マンドレルが、基板上で互いに対して双方向に可動であり、且つ
マンドレルが、クランプされたチャージの少なくとも一部分がその上で成形されるツール表面を含んでいる。
【0029】
この装置では、成形ツールが、マンドレルの一方にクランプ圧を印加するための膨張式ブラダーを含んでいる。
【0030】
この装置は、更に、
成形されたチャージを覆う第1の真空バッグと、
成形ツール上にクランプされた成形済みチャージを覆い、ツールに対してチャージの少なくとも一部分を保持する第2の真空バッグと、
第1のバッグに樹脂を導入してチャージに樹脂を注入するための樹脂供給管と
を含んでいる。
【0031】
この装置では、マンドレルの各々が、チャージに輪郭を成形するための、輪郭に合致したクランプ表面を含んでいる。
【0032】
複合的な輪郭を持つウェブと、少なくとも一のフランジを有する複合部材を作製するための装置が提供され、この装置は、
第1の輪郭に沿ってチャージを事前位置合わせする組立てツールと、
基部と、基部上の、輪郭に合致した一対のマンドレルであって、間にチャージのウェブ部分がクランプされて第2の輪郭に沿って成形される一対のマンドレルとを含む成形ツールと
を含んでいる。
【0033】
この装置では、マンドレルの少なくとも一方が、クランプされたチャージのフランジ部分がその上で成形されるツール表面を含んでいる。
【0034】
この装置では、組立てツールが、
その上で多プライチャージを組立てることができる表面と、
チャージのプライの位置合わせ及び輪郭形成を行う際に基準となる調整可能な輪郭を有する位置合わせガイドと、
チャージ上に配置されて、ウェブの高さに略等しい幅を有するスペーサと、
位置合わせ及び輪郭形成されたプライとスペーサとをクランプするための少なくとも一のクランプと、
チャージの両側にクランプを到達させるための溝と
を含んでいる。
【0035】
航空機の複合的な輪郭に合致した複合ブレード縦通材を作製する方法が提供され、この方法は、
組立てツール上に樹脂分配媒体を配置するステップと、
組立てツール上に平坦な編み込み繊維プリフォームを配置して樹脂分配媒体を覆うことによりプリフォームチャージを成形するステップと、
樹脂分配媒体とプリフォームチャージを、互いに対して、且つ第1の輪郭を有する位置合わせガイドに沿って位置合わせするステップと、
プリフォームチャージの上に、ブレード高スペーサを配置するステップと、
チャージのフランジ部分をクランプすることによりチャージの位置合わせを維持するステップであって、ブレード高スペーサを使用してチャージ上でのクランプの配置を制御することを含むステップと、
成形ツールの上に内側真空バッグを取り付けるステップと、
クランプされたチャージを成形ツールに移送するステップと、
成形ツール内においてチャージのウェブ部分をクランプするステップであって、ブラダーを膨張させること、及びブラダーの膨張を使用して一対のマンドレルをチャージとクランプ係合するまで移動させることを含むステップと、
チャージのウェブ部分をマンドレル間にクランプしたまま、チャージのフランジ部分からクランプを取り外すステップと、
チャージのフランジ部分をマンドレルの上に折り畳むことにより、縦通材の一対のフランジを成形するステップと、
成形されたチャージの上に内側バッグを折り返すステップと、
内側バッグの外側バッグをチャージの上に配置するステップと、
内側及び外側のバッグをシールするステップと、
内側及び外側のバッグにそれぞれ第1及び第2の真空を印加するステップと、
内側のバッグに樹脂を導入することにより繊維プリフォームに樹脂を注入するステップと、
成形ツール上において、樹脂を注入した繊維プリフォームを硬化させるステップと、
硬化後、成形ツールから硬化させた縦通材を取り外すステップと
を含んでいる。
【0036】
ウェブ及びフランジを有する航空機の複合的な輪郭に合致した複合縦通材を作製するための装置が提供され、この装置は、
位置合わせ及び組立てツールであって、
上に平坦なチャージを配置することができる平坦な表面、
チャージを位置合わせする際の基準となる、縦通材の輪郭の一部に対応する第1の輪郭を有する位置合わせフェンス、並びに
縦通材のウェブの高さを決定するためのウェブ高スペーサ
を含むツールと、
チャージをクランプするための複数のクランプであって、ウェブ高スペーサと接するクランプと、
成形及び硬化ツールであって、
組立てツール上の位置合わせフェンスの輪郭と概ね一致する第1の輪郭をし、且つ基部プレートと、間隔を空けて配置された湾曲ブロックとの組立品を含むツール基部、並びに
ツール基部上で互いに対して双方向にスライド可能な一対のマンドレルであって、間にチャージのウェブ部分をクランプするための第2の輪郭を有する第1組の向かい合う表面を含んでおり、更に、その上でチャージのフランジ部分を成形できる第2組のツール表面を含んでいる一対のマンドレル
を含むツールと、
成形されたチャージを覆う第1の内側バッグと、
チャージ及び第1のバッグを覆う第2のバッグと、
