説明

輸血関連急性肺障害(TRALI)に関するスクリーニング方法

本発明は、HNA−3aおよびHNA−3bが、CTL2アミノ酸配列と高度に類似するポリペプチド配列内の抗原である、という発見に関する。本発明は、移植を意図した生物学的組織の試料中のHNA−3aおよびHNA−3b特異的抗体、HNA−3aおよびHNA−3bポリペプチド、ならびにHNA−3aおよびHNA−3b核酸に関してスクリーニングするための方法およびキットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年9月4日に出願されたドイツ国出願第10 2008 045 696.9号に対する優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本発明は、輸血関連急性肺障害症候群(TRALI)の発生に関連づけられたHNA−3aおよびHNA−3bのポリペプチド配列の同定に関する。本発明は、移植または輸血のために意図された生物学的組織の試料中のHNA−3aおよびHNA−3b特異的抗体、HNA−3aおよびHNA−3bポリペプチド、ならびにHNA−3aおよびHNA−3b核酸に関してスクリーニングするための方法およびキットを提供する。本発明は、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がTRALIを誘発するか否かを判定するための方法およびキットにも関する。本発明はさらに、TRALIを発症することに対するヒト移植片または輸血レシピエントの感受性を確定するための方法およびキットを提供する。
【背景技術】
【0003】
ヒト好中球特異的抗原(HNA)に対する抗体は、臨床的合併症、例えば肺輸血反応を、そしてある場合には輸血関連急性肺障害(TRALI)を引き起こし(Popovsky et al. Am. Rev. Resp. Dis. 128(1): 185−9, 1983)、あるいは新生児同種異系免疫好中球減少症(NAIN)を引き起こす(Bux, et al. Transfus. Med. 2(2): 143−9, 1992)ことが示された。したがって、HNA特異的抗体の検出は、重要な臨床的用途を有する。
【0004】
TRALIは致命的な輸血合併症であり、米国における輸血関連死の最も高頻度の原因の1つである。TRALIは、ABO不適合保存血液の投与後の欧州における死亡の第二の最高頻度輸血関連原因である(Holness et al. Transfus Med Rev. 18: 184−188, 2004)。輸血の合併症としてTRALIを発症する危険は、HIVまたはC型肝炎感染に罹患するより少なくとも2000倍高い。
【0005】
TRALIは、心臓の機能不全または容積過負荷の指標を伴わない両側性肺浸潤(肺水腫)と関連した輸血後6時間以内の突然の急性息切れからなる臨床的実体、と定義される(European Haemovigilance Network (EHN). Definitions of Adverse Transfusion Event. www.ehn−org.net)。
【0006】
TRALI症候群は、最初は、輸血と無関係な肺機能不全(ALI)またはその最大の変種であるARDS(「後天性呼吸促迫症候群」)と同様であることが多いため、診断するのが難しい(Popovsky & Moore, Transfusion 25: 573−577, 1985)。TRALIの症候としては、低酸素血症、頻拍、低血圧症、チアノーゼおよび発熱が挙げられる。その症候は他の原因、例えば体液過負荷に起因することが多いため、しばしば、TRALIはクリニックにおいて認識されないかまたは誤診断される。TRALIは、血液成分、例えば白血球、赤血球濃縮物、新鮮凍結血漿、血小板由来白血球、プール血小板、静脈内ガンマグロブリン、寒冷沈降物、幹細胞および顆粒球を含有する全血漿の輸血と関連付けられてきた。TRALIは肺微小血管の損傷であり;したがって、治療は、呼吸補助および生理食塩水注入に集中する。
【0007】
TRALIは、HNA、顆粒球−およびヒト白血球抗原(HLA)クラスIに特異的な抗体と主に関連する免疫関連障害である。輸血レシピエントにおいてTRALIを誘発したことのある他の因子としては、生物学的に活性な脂質類およびHLAクラスII抗体が挙げられる。ほとんどの場合、(ドナー血漿中の)ドナーの抗体は、保存血液とともに移入されて、次いで、レシピエントの白血球(顆粒球)と反応する。これらの抗体が顆粒球と結合すると、それらは活性化し、一部は凝集する。この顆粒球からの殺菌性集積物のその後の放出により、毛細血管内皮が損傷され、これが肺水腫を引き起こす。この免疫反応は、内皮を損傷する酸素ラジカルおよびプロテアーゼを放出するよう補体活性化顆粒球を誘導して、肺胞および間質中への富タンパク質液の溢出を生じさせる。さらに、保存血液内の抗体は、レシピエントの顆粒球と結合し、活性化させて、接着分子の発現(Uchiyama et al. Transfus. Med. Rev. 8: 84−95, 1994)、肺の肺胞および血管内皮間の間質間隙への顆粒球の遊出、ならびにサイトカイン、プロテアーゼおよび酸素ラジカルの放出(Snyder., Immol Invest. 24: 333−9, 1994)を生じさせる。これらの細胞性作用は、毛細血管壁に対する損傷と、その後の透過性亢進を引き起こす。肺水腫が発症し、罹患患者の10%がこの合併症のために死亡する。
【0008】
TRALIでは、レシピエント抗体はドナーの顆粒球とめったに反応しない(Bux et al., Br. J. Heamatol. 93: 707−713、1996)。しかしながら、輸血レシピエントにおける抗体により誘発されたTRALIの症例もあった。非常に稀な症例では、抗IgA抗体もTRALIを誘発し得る(Saigo et al., J. Int. Med. Res. 27: 96−100, 1999)。
【0009】
小児の顆粒球−またはHLA−抗原に対する抗体形成が妊娠中に起こり得るため、経産婦の献血は特有の危険を保有する。同様に、患者は、早期輸血により免疫感作され得る(Voss et al., Anaesthesist 50: 930−932, 2001)。TRALIを誘発するドナー血漿は、臨床的には検出され得ない。一般に産生される赤血球濃縮物は極わずかな血漿と少数の顆粒球のみを含有し、したがってTRALIは、新鮮な血漿および血小板濃縮物の投与後に最も起き易い。
【0010】
HLA抗体のほかに、顆粒球上の3つの異なる抗原系に対する抗体が、TRALIの誘発に関与すると思われる(Leger et al. Anesthesiology 91: 1529−1532, 1999;Davoren et al, Transfusion 43: 641−645, 2003;Kopko et al. JAMA 287: 1968−1971, 2000;Reil et al. Vox Sanguinis(印刷中。オンラインでアクセス可能), 2008)。抗原系のうちの2つ(HNA−1およびHNA−2)は、それらの構造および局在化に関して既知である。抗原HNA−2は、教授であるBux博士により特徴付けられ、特許として出願された(DE 100 28 725 A1)。第三の抗原系であるHNA−3(相反抗原HNA−3aおよびHNA−3bからなる)は、特徴付けされていない。抗原HNA−3aは集団の約95%に生じ(Davoren et al, Transfusion 43: 641−645, 2003)、TRALIの重症経過に特に高頻度に関与する(Reil et al. Vox Sanguinis(印刷中。オンラインでアクセス可能), 2008)。
【0011】
輸血における副作用に関する英国通知および評価センターのSHOT(Serious Hazards of Transfusion:輸血による重篤な副作用報告制度)による最新の報告によれば、TRALIは、輸血による重篤な副作用の最もよくある原因である。当該報告は、1996年〜2003年(SHOT)(付加的累積データ1996〜2003。www.shotuk.org)の期間中、9%の死亡率を示している。2001年以来、米国食品医薬品局は、同様に、輸血関連合併症の主因としてのTRALIを報告した(Goldman et al., Transfus. Med. Rev. 19: 2−31, 2005;Boshkov, Vox Sang. 83: 299−303, 2002)。
【0012】
一般に、ほとんどの血液および組織ドナーは、HNA型で分類されていない。好中球免疫生物学の特殊性、HNA分類血清の欠乏、ならびに新鮮好中球を試験する必要性は、HNA適合血液成分の分類を拘束する。高いパーセンテージのTRALI症例は、女性、特に経産婦により献血された血液により、ならびに新鮮凍結血漿の輸血から引き起こされる。TRALIの発生率を低減するために提案される一般的解決法としては、ドナーとして経産婦(妊娠3回以上)を除外するためにドナーとしての全女性の除外、ならびに新鮮凍結血漿の輸血の低減が挙げられる。
【0013】
一般に、顆粒球特異的抗体の検出は労力を要する;そして血液ドナーの血清中のHLA抗体の検出は十分でない。TRALIの危険性の最も信頼できる判定は、一般に、ドナー血清と患者白血球との間の交差適合試験でなされる。この試験は、専門実験室で実行され得るだけであり(Voss, Anaesthesist 50: 930−932, 2001)、これは、ドナースクリーニングに適していない。その他の戦略は、現在、より限定的なドナー管理に向けられている(Mair et al., Crit. Care Med. 34: 137−143, 2006)(上記)。これは、妊娠後の女性からの献血の除外が保存血液の量の深刻な低減をもたらすため、許容可能でない。
【0014】
女性ドナーの除外は、カナダにおいて体系的に調査された。経産婦ドナーの除外により、全献血の12%がカナダ血液サービスから失われる(Goldman et al. Transfus. Med. Rev. 19: 2−31, 2005)。いくつかの研究により、このような戦略の履行は、第三の潜在的女性ドナーを除外する(Densmore et al., Transfusion 39: 103−106, 1999)。代替的戦略は、顆粒球特異的抗体に関して全保存血液を試験することである。現在、これは技術的に実行可能でない。血液成分を処理するための他の戦略が提案されているが、しかしこれらの戦略は細菌汚染のような新規の危険をはらんでおり、そしてそれらの時間要件のため、計画された輸血にのみ適していて、緊急時の輸血には適していない(Mair et al., Crit Care Med. 34: 137−143, 2006)。さらに、このような戦略がTRALIの発症を実際に低減し得るか否かに関する証拠が欠如している。
【0015】
ヒト好中球抗原は、好中球特異的抗原またはHNAとしても知られている。現在、以下の5つのHNA抗原系が存在する:HNA−1、HNA−2、HNA−3、HNA−4およびHNA−5。HNA−1、2、4および5に関する対立遺伝子が同定され、対応する糖タンパク質が特徴付けられた;しかしながら、HNA−3に関する対立遺伝子は、依然として不明である(Stroncek, ASHI Quarterly 2004により再検討)。好中球上でのみ発現され、低親和性Fc−γ受容体IIIb上に位置する3つのHNA−1抗原(HNA−1a、HNA−1bおよびHNA−1c)が存在する。HNA−2系は、1つの十分に確立された抗原(HNA−2a)を有する。HNA−2は好中球および好中球前駆体上でのみ発現され、糖タンパク質CD177(NB1 gp)上に位置する。HNA−4およびHNA−5は、β2インテグリン上に位置する。HNA−4は、顆粒球、単球およびリンパ球上で発現される(Stroncek, ASHI Quarterly 2004参照)。
【0016】
HNA−3系は、5bとしても知られている1つの既知の抗原HNA−3aを有する。HNA−3は、好中球、リンパ球、血小板、内皮細胞、腎臓、脾臓および胎盤細胞上で発現され、そして70〜95kDaの好中球糖タンパク質上に位置することが知られている(Stroncek, ASHI Quarterly 2004参照)。HNA−3aに関する遺伝子はクローン化されておらず、糖タンパク質の性質および機能は、従来、不明であった。したがって、HNA−3抗体の一般的検出は、凝集検査(Lalezari & Bernard, Transfusion 5: 135−42, 1965)またはGIFT−FC検定(Davoren et al., Transfusion 43(5): 641−5, 2003)のような非特異的検定にのみ基づいている。
【0017】
5bとしても知られているHNA−3の推定対立遺伝子は、約0.82の遺伝子頻度を有する(Van Leeuwen et al. Vox Sang 9: 431−46, 1964)。それが、0.66の遺伝子頻度を有することも報告された(Lalezari & Bernard, Transfusion 5: 135−42, 1965)。5bのタンパク質は70〜95kDの分子量を有することが報告された(De Haas et al, Transfusion 40(2): 222−7, 2000)が、未だに5b遺伝子はクローン化されておらず、そのタンパク質の性質および機能は依然として不明である。
【0018】
本発明が関心を有するのはCTL2であり、これは、10個のらせん膜貫通ドメインを含む706アミノ酸膜貫通タンパク質(約80.152kD)である。このタンパク質は、SLC44A2、DKFZp666A071 2、FLJ44586 2およびpp1292としても知られており、内耳内のコリン輸送に関与することが知られており、そして内耳支持細胞上で発現される。CTL2をコードする遺伝子は、染色体19p13上に位置する。さらに、抗原である内耳支持細胞抗原(IESCA)は、自己免疫感音性聴力損失(AISNHL)に関連する自己抗体と反応性があるCTL2タンパク質であることが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
現在、TRALIを誘発するHNA抗体に関して移植片組織または輸血をスクリーニングし、分類する方法は、不適切で、問題がある。さらに、血液および組織を供与することからヒト集団の大部分を除外することは、極端な解決法である。したがって、HNA抗原のスクリーニング方法の開発が強く必要とされている。
【0020】
したがって、TRALIに関与するヒト好中球抗原−3aまたは−3b(HNA−3a、HNA−3b)のタンパク質またはDNA配列を明らかにすることが、本発明の一目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、HNA−3aが配列番号1のアミノ酸配列内にあり、HNA−3bが配列番号3bのアミノ酸配列内にあり、そしてこれらのアミノ酸配列はコリン輸送体様タンパク質2(CTL2)のアミノ酸配列と高度に類似する、という発見に関する。
【0022】
細胞外ループ上のコドン154内の単一ヌクレオチド多形(SNP)は、このSNPがHNA−3aおよびHNA−3b間で異なるので、極めて重要である(SNP rs2288904)。HNA−3aをコードするポリヌクレオチドは位置461に「G」(グアニン)を有し、結果として、HNA−3aアミノ酸配列の位置154の「R」(アルギニン、Arg)をコードし、したがって、HNA−3a対立遺伝子を表す。HNA−3bをコードするポリヌクレオチドは位置461に「A」(アデニン)を有し、結果として、そのアミノ酸配列の位置154の「Q」(グルタミン、Gln)をコードし、したがって、HNA−3b対立遺伝子を表す。
【0023】
HNA−3遺伝子のコドン154内のSNPの存在は、対立するHNA−3抗原に曝露された場合に、HNA−3aまたはHNA−3bに対する同種異系抗体を生成し得る集団の一部を生じる。この差により、集団の一部は2つの抗HNA−3特異的抗体のうちの1つを有することが可能になり、外来HNA−3抗原を含有する血液または組織に曝露された場合、レシピエントにおいて輸血関連急性肺障害(TRALI)を誘発することになる。
【0024】
本発明は、生物学的試料中のHNA−3a特異的抗体の検出方法であって、a)生物学的試料を獲得すること、b)前記生物学的試料を、配列番号1のHNA−3aポリペプチドまたはその断片を発現するよう形質転換されたかまたはトランスフェクトされた細胞と接触させて、試料中のHNA−3aと複合体を形成させること、そしてc)前記生物学的試料がHNA−3a特異的抗体を含有する、ということを前記複合体の存在が示す前記複合体を検出すること、とを包含する方法を提供する。
【0025】
前記方法は、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む抗原性断片を用いて実行され得る。
【0026】
本発明は、生物学的試料中のHNA−3b特異的抗体の検出方法であって、a)生物学的試料を獲得すること、b)前記生物学的試料を、配列番号2のHNA−3bポリペプチドまたはその断片を発現するよう形質転換されたかまたはトランスフェクトされた細胞と接触させて、試料中のHNA−3bと複合体を形成させること、そしてc)前記生物学的試料がHNA−3b特異的抗体を含有する、ということを前記複合体の存在が示す前記複合体を検出すること、とを包含する方法も提供する。
【0027】
前記方法は、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む抗原性断片を用いて実行され得る。
【0028】
本発明は、細胞が異種HNA−3aまたはHNA−3ポリペプチドを発現するよう、B細胞、CHO細胞または昆虫細胞のようなHNA−3aまたはHNA−3bを内因的に発現しないものを含めた任意の細胞型を用いることを意図する。「異種」という用語は、異なる種または異なる細胞型に由来する細胞の構成要素、例えばDNAまたはタンパク質を指す。
【0029】
本発明は、低レベルのHNA−3aまたはHNA−3bを発現する細胞を用いること、ならびに異種プロモーターまたはエンハンサーを挿入することにより内因性タンパク質の発現を増大すること、あるいはHNA−3aまたはHNA−3b遺伝子のコピー数を増大することも意図する。用いられ得る細胞の例としては、EB−3細胞およびK−562細胞が挙げられる。
【0030】
本発明は、生物学的試料中のHNA−3a特異的抗体の検出方法であって、a)生物学的試料を獲得すること、b)前記生物学的試料を、配列番号1のHNA−3aポリペプチドの抗原性断片を模倣するアプタマーと接触させて、前記試料中のHNA−3a特異的抗体と複合体を形成させること、そしてc)前記生物学的試料がHNA−3a特異的抗体を含有する、ということを前記複合体の存在が示す前記複合体を検出すること、とを包含する方法も提供する。これらの方法は、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む抗原性断片を模倣するアプタマー用いて実行され得る。
【0031】
本発明は、生物学的試料中のHNA−3a特異的抗体の検出方法であって、a)生物学的試料を獲得すること、b)前記生物学的試料を、配列番号2のHNA−3bポリペプチドの抗原性断片を模倣するアプタマーと接触させて、前記試料中のHNA−3b特異的抗体と複合体を形成させること、そしてc)前記生物学的試料がHNA−3b特異的抗体を含有する、ということを前記複合体の存在が示す前記複合体を検出すること、とを包含する方法も提供する。これらの方法は、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む抗原性断片を模倣するアプタマー用いて実行され得る。
【0032】
本発明は、ドナー組織が、HNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体の存在の結果として、HNA−3aまたはHNA−3bを発現するヒトレシピエントにおいてTRALIまたは移植片対宿主病(GVHD)を誘発するか否かを判定するために、移植片または輸血のために意図されたドナー組織中のHNA−3aおよび/またはHNA−3b特異的抗体に関してスクリーニングする方法を提供する。
【0033】
一実施形態では、本発明は、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいてTRALIまたはGVHDを誘発する(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3a抗原を発現する)か否かを判定する方法であって、a)ヒト被験者に移植または輸血することを意図した組織の試料を獲得すること、b)前記試料を、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、試料中のHNA−3a特異的抗体と複合体を形成させること、そしてc)前記ドナー組織がHNA−3a抗原を発現するヒトレシピエントにおいてTRALIまたはGVHDを誘発しやすい、ということを前記複合体の存在が示す前記複合体を検出すること、とを包含する方法を提供する。これらの方法は、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるHNA−3aアミノ酸配列(配列番号1)の抗原性断片を用いて実行され得る。
【0034】
別の実施形態では、本発明は、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいてTRALIまたはGVHDを誘発する(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3b抗原を発現する)か否かを判定する方法であって、a)ヒト被験者に移植または輸血することを意図した組織の試料を獲得すること、b)前記試料を、配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、試料中のHNA−3b特異的抗体と複合体を形成させること、そしてc)前記ドナー組織がHNA−3b抗原を発現するヒトレシピエントにおいてTRALIまたはGVHDを誘発しやすい、ということを前記複合体の存在が示す前記複合体を検出することを包含する方法を提供する。これらの方法は、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26からなる群から選択されるHNA−3bアミノ酸配列(配列番号2)の抗原性断片を用いて実行され得る。
【0035】
さらなる実施形態では、本発明は、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいてTRALIまたはGVHDを誘発するか否かを判定する方法であって、HNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体を検出するほかに、以下のステップ:すなわち、前記試料を、Fc−γ受容体IIIbポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、前記試料中のHNA−1特異的抗体と複合体を形成させること;前記試料を、CD177ポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、前記試料中のHNA−2特異的抗体と複合体を形成させること;前記試料を、CD11bポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、前記試料中のHNA−4特異的抗体と複合体を形成させること;前記試料を、CD11aポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、前記試料中のHNA−5特異的抗体と複合体を形成させること;前記試料をHLA抗原と接触させて、前記試料中のHLA特異的抗体と複合体を形成させること;そして前記試料がヒトレシピエントにおいてTRALIまたはGVHDを誘発しやすい、ということを前記複合体のいずれかの存在が示す前記複合体を検出することのうちの1つもしくは複数のステップをさらに包含する方法を提供する。
