説明

輸液チューブセット

【課題】容易かつ迅速に、輸液ライン(輸液ルート)を増設することができる輸液チューブセットを提供する。
【解決手段】輸液チューブセット1は、患者に対し、輸液を投与する輸液投与部2と、輸液チューブ3aおよび3bとを有している。輸液チューブ3aおよび3bは、それぞれ、可撓性を有し、輸液の流路を構成するチューブ31と、チューブ31の一方の端部に設けられたコネクタ32と、チューブ31の他方の端部に設けられ、輸液が収納された輸液バッグ4側に接続される、鋭利な針先を有する瓶針35とを備えている。コネクタ32は、2つの雌コネクタ321、322と、雄コネクタ323と、操作レバー324とを有しており、この操作レバー324により、雌コネクタ321の内腔と、雌コネクタ322の内腔と、雄コネクタ323の内腔との連通パターンを選択し得るよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液チューブセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の輸液セット(輸液装置)では、輸液チューブの患者に接続する側の端部(先端部)に雄ルアーコネクタが設けられている。このため、複数の輸液ルートを確保するためには、患者側のチューブに、三方活栓や多連活栓等を設け、輸液ルートを増設可能な状態、すなわち、複数の前記輸液チューブを接続し得る状態にする必要があった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、輸液ルートの途中に三方活栓を設置した輸液セットが市販されているが、必要とされる輸液ルートの数は患者やその容態によってまちまちであり、予め準備しておく輸液ルートの必要数はわからない。このため、輸液ルートの使用数について、多くの患者のデータを収集し、これらから平均使用数を求め、その平均使用数よりも1つ、または2つの、輸液チューブを接続し得る予備ポートを設けて輸液ルートを構成することが一般的である。
【0004】
ところが、予備ポートを必要とする患者は、容態の急変を起こす可能性が高い患者の場合が多く、輸液療法の対象患者の大半は、予備ポートを必要としないが、少数の患者のために予備ポートを備えた輸液セットを用意しておかなければならず、そのために、輸液セットのコストを高くするか、または、病院内の輸液セットの品種を増やして、在庫管理の経費をかける等、医療費を高くしてしまうという問題がある。
【0005】
また、輸液セットの品種を増やしてしまうと、品種の異なる輸液セットを使い分ける必要があり、その使用方法を間違える等のリスクが高くなるという欠点がある。
【0006】
しかも、患者の容態が急変した時等、予め準備しておいた予備ポートも一時的に不足することが起こる。
【0007】
この場合、投与している輸液を一度止めて、輸液ルートを閉塞した後、輸液ルートを開放し、三方活栓等を輸液ルートの途中に組み込む必要がある。この際、活栓を組み込んだ後、患者側の輸液ルート中に混入したエアーを抜くためにシリンジで吸引し、かつ、止めた側の輸液をプライミングして輸液ルート中のエアー溜まりをなくした後に輸液チューブを接続するという非常に手間と時間のかかる作業を行う必要がある。
【0008】
また、輸液ルートを繋ぎ違えたり、また、再度流量設定(投与速度の設定)を行う際に投与速度を間違えること等がある。
【0009】
また、患者側の輸液ルート中のエアーを抜くためにシリンジで吸引すると、患者に留置されたカテーテル内に患者の血液が逆流し、血液が凝固しやすくなり、血栓の原因を作ってしまい、このため、予定よりも早く留置カテーテルの交換を行わなければならない等、患者に悪影響を及ぼす。
【0010】
また、医療従事者の針刺し事故防止や、接続時の清潔性を保つために開発されたニードルレスコネクタがあるが、閉鎖回路を想定しているために、輸液ルートの途中で輸液チューブの接続個所を増やすことができず、このため、接続個所が不足する事態のときは、ニードルレスコネクタの設置された輸液ルートの先端部分から先を開放するという、閉鎖回路で清潔性を保って接続をするという特徴を著しく阻害する使用方法を取らざるを得ない。この場合も前記と同様に予め予備ポートを多めに設けるという方法では、いくつの予備ポートを設ければよいかがわからず、結局は足りなくなることとなる。すなわち、コストアップ、エアー抜きの手間や時間、投与速度の設定ミスや血栓の原因の発生リスクは、前記と変わらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平4−354952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、容易かつ迅速に、輸液ライン(輸液ルート)を増設することができる輸液チューブセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的は、下記(1)〜(8)の本発明により達成される。
(1) 輸液の流路を構成するチューブと、前記チューブの一方の端部に設けられ、雄コネクタおよび雌コネクタを有するコネクタと、前記チューブの他方に設けられ、輸液が収納された収納部側に接続される接続部とを備える少なくとも1つの輸液チューブと、
前記輸液チューブの前記コネクタの前記雄コネクタまたは前記雌コネクタと接続し得る輸液投与部側コネクタを有し、患者に対し、輸液を投与する輸液投与部とを備える輸液チューブセットであって、
前記チューブの前記一方の端部は、前記コネクタの前記雄コネクタおよび前記雌コネクタとは異なる部位に接続され、
前記コネクタの前記雄コネクタの軸と前記雌コネクタの軸とが略一致し、
前記コネクタの前記雄コネクタは、該コネクタの前記雌コネクタと同形状の他の雌コネクタと液密に接続可能な形状をなし、前記コネクタの前記雌コネクタは、該コネクタの前記雄コネクタと同形状の他の雄コネクタと液密に接続可能な形状をなしており、