第1及び第2のバッグを成形及び硬化ツールにシールするための第1及び第2のシールと、
第1のバッグ内部で樹脂をチャージ内に流すことを可能にする樹脂注入口と、
チャージから樹脂を流出させる少なくとも一の樹脂排出口と
を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】複合的な輪郭を有する複合縦通材の斜視図である。
【図2】図1に示された縦通材を製造するための装置の機能的ブロック図である。
【図3】図1に示された縦通材を作製するために使用される複合チャージを組立てるための組立てツールの平面図である。
【図4】図3に示された組立てツールの側面図である。
【図5】図3と同様の組立てツールの平面図であり、樹脂分配媒体が組立てツール上に配置されている様子を示している。
【図6】図5と同様の組立てツールの平面図であり、樹脂分配媒体の上に透明な分離膜が配置されている様子を示している。
【図7】図6と同様の組立てツールの平面図であり、透明な分離膜の上に編み込み繊維プリフォームが配置されている様子を示している。
【図8】図7と同様の組立てツールの平面図であり、繊維プリフォームの上に別の透明な分離膜が配置されており、ブレード高スペーサを動作させた様子を示している。
【図9】図8と同様の組立てツールの平面図であり、プリフォームチャージのクランプが取り付けられた様子を示している。
【図10】図8と同様の組立てツールの平面図であり、連続するブレード高スペーサの使用を示している。
【図11】図10と同様の組立てツールの平面図であり、磁気移送バーがクランプに取り付けられている様子を示している。
【図12】図9のライン12−12に沿った断面図である。
【図13】事前位置合わせされたチャージ及び樹脂注入コンポーネントが取り付けられる前の成形ツールの一端を示す平面図である。
【図14】図13のライン14−14に沿った断面図である。
【図15】図14と同様の断面図であり、成形ツール上への第1の真空バッグの配置を示している。
【図16】図15と同様の断面図であり、成形ツール内に事前位置合わせされたチャージが配置されている様子を示しており、明瞭性のために分離膜は省略されている。
【図17】図16と同様の断面図であり、ブラダーを膨張させてチャージのウェブ部分をクランプしている様子を示している。
【図18】図17と同様の断面図であり、チャージのクランプが取り除かれており、らせん状の樹脂注入口ラップが取り付けられている様子を示している。
【図19】図18と同様の断面図であり、プリフォームのフランジ部分がマンドレル上に折り畳まれて成形されている様子を示している。
【図20】図19と同様の断面図であり、チャージ内にラジアスギャップフィラーが配置された様子を示している。
【図21】図20と同様の断面図であり、キャップチャージを含む追加コンポーネントが取り付けられている様子を示している。
【図22】図21と同様の断面図であり、外側のバッグが取り付けられて、シールされ、真空引きされている様子を示している。
【図23】複合的な輪郭に合致した複合部材を作製する方法のフロー図である。
【図24】図23に示された方法の追加ステップを示すフロー図である。
【図25】複合的な輪郭を有する複合構造部材を作製する別の方法のフロー図である。
【図26】航空機の製造及び保守方法を示すフロー図である。
【図27】航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1に示すように、開示される実施形態は、広義には、例えば限定しないが、複合的な輪郭に合致した複合縦通材30のような湾曲した複合部品を作製するための方法と装置に関する。図示の実施形態では、縦通材30の輪郭は、それぞれ直交する面P1、P2に含まれる半径R1、R2に基づいて形成される。しかしながら、他の輪郭の形状寸法も可能であり、縦通材30の輪郭の全て又は一部を、その長さの一部のみに沿って形成してもよい。他の実施形態では、縦通材30は、その長さに沿って単一の輪郭のみを有する。図1に示される実施形態では、R1及びR2は平面内にほぼ一定の弧を形成しているが、R1、及び/又はR2は、縦通材30が長さに沿って一又は複数の湾曲を含むように、軸に沿って、又は横方向に変化してもよい。縦通材30は、「ブレード縦通材」と呼ばれることもあり、ウェブ部分32と、何らかの適切な手段によって輪郭に合致した外板36と接合可能なフランジ部分34とを含んでいる。ウェブ部分32は、「ブレード」と呼ばれることもあり、高さ「H」を有している。この例示的実施形態にはブレード縦通材30が示されているが、開示される方法及び装置を利用して、長さに沿って一又は複数の輪郭を有する他の様々な細長の構造部材を製造することができる。また、開示される方法及び装置を利用して、限定しないが、少数の例を挙げると「C」、「J」、及び「I」字形状を含む様々な断面形状のいずれかを有する細長の構造部材を製造することができる。
【0039】