【0036】
本発明は、HNA−3aおよび/またはHNA−3b特異的抗体に関して移植片または輸血のレシピエントをスクリーニングする方法も提供する。このスクリーニングは、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がHNA−3aまたはHNA−抗原を含む場合には、移植または輸血組織はレシピエントが対応する抗原に対する抗体を含むと拒絶されやすいため、注目される。拒絶に際して、レシピエントの抗体は、当該組織に結合し、異物として標的にし、その免疫系によりその組織を破壊する
【0037】
一実施形態では、本発明は、移植または輸血組織を拒絶することに対するヒト移植片または輸血のレシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織はHNA−3aポリペプチドまたはその抗原性断片を含有する)を判定する方法であって、a)移植または輸血前に、ヒトの移植片または輸血のレシピエントから生物学的試料を獲得すること、b)前記生物学的試料を、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、前記生物学的試料中のHNA−3a特異的抗体と複合体を形成させること、そしてc)前記ヒト移植片または輸血レシピエントが移植または輸血組織を拒絶することに対して感受性である、ということを前記生物学的試料中の複合体の存在が示す前記複合体を検出すること、とを包含する方法を提供する。これらの方法は、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるHNA−3aアミノ酸配列(配列番号1)の抗原性断片を用いて実行され得る。
【0038】
別の実施形態では、本発明は、移植または輸血組織を拒絶することに対するヒトの移植片または輸血のレシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織はHNA−3bポリペプチドまたはその抗原性断片を含有する)を判定する方法であって、a)移植または輸血前に、ヒト移植片または輸血レシピエントから生物学的試料を獲得すること、b)前記生物学的試料を、配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、前記生物学的試料中のHNA−3b特異的抗体と複合体を形成させること、そしてc)前記ヒトの移植片または輸血のレシピエントが移植または輸血組織を拒絶することに対して感受性である、ということを前記生物学的試料中の複合体の存在が示す前記複合体を検出すること、とを包含する方法を提供する。これらの方法は、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26からなる群から選択されるHNA−3bアミノ酸配列(配列番号2)の抗原性断片を用いて実行され得る。
【0039】
さらなる実施形態では、本発明は、移植または輸血組織を拒絶することに対する感受性(ここで、前記ドナー組織はHNA−3aまたはHNA−3bポリペプチドまたはその抗原性断片を含有する)を判定する方法であって、HNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体を検出することのほかに、以下のステップ:すなわち、前記生物学的試料を、Fc−γ受容体IIIbポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、前記生物学的試料中のHNA−1特異的抗体と複合体を形成させること;前記生物学的試料を、CD177ポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、前記生物学的試料中のHNA−2特異的抗体と複合体を形成させること;前記生物学的試料を、CD11bポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、前記生物学的試料中のHNA−4特異的抗体と複合体を形成させること;前記生物学的試料を、CD11aポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、前記生物学的試料中のHNA−5特異的抗体と複合体を形成させること;前記生物学的試料をHLA抗原と接触させて、前記生物学的試料中のHLA特異的抗体と複合体を形成させること;そしてヒトの移植片または輸血のレシピエントが移植または輸血組織の拒絶に対して感受性である、ということを前記生物学的試料中の複合体のいずれかの存在が示す前記複合体を検出すること(ここで、前記ドナー組織はHNA−1、HNA−2、HNA−3a、HNA−3b、HNH−4、HNA−5およびHLAのいずれかを含有する)、とのうちの1つもしくは複数をさらに包含する方法を提供する。
【0040】
前記方法のいずれかは、HNA−3aまたはHNA−3bエピトープを模倣し、したがってHNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体と結合するアプタマーを用いて実行され得る。
【0041】
本発明は、ドナー組織中のHNA−3aおよび/またはHNA−3bのスクリーニング方法を提供する。HNA−3aまたはHNA−3b抗原のスクリーニングは、移植片または輸血のレシピエントがHNA−3aまたはHNA−3b抗体を発現することが既知である場合、重要である。レシピエントの抗体は、ドナー組織内の細胞と結合して、移植または輸血された組織の拒絶の危険性を引き起こすかまたは増大し得る。
【0042】
一実施形態では、本発明は、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3a特異的抗体を有する)か否かを判定する方法であって、a)ヒトレシピエントに移植または輸血することを意図した組織の試料を獲得すること;b)前記試料を、配列番号1のアミノ酸配列を含むHNA−3aポリペプチドまたはその断片と特異的に結合する抗体と接触させて、試料中のHNA−3aと複合体を形成させること;そしてc)HNA−3a特異的抗体を発現するヒトレシピエントにおいて前記ドナー組織が拒絶されやすい、ということを前記複合体の存在が示す前記複合体を検出すること、とを包含する方法を提供する。
【0043】
別の実施形態では、本発明は、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3b特異的抗体を有する)か否かを判定する方法であって、a)ヒトレシピエントにおいて移植片または輸血のために意図された組織の試料を獲得すること;b)前記試料を、配列番号2のアミノ酸配列を含むHNA−3bポリペプチドまたはその断片と特異的に結合する抗体と接触させて、試料中のHNA−3bと複合体を形成させること;そしてc)HNA−3b特異的抗体を発現するヒトレシピエントにおいて前記ドナー組織が拒絶されると思われる、ということを前記複合体の存在が示す前記複合体を検出すること、とを包含する方法を提供する。
【0044】
さらなる実施形態では、本発明は、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいてTRALIまたはGVHDを誘発する(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3a特異的抗体またはHNA−3b特異的抗体を有する)か、否かを判定する方法であって、HNA−3aおよび/またはHNA−3b抗原を検出することのほかに、以下のステップ:すなわち、前記試料を、HNA−1と特異的に結合する抗体と接触させて、前記試料中のHNA−1と複合体を形成させること;前記試料を、HNA−2と特異的に結合する抗体と接触させて、前記試料中のHNA−2と複合体を形成させること;前記試料を、HNA−4と特異的に結合する抗体と接触させて、前記試料中のHNA−4と複合体を形成させること;前記試料を、HNA−5と特異的に結合する抗体と接触させて、前記試料中のHNA−5特異的抗体と複合体を形成させること;あるいは前記試料をHLA抗原と特異的に結合する抗体と接触させて、前記試料中のHLAと複合体を形成させること;そして、前記試料がヒトレシピエントにおいてTRALIまたはGVHDを誘発しやすい、ということを前記複合体のいずれかの存在が示す前記複合体を検出することのうちの1つもしくは複数のステップをさらに包含する方法を提供する。
【0045】
前記の方法のいずれかにおいて、これらの抗体は、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、アビジン標識またはビオチン標識からなる群から選択される標識を含み得る。さらに、上記の方法のいずれかにおいて、抗原−抗体複合体は、二次抗体を用いて検出され得る。二次抗体は、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、アビジン標識またはビオチン標識からなる群から選択される標識を含み得る。
【0046】
本発明はさらに、移植片または輸血ドナーのHNA−3aまたはHNA−3b対立遺伝子を遺伝子型分類する方法を提供する。遺伝子型分類するという用語は、ヒト被験者の特定の対立遺伝子、例えばHNA−3aまたはHNA−3bの存在を検出することを指す。これらの方法は、意図された移植片または輸血レシピエントがHNA−3aまたはHNA−3b抗体を発現することが既知であり、したがって、輸血またはトランスフェクトされた組織中のHNA−3aまたはHNA−3b抗原の存在がそれぞれレシピエントにより拒絶されやすい場合、注目される。遺伝子型分類方法は、HNA−3aまたはHNA−3b対立遺伝子を検出するオリゴヌクレオチドプローブ、あるいはHNA−3aまたはHNA−3b対立遺伝子を含むヌクレオチド断片を増幅するためのPCRを用い得るし、あるいはHNA−3aまたはHNA−3b対立遺伝子を検出するのに当該技術分野において標準であるシーケンシング法を用いる。
【0047】
一実施形態では、本発明は、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3a特異的抗体を発現する)か否かを判定する方法であって、a)移植片または輸血のために意図された組織の試料を獲得すること、b)前記試料から核酸を抽出すること、c)前記核酸を、配列番号3の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること、そしてd)前記核酸との前記プローブのハイブリダイゼーションを検出すること(ここで、前記プローブのハイブリダイゼーションはHNA−3a核酸の存在を示し、前記試料中のHNA−3aの存在は、HNA−3a特異的抗体を発現するヒトレシピエントにおいて前記試料が拒絶されやすい、ということを示す)、とを包含する方法を提供する。これらの方法は、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブを用いて実行され得る。
【0048】
本発明は、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3b特異的抗体を発現する)か否かを判定する方法であって、a)移植片または輸血のために意図された組織の試料を獲得すること、b)前記試料から核酸を抽出すること、c)前記核酸を、配列番号4の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること、そしてd)前記核酸との前記プローブのハイブリダイゼーションを検出すること(ここで、前記プローブのハイブリダイゼーションはHNA−3b核酸の存在を示し、前記試料中のHNA−3bの存在は、HNA−3b特異的抗体を発現するヒトレシピエントにおいて前記試料が拒絶されやすい、ということを示す)、とを包含する方法も提供する。これらの方法は、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブを用いて実行され得る。
【0049】
さらなる実施形態では、本発明は、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体を発現する)か否かを判定する方法であって、HNA−3a対立遺伝子またはHNA−3b対立遺伝子の存在を検出することのほかに、以下のステップ:すなわち、前記試料を、配列番号5の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること;前記試料を、配列番号7の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること;前記試料を、配列番号9の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること;前記試料を、配列番号11の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること;または前記試料を、HLA抗原をコードするヌクレオチド配列の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること;そして、前記核酸との前記プローブのハイブリダイズを検出すること(ここで、前記プローブのいずれかのハイブリダイゼーションは、前記試料中のHNA−1、HNA−2、HNA−3a、HNA−3b、HNH−4、HNA−5またはHLA核酸のいずれかの存在を示し、そして前記試料中のHNA−1、HNA−2、HNA−3a、HNA−3b、HNH−4、HNA−5またはHLA核酸のいずれかの存在は、前記試料がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい、ということを示す)、とのうちの1つもしくは複数をさらに包含し得る方法を提供する。例えば、本発明は、HNA−1の断片(配列番号5)が、配列番号5のヌクレオチド141、ヌクレオチド147、ヌクレオチド226、ヌクレオチド227、ヌクレオチド277またはヌクレオチド349の少なくとも1つを含む、ということを意図する。
【0050】
別の実施形態では、本発明は、TRALIまたはGVHDを発症することに対するヒト移植片または輸血レシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織は抗HNA−3a特異的抗体を含有する)を判定する方法であって、a)移植または輸血の前に、ヒト移植片または輸血レシピエントから生物学的試料を獲得すること、b)前記生物学的試料から核酸を抽出すること、c)前記核酸を、配列番号1のヌクレオチド配列の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること、そしてd)前記核酸との前記プローブのハイブリダイゼーションを検出すること(ここで、前記核酸との前記プローブのハイブリダイゼーションは前記生物学的試料中のHNA−3a核酸の存在を示し、前記生物学的試料中のHNA−3aの存在は、ヒト輸血または移植片レシピエントがTRALIまたはGVHDを発症することに対して感受性である、ということを示す)、とを包含する方法を提供する。これらの方法は、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブを用いて実行され得る。
【0051】
本発明は、TRALIまたはGVHDを発症することに対するヒト移植片または輸血レシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織はHNA−3b特異的抗体を含有する)を判定する方法であって、a)移植または輸血の前に、ヒト移植片または輸血レシピエントから生物学的試料を獲得すること、b)前記生物学的試料から核酸を抽出すること、c)前記核酸を、配列番号2のヌクレオチド配列の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること、そしてd)前記核酸との前記プローブのハイブリダイゼーションを検出すること(ここで、前記核酸との前記プローブのハイブリダイゼーションは前記生物学的試料中のHNA−3b核酸の存在を示し、前記生物学的試料中のHNA−3bの存在は、ヒト輸血または移植片レシピエントがTRALIまたはGVHDを発症することに対して感受性である、ということを示す)、とを包含する方法も提供する。これらの方法は、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブを用いて実行され得る。
【0052】
本発明はさらに、TRALIまたはGVHDを発症することに対するヒト移植片または輸血レシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織はHNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体を含有する)を判定する方法であって、それぞれHNA−3aまたはHNA−3b対立遺伝子の存在を検出することのほかに、以下のステップ:すなわち、前記試料を、配列番号5の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること;前記試料を、配列番号7の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること;前記試料を、配列番号9の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること;前記試料を、配列番号11の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること;または前記試料を、HLA抗原をコードするヌクレオチド配列の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること;そして前記核酸との前記プローブのハイブリダイズを検出すること(ここで、前記プローブのいずれかのハイブリダイゼーションは、前記試料中のHNA−1、HNA−2、HNA−3a、HNA−3b、HNH−4、HNA−5またはHLA核酸のいずれか1つの存在を示し、そして前記試料中のHNA−1、HNA−2、HNA−3a、HNA−3b、HNH−4、HNA−5またはHLA核酸のいずれか1つの存在は、前記試料がヒトレシピエントにおいてTRALIまたはGVHDを誘発しやすい、ということを示す)のうちの1つもしくは複数のステップをさらに包含する方法を提供する。例えば、本発明は、HNA−1(配列番号5)の断片が、配列番号5のヌクレオチド141、ヌクレオチド147、ヌクレオチド226、ヌクレオチド227、ヌクレオチド277またはヌクレオチド349の少なくとも1つを含む、ということを意図する。
【0053】
前記方法のいずれかにおいて、オリゴヌクレオチドプローブは、膜、フィルター、ビーズおよびチップからなる群から選択される支持体に貼り付けられ得る。さらに、本発明は、前記オリゴヌクレオチドプローブがアレイ状にある方法を提供する。本発明は、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、アビジン標識またはビオチン標識からなる群から選択される標識を含むオリゴヌクレオチドプローブを包含する。
【0054】
代替的には、本発明は、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3a特異的抗体を有する)か否かを判定する方法であって、a)前記組織から試料を獲得すること、b)前記試料から核酸を抽出すること、c)HNA−3a核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、前記抽出核酸から配列番号3のHNA−3a核酸の断片を増幅すること、そしてc)前記試料中のHNA−3a核酸の断片を検出すること(ここで、前記試料中のHNA−3a核酸の存在は、HNA−3a特異的抗体を有するヒトレシピエントにおいて前記試料が拒絶されやすい、ということを示す),とを包含する方法を提供する。これらの方法は、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするHNA−3a核酸の断片を増幅するプライマーを用いて実行され得る。
【0055】
本発明は、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3b特異的抗体を有する)か否かを判定する方法であって、a)前記組織から試料を獲得すること、b)前記試料から核酸を抽出すること、c)HNA−3b核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、前記抽出核酸から配列番号4のHNA−3b核酸の断片を増幅すること、そしてd)前記試料中のHNA−3b核酸の断片を検出すること(ここで、前記試料中のHNA−3b核酸の存在は、HNA−3b特異的抗体を有するヒトレシピエントにおいて前記試料が拒絶されやすい、ということを示す)、とを包含する方法も提供する。これらの方法は、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするHNA−3b核酸の断片を増幅する少なくとも1つのプライマーを用いて実行され得る。
【0056】
本発明はさらに、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体を有する)か否かを判定する方法であって、HNA−3aまたはHNA−3b対立遺伝子を検出することのほかに、以下のステップ:すなわち、HNA−1核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、HNA−1核酸の断片(配列番号5)を増幅すること;HNA−2核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、HNA−2核酸の断片(配列番号7)を増幅すること;HNA−4核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、HNA−4核酸(配列番号9)の断片を増幅すること;HNA−5核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、HNA−5核酸の断片(配列番号11)を増幅すること;またはHLA核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、HLA核酸の断片を増幅すること;そして前記試料中の任意のHNAまたはHLA核酸の断片を検出すること(ここで、前記試料中のHNAまたはHLA核酸の存在は、前記試料がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい、ということを示す)のうちの1つもしくは複数のステップをさらに包含する方法を提供する。
【0057】
別の実施形態では、本発明は、TRALIまたはGVHDを発症することに対するヒト移植片または輸血レシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織はHNA−3a特異的抗体を含有する)を判定する方法であって、a)移植または輸血の前に、ヒトの移植片または輸血のレシピエントから生物学的試料を獲得すること、b)前記生物学的試料から核酸を抽出すること、c)前記生物学的試料中のHNA−3a核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、前記抽出核酸からHNA−3a核酸の断片(配列番号3)を増幅すること、そしてd)前記生物学的試料中のHNA−3a核酸の存在を検出すること(ここで、前記生物学的試料中のHNA−3aの存在は、ヒトの輸血または移植片のレシピエントがTRALIまたはGVHDを発症することに対して感受性である、ということを示す)、とを包含する方法を提供する。これらの方法は、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするHNA−3a核酸配列の断片を増幅するプライマーを用いて実行され得る。
【0058】