前記輸液投与部の前記輸液投与部側コネクタから最も離れた前記輸液チューブの前記コネクタには、該コネクタの前記雄コネクタと前記雌コネクタとのいずれか一方が接続用ポートとして常に存在していることを特徴とする輸液チューブセット。
【0014】
(2) 前記コネクタは、流路を切り換える流路切換機能を有する上記(1)に記載の輸液チューブセット。
【0015】
(3) 前記コネクタは、前記チューブの内腔と、前記雄コネクタの内腔と、前記雌コネクタの内腔との連通パターンを選択し得るよう構成されている上記(1)に記載の輸液チューブセット。
【0016】
(4) 前記輸液投与部は、除菌用のフィルターを有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の輸液チューブセット。
【0017】
(5) 前記除菌用のフィルターは、前記輸液投与部側コネクタより下流側に設けられている上記(4)に記載の輸液チューブセット。
【0018】
(6) 前記輸液投与部は、前記除菌用のフィルターの下流側に混注口を有する上記(4)または(5)に記載の輸液チューブセット。
【0019】
(7) 前記輸液投与部側コネクタに、一端側に輸液が収納された収納部に接続される接続部を有するチューブの他端側が接続される上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の輸液チューブセット。
【0020】
(8) 前記輸液投与部側コネクタは、一端側に前記収納部とは別の収納部に接続される接続部を有するチューブの他端側に設けられたコネクタと、前記輸液チューブのコネクタとを同時に接続し得るよう複数に分岐している上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の輸液チューブセット。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、容易、迅速かつ確実に、輸液ライン(輸液ルート)を増設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の輸液チューブセットの第1実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す輸液チューブセットの一方の輸液チューブを接続した状態を示す平面図である。
【図3】図1に示す輸液チューブセットの各輸液チューブを接続した状態を示す平面図である。
【図4】本発明の輸液チューブセットの第1実施形態における変形例を示す平面図である。
【図5】輸液チューブの他の実施形態を示す平面図である。
【図6】輸液チューブの他の実施形態を示す平面図である。
【図7】本発明の輸液チューブセットの第2実施形態を示す平面図である。
【図8】図7に示す輸液チューブセットの一方の輸液チューブを接続した状態を示す平面図である。
【図9】図7に示す輸液チューブセットの各輸液チューブを接続した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の輸液チューブセットを添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の輸液チューブセットの第1実施形態を示す平面図、図2は、図1に示す輸液チューブセットの一方の輸液チューブを接続した状態を示す平面図、図3は、図1に示す輸液チューブセットの各輸液チューブを接続した状態を示す平面図である。
【0025】
なお、説明の都合上、図1〜図3において、図中の下側を「先端」、上側を「基端」として説明する。
【0026】
これらの図に示す輸液チューブセット(輸液セット)1は、生体(患者)に輸液を注入(投与)する装置(セット)である。
【0027】
輸液には、例えば、薬液、補正用電解質液、生理食塩水等、生体に投与し得るあらゆる液が含まれる。
【0028】
また、薬液中の薬剤の種類は、特に限定されず、例えば、鎮静薬、静脈麻酔薬、麻酔系鎮痛薬、局所麻酔薬、非脱分極性筋弛緩薬、昇圧薬、降圧薬、冠血管拡張薬、利尿薬、抗不整脈薬、気管支拡張薬、止血剤、ビタミン剤、抗生剤、脂肪乳剤等いかなるものでもよい。
【0029】
図1に示すように、輸液チューブセット1は、患者に対し、輸液を投与する輸液投与部2と、複数の輸液チューブ(本実施形態では、2つの輸液チューブ3a、3b)とを有している。以下、これらの各構成要素について順次説明する。
【0030】
輸液投与部2は、患者の血管110に留置される留置針またはカテーテル(本実施形態では、留置針21)と、この留置針またはカテーテル(本実施形態では、留置針21)の基端部に接続された輸液投与部側コネクタ22とを有している。
【0031】
留置針21(またはカテーテル)の構成材料としては、可撓性を有する高分子材料が好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0032】
なお、留置針21(またはカテーテル)と輸液投与部側コネクタ22との間に、図示しないチューブを設け、このチューブを介して、留置針21(またはカテーテル)と輸液投与部側コネクタ22とを接続してもよい。この場合、輸液投与部側コネクタ22は、前記チューブの端部に設けられていてもよく、また、前記チューブの途中に設けられていてもよい。
【0033】
輸液投与部側コネクタ22としては、後述する輸液チューブ3a、3bのコネクタ32の雄コネクタ323または雌コネクタ322と接続し得る雌コネクタまたは雄コネクタを有しているものであれば、特に限定されないが、本実施形態では、三方活栓が用いられている。
【0034】
輸液投与部側コネクタ22は、2つの雌コネクタ221、222と、雄コネクタ223と、操作レバー(操作部)224とを有しており、この操作レバー224により、雌コネクタ221の内腔と、雌コネクタ222の内腔と、雄コネクタ223の内腔との連通パターンを選択し得るよう構成されている(流路を切り換える流路切換機能を有している)。
【0035】
