説明

輸液デバイスおよび輸液方法

【課題】頻繁に投薬される薬剤を注射器で注入できるようにするデバイスおよび方法の改善に関する。
【解決手段】輸液デバイスは、本体12と、内部に1つの入口ポート20を有するアクセス可能な表面と、内部に1つの出口ポートを有する取付表面と、入口ポート20と出口ポートとの間を延びる薬剤の配送路と、本体12のアクセス可能な表面上の、入口ポートに隣接した識別構造36とが含まれる。カニューレ14は、1つの出口ポートのところで本体に結合され、1つの出口ポートから薬剤を受け取り、かつ当該カニューレ内部を通じて当該薬剤を運ぶように適合されている。輸液デバイス10が患者に据え付けられた後で、患者は、注射器34および注入針32を使用して、当該輸液デバイスを介して1つまたは複数の薬剤の注入を受け取ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、輸液デバイスおよび輸液方法に関し、より詳細には、注射器によって注入される治療物質を受け取るように特に適合された皮下輸液デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、インスリン依存性糖尿病患者がインスリンの配送(delivery)に利用可能な配送選択肢には、注射器(syinge)による直接注入、インスリン・ポンプによる持続的配送、およびジェット・スプレーによる注入が含まれる。これらのインスリン配送選択肢それぞれに、利便性、コスト、労力、安全性、信頼性、痛みなどの因子に関する利点、欠点、および限界がある。したがって、糖尿病患者による容認可能な配送選択肢の選択は、選択されるインスリン配送選択肢の利点に加えて、選択されるインスリン配送選択肢の限界および欠点を患者が許容できるか、患者に許容する意思があるかに左右される。
【0003】
糖尿病患者が選ぶことのできるインスリン配送のうち最も信頼性のある方法の1つが、注射器による直接注入(すなわち、注入針が皮膚に刺さる)である。注射器による直接注入は、インスリンの精密計量および手で配送する安心感をもたらす。しかし、注射器による直接注入には、1日の間に何度も注入が必要なことがある。例えば、I型糖尿病は、一般に、食事の直前または直後のインスリンの投与を必要とする。
【0004】
多くの糖尿病患者の場合、患者の針に対する嫌悪感が、注射器で直接注入する気になるのを妨げている。他の糖尿病患者の場合、1日に何度も直接注入することと注射部位のあざ(bruises)とが許容できないほど過度になっている。1つまたは複数の具体的な理由とは関係なく、自身のインスリンを針で直接注入する気になれない、または注射器による直接注入を許容できない、多くの糖尿病患者がいる。これらの糖尿病患者は、しばしば、薬剤の量が不十分であり、自身の身体的健康および精神衛生を危険にさらしている。
【0005】
針に対する恐怖心があり、かつ/またはあざが残りやすいという理由で、注射器で何度も直接注入を受けることを選ばない多くの糖尿病患者は、注射器による直接注入以外の他の選択肢を期待している。単に針に対する恐怖心があるだけで、注入針に付随した痛みおよびあざを許容できる患者には、ジェット・スプレー注入が1つの選択肢である。ジェット・スプレー注入は、超高圧をかけて微細なインスリンの流れを経皮的に配送する。針は使用されないが、ジェット・スプレー注入は、その使用に付随して、注射器による直接注入と同様のレベルの痛みおよびあざの形成をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インスリン・ポンプは、毎日何度も注射器で直接注入する気になれない糖尿病患者にとって最も普及した選択肢になってきている。インスリン・ポンプを用いる場合、糖尿病患者は、ポンプ装置から自身の身体の上に据え付けられた輸液デバイスを介してインスリンの持続的投与を受ける。インスリンは、インスリン・ポンプからチューブを通じて輸液デバイスへと供給される(例えば、ポンプ作用によって送り込まれる)。輸液デバイスには、一般に、糖尿病患者の皮下の筋肉組織中に据え付けられるカニューレが含まれる。輸液デバイスには、インスリンが糖尿病患者の皮下組織層に配送されるようにインスリンを入口ポートからカニューレへと運ぶ管路が含まれる。
【0007】
輸液デバイスの据付けは、一般に、挿入針を使用するものである。最も一般的な輸液デバイスは、デバイス本体を貫通し、カニューレを通って延びる、挿入針を有する。そのような従来型の輸液デバイスを据え付ける間、挿入針は、皮膚に刺さり、カニューレを支持する働きをする。これは、ほとんどのカニューレが柔軟かつ/または可撓性の材料から作製されるからである。したがって、糖尿病患者は、やはり、自身の皮膚に刺さる針に関わらなければならない。ただし、輸液デバイスが長時間(例えば、通常は3日まで、またはそれ以上)にわたって同じ場所にとどまるので、糖尿病患者は、1日に何度も針に関わるのではなく、3日またはそれ以上の日数に1度しか注入タイプの針に関わる必要がない。このように針の挿入の時間間隔が長いことが、注入針で刺されることに嫌悪感をもつ多くの糖尿病患者にとってポンプを許容可能なものにしている。
【0008】
インスリン・ポンプの利点には、いくつか重大な欠点が伴われる。欠点の1つは、注射器による直接注入に付随したインスリンの精密計量および手で配送する安心感の大部分が、インスリン・ポンプに委ねられたことである。ポンプの誤動作、ポンプ・リザーバ内のインスリンの劣化(例えば熱による)、ポンプのリザーバ/供給チューブ内の気泡(例えば揺動による)、電気機械的デバイスに固有の限界などの状況が、しばしば、ポンプに不正確な用量のインスリンを配送させることになる。ポンプが持続的な配送デバイスであるので、糖尿病患者は、非常に長い時間が経過するまで自身が不正確な用量のインスリンを受け取っていることに気付かず、結果として危険な血糖値になることがある。他の欠点は、ほぼ典型的なポケットベル・サイズのインスリン・ポンプを、基本的に1日に24時間装着しなければならないことである。ポンプを装着するための目立たない便利な場所を見つけることは、困難な場合がある。他の欠点は、インスリン・ポンプのコストであり、すなわち、ポンプが約8000ドルで、それに消耗品のコストが加わる。インスリン・ポンプは、一般に保険制度の対象であるが、ポンプの少なからぬ価格は、保険料に悪影響を及ぼす。さらに、特定の保険契約下では、被保険者に、なお、ポンプの少なくとも一部分の代金を支払う責任がある場合もある。
【0009】
したがって、従来の薬剤配送デバイスおよび薬剤配送方法に付随した限界を克服するような形で、頻繁に投薬される薬剤を注射器で注入できるようにするデバイスおよび方法が、有用かつ有利である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、注射器からの注射液を受け取るように特に適合された輸液デバイスの様々な態様に関する。以下でさらに詳細に論じるように、そのような輸液デバイスは、日常的に何らかのタイプの直接注入を介して薬剤を受け取る必要のある患者(例えば、人間または動物の患者)に有益である。インスリン依存性糖尿病患者は、何らかのタイプの経皮的薬剤配送を介して日常的に薬剤を受け取る必要のある患者の一例である。実際、典型的なインスリン依存性糖尿病患者は、1日に何度もインスリンを経皮注入する必要がある。
【0011】
本明細書に開示の諸実施例による輸液デバイスは、カニューレを患者の皮下組織へと延ばして、またはカニューレを患者の皮下組織に貫通させて延ばして、患者に据え付けることが可能である。輸液デバイスが患者に据え付けられた後で、患者は、注射器および注入針を使用して、当該輸液デバイスを介して1つまたは複数の薬剤の注入を受け取ることができる。患者は、注入針によって皮膚を刺されずにすむ。最初に輸液デバイスの挿入針が皮膚に刺さった後は、すべての注入は、患者の皮膚を通じてではなく、当該輸液デバイスに係合された注入針を介して円滑に進められる。患者は、既に存在する据付け済みの輸液デバイスを新しい輸液デバイスと取り替えるときにだけ、皮膚を針で刺されることになる。本明細書では、患者、薬剤、輸液デバイスの特定の構造に関係した因子に応じて、当該輸液デバイスを、3日ごと、またはそれ以上の日数ごとに交換すればよいことが企図される。