別の実施形態では、本発明は、TRALIまたはGVHDを発症することに対するヒト移植片または輸血レシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織は抗HNA−3b抗体を含有する)を判定する方法であって、a)移植または輸血の前に、ヒトの移植片または輸血のレシピエントから生物学的試料を獲得すること、b)前記生物学的試料から核酸を抽出すること、c)HNA−3b核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、前記抽出核酸からHNA−3b核酸の断片(配列番号4)を増幅すること、そしてd)前記生物学的試料中のHNA−3b核酸の存在を検出すること(ここで、前記生物学的試料中のHNA−3bの存在は、ヒト輸血または移植片レシピエントがTRALIまたはGVHDを発症することに対して感受性である、ということを示す)、とを包含する方法を提供する。これらの方法は、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする核酸配列の断片を増幅するプライマーを用いて実行され得る。
【0059】
さらなる実施形態では、本発明は、TRALIまたはGVHDを発症することに対するヒト移植片または輸血レシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織はHNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体を含有する)を判定する方法であって、HNA−3aまたはHNA−3b対立遺伝子を検出することのほかに、以下のステップ:すなわち、HNA−1核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、HNA−1核酸の断片(配列番号5)を増幅すること;HNA−2核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、HNA−2核酸(配列番号7)の断片を増幅すること;HNA−4核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、HNA−4核酸(配列番号9)の断片を増幅すること;HNA−5核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、HNA−5核酸(配列番号11)の断片を増幅すること;またはHLA核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、HLA核酸の断片を増幅すること;そして前記試料中のHNA−1、HNA−2、HNA−3a、HNA−3b、HNA−4、HNA−5またはHLA核酸のいずれか1つの断片を検出すること(ここで、前記試料中のHNA−1、HNA−2、HNA−3a、HNA−3b、HNA−4、HNA−5またはHLA核酸のいずれか1つの存在は、前記試料がヒトレシピエントにおいてTRALIまたはGVHDを誘発しやすい、ということを示す)のうちの1つもしくは複数のステップをさらに包含する方法を提供する。
【0060】
本発明の前記方法のどの方法においても、前記組織試料または生物学的試料は、血液、血液誘導体、血漿、血清、細胞および組織からなる群から選択される。特に、前記組織試料または生物学的試料は、好中球であり得る。
【0061】
本発明は、前記方法のどれでも実行するためのキットも提供する。特に、本発明は、HNA−1、HNA−2、HNA−4、HNA−5およびHLAのうちの1つもしくは複数に特異的な抗体を検出するとともに、HNA−3aおよび/またはHNA−3b抗体を検出するためのキットを提供する。本発明は、HNA−1、HNA−2、HNA−4、HNA−5およびHLAを検出するとともに、HNA−3aおよび/またはHNA−3b抗原を検出するためのキットも提供する。本発明はさらに、HNA−1、HNA−2、HNA−4、HNA−5およびHLAのうちの1つもしくは複数に関する対立遺伝子を検出するとともに、HNA−3aまたはHNA−3b対立遺伝子を検出する方法を提供する。
【0062】
一実施形態では、本発明は、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいてTRALIまたはGVHDを誘発する(ここで、ヒトレシピエントはHNA−3a抗原を発現する)か、否かを判定するためのキットであって、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその抗原性断片、ならびにFc−γ受容体IIIbポリペプチド、CD177ポリペプチド、CD11bポリペプチド、CD11aポリペプチドおよびHLA抗原からなる群から選択される1つもしくは複数のポリペプチドまたはその抗原性断片を包含するキットを提供する。本キットは、HNA−3a特異的抗体の検出とともに、HNA3b特異的抗体の検出のために、配列番号2のアミノ酸を含むポリペプチドまたはその抗原性断片も包含し得る。
【0063】
本キットは、任意に、HNA−3aに特異的な抗体、ならびにHNA−1、HNA−2、HNA−4、HNA−5およびHLAからなる群から選択される抗原を含むペプチドと特異的に結合する1つもしくは複数の抗体も包含し得る。これらのキットのHNA−3aポリペプチド断片は、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み得る。
【0064】
本発明は、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3a特異的抗体を有する)か否かを判定するためのキットであって、HNA−3aに特異的な抗体、ならびにHNA−1、HNA−2、HNA−3b、HNA−4、HNA−5またはHLAからなる群から選択される抗原を含むペプチドと特異的に結合する1つもしくは複数の抗体を包含するキットも提供する。
【0065】
さらに、本発明は、TRALIまたはGVHDを発症することに対するヒト移植片または輸血レシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織は抗HNA−3a抗体を含有する)を判定するためのキットであって、HNA−3aに特異的な抗体、ならびにHNA−1、HNA−2、HNA−3b、HNA−4、HNA−5またはHLAからなる群から選択される抗原を含むペプチドと特異的に結合する1つもしくは複数の抗体を包含するキットを提供する。
【0066】
前記キットのどのキットも、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその抗原性断片、および/またはFc−γ受容体IIIbポリペプチド、CD177ポリペプチド、CD11bポリペプチド、CD11aポリペプチドおよびHLA抗原からなる群から選択される1つもしくは複数のポリペプチドまたはその抗原性断片をさらに包含し得る。本キットは、HNA−3a抗原の検出とともに、HNA−3b抗原の検出のためのHNA−3bに特異的な抗体も包含する。
【0067】
本発明は、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいてTRALIまたはGVHDを誘発する(ここで、ヒトレシピエントはHNA−3b抗原を発現する)か、否かを判定するためのキットであって、配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその抗原性断片、ならびにFc−γ受容体IIIbポリペプチド、CD177ポリペプチド、CD11bポリペプチド、CD11aポリペプチドおよびHLA抗原からなる群から選択される1つもしくは複数のポリペプチドまたはその抗原性断片を包含するキットを提供する。本キットは、HNA−3aに特異的な抗体、および/またはHNA−1、HNA−2、HNA−3b、HNA−4、HNA−5およびHLAからなる群から選択される抗原を含むペプチドと特異的に結合する1つもしくは複数の抗体も包含し得る。特に、本発明は、配列番号2のアミノ酸の抗原性断片が配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26からなる群から選択されるキットを意図する。
【0068】
本発明は、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3b特異的抗体を有する)か否かを判定するためのキットであって、HNA−3bに特異的な抗体、ならびにHNA−1、HNA−2、HNA−3a、HNA−4、HNA−5およびHLAからなる群から選択される抗原を含むペプチドと特異的に結合する1つもしくは複数の抗体を包含するキットも提供する。
【0069】
別の実施形態では、本発明は、TRALIまたはGVHDを発症することに対するヒト移植片または輸血レシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織は抗HNA−3b抗体を含有する)を判定するためのキットであって、HNA−3bに特異的な抗体、ならびにHNA−1、HNA−2、HNA−3a、HNA−4、HNA−5およびHLAからなる群から選択される抗原を含むペプチドと特異的に結合する1つもしくは複数の抗体を包含するキットを提供する。
【0070】
これらのキットは、配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその抗原性断片、および/またはFc−γ受容体IIIbポリペプチド、CD177ポリペプチド、CD11bポリペプチド、CD11aポリペプチドおよびHLA抗原からなる群から選択される1つもしくは複数のポリペプチドまたはその抗原性断片をさらに包含し得る。
【0071】
さらに、前記キットは、HNA−3b特異的抗体の検出とともに、HNA−3a特異的抗体の検出のために、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその抗原性断片を包含する。
【0072】
前記キットのどのキットも、二次抗体を包含し得る。一次または二次抗体は、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、アビジン標識またはビオチン標識からなる群から選択される標識を含み得る。
【0073】
さらなる実施形態では、本発明は、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3a特異的抗体を有する)か否かを判定するためのキットであって、配列番号3の核酸配列の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブ、ならびに配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11およびHLAヌクレオチド配列からなる群から選択される核酸配列の断片とハイブリダイズする1つもしくは複数のオリゴヌクレオチドプローブを包含するキットを提供する。
【0074】
本発明は、TRALIまたはGVHDを発症することに対するヒト移植片または輸血レシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織は抗HNA−3a抗体を含有する)を判定するためのキットであって、配列番号3の核酸配列の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブ、ならびに配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11およびHLAヌクレオチド配列からなる群から選択される核酸配列の断片とハイブリダイズする1つもしくは複数のオリゴヌクレオチドプローブを包含するキットも提供する。これらのキットのオリゴヌクレオチドプローブは、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列の断片を包含し得る。
【0075】
本発明は、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3b特異的抗体を発現する)か否かを判定するためのキットであって、配列番号4の核酸配列の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブ、ならびに配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11およびHLAヌクレオチド配列からなる群から選択される核酸配列の断片とハイブリダイズする1つもしくは複数のオリゴヌクレオチドプローブを包含するキットも提供する。
【0076】
本発明は、TRALIまたはGVHDを発症することに対するヒト移植片または輸血レシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織は抗HNA−3b抗体を含有する)を判定するためのキットであって、配列番号4の核酸配列の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブ、ならびに配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11およびHLAヌクレオチド配列からなる群から選択される核酸配列の断片とハイブリダイズする1つもしくは複数のオリゴヌクレオチドプローブを包含するキットも提供する。これらのキットのオリゴヌクレオチドプローブは、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列の断片を含み得る。
【0077】
前記キットのどのキットにおいても、オリゴヌクレオチドプローブは、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、アビジン標識およびビオチン標識からなる群から選択される標識を含み得る。さらに、これらのキットは、ゲルローディング用の緩衝液をさらに包含し得る。
【0078】
別の実施形態では、本発明は、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3a特異的抗体を発現する)か否かを判定するためのキットであって、配列番号3のHNA−3a核酸配列の断片を増幅するための少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11およびHLAヌクレオチド配列からなる群から選択される核酸配列の断片を増幅するための1つもしくは複数のオリゴヌクレオチドプライマーを包含するキットを提供する。
【0079】
本発明は、TRALIまたはGVHDを発症することに対するヒトの移植片または輸血のレシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織は抗HNA−3a抗体を含有する)を判定するためのキットであって、配列番号3のHNA−3a核酸配列の断片を増幅するための少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11およびHLAヌクレオチド配列からなる群から選択される核酸配列の断片を増幅するための1つもしくは複数のオリゴヌクレオチドプライマーを包含するキットも提供する。これらのプライマーは、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするHNA−3a核酸の断片を増幅し得る。
【0080】
前記キットは、オリゴヌクレオチドプライマーにより増幅されるHNA−3a核酸の断片、および/または、オリゴヌクレオチドプライマーにより増幅される、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11およびHLAヌクレオチド配列からなる群から選択される核酸配列の1つもしくは複数の断片をさらに包含し得る。さらに、これらのキットは、HNA−3aの断片の増幅とともに、配列番号4のHNA−3b核酸の断片を増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーをさらに包含する。
【0081】
別の実施形態では、本発明は、移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3b特異的抗体を発現する)か否かを判定するためのキットであって、配列番号4のHNA−3b核酸配列の断片を増幅するための少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11およびHLAヌクレオチド配列からなる群から選択される核酸配列の断片を増幅するための1つもしくは複数のオリゴヌクレオチドプライマーを包含するキットを提供する。
【0082】
本発明は、TRALIまたはGVHDを発症することに対するヒト移植片または輸血レシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織は抗HNA−3b抗体を含有する)を判定するためのキットであって、配列番号4のHNA−3b核酸配列の断片を増幅するための少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11およびHLAヌクレオチド配列からなる群から選択される核酸配列およびHLAヌクレオチド配列の断片を増幅するための少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを包含するキットも提供する。これらのプライマーは、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするHNA−3a核酸の断片を増幅し得る。
【0083】
前記キットのどのキットも、PCR増幅のための緩衝液、dNTPおよびゲルローディングのための緩衝液を包含し得る。
【0084】
別の実施形態では、本発明は、単離HNA−3bポリペプチド、例えば、配列番号2のアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド、配列番号2のポリペプチドの断片を含む単離ポリペプチドであって、前記断片が少なくとも7アミノ酸長、少なくとも10アミノ酸長、少なくとも20アミノ酸長または少なくとも50アミノ酸長である単離ポリペプチドを提供する。HNA−3bの断片としては、配列番号2のアミノ酸残基を含む断片(ここで、残基154はグルタミン(Gln)である)が挙げられる。HNA−3bポリペプチドの断片は、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26のアミノ酸配列を含み、HNA−3b特異的同種異系抗体と反応するかまたは特異的に結合する。本発明は、HNA−3bポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも提供する。
【0085】
本発明は、配列番号1のHNA−3aポリペプチドの断片、例えば、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42のアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドを提供し、この単離ポリペプチドはHNA−3a特異的同種異系抗体と反応するかまたは特異的に結合する。
【0086】
別の実施形態では、本発明は、HNA−3a特異的同種異系抗体の同定のためのHNA−3aポリペプチドまたはその断片の使用を提供する。HNA−3b特異的同種異系抗体の同定のためのHNA−3bポリペプチドまたはその断片の使用も提供される。
【0087】
本発明はさらに、HNA−3a遺伝子型の確定のための、HNA−3a特異的同種異系抗体と反応するか、特異的に結合するタンパク質をコードするHNA−3aポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその断片の使用を提供する。さらに、本発明は、HNA−3a遺伝子型の確定のための、HNA−3bポリヌクレオチドまたはその断片の使用を提供する。例えば、本発明は、HNA−3b遺伝子型の確定のためのコドン154を含む配列番号4の断片の使用を提供する。
【0088】
さらなる実施形態では、本発明は、HNA−3a抗原に対する抗体の同定のために、血液試料または血漿の分析における、HNA−3a特異的同種異系抗体と反応する配列番号1のアミノ酸配列またはその断片を含むタンパク質またはHNA−3aタンパク質断片の使用を提供する。
【0089】
本発明は、HNA−3b抗原に対する抗体の同定のために、血液試料または血漿の分析におけるHNA−3bポリペプチドの使用も提供する。
【0090】
血液試料または血漿から抗体を分離するためにタンパク質またはタンパク質断片を用いるプロセスにおける、配列番号1のアミノ酸配列(HNA−3a)またはその断片、あるいは配列番号2のアミノ酸(HNA−3b)またはその断片を含むポリペプチドの使用。
【0091】
抗体、好ましくはモノクローナル抗体を産生するためにタンパク質またはタンパク質断片を用いるプロセスにおける、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチド(HNA−3a)またはその断片、あるいは配列番号2のポリペプチド(HNA−3b)またはその断片の使用。さらなる実施形態では、本発明は、ヒト被験者におけるHNA−3b遺伝子型のスクリーニング方法であって、a)前記ヒト被験者から生物学的試料を獲得すること、b)前記生物学的試料から核酸を抽出すること、そしてc)前記生物学的試料中の配列番号4の核酸配列の断片を検出すること(ここで、前記断片は配列番号4のコドン154を含み、配列番号4のコドン154の検出は、前記ヒト被験者がHNA−3b遺伝子型を有するということを示す)、とを包含する方法を提供する。本検出ステップは、前記核酸を、配列番号4の核酸配列の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること、あるいは配列番号4の断片に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて前記抽出核酸から配列番号4の断片を増幅することを包含し得る。HNA−3b遺伝子型に関してスクリーニングする方法に関しては、用いられる生物学的試料は、血液、血液誘導体、血漿、血清、細胞および組織からなる群から選択され得る。
【0092】
本発明の配列
配列番号1 − ヒトHNA−3aタンパク質
【0093】
配列番号2 − ヒトHNA−3bタンパク質
【0094】
配列番号3 −ヒトHNA−3aDNA
【0095】
配列番号4 −ヒトHNA−3bDNA
【0096】
配列番号5 − ヒトFCγ受容体IIIbDNA(HNA−1)
【0097】
配列番号6 − ヒトFCγ受容体IIIbタンパク質(HNA−1)
【0098】
配列番号7 − ヒトCD177DNA(HNA−2)
【0099】
配列番号8 − ヒトCD177タンパク質(HNA−2)
【0100】
配列番号9 − ヒトCD11bDNA(HNA−4)
【0101】
配列番号10 − ヒトCD11bタンパク質(HNA−4)
【0102】
配列番号11 − ヒトCD11aDNA(HNA−5)
【0103】
配列番号12 − ヒトCD11aタンパク質(HNA−5)
【0104】
配列番号13 − HNA−3a(配列番号1)のアミノ酸1〜231
【0105】
配列番号14 − HNA−3a(配列番号1)のアミノ酸55〜183
【0106】
配列番号15 − HNA−3a(配列番号1)のアミノ酸55〜164
【0107】
配列番号16 − HNA−3a(配列番号1)のアミノ酸114〜164
【0108】
配列番号17 − HNA−3a(配列番号1)のアミノ酸55〜706
【0109】
配列番号18 − HNA−3a(配列番号1)のアミノ酸114〜706
【0110】
配列番号19 − HNA−3b(配列番号2)のアミノ酸1〜231
【0111】
配列番号20 − HNA−3b(配列番号2)のアミノ酸55〜183
【0112】
配列番号21 − HNA−3b(配列番号2)のアミノ酸55〜164
【0113】
配列番号22 − HNA−3b(配列番号2)のアミノ酸114〜164
【0114】
配列番号23 − HNA−3b(配列番号2)のアミノ酸55〜706