すなわち、輸液投与部側コネクタ22は、雌コネクタ221の位置と、雌コネクタ222の位置と、雄コネクタ223の位置と、いずれのコネクタも無い位置(図1中左側の位置)との4箇所に、操作レバー224が移動し得るようになっており、操作レバー224を雌コネクタ221の位置に移動させると、雌コネクタ222の内腔と雄コネクタ223の内腔とが連通し、操作レバー224を雌コネクタ222の位置に移動させると、雌コネクタ221の内腔と雄コネクタ223の内腔とが連通し、操作レバー224を雄コネクタ223の位置に移動させると、雌コネクタ221の内腔と雌コネクタ222の内腔とが連通し、操作レバー224をいずれのコネクタも無い位置に移動させると、雌コネクタ221の内腔と雌コネクタ222の内腔と雄コネクタ223の内腔とがすべて連通するよう構成されている。
【0036】
また、雄コネクタ223の軸と、雌コネクタ222の軸とは、略一致し、雌コネクタ221の軸は、これらの軸と略直交している。すなわち、雄コネクタ223と、雌コネクタ222とは、互いに反対方向を向いており、雌コネクタ221は、これら雄コネクタ223および雌コネクタ222に対し、略垂直な方向を向いている。
【0037】
また、雌コネクタ221および222は、それぞれ、後述する輸液チューブ3a、3bのコネクタ32の雄コネクタ323と液密に接続可能な形状をなしている。
【0038】
なお、本実施形態では、この輸液投与部側コネクタ22に対し、後述する輸液チューブ3a、3bのコネクタ32の雄コネクタ323を接続するようになっているが、例えば、輸液投与部側コネクタ22に対し、輸液チューブ3a、3bのコネクタ32の雌コネクタ322を接続するように構成してもよく、また、輸液投与部側コネクタ22に対し、輸液チューブ3a、3bのコネクタ32の雄コネクタ323と雌コネクタ322とのいずれも接続し得るように構成してもよい。
【0039】
輸液投与部側コネクタ22に対し、輸液チューブ3a、3bのコネクタ32の雌コネクタ322を接続する形態の場合には、例えば、輸液投与部側コネクタ22の雌コネクタ221および222を雄コネクタに変更し、その形状を輸液チューブ3a、3bのコネクタ32の雌コネクタ322と液密に接続可能な形状とする。
【0040】
また、輸液投与部側コネクタ22に対し、輸液チューブ3a、3bのコネクタ32の雄コネクタ323と雌コネクタ322とのいずれも接続し得る形態の場合には、例えば、輸液投与部側コネクタ22の雌コネクタ221および222のうちのいずれか一方を雄コネクタに変更し、その形状を輸液チューブ3a、3bのコネクタ32の雌コネクタ322と液密に接続可能な形状とする。
【0041】
留置針21は、その基端部に、出口ポート211を有しており、この出口ポート211に、前記輸液投与部側コネクタ22の雄コネクタ223が液密に接続されている。
【0042】
次に、輸液チューブ3aおよび3bを説明するが、これら輸液チューブ3aと輸液チューブ3bとの構成は同様であるので、代表的に、一方の輸液チューブ3aを説明する。
【0043】
輸液チューブ3aは、可撓性(柔軟性)を有し、輸液の流路を構成するチューブ31と、チューブ31の一方の端部(先端部)に設けられたコネクタ(分岐管)32と、チューブ31の他方(本実施形態では、他方の端部(基端部))に設けられ、輸液が収納された輸液バッグ(輸液容器)(収納部)4側に接続される接続部として、鋭利な針先を有する瓶針35とを備えている。
【0044】
また、チューブ31の途中には、輸液の流量を調節する流量調節手段として、ローラークレンメ(ローラー型のクレンメ)33と、点滴筒34とが、それぞれ、設けられている。
【0045】
輸液バッグ4内には、所定の輸液が収納されており、瓶針35がこの輸液バッグ4の栓(ゴム栓)を穿通(穿刺)すると、瓶針35を介し、輸液バッグ4と輸液チューブ3aとが接続され、輸液バッグ4から輸液チューブ3a側へ輸液が供給され得る状態となる。
【0046】
点滴筒34は、瓶針35の近傍に設置されている。この点滴筒34により、輸液の流量を目視で確認することができる。
【0047】
ローラークレンメ33は、コネクタ32と点滴筒34との間に設置されている。
このローラークレンメ33は、クレンメ本体331と、クレンメ本体331に対して移動可能に設置されたローラー(操作部)332とで構成されており、ローラー332の外周面と、クレンメ本体331の所定角度で傾斜した底面(傾斜面)との間にチューブ31を挟み、クレンメ本体331に対し、ローラー332を移動させることによって、前記チューブ31を挟む度合いが変化し、これにより輸液の流量を調節するようになっている。
【0048】
すなわち、ローラー332を所定方向に移動させると、前記チューブ31を挟む度合いが大きくなり、輸液の流量が少なくなる。そして、最後まで移動させると、チューブ31の内腔が閉塞し、輸液は流れなくなる。
【0049】
一方、ローラー332を前記と逆方向に移動させると、前記チューブ31を挟む度合いが小さくなり、輸液の流量が多くなる。そして、最後まで移動させると、チューブ31の内腔が全開となり、輸液の流量は最大となる。
【0050】
コネクタ32としては、雄コネクタおよび雌コネクタを有しているものであれば、特に限定されないが、本実施形態では、三方活栓が用いられている。
【0051】
コネクタ32は、2つの雌コネクタ321、322と、雄コネクタ323と、操作レバー(操作部)324とを有しており、この操作レバー324により、雌コネクタ321の内腔と、雌コネクタ322の内腔と、雄コネクタ323の内腔との連通パターンを選択し得るよう構成されている(流路を切り換える流路切換機能を有している)。
【0052】