【0012】
本明細書に開示の一実施例による輸液デバイスは、様々な理由(例えば、針に対する嫌悪感、注入部位のあざを許容できないことなど)で本来ならば主要な薬剤配送方式として注射器による直接注入を選ばない患者が、注射器による直接注入を選ぶことができるようにする。このような輸液デバイスを使用すると、患者は、注射器による直接注入によってもたらされる薬剤の精密計量および/または手で配送する安心感を享受することができる。直接注入が、患者が選ぶことのできる最も信頼性のある自己配送方法の1つであることに留意すべきである。この信頼性は、少なくとも一部には、このような薬剤の精密計量および手で配送する安心感によるものである。要するに、患者は、いつ、どこで、どれだけの量の薬剤を受け取るかを直接的に制御している。したがって、本明細書に開示の諸実施例による輸液デバイスは、患者が自身に薬剤を適切に投与できるようにするのに役立ち、それによって患者の健康および精神衛生を維持する。
【0013】
本明細書に開示の一実施例による輸液デバイスの他の利点は、輸液デバイスへの接近を妨げることなく、当該輸液デバイスを容易に隠すことができることである。この輸液デバイスのサイズおよび形状が、当該デバイスを患者の身体の様々な部分で目立たず衣類の下に装着できるようにしている。患者の生理学的な健康には直接関係しないが、輸液デバイスをほとんどの衣類の下に容易に隠すことができることは、人間の患者の精神衛生の向上に大きな役割を果たす。
【0014】
本明細書に開示の一実施例による輸液デバイスの他の利点は、当該デバイスのコストである。そのコストは、注射器による直接注入に付随した不安および/または不快感の軽減を目的とした他の配送デバイスの、ほんの一部である。この比較的低いコストは、患者、医者、および保険会社に有益である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本明細書に開示の第1の実施例による単一カニューレ型輸液デバイスを描く斜視図である。
【図2】図1の線2−2で得られる断面図である。
【図3】本明細書に開示の第2の実施例による単一カニューレ型輸液デバイスを描く断面図であり、当該輸液デバイスに、輸液デバイスの本体のアクセス可能な表面上に据え付けられた自己密閉部材が含まれており、1つの出口ポートが本体の取付表面からずれた位置にある図である。
【図4】本明細書に開示の第3の実施例による単一カニューレ型輸液デバイスを描く断面図であり、自己密閉部材が輸液デバイスの本体の取付表面に隣接して取り付けられている図である。
【図5】本明細書に開示の第4の実施例による単一カニューレ型輸液デバイスを描く断面図であり、第1の自己密閉部材が当該輸液デバイスの本体のアクセス可能な表面に隣接して取り付けられており、第2自己密閉部材が当該輸液デバイスの本体の取付表面に隣接して取り付けられている図である。
【図6】本明細書に開示の第5の実施例による単一カニューレ型輸液デバイスを描く断面図であり、針止めが当該輸液デバイスの本体の薬剤の配送路内に取り付けられている図である。
【図7】本明細書に開示の第6の実施例によるマルチカニューレ型輸液デバイスを描く断面図であり、複数の自己密閉部材がそれぞれの薬剤の配送路に隣接して据え付けられており、第1カニューレが第2カニューレとは異なる長さである図である。
【図8】本明細書に開示の第7の実施例によるマルチカニューレ型輸液デバイスを描く断面図であり、単一の自己密閉部材が、当該輸液デバイスの本体のアクセス可能な表面に取り付けられ、それによって複数の薬剤の配送路それぞれのための隔壁を形成している図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで図面を参照すると、図1および図2は、本明細書に開示の第1の実施例による輸液デバイス10を描いている。輸液デバイス(infusion device)10には、本体12と、カニューレ14と、自己密閉部材(self-sealing member)16と、接着性ラミネート部材17とが含まれる。本体12には、内部に1つの入口ポート(single inlet port)20を有するアクセス可能な表面(accessible surface)18と、内部に1つの出口ポート(single output port)24を有する取付表面(engagement surface)22と、1つの入口ポート20と1つの出口ポート24との間を延びる薬剤の配送路26とが含まれる。輸液デバイス10は、本明細書の開示による単一カニューレ型輸液デバイスの一実施例を表す。
【0017】
カニューレ14は、1つの出口ポート24のところで本体12に結合される。カニューレ14は、1つの出口ポート24から薬剤を受け取り、かつ当該カニューレの管路28を通じて当該薬剤を運ぶように適合されている。カニューレ14と薬剤の配送路26とは、本質的にまっすぐな共通の長手方向の軸を有する。この本質的にまっすぐな共通の長手方向の軸は、本体12の取付表面22に概ね垂直に延びる。取付表面22は、本質的に平面状のものとして描かれているが、本明細書では、この取付表面を本質的に平面状以外の形状にできることが企図され、開示される。さらに、本明細書に開示の輸液デバイスの他の諸実施例では、薬剤の配送路26とその関連カニューレ14とが本質的にまっすぐな共通の長手方向の軸をもたないことが、本明細書で企図される。
【0018】
自己密閉部材16は、当該自己密閉部材16の露出表面が本体12のアクセス可能な表面18と本質的に連続した状態で、少なくとも部分的に薬剤の配送路26内に据え付けられる。自己密閉部材16は、薬剤の配送路26を横切って延びる隔壁を形成する。この隔壁は、薬剤の配送路26に汚染物質が進入するのを制限し、薬剤が薬剤の配送路26から1つの入口ポート20を通って逆流するのを制限する。
【0019】
接着性ラミネート部材17は、本体12の取付表面22上に据え付けられる。接着性ラミネート部材17には、基層と剥離ライナー層との間に配置された接着剤層が含まれる。基層は、接着剤層のための構造健全性を提供し、本体12に取り付けられる。剥離ライナーは、接着剤層から取外し可能であり、輸液デバイス10を据え付ける間に接着剤層を患者の皮膚表面に付着させることによって、輸液デバイス10を患者の身体に固定する。本明細書に開示の他の諸実施例(図示せず)では、基層を省く、または基層を本体12と一体にできることが企図される。
【0020】
薬剤の配送路26には、本体12のアクセス可能な表面18に隣接したテーパ部分30が含まれる。薬剤の配送路26のテーパ部分30は、薬剤の配送路26に入る漏斗形状の入口を形成する。このテーパ部分30は、注入針32の断面積よりも適切に大きい、注入針32のための挿入領域を提供することによって、患者が注射器34の注入針32を比較的迅速かつ便利に係合させるのに役立つことを目的としている。
【0021】
薬剤の配送路26のテーパ部分30は、1つの入口ポート20の内径寸法(minor diametrical dimension)が薬剤の配送路26の内径寸法よりも少なくとも約2倍大きくなるような形でテーパとなっておりている。薬剤の配送路の本質的にテーパとなっていない部分(例えば、1つの出口ポート24に隣接した部分)の公称直径寸法が、薬剤の配送路26の内径寸法の一例である。ポートおよび管路の断面形状の例には、丸、長方形、三角形、楕円形、および他の公知の形状が含まれる。1つの入口ポート20および薬剤の配送路26の一実施例では、1つの入口ポート20および薬剤の配送路26が、それぞれほぼ円形の断面形状を有しており、1つの入口ポート20が本質的に円形である。そのような一実施例では、開口部(すなわち、円形開口部)が、薬剤の配送路の内径よりも少なくとも約2倍大きい直径を有する。
【0022】