【0115】
配列番号24 − HNA−3b(配列番号2)のアミノ酸114〜706
【0116】
配列番号25 − HNA−3a(配列番号1)のアミノ酸154〜164
【0117】
配列番号26 − HNA−3b(配列番号2)のアミノ酸154〜164
【0118】
配列番号27〜47 − 表1のHNA−3aの断片
【0119】
配列番号48 − HNA−3a(配列番号1)のアミノ酸145〜167
【0120】
配列番号49〜55 − プライマー配列。
【発明を実施するための形態】
【0121】
本発明は、HNA−3がCTL2膜貫通タンパク質上に位置するという発見に基づいている。輸血レシピエントにおいてTRALIを誘発することが既知であったが、HNA−1およびHNA−2抗体に関して陰性であった血清試料を用いて、HNA−3a抗原の供給源を同定した。HNA−3a血清により免疫沈降されたHNA−3a陽性および陰性細胞表面タンパク質を先ず比較することにより、HNA−3aを同定した。フローサイトメトリーにより、HNA−3a陽性および陰性血清で細胞を特徴付けした。次いで、HNA陽性および陰性顆粒球を、HNA−3a陽性血清とともにインキュベートし、当該血清と反応する細胞表面タンパク質を、実施例6に詳述されるようなプロテインG被覆磁気ビーズを用いて免疫沈降させた。SDS−PAGEを用いてタンパク質プロフィールを先ず分析したが、約80〜100kDの分子量を有する2つの同定されたタンパク質は、陽性細胞中にのみ存在し、陰性細胞中には存在しなかった。それらのタンパク質をSDSゲルから切り出して、質量分光分析法(MS)によりさらに分析して、アミノ酸配列をシーケンシングすることにより確認した。
【0122】
本発明は、HNA−3aまたはHNA−3b抗原に特異的な抗体を検出するための生物学的試料のスクリーニング方法を提供する。生物学的試料としては、全血、血液誘導体、赤血球濃縮物、血漿、血清、新鮮凍結血漿、全血由来血小板濃縮物、アフェレーシス血小板、プール血小板、静脈内ガンマグロブリン、寒冷沈降物、脳脊髄液、組織および細胞、例えば幹細胞、好中球および顆粒球が挙げられる。生物学的試料は、移植のために意図された組織または細胞のヒトドナー、あるいは輸血のために意図された血液または血液誘導体のヒトドナーから獲得され得る。生物学的試料は、ヒトレシピエントに移植するために意図した組織または細胞から獲得され得る。さらに、生物学的試料は、ヒトレシピエントに輸血するために意図した血液または血液誘導体から獲得され得る。生物学的試料は、移植片または輸血の意図されたレシピエントであるヒト被験者からも獲得され得る。
【0123】
本発明は、レシピエントが移植片対宿主病(GVHD)を発症する場合の感受性に関してスクリーニングすること、あるいは発症するか否かを判定することにも関する。GVHDは、レシピエントを攻撃する免疫学的コンピテント細胞または抗体を組織が含む場合である。GVHDの主因は、同種異系間(2つの個体間)および自己由来(同一個体から)の両方の造血細胞移植である。固形器官移植片、輸血および母親−胎児輸血もGVHDを引き起こすと報告されている。GVDHの急性症候としては、腹部の疼痛または障害、下痢、発熱、黄疸、皮膚発疹、嘔吐および体重損失が挙げられる。GVHDの慢性症候としては、ドライアイ、口渇、肝炎、肺および消化管障害ならびに皮膚発疹が挙げられる。
【0124】
本発明は、移植または輸血組織がレシピエントにより拒絶されやすいか否かを判定することに関連した方法および生成物にも関する。拒絶の症候としては、移植器官が適正に機能しないという適応症、全身性不快、困惑または気分の悪さ、疼痛あるいは器官の位置での腫脹および発熱が挙げられる。
HNA−3aおよびHNA−3bの同定
【0125】
したがって、TRALIに関与するヒト好中球抗原−3aまたは−3b(HNA−3a、HNA−3b)ノタンパク質およびDNA配列を同定し、提供することが、本発明の一目的である。
【0126】
言い換えれば、HNA−3aに特異的である同種異系抗体と反応するアミノ酸配列(配列番号1)からなるタンパク質(HNA−3a抗原)の提供により、ならびにHNA−3bに特異的である同種異系抗体と反応するアミノ酸配列(配列番号2)からなるタンパク質(HNA−3b抗原)の提供により、問題を解決した。
【0127】
HNA−3a陽性および陰性被験者の細胞がさらなる研究のために用いられ得るHNA−3a陽性および陰性被験者の同定のために、問題となっている被験者を検査した。ドナーの血液製剤がTRALIを誘発しているドナーからの抗体、ならびに対応する抗原が白血球の表面上に発現される白血球を用いた。HNA−3a抗体とともに抗原が沈降され得る高力価HNA−3a抗体を有する被験者の同定後、抗原−抗体反応のために十分な材料を得るために、ドナーを血漿分離交換に付した。これらの抗体によりこれらの抗原を沈降させ、HNA−3aの依然として未知のタンパク質/遺伝子構造を特徴付けした。
【0128】
詳述すると、先ず、顆粒球の調製の最適化を開発した。次いで、スクリーニング計画により、その細胞がさらなる研究に用いられ得るHNA−3a陽性および陰性被験者を確定した。次に、HNA−3a抗体とともに抗原が沈降され得る高力価HNA−3a抗体を有する被験者を選択した。抗原−抗体反応に十分な材料を得るために、選択した被験者の血漿分離交換を実行した。血小板が核を有さず、したがって調製が簡単であるため、血小板を用いて、定量的ゲル電気泳動のための顆粒球膜タンパク質の調製のための方法を先ず開発した。次いで、当該方法を、核を含有する白血球/顆粒球に移し、適合させた。これにより、顆粒球膜タンパク質の調製の最適化が可能になった。分析法により、対応するタンパク質を分析した。免疫沈降により調製膜タンパク質からのHNA−3aの濃縮/単離を実行し、ウエスタンブロットにより確認した。質量分光分析法により、HNA−3aを保有するタンパク質を同定し、その後、配列分析によりHNA−3aの一次配列を同定した(配列番号1)。
【0129】
したがって本発明は、HNA−3a特異的である同種異系抗体と反応するアミノ酸配列(配列番号1)からなるタンパク質(HNA−3a抗原)に関する。さらに、1つもしくは複数のアミノ酸が除去されたか、付加されたかまたは置換された、そしてHNA−3a特異的である同種異系抗体と反応する、アミノ酸配列(配列番号1)からなるタンパク質(HNA−3a抗原)も包含される。同定されたHNA−3a抗原は、膜貫通受容体CTL2の変異体であることを証明した。これは、80〜100kDaの範囲の分子量を有し、脱グリコシル化は、ウエスタンブロットにおいてバンドを64kDaにシフトした。
【0130】
HNA−3抗原は、顆粒球およびリンパ球上のCTL2上で発現される。細胞外ループ上の単一ヌクレオチド多形(SNP)は、このSNPがHNA−3aおよびHNA−3b間の違いであるので、極めて重要である(SNP rs2288904)。このSNPは、それらのHNA−3a/HNA−3b状態に関連して、血液ドナーの遺伝子型分類を可能にする。HNA−3aをコードするポリヌクレオチドは位置461に「G」(グアニン)を有し、結果として、HNA−3aアミノ酸配列の位置154の「R」(アルギニン、Arg)をコードし、したがって、HNA−3a対立遺伝子を表す。HNA−3bをコードするポリヌクレオチドは位置461に「A」(アデニン)を有し、結果として、そのアミノ酸配列の位置154の「Q」(グルタミン、Gln)をコードし、したがって、HNA−3b対立遺伝子を表す。
【0131】
位置154アルギニン(Arg、R)のグルタミン(Gln、Q)へのアミノ酸交換により、HNA−3b抗原の一次配列を確定した(配列番号2参照)。したがって、本発明は、HNA−3b特異的同種異系抗体と反応する配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質(HNA−3b)に関する。同様に、本発明は、1つもしくは複数のアミノ酸が除去されたか、付加されたかまたは置換された、そしてHNA−3b特異的同種異系抗体と反応する、配列番号2のアミノ酸配列からなるHNA−3bタンパク質を包含する。
【0132】
同様に、本発明は、少なくとも7、少なくとも10アミノ酸、少なくとも20アミノ酸または少なくとも50アミノ酸の鎖長を有するタンパク質断片である、HNA−3aおよびHNA−3bの両方に関する、タンパク質を提供する。
【0133】
その後、HNA−3a遺伝子を単離し、異種発現させた。対応するHNA−3aのDNA配列は、ヌクレオチド配列(配列番号3)(上記HNA−3a抗原をコードし、HNA−3a特異的同種異系抗体と反応するかまたはそれと結合する)として示される配列、ならびにそれとハイブリダイズする全ての配列に対応する。本発明は、配列番号3(上記HNA−3a抗原をコードし、HNA−3a特異的同種異系抗体と反応するかまたはそれと結合する)と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%のヌクレオチドレベルでの同一性を有するヌクレオチド配列、ならびにそれとハイブリダイズする全ての配列も包含する。
【0134】
さらに、本発明は、ヌクレオチド配列(配列番号3)と少なくとも70%同一である配列番号3のヌクレオチド配列のスプライス変異体を提供する。好ましくは配列番号3との配列同一性は、少なくとも80%、さらに好ましくは90%、最も好ましくは95%である。
【0135】
本発明はさらに、ヌクレオチド配列(配列番号4)(上記HNA−3b抗原をコードし、HNA−3b特異的同種異系抗体と反応する)ならびにそれとハイブリダイズする全ての配列を提供する。これは、配列番号4(上記HNA−3b抗原をコードし、HNA−3b特異的である同種異系抗体と反応する)と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%のヌクレオチドレベルでの同一性を有するヌクレオチド配列、ならびにそれとハイブリダイズする全ての配列も包含する。例示的な緊縮ハイブリダイゼーション条件は、65℃でハイブリダイズさせること、65℃の0.25×SSC、0.1%SDSで15分間、3回洗浄することを包含する。付加的例示的な緊縮ハイブリダイゼーション条件は、約50℃〜70℃の温度の0.02M〜0.15MのNaClまたは65℃の0.5×SSC、0.25%SDS中で、15分間ハイブリダイズさせること、その後、65℃で30分間洗浄すること、あるいは65℃で14時間ハイブリダイズさせ、その後、65℃の0.5×SSC、1%SDSで3回洗浄することを包含する。
【0136】
さらに、本発明は、ヌクレオチド配列(配列番号4)と少なくとも70%同一である配列番号4のヌクレオチド配列のスプライス変異体を提供する。好ましくは配列同一性は、少なくとも80%、さらに好ましくは90%、最も好ましくは95%である。
【0137】
配列同一性またはヌクレオチドレベルでの同一性は、一般に、100%同一性を意味する。
【0138】
確定された一次構造に基づいて、抗原の組換え産生のための方法を、既知のタンパク質/抗原HNA−1a、−1b、−1c、−2aを基礎にして最適化した。HNA−1およびHNA−2抗原に関して得られた結果をHNA−3aまたはHNA−3bに移したが、その結果、適切な発現系で、例えば大腸菌中で、真核生物細胞中で、昆虫細胞中でこれらの抗原を産生し得る。
【0139】
本発明は、したがって、HNA−3a特異的同種異系抗体の同定のために、配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質(HNA−3a抗原)の使用を含む。同様に、HNA−3b特異的同種異系抗体の同定のために、配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質(HNA−3b抗原)の使用が本発明に包含される。
【0140】
さらに、本発明は、HNA−3a遺伝子型を判定するために配列番号3のヌクレオチド配列の使用、ならびにHNA−3b遺伝子型を判定するために配列番号4のヌクレオチド配列の使用を包含する。
【0141】
本発明の方法は、ELISA検定、フローサイトメトリー、免疫蛍光法、エレクトロチップ検定、PCRおよび凝集検査を用いて実行され得る。
【0142】
同様に、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質(HNA−3a抗原)と結合するHNA−3a特異的同種異系抗体を確定するための試験系を提供する。本発明は、配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質(HNA−3b抗原)と結合するHNA−3b特異的同種異系抗体を確定するための試験系を提供する。
【0143】
本発明は、配列番号3のヌクレオチド配列を含むHNA−3a遺伝子型を確定するための試験系、ならびに配列番号4のヌクレオチド配列を含むHNA−3b遺伝子型を確定するための試験系も提供する。
【0144】
本発明によれば、配列番号1のアミノ酸からなるタンパク質(HNA−3a抗原)は、HNA−3a抗原と特異的に結合する抗体の同定のために血液試料または血漿の分析に用いられ得る。同様に、配列番号2のアミノ酸からなるタンパク質(HNA−3b抗原)は、HNA−3b抗原に対する抗体の同定のために血液試料または血漿の分析に用いられ得る。
【0145】
本発明はさらに、血液試料または血漿から抗体を分離するための、抗原を用いる方法における配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質(HNA−3a抗原)の使用を包含する。本発明は、同様に、血液試料または血漿から抗体を分離するための、抗原を用いる方法における上記と同様の配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質(HNA−3b抗原)の使用を包含する。特に好ましいのは、血漿分離交換法のような吸着方法における当該タンパク質の使用である。
【0146】
本発明はさらに、抗体、好ましくはモノクローナル抗体を産生するための、抗原を用いる方法における配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質(HNA−3a抗原)の使用を提供する。同様に、本発明は、抗体、好ましくはモノクローナル抗体を産生するための、抗原を用いる方法における配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質(HNA−3b抗原)の使用を提供する。
【0147】
HNA−3aの抗原性断片
HNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体を生じるHNA−3aまたはHNA−3bの抗原性断片のエピトープマッピングは、当該技術分野で標準な方法、例えば部位特異的突然変異誘発、遺伝子工学処理、CTL2ペプチドライブラリーの解析、予測アルゴリズム、機能的分析、例えばELISpotまたは細胞内サイトカイン染色、および細胞結合検定を用いて同定され得る。ペプチドライブラリーの解析のための高処理量系、例えばREVEAL&ProVE(商標)系(Proimmune, Springfield. VA)が、市販されている。
【0148】
HNA−3a(配列番号1)の好ましいタンパク質断片としては、同種異系抗体のようなHNA−3a特異的抗体と反応するか結合する、少なくとも配列番号13のアミノ酸配列(配列番号1のアミノ酸1〜231)、少なくとも配列番号14のアミノ酸配列(配列番号1のアミノ酸55〜183)、少なくとも配列番号15のアミノ酸配列(配列番号1のアミノ酸55〜164)、少なくとも配列番号16のアミノ酸配列(配列番号1のアミノ酸114〜164)、少なくとも配列番号25のアミノ酸配列(配列番号1のアミノ酸154〜164)、少なくとも配列番号17のアミノ酸配列(配列番号1のアミノ酸55〜706)、および少なくとも配列番号18のアミノ酸配列(配列番号1のアミノ酸114〜706)が挙げられる。
【0149】
さらに、本発明は、1つもしくは複数のアミノ酸が除去され、付加されまたは置換されており、HNA−3a特異的抗体または同種異系抗体と反応するかまたは結合する、本明細書中に記載されるような配列番号1のアミノ酸配列からなる任意のタンパク質断片に関する。
【0150】
本発明は、配列番号2のアミノ酸のタンパク質断片に関する。HNA−3b(配列番号2)の好ましいタンパク質断片としては、同種異系抗体のようなHNA−3b特異的抗体と反応するか結合する、少なくとも配列番号19のアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸1〜231)、少なくとも配列番号20のアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸55〜183)、少なくとも配列番号21のアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸55〜164)、少なくとも配列番号22のアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸114〜164)、少なくとも配列番号26のアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸154〜164)、少なくとも配列番号23のアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸55〜706)、および少なくとも配列番号24のアミノ酸配列(配列番号2のアミノ酸114〜706)が挙げられる。
【0151】
同様に、本発明は、1つもしくは複数のアミノ酸が除去され、付加されまたは置換されており、HNA−3b特異的抗体または同種異系抗体と反応するかまたは結合する、上記のような配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質断片に関する。
【0152】
HNA−3特異的抗体の検出方法
本発明は、生物学的試料中のHNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体の検出方法を提供する。本発明は、HNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体を検出することとともに、HNA−1、HNA−2またはHLAに特異的な抗体のような他の抗体を検出することも意図する。抗体の検出方法としては、非特異的および特異的検定、例えば顆粒球免疫蛍光試験、顆粒球免疫蛍光フローサイトメトリー検定(GIFT−FC)、顆粒球抗原のモノクローナル抗体固定化(MAIGA)検定、一元放射免疫拡散検定(SRID)、酵素免疫検定および赤血球凝集抑制検定(HAI)が挙げられる。
【0153】
例示的な非特異的検定は、標的として無傷顆粒球を用い、例えば、GIFT−FCは、異なるHNAを有する好中球のパネルを用いる(Davoren, et al. Transfusion 43(5): 641−5, 2003;Kobayashi et al, Ped. Res. 26: 246−249)。この好中球を、先ず、試験血清とともにインキュベートし、その後、蛍光標識二次抗体、例えば抗ヒト多価免疫グロブリン、IgG、IgMおよびIgAとともにインキュベートする。洗浄後、細胞懸濁液と結合している抗体を、フローサイトメトリーにより検査する。
【0154】
例示的な特異的検定、例えばMAIGA検定は、標的として固定化HNA糖タンパク質を用いる。MAIGAは、試験血清内の好中球抗原を捕捉するためにHNA−3特異的モノクローナル抗体を用いるELISAベースの試験である。その後、細胞混合物を酵素標識二次抗体、例えば抗マウスIgGとともにインキュベートし、そして比色検定で結合を検出する(Bux, et al. Transfusion Med. 3(2): 157−62, 1993;Metcalfe & Waters, Transfusion Med. 2: 283−287,1992)。
【0155】
ELISA検定を用いて、試料中の総抗体を確定する。免疫原、例えば配列番号1のHNA−3aポリペプチド、配列番号2のHNA−3bポリペプチドまたはその抗原性断片を、微量滴定プレートの表面に吸着させる。試験血清を当該プレートに曝露し、その後、酵素結合性免疫グロブリン、例えばIgGに曝露する。プレートに吸着している酵素活性は分光光度計のような任意の便利な手段により定量され、試験試料中に存在する免疫原に対する抗体の濃度に比例する。さらに、HNA−3aまたはHNA−3bポリペプチドまたはその抗原性断片は、HNA−3aまたはHNA−3bに特異的な抗体の検出のための膜、ビーズ、フィルター、ガラス、ケイ素、金属、金属合金、anopore、重合体、ナイロンまたはプラスチックのような固体支持体に結合させることができる。
【0156】
SRID検定は、試験されている抗原を含有するアガロースのようなゲルの層を利用する。このゲル中で切断されたウェルに、試験血清を入れる。ゲル中への抗体の拡散は、沈降輪の面積が試験されている血清中の抗体の濃度に比例する沈降輪を形成する。
【0157】
HAIは、ニワトリ赤血球(等)を凝集する免疫原の能力を利用する。この検定は、中和抗体、すなわち、赤血球凝集を抑制し得る抗体を検出する。試験血清の希釈液を標準濃度の免疫原とともにインキュベートし、その後、赤血球を付加する。中和抗体の存在は、免疫原による赤血球の凝集を抑制する。
【0158】
移植片または輸血患者の血清中の循環抗HNA−3aまたは抗HNA−3b抗体を検出するために、付加的な検定が用いられ得る。このような検定では、補体媒介性溶解活性の検出により、抗HNA−3aまたはHNA−3b抗体の存在に関して、血清をスクリーニングする。最も高頻度に見られるHNA−3aまたはHNA−3b抗原を有する個体のパネルから、TおよびBリンパ球に対する補体媒介性溶解活性に関して血清をスクリーニングする。ジチオエリトリトールの存在下または非存在下で、本検定を実施する。
【0159】
本発明のHNA−3aまたはHNA−3b抗体の検出方法は、好中球、あるいはHNA−3aまたはHNA−3bを発現するよう形質転換されたかまたはトランスフェクトされた任意の細胞型を用いて実行され得る。当該方法は、HNA−3aまたはHNA−3を内因的に発現しない細胞、例えばB細胞、CHO細胞または昆虫細胞を用いて実行され得る。本発明は、低レベルのHNA−3aまたはHNA−3bを発現する細胞を用いること、ならびに異種プロモーターまたはエンハンサーを挿入することにより内因性HNA−3aまたはHNA−3bタンパク質の発現を増大すること、あるいはHNA−3aまたはHNA−3b遺伝子のコピー数を増大することも意図する。
【0160】
本発明の方法に用いられ得る例示的なB細胞としては、EB−3細胞(ATCC CCL85)、K−562細胞(ATCC CCL243)、RAJI細胞(ATCC CCL86)、Jiyoye細胞(CCL87)、IM−9(ATCC159)、Daudi細胞(ATCC CCL213)、NC−37細胞(ATCC 214)、Mo−B細胞(ATCC 245)、KG−1細胞(ATCC CCL246)、H2126細胞(ATCC 256)、BL2126細胞(ATCC 256)およびMCL−5細胞(ATCC CCL10575)が挙げられる。本発明の方法に用いられ得るその他の例示的な細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)(ATCC No.CCL61)、CHO DHFR細胞(Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97: 4216−4220 (1980))、ヒト胚性腎臓(HEK)293または293T細胞(ATCC No.CCL1573)、あるいは3T3細胞(ATCC No.CCL92)、サルCOS−1(ATCC No.CCL1650)およびCOS−7細胞(ATCC No.CCL1651)ならびにCV−1細胞(ATCC No.CCL70)が挙げられる。さらに、昆虫細胞、例えばSF−9およびHI5細胞が、本発明の方法に用いられ得る。
【0161】