図2は、図1に示した縦通材30のような複合部品を製造するための装置の基本的なコンポーネントを示している。この装置は、大雑把には、位置合わせ及び組立てツール38(以降、簡略に組立てツール38という)と、成形及び硬化ツール72(以降、簡略に成形ツール72という)とを備えている。組立てツール38は、チャージ62を支持するテーブル40と、このテーブル40上において、チャージ62のコンポーネント54、56、58、60(図12参照)を位置合わせするために使用される湾曲したフェンス48とを含んでいる。位置合わせ後、チャージ62のコンポーネント54、56、58、60(図12参照)は、複数のクランプ68の顎67の間に保持される。チャージ62上におけるクランプ68の位置は、図1に示される縦通材30のブレード高「H」を画定するもので、クランプ68の顎67の少なくとも一つに係合するプランジャー52の延長量によって決まっている。
【0040】
クランプ68によってクランプされたチャージ62は、ロボット(図示しない)のような適切な運搬装置65を使用して成形ツール72へと運搬される。成形ツール72は、大雑把には、ツール基部74の上をスライド可能な一対のマンドレル80a、80bを備えている。チャージ62は、成形プロセスの間にマンドレル80a、80b上で成形される間、これらマンドレル80a、80bの間に保持される(後述で更に詳細に説明する)。
【0041】
図3〜12は、組立てツール38と、チャージ62のコンポーネント54、56、58、60(図12)を位置合わせして組み立てるための連続ステップとを更に詳細に示している。特に図3及び4に示すように、組立てツール38は、ほぼ平坦なチャージ支持表面44を有する真空テーブル40を備え、この支持表面44を横断してほぼ平行な複数のスロット42が延びている。テーブル40には複数の複動シリンダ50が搭載されており、シリンダのそれぞれが、真空テーブルの表面44の上方において軸方向に延長可能な細長のプランジャー52を含み、これらのプランジャーはブレードの深さスペーサとして働く。他の実施形態(図示しない)では、プランジャー52は、テーブル表面44の上方及び下方の両方に設けてもよい。シリンダ50は、空気/気体を用いて流体圧により作動させても、電気で作動させてもよい。所望の輪郭、又は図1に示した半径R1にほぼ対応する変動半径R1を有する位置合わせフェンス48は、ファスナ55によりテーブル表面44に固定されている。他の実施形態では、フェンス48の輪郭R1は、数値制御デバイス、ピンなどを使用して変化させることができる。
【0042】
後述で更に詳細に説明するように、組立てツール38は、チャージ62(図2、本明細書においては繊維プリフォーム組立品とも呼ぶ)のコンポーネント54、56、58、60(図12)が互いに対して位置合わせされるように、且つ位置合わせフェンス48の輪郭R1に沿って位置合わせされるように、チャージ62のコンポーネント54、56、58、60の事前位置合わせを行う。本明細書において使用される「チャージ」という用語は、乾燥しているか、又は部分的に注入処理された繊維プリフォーム又は部品、及びプリプレグの両方を含む。後述する図示の実施形態では、チャージ62は乾燥した繊維プリフォーム58(図7)からなる。しかしながら、開示される方法及び装置の原理を利用して、プリプレグを用いた複合構造を製造することもできる。
【0043】
図5に示すように、使用時には、チャージ62(図2)は、まず樹脂分配媒体54をテーブル表面44上に配置することにより、輪郭に合致したフェンス48に沿って位置合わせされた状態で積層される。次に、図6に示すように、やはりフェンス48の輪郭に沿って位置合わせされた状態で、分配媒体54の上に透明な分離膜56のプライが配置される。
【0044】
次に、図7に示すように、一又は複数の管状又はソックス様の編み込み繊維プリフォーム58a、58b(図16参照)が、やはり輪郭に合致したフェンス48に沿って位置合わせされた状態で、図6に示す透明な分離膜56の上に配置される。次いで、図8に示すように、透明な分離膜60の第2のプライが繊維プリフォーム58の上に配置され、フェンス48に沿って位置合わせされることにより、透明な分離膜56、60の二つのプライ、樹脂分配媒体54、及び編み込み繊維プリフォーム58を備えた完全なチャージ又はプリフォーム組立品62(図12参照)が形成される。編み込み繊維プリフォーム58の使用により、縦通材30の複合的な湾曲を可能にして積層を容易にするエンジニアドプリフォームの自動製造が可能になる。編み込み繊維プリフォーム58は、縦通材30(図1)に強度を付加するために、捲縮繊維から構成されても又は非捲縮繊維から構成されてもよく、また三以上の繊維からなる二軸編み込みから構成されても、三軸編み込みから構成されてもよい。更に、繊維プリフォームは、編組以外のプロセスにより製造されてもよい。
【0045】