本体12には、さらに、1つの入口ポート20を取り囲む、アクセス可能な表面18上の識別構造36が含まれる。識別構造36は、1つの入口ポート20の識別に役立つことを目的としている。識別構造36は、本体12のアクセス可能な表面18に対して隆起している。
【0023】
本明細書では、本明細書に開示の諸実施例による識別構造を、各本体のアクセス可能な表面に対して少なくとも部分的に隆起させることができ、各本体のアクセス可能な表面に対して少なくとも部分的に陥凹させることができ、または各本体のアクセス可能な表面に対して隆起と陥凹とを組み合わせたものにできることが企図される。また、本明細書では、本明細書に開示の諸実施例による識別構造を、各本体および/または自己密閉材料とは異なる色にできることも企図される。さらに、本明細書では、本明細書に開示の諸実施例による識別構造を、複数の形(例えば、丸、長方形、三角形、楕円形など)のうちのいずれかにできることも企図される。さらに、本明細書では、本明細書に開示の諸実施例による識別構造を、各入口ポートを取り囲むのではなく、各入口ポートに隣接して位置決めされた、シンボル(例えば、点字記号(Braille symbol))または形にできることも企図される。
【0024】
図3は、本明細書に開示の第2の実施例による輸液デバイス100を描いている。輸液デバイス100は、図1および図2に描かれた輸液デバイス10と構造が類似している。輸液デバイス100ならびに輸液デバイス10(図1および図2に描かれている)の構造要素ならびに特徴は、同様に示されている。例えば、輸液デバイス100の本体は、112として示されており、輸液デバイス10の本体は、12として示されている。図3ではこのような類似の要素および特徴を明瞭のために示したが、図3に関して具体的詳細は論じない。
【0025】
輸液デバイス100には、本体112と、本体112のアクセス可能な表面118上に据え付けられた自己密閉部材116と、本体112の取付表面122からずれた位置にある1つの出口ポート124とが含まれる。自己密閉部材116は、薬剤の配送路126を横切って延びる隔壁を形成する。この隔壁は、薬剤の配送路126に汚染物質が進入するのを制限し、薬剤が薬剤の配送路126から1つの入口ポート120を通って逆流するのを制限する。この自己密閉部材116は、本体112のアクセス可能な表面118の一部分だけを覆うものとして描かれているが、本明細書では、自己密閉部材116が基本的に本体112のアクセス可能な表面118全体を覆うことができることが企図され、開示される。
【0026】
自己密閉部材116には、一体型の識別構造136が含まれる。識別構造136は、薬剤の配送路126の1つの入口ポート120を取り囲む。識別構造136は、薬剤の配送路126の識別に役立つことを目的としている。識別構造136は、自己密閉部材116の露出表面に対して隆起している。本明細書では、本明細書に開示の諸実施例による識別構造を、各自己密閉部材の露出表面に対して少なくとも部分的に隆起させる(raised)ことができ、各自己密閉部材の露出表面に対して少なくとも部分的に陥凹させる(recessd)ことができ、または各自己密閉部材の露出表面に対して隆起と陥凹とを組み合わせたものにできることが企図される。
【0027】
図4は、本明細書に開示の第3の実施例による輸液デバイス200を描いている。輸液デバイス200は、図1および図2に描かれた輸液デバイス10と構造が類似している。輸液デバイス200ならびに輸液デバイス10(図1および図2に描かれている)の構造要素ならびに特徴は、同様に示されている。例えば、輸液デバイス200の本体は、212として示されており、輸液デバイス10の本体は、12として示されている。図4ではこのような類似の要素および特徴を示したが、図4に関して具体的詳細は論じない。
【0028】
輸液デバイス200には、本体212および自己密閉部材216が含まれる。自己密閉部材216は、本体212の取付表面222に隣接し、かつ少なくとも部分的に薬剤の配送路226内で、本体212上に据え付けられている。自己密閉部材216は、本体212の1つの出口ポート224に隣接したところで薬剤の配送路226を横切って延びる隔壁を形成する。この隔壁は、カニューレ214の管路228に汚染物質が進入するのを制限し、薬剤がカニューレから1つの出口ポート224を通って逆流するのを制限する。
【0029】
図5は、本明細書に開示の第4の実施例による輸液デバイス300を描いている。輸液デバイス300は、図1および図2に描かれた輸液デバイス10と構造が類似している。輸液デバイス300ならびに輸液デバイス10(図1および図2に描かれている)の構造要素ならびに特徴は、同様に示されている。例えば、輸液デバイス300の本体は、312として示されており、輸液デバイス10の本体は、12として示されている。図5ではこのような類似の要素および特徴を示したが、図5に関して具体的詳細は論じない。
【0030】
輸液デバイス300には、本体312と、本体312のアクセス可能な表面318に隣接して本体312上に据え付けられた第1の自己密閉部材316と、本体312の取付表面322に隣接して本体312上に据え付けられた第2自己密閉部材319とが含まれる。第1の自己密閉部材316は、本体312の1つの入口ポート320に隣接したところで薬剤の配送路326を横切って延びる隔壁(すなわち、第1隔壁)を形成する。第2自己密閉部材319は、本体312の1つの出口ポート324に隣接したところで薬剤の配送路326を横切って延びる隔壁(すなわち、第2隔壁)を形成する。第1隔壁は、薬剤の配送路326に汚染物質が進入するのを制限し、薬剤が薬剤の配送路326から1つの入口ポート320を通って逆流するのを制限する。第2隔壁は、薬剤がカニューレから1つの出口ポート324を通って逆流するのを制限する。第2隔壁の利点は、薬剤の配送前に注入針が第1隔壁および第2隔壁を貫通して適切に挿入されたときに、薬剤の配送路の容積分が投与量から取り出される(すなわち、薬剤が薬剤の配送路内に停滞しない)ことである。
【0031】
図6は、本明細書に開示の第5の実施例による輸液デバイス400を描いている。輸液デバイス400は、図1および図2に描かれた輸液デバイス10と構造が類似している。輸液デバイス400ならびに輸液デバイス10(図1および図2に描かれている)の構造要素ならびに特徴は、同様に示されている。例えば、輸液デバイス400の本体は、412として示されており、輸液デバイス10の本体は、12として示されている。図6ではこのような類似の要素および特徴を示したが、図6に関して具体的詳細は論じない。
【0032】
輸液デバイス400には、内部に1つの入口ポート420を備えたアクセス可能な表面418と、内部に1つの出口ポート424を有する取付表面422と、1つの入口ポート420と1つの出口ポート424との間を延びる薬剤の配送路426とを有する、本体412が含まれる。薬剤の配送路426の1つの出口ポート424に隣接して、針止め438が位置決めされている。この針止めは、本体412に取り付けられた別個のコンポーネントにすることができ、または本体412と一体に形成することができる。針止め426は、薬剤の配送路430に注入針を挿入できる深さを制限する。
【0033】
挿入針の挿入深さを制限する利点の1つは、針がカニューレ414を損傷する(例えば、刺さる)のが妨げられることである。輸液デバイス400とともに針が使用される目的用途に対して長すぎる針が使用されるときでも、針止め438が、針がカニューレ414を貫通するのを防ぎ、または針がカニューレ414に隣接した患者の肉に刺さるのを防ぐ。挿入針の挿入深さを制限する他の利点は、本体412の全体的な高さを縮小できることである。注入針の挿入深さが針止め438によって物理的に制限されるので、薬剤の配送路426の全長(すなわち、1つの入口ポート420と1つの出口ポート424との間の距離)は、もはや注入針の過度の挿入を制限する働きをしない。したがって、注入針を過度に挿入する心配なしに、本体412の全体的な高さを、針止めを備えていない本体に比べて縮小することができる。
【0034】