すなわち、コネクタ32は、雌コネクタ321の位置と、雌コネクタ322の位置と、雄コネクタ323の位置と、いずれのコネクタも無い位置(図1中下側の位置)との4箇所に、操作レバー324が移動し得るようになっており、操作レバー324を雌コネクタ321の位置に移動させると、雌コネクタ322の内腔と雄コネクタ323の内腔とが連通し、操作レバー324を雌コネクタ322の位置に移動させると、雌コネクタ321の内腔と雄コネクタ323の内腔とが連通し、操作レバー324を雄コネクタ323の位置に移動させると、雌コネクタ321の内腔と雌コネクタ322の内腔とが連通し、操作レバー324をいずれのコネクタも無い位置に移動させると、雌コネクタ321の内腔と雌コネクタ322の内腔と雄コネクタ323の内腔とがすべて連通するよう構成されている。
【0053】
また、雄コネクタ323の軸と、雌コネクタ322の軸とは、略一致し、雌コネクタ321の軸は、これらの軸と略直交している。すなわち、雄コネクタ323と、雌コネクタ322とは、互いに反対方向を向いており、雌コネクタ321は、これら雄コネクタ323および雌コネクタ322に対し、略垂直な方向を向いている。
【0054】
チューブ31の先端部には、図示しない雄コネクタが設けられており、この雄コネクタは、前記コネクタ32の雌コネクタ321に液密に接続されている。なお、チューブ31の先端部が、直接、雌コネクタ321に接合されていてもよい。
【0055】
ここで、コネクタ32の雄コネクタ323は、雌コネクタ322と同形状の他の雌コネクタと液密に接続可能な形状をなしている。
【0056】
これにより、輸液チューブ3aのコネクタ32の雄コネクタ323を、他の輸液チューブのコネクタの雌コネクタ(例えば、輸液チューブ3bのコネクタ32の雌コネクタ322)に液密に接続させることができる。
【0057】
また、コネクタ32の雌コネクタ322は、雄コネクタ323と同形状の他の雄コネクタと液密に接続可能な形状をなしている。
【0058】
これにより、他の輸液チューブのコネクタの雄コネクタ(例えば、輸液チューブ3bのコネクタ32の雄コネクタ323)を、輸液チューブ3aのコネクタ32の雌コネクタ322に液密に接続させることができる。
【0059】
このようにして、どの輸液チューブのコネクタ32も他の輸液チューブのコネクタ32に接続することができる(コネクタ32同士をいくつでも接続させることができる)。すなわち、例えば、輸液チューブ3aのコネクタ32に輸液チューブ3bコネクタ32を接続し、輸液チューブ3bのコネクタ32に他の輸液チューブのコネクタ32を接続し、以下、同様に、次々に、他の輸液チューブのコネクタ32を接続することができる。
【0060】
なお、コネクタ32は、本実施形態では、三方活栓であるが、本発明では、雄コネクタおよび雌コネクタを有するコネクタであれば、これに限定されず、例えば、雄コネクタおよび雌コネクタを有するニードルレスのコネクタ等、流路を切り換える機能を有していないものであってもよい。
【0061】
チューブ31の構成材料としては、例えば、軟質ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブタジエン等、あるいはこれらを主とする材料が挙げられる。
【0062】
次に、輸液チューブセット1の作用(使用方法)を説明する。
ここでは、輸液チューブ3aを、患者に輸液を投与するための第1輸液ライン(第1輸液ルート)、すなわち、主に、基本液等が流される輸液チューブとし、輸液チューブ3bを、患者に輸液を投与するための第2輸液ライン(第2輸液ルート)、すなわち、主に、副ルートとして用い、例えば、脂肪乳剤、治療薬、抗生剤等が流される輸液チューブとする場合を例に挙げて説明する。
【0063】
輸液チューブ3aを接続するにあたり、まず、輸液バッグ4に、例えば維持輸液剤を調剤する。
【0064】
次に、図1に示すように、この輸液の収納された輸液バッグ4の栓(ゴム栓)に輸液チューブ3aの瓶針35を穿通(穿刺)する。これにより、瓶針35を介し、輸液バッグ4と輸液チューブ3aとが接続され、輸液バッグ4から輸液チューブ3a側へ輸液が供給され得る状態となる。
次に、輸液チューブ3aの流路をプライミングする。
【0065】
次に、図2に示すように、患者の血管(例えば、末梢静脈等)110に留置された留置針21の出口ポート211に接続された輸液投与部側コネクタ22の雌コネクタ221に、輸液チューブ3aのコネクタ32の雄コネクタ323を挿入し、嵌合させる。これにより、輸液投与部側コネクタ22の雌コネクタ221と輸液チューブ3aのコネクタ32の雄コネクタ323とが液密に接続される。
【0066】
次に、輸液投与部側コネクタ22の操作レバー224を雌コネクタ222の位置に移動させ、また、輸液チューブ3aのコネクタ32の操作レバー324を雌コネクタ322の位置に移動させる。これにより、輸液投与部側コネクタ22の雌コネクタ221の内腔と雄コネクタ223の内腔とが連通し、また、輸液チューブ3aのコネクタ32の雌コネクタ321の内腔と雄コネクタ323の内腔とが連通する。
【0067】
次に、輸液チューブ3aのローラークレンメ33を操作し、輸液チューブ3aの輸液の流量(投与速度)を維持輸液剤の指示流量(指示投与速度)に調節し、その輸液を投与する。
【0068】
なお、輸液チューブ3aのコネクタ32の雄コネクタ323を、輸液投与部側コネクタ22の雌コネクタ222に接続してもよい。
【0069】
また、輸液投与部側コネクタ22を省略し、輸液チューブ3aのコネクタ32の雄コネクタ323を、留置針21の出口ポート211に接続してもよい。
【0070】
次に、患者の容態によって、一定時間の間隔をおいて、例えば抗生剤を投与するために用いる輸液チューブ3bを接続するにあたり、まず、輸液バッグ4に抗生剤を溶解した生理食塩水を調剤する。
【0071】
次に、図2に示すように、この輸液の収納された輸液バッグ4の栓(ゴム栓)に輸液チューブ3bの瓶針35を穿通(穿刺)する。これにより、瓶針35を介し、輸液バッグ4と輸液チューブ3bとが接続され、輸液バッグ4から輸液チューブ3b側へ輸液が供給され得る状態となる。
次に、輸液チューブ3bの流路をプライミングする。
【0072】