順次形成されてフェンス48に沿って事前位置合わせされたチャージ62と、プランジャー64(図8)の軸方向に沿った位置により事前に決定された図1に示すブレード高「H」と、複数のクランプ68(図9)、又は他の適切なクランプ機構とは、図9及び12に最もよく示されるように、テーブル40のスロット42内に配置されて、プランジャー64に接するまでスロット42に沿って案内される。
【0046】
クランプ68の各々は、図12、14、及び16に示されているように、それぞれ側方フランジ68a、68bを備えて対向する一対の顎67を有するはさみ運動するもの、又は他の種類の「C」字クランプとすることができる。図12に示すように、各クランプ68の顎67の一方は、チャージ62の下のスロット42の一つの内部に受け入れられて、このスロット42に沿ってスライド可能であり、クランプ68の他方の顎67は、チャージ62の上に延びる。クランプ68は、チャージ62の周りに配置されて、顎67の一方の側方フランジ68a(図12参照)がチャージ62の上のプランジャー64の端部に係合するまで、図4〜12に示すテーブル40のスロット42内を通過する。別の実施形態(図示しない)では、プランジャー64がテーブル表面44(図4)の上方及び下方の両方に設けられ、この場合、両方の側方フランジ68a、68bはプランジャー64の一方と係合し、このプランジャーに接して停止する。したがって、プランジャー64は、チャージ62上におけるクランプ68の位置、特にチャージ62上における側方フランジ68a、68bの位置を決定する停止部として機能する。効果的には、クランプ68の顎67上の側方フランジ68a、68bがプランジャー64に接することにより、プランジャー64の軸方向位置により決定されるブレード高「H」がクランプ68に伝達される。
【0047】
図10に示す別の実施形態では、ブレード高「H」は、図12に示されるチャージ62の両側に連続ブロック又はプレート66を配置することにより決定される。次いで、クランプ68(図9及び12)がチャージ62に取り付けられ、プレート66に接することによりブレード高「H」が決定される。すなわち、ブレード高「H」は、間隔を空けて配置された個別の要素(例えば、プランジャー64)を使用することにより決定されても、又は連続する要素(例えば、プレート66)により決定されてもよい。
【0048】
任意の一実施形態では、図11に示すように、磁気移送バー70をクランプ68に取り付けることにより、運搬装置65(図2)により図11〜20に示される成形ツール72に移送される間、クランプされたチャージ62を保持し、安定化させる。成形ツール72まで移送される間に、クランプ68、すなわちプリフォーム組立品62を安定化させる他の多様な手段を利用することができ、これら手段には、限定しないが、グリップ、プレート、ボールロックピン、ロッド、及び固定具が含まれる(全てが図示されてはいない)。
【0049】
次に図13及び14に示すように、一実施形態では、成形ツール72を利用して、上述のプリフォーム組立品62(図12)の成形、注入処理、及び硬化を行うことができる。注入処理は、縦通材30の費用効率的な製造を達成するために、制御された大気圧樹脂注入プロセスを使用して実行される。このような適切な注入プロセスの一つが、2008年2月26日発行の米国特許第7334782号に記載されており、ここで言及することによりこの特許文献の開示内容全体を本明細書に包含する。しかしながら、他の注入プロセスも使用可能である。
【0050】
成形ツール72は、大雑把には一対のマンドレル80a、80bを含み、それらの少なくとも一方は、ツール基部74上に支持された低摩擦性スリッププレート82(図14)の上をスライド可能である。ツール基部74の輪郭は、その長さに沿って、縦通材30の第1の輪郭R1(図1)とほぼ一致するように形成することができる。マンドレル80a、80bは、長さに沿って縦通材の第2の輪郭R2(図1)とほぼ一致するような輪郭を有する対向し合うツール面80cを有している。一対の湾曲したブロック76、78が、縦通材30の第1の輪郭R1(図1)とほぼ一致する湾曲を有するツール基部74の両側にそれぞれ搭載されて、ツール基部74にシールされている。別の構成では、湾曲ブロック76、78、及びツール基部74は、単一の材料ブロックから得られたポケットを接合、溶接、又は機械加工した一の連続片である。膨張式ブラダー90が湾曲ブロック76とマンドレル80aとの間に挟まれている。
【0051】
マンドレル80a、80bの各々は、一実施形態では単一片から構成されており、他の実施形態では、長さに沿って区分されている(図示しない)。マンドレル80a、80bの対向し合うツール面80cは、互いに側方に間隔を空けて配置されていることにより、間にテーパの付いたスロット84を形成している。マンドレル80a、80bの各々は、更に、上部に概ね平坦なツール表面86を含んでいる。マンドレル80bには、縦方向に延びる樹脂注入口溝92が設けられている。この目的については後述する。ツール基部74は、外側のバッグの空気レギュレータ(図示しない)に連結される空気圧継手94を含むことができる。