図7は、本明細書に開示の第6の実施例による輸液デバイス500を描いている。輸液デバイス500には、本体512と、複数のカニューレ514と、複数の自己密閉部材516と、接着性ラミネート部材517とが含まれる。本体512には、内部に複数の1つの入口ポート520を有するアクセス可能な表面518と、内部に複数の1つの出口ポート524を有する取付表面522と、それぞれの1つの入口ポート520とそれぞれの1つの出口ポート524との間を延びる別個の薬剤の配送路526とが含まれる。別個の各薬剤管路526は、1つの入口ポート520のうち1つだけと関連し、1つの入口ポート524のうち1つだけと関連している。
【0035】
別個の薬剤の配送路526は、それぞれ、隣接した別個の薬剤の配送路526から所定の距離だけ離隔されている。薬剤の(1つまたは複数の)タイプや輸液デバイス500を介して配送される注入の頻度などの因子が、この所定の距離を左右する。薬剤の配送路に関する用語「別個の」は、各薬剤の配送路が他の各薬剤の配送路から離れていることを指す。輸液デバイス500は、本明細書の開示によるマルチカニューレ型輸液デバイスの一実施例を表す。
【0036】
各カニューレ514は、それぞれの1つの出口ポート524のところで本体512に結合される。各カニューレ514は、それぞれの1つの出口ポートから薬剤を受け取って、対応するカニューレ514の管路528を通じて薬剤を運ぶように適合されている。複数のカニューレ514のうち第1のカニューレは、第2のカニューレとは異なる長さである。本明細書の開示によるマルチカニューレ型輸液デバイスの他の諸実施例では、カニューレすべてが本質的に同一の長さであることが企図される。
【0037】
各薬剤の配送路526と、前記カニューレ514のうちそれに関連したカニューレとは、共通の本質的にまっすぐな長手方向の軸を有する。この共通の本質的にまっすぐな長手方向の軸は、本体512の取付表面522に概ね垂直に延びる。取付表面522は、本質的に平面状のものとして描かれているが、本明細書では、この取付表面522を本質的に平面状以外の形状にできることが企図され、開示される。さらに、輸液デバイスの他の諸実施例(図示せず)では、各薬剤の配送路とそれに関連したカニューレ514とが本質的にまっすぐな長手方向の軸をもたないことが、本明細書で企図される。
【0038】
各自己密閉部材516は、当該自己密閉部材516それぞれの露出表面が本体512のアクセス可能な表面518と本質的に連続した状態で、それぞれの薬剤の配送路526内に据え付けられる。各自己密閉部材516は、それぞれの薬剤の配送路526を横切って延びる隔壁を形成する。各隔壁は、薬剤の配送路526に汚染物質が進入するのを制限し、薬剤が薬剤の配送路526からそれぞれの1つの入口ポート20を通って逆流するのを制限する。
【0039】
接着性ラミネート部材517は、本体512の取付表面522上に据え付けられる。接着性ラミネート部材517には、基層と剥離ライナー層との間に配置された接着剤層が含まれる。基層は、接着剤層のための構造健全性を提供し、本体512に取り付けられる。剥離ライナーは、接着剤層から取外し可能であり、輸液デバイス500を据え付ける間に接着剤層を患者の皮膚表面に付着させることによって、輸液デバイス500を患者の身体に固定する。
【0040】
各薬剤の配送路526には、本体512のアクセス可能な表面518に隣接したテーパ部分530が含まれる。各薬剤の配送路526のテーパ部分530は、それぞれの薬剤の配送路526に入る漏斗形状の入口を形成する。各薬剤の配送路526のテーパ部分530は、注入針の断面積よりも適切に大きい、注入針のための挿入領域を提供することによって、患者が注射器の注入針を比較的迅速かつ便利に係合させるのに役立つことを目的としている。
【0041】
各薬剤の配送路526のテーパ部分530は、それぞれの1つの入口ポート520の内径寸法が、同じ薬剤の配送路526の内径寸法よりも少なくとも約2倍大きくなるような形でテーパとなっている。薬剤の配送路の本質的にテーパとなっていない部分(例えば、1つの出口ポート524に隣接した部分)の公称直径寸法が、薬剤の配送路526の内径寸法の一例である。ポートおよび管路の断面形状の例には、丸、長方形、三角形、楕円形、および他の公知の形状が含まれる。1つの入口ポート520および各薬剤の配送路526の一実施例では、各1つの入口ポート520および各薬剤の配送路526が、それぞれほぼ円形の断面形状を有しており、1つの入口ポート520が本質的に円形である。そのような一実施例では、開口部(すなわち、円形開口部)が、薬剤の配送路の内径よりも少なくとも約2倍大きい直径を有する。
【0042】
本体512には、さらに、アクセス可能な表面518上の複数の識別構造536が含まれる。各識別構造536は、それぞれの1つの入口ポート530を取り囲む。各識別構造536は、それぞれの1つの入口ポート530の識別に役立つことを目的としている。第1の識別構造536は、本体512のアクセス可能な表面518に対して隆起しており、第2の識別構造536は、本体512のアクセス可能な表面518に対して陥凹している。
【0043】
本明細書では、本明細書に開示の諸実施例による識別構造を、各本体のアクセス可能な表面に対して少なくとも部分的に隆起させることができ、各本体のアクセス可能な表面に対して少なくとも部分的に陥凹させることができ、または各本体のアクセス可能な表面に対して隆起と陥凹とを組み合わせたものにできることが企図される。また、本明細書では、本明細書に開示の諸実施例による識別構造を、各本体および/または自己密閉材料とは異なる色にできることも企図される。さらに、本明細書では、本明細書に開示の諸実施例による識別構造を、複数の形(例えば、丸、長方形、三角形、楕円形など)のうちのいずれかにできることも企図される。
【0044】
図8は、本明細書に開示の第7の実施例による輸液デバイス600を描いている。輸液デバイス600は、図7に描かれた輸液デバイス500と構造が類似している。図7に描かれた輸液デバイス500および図8に描かれた輸液デバイス600は、ともにマルチカニューレ型輸液デバイスである。輸液デバイス600ならびに輸液デバイス500(図7に描かれている)の構造要素ならびに特徴は、同様に示されている。例えば、輸液デバイス600の本体は、612として示されており、輸液デバイス500の本体は、512として示されている。図8ではこのような類似の要素および特徴を示したが、図8に関して具体的詳細は論じない。
【0045】
輸液デバイス600には、本体612と、本体612のアクセス可能な表面618上に据え付けられた自己密閉部材616とが含まれる。この本体には、複数の入口ポート620と、複数の出口ポート624と、複数の別個の薬剤の配送路626とが含まれる。別個の各薬剤の配送路は、それぞれの入口ポート620と、それぞれの出口ポート624との間に連結される。自己密閉部材616は、複数の薬剤の配送路626を横切って延びる隔壁を形成する。自己密閉部材616は、本体612のアクセス可能な表面618の一部分だけを覆うものとして描かれているが、本明細書では、自己密閉部材616が基本的に本体612のアクセス可能な表面618全体を覆うことができることが企図され、開示される。自己密閉部材616には、一体型の複数の識別構造636が含まれる。識別構造636の一方または両方が、それぞれの入口ポート620を取り囲む。図8の左側にある識別構造636は、多角形のものとして描かれている。
【0046】
図1〜図6の単一カニューレ型輸液デバイスに関して本明細書で論じた構造要素および特徴は、マルチカニューレ型輸液デバイスに関しては特に論じられていないが、それらの構造要素および特徴を本明細書に開示の諸実施例によるマルチカニューレ型輸液デバイスに適用可能であることが、本明細書で企図される。例えば、本明細書に開示の一実施例によるマルチカニューレ型輸液デバイスに、針止めを適用することができる。同様に、各出口ポートに隔壁を設けることができる。
【0047】