次に、図3に示すように、輸液チューブ3aのコネクタ32の雌コネクタ322に、輸液チューブ3bのコネクタ32の雄コネクタ323を挿入し、嵌合させる。これにより、輸液チューブ3aのコネクタ32の雌コネクタ322と輸液チューブ3bのコネクタ32の雄コネクタ323とが液密に接続される。
【0073】
次に、輸液チューブ3bのコネクタ32の操作レバー324を雌コネクタ322の位置に移動させる。これにより、輸液チューブ3bのコネクタ32の雌コネクタ321の内腔と雄コネクタ323の内腔とが連通する。
【0074】
次に、輸液チューブ3aのコネクタ32の操作レバー324をいずれのコネクタも無い位置に移動させる。これにより、輸液チューブ3aのコネクタ32の雌コネクタ321の内腔と雌コネクタ322の内腔と雄コネクタ323の内腔とがすべて連通する。
【0075】
次に、輸液チューブ3bのローラークレンメ33を操作し、輸液チューブ3bの輸液の流量(投与速度)を抗生剤の指示流量(指示投与速度)に調節し、その輸液を投与する。
【0076】
このようにして、輸液チューブ3aから維持輸液剤を、輸液チューブ3bから抗生剤を溶解した生理食塩水を、それぞれ、患者に投与することができる(混注することができる)。
【0077】
また、輸液ライン(輸液ルート)を増設する場合には、前記と同様にして、輸液チューブ3bのコネクタ32の雌コネクタ322に、図示しない他の輸液チューブのコネクタ32の雄コネクタ323を挿入し、嵌合させる。これにより、輸液チューブ3aのコネクタ32の雌コネクタ322と他の輸液チューブのコネクタ32の雄コネクタ323とが液密に接続される。
【0078】
以下、同様にして、輸液ラインをいくつでも増設することができる。
なお、前記輸液チューブセット1の使用方法は、一例であり、これに限定されるものではない。
【0079】
例えば、輸液を輸液チューブ3aから患者に投与している場合において、輸液チューブ3bにより、その補充を行ってもよい。
【0080】
以上説明したように、この輸液チューブセット1によれば、常に、輸液チューブの接続用のポート(雌コネクタ322)が存在するので、容易、迅速かつ確実に、輸液ライン(輸液ルート)を増設することができる。
【0081】
すなわち、常に、輸液チューブの接続用のポート(雌コネクタ322)が存在するので、例えば、患者の容態の急変時等に輸液チューブの接続ポートが足りなくなることがない。
【0082】
また、輸液ラインを増設する際は、一方のコネクタ32の雄コネクタ323を他方のコネクタ32の雌コネクタ322へ挿入し、嵌合させるだけでよいので、既に接続されている輸液チューブから輸液を投与(例えば、薬剤を微量投与)しつつ、輸液ラインを増設することができる。これにより、例えば、血中の薬剤濃度が変化して、症状に変化が出るリスクを回避することができる。
【0083】
また、輸液ラインを増設する際は、輸液ラインを開放して再度組み立てて接続し直す必要がない。これにより、輸液ラインの繋ぎ違えや細菌によるルート汚染の機会が増大する等のリスクを回避することができる。
【0084】
なお、本発明では、輸液チューブセットにおける輸液チューブの数は、1つでもよく、また、3つ以上でもよい。
【0085】
また、本発明では、輸液チューブセットが複数の輸液チューブを有する場合、その輸液チューブは、すべて同一でもよく、また、すべて異なっていてもよく、また、一部のみ同一でもよい。
【0086】
また、本発明では、例えば、図4に示すように、前記輸液チューブセット1の輸液チューブ3aを、輸液チューブ3cに変更してもよい。
【0087】
この輸液チューブセット1では、輸液チューブ3cのチューブ31の一方の端部(先端部)に、図示しない雄コネクタが設けられており、この雄コネクタは、輸液投与部側コネクタ22の雌コネクタ222に液密に接続されている。なお、チューブ31の先端部が、直接、雌コネクタ222に接合されていてもよい。
【0088】
次に、輸液チューブの他の実施形態について説明する。
図5および図6は、それぞれ、輸液チューブの他の実施形態を示す平面図である。
【0089】
以下、前述した輸液チューブ3a、3bとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0090】
図5に示す輸液チューブ3dは、チューブ31の途中に、瓶針(接続部)35からコネクタ32への流れを可能にし、かつ、その逆方向の流れを阻止する逆流阻止手段として、逆止弁36を有している。
【0091】
この逆止弁36は、コネクタ32とローラークレンメ33との間に設置されている。また、この逆止弁36は、コネクタ32の近傍に設置されているのが好ましい。
【0092】
逆止弁36は、その内部に、図示しない一対の板状の開閉部材が形成された弁本体を有し、各開閉部材は、弾性力(復元力)により互いに密着し、これにより、逆止弁36内の流路は、閉塞している。輸液流が先端側から基端側に向いている場合には、その輸液により圧力が各開閉部材の外面にかかり、開閉部材同士を密着させるように作用する。このため、輸液は、先端側から基端側には流れない。
【0093】
一方、輸液流が基端側から先端側に向いている場合には、その輸液により所定の圧力が各開閉部材の基端側(テーパ面)にかかり、その圧力により各開閉部材が離間する方向に変位し、逆止弁36内の流路が開通する。これにより、輸液は、基端側から先端側に流れる。
【0094】
この輸液チューブ3dによれば、コネクタ32が流路切換機能を有していない場合でも、輸液チューブ3dのコネクタ32に接続された図示しない他の輸液チューブ(例えば、後述する輸液チューブ3e)からある程度の圧力を加えて輸液を投与しても、逆止弁36により、その輸液が輸液チューブ3dの上流側(基端側)へ流れ込むのを防止することができ、確実に、輸液を患者へ投与することができる。
【0095】
また、この輸液チューブ3dによれば、前述した輸液チューブ3a、3bと同様の効果が得られる。
【0096】