【0052】
特に図13に示すように、ツール72の端部107は、バルブ97を介して膨張式ブラダー90を真空98、通気口100、及び圧縮空気102に連結してブラダー90の膨張と収縮とを制御する内部空気通路96を含んでいる。後述する内側バッグ及び外側バッグのシールの位置が、それぞれ104及び106で示されている。
【0053】
図15は、内側IML(内側モールド線)バッグ108(本明細書では第1のバッグ108ともいう)が、内側バッグシール104によりツール72の上に配置されてツール72にシールされた後の成形ツール72を示している。内側の第1バッグ108はツール72より幅広なので、バッグ108の一部分109が成形ツール72の縁111を越えて垂れている。後述するように、内側バッグ部分109は、その後プリフォーム組立品62(図15には示さない)の上に折り返されてツール72にシールされる。ツール72上に配置された後、内側バッグ108には管継手94(図22)を通して若干の真空が印加され、それによりバッグはツールブロック表面86に沿って引き寄せられて、マンドレル80a、80b間のスロット84の中に引き込まれる。後述の説明を明瞭にするために、図14〜19には内側の第1バッグ108の全ての領域が示されているわけではない。
【0054】
内側の第1真空バッグ108を取り付けた後、事前位置合わせしたプリフォーム組立品62は、運搬装置65(図2参照)により組立てツール38(図2〜12)から成形ツール72へ移送される。図16に示すように、ブラダー90を収縮させ、マンドレル80a、80bを引き離して開放スロット84を形成することにより、クランプされたプリフォーム組立品62が、対向し合うマンドレル面80c間のスロット84の中に挿入される。明瞭性のために、分離膜56、60は、後述の図16と17には示されていない。プリフォーム組立品62上におけるクランプ68の位置、特にフランジ68a、68bの位置は、縦通材30のウェブ部分32(図1)に対応するウェブ部分62aと、縦通材30のフランジ部分34に対応するフランジ部分62bとを画定する。フランジ68a、68bは、プリフォーム組立品62がスロット84の中に挿入されると上部マンドレル表面86と係合し、図1に示したウェブ高「H」を決定する。
【0055】
図17は、組立てプロセスの次のステップを示している。このステップでは、ブラダー90を膨張させて、矢印110により示される方向に力を印加することにより、マンドレル80aをマンドレル80bに向かってスライドさせることにより、プリフォーム組立品62のウェブ部分62aを二つのマンドレル80aと80bとの間にクランプする。一方で、プリフォーム組立品62のフランジ部分62bはクランプ68によって保持されたままである。図示の実施形態にはブラダー90が示されているが、組立品62をクランプするためにマンドレル80a、80bを互いに向かって引き寄せるための他の手段も利用可能であり、このような手段には、限定されないが、モータ、ねじ、機械機構(いずれも図示しない)が含まれる。
【0056】
図18に示すように、組立てプロセスの次のステップでは、組立品62のウェブ部分62aがマンドレル80a、80b間にクランプされた後で、アセンブリ62のフランジ部分62bを上部マンドレルの表面86の上方に露出したまま残してプリフォームアセンブリ62からクランプ68を取り除く。次いで、樹脂注入口となるらせん状ラップ112が溝92内に配置されて、適切な樹脂供給源(図示しない)と連結される。
【0057】
図19に示すように、組立てプロセスの次のステップでは、プリフォーム組立品62のフランジ部分62bを矢印116によって示される方向に、上部マンドレル表面86上へと折り畳む。このような折り畳み工程により、樹脂分配媒体54も折り畳まれて樹脂注入口となるらせん状ラップ112と接触し、次の注入工程では、らせん状ラップ112を介して導入される樹脂が樹脂分配媒体54内へ流入する。このような折り畳み工程の間に、繊維プリフォーム58のあらゆる繊維角度の歪みは、フランジ部分62bがフランジ114に合わせて成形されている間、ウェブ部分62aが前もってクランプされた所定の位置に保持されていることにより、最小化されるか、又はほぼ排除される。
【0058】
プリフォーム組立品62をクランプすることは、プリフォーム58のウェブ部分62aを縮小する助けにもなる。上部マンドレル表面86上にフランジ114を折り畳むことにより、フランジ114とウェブ部分62aの交差部分にラジアスギャップ118が形成される。この事象においては、図20に示すように、適切なラジアスギャップフィラー120をギャップ118の中に挿入することができる。「L」字形部品の場合、非スティック状の再利用可能なラジアスフィラーを使用できる。
【0059】