また本明細書では、単一カニューレ型輸液デバイスの特定の一実施例に関して本明細書で論じた第1の構造要素もしくは特徴を、単一カニューレ型輸液デバイスの他の特定の実施例に関して本明細書で論じた第2の構造要素または特徴と組み合わせて実現できることも企図される。ただし、そのような組合せは、特に図示していない。一実施例には、針止めを、本体のアクセス可能な表面上に据え付けられた自己密閉部材と組み合わせて採用することが含まれる。他の実施例には、本体のアクセス可能な表面上に据え付けられた自己密閉部材を、本体の取付表面に隣接して据え付けられた自己密閉部材と組み合わせて採用することが含まれる。
【0048】
本明細書に開示の諸実施例による輸液デバイスは、当該輸液デバイスの要素を形成して当該要素を組み立てる公知の技術を用いて、製作することができる。射出成形、押出成形、および熱成形などが、そのような要素を形成する公知の技術の例である。熱かしめ(heat staking)、超音波溶接、レーザ溶接、溶媒結合などが、そのようなコンポーネントを組み立てる公知の技術の例である。
【0049】
本明細書に開示の諸実施例による輸液デバイスは、市販の材料から製作することができる。米国食品薬剤局(U.S.F.D.A:United States Food and Drug Administration)によって薬剤用途での使用が認可された様々なポリマーが、輸液デバイスの要素を作製できる市販材料の例である。例えば、U.S.F.D.A.によって侵襲的医療用途での使用が認可された材料は、カニューレを作製できる材料の一例である。U.S.F.D.A.によって、侵襲的な用途での使用は認可されていないが、治療物質に曝されることが認可された材料は、本体および隔壁を作製できる材料の例である。輸液デバイスの本体および/または隔壁が侵襲的な状態におかれる場合、U.S.F.D.A.によって侵襲的医療用途での使用が認可された材料が適している。
【0050】
本明細書に開示の諸実施例による輸液デバイスが、インスリンなどの薬剤を配送する、信頼性があり、安全で、容易で、迅速で、便利で、かつ無痛の手法を提供することが理解されよう。当該輸液デバイスを使用すると、全体的な訓練および機器のコストが大幅に削減される。さらに、当該輸液デバイスは、注射器による直接注入にしばしば付随する不快感および精神的苦痛をなくすことによって、患者に大きな心理的利益をもたらす。一般的に言えば、当該輸液デバイスは、薬剤を毎日注入する必要のある多くの患者の総合的な生活の質の向上に貢献する。
【0051】
本明細書に開示の諸実施例による単一カニューレ型およびマルチカニューレ型輸液デバイスは、患者が自分で据え付けることが可能な皮下輸液部位である。このような単一カニューレ型またはマルチカニューレ型輸液デバイスを据え付ける一実施例では、ばねや空気などによって加えられる力をかけてカニューレを患者の皮下組織へと挿入可能な、挿入デバイスを使用することができる。挿入デバイスの様々な実施例が知られている。本明細書に開示の諸実施例による輸液デバイスとともに使用するには、そのような公知の挿入デバイスにいくらか修正が必要な場合があることが、当業者には理解されよう。
【0052】
本明細書に開示の諸実施例による単一カニューレ型およびマルチカニューレ型輸液デバイスは、装着用であり、何日間も装着することが可能である。当該輸液デバイスは、注射器による患者の皮下組織への日々の直接注入が可能であり、それによって注入針に付随した日々の痛みおよび不快感をなくす。このように、直接注入による薬剤配送の利益が、欠点(例えば、1日に何度も皮膚を刺すこと)なしに提供される。本明細書に開示の一実施例による輸液デバイスを用いると、関連した直接注入を円滑に進めるのに、ほぼ3日ごと、またはそれ以上の日数ごとにしか皮膚に針を刺す必要がない。
【0053】
本明細書に開示の一実施例による単一カニューレ型輸液デバイスは、患者が単一タイプの薬剤(例えばインスリン)を受け取ることができるようにするのに特に適している。ただし、患者が、互いに適合性のない多数のタイプの薬剤(例えば、ボーラス・タイプ(bolus−type)のインスリンとベイサル・タイプ(Basal−type)のインスリン)の注入を必要とする場合、本明細書では、異なる薬剤の注入と注入の間に、患者が滅菌生理食塩水を使用して単一カニューレ型輸液デバイスを洗い流せることが企図され、開示される。
【0054】
マルチカニューレ型輸液デバイスは、多数の薬剤の配送を容易にする他の選択肢を表す。第1のカニューレによって第1の薬剤を配送することができ、第2のカニューレによって第2の薬剤を配送することができる。同様に、特定の薬剤の複数の注入を複数の単一カニューレ型輸液デバイス間に分配することによって、複数の単一カニューレ型輸液デバイスそれぞれを装着できる時間の長さが延長される。
【0055】
また、本明細書に開示の一実施例によるマルチカニューレ型輸液デバイス、または複数の単一カニューレ型デバイスを使用して、当該輸液デバイスを装着できる時間の長さを延長できることも企図される。薬剤の配送圧力および薬剤の濃度に関係した組織の損傷が、輸液デバイスをどれだけ長く装着かつ/または使用できるかに関する制限因子である。したがって、特定の薬剤の複数の注入を複数のカニューレ間に分配することによって、当該輸液デバイスを装着できる時間の長さが延長される。
【0056】
本明細書に開示のマルチカニューレ型輸液デバイスを使用して、複数の薬剤注入を分配する方法の一実施例には、マルチカニューレ型輸液デバイスを患者に据え付けるステップが含まれる。マルチカニューレ型輸液デバイスを据え付ける一実施例には、当該輸液デバイスの本体の取付表面が患者の皮膚表面に係合するまで、各カニューレを患者の皮下組織に挿入するステップが含まれる。マルチカニューレ型輸液デバイスには、その据付けを容易にする複数の挿入針が含まれる。各挿入針は、それぞれのカニューレの管路を通って延びて、挿入の間それぞれのカニューレを概ねまっすぐな向きに保持する。
【0057】
マルチカニューレ型輸液デバイスを患者に据え付け、複数の挿入針を取り除いた後、複数の薬剤注入のうち第1部分が、マルチカニューレ型輸液デバイスの第1薬剤の配送路を介して患者に投薬され、複数の薬剤注入のうち第2部分が、マルチカニューレ型輸液デバイスの第2薬剤の配送路を介して患者に投薬される。複数のカニューレのうち第1のカニューレの長さは、第2のカニューレの長さよりも長く、それによって、複数の薬剤注入のうち第1部分の、患者の皮膚表面の下の第1距離への配送が可能になり、かつ、複数の薬剤注入のうち第2部分の、患者の皮膚表面の下の第2距離への配送が可能になる。
【0058】
本明細書に開示の複数の単一カニューレ型輸液デバイスを使用して、複数の薬剤注入を分配する方法の一実施例には、複数の単一カニューレ型輸液デバイスを患者に据え付けるステップが含まれる。各単一カニューレ型輸液デバイスを据え付ける一実施例には、各単一カニューレ型輸液デバイスの本体の取付表面が患者の皮膚表面に係合するまで、各単一カニューレ型輸液デバイスのカニューレを患者の皮下組織に挿入するステップが含まれる。各単一カニューレ型輸液デバイスには、その据付けを容易にするための挿入針が含まれる。各挿入針は、それぞれのカニューレの管路を通って延びて、挿入の間それぞれのカニューレを概ねまっすぐな向きに保持する。
【0059】
複数の輸液デバイスを据え付ける一実施例では、第1の輸液デバイスが患者の上の第1の場所に据え付けられ、第2の輸液デバイスが患者の上の第2の場所に据え付けられる。第1脚など、患者の第1の生理学的部分が、第1の場所の一例である。左臀部など、患者の第2の生理学的部分が、第2の場所の一例である。
【0060】
複数の単一カニューレ型輸液デバイスを患者に据え付け、各輸液デバイスから挿入針を取り除いた後、複数の薬剤注入のうち第1部分が、複数の単一ニューレ型輸液デバイスの第1カニューレを介して患者に投薬され、複数の薬剤注入のうち第2部分が、複数の単一カニューレ型輸液デバイスの第2カニューレを介して患者に投薬される。第1輸液デバイスのカニューレの長さは、第2輸液デバイスのカニューレの長さよりも長く、それによって、複数の薬剤注入のうち第1部分の、患者の皮膚表面の下の第1距離への配送が可能になり、かつ、複数の薬剤注入のうち第2部分の、患者の皮膚表面の下の第2距離への配送が可能になる。