図6に示す輸液チューブ3eは、チューブ31の基端部に、輸液が収納されたシリンジ(収納部)5側に接続される接続部として、シリンジ5の先端部(口部)に接続される雌コネクタ37を有している。
【0097】
また、チューブ31の途中には、輸液の流量を調節する流量調節手段として、例えば、微量調節用のオリフィス等を設けてもよい。
【0098】
この輸液チューブ3eによれば、前述した輸液チューブ3a、3bと同様の効果が得られる。
【0099】
また、輸液チューブ3eは、チューブ31の途中に、コネクタ(接続部)37からコネクタ32への流れを可能にし、かつ、その逆方向の流れを阻止する逆流阻止手段として、逆止弁36を有していてもよい。
この逆止弁36は、コネクタ32の近傍に設置されているのが好ましい。
【0100】
なお、逆止弁36の構造や作用は、前述した図5に示す輸液チューブ3dの逆止弁36と同様であるので、その説明は、省略する。
【0101】
この逆止弁36を有することにより、コネクタ32が流路切換機能を有していない場合でも、輸液チューブ3eのコネクタ32に接続された図示しない他の輸液チューブからある程度の圧力を加えて輸液を投与しても、逆止弁36により、その輸液が輸液チューブ3eの上流側(基端側)へ流れ込むのを防止することができ、確実に、輸液を患者へ投与することができる。
【0102】
以上述べた各輸液チューブ3a、3b、3dおよび3eは、それぞれ、前述した輸液チューブセット1において、単独で、または任意の2以上を組み合わせて用いることができる。
【0103】
次に、本発明の輸液チューブセットの第2実施形態について説明する。
図7は、本発明の輸液チューブセットの第2実施形態を示す平面図、図8は、図7に示す輸液チューブセットの一方の輸液チューブを接続した状態を示す平面図、図9は、図7に示す輸液チューブセットの各輸液チューブを接続した状態を示す平面図である。
【0104】
以下、第2実施形態の輸液チューブセット1について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0105】
これらの図に示す第2実施形態の輸液チューブセット1は、輸液投与部2が異なっていること以外は、前述した第1実施形態と同様である。
【0106】
すなわち、第2実施形態の輸液チューブセット1は、図1に示すように、輸液投与部2と、前述した第1実施形態と同様の輸液チューブ3b、3cおよび3eとを有している。
【0107】
輸液投与部2は、患者の血管110に留置される留置針またはカテーテル(本実施形態では、カテーテル23)と、この留置針またはカテーテル(本実施形態では、カテーテル23)の基端部に接続されたコネクタ(本実施形態では、三方活栓)24と、可撓性(柔軟性)を有し、輸液の流路を構成するチューブ25と、チューブ25の先端部に設けられた雄コネクタ26と、チューブ25の基端部に設けられたコネクタ(本実施形態では、三方活栓)27と、輸液投与部側コネクタ(本実施形態では、三方活栓)28と、除菌用のフィルター29とを備えている。
【0108】
なお、留置針またはカテーテルとコネクタ24とは、チューブを介して接続してもよい。
【0109】
コネクタ24は、2つの雌コネクタ241、242と、雄コネクタ243と、操作レバー(操作部)244とを有しており、この操作レバー244により、雌コネクタ241の内腔と、雌コネクタ242の内腔と、雄コネクタ243の内腔との連通パターンを選択し得るよう構成されている(流路を切り換える流路切換機能を有している)。
【0110】
カテーテル23は、その基端部に、出口ポート231を有しており、この出口ポート231に、前記コネクタ24の雄コネクタ243が液密に接続されている。
【0111】
また、チューブ25の先端部に設けられた雄コネクタ26は、前記コネクタ24の雌コネクタ241に液密に接続されている。
【0112】
輸液投与部側コネクタ28は、3つの雌コネクタ281、282、283と、操作レバー(操作部)284とを有しており、この操作レバー284により、雌コネクタ281の内腔と、雌コネクタ282の内腔と、雌コネクタ283の内腔との連通パターンを選択し得るよう構成されている(流路を切り換える流路切換機能を有している)。
【0113】
同様に、コネクタ27は、3つの雌コネクタ271、272、273と、操作レバー(操作部)274とを有しており、この操作レバー274により、雌コネクタ271の内腔と、雌コネクタ272の内腔と、雌コネクタ273の内腔との連通パターンを選択し得るよう構成されている(流路を切り換える流路切換機能を有している)。
【0114】
なお、前記コネクタ24、27および輸液投与部側コネクタ28の詳細は、前述した第1実施形態の輸液投与部側コネクタ22と略同様であるので、その説明は、省略する。
【0115】
図1に示すように、輸液チューブ3cのチューブ31の先端部には、雄コネクタ38が設けられており、この雄コネクタ38は、前記輸液投与部側コネクタ28の雌コネクタ282に液密に接続されている。
【0116】
また、除菌用のフィルター29は、輸液投与部側コネクタ28より下流側に設けられており、コネクタ27は、フィルター29の下流側に設けられている。
【0117】
すなわち、フィルター29の一端側(下流側)は、コネクタ27の雌コネクタ272に液密に接続され、他端側(上流側)は、輸液投与部側コネクタ28の雌コネクタ283に液密に接続されている。
【0118】
前記コネクタ27の雌コネクタ271は、例えば、前記輸液チューブ3b、3e等が接続される混注口を構成する。
【0119】
輸液チューブ3b、3eのコネクタ32の雄コネクタ323は、それぞれ、患者に輸液を投与する際、その輸液が、フィルター29を通過させてよい輸液やフィルター29を通過させなければならない輸液の場合には、輸液投与部側コネクタ28の雌コネクタ282、または、この輸液投与部側コネクタ28に接続されたコネクタ32の雌コネクタ322に接続され、フィルター29を通過させてはならない輸液の場合には、コネクタ27の雌コネクタ272、または、このコネクタ27に接続されたコネクタ32の雌コネクタ322に接続される。