次に図21を参照する。図21は、フランジ34(図1)を覆ってフランジ34を補強するために使用されるキャップ124を縦通材30(図1)が含む用途での、その後の任意の組立て工程における成形ツール72を示している。この段階では、フランジ114の上に、繊維キャッププリフォーム124、透明な分離膜(図示しない)、透明な当て板126、及び樹脂分配媒体128が順に積層されている。樹脂排出管122が、フランジ114の縁に沿って、プリフォーム組立品62のウェブ部分62aの端部に配置されている。ウェブ部分62aに二つの端部排出管(図示しない)を配置する代わりに、プリフォームチャージの挿入に先立って、内側バッグの中に連続する樹脂排出管(図示しない)を配置してもよい。排出管122により、空気及び気体だけでなく、注入処理済みのプリフォーム58から漏出する過剰な樹脂を完全に排出することができるので、硬化中にプリフォーム58にほぼ均一な圧力が印加される。
【0060】
次に図22を参照する。図22は、組立てプロセスの更なる段階にある成形ツール72を示している。バッグ部分109はツールの上に折り返されて、シール104によってシールされている。ここで、外側の第2真空バッグ130をツール72の上に配置して、内側バッグとプリフォーム組立品62とを覆う。次いで、外側の第2真空バッグ130は、外側バッグシール106により、湾曲ブロック76、78の上側表面86を含む成形ツール72にシールされる。次いで、外側バッグ130に印加される真空を調整する適切な外側バッグレギュレータ(図示しない)に管継手94が連結される。次いで、内側バッグ108と外側のバッグ130から、ほぼ同時に排気する。例示的な一実施形態では、内側バッグ108には、外側バッグ130よりやや高い真空度を適用する。例えば、限定しないが、一の用途では、内側バッグ108は約30Hgに真空引きされ、外側バッグ130は約25Hgに真空引きされる。
【0061】
成形及び圧密化後、プリフォーム組立品62に印加される圧力を必要に応じて調節する。一実施例では、ウェブ部分62a(図22)に印加される硬化圧は、ブラダー90によってマンドレル80aに印加される圧力によって決定される。フランジ114に印加される硬化圧は内側バッグ108の真空レベルによって決定され、マンドレル表面86上にフランジ114を保持する圧力は外側バッグ130の真空レベルによって決定される。硬化後、外側のバッグ130を取り外し、その後ブラダー90を収縮させる。ブラダー90の収縮によりマンドレル80a、80bが互いに離れて、内側のバッグ108、並びに、硬化した縦通材30となった樹脂注入プリフォーム58と、成形ツール72から除去されるべき全ての関連する使い捨て材料とを含むその内容物のクランプが解除される。
【0062】
次に図23を参照する。図23は、上述に開示された実施形態による、輪郭に合致した複合部品の作製方法を示している。この方法は、134において、繊維プリフォーム組立品62を含むチャージを積み上げて位置合わせすることから開始され、次いで、136において、事前位置合わせされたプリフォーム組立品62を成形ツール172内に配置する。次に、138においてプリフォーム組立品62に樹脂を注入した後、140において樹脂注入プリフォーム組立体62を硬化させる。
【0063】
図24は、開示された実施形態による複合構造部材の作製方法の別の実施形態を示している。この方法は、142において、樹脂分配媒体プライ54を組立てツール38上に配置することから開始され、その後144において第1の透明な分離膜プライ56を樹脂分配媒体54の上に配置する。146において、適切な編み込み繊維プリフォーム58を第1の分離膜プライ56の上に配置した後、148に示すように、第2の透明な分離膜プライ60をプリフォーム58の上に配置する。150では、一又は複数のブレード高スペーサ64又は66をチャージの上に配置し、152では、プライの位置合わせを維持するようにスタック状の組立て品62をまとめてクランプする。次に、156において、事前位置合わせされたプリフォーム組立品62を成形ツール72に移送し、成形ツール72において樹脂を注入して硬化させる。
【0064】
図25は、ウェブ32と、少なくとも一のフランジ34とを有する、輪郭に合致した複合構造部材30の作製方法の更なる詳細を示している。この方法は、158において、内側真空バッグ108を成形ツール72上に取り付けることから開始され、その後、160において、内側バッグ108を真空引きして成形ツール72の上に引き寄せる。161では、排出口となるらせん状ラップ122を真空バッグの溝の底部に配置する。次に、162において、クランプされたプリフォーム組立体又はチャージ62を成形ツール72上にロードし、164においてブラダー90を膨張させることにより、プリフォーム組立体62をクランプして圧縮する。166で組立品62のクランプを解除し、170でツール72内の樹脂注入口溝92内に入口となるらせん状ラップ112を取り付ける。
【0065】