【0061】
前述した詳細な説明では、本明細書の一部を成し、本発明を実行できる特定の諸実施例が説明の目的で示されている、添付の諸図面を参照した。これらの諸実施例およびそれらの特定の変形形態について、当業者が本発明を実行できるように十分詳細に説明した。不要な詳細を避けるために、本説明は、当業者に公知の情報をいくらか省略している。例えば、輸液デバイスの複数の要素の特定の寸法、複数の要素の特定の向き、様々な要素のための材料の具体的な選択などは、技術的優先度および/または特定の適用要件に基づいて実行することができる。したがって、前述した詳細な説明は、本明細書で述べた特定の形態に制限されるものではなく、むしろ、冒頭の特許請求の範囲の精神および範囲内に当然含めることのできる代替形態、修正形態、および同等物に及ぶことが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器からの注射液を受け取るように特に適合された輸液デバイスにおいて、
内部に1つの入口ポートを有する接近(accessible)可能な表面と、内部に1つの出口ポートを有する取付表面と、前記1つの入口ポートと前記1つの出口ポートとの間を延びる薬剤の配送路とを含む本体と、
前記1つの出口ポートのところで前記本体に連結されたカニューレであって、前記1つの出口ポートから薬剤を受け取り、内部を通じて前記薬剤を運ぶように適合されたカニューレと、
前記本体に取り付けられ、前記薬剤の配送路のための第1隔壁を形成する第1の自己密閉部材とを含むことを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記1つの入口ポートに隣接した前記薬剤の配送路の一部分がテーパとなっており、それによって前記薬剤の配送路に入る漏斗形状の入口を形成することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記薬剤の配送路の1つの入口ポートが、前記本体のアクセス可能な表面のところで開口部を画定しており、
前記開口部が、前記薬剤の配送路の内径寸法よりも少なくとも約2倍大きい内径寸法を有することを特徴とする請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記1つの入口ポートおよび前記薬剤の配送路が、それぞれ、ほぼ円形の断面形状を有しており、
前記薬剤の配送路の1つの入口ポートが、前記本体のアクセス可能な表面のところで円形開口部を画定しており、
前記円形開口部が、前記薬剤の配送路の内径よりも少なくとも約2倍大きい直径を有することを特徴とする請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記薬剤の配送路および前記カニューレが、共通の本質的にまっすぐな長手方向の軸を有することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記共通の長手方向の軸が、前記本体の取付表面に概ね垂直に延びることを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記カニューレが、前記本体の取付表面に概ね垂直に延びる本質的にまっすぐな長手方向の軸を有することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記薬剤の配送路の1つの入口ポートが、前記本体のアクセス可能な表面のところで開口部を画定しており、
前記開口部が、前記薬剤の配送路の内径寸法よりも少なくとも約2倍大きい内径寸法を有することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記1つの入口ポートおよび前記薬剤の配送路が、それぞれ、ほぼ円形の断面形状を有しており、
前記薬剤の配送路の1つの入口ポートが、前記本体のアクセス可能な表面のところで円形開口部を画定しており、
前記円形開口部が、前記薬剤の配送路の内径よりも少なくとも約2倍大きい直径を有することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記本体に、前記薬剤の配送路の1つの入口ポートに隣接した、前記薬剤の配送路を識別するための識別構造がさらに含まれることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記識別構造が、前記本体のアクセス可能な表面に対して少なくとも部分的に隆起していることを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記識別構造が、前記本体のアクセス可能な表面に対して少なくとも部分的に陥凹していることを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
前記識別構造が、前記薬剤の配送路の1つの入口ポートを取り囲むことを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1の自己密閉部材に、前記薬剤の配送路の1つの入口ポートに隣接した、前記薬剤の配送路を識別するための識別構造が含まれることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記薬剤の配送路内部に位置決めされた針止めをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記針止めが、前記薬剤の配送路の1つの出口ポートに隣接して位置決めされることを特徴とする請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記本体上に据え付けられた、前記薬剤の配送路のための第2隔壁を形成する、第2自己密閉部材をさらに含んでおり、前記第1隔壁が前記1つの入口ポートに隣接し、前記第2隔壁が前記1つの出口ポートに隣接することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第1隔壁の露出表面が、前記本体のアクセス可能な表面と本質的に連続することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第1隔壁が、前記1つの入口ポートに隣接したところで前記薬剤の配送路を横切って延びることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
前記第1隔壁が、前記1つの出口ポートに隣接したところで前記薬剤の配送路を横切って延びることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
注射器からの注射液を受け取るように特に適合された輸液デバイスであって、
内部に1つの入口ポートを有するアクセス可能な表面と、内部に1つの出口ポートを有する取付表面と、前記1つの入口ポートと前記1つの出口ポートとの間を延びる薬剤の配送路と、前記アクセス可能な表面上の1つの入口ポートに隣接した識別構造とを含む本体であって、前記薬剤の配送路が前記1つの入口ポートに隣接したところでテーパとなっており、それによって前記薬剤の配送路に入る漏斗形状の入口を形成する本体と、
前記1つの出口ポートのところで前記本体に結合されたカニューレであって、前記1つの出口ポートから薬剤を受け取り、内部を通って前記薬剤を運ぶように適合されており、前記本体の取付表面に概ね垂直に延びる概ねまっすぐな長手方向の軸を含むカニューレと、
前記本体に結合され、前記薬剤の配送路のための第1隔壁を形成する第1の自己密閉部材であって、その露出表面が前記本体のアクセス可能な表面と本質的に連続している第1の自己密閉部材と、
前記薬剤の配送路内部に位置決めされた針止めと、
を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項22】
注射器からの注射液を受け取るように特に適合された輸液デバイスであって、