さらに、低または中等度レベルでHNA−3aまたはHNA−3bを内因的に発現する細胞は、内因性HNA−3aまたはHNA−3bを増強するかまたは過剰発現するよう修飾され得る。例えば、プロモーター、エンハンサー素子または内因性転写調節素子が、HNA−3aまたはHNA−3bポリペプチドをコードするDNAの転写に影響を及ぼすのに十分な近接性および配向で意図された細胞のゲノム中に挿入される。制御素子は、宿主細胞ゲノム中に存在するDNAの一部を制御する。したがって、HNA−3aまたはHNA−3bポリペプチドの発現は、HNA−3aまたはHNA−3b遺伝子それ自体をコードするDNAのトランスフェクションによるのでなく、むしろ、転写のための認識可能なシグナルを有する内因性遺伝子配列を提供するDNA調節セグメントに連結されたターゲッティングDNA(当該内因性遺伝子と相同の領域を含有する)の使用により、達成され得る。
【0162】
本発明は、生物学的試料を、HNA−3aまたはHNA−3b抗原性断片またはエピトープを模倣するアプタマーと接触させることにより、生物学的試料内のHNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体を検出する方法も提供する。アプタマーは、高親和性および特異性を有する標的タンパク質を結合する配列依存性三次元形状を有する一本鎖オリゴヌクレオチドを含む高分子である。本発明は、HNA−3aまたはHNA−3bエピトープを模倣し、したがってHNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体と結合する配列を有するアプタマーを開発し、使用することを意図する。これらのアプタマーは、HNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体の存在を検出するために本発明の方法のどの方法にも用いられ得る。
【0163】
本発明のアプタマーは、チオレドキシンのような足場に融合される15〜50塩基の範囲のサイズの一本鎖RNAまたはDNAオリゴヌクレオチドを含み得る。これらのアプタマーは、本発明のHNA−3aおよびHNA−3bペプチドの物理的または構造的特質を模倣する。これらのアプタマーは、一般に、指数関数的濃縮によるリガンドの統計的進化(SELEX)として既知のin vitro選択プロセスにより組合せライブラリーから得られる。HNA−3aまたはHNA−3b抗体に対するアプタマーを同定し、合成するための例示的な方法は、Lo, Antibody Engineering: methods and protocols Vol 248 of Methods in Molecular Biology, Humana Press 2004;Klussmann, The Aptamer Handbook: functional oligonucleotides and their applications Wily−VCH, 2006;およびJayasena Clin. Chem. 45: 168−1650, 1999に示されている。本明細書中に記載される検定のいずれかを用いて、意図されたアプタマーがHNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体と結合することを確認し得る。
【0164】
さらに、本発明は、HNA−3aまたはHNA−3bの抗原性断片の二次または三次構造を模倣するが、一方、一次アミノ酸構造が異なるペプチドを用いてHNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体を検出する方法を提供する。これらのペプチドの構造的特質は、HNA−3aまたはHNA−3b抗体をこれらのペプチドと交差反応させる。これらのペプチドは、当該技術分野における標準方法、例えばファージ表示ペプチドライブラリーおよび組合せライブラリーを用いて同定され得る。
【0165】
HNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体の識別方法
生物学的試料中のHNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体を検出するための本明細書中に記載される技法のどの技法を用いても、特定の抗体がHNA−3aまたはHNA−3bと特異的に結合するか否かを識別し得る。これらの検定は、全長ポリペプチド、またはアミノ酸154を含むペプチドを用いて実行される。特に、これらの検定に用いられるペプチドは、HNA−3aおよびHNA−3bエピトープを識別する任意の二次または三次構造を保有し得る。
【0166】
さらに、HNA−3aまたはHNA−3bを発現することが知られている細胞または組織を用いる検定は、HNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体を同定し、識別するために用いられ得る。これらの検定は、HNA−3aまたはHNA−3bを発現するようトランスフェクトされた、または形質転換された細胞を包含する。
【0167】
これらのHNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体の単離は、本発明の方法を実行するために有用である。さらに、本発明のキットは、単離HNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体を含み得る。
【0168】
HNA−3タンパク質の検出方法
本発明は、生物学的試料中のHNA−3aまたはHNA−3bの検出方法を提供する。「HNA−3a」という用語は、配列番号1の全長配列または配列番号1のアミノ酸配列の少なくとも一断片を指す。「HNA−3b」という用語は、配列番号2の全長アミノ酸配列または配列番号2のアミノ酸配列の少なくとも一断片を指す。特異的抗体を生成する特定のエピトープを含むHNA−3aまたはHNA−3bの抗原性断片が注目される。例えば、細胞表面に曝露される配列番号1または2のアミノ酸配列の領域は、エピトープを含む可能性がより高い。
【0169】
HNA−3a特異的抗体を生成するために用いられ得る例示的な抗原性断片としては、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42のアミノ酸配列が挙げられる。HNA−3b特異的抗体を生成するために用いられ得る例示的な抗原性断片としては、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26のアミノ酸配列が挙げられる。
【0170】
CTL2の一次構造は、CTL2遺伝子のコード領域とプロモーター領域の両方に多数の多形領域の存在を示す。CTL2遺伝子における多形性は、HNA−3aまたはHNA−3bに関する多形情報を提供し得る。プロモーター領域内の違いは、異なる転写効率を生じ、したがってCTL2ポリペプチドの発現に影響を及ぼし得る。コード領域における多形性は、CTL2タンパク質立体配座を変更し、したがって、異なる多形CTL2タンパク質は互いに対して免疫原性になる。例えば、HNA−3a/HNA−3bのヌクレオチド461は多形性であり、この場合、HNA−3a対立遺伝子が位置154のアルギニンをコードする「G」であり、HNA−3b対立遺伝子が「A」であり、グルタミンをコードする。
【0171】
ヒト好中球抗原HNA−1は、多形性エピトープを有する。HNA−1は、FcγRIIIb遺伝子内の多形性の結果である3つの対立遺伝子HNA−1a、HNA−1bおよびHNA−1cを有する。HNA−1aおよびHNA−1bは、4つのアミノ酸が異なる。HNA−1cは、HNA−1bとはヌクレオチド266での単一ヌクレオチド置換(CからAへの置換)で異なり、これは、アミノ酸78でのアラニンからアスパラギン酸への変化を生じる。上記のように、CTL2遺伝子における多形性は、HNA−1に関して観察されたものと同様のHNA−3多形性エピトープを生じ得る。
【0172】
しかしながら、ヒト好中球抗原HNA−2は、集団の一部がHNA−2を発現しない単形性エピトープを有する。HNA−2は1つの十分に説明された対立遺伝子HNA−2aのみを有する。HNA−2a欠損は、5〜10%の個体に存在する転写欠陥により引き起こされる。それらの個体は、HNA−2a抗原に曝露されると、HNA−2a抗体を生成し得る。したがって、HNA−3aまたはHNA−3bは、HNA−2と同様に単形性エピトープを有し得る、と意図される。
【0173】
本発明は、生物学的試料中のHNA−3aまたはHNA−3bを検出することとともに、付加的抗原、例えばHNA−1、HNA−2、HNA−4、HNA−5および/またはHLAを検出することも意図する。
【0174】
ヒトCTL2と結合する市販の抗体が、本発明の方法に用いられ得る。市販抗体の例としては、ヒトモノクローナル抗SLC44A2抗体(クローン3D11)およびヒト抗SLC44A2ポリクローナル抗体(ともに、Sigma Aldrich (St. Louis, MO)から入手可能)が挙げられる。付加的抗体の例としては、SLC44A2抗体(ab57570)(Abcam (Cambridge, MA)から入手可能)、CTL2モノクローナル抗体(M01)、クローン3D11(Abnova (Walnut, CA)から入手可能)、マウスポリクローナル抗SLC44A2−溶質キャリアファミリー44、メンバー2、MaxPab抗体およびマウスポリクローナル抗CTL2(Novus Biologicals (Littleton, CO)から入手可能)が挙げられる。
【0175】
本発明の抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、それらの独特のエピトープを結合するそれらの能力を保持する抗体断片(例えば、Fv、FabおよびF(ab)2断片)、一本鎖抗体およびヒトまたはヒト化抗体であり得る。抗体は、CTL2上のHNA−3aまたはHNA−3bエピトープ、または配列番号1または配列番号2の抗原性断片を用いて、当該技術分野で標準である技法により生成され得る。本発明の抗体分子としては、IgG(ならびにサブタイプIgG1、IgG2aおよびIgG2b)、IgM、IgA、IgDおよびIgEのクラスが挙げられる。
【0176】
本発明の抗体は、生物学的試料内の結合の検出のために標識され得る。これらの抗体は、放射性標識、例えばH、14C、32P、35Sまたは125Iを含み得る。さらに、これらの標識は、蛍光または化学発光化合物、例えばフルオレセインイソシアネート、フィコエリトリン、ローダミンまたはルシフェリンであり得る。これらの標識は、酵素、例えばアルカリ性ホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ビオチンおよびアビジンまたはホースラディッシュペルオキシダーゼであり得る(Bayer et al., Meth. Enz., 184: 138−163 (1990))。
【0177】
HNA−3aおよびHNA−3b特異的抗体は、生物学的試料中のHNA−3aまたはHNA−3bの検出のために、固体支持体、例えば膜、ビーズ、フィルター、ガラス、ケイ素、金属、金属合金、anopore、重合体、ナイロンまたはプラスチックに結合され得る。
【0178】
本発明の抗原は、全タンパク質、切頭化タンパク質、タンパク質の断片またはペプチドであり得る。抗原は、自然に存在するし、タンパク質の遺伝子工学処理変異体であり得るし、あるいは、特定の哺乳類被験体または宿主中での発現のためにコドン最適化され得る。一般的に、B細胞のエピトープは少なくとも約5個のアミノ酸を含むが、3〜4個のアミノ酸という少ない場合もあり得る。
【0179】
普通は、エピトープは約7〜15個のアミノ酸、例えば9、10、12または15個のアミノ酸を含む。「抗原」という用語は、両方のサブユニット抗原(すなわち、抗原が自然に関連する全生物体とは別個のまたは異なる抗原)を意味する。抗体、例えば抗イディオタイプ抗体またはその断片、ならびに抗原または抗原決定基を模倣し得る合成ペプチドである合成ペプチドミモトープも、本明細書中で用いられるような抗原の定義下に取り込まれる。
【0180】
さらに、本発明の目的のために、「抗原」は、本明細書中で定義されるように、免疫学的応答を発揮する能力をタンパク質が保持する限り、天然配列に対する(一般的に事実上保存的である)修飾、例えば欠失、付加および置換を含むタンパク質を指す。これらの修飾は、部位特異的突然変異誘発による場合、意図的であり得るし、あるいは抗原を産生する宿主の突然変異による場合のように、偶発的であり得る。本発明の抗原はさらにまた、当該技術分野で既知の方法によりコドン最適化されて、宿主におけるそれらの発現または免疫原性を改善し得る。
【0181】
生物学的試料内のHNA−3aまたはHNA−3b抗原との抗体の特異的結合は、イムノブロッティング、免疫細胞化学、免疫組織化学、ドットブロット分析、フローサイトメトリー、ELISA検定またはRIA検定とともにウエスタンブロットを用いて実行され得る。これらの技法およびその他のアプローチは、当該技術分野で慣用的である(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratories (New York, 1989)参照)。
【0182】
さらに、微量細胞傷害検定を用いて、生物学的試料中のHNA−3aまたはHNA−3bを検出し得る。微量細胞傷害検定は、レシピエントまたはドナー由来の純好中球を、HNA−3aまたはHNA−3b免疫反応性である十分に特徴付けられた型別抗体と混合することを包含する。この混合物は、抗体を好中球表面HNA抗原と結合させるのに十分な時間、インキュベートされる。この後、例えばウサギ血清から得られる補体が付加される。補体の付加は補体固定を生じ、細胞表面に結合された抗体を有する任意の細胞が補体固定反応のために溶解する。溶解細胞の量は、種々の異なる方法を用いて測定され得る。例えば、生細胞から排除されるがしかし死細胞を染色する生体染料、例えばトリパンブルーが試料に付加され得るし、死細胞対生細胞の数が確定され得る。
【0183】
HNA−3核酸の検出方法
本発明は、配列番号3の核酸配列の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを用いて生物学的試料中のHNA−3a核酸を検出する方法を提供する。本発明は、配列番号4の核酸配列の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを用いて生物学的試料中のHNA−3b核酸を検出する方法を提供する。HNA−3aまたはHNA−3b特異的オリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションは、ノーザンブロット分析、サザンブロット分析、スロット−ブロット分析またはin situハイブリダイゼーション分析、あるいは当該技術分野で慣例的な任意の他の方法、例えばSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratories (New York, 1989)に記載された技法を用いて検出され得る。
【0184】
好ましいオリゴヌクレオチドプローブは、HNA−3aエピトープをコードするHNA−3a遺伝子内の配列とハイブリダイズするものである。例えば、好ましいプローブは、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41または配列番号42のアミノ酸配列をコードするヌクレオチドとハイブリダイズし得る。さらに、本発明のプローブとしては、HNA−3aをコードする遺伝子のイントロンまたは5’および3’非転写領域とハイブリダイズするものが挙げられる。
【0185】
好ましいオリゴヌクレオチドプローブは、HNA−3bエピトープをコードするHNA−3b遺伝子内の配列とハイブリダイズするものである。例えば、好ましいプローブは、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24または配列番号26のアミノ酸配列をコードするヌクレオチドとハイブリダイズし得る。さらに、本発明のプローブとしては、HNA−3bをコードする遺伝子のイントロンまたは5’および3’非転写領域とハイブリダイズするものが挙げられる。
【0186】
オリゴヌクレオチドプローブは、生物学的試料から抽出されたDNAとのハイブリダイゼーションの検出のために標識され得る。これらのプローブは、H、14C、32P、35Sまたは125Iのような放射性標識を含み得る。さらに、これらの標識は、蛍光または化学発光化合物、例えばフルオレセインイソシアネート、フィコエリトリン、ローダミンまたはルシフェリンであり得る。これらの標識は、酵素、例えばアルカリ性ホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ビオチンおよびアビジンまたはホースラディッシュペルオキシダーゼであり得る(Bayer et al., Meth. Enz., 184: 138−163 (1990))。
【0187】
アレイまたはマイクロアレイは、ガラス、プラスチックまたはシリコンチップのような固体表面に結合した、発現プロファイリングまたは多数の遺伝子の発現レベルを同時にモニタリングする目的のためにアレイを形成するDNAプローブまたはDNA断片のコレクションを指す。オリゴヌクレオチドプローブのアレイを用いて、生物学的試料中のHNA−3aまたはHNA−3bDNAを検出し得る。好ましいアレイとしては、HNA−1および/またはHNA−2とハイブリダイズするプローブが挙げられる。さらに、HNA−1、HNA−2およびHLAとハイブリダイズするプローブを含むアレイが好まれる。市販のアレイを用いて、アレイ番号U95−CおよびU95−B上のSLC44A2を検出するAffymetrixプローブ組番号58800、48798および56340;アレイ番号U133−B上のSLC44A2を検出するプローブ組番号225175および224609;ならびにアレイ番号U133 Plus2上のSLC44A2を検出するプローブ組番号225175および224609のようなCTL2とハイブリダイズするプローブを包含するHNA−3aまたはHNA−3bを検出し得る。本発明のアレイとしては、マイクロアレイ、DNAチップ、ビーズアレイ、遺伝子チップおよびバイオチップが挙げられる。
【0188】
オリゴヌクレオチドプローブは、固体支持体、例えば膜、ビーズ、フィルター、ガラス、ケイ素、金属、金属合金、anopore、重合体、ナイロンまたはプラスチックに結合され得る。これらの支持体は、使用中に結合を増強するかまたは非特異的結合を抑制するためにプローブを結合する前に、化学物質で化学的に処理され得る。例示的な処理としては、アミノアルキルシランまたは高分子材料、例えばアクリルアミドまたはタンパク質のコーティングを伴うガラススライドのコーティングが挙げられる。プローブは、共有的または非共有的に支持体に結合され得る。
【0189】
本発明は、増幅方法、例えばポリメラーゼ連鎖反応、ならびにHNA−3a(配列番号1)またはHNA−3b(配列番号2)をコードする核酸配列の断片に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、生物学的試料中のHNA−3aまたはHNA−3bを検出する方法も提供する。
【0190】
本明細書中で用いる場合、「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」は、少なくとも2つのプライマーおよびDNAポリメラーゼを用いたDNAのセグメントの増幅のための、米国特許第4,683,195号および米国特許第4,683,202号に記載されたようなプロセスを意味する。その他の核酸増幅方法としては、鎖置換検定3(SDA)、BD ProbeTec(TM)、等温増幅法、例えばヘリカーゼ依存性増幅(HDA)および等温逆転写−好熱性ヘリカーゼ依存性増幅(RT−tHDA)、回転円増幅(RCA)ならびにループ媒介性等温増幅(LAMP)が挙げられる。これらの方法は、当該技術分野で標準である技法を用いて実行され得る。本発明は、PCRを用いて増幅されたDNA断片の同一性を確認するためにシーケンシング分析を用いることも意図する。
【0191】
本発明の方法では、PCRは、PCRを実行するのに安定な混合物である「PCR反応混合物」を用いて実行され得る。PCR反応混合物は、適量の熱安定性DNAポリメラーゼ、増幅されるべき線状または環状鋳型DNA、好ましくは二本鎖DNA、一対のオリゴヌクレオチドプライマー(プライマーの一方は鋳型の一鎖とのアニーリングのために設計され、他方のプライマーは鋳型の他方のまたは相補的鎖とのアニーリングのために設計される)、ATP、適量の4つのデオキシリボヌクレオシドトリホスフェート(dNTP)の各々、ならびに緩衝液、MgClのような塩、保存剤、還元剤、および水(必要な場合)を含有する。
【0192】
本発明のオリゴヌクレオチドプライマーは、HNA−3aエピトープまたはHNA−3bエピトープをコードする核酸を特異的に増幅するよう設計される。オリゴヌクレオチドプライマーを設計する場合、プライマーの長さは、その(A+T)含量ならびにその相手のTmに依存する。さらに、プライマーは、プライマーが選択された標的以外の配列とアニーリングする可能性を低減するのに十分に複雑であるべきである。本発明の方法は、10〜30ヌクレオチドの長さの範囲のプライマーを利用し得るし、好ましくは、プライマーは、17ヌクレオチド長である。一般的に、40%〜60%のG+C含量がプライマーのために推奨されて、内部二次構造ならびに任意の一塩基の長いストレッチを回避する。さらに、プライマーは、プライマーより高い融点を有する(標的内の)二次構造の領域とアニーリングすべきでない。
【0193】
HNA−3a表現型を遺伝子型分類するための本発明の好ましいオリゴヌクレオチドプライマーとしては、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41または配列番号42のアミノ酸配列をコードするヌクレオチドを増幅するプライマーが挙げられる。さらに、本発明のプライマーとしては、HNA−3aをコードする遺伝子のイントロンまたは5’および3’非転写領域内にある配列番号3の断片を増幅するものが挙げられる。プライマーの例としては、センスプライマー5’AGT GGC TGA GCT TCG 3’(配列番号48)およびアンチセンスプライマー5’GTG CGC CAA TAT CCT CAC TTG 3’(配列番号50)が挙げられる。
【0194】
HNA−3b表現型を遺伝子型分類するための本発明の好ましいオリゴヌクレオチドプライマーとしては、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24または配列番号26のアミノ酸配列をコードするヌクレオチドを増幅するプライマーが挙げられる。本発明は、配列番号4のコドン154を含む配列番号4の断片を増幅するプライマーも意図する。さらに、本発明のプライマーとしては、HNA−3bをコードする遺伝子のイントロンまたは5’および3’非転写領域内にある配列番号4の断片を増幅するものが挙げられる。プライマーの例としては、センスプライマー5’GAG TGG CTG TGC TTC A3’(配列番号49)およびアンチセンスプライマー5’GTG CGC CAA TAT CCT CAC TTG 3’(配列番号50)が挙げられる。
【0195】
本発明は、HNA−3核酸を検出するほかに、生物学的試料中のHNA−1核酸を検出する方法も意図する。HNA−1核酸は、ヌクレオチド141、ヌクレオチド147、ヌクレオチド227、ヌクレオチド277またはヌクレオチド349(HNA−1a対HNA−1b)およびヌクレオチド266(HNA−1c対HNA−1b)での独特のHNA−1エピトープ(多形性)を検出するオリゴヌクレオチドプローブまたはオリゴヌクレオチドプライマーを用いて検出され得る。本発明はさらに、HNA−3核酸を検出することのほかに、生物学的試料中のHNA−2核酸を検出する方法を意図する。HNA−2は1つの対立遺伝子を有するだけであるため、HNA−2の発現は、任意のコード領域と相同であるオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーを用いて検出され得る。