次に、172において、プリフォーム組立品62のフランジ114を所定の位置に折り畳み、その後174において、任意で、フランジ114間に存在しうるギャップ118の中にラジアスフィラー120を導入する。176では、プリフォームフランジ114の上にキャップチャージ124を加える。178ではキャップチャージ124の上に透明な分離膜124を加え、180では透明な分離膜の上に透明な当て板126を加える。182では当て板126の上に樹脂分配媒体128を加え、184では、チャージ62のウェブ部分62aとフランジ114の各端部に樹脂排出管122を配置する。186では内側バッグ108をシールする。188では、外側バッグ130を、プリフォームチャージ組立体62の上に取り付け、組立てツール72にシールする。190では、内側バッグ及び外側バッグからほぼ同時に排気し、次いで192でプリフォームチャージ組立品62に樹脂を注入する。次に、注入処理済のチャージ62を、194において硬化させ、196において成形ツール72から取り外し、必要に応じてトリミングし、所望の長さに切断する。
【0066】
組立て及び硬化の両段階においてツール72は内側バッグ108によって覆われているので、ツール72には樹脂又はその他の残渣が殆ど残らず、次の部品の処理を準備する際に必要なクリーンアップは最小又はゼロである。内側バッグ108は部品及び関連する使い捨て材料を完全に包み込むので、トリミングのために非クリーンルーム型領域へ移送することが簡略化される。
【0067】
次に図26及び27を参照する。本発明の実施形態は、図26に示す航空機の製造及び保守方法200、及び図27に示す航空機202に関して使用することが可能である。製造前の段階では、例示的な方法200は、航空機202の仕様及び設計204と、材料調達98とを含みうる。製造段階では、航空機202のコンポーネント及びサブアセンブリの製造208と、システムインテグレーション210とが行われる。ステップ208の間に、開示される方法及び装置を使用して、スチフナーのような複合部品を製造し、次のステップ210において組立てることができる。その後、航空機202は認可及び納品212を経て運航214される。顧客により運航される間に、航空機202は定期的な整備及び保守216(改造、再構成、改修なども含みうる)を受ける。
【0068】
方法200の各プロセスは、システムインテグレーター、第三者、及び/又はオペレーター(例えば顧客)によって実施又は実行されうる。本明細書の目的のために、システムインテグレーターは、限定しないが、任意の数の航空機製造者、及び主要システムの下請業者を含むことができ、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含むことができ、オペレーターは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などでありうる。
【0069】
図27に示されるように、例示的方法200によって製造された航空機202は、複数のシステム220及び内装222を有する機体218を含むことができる。開示される方法及び装置を使用して、機体218の一部を形成する縦通材のようなスチフナーを製造することができる。高レベルのシステム220の例には、推進システム224、電気システム226、油圧システム228、及び環境システム230のうちの一又は複数が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙産業の例を示したが、本発明の原理は、自動車産業のような他の産業にも適用可能である。
【0070】
本明細書に具現化された装置は、製造及び保守方法200の一又は複数の任意の段階で採用することができる。例えば、製造プロセス208に対応するコンポーネント又はサブアセンブリは、航空機202の運航中に製造されるコンポーネント又はサブアセンブリと同様の方法で作製又は製造することができる。また、一又は複数の装置の実施形態は、例えば、航空機202の組立てを実質的に効率化するか、又は航空機202のコストを削減することにより、製造段階208及び210の間に利用することができる。同様に、一又は複数の装置の実施形態を、航空機202の運航中に、例えば限定しないが整備及び保守216に利用することができる。
【0071】
本発明の実施形態を、特定の例示的な実施形態に関連させて説明したが、これらの特定の実施形態は説明を目的としているのであって、限定を目的としているのではなく、当業者であれば他の変形例が想起可能であろう。
【符号の説明】
【0072】
30 縦通材
32 縦通材のウェブ部分
34 縦通材のフランジ部分
36 外板
38 位置合わせ及び組立てツール
40 テーブル
42 スロット
44 チャージ支持表面
48 位置合わせフェンス
50 複動シリンダ
52 プランジャー
54、56、58、60 チャージのコンポーネント
62 チャージ
62a チャージのウェブ部分
62b チャージのフランジ部分
64 プランジャー
65 運搬装置
66 プレート
67 クランプ
68 クランプの顎
70 磁気移送バー
72 成形及び硬化ツール
74 ツール基部