内部に1つの入口ポートを有するアクセス可能な表面と、内部に1つの出口ポートを有する取付表面と、前記1つの入口ポートと前記1つの出口ポートとの間を延びる薬剤の配送路と、前記アクセス可能な表面上の1つの入口ポートに隣接した識別構造とを含む本体であって、前記薬剤の配送路が前記1つの入口ポートに隣接したところでテーパとなっており、それによって前記薬剤の配送路に入る漏斗形状の入口を形成する本体と、
前記1つの出口ポートのところで前記本体に結合されたカニューレであって、前記1つの出口ポートから薬剤を受け取り、内部を通って前記薬剤を運ぶように適合されており、前記本体の取付表面に概ね垂直に延びる本質的にまっすぐな長手方向の軸を有するカニューレと、
前記本体に取り付けられ、前記薬剤の配送路から前記1つの入口ポートを通って物質が流れるのを制限する手段と、
を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項23】
注射器からの注射液を受け取るように特に適合された輸液デバイスであって、
内部に複数の入口ポートを有するアクセス可能な表面と、内部に複数の出口ポートを有する取付表面と、それぞれの前記入口ポートとそれぞれの前記出口ポートとの間を延びる別個の薬剤の配送路とを含む本体と、
それぞれが、それぞれの前記出口ポートのところで前記本体に連結されており、それぞれが、それぞれの前記出口ポートから薬剤を受け取り、内部を通って前記薬剤を運ぶように適合された複数のカニューレと、
前記本体に結合された、前記別個の薬剤の配送路のうち少なくとも1つの薬剤の配送路のための第1隔壁を形成する第1の自己密閉部材と、
を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項24】
別個の薬剤の配送路それぞれが、隣接した別個の薬剤の配送路それぞれから所定の距離だけ離隔されていることを特徴とする請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記第1自己密閉隔壁それぞれの前記第1隔壁の露出表面が、前記本体のアクセス可能な表面と本質的に連続することを特徴とする請求項23に記載のデバイス。
【請求項26】
前記別個の薬剤の配送路それぞれが、それぞれの前記入口ポートに隣接したところでテーパとなっており、それによって前記別個の薬剤の配送路それぞれに入る、それぞれの漏斗形状の入口を形成することを特徴とする請求項23に記載のデバイス。
【請求項27】
前記別個の薬剤の配送路それぞれの入口ポートが、前記本体のアクセス可能な表面のところでそれぞれの開口部を画定しており、
開口部それぞれが、前記薬剤の配送路の内径寸法よりも少なくとも約2倍大きい内径寸法を有することを特徴とする請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記別個の薬剤の配送路それぞれの入口ポートと、前記別個の薬剤の配送路それぞれとが、それぞれ、ほぼ円形の断面形状を有しており、
前記別個の薬剤の配送路それぞれの入口ポートが、前記本体のアクセス可能な表面のところでそれぞれの円形開口部を画定しており、
前記円形開口部それぞれが、それに対応する前記別個の薬剤の配送路の内径よりも少なくとも約2倍大きい直径を有することを特徴とする請求項26に記載のデバイス。
【請求項29】
前記別個の薬剤の配送路それぞれの入口ポートが、前記本体のアクセス可能な表面のところでそれぞれの開口部を画定しており、
開口部それぞれが、前記薬剤の配送路の内径寸法よりも少なくとも約2倍大きい内径寸法を有することを特徴とする請求項23に記載のデバイス。
【請求項30】
前記別個の薬剤の配送路それぞれの入口ポートと、前記別個の薬剤の配送路それぞれとが、それぞれ、ほぼ円形の断面形状を有しており、
前記別個の薬剤の配送路それぞれの入口ポートが、前記本体のアクセス可能な表面のところでそれぞれの円形開口部を画定しており、
前記円形開口部それぞれが、それに対応する前記別個の薬剤の配送路の内径よりも少なくとも約2倍大きい直径を有することを特徴とする請求項23に記載のデバイス。
【請求項31】
前記薬剤の配送路それぞれと、それに対応する前記カニューレとが、共通の本質的にまっすぐなそれぞれの長手方向の軸を有することを特徴とする請求項23に記載のデバイス。
【請求項32】
共通の本質的にまっすぐな長手方向の軸それぞれが、前記本体の取付表面に概ね垂直に延びることを特徴とする請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
前記カニューレそれぞれに、前記本体の取付表面に概ね垂直に延びる本質的にまっすぐな長手方向の軸が含まれることを特徴とする請求項23に記載のデバイス。
【請求項34】
前記本体に、前記アクセス可能な表面にある、前記入口ポートのうち少なくとも1つの入口ポートに隣接した第1識別構造がさらに含まれることを特徴とする請求項23に記載のデバイス。
【請求項35】
前記第1識別構造が、前記本体のアクセス可能な表面に対して少なくとも部分的に隆起していることを特徴とする請求項34に記載のデバイス。
【請求項36】
前記第1識別構造が、前記本体のアクセス可能な表面に対して少なくとも部分的に陥凹していることを特徴とする請求項34に記載のデバイス。
【請求項37】
前記第1識別構造が、前記別個の薬剤の配送路のうち第1薬剤の配送路の入口ポートを取り囲むことを特徴とする請求項34に記載のデバイス。
【請求項38】
前記本体に、前記別個の薬剤の配送路のうち第2薬剤の配送路に関連付けられた入口ポートに隣接した、第2識別構造がさらに含まれており、
前記第2識別構造が前記第1識別構造とは異なることが識別可能であることを特徴とする請求項34に記載のデバイス。
【請求項39】
前記第1の自己密閉部材に、前記別個の薬剤の配送路のうち第1薬剤の配送路に関連付けられた前記入口ポートに隣接した、前記別個の薬剤の配送路のうち第1薬剤の配送路を識別するための第1識別構造が含まれることを特徴とする請求項23に記載のデバイス。
【請求項40】
前記別個の薬剤の配送路のうち少なくとも1つの薬剤の配送路の内部に位置決めされた針止めをさらに含むことを特徴とする請求項23に記載のデバイス。
【請求項41】
前記針止めが、前記別個の薬剤の配送路のうち前記少なくとも1つの薬剤の配送路の出口ポートに隣接して位置決めされることを特徴とする請求項40に記載のデバイス。
【請求項42】
前記カニューレのうち第1カニューレのカニューレ長が、前記カニューレのうち第2カニューレのカニューレ長よりも長いことを特徴とする請求項23に記載のデバイス。
【請求項43】
前記本体に隣接した、前記別個の薬剤の配送路のうち少なくとも第1薬剤の配送路のための第2隔壁を形成する、第2自己密閉部材をさらに含んでおり、前記第1隔壁が、前記別個の薬剤の配送路のうち前記少なくとも1つの薬剤の配送路の入口ポートに隣接し、前記第2隔壁が、前記別個の薬剤の配送路のうち前記少なくとも1つの薬剤の配送路の出口ポートに隣接することを特徴とする請求項23に記載のデバイス。
【請求項44】
注射器からの注射液を受け取るように特に適合された輸液デバイスであって、
内部に複数の入口ポートを有するアクセス可能な表面と、内部に複数の出口ポートを有する取付表面と、それぞれの前記入口ポートとそれぞれの前記出口ポートとの間を延びる別個の薬剤の配送路と、前記アクセス可能な表面にある、前記入口ポートのうち少なくとも1つの入口ポートに隣接した識別構造とを含む本体と、
それぞれが、前記出口ポートそれぞれのところで前記本体に結合されており、それぞれが、それぞれの前記出口ポートから薬剤を受け取り、カニューレ内部を通じて前記薬剤を運ぶように適合されており、それぞれが、前記本体の取付表面に概ね垂直に延びる本質的にまっすぐな長手方向の軸を有する複数のカニューレと、
前記本体に取り付けられた、前記別個の薬剤の配送路のうち少なくとも第1薬剤の配送路のための第1隔壁を形成する第1の自己密閉部材と、
を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項45】