【0196】
デオキシリボヌクレオシドトリホスフェート(dNTP)としては、2’−でオキシグアノシン5’−トリホスフェート(dGTP)および2’−でオキシチミジン5’−トリホスフェート(dTTP)が挙げられる。一般的には、PCR反応におけるdNTPの濃度は約200μMである。各dNTPの概算Km(10μM〜15μM)を上回り、最良の塩基組み入れのために均衡の取れた4つのdNTPの濃度を保持することが重要である。等モル濃度でdNTPおよびマグネシウムイオンの濃度を下げると、忠実度(fidelity)が改善される。修飾されたdNTP(dig−11−dUTP、5−ブロモ−dUTP、イノシン、ビオチン−11−dUTP、ビオチン−16−dUTPおよび7−デアザdGTP)および2’−でオキシウリジン5’−トリホスフェート(dUTP)も用いられ得る。
【0197】
キット
本発明は、本発明の方法のいずれかを実行するためのキットを提供する。本発明によるキットは、生物学的試料中のHNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体を検出するための構成成分を含む。本キットは、生物学的試料中のHNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体ならびに陽性対照に関する既知のHNA−3aまたはHNA−3b特異的抗体と複合体を形成する、単離または組換えHNA−3aまたはHNA−3bポリペプチドあるいはその抗原性断片を含み得る。本発明はさらに、HNA−3aまたはHNA−3bに特異的な抗体のほかに、HNA−1およびHNA−2に特異的な抗体を検出するためのキットであって、HNA−1検出のためのFc−γ受容体IIIbまたはその抗原性断片、およびHNA−2の検出のためのCD177またはその抗原性断片、ならびにHNA−1およびHNA−2に特異的である既知の抗体を含有するキットを提供する。本発明はさらに、HNA−3aまたはHNA−3bに特異的な抗体のほかに、HNA−4および/またはHNA−5に特異的な抗体を検出するためのキットであって、HNA−4検出のためのCD11b(CR3)またはその抗原性断片、およびHNA−5の検出のためのCD11a(LFA−1)またはその抗原性断片、ならびにHNA−4およびHNA−5に特異的である既知の抗体を含有するキットを提供する。さらに、本発明は、HNAに特異的な抗体のほかに、生物学的試料中のHLAに特異的な抗体を検出するためのキットであって、HLA抗原を含有するポリペプチドおよびHLAに特異的である既知の抗体を含有するキットを提供する。
【0198】
HNA−3aまたはHNA−3bに特異的な抗体、ならびに任意に他のHNAおよび/またはHLA抗原に特異的な抗体を検出するために有用なキットはさらに、当該技術分野で慣用的である検出検定を実行するために必要な任意の構成成分を含み得る。例えば、これらのキットは、SRID、ELISA、HAI、MAIGA検定、GIIFT、MLATおよびGATを実行するために必要な構成成分を含み得る。
【0199】
本発明によるキットは、生物学的試料中のHNA−3aまたはHNA−3bを検出するための構成成分を含む。これらのキットは、HNA−3aまたはHNA−3bと特異的に結合する抗体、ならびに陽性対照として用いるための抗体に関するHNA−3aまたはHNA−3bエピトープを含む単離または組換えタンパク質あるいはペプチドを含み得る。本発明はさらに、HNA−3aまたはHNA−3bのほかに、HNA−1およびHNA−2を検出するためのキットであって、HNA−1および/またはHNA−2に特異的な抗体、ならびにHNA−1およびHNA−2エピトープに対応する組換えタンパク質またはペプチドを含有するキットを提供する。さらに、本発明は、HNAのほかに生物学的試料中のHLAを検出するためのキットであって、HLAに特異的な抗体、ならびにHLAエピトープに対応する組換えタンパク質またはペプチドを含有するキットを提供する。
【0200】
HNA−3aまたはHNA−3bおよび任意に他のHNAおよび/またはHLA抗原を検出するために有用なキットは、当該技術分野で慣用的である検出検定を実行するために必要な任意の構成成分をさらに含み得る。例えば、これらのキットは、ウエスタンブロットを実行するのに、SDS−PAGEゲルを調製する緩衝液、ローディング用染料、ポリアクリルアミドゲル等のゲル、ならびに分子量マーカーを含み得る。これらのキットは、標識化二次抗体のようなイムノブロッティングまたはドットブロッティング分析を実行するためのフィルター、膜遮断緩衝液、対照緩衝液、アイソタイプ対照抗体、洗浄緩衝液または検出用の緩衝液および試薬も含み得る。本キットは、例えば免疫細胞化学法または免疫組織化学法を実行するための固定試薬、遮断緩衝液、対照緩衝液、洗浄緩衝液、染色用染料および抗イディオタイプ抗体を含む検出試薬も含む。さらに、これらのキットは、フローサイトメトリー、ELISA検定、RIA検定または微量毒性検定を実行するために必要な試薬およびツールを含み得る。
【0201】
本発明によるキットは、生物学的試料中のHNA−3aまたはHNA−3b核酸を検出するための構成成分を含む。本キットは、配列番号3のHNA−3a核酸の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブ、ならびに陽性対照として用いるためのオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズする配列番号3の核酸の断片を含む。代替的には、本キットは、配列番号4のHNA−3b核酸の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブ、ならびに陽性対照として用いるためのオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズする配列番号4の核酸の断片を含む。本発明はさらに、生物学的試料中のHNA−3aまたはHNA−3bのほかに、HNA−1およびHNA−2核酸を検出するためのキットであって、HNA−1およびHNA−2に特異的であるオリゴヌクレオチドプローブならびに陽性対照としてのHNA−1およびHNA−2核酸の対応する断片を含有するキットを提供する。さらに、本発明は、生物学的試料中のHNA核酸のほかにHLA核酸を検出するためのキットであって、HLA核酸に特異的なオリゴヌクレオチドプローブならびに陽性対照としてのHLA核酸の対応する断片を含有するキットを提供する。
【0202】
代替的には、HNA−3a核酸を検出するためのキットは、配列番号3のHNA−3a核酸の断片を増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに陽性対照として役立つ、オリゴヌクレオチドプライマーにより増幅されることが知られているHNA−3a核酸の断片を含む。HNA−3b核酸を検出するためのキットは、配列番号4のHNA−3b核酸の断片を増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに陽性対照として役立つ、オリゴヌクレオチドプライマーにより増幅されることが知られているHNA−3b核酸の断片を含む。本発明はさらに、HNA−1およびHNA−2核酸に特異的なオリゴヌクレオチドプライマー、ならびにオリゴヌクレオチドプライマーにより増幅されることが知られているHNA−1およびHNA−2の核酸の断片を含むキットを提供する。さらに、本発明は、HNA核酸に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーのほかにHLA核酸に特異的なオリゴヌクレオチドプライマー、ならびにオリゴヌクレオチドプライマーにより増幅されるHLA核酸の断片を含有するキットを提供する。
【0203】
本発明のキットは、PCRまたは他の増幅方法を実行するために必要な構成成分も含み得る。例えば、本キットは、以下のうちの1つもしくは複数を含有し得る:Taqポリメラーゼまたは別の熱安定性ポリメラーゼ、ATP、適量の4つのデオキシリボヌクレオシドトリホスフェート(dNTP)の各々、ならびに緩衝液、MgClのような塩、、保存剤、還元剤または水。
【0204】
HNA−3aまたはHNA−3b核酸および任意にその他のHNAおよび/またはHLA核酸を検出するために有用なキットは、当該技術分野で慣用的である検出検定を実行するために必要な任意の構成成分をさらに含み得る。例えば、これらのキットは、生物学的試料から核酸を抽出するために必要な試薬を含み得る。これらのキットは、ノーザンブロット分析、サザンブロット分析、スロット−ブロット分析またはin situハイブリダイゼーション分析、ならびにそれらの技法のような当該技術分野で慣用的な任意の他の方法のための、緩衝液、ローディング用染料、ゲル、分子量マーカー、膜、フィルター、遮断緩衝液および検出試薬を含み得る。
【実施例】
【0205】
以下の実施例により本発明を例証するが、本発明はそれらに限定されるものではない。実施例1は、ドナー血からの顆粒球の単離を記載する。実施例2は、HNA−3a陽性および陰性血漿を獲得するために用いられる方法を記載する。実施例3は、顆粒球表面タンパク質のビオチニル化を記載する。実施例4は、顆粒球を血漿とともにインキュベートする方法を記載する。実施例5は、フローサイトメトリーを用いた蛍光活性化細胞選別法を記載する。実施例6は、磁気ビーズを用いて免疫沈降を実行する方法を記載する。実施例7は、SDS−PAGEおよびウエスタンブロッティングを実行する方法を記載する。実施例8は、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FTICR−MS)を用いる方法を記載する。実施例1〜8に記載される実験を用いてHNA−3aおよびHNA−3bのアミノ酸配列を同定した。これらの方法は、本発明の方法を実行するために用いられ得る。実施例9は、HNA−3aおよびHNA−3bの異種発現を記載する。これらのポリペプチドは、本発明の方法に用いられ得る。実施例10は、HNA−3aペプチド断片の異種発現を記載する。これらのペプチド断片を用いてHNA−3aのエピトープをマッピングしたが、これらのペプチドは本発明の方法に用いられ得る。実施例11は、ヒト血漿からのHNA−3a抗体のアフィニティー精製を記載する。実施例12は、HNA−3aの抗原性断片の同定を記載し、これらの断片は本発明の方法を実行するために用いられ得る。実施例13は、HNA−3aおよびHNA−3bに関して遺伝子型分類する方法を記載する。これらを用いて、本発明の方法を実行し得る。最後に、実施例14は、抗HNA−3抗体の製造方法を記載する。これらの抗体は、本発明の方法を実行するために用いられ得る。
【0206】
実施例1
顆粒球単離
選択されたドナー血を、1.25%EDTAおよび0.5%デキストランと混合した。沈澱後、上清をフィコール密度遠心分離のためにさらに用いた。得られたペレットを洗浄後、赤血球を溶血させた。残存する顆粒球を洗浄し、出発物質として種々の細胞濃度で用いた。
【0207】
実施例2
HNA−3a陽性および陰性血漿の獲得
選択ドナー血を、1.25%EDTAと混合し、次いで、細胞を遠心分離により分離した。上清を対応する血漿として用いた。
【0208】
実施例3
顆粒球表面タンパク質のビオチニル化
ウエスタンブロットによる分析のために、EZ−Link Sulfo−NHS−LC−LC−ビオチン(PIERCE:Rockford, IL)を用いて精製顆粒球をビオチニル化した。
【0209】
実施例4
血漿との顆粒球のインキュベーション
(ビオチニル化または非ビオチニル化された)顆粒球を、37℃で少なくとも30分間、HNA−3a陽性または陰性血漿とともにインキュベートした。バッチを洗浄後、全細胞のFACS分析が行なわれるか、トリトン−X100を含有する緩衝液による細胞溶解を実行した。細胞破片を遠心分離後、タンパク質を含有する上清を分析した。
【0210】
実施例5
蛍光活性化細胞選別(FACS分析)フローサイトメトリー
HNA−3a陽性および陰性ドナーの単離顆粒球を、(抗HNA−3a抗体を有するおよび有しない)血漿とともにインキュベートし、洗浄した。その後、細胞を、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識ウサギF(ab’)2−抗ヒトIgGとともにインキュベートした。洗浄後、細胞懸濁液をFACSで検査して、顆粒球の蛍光強度を確定した。高強度は、HNA−3a陽性結果を示した。
【0211】
実施例6
磁気ビーズによる免疫沈降
プロテインG被覆磁気ビーズを、抗ヒトIgG(Fc特異的)と結合させた。洗浄後、これらのビーズを、実施例4に記載したように、タンパク質を含有する上清とともにインキュベートした。ビーズを新たに洗浄し、消磁した後、タンパク質を、SDSを含有する試料緩衝液を用いて溶離する(SDS−PAGEおよびウエスタンブロットによる分析のため)か、あるいはトリプシンを含有する緩衝液中で直接消化した(フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FTICR−MS)による分析のため)。
【0212】
実施例7
SDS−PAGE/ウエスタンブロット
免疫沈降の溶出液(ビオチニル化バッチ)をSDS−PAGE(7.5%分離ゲル)により分離し、ニトロセルロース膜上にブロットした。ビオチニル化タンパク質と結合するために、膜を、遮断および洗浄ステップ後、ストレプトアビジンに結合されたアルカリ性ホスファターゼ(AP)とともにインキュベートした。1〜15分間、NBT(塩化ニトロブルーテトラゾリウム)/BCIP(5−ブロモ−4−クロロ−3’−インドリルホスフェートp−トルイジン塩)を付加することにより、検出を実行した。
【0213】
実施例8
フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR−MS)
C18物質(ZipTip)を用いて、免疫沈降タンパク質(ビオチニル化バッチでない)のトリプシン消化を予備清浄化し、MSにより分析した。SEQUEST SorcererおよびScaffold2ソフトウェア(データバンク:uniprot−sprot−human_re154)を用いたデータバンク比較により、ペプチドスペクトルの評価を実行した。
【0214】
実施例
HNA−3aおよびHNA−3bの異種発現
HNA−3aタンパク質(配列番号1)をコードするDNA配列を有するcDNAクローンを、大腸菌およびCHO細胞中で発現させた。この合成したタンパク質をSDS−PAGEゲル電気泳動で分離して(実施例7に記載)、ウエスタンブロットにおけるヒト抗HNA−3a抗体の結合により特異性を示した。タンパク質HNA−3b(配列番号2)の発現のためのDNA配列を用いてcDNAクローンに関して、類似の手順を実行した。
【0215】
精製のためにHisタグを用いて、HNA−3aタンパク質を発現させた。さらに、固相ELISAを用いて、組換えヒト抗HNA−3aまたはHNA−3bタンパク質とそのそれぞれの抗体との結合を実証した。
【0216】
実施例10
ペプチド断片の異種発現
pGEX−2TKベクター(GE Healthcare, Chalfont St Giles, UK)および制限酵素BamHIおよびHindII(Roche, Basel, Switzerland)を用いて、HNA−3aDNA断片をクローン化した。cDNAクローンNM_020428.2(OriGene, Rockville, MD)を鋳型DNAとして用いて、グルタチオンS−Tトランスフェラーゼ遺伝子領域(GST)融合物を生成した。配列番号1のアミノ酸22〜231(「HNA−3a(22〜231)」と表示される)および配列番号1のアミノ酸145〜167(「HNA−3a(145〜167)と表示される」)をコードするDNA断片をベクターJHC27中に挿入して、GST−HNA−3a融合ペプチドをコードした。配列番号1のアミノ酸114〜164(「HNA−3a(114〜164)」と表示される)をコードするDNA断片をpTB25ベクター中に挿入して、GST融合ペプチドGST−HNA−3a(114〜164)をコードした。
【0217】
大腸菌BL21−Gold(DE3)細胞(Stratagene, La Jolla, CA)を、上記のベクターで形質転換して、100μg/mlアンピシリンを含有する37℃のYTG培地中で、OD600=0.7に増殖させた。その後、これらの細胞をイソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)(1mM;1時間)とともにインキュベートし、その後、遠心分離(7,000g;10分)し、氷冷PBS中で洗浄した。次に、これらの細胞を変性緩衝液(8M尿素)中で音波処理し、遠心分離(12,000g)して、上清を変性緩衝液(トリス−グリセリン)に対して透析した。融合タンパク質の上清をグルタチオンセファロースカラム上に載せて、PBSで洗浄した。10mM還元型グルタチオンを含有する50mMトリス−HCl(pH8)の溶液を、GST−HNA−3a融合ペプチドの溶出のために用いた。
【0218】
実施例11
ヒト血漿からのHNA−3a抗体のアフィニティー精製
ヒト血漿からのHNA−3a抗体のアフィニティー精製のために、GST−HNA−3a(114〜164)を実施例10に記載したように産生し、濃縮し、カップリング緩衝液(0.2M NaHCO、0.5M NaCl、pH8.3)に対して透析した。HiTrap NHS活性化HPカラム(GE Healthcare, Uppsala, Sweden)を、6mlの氷冷1mM HClで平衡させて;その後、1mlの濃縮GST−HNA−3a(114〜164)ペプチドをカラム上に注入した(3mg/ml)。25℃で30分間インキュベーション後、メーカーの使用説明書に従ってカラムを洗浄した。
【0219】
HNA−3aに関して陽性であることが知られているヒト血漿を、洗浄緩衝液(1:25)(20mM NaHPO、150mM NaCl、pH7.4)中に希釈し、50mlを、0.8ml/分の流量でカラム上に載せた。洗浄緩衝液で洗浄後、10mlの0.1Mグリシン緩衝液(pH2.7)を用いて抗体をカラムから溶出した。収集分画のアリコート(750μl)を、250μl中和緩衝液(1Mトリス−HCl、pH9)と混合した。50μg/mlより高いタンパク質濃度を含有する分画をプールし、洗浄緩衝液に対して透析した。
【0220】
顆粒球活性化検定を用いて、HNA−3aが顆粒球凝集を誘発するか否かを試験した。HNA−3a陽性ドナーから単離された顆粒球(実施例1に記載されたように)を、抗HNA−3a抗体を含有することが既知であるヒト血漿とともにインキュベートし(30分、37℃)、その後、洗浄した(140g、5分)。メーカーの使用説明書に従って酸溶出のための系を用いて(BAG, Lich, Germany)、結合抗体を得た。
【0221】
顆粒球活性化検定においてGST−HNA−3a(114〜164)ペプチドと組合せて、アフィニティー精製により、溶出抗体のうちのHNA−3a特異的抗体を得た。この検定のための陰性対照は、GST融合タンパク質単独、HNA−3b抗体を有する対照血清、ならびに陰性対照抗体(HNA−3抗体なし)であった。HNA−3a抗体はその未変性形態でのみ顆粒球を活性化して集合物とし、変性形態ではほとんど作用を有さなかった。固定顆粒球凝集物は陽性でなかった。
【0222】
実施例12
HNA−3aの抗原性断片の同定
HNA−3aアミノ酸配列(配列番号1)のエピトープをマッピングするために、HNA−3aアミノ酸配列の細胞外断片を含む組換えペプチドを、実施例10に記載したようにGST融合ペプチドとして生成した。ウエスタンブロットにより確定した場合のこれらのペプチドとHNA−3a血清との反応性を、以下の表1に示す。
【表1】

【0223】
代表的HNA−3a陽性(HNA−3a+)ドナーおよび代表的HNA−3a陰性ドナー(HNA−3a−)からの単離顆粒球を、HNA−3a抗体を含有することが既知である血漿(+)とともに、ならびにHNA−3a抗体を有さないことが既知である血漿(−)とともにインキュベートした。次に、HNA−3aタンパク質を、プロテインG結合磁気ビーズと結合された抗ヒトIgGを用いて免疫沈降させた。各ドナー/血漿組合せに関して、ペプチド−N−グリコシダーゼF(PNGアーゼF)で試料を脱グリコシル化した。
【0224】
免疫沈降タンパク質をSDS−PAGEにより分離して、当該技術分野で周知の手法を用いてニトロセルロースに移して、HNA−3a+およびHNA−3a−血漿で免疫ブロッティングすることにより分析した。タンパク質を、先ず、ストレプトアビジン(a)または抗ヒトIgG(b)と結合されたアルカリ性ホスファターゼを用いて可視化して、次に、検出のためにNBT/BCIPとともにインキュベートした。
【0225】
配列番号1のアミノ酸145〜167(HNA−3a(145〜167);配列番号48)および配列番号1のアミノ酸55〜231(HNA−3a(55〜231);配列番号27)を含むGST融合ペプチドを、免疫ブロットを用いて分析した。50kDa帯域は、HNA−3a陽性血清中に存在する抗体と結合されたGST−HNA−3a(55〜231)ペプチドを表す。36kDaというより小さな帯域は、HNA−3a陽性血清中に存在する抗体と結合しているGST−HNA−3a(145〜167)ペプチドを表す。HNA−3+血漿からの抗体のみが、HNA−3a融合ペプチドと反応した。HNA−3a−血清からの抗体は、HNA−3a融合タンパク質と反応しなかった。より長いHNA−3aアミノ酸55〜231ペプチドとの結合は2つのHNA−3a陽性血漿に関して示され、より小さい断片HNA−3aアミノ酸145〜167に対する結合はHNA−3a陽性血漿に関して表示される。
【0226】
GST融合ペプチドHNA−3aアミノ酸145〜167も、HNA−3a陽性顆粒球における凝集を誘発する。
【0227】
この分析は、HNA−3aポリペプチド配列の重大な最小抗原性断片が配列番号1のアミノ酸154〜164である(配列番号25)、ということを実証した。
【0228】
この方法を用いて、HNA−3a、あるいは任意の他の抗原、例えばHNA−1、HNA−2、HNA−5またはHLAの抗原性断片を同定し得る。
【0229】
実施例13
HNA−3aおよびHNA−3bに関する遺伝子型分類
HNA−3多形に関するPCRを、以下のように実行した。0.5pmol対立遺伝子特異的センスプライマー(5’−AGT GGC TGA GCT TCG 3’;配列番号49;HNA−3a)または(5’−GAG TGG CTG AGG TGC TTC A−3’;配列番号50;HNA−3b)、ならびに部分的イントロンアンチセンスプライマー(5’GTG CGC CAA TAT CCT CAC TTG−3’;配列番号51)を用いて、50〜100ngDNAのアリコートを増幅した。20μLの総容積中で、0.2mmolのデオキシリボヌクレオチドトリホスフェートおよび2.0単位のHot Start Taq DNAポリメラーゼ(GeneCraft, Germany)を用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)をサーマルサイクラー(GeneAmp PCR System 2700, Applied Biosystems, Germany)で実施した。95℃で10分間加熱後、以下の条件下で、2段階PCRを実施した:変性(30秒、95℃)、アニーリング(40秒、64℃)、伸長(30秒、72℃)を20サイクル、ならびに最終伸長(5分、72℃)。内部陽性対照として、hGH遺伝子の439bp断片を増幅する0.0625pmolのヒト成長ホルモン(hGH)プライマーを用いた(5’−CAG TGC CTT CCC AAC CAT TCC CTT A−3’(配列番号52)、5’−ATC CAC TCA CGG ATT TCT GTT GTG TTT C−3’(配列番号53))。トリスホウ酸塩EDTA緩衝液(TBE−緩衝液;5 Prime, Germany)を用いて、1.5%アガロースゲルで、PCR産物(291bp)を分析した。