【0120】
なお、本実施形態では、このコネクタ27に対し、例えば、前記輸液チューブ3b、3e等のコネクタ32の雄コネクタ323を接続するようになっているが、例えば、コネクタ27に対し、輸液チューブ3b、3eのコネクタ32の雌コネクタ322を接続するように構成してもよく、また、コネクタ27に対し、輸液チューブ3b、3eのコネクタ32の雄コネクタ323と雌コネクタ322とのいずれも接続し得るように構成してもよい。
【0121】
コネクタ27に対し、輸液チューブ3b、3eのコネクタ32の雌コネクタ322を接続する形態の場合には、例えば、コネクタ27の雌コネクタ271を雄コネクタに変更し、その形状を輸液チューブ3b、3eのコネクタ32の雌コネクタ322と液密に接続可能な形状とする。
【0122】
次に、輸液チューブセット1の作用(使用方法)を説明する。
ここでは、輸液チューブ3cを、患者に輸液を投与するための第1輸液ライン(第1輸液ルート)、すなわち、主に、高カロリー輸液や基本液等が流される輸液チューブとし、輸液チューブ3bを、患者に輸液を投与するための第2輸液ライン(第2輸液ルート)、すなわち、主に、副ルートとして用い、例えば、脂肪乳剤、治療薬、抗生剤等が流される輸液チューブとし、輸液チューブ3eを、患者に輸液を投与するための第3輸液ライン(第3輸液ルート)、すなわち、主に、副ルートとして用い、例えば、微量の治療薬等が流される輸液チューブとする場合を例に挙げて説明する。
【0123】
輸液チューブ3cを接続するにあたり、まず、輸液バッグ4に、例えば高カロリー輸液を調剤する。
【0124】
次に、図7に示すように、この輸液の収納された輸液バッグ4の栓(ゴム栓)に輸液チューブ3cの瓶針35を穿通(穿刺)する。これにより、瓶針35を介し、輸液バッグ4と輸液チューブ3cとが接続され、輸液バッグ4から輸液チューブ3c側へ輸液が供給され得る状態となる。
【0125】
次に、輸液投与部側コネクタ28の操作レバー284を雌コネクタ281の位置に移動させ、また、輸液チューブ3bのコネクタ32の操作レバー324を雌コネクタ322の位置に移動させ、また、コネクタ27の操作レバー274を雌コネクタ271の位置に移動させ、また、コネクタ24の操作レバー244を雌コネクタ241の位置に移動させる。これにより、輸液投与部側コネクタ28の雌コネクタ282の内腔と雌コネクタ283の内腔とが連通し、また、輸液チューブ3bのコネクタ32の雌コネクタ321の内腔と雄コネクタ323の内腔とが連通し、また、コネクタ27の雌コネクタ272の内腔と雌コネクタ273の内腔とが連通し、また、コネクタ24の雌コネクタ242の内腔と雄コネクタ243の内腔とが連通する。
【0126】
次に、輸液チューブ3cの流路をプライミングする。
次に、患者の血管(例えば、中心静脈等)110に留置されたカテーテル23側の輸液投与部側コネクタ28の雌コネクタ282に、輸液チューブ3cの雄コネクタ38を挿入し、嵌合させる。これにより、輸液投与部側コネクタ28の雌コネクタ282と輸液チューブ3cの雄コネクタ38とが液密に接続される。
これにより、フィルター29を介して患者に高カロリー輸液を投与することができる。
【0127】
次に、輸液チューブ3cのローラークレンメ33を操作し、輸液チューブ3cの輸液の流量(投与速度)を高カロリー輸液の指示流量(指示投与速度)に調節し、その輸液を投与する。
【0128】
次に、例えば抗生剤を投与するために用いる輸液チューブ3bを接続するにあたり、まず、輸液バッグ4に抗生剤を溶解した生理食塩水を調剤する。
【0129】
次に、図7に示すように、この輸液の収納された輸液バッグ4の栓(ゴム栓)に輸液チューブ3bの瓶針35を穿通(穿刺)する。これにより、瓶針35を介し、輸液バッグ4と輸液チューブ3bとが接続され、輸液バッグ4から輸液チューブ3b側へ輸液が供給され得る状態となる。
次に、輸液チューブ3bの流路をプライミングする。
【0130】
次に、図8に示すように、輸液投与部側コネクタ28の雌コネクタ281に、輸液チューブ3bのコネクタ32の雄コネクタ323を挿入し、嵌合させる。これにより、輸液投与部側コネクタ28の雌コネクタ281と輸液チューブ3bのコネクタ32の雄コネクタ323とが液密に接続される。
これにより、フィルター29を介して患者に抗生剤を投与することができる。
【0131】
次に、輸液投与部側コネクタ28の操作レバー284をいずれのコネクタも無い位置に移動させる。これにより、輸液投与部側コネクタ28の雌コネクタ281の内腔と雌コネクタ282の内腔と雌コネクタ283の内腔とがすべて連通する。
【0132】
次に、輸液チューブ3bのローラークレンメ33を操作し、輸液チューブ3bの輸液の流量(投与速度)を抗生剤の指示流量(指示投与速度)に調節し、その輸液を投与する。
【0133】
次に、患者の容態によって、一定時間の間隔をおいて、例えばニトログリセリンを投与するために用いる輸液チューブ3eを接続するにあたり、まず、図9に示すように、シリンジ5内にニトログリセリンを吸引し、収納する。
【0134】
次に、シリンジ5の先端部(口部)に雌コネクタ37を挿入し、嵌合する。これにより、シリンジ5の先端部と雌コネクタ37とが液密に接続され、シリンジ5から輸液チューブ3e側へ輸液が供給され得る状態となる。
次に、図示しないシリンジポンプにシリンジ5をセットする。
【0135】
次に、輸液チューブ3eのコネクタ32の操作レバー324を雌コネクタ322の位置に移動させる。これにより、輸液チューブ3eのコネクタ32の雌コネクタ321の内腔と雄コネクタ323の内腔とが連通する。
次に、輸液チューブ3eの流路をプライミングする。
【0136】
次に、図9に示すように、輸液チューブ3bのコネクタ32の雌コネクタ322に、輸液チューブ3eのコネクタ32の雄コネクタ323を挿入し、嵌合させる。これにより、輸液チューブ3bのコネクタ32の雌コネクタ322と輸液チューブ3eのコネクタ32の雄コネクタ323とが液密に接続される。