注射器からの注射液を受け取るように特に適合された輸液デバイスであって、
内部に複数の入口ポートを有するアクセス可能な表面と、内部に複数の出口ポートを有する取付表面と、それぞれの前記入口ポートとそれぞれの前記出口ポートとの間を延びる別個の薬剤の配送路と、前記アクセス可能な表面にある、前記入口ポートのうち少なくとも1つの入口ポートに隣接した識別構造とを含む本体と、
それぞれが、前記出口ポートそれぞれのところで前記本体に結合されており、それぞれが、それぞれの前記出口ポートから薬剤を受け取り、カニューレ内部を通じて前記薬剤を運ぶように適合されており、それぞれが、前記本体の取付表面に概ね垂直に延びる本質的にまっすぐな長手方向の軸を有する複数のカニューレと、
前記本体に取り付けられた、前記別個の薬剤の配送路それぞれからそれぞれの前記入口ポートを通って物質が流れるのを制限する手段と、
を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項46】
患者に薬剤を配送する方法であって、
患者に輸液デバイスを据え付けるステップと、
前記輸液デバイスには、内部に複数の入口ポートを有するアクセス可能な表面と、内部に複数の出口ポートを有する取付表面と、それぞれの前記入口ポートとそれぞれの前記出口ポートとの間を延びる別個の薬剤の配送路とを含む本体と、それぞれが、前記出口ポートそれぞれのところで前記本体に結合されており、それぞれが、それぞれの前記出口ポートから薬剤を受け取り、カニューレ内部を通じて前記薬剤を運ぶように適合された複数のカニューレと、前記本体に取り付けられた、前記別個の薬剤の配送路のうち少なくとも第1薬剤の配送路のための第1隔壁を形成する第1の自己密閉部材とが含まれ、
前記薬剤の配送路のうち第1薬剤の配送路を介して、前記患者への複数の薬剤注入のうち第1部分を促進するステップと、
前記薬剤の配送路のうち第2薬剤の配送路を介して、前記患者への複数の薬剤注入のうち第2部分を促進するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項47】
前記カニューレそれぞれが、本質的にまっすぐな長手方向の軸を有しており、
前記カニューレそれぞれの前記本質的にまっすぐな長手方向の軸が、前記本体の取付表面に概ね垂直に延びており、
前記輸液デバイスを据え付けるステップは、前記本体の取付表面が前記患者の皮膚表面に係合するまで、前記カニューレそれぞれを前記患者の皮下組織に挿入するステップを含むことを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記デバイスに複数の挿入針がさらに含まれており、前記挿入針それぞれが、それぞれの前記カニューレの管路内を延びて、それぞれの前記カニューレを前記皮下組織に挿入する間、それぞれの前記カニューレを概ねまっすぐな向きに保持することを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記カニューレのうち第1カニューレのカニューレ長が、前記カニューレのうち第2カニューレのカニューレ長よりも長く、それによって、前記複数の薬剤注入うち第1部分の、前記患者の皮膚表面の下の第1距離への配送が可能になり、かつ、前記複数の薬剤注入のうち第2部分の、前記患者の皮膚表面の下の第2距離への配送が可能になることを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項50】
患者に薬剤を配送する方法であって、
患者に複数の輸液デバイスを据え付けるステップと、
前記輸液デバイスそれぞれが、内部に入口ポートを有するアクセス可能な表面と、内部に出口ポートを有する取付表面と、前記入口ポートと前記出口ポートとの間を延びる薬剤の配送路とを含む本体と、前記出口ポートのところで前記本体に結合されたカニューレであって、前記出口ポートから薬剤を受け取り、内部を通って前記薬剤を運ぶように適合されたカニューレと、前記本体に取り付けられた、前記薬剤の配送路のための第1隔壁を形成する、第1の自己密閉部材とを有しており、
前記薬剤配送デバイスのうち第1デバイスの前記薬剤の配送路を介して、前記患者への複数の薬剤注入のうち第1部分を促進するステップと、
前記薬剤配送デバイスのうち第2デバイスの前記薬剤の配送路を介して、前記患者への複数の薬剤注入のうち第2部分を促進するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項51】
前記輸液デバイスそれぞれのカニューレが、本質的にまっすぐな長手方向の軸を有しており、
各カニューレの本質的にまっすぐな長手方向の軸が、それぞれの本体の取付表面に概ね垂直に延びており、
前記複数の輸液デバイスを据え付けるステップは、前記輸液デバイスそれぞれの取付表面が前記患者の皮膚表面に係合するまで、前記輸液デバイスそれぞれのカニューレを患者の皮下組織に挿入するステップを含むことを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記輸液デバイスそれぞれに、前記カニューレそれぞれの管路を通って延びる、前記カニューレそれぞれを前記皮下組織に挿入する間、前記カニューレそれぞれを概ねまっすぐな向きに保持する挿入針がさらに含まれることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記薬剤配送デバイスのうち第1デバイスのカニューレ長が、前記薬剤配送デバイスのうち第2デバイスのカニューレ長よりも長く、それによって、前記複数の薬剤注入のうち第1部分の、前記患者の皮膚表面の下の第1距離への配送が可能になり、かつ、前記複数の薬剤注入のうち第2部分の、前記患者の皮膚表面の下の第2距離への配送が可能になることを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記複数の輸液デバイスを据え付けるステップは、前記輸液デバイスのうち第1デバイスを前記患者の第1の場所に据え付けるステップと、前記輸液デバイスのうち第2デバイスを前記患者の第2の場所に据え付けるステップとを含み、
前記第1の場所が前記患者の第1の生理学的部分に位置し、
前記第2の場所が前記患者の第2の生理学的部分に位置する
ことを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記薬剤配送デバイスのうち第1デバイスのカニューレ長が、前記薬剤配送デバイスのうち第2デバイスのカニューレ長よりも長く、それによって、前記複数の薬剤注入のうち第1部分の、前記患者の皮膚表面の下の第1距離への配送が可能になり、かつ、前記複数の薬剤注入のうち第2部分の、前記患者の皮膚表面の下の第2距離への配送が可能になり、
前記複数の輸液デバイスを据え付けるステップは、前記輸液デバイスのうち第1デバイスを前記患者の第1の場所に据え付けるステップと、前記輸液デバイスのうち第2デバイスを前記患者の第2の場所に据え付けるステップとを含み、
前記第1の場所が、第1皮下組織深さを有する、前記患者の第1の生理学的部分に位置し、
前記第2の場所が、第2皮下組織深さを有する、前記患者の第2の生理学的部分に位置することを特徴とする請求項50に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−137073(P2010−137073A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−31740(P2010−31740)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【分割の表示】特願2004−519654(P2004−519654)の分割
【原出願日】平成15年6月30日(2003.6.30)
【出願人】(505001030)パットン メディカル ディヴァイシーズ, リミテッド パートナーシップ (1)
【氏名又は名称原語表記】PATTON MEDICAL DEVICES, LP
【Fターム(参考)】