【0230】
この方法を用いて、任意の抗原対立遺伝子、例えばHNA−1、HNA−2、HNA−4、HNA−5またはHLAに関して遺伝子型分類し得る。
【0231】
実施例14
抗HNA−3抗体の製造方法
特定のHNA−3エピトープを含むペプチドで免疫感作することにより、HNA−3aまたはHNA−3bタンパク質に特異的な抗体を獲得し得る。抗体を生成するための適切な手法としては、Hudson and Hay, Practical Immunology, 2nd Edition, Blackwell Scientific Publications (1980)に記載された手法が挙げられる。HNA−3a特異的抗体を生成するために用いられ得る抗原性断片の例としては、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42が挙げられる。HNA−3b特異的抗体を生成するために用いられ得る抗原性断片の例としては、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26が挙げられる。
【0232】
抗体の産生のための一手法では、動物(典型的にはマウスまたはラビット)に、HNA−3aまたはHNA−3bエピトープ含有ペプチドを注射し、その結果生じたポリクローナル抗体(血清中)を単離する。さらに、ELISAにより確定した場合に十分な血清力価レベルを有する動物を、ハイブリドーマ産生のために選択する。免疫化動物の脾臓を収集し、脾細胞が回収される単一細胞懸濁液として調製する。これらの脾細胞をマウス骨髄腫細胞(例えば、Sp2/0−Ag14細胞;ATCC番号CRL−1581)と融合し、200U/mlペニシリン、200g/mlストレプトマイシン硫酸塩および4mMグルタミンを有するDMEM中でインキュベートさせた後、HAT選択培地(ヒポキサンチン;アミノプテリン;チミジン)中でインキュベートする。選択後、組織培養上清をハイブリドーマを含有する各ウェルから取り、ELISAにより抗HNA−3aまたはHNA−3b抗体産生に関して試験する。
【0233】
抗HNA−3aまたは抗HNA−3b抗体を獲得するための代替的手法、例えば人抗体の産生のためのヒトIg遺伝子座を保有するトランスジェニックマウスの免疫感作、ならびに抗体可変ドメインの突然変異誘発により生成されるもののような合成抗体ライブラリーのスクリーニングも用いられ得る。
【0234】
さらに、ヒト抗体は、ファージ表示ライブラリーから産生され得る(Hoogenboom et al., J. Mol. Biol. 227: 381 (1991);Marks et al., J. Mol. Biol. 222: 581 (1991))。これらのプロセスは、糸状バクテリオファージの表面上の抗体レパートリーの表示による免疫選択と、その後の選り抜きの抗原とのそれらの結合によるファージの選択を模倣する。このような技法の1つは、PCT出願番号PCT/US98/17364(このようなアプローチを用いたMPL−およびmsk受容体に関する高親和性および機能的アゴニスト抗体の単離を記載)に記載されている。
【0235】
これらの方法を用いて、HNA−1、HNA−2、HNA−4、HNA−5またはHLAのような任意の抗原性タンパク質に特異的な抗体を生成する。
【0236】
本発明の好ましい実施形態を考えると、本発明の実行に際して多数の修正および変更がなされると、当業者は予測する。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されたものによってのみ限定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいて輸血関連急性肺障害(TRALI)または移植片対宿主病(GVHD)を誘発する(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3a抗原を発現する)か否かを判定する方法であって、以下の:
a)ヒト被験者に移植または輸血することを意図した前記組織の試料を獲得すること、
b)前記試料を、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、試料中のHNA−3a特異的抗体と複合体を形成させること、そして
c)前記ドナー組織がHNA−3a抗原を発現するヒトレシピエントにおいてTRALIまたはGVHDを誘発しやすい、ということを前記複合体の存在が示す前記複合体を検出すること、
とを包含する方法。
【請求項2】
前記抗原性断片が、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
移植または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいて輸血関連急性肺障害(TRALI)または移植片対宿主病(GVHD)を誘発する(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3b抗原を発現する)か否かを判定する方法であって、以下の:
a)前記ヒト被験者に移植または輸血することを意図した組織の試料を獲得すること、
b)前記試料を、配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、試料中のHNA−3b特異的抗体と複合体を形成させること、そして
c)前記ドナー組織がHNA−3b抗原を発現するヒトレシピエントにおいてTRALIまたはGVHDを誘発しやすい、ということを前記複合体の存在が示す前記複合体を検出すること、
とを包含する方法。
【請求項4】
前記抗原性断片が、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
以下の:
d)前記試料を、Fc−γ受容体IIIbポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、前記試料中のHNA−1特異的抗体と複合体を形成させること、
e)前記試料を、CD177ポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、前記試料中のHNA−2特異的抗体と複合体を形成させること、
f)前記試料を、CD11bポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、前記試料中のHNA−4特異的抗体と複合体を形成させること、
g)前記試料を、CD11aポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、前記試料中のHNA−5特異的抗体と複合体を形成させること、
h)前記試料をHLA抗原と接触させて、前記試料中のHLA特異的抗体と複合体を形成させること、そして
i)前記試料がヒトレシピエントにおいてTRALIまたはGVHDを誘発しやすい、ということを前記複合体のいずれかの存在が示す前記複合体を検出すること
というステップのうちの1つもしくは複数のステップをさらに包含する請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
移植または輸血組織を拒絶することに対するヒト移植片または輸血レシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織はHNA−3aポリペプチドまたはその抗原性断片を含有する)を判定する方法であって、以下の:
a)移植または輸血前に、ヒトの移植片または輸血のレシピエントから生物学的試料を獲得すること、
b)前記生物学的試料を、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、前記生物学的試料中のHNA−3a特異的抗体と複合体を形成させること、そして
c)前記ヒト移植片または輸血レシピエントが移植または輸血組織を拒絶することに対して感受性である、ということを前記生物学的試料中の複合体の存在が示す前記複合体を検出すること、
とを包含する方法。
【請求項7】
前記抗原性断片が、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
移植または輸血組織を拒絶することに対するヒト移植片または輸血レシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織はHNA−3bポリペプチドまたはその抗原性断片を含有する)を判定する方法であって、以下の:
a)移植または輸血前に、ヒトの移植片または輸血のレシピエントから生物学的試料を獲得すること、
b)前記生物学的試料を、配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、前記生物学的試料中のHNA−3b特異的抗体と複合体を形成させること、そして
c)前記ヒト移植片または輸血レシピエントが移植または輸血組織を拒絶することに対して感受性である、ということを前記生物学的試料中の複合体の存在が示す前記複合体を検出すること、
とを包含する方法。
【請求項9】
前記抗原性断片が、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
以下の:
d)前記生物学的試料を、Fc−γ受容体IIIbポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、前記生物学的試料中のHNA−1特異的抗体と複合体を形成させること、
e)前記生物学的試料を、CD177ポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、前記生物学的試料中のHNA−2特異的抗体と複合体を形成させること、
f)前記生物学的試料を、CD11bポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、前記生物学的試料中のHNA−4特異的抗体と複合体を形成させること、
g)前記生物学的試料を、CD11aポリペプチドまたはその抗原性断片と接触させて、前記生物学的試料中のHNA−5特異的抗体と複合体を形成させること、
h)前記生物学的試料をHLA抗原と接触させて、前記生物学的試料中のHLA特異的抗体と複合体を形成させること、そして
i)ヒトの移植片または輸血のレシピエントが移植または輸血組織の拒絶を発生することに対して感受性である、ということを前記生物学的試料中の複合体のいずれかの存在が示す前記複合体を検出すること(ここで、前記ドナー組織はHNA−1、HNA−2、HNA−3a、HNH−4、HNA−5およびHLAのいずれかを含有する)
というステップのうちの1つもしくは複数のステップをさらに包含する請求項6〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
輸血関連急性肺障害(TRALI)または移植片対宿主病(GVHD)を発症することに対するヒト移植片または輸血レシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織は抗HNA−3a抗体を含有する)を判定する方法であって、以下の:
a)移植または輸血前に、ヒトの移植片または輸血のレシピエントから生物学的試料を獲得すること、
b)前記生物学的試料を、配列番号1のアミノ酸配列を含むHNA−3aポリペプチドまたはその断片と特異的に結合する抗体と接触させて、前記生物学的試料中のHNA−3aと複合体を形成させること、そして
c)前記ヒトの移植片または輸血のレシピエントがTRALIまたはGVHDを発症することに対して感受性である、ということを前記複合体の存在が示す前記複合体を検出すること
を包含する方法。
【請求項12】
輸血関連急性肺障害(TRALI)または移植片対宿主病(GVHD)を発症することに対するヒト移植片または輸血レシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織は抗HNA−3b抗体を含有する)を判定する方法であって、以下の:
a)移植または輸血前に、ヒトの移植片または輸血のレシピエントから生物学的試料を獲得すること、
b)前記生物学的試料を、配列番号2のアミノ酸配列を含むHNA−3bポリペプチドまたはその断片と特異的に結合する抗体と接触させて、前記生物学的試料中のHNA−3bと複合体を形成させること、そして
c)前記ヒト移植片または輸血レシピエントがTRALIまたはGVHDを発症することに対して感受性である、ということを前記複合体の存在が示す前記複合体を検出すること
を包含する方法。
【請求項13】
以下の:
d)前記試料を、HNA−1と特異的に結合する抗体と接触させて、前記試料中のHNA−1と複合体を形成させること、
e)前記試料を、HNA−2と特異的に結合する抗体と接触させて、前記試料中のHNA−2と複合体を形成させること、
f)前記試料を、HNA−4と特異的に結合する抗体と接触させて、前記試料中のHNA−4と複合体を形成させること、
g)前記試料を、HNA−5と特異的に結合する抗体と接触させて、前記試料中のHNA−5と複合体を形成させること、
h)前記試料をHLA抗原と特異的に結合する抗体と接触させて、前記試料中のHLAと複合体を形成させること、そして
i)前記試料がヒトレシピエントにおいてTRALIまたはGVHDを誘発しやすい、ということを前記複合体のいずれかの存在が示す前記複合体を検出すること
というステップのうちの1つもしくは複数のステップをさらに包含する請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
前記抗体が、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、アビジン標識またはビオチン標識からなる群から選択される標識を含む請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記複合体が二次抗体を用いて検出される請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記二次抗体が、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、アビジン標識またはビオチン標識からなる群から選択される標識を含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
移植または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3a特異的抗体を発現する)か否かを判定する方法であって、以下の:
a)移植または輸血のために意図された組織の試料を獲得すること、
b)前記試料から核酸を抽出すること、
c)前記核酸を、配列番号3の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること、そして
d)前記核酸との前記プローブのハイブリダイゼーションを検出すること(ここで、前記プローブのハイブリダイゼーションはHNA−3a核酸の存在を示し、前記試料中のHNA−3a核酸の存在は、HNA−3a特異的抗体を発現するヒトレシピエントにおいて前記試料が拒絶されやすい、ということを示す)
を包含する方法。
【請求項18】
前記オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
移植または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3b特異的抗体を発現する)か否かを判定する方法であって、以下の:
a)移植または輸血のために意図された組織の試料を獲得すること、
b)前記試料から核酸を抽出すること、
c)前記核酸を、配列番号4の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること、そして
d)前記核酸との前記プローブのハイブリダイゼーションを検出すること(ここで、前記プローブのハイブリダイゼーションはHNA−3b核酸の存在を示し、前記試料中のHNA−3b核酸の存在は、HNA−3b特異的抗体を発現するヒトレシピエントにおいて前記試料が拒絶されやすい、ということを示す)
を包含する方法。
【請求項20】
前記オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
以下の:
d)前記試料を、配列番号5の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること、
e)前記試料を、配列番号7の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること、
f)前記試料を、配列番号9の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること、
g)前記試料を、配列番号11の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること、または
h)前記試料を、HLA抗原をコードするヌクレオチド配列の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること、そして
i)前記核酸との前記プローブのハイブリダイズを検出すること(ここで、前記プローブのいずれかのハイブリダイゼーションは、前記試料中のHNA−1、HNA−2、HNA−3b、HNH−4、HNA−5またはHLA核酸のいずれかの存在を示し、そして前記試料中のHNA−1、HNA−2、HNA−3b、HNH−4、HNA−5またはHLA核酸のいずれか1つの存在は、前記試料がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい、ということを示す)
というステップのうちの1つもしくは複数のステップをさらに包含する請求項17〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
配列番号5の断片が、配列番号5のヌクレオチド141、ヌクレオチド147、ヌクレオチド226、ヌクレオチド227、ヌクレオチド277またはヌクレオチド349の少なくともいずれか1つを含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
輸血関連急性肺障害(TRALI)または移植片対宿主病(GVHD)を発症することに対するヒト移植片または輸血レシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織は抗HNA−3a特異的抗体を含有する)を判定する方法であって、以下の:
a)移植または輸血の前に、ヒトの移植片または輸血のレシピエントから生物学的試料を獲得すること、
b)前記生物学的試料から核酸を抽出すること、
c)前記核酸を、配列番号1のヌクレオチド配列の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること、そして
d)前記核酸との前記プローブのハイブリダイゼーションを検出すること(ここで、前記核酸との前記プローブのハイブリダイゼーションは前記生物学的試料中のHNA−3a核酸の存在を示し、前記生物学的試料中のHNA−3aの存在は、ヒト輸血または移植片レシピエントがTRALIまたはGVHDを発症することに対して感受性である、ということを示す)、
とを包含する方法。
【請求項24】
前記オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
輸血関連急性肺障害(TRALI)または移植片対宿主病(GVHD)を発症することに対するヒト移植片または輸血レシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織はHNA−3b特異的抗体を含有する)を判定する方法であって、以下の:
a)移植または輸血の前に、ヒトの移植片または輸血のレシピエントから生物学的試料を獲得すること、
b)前記生物学的試料から核酸を抽出すること、
c)前記核酸を、配列番号2のヌクレオチド配列の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること、そして
d)前記核酸との前記プローブのハイブリダイゼーションを検出すること(ここで、前記核酸との前記プローブのハイブリダイゼーションは前記生物学的試料中のHNA−3b核酸の存在を示し、前記生物学的試料中のHNA−3bの存在は、ヒトの輸血または移植片のレシピエントがTRALIまたはGVHDを発症することに対して感受性である、ということを示す)、
とを包含する方法。
【請求項26】
前記オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
以下の:
d)前記試料を、配列番号5の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること、
e)前記試料を、配列番号7の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること、
f)前記試料を、配列番号9の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること、
g)前記試料を、配列番号11の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること、または
h)前記試料を、HLA抗原をコードするヌクレオチド配列の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること、そして
i)前記核酸との前記プローブのハイブリダイズを検出すること(ここで、前記プローブのいずれかのハイブリダイゼーションは、前記試料中のHNA−1、HNA−2、HNA−3b、HNH−4、HNA−5またはHLA核酸のいずれかの存在を示し、そして前記試料中のHNA−1、HNA−2、HNA−3b、HNH−4、HNA−5またはHLA核酸のいずれか1つの存在は、前記試料がヒトレシピエントにおいてTRALIまたはGVHDを誘発しやすい、ということを示す)
というステップのうちの1つもしくは複数のステップをさらに包含する請求項23〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
配列番号5の断片が、配列番号5のヌクレオチド141、ヌクレオチド147、ヌクレオチド226、ヌクレオチド227、ヌクレオチド277またはヌクレオチド349の少なくともいずれか1つを含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記オリゴヌクレオチドプローブが、膜、フィルター、ビーズおよびチップからなる群から選択される支持体に固定される請求項17〜28記載の方法。
【請求項30】
前記オリゴヌクレオチドプローブがアレイ状の請求項17〜29記載の方法。
【請求項31】
前記オリゴヌクレオチドプローブが、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、アビジン標識またはビオチン標識からなる群から選択される標識を含む請求項17〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
移植片または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3a特異的抗体を有する)か否かを判定する方法であって、以下の:
a)前記組織から試料を獲得すること、
b)前記試料から核酸を抽出すること、
c)HNA−3a核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、前記抽出核酸から配列番号3のHNA−3a核酸の断片を増幅すること、そして
d)前記試料中のHNA−3a核酸の断片を検出すること(ここで、前記試料中のHNA−3a核酸の存在は、HNA−3a特異的抗体を有するヒトレシピエントにおいて前記試料が拒絶されやすい、ということを示す)、
とを包含する方法。
【請求項33】
HNA−3a核酸の前記断片が、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