【0137】
これにより、フィルター29を介して患者にニトログリセリンを投与することができる。
【0138】
次に、輸液チューブ3bのコネクタ32の操作レバー324をいずれのコネクタも無い位置に移動させる。これにより、輸液チューブ3bのコネクタ32の雌コネクタ321の内腔と雌コネクタ322の内腔と雄コネクタ323の内腔とがすべて連通する。
【0139】
次に、シリンジポンプ側の操作部を操作し、輸液チューブ3cの輸液の流量(投与速度)をニトログリセリンの指示流量(指示投与速度)に調節し、その輸液を投与する。
【0140】
このようにして、輸液チューブ3cから高カロリー輸液を、輸液チューブ3bから抗生剤を溶解した生理食塩水を、輸液チューブ3eからニトログリセリンを、それぞれ、患者に投与することができる(混注することができる)。
この輸液チューブセット1によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0141】
以上、本発明の輸液チューブセットを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。
【0142】
なお、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0143】
また、本発明の輸液チューブセットは、輸液投与部のうちの一部、例えば、留置針やカテーテル等を有していないものであってもよい。すなわち、輸液投与部は、輸液投与部側コネクタを有していればよい(例えば、輸液投与部側コネクタのみで構成されていてもよい)。
【符号の説明】
【0144】
1 輸液チューブセット
2 輸液投与部
21 留置針
211 出口ポート
22 輸液投与部側コネクタ
221、222 雌コネクタ
223 雄コネクタ
224 操作レバー
23 カテーテル
231 出口ポート
24 コネクタ
241、242 雌コネクタ
243 雄コネクタ
244 操作レバー
25 チューブ
26 雄コネクタ
27 コネクタ
271〜273 雌コネクタ
274 操作レバー
28 輸液投与部側コネクタ
281〜283 雌コネクタ
284 操作レバー
29 除菌用のフィルター
3a〜3e 輸液チューブ
31 チューブ
32 コネクタ
321、322 雌コネクタ
323 雄コネクタ
324 操作レバー
33 ローラークレンメ
331 クレンメ本体
332 ローラー
34 点滴筒
35 瓶針
36 逆止弁
37 雌コネクタ
38 雄コネクタ
4 輸液バッグ
5 シリンジ
110 血管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液の流路を構成するチューブと、前記チューブの一方の端部に設けられ、雄コネクタおよび雌コネクタを有するコネクタと、前記チューブの他方に設けられ、輸液が収納された収納部側に接続される接続部とを備える少なくとも1つの輸液チューブと、
前記輸液チューブの前記コネクタの前記雄コネクタまたは前記雌コネクタと接続し得る輸液投与部側コネクタを有し、患者に対し、輸液を投与する輸液投与部とを備える輸液チューブセットであって、
前記チューブの前記一方の端部は、前記コネクタの前記雄コネクタおよび前記雌コネクタとは異なる部位に接続され、
前記コネクタの前記雄コネクタの軸と前記雌コネクタの軸とが略一致し、
前記コネクタの前記雄コネクタは、該コネクタの前記雌コネクタと同形状の他の雌コネクタと液密に接続可能な形状をなし、前記コネクタの前記雌コネクタは、該コネクタの前記雄コネクタと同形状の他の雄コネクタと液密に接続可能な形状をなしており、
前記輸液投与部の前記輸液投与部側コネクタから最も離れた前記輸液チューブの前記コネクタには、該コネクタの前記雄コネクタと前記雌コネクタとのいずれか一方が接続用ポートとして常に存在していることを特徴とする輸液チューブセット。
【請求項2】
前記コネクタは、流路を切り換える流路切換機能を有する請求項1に記載の輸液チューブセット。
【請求項3】
前記コネクタは、前記チューブの内腔と、前記雄コネクタの内腔と、前記雌コネクタの内腔との連通パターンを選択し得るよう構成されている請求項1に記載の輸液チューブセット。
【請求項4】
前記輸液投与部は、除菌用のフィルターを有する請求項1ないし3のいずれかに記載の輸液チューブセット。
【請求項5】
前記除菌用のフィルターは、前記輸液投与部側コネクタより下流側に設けられている請求項4に記載の輸液チューブセット。
【請求項6】
前記輸液投与部は、前記除菌用のフィルターの下流側に混注口を有する請求項4または5に記載の輸液チューブセット。
【請求項7】
前記輸液投与部側コネクタに、一端側に輸液が収納された収納部に接続される接続部を有するチューブの他端側が接続される請求項1ないし6のいずれかに記載の輸液チューブセット。
【請求項8】
前記輸液投与部側コネクタは、一端側に前記収納部とは別の収納部に接続される接続部を有するチューブの他端側に設けられたコネクタと、前記輸液チューブのコネクタとを同時に接続し得るよう複数に分岐している請求項1ないし6のいずれかに記載の輸液チューブセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−160452(P2009−160452A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104174(P2009−104174)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【分割の表示】特願2002−342442(P2002−342442)の分割
【原出願日】平成14年11月26日(2002.11.26)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】