76、78 湾曲ブロック
80a、80b マンドレル
80c 対向し合うツール面
84 マンドレル間のスロット
86 マンドレル表面
90 膨張式ブラダー
92 樹脂注入口溝
94 空気圧継手
96 空気通路
97 バルブ
98 真空
100 通気口
102 圧縮空気
104 内側バッグシール
106 外側バッグシール
108 内側バッグ
112 樹脂注入口となるらせん状ラップ
114 フランジ
118 ギャップ
120 ラジアスギャップフィラー
122 樹脂排出管
124 キャップ
126 当て板
128 樹脂分配媒体
130 外側バッグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪郭に合致した複合部品の作製方法であって、
複数のプライを事前選択した輪郭に沿って位置合わせすることを含む、チャージを組立てるステップと、
位置合わせして組立てたチャージを成形ツールに移送するステップと、
成形ツール上でチャージを成形するステップと、
成形したチャージを硬化させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
チャージを組立てるステップが、少なくとも一の繊維プリフォームを組立てツール上に配置することを含み、且つ
プライを位置合わせすることが、組立てツールを使用して、事前選択した輪郭に沿って繊維プリフォームを位置合わせすることを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
位置合わせして組立てたチャージを成形ツールに移送した後で、繊維プリフォームに樹脂を注入するステップ
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
位置合わせして組立てたチャージを成形ツールに移送する前に、成形ツールの上に第1の真空バッグを配置するステップと、
繊維プリフォームの上に第2の真空バッグを配置するステップと、
第1の真空バッグの中に導入された樹脂を繊維プリフォームに注入するステップと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
チャージを組立てた後で、プライをまとめてクランプすることによりプライの位置合わせを維持するステップ
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
成形ツール内で、位置合わせして組立てたチャージの第1の部分をクランプするステップを
更に含み、
チャージを成形するステップが、チャージの第1の部分をクランプしながら成形ツール上に第2の部分を成形することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも一の輪郭を有する複合構造部材を作製するための装置であって、
チャージを形成する複数のプライを組立てるための組立てツールと、
チャージを成形するための成形ツールであって、組立てたチャージを間にクランプできる互いに対して可動な一対のマンドレルを含む成形ツールと
を備える装置。
【請求項8】
組立てツールが、
輪郭に沿ってプライを位置合わせするための、輪郭に合致した位置合わせガイドと、
位置合わせしたプライをまとめてクランプするためのクランプ機構と
を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
成形ツールが、真空、圧縮空気、及び樹脂供給管を受ける貫通孔を有するほぼ真空気密な基部を含んでおり、
マンドレルが基部上で互いに対して双方向に可動であり、且つ
マンドレルが、クランプされたチャージの少なくとも一部をその上で成形できるツール表面を含んでいる、
請求項7に記載の装置。
【請求項10】
成形ツールが、マンドレルの一方にクランプ圧を印加するための膨張式ブラダーを含んでいる、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
成形されたチャージを覆う第1の真空バッグと、
成形ツール上にクランプされた成形済みチャージを覆い、チャージの少なくとも一部をツールに対して保持する第2の真空バッグと、
第1のバッグの中に樹脂を導入し、チャージを注入するための樹脂供給管と
を更に備えている、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
マンドレルの各々が、チャージに輪郭を成形するための、輪郭に合致したクランプ表面を含んでいる、請求項7に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−218441(P2012−218441A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−79705(P2012−79705)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】