移植または輸血のために意図されたドナー組織がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい(ここで、前記ヒトレシピエントはHNA−3b特異的抗体を有する)か否かを判定する方法であって、以下の:
a)前記組織から試料を獲得すること、
b)前記試料から核酸を抽出すること、
c)HNA−3b核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、前記抽出核酸から配列番号4のHNA−3b核酸の断片を増幅すること、そして
d)前記試料中のHNA−3b核酸の断片を検出すること(ここで、前記試料中のHNA−3b核酸の存在は、HNA−3b特異的抗体を有するヒトレシピエントにおいて前記試料が拒絶されやすい、ということを示す)、
とを包含する方法。
【請求項35】
HNA−3b核酸の前記断片が、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
以下の:
d)HNA−1核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、HNA−1核酸の断片(配列番号5)を増幅すること、
e)HNA−2核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、HNA−2核酸の断片(配列番号7)を増幅すること、
f)HNA−4核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、HNA−4核酸の断片(配列番号9)を増幅すること、
g)HNA−5核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、HNA−5核酸の断片(配列番号11)を増幅すること、または
h)HLA核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、HLA核酸の断片を増幅すること、そして
i)前記試料中の任意のHNAまたはHLA核酸の前記断片を検出すること(ここで、前記試料中のHNAまたはHLA核酸の存在は、前記試料がヒトレシピエントにおいて拒絶されやすい、ということを示す)
というステップのうちの1つもしくは複数のステップをさらに包含する請求項32〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
輸血関連急性肺障害(TRALI)または移植片対宿主病(GVHD)を発症することに対するヒトの移植片または輸血のレシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織はHNA−3a特異的抗体を含有する)を判定する方法であって、以下の:
a)移植または輸血の前に、前記ヒトの移植片または輸血のレシピエントから生物学的試料を獲得すること、
b)前記生物学的試料から核酸を抽出すること、
c)前記生物学的試料中のHNA−3a核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、前記抽出核酸から前記HNA−3a核酸の断片(配列番号3)を増幅すること、そして
d)前記生物学的試料中のHNA−3a核酸の存在を検出すること(ここで、前記生物学的試料中のHNA−3aの存在は、前記ヒトの輸血または移植片のレシピエントがTRALIまたはGVHDを発症することに対して感受性である、ということを示す)、
とを包含する方法。
【請求項38】
HNA−3a核酸配列の前記断片が、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
輸血関連急性肺障害(TRALI)または移植片対宿主病(GVHD)を発症することに対するヒト移植片または輸血レシピエントの感受性(ここで、前記ドナー組織は抗HNA−3b抗体を含有する)を判定する方法であって、以下の:
a)移植または輸血の前に、前記ヒトの移植片または輸血のレシピエントから生物学的試料を獲得すること、
b)前記生物学的試料から核酸を抽出すること、
c)HNA−3b核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、前記抽出核酸から前記HNA−3b核酸の断片(配列番号4)を増幅すること、そして
d)前記生物学的試料中のHNA−3b核酸の存在を検出すること(ここで、前記生物学的試料中のHNA−3b核酸の存在は、ヒトの輸血または移植片のレシピエントがTRALIまたはGVHDを発症することに対して感受性である、ということを示す)、
とを包含する方法。
【請求項40】
HNA−3b核酸配列の前記断片が、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
以下の:
d)HNA−1核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、HNA−1核酸の断片(配列番号5)を増幅すること、
e)HNA−2核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、HNA−2核酸の断片(配列番号7)を増幅すること、
f)HNA−4核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、HNA−4核酸の断片(配列番号9)を増幅すること、
g)HNA−5核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、HNA−5核酸の断片(配列番号11)を増幅すること、または
h)HLA核酸に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、HLA核酸の断片を増幅すること、そして
i)前記試料中のHNA−1、HNA−2、HNA−3b、HNA−4、HNA−5またはHLA核酸のいずれか1つの前記断片を検出すること(ここで、前記試料中のHNA−1、HNA−2、HNA−3b、HNA−4、HNA−5またはHLA核酸のいずれか1つの存在は、前記試料がヒトレシピエントにおいてTRALIまたはGVHDを誘発しやすい、ということを示す)
というステップのうちの1つもしくは複数のステップをさらに包含する請求項37〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記組織試料または生物学的試料が、血液、血液誘導体、血漿、血清、細胞および組織からなる群から選択される請求項1〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記試料が細胞である請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記細胞が好中球である請求項43に記載の方法。
【請求項45】
以下の:
a)配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその抗原性断片、ならびに
b)Fc−γ受容体IIIbポリペプチド(HNA−1)、CD177ポリペプチド(HNA−2)、CD11bポリペプチド(HNA−4)、CD11aポリペプチド(HNA−5)およびHLA抗原からなる群から選択される1つもしくは複数のポリペプチドまたはその抗原性断片
を包含するキット。
【請求項46】
HNA−3aに特異的な抗体をさらに包含する請求項45に記載のキット。
【請求項47】
HNA−1、HNA−2、HNA−4、HNA−5およびHLAからなる群から選択される抗原を含むペプチドと特異的に結合する1つもしくは複数の抗体をさらに包含する請求項45または46に記載のキット。
【請求項48】
前記HNA−3aポリペプチド断片が、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む請求項45〜47のいずれか一項に記載のキット。
【請求項49】
配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその抗原性断片をさらに包含する請求項45〜48のいずれか一項に記載のキット。
【請求項50】
以下の:
a)HNA−3aに特異的な抗体、ならびに
b)HNA−1、HNA−2、HNA−4、HNA−5またはHLAからなる群から選択される抗原を含むペプチドと特異的に結合する1つもしくは複数の抗体
を包含するキット。
【請求項51】
配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその抗原性断片をさらに包含する請求項50記載のキット。
【請求項52】
Fc−γ受容体IIIbポリペプチド、CD177ポリペプチド、CD11bポリペプチド、CD11aポリペプチドおよびHLA抗原からなる群から選択される1つもしくは複数のポリペプチドまたはその抗原性断片をさらに包含する請求項50または請求項51のいずれか一項に記載のキット。
【請求項53】
HNA−3bに特異的なポリペプチドまたは抗体をさらに包含する請求項50〜52のいずれか一項に記載のキット。
【請求項54】
以下の:
a)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその抗原性断片、ならびに
b)Fc−γ受容体IIIbポリペプチド、CD177ポリペプチド、CD11bポリペプチド、CD11aポリペプチドおよびHLA抗原からなる群から選択される1つもしくは複数のポリペプチドまたはその抗原性断片
を包含するキット。
【請求項55】
HNA−3bに特異的な抗体をさらに包含する請求項54に記載のキット。
【請求項56】
HNA−1、HNA−2、HNA−4、HNA−5およびHLAからなる群から選択される抗原を含むペプチドと特異的に結合する1つもしくは複数の抗体をさらに包含する請求項54または請求項55に記載のキット。
【請求項57】
前記HNA−3bポリペプチド断片が、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む請求項54〜56のいずれか一項に記載のキット。
【請求項58】
以下の:
a)HNA−3bに特異的な抗体、ならびに
b)HNA−1、HNA−2、HNA−4、HNA−5およびHLAからなる群から選択される抗原を含むペプチドと特異的に結合する1つもしくは複数の抗体
を包含するキット。
【請求項59】
配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその抗原性断片をさらに包含する請求項58に記載のキット。
【請求項60】
Fc−γ受容体IIIbポリペプチド、CD177ポリペプチド、CD11bポリペプチド、CD11aポリペプチドおよびHLA抗原からなる群から選択される1つもしくは複数のポリペプチドまたはその抗原性断片をさらに包含する請求項58または59のいずれか一項に記載のキット。
【請求項61】
配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその抗原性断片をさらに包含する請求項58〜60のいずれか一項に記載のキット。
【請求項62】
二次抗体をさらに包含する請求項58〜61のいずれか一項に記載のキット。
【請求項63】
前記二次抗体が、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、アビジン標識またはビオチン標識からなる群から選択される標識を含む請求項62に記載のキット。
【請求項64】
前記抗体が、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、アビジン標識またはビオチン標識からなる群から選択される標識を含む請求項50〜63のいずれか一項に記載のキット。
【請求項65】
以下の:
a)配列番号3の核酸配列の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブ、ならびに
b)配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11およびHLAヌクレオチド配列からなる群から選択される核酸配列の断片とハイブリダイズする1つもしくは複数のオリゴヌクレオチドプローブ
を包含するキット。
【請求項66】
前記オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列の断片を含む請求項65に記載のキット。
【請求項67】
配列番号4の核酸配列の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブをさらに含む請求項65または請求項66に記載のキット。
【請求項68】
以下の:
a)配列番号4の核酸配列の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブ、ならびに
b)配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11およびHLAヌクレオチド配列からなる群から選択される核酸配列の断片とハイブリダイズする1つもしくは複数のオリゴヌクレオチドプローブ
を包含するキット。
【請求項69】
前記オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列の断片を含む請求項68に記載のキット。
【請求項70】
配列番号2の核酸配列の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブをさらに包含する請求項68または請求項69に記載のキット。
【請求項71】
前記オリゴヌクレオチドプローブが、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、アビジン標識またはビオチン標識からなる群から選択される標識を含む請求項65〜70のいずれか一項に記載のキット。
【請求項72】
ゲルローディング用の緩衝液をさらに包含する請求項71に記載のキット。
【請求項73】
以下の:
a)配列番号3のHNA−3a核酸の断片を増幅するための1つもしくは複数のオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに
b)配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11およびHLAヌクレオチド配列からなる群から選択される核酸配列の断片を増幅するための1つもしくは複数のオリゴヌクレオチドプライマー
を包含するキット。
【請求項74】
配列番号4のHNA−3b核酸の断片を増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーをさらに包含する請求項73に記載のキット。
【請求項75】
以下の:
a)配列番号4のHNA−3b核酸の断片を増幅するための1つもしくは複数のオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに
b)配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11およびHLAヌクレオチド配列からなる群から選択される核酸配列の断片を増幅するための1つもしくは複数のオリゴヌクレオチドプライマー
を包含するキット。
【請求項76】
配列番号2のHNA−3a核酸の断片を増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーをさらに包含する請求項75に記載のキット。
【請求項77】
PCR増幅のための緩衝液、dNTPおよびゲルローディングのための緩衝液をさらに包含する請求項75または76に記載のキット。
【請求項78】
配列番号2のアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド。
【請求項79】
断片が少なくとも7アミノ酸長、少なくとも10アミノ酸長、少なくとも20アミノ酸長または少なくとも50アミノ酸長である請求項78に記載の前記ポリペプチドの断片を含む単離ポリペプチド。
【請求項80】
前記断片が配列番号2のアミノ酸残基154を含む請求項79に記載の単離ポリペプチド。
【請求項81】
前記断片が配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26のアミノ酸配列を含み、HNA−3b特異的同種異系抗体と反応する請求項80に記載の単離ポリペプチド。
【請求項82】
配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、HNA−3a特異的同種異系抗体と反応する単離ポリペプチド。
【請求項83】
請求項78〜82のいずれか一項に記載のポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド。
【請求項84】
HNA−3a特異的同種異系抗体の同定のための請求項82に記載のポリペプチドまたはその断片の使用。
【請求項85】
HNA−3b特異的同種異系抗体の同定のための請求項78〜81のいずれか一項に記載のポリペプチドまたはその断片の使用。
【請求項86】
HNA−3a遺伝子型の確定のための、HNA−3a特異的同種異系抗体と反応するタンパク質をコードする配列番号3のポリヌクレオチドまたはその断片の使用。
【請求項87】
HNA−3b遺伝子型の確定のための請求項87記載のポリヌクレオチドまたはその断片の使用。
【請求項88】
前記断片がコドン154を含む請求項87に記載の使用。
【請求項89】
前記HNA−3a抗原に対する抗体の同定のための血液試料または血漿の分析における、HNA−3a特異的同種異系抗体と反応する配列番号1のアミノ酸を含むタンパク質またはその断片、あるいは請求項82に記載のタンパク質断片の使用。
【請求項90】
前記HNA−3b抗原に対する抗体の同定のための血液試料または血漿の分析における請求項78〜81のいずれか一項に記載のポリペプチドの使用。
【請求項91】
血液試料または血漿から抗体を分離するためにタンパク質またはタンパク質断片を用いるプロセスにおける、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその断片、あるいは請求項82に記載のポリペプチドの使用。
【請求項92】
血液試料または血漿から抗体を分離するためにタンパク質またはタンパク質断片を用いるプロセスにおける請求項78〜83のいずれか一項に記載のポリペプチドの使用。
【請求項93】
抗体、好ましくはモノクローナル抗体を産生するためにタンパク質またはタンパク質断片を用いるプロセスにおける、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその断片、あるいは請求項82に記載のポリペプチドの使用。
【請求項94】
抗体、好ましくはモノクローナル抗体を産生するためにタンパク質またはタンパク質断片を用いるプロセスにおける請求項78〜81のいずれか一項に記載のポリペプチドの使用。
【請求項95】
ヒト被験者におけるHNA−3b遺伝子型に関するスクリーニング方法であって、以下の:
a)前記ヒト被験者から生物学的試料を獲得すること、
b)前記生物学的試料から核酸を抽出すること、そして
c)前記生物学的試料中の配列番号4の核酸配列の断片を検出すること(ここで、前記断片は配列番号4のコドン154を含み、前記配列番号4のコドン154の検出は、前記ヒト被験者がHNA−3b遺伝子型を有するということを示す)、
とを包含する方法。
【請求項96】
前記検出ステップが、前記核酸を、配列番号4の核酸配列の断片とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させることを包含する請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記検出ステップが、配列番号4の断片に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて前記抽出核酸から配列番号4の断片を増幅することを包含する請求項95に記載の方法。
【請求項98】
前記生物学的試料が、血液、血液誘導体、血漿、血清、細胞および組織からなる群から選択される請求項95〜97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
生物学的試料中のHNA−3a特異的抗体の検出方法であって、以下の:
a)生物学的試料を獲得すること、
b)前記生物学的試料を、配列番号1のHNA−3aポリペプチドまたはその断片を発現するよう形質転換されたかまたはトランスフェクトされた細胞と接触させて、前記試料中のHNA−3a抗体と複合体を形成させること、そして
c)前記生物学的試料がHNA−3a特異的抗体を含有する、ということを前記複合体の存在が示す前記複合体を検出すること、
とを包含する方法。
【請求項100】
前記細胞がB細胞である請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記抗原性断片が、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号25、配列番号27、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号42からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む請求項99または請求項100に記載の方法。
【請求項102】
生物学的試料中のHNA−3b特異的抗体の検出方法であって、以下の:
a)生物学的試料を獲得すること、
b)前記生物学的試料を、配列番号2のHNA−3bポリペプチドまたはその断片を発現するよう形質転換されたかまたはトランスフェクトされた細胞と接触させて、前記試料中のHNA−3b抗体と複合体を形成させること、そして
c)前記生物学的試料がHNA−3b特異的抗体を含有する、ということを前記複合体の存在が示す前記複合体を検出すること、
とを包含する方法。
【請求項103】
前記細胞がB細胞である請求項98に記載の方法。
【請求項104】
前記抗原性断片が、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む請求項102または請求項103に記載の方法。
【請求項105】
生物学的試料中のHNA−3a特異的抗体の検出方法であって、以下の:
a)生物学的試料を獲得すること、
b)前記生物学的試料を、配列番号1のHNA−3aポリペプチドの抗原性断片を模倣するアプタマーと接触させて、前記試料中のHNA−3a特異的抗体と複合体を形成させること、そして
c)前記生物学的試料がHNA−3a特異的抗体を含有する、ということを前記複合体の存在が示す前記複合体を検出すること、
とを包含する方法。
【請求項106】
生物学的試料中のHNA−3b特異的抗体の検出方法であって、以下の:
a)生物学的試料を獲得すること、
b)前記生物学的試料を、配列番号2のHNA−3bポリペプチドの抗原性断片を模倣するアプタマーと接触させて、前記試料中のHNA−3b特異的抗体と複合体を形成させること、そして
c)前記生物学的試料がHNA−3b特異的抗体を含有する、ということを前記複合体の存在が示す前記複合体を検出すること
を包含する方法。

【公表番号】特表2012−501631(P2012−501631A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525460(P2011−525460)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006386
【国際公開番号】WO2010/025915
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(511056828)エルンスト−モーリッツ−アルント ユニヴェルシテート グライフスヴァルト (1)
【出願人】(511056839)デーエルカー ブルットスペンデディーンスト ヴェスト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【Fターム(参